JP2000514292A - 転写因子 - Google Patents

転写因子

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Abstract

(57)【要約】 糸状真菌、特にアスペルギルス属の真菌において、αアミラーゼプロモーターによって開始される発現を制御する転写因子、前記因子をコードするDNA配列、前記配列による真菌宿主体の形質転換および、前記宿主における発現、並びに、前記宿主における、前記宿主によって生産される注目のポリペプチドの発現を増加させるための前記因子の使用。

Description

【発明の詳細な説明】 転写因子 発明の分野 本発明は、糸状真菌、特にアスペルギルス属(Aspergilli)の真菌に見いだされ る転写因子、前記因子をコードするDNA配列、これによる真菌宿主体の形質転換 およびこれの発現、並びに、この様な宿主における、前記宿主によって生産され る注目のポリペプチド発現を増加させるための、前記因子の使用に関する。 発明の背景 転写因子は、転写開始に関与する周知のタンパク質である。これらは、多くの 異なる生物において徹底的に研究されていて、また真菌のものも記載されている 。最近、Dhawale and Lane(NAR(1993)21,5537-5546)によって、糸状真菌を含む 真菌の転写因子に関する書物が編集された。 多くの転写因子は、制御タンパク質である。これらは、細胞への刺激に反応し て、プロモーターDNAに結合して、転写を活性化または抑制する。 A.オリゼ(A.oryzae)のαアミラーゼ遺伝子の発現は、利用できる炭素源に反応 して制御されている。この生物がデンプンまたはマルトース中で増殖する時に、 この遺伝子の発現は最大になる(Lachmund et al.(1993)Current Microbiology 2 6,47-51;Tada et al.(199l)Mel.Gen.Genet.229,301-306)。Lachmund et al.( 前出)が明らかにした様に、αアミラーゼの発現は、転写レベルで制御される。 このことは、転写因子がこの制御に関与していることを強く示唆す るが、これまで、この様な因子の遺伝子は同定されていない。 αアミラーゼ遺伝子のプロモーターは、欠失分析(deletion analysis)によっ て研究されてきた(Tada et al.(1991)Agric.Biol.Chem.55,1939-1941;Tsuchiya et al.(1992)Biosci.Biotech.Biochem.56,1849-1853;Nagata et al.(1993)Mel.G en.Genet.237,251-260)。これらの論文の著者は、このプロモーター内の特異的 配列が、マルトース誘導の原因であると提唱している。Nagata et al.(前出) は、この配列をプローブとして用いてゲルシフト実験を行い、A.ニデュランス(A .nidulans)の核抽出物中のいずれかのタンパク質が、プロモーターの本配列に結 合できるかどうか調べた。この様なタンパク質が3つ見いだされたが、これらの タンパク質は、発現に関与していなかった。他の方法でも、この様なタンパク質 は、精製または同定されていない。これらの遺伝子も同様に知られていない。 発明の概略 本発明は、糸状真菌における、αアミラーゼプロモーターによる発現を制御す る転写因子に関する。 従って、本発明の第一点は、本発明の転写因子をコードするDNA配列を含んで いるDNA構成体に関し、ここで前記DNA配列が、 a)大腸菌ToC1058,DSM10666に存在するプラスミドpToC320内にクローン化されて いるDNA配列内の、転写因子をコードする部分であるか、または b) i)a)に定義されたDNA配列に少なくとも60%相同であるか、または ii)a)に定義されたDNA配列と同じであるヌクレオチドプローブによってハイ ブリダイズされるか、または iii)a)に定義されたDNA配列を含んでいるDNA配列によってコ ードされる転写因子に対して、少なくとも50%相同である転写因子をコードする か、または iv)a)に定義されたDNA配列によってコードされる精製された転写因子に対す る抗体と、免疫反応する転写因子をコードするか、または v)本DNA配列によって形質転換されると、ToC879の変異が補完される、すなわ ちToC879が、シクロデキストリン中で増殖でき、且つリパーゼを生産できる様に なる、a)に定義されたDNA配列の類似体である、 前記DNA構成体に関する。 転写因子をコードする完全長のゲノムDNA配列が、糸状真菌アスペルギルス・ オリゼの菌株から得られていて、大腸菌ToC1058,DSM10666に存在するプラスミ ドpToC320内にクローン化されている。 DSM10666内のプラスミドpToC320に挿入された、前記転写因子をコードするDNA 配列は、配列番号1および配列番号2の配列内のものと同じ配列を有する。従っ て、DSM10666内に存在するプラスミドpToC320にクローン化されたDNA配列内の、 転写因子をコードする部分を意味する場合は常に、配列番号1および配列番号2 のDNA配列の、転写因子をコードする部分もまた意味する。 従って、語句「DSM10666に存在するプラスミドpToC320にクローン化されたDNA 配列内の、転写因子をコードする部分」および語句「配列番号1および配列番号 2のDNA配列内の、転写因子をコードする部分」は、交換して用いることができ る。 本発明の別の点は、本発明のDNA構成体を含んでいる発現ベクター、前記DNA構 成体または前記発現ベクターを含んでいる細胞、および転写因子活性を示すペプ チドを生産する方法で、転写因子が生産される条件下に、前記細胞を培養するこ とを含んでなる方法を提 供することである。 この様な本発明の転写因子は、典型的には糸状真菌由来である。 用語「糸状真菌」は、分類群としての藻菌類(Phycomycetes)、接合菌類(Zygom ycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basid iomycetes)および不完全真 菌類(fungi imperfecti)、例えば不完全糸状菌類(Hyphomycetes)、例えばアスペ ルギルス属、ペニシリウム属(Penicillium)、トリコデルマ属(Trichoderma)、フ サリウム属(Fusarium)およびヒュミコラ属(Humicola)を意味する。 本発明はまた、糸状真菌宿主細胞を作成する方法で、この様ないずれかの因子 をコードするDNA断片を糸状真菌に導入することを含んでなる方法に関し、前記 因子を前記真菌に発現させることによって、αアミラーゼプロモーターまたは共 同的に制御されるプロモーター(co-regulated promoter)によって、注目のポリ ペプチドの発現を制御する。 本発明の別の点は、ペプチドの発現が、αアミラーゼプロモーターまたは共同 的に制御されるプロモーターによって制御される、注目のポリペプチドを生産す る方法で、前記因子および注目の前記ポリペプチドの生産を誘導する条件下に、 前記の糸状真菌宿主細胞を増殖させ、そして注目の前記ポリペプチドを回収する ことを含んでなる方法に関する。 最後に、本発明は、糸状真菌において注目のポリペプチドの発現を制御するた めの、前記因子の使用に関する。 本文において、制御とは、本発明の因子が活性を有する条件に変えることを意 味する。これは、異なるpH、基質、様式(regimes)などであり、注目のタンパク 質の発現を改善する効果を有する条件を意味する。 さらに、制御とはまた、転写因子が活性を有する真菌増殖相にお いて発生する事象を含んでいる。環境条件に依存して、因子が活性化されている 相を進行および/または延期させることによって、発現および収量を増加させる ことができる。 さらに、当業界に既知の標準の方法を用いて、転写因子の結合に関する特異的 DNA配列を同定することができ、よって、この様な配列を、通常はこの因子によ って制御されていない他のプロモーターに挿入でき、よって、このプロモーター を、前記因子の制御下に置くことができる。 表と図の簡単な説明 図において、 図1は、プラスミドpMT1657の構造を示し、この構成体を例1に記載する。 図2は、プラスミドpToC316の構造を示し、この構成体を例1に記載する。 図3は、プラスミドpToC320の構造を示し、この構成体を例1に記載する。 図4は、プラスミドpToC342およびpToC359の構造を示し、この構成体を例3に 記載する。 図5は、プラスミドpToC298の構造を示し、この構成体を例4に記載する。 5のリパーゼの生産とを比較した結果を示していて、これを例4に記載する。を含んでいるYP培地中で培養したToC1075のリパーゼの生産とを比較した結果を 示していて、これを例4に記載する。 図8は、次の制限酵素によって切断した、A.ニガーのDNAのオートラジオグラ フの結果を示す:レーン2XbaI;レーン3XmaI;レーン4SalI;レーン5HindI II;レーン6EcoRI;レーン7BglII;レーン8BamHI;レーン1および9、BstEI Iで切断した32P標識DNA。この実験を例5に記載する。 本発明の詳細な説明 本発明の第一点は、αアミラーゼプロモーターを制御する転写因子をコードす るDNA配列を含んでいるDNA構成体に関し、ここで前記DNA配列が a)大腸菌ToC1058,DSM10666に存在するプラスミドpToC320内にクローン化されて いるDNA配列内の、転写因子をコードする部分であるか、または b)i)a)に定義されたDNA配列に少なくとも60%相同であるか、または ii)a)に定義されたDNA配列と同じであるヌクレオチドプローブによってハイ ブリダイズされるか、または iii)a)に定義されたDNA配列を含んでいるDNA配列によってコードされる転写 因子に対して、少なくとも50%相同である転写因子をコードするか、または iv)a)に定義されたDNA配列によってコードされる精製された転写因子に対す る抗体と、免疫反応する転写因子をコードするか、ま たは v)本DNA配列によって形質転換されると、ToC879の変異が補完される、すなわ ちToC879が、シクロデキストリン中で増殖でき、且つリパーゼを生産できる様に なる、a)に定義されたDNA配列の類似体である、 前記DNA構成体に関する。 大腸菌ToC1058,DSM10666に存在するプラスミドpToC320内にクローン化されて いるDNA配列内の、転写因子をコードする部分に類似のDNA配列とは、αアミラー ゼプロモーターを制御する転写因子をコードし、且つ前記(i)-(v)に引用した特 性を1つ以上有する、いずれかのDNA配列を意味すると定義する。 この類似DNA配列は、本転写因子を生産する糸状真菌の菌株A.オリゼ、または 別の菌株、または関連する生物から単離してよく、よって例えば、DSM10666に存 在するプラスミドpToC320内にクローン化されているDNA配列内の、転写因子をコ ードする部分の対立遺伝子または特別な変異体であってもよい。 あるいは、この類似配列を、配列番号1および配列番号2の、転写因子をコー ドする部分のDNA配列を基にして作成することができ、例えば、そのサブ配列で あってもよく、および/または、コードされる転写因子のアミノ酸配列が異なら ない様に、転写因子を生産させようとする宿主体のコドン使用様式(codon usage )に合わせて、DNA配列にヌクレオチド置換を導入することによって、またはアミ ノ酸配列が異なる様にするヌクレオチド置換の導入によっても作成することがで きる。 ヌクレオチド置換を行う場合、アミノ酸残基変化は、性質変化が少ないのが好 ましく、これは、タンパク質の折り畳み構造または活性に有意な影響を与えない 保存的アミノ酸残基置換であり、小さな 欠失、典型的には1から約30のアミノ酸残基の欠失であり、アミノまたはカルボ キシル末端の小さな伸長である。 保存的置換の例には、塩基アミノ酸(例えばArg,Lys,His)、酸性アミノ酸( 例えばGlu,Asp)、極性アミノ酸(例えばGln,Asn)、疎水性アミノ酸(例えばLe u,Ile,Val)、芳香族アミノ酸(例えばPhe,Trp,Tyr)、および小さいアミノ酸 (例えばGly,Ala,Ser,Thr,Met)のグループ内の置換がある。ヌクレオチド置換 に関する概説として、例えばFord et al.(1991)Protein Expression and Purifi cation 2,95-107を見よ。 当業者に明らかなように、この様な置換は、本分子の機能に必須である領域の 外において、そして依然として転写因子活性を有する様に行うことができる。本 発明のDNA構成体によってコードされる転写因子の活性に必要なアミノ酸は、従 って置換しない方が好ましいアミノ酸は、当業界に周知な方法、例えば部位特異 的(site-directed)突然変異誘発またはアラニンスキャニング(alanine-scanning )突然変異誘発によって同定することができる(例えばCunningham and Wells(19 89)Science 244,1081-1085を参照する)。後者の技法においては、突然変異を分 子内の全ての残基に誘発して、生じた変異分子の生物活性(すなわちαアミラー ゼプロモーターを制御する転写因子)を調べ、本分子の活性に必須なアミノ酸残 基を同定する。 前記の(i)の相同性は、2つの配列間の同一性の程度として決定され、そして 一つの配列がもう一つの配列から派生していることを示す。この相同性は、当業 界に既知のコンピュータプログラム、例えばGCGプログラムのGAPによって、適切 に決定することができる(Needleman,S.B.and Wunsch,C.D.(1970)Journal of Mol ecular Biology 48,443-453)。DNA配列の比較のために、GAPクリエーション ペナルティを5.0およびGAPエクステンションペナルティを0.3に設定したGAPによ って決定すると、DNA配列のコード領域は、配列番号1および配列番号2に示さ れたDNA配列内の、転写因子をコードする部分に対して、好ましくは少なくとも6 0%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好 ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の同一性を示す。 前記(ii)のハイブリダイゼーションは、以下の材料と方法のセクションに詳細 に記載されているある特定の条件下に、類似DNA配列が、本転写因子をコードす るDNA配列と同じであるプローブにハイブリダイズすることを意味する。用いる オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号1もしくは配列番号2に示されたDNA 配列の、転写因子をコードする部分またはその断片に相当するDNA配列である。 前記(iii)の相同性は、2つの配列間の同一性の程度として決定され、そして 最初の配列が2番目の配列から派生していることを示す。この相同性は、当業界 に既知のコンピュータプログラム、例えばGCGプログラムのGAPによって、適切に 決定することができる(Needleman,S.B.and Wunsch,C.D.,前出)。転写因子の配 列比較のために、GAPクリエーションペナルティを3.0およびGAPエクステンショ ンペナルティを0.1に設定したGAPによって決定すると、類似DNA配列によってコ ードされる転写因子は、配列番号1および配列番号2に示されたDNA配列内の、 転写因子をコードする部分を含んでいるDNA構成体によってコードされる転写因 子、例えば配列番号3のアミノ酸配列に対して、好ましくは少なくとも50%、よ り好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ま しくは少なくとも80%、特には少なくとも95%の同一性を示す。 特性(iv)に関して、免疫反応性を、以下の材料と方法のセクショ ンに詳細に記載されている方法によって決定できる。 特性(v)に関して、補完の方法は、本文の例1に記載されている。 本発明の転写因子をコードするDNA配列を、アスペルギルス・オリゼIFO4177の 菌株から、例えばSambrook,et al.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manu al.Cold Spring Harbor Lab.,Cold Spring Harbor,NYに記載されている様に、標 準の方法によって単離できる。 一般的なRNAおよびDNAの単離方法は、WO93/11249およびWO94/14953にも記載さ れていて、この内容を引用して本文に組み込む。補完の方法の詳細は、本文の例 1に記載されている。 あるいは、本発明の転写因子をコードするDNAを、周知の方法に従って、適当 な起源、例えば以下に記載したいずれかの生物から、本明細書に開示したDNA配 列を基にして調製した合成オリゴヌクレオチドプローブを用いて、都合良く単離 できる。例えば、配列番号1のヌクレオチド配列内の、転写因子をコードする部 分もしくはその適当ないずれかの配列を基にするか、または配列番号3のアミノ 酸配列を基にして、適当なオリゴヌクレオチドプローブを調製することができる 。 本発明は、特に、糸状真菌における、αアミラーゼプロモーターによる発現を 制御する転写因子に関し、例2に示した様に、この因子は他の遺伝子の発現さえ 制御し得る。 本文において、語句「糸状真菌」は、分類群としての藻菌類(Phycomycetes)、 接合菌類(Zygomycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)お よび不完全真菌類(fungi imperfecti)、例えば不完全糸状菌類(Hyphomycetes)、 例えばアスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、フサリウム属およ びヒュミコ ラ属を含むことを意味する。 本文において、語句「αアミラーゼプロモーター」は、αアミラーゼ遺伝子の すぐ上流の塩基配列で、RNAポリメラーゼが認識して結合し、αアミラーゼをコ ードする遺伝子の転写を促進する配列を意味する。 すでに指摘したように、転写因子は、多くの生物のものが知られている。よっ て、アスペルギルス属、トリコデルマ属、ペニシリウム属、フサリウム属および ヒュミコラ属などの他の真菌に由来して、これらの属のいずれかの真菌において 、アミラーゼプロモーターの制御下にあるポリペプチドの発現を促進する効果を 有する、類似または相当する因子を見いだすことができるだろう。 αアミラーゼプロモーターを制御する転写因子は、カンジダ(Can dida)のグル コシダーゼを制御する転写因子(CASUCI)、およびKelly and Kwon-Chung(1992)J .Bacteriol.174,222-232で開示されているサッカロミセス・セレビシエ(Saccha romyces cerevisiae)のMAL63に対して、コードDNA配列の比較から、ある程度相 同性があることが示された。 本発明の転写因子に相同である転写因子をコードするDNA配列、すなわち類似D NA配列を、他の微生物から得ることができる。例えば、このDNA配列を、別の微 生物、例えばアスペルギルス属、サッカロミセス属、エルウイニア属(Erwinia) 、フサリウム属またはトリコデルマ属のcDNAライブラリーを同様にスクリーニン グすることによって、得ることができる。 発明者は、特許手続きを目的とした微生物寄託の国際承認に関するブタペスト 条約に従って、DSM(Deutsche Sammlung von Mikroorg anismen und Zellkulture n GmbH,Mascheroder Weg 1b,D-38124 Braunschweig,DEUTSCHLAND)に、本発明の 転写因子をコードする遺伝子 が不活性化されているA.オリゼの単離菌株を寄託した。 寄託日付:1996年5月6日 寄託物の参考番号:ToC879=NN049238 DSM指定名:アスペルギルス・オリゼDSM No.10671 寄託されたアスペルギルス・オリゼ菌株DSM No.10671を用いて、以下に記載す る補完によって、本発明の転写因子を有するアスペルギルス・オリゼおよびその 他の真菌のいずれかの菌株から、この遺伝子を単離することができる。 本発明の転写因子をコードする完全長のゲノムDNA配列を含んでいる発現プラ スミドpToC320によって、大腸菌株を形質転換して、菌株ToC1058を作成した。発 明者は、これを、特許手続きを目的とした微生物寄託の国際承認に関するブタペ スト条約に従って、DSM(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkult uren GmbH,Mascheroder Weg Ib,D-38124 Braunschweig,DEUTSCHLAND)に寄託した 。 寄託日付:1996年5月6日 寄託物の参考番号:ToC1058=NN049237 DSM指定名:大腸菌DSM No.10666 本発明においては、A.オリゼ、A.ニガー、A.アワモリ(A.awamori)などの種、 特にA.オリゼIF04177に由来する本タイプの因子が好ましい。 本発明の因子は、αアミラーゼプロモーターの制御だけではなく、またA.オリ ゼのグルコアミラーゼプロモーターの制御にも関与することが見いだされている 。 特に、本発明は、配列番号3のアミノ酸配列の1つもしくは複数の断片、また はこれらの断片の組み合わせを含んでいるアミノ酸配列を有する、いずれかの因 子を含んでいる。 転写因子の短縮型(truncated forms)もまた活性があるだろう。短縮型とは、 N末端の断片、C末端の断片、または1つもしくは複数の内部断片が除去されて いる、転写因子の修飾体を意味する。 本発明の別の点は、これらのいずれかの因子をコードするDNA配列に関する。 この点において、本発明は、特に、配列番号3のアミノ酸配列の1つまたは複 数の断片をコードする、いずれかのDNA配列を含んでいる。 より詳しく記載すると、本発明は、配列番号1および配列番号2のDNA配列の 1つもしくは複数の断片、またはこれらの断片の組み合わせを含んでいるDNA配 列に関する。 本発明の別の点は、糸状真菌宿主細胞を作成する方法で、前記のいずれかのDN A断片を糸状真菌に導入すること含んでなる方法に関し、前記因子を前記真菌に 発現させることによって、αアミラーゼプロモーターまたは共同的に制御される プロモーター(co-regulated promoter)によって、注目のポリペプチドの発現を 制御する。 前記DNA断片の導入は、糸状真菌にDNAを導入するための周知のいずれかの標準 的方法によって、例えば、以下に記載する発現ベクターおよび宿主細胞を用いて 、行うことができる。 よって本発明はまた、本発明のDNA構成体を含んでいる組換え発現ベクターも 提供する。 本発明の発現ベクターは、組換えDNA技法で都合良く操作できるいかなる発現 ベクターでもよく、そして選択されるベクターは、多くの場合導入される宿主細 胞に依存する。 よってベクターは、自律複製するベクター、すなわち染色体外に存在して、染 色体の複製と独立して複製するベクター、例えばプラスミドであってよい。ある いは、ベクターは、宿主細胞に導入され ると、宿主細胞ゲノムに組み込まれ、組み込まれた染色体と共に複製されるベク ターであってもよい。 本発現ベクターでは、本転写因子をコードするDNA配列は、通常転写因子に連 関する発現シグナルを有するか、または適当なプロモーターもしくはターミネー ター配列に作用可能に連結される必要がある。プロモーターは、選択される宿主 細胞において転写活性を示すいかなるDNA配列でもよく、そして宿主細胞に対し て同種または異種性である遺伝子から得ることができる。転写因子、プロモータ ーおよびターミネーターをコードする各々のDNA配列を連結する方法は、当業者 に良く知られている(Sambrook et al.前出を参照する)。 糸状真菌宿主細胞において用いる適当なプロモーターの例には、A.ニデュラン スのADH3のプロモーター(McKnight,e tal.(1985)The EMBO J.4,2093-2099)また はtpiAプロモーターがある。その他の有用なプロモーター例は、A.オリゼのαア ミラーゼ、A.ニガーの中性αアミラーゼ、A.ニガーの酸に安定なαアミラーゼ、 A.ニガー、A.アワモリまたはA.オリゼのグルコアミラーゼ(gluA)、A.オリゼのア ルカリ性プロテアーゼ(alp)、A.オリゼの硝酸還元酵素(niaD)、A.オリゼのトリ オースリン酸イソメラーゼ(tpi)、もしくはA.ニデュランスのアセトアミダーゼ をコードする遺伝子から得られたもの、またはアスペルギルス属のアミノ酸生合 成遺伝子、例えばargBのプロモーターである。 本発明のさらに別の点は、本発明のDNA構成体および/または本発明の組換え 発現ベクターを含んでいる宿主細胞を提供することである。 好ましくは、本発明の宿主細胞は、真核生物細胞であり、特に真菌細胞、例え ば酵母または糸状真菌の細胞である。特に、この細胞 は、トリコデルマ属の種、好ましくはT.ハジアナム(T.harzianum)もしくはT.イ エセイ(T.Yeesei)、またはアスペルギルス属の種、最も好ましくはA.オリゼまた はA.ニガーである。真菌細胞を、プロトプラスト形成、プロトプラストの形質転 換、および細胞壁の再生からなる周知の工程によって、形質転換することができ る。宿主微生物としてのアスペルギルス属の使用は、EP238023(Novo Nordisk A/ S)に記載されていて、その内容を引用して本文に組み込む。宿主細胞はまた、酵 母細胞、例えばサッカロミセス属(Saccharomyces)の種の菌株、特にS.セレビシ エ(S.cerevisiae)、S.クルベリ(S.kluyveri)もしくはS.ウバルム(S.uvarum)、 シゾサッカロミセス属(Schizosaccharomyces)の種の菌株、例えばS.ポンベ(S.po mbe)、ハンセヌラ属(Hansenula)の種の菌株、ピキア属(Pichia)の種の菌株、ヤ ロウイア属(Yarrowia)の種の菌株、例えばY.リポリチカ(Y.lipolytica)、または クルベロミセス属(Kluyveromyces)の種の菌株、例えばK.ラクチス(K.lactis)で もよい。 宿主細胞の内在性amyR遺伝子を欠失させるか、または他の方法によって不活性 化させてもよい。異種性プロモーターによるamyRの制御を導入すると、αアミラ ーゼプロモーターの完全に新しい制御機構が形成される。例えば、もしamyRをA. オリゼのniaDのプロモーターに連結すると、αアミラーゼプロモーターは、硝酸 によって誘導される様になる。もし、niaDのプロモーターの代わりに、a palC制 御性(palC-regulated)プロモーターを用いると、αアミラーゼプロモーターの活 性は、pHによって制御される様になる。 本発明はまた、注目のポリペプチドを生産する方法で、前記因子および注目の 前記ポリペプチドの生産を誘導する条件下に、前記宿主細胞を増殖させて、そし て注目の前記ポリペプチドを回収するという方法を含んでいる。 形質転換された宿主細胞を培養するために用いる培地は、問題の宿主細胞の増 殖に適する通常のいずれの培地でもよい。発現される注目のポリペプチドは通常 培地中に分泌され、そしてこれを、周知の方法によって回収することができる。 この方法には、遠心または濾過によって培地から細胞を分離すること、硫酸アン モニウムなどの塩によって培地中タンパク質成分を沈殿させること、これに続き クロマトグラフィー法、例えばイオン交換クロマトグラフィー、または親和性ク ロマトグラフィーなどを行うことが含まれる。 本発明の方法を、注目のポリペプチドとしての医薬用ポリペプチド、特に成長 ホルモン、インスリン、および血液凝固因子などの医薬用ポリペプチドを生産す るために、用いることができる。 また本発明の方法を、工業用酵素、例えばプロテアーゼ、リパーゼ、アミラー ゼ、グルコアミラーゼ、オキシドレダクターゼ、カルボヒドラーゼ、カルボニル ヒドロラーゼ、セルラーゼ、エステラーゼなどの生産のために、用いることがで きる。 本発明の別の点として、前記転写因子を、糸状真菌、例えばアスペルギルス属 、トリコデルマ属、ペニシリウム属、フサリウム属およびヒュミコラ属などの真 菌、特にA.オリゼ、A.ニガー、A.アワモリなどの種、そして特にはA.オリゼにお いて、注目のポリペプチドの発現を促進させるために、用いることができる。 よって本発明の転写因子を用いて、医薬用ポリペプチド、例えば成長ホルモン 、インスリン、および血液凝固因子などの発現を促進させることができる。 また本発明の転写因子を用いて、工業用酵素、例えばプロテアーゼ、リパーゼ 、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、オキシドレダクターゼ、カルボヒドラーゼ、 カルボニルヒドロラーゼ、セルラーゼ、エステラーゼなどの発現を促進させるこ とができる。 また本転写因子を用いて、αアミラーゼプロモーター内の転写因子結合配列を 同定することができる。これは、例えば、以下の様にして行うことができるだろ う。AmyRのDNA結合ドメイン、例えばジンクフィンガー(zinc finger)を融合させ たGST-融合タンパク質を作成して、大腸菌に生産させる。この様な融合タンパク 質を、市販のキット、例えばPharmacia社のGST Gene Fusion Kitを用いて便利に 作成することができる。それから、精製したGST-融合タンパク質を用いて、イン ビトロでおこなう通常の技法、例えばゲルシフトアッセイまたはDNAフットプリ ント分析を行うことができる(Kulmburg,P.et al.(1992)Molecular and Cellular Biology 12,1932-1939;Lutfiyya,L.L.and Johnston,M.(1996)Molecular and Ce llular Biology 16,4790-4797)。AmyRの結合部位を同定することによって、通常 はAmyRによって制御されていない他のプロモーターに、これらの配列を挿入でき る様になるだろう。 材料と方法 ハイブリダイゼーション: ヌクレオチドプローブと本発明の類似DNA配列との間のハイブリダイゼーショ ンを決定するために適するハイブリダイゼーション条件は、以下に記載するとお りでよい。用いるオリゴヌクレオチドプローブは、配列番号1のDNA配列の、転 写因子コード部分に相当するDNA配列であり、すなわち配列番号1のヌクレオチ ド1691..2676+2743..3193+3278..3653、またはその断片、例えば配列番号1のヌ クレオチド1770-1800である。 ハイブリダイゼーション条件: ヌクレオチドプローブと相同なDNAまたはRNA配列との間のハイブリダイゼーシ ョンを決定するために適するハイブリダイゼーション条件は、ハイブリダイズす るDNA断片またはRNAを転写したフィ ルターを、5x SSC(標準クエン酸塩生理食塩水)中に、前もって10分間浸すこと 、5x SSC,5xデンハルト溶液,0.5% SDSおよび100μg/ml変性分断サーモン精子 DNAからなる溶液(Sambrook,et al.前出参照)中で、フィルターをプレハイブリ ダイゼーションすること、続けてランダムプライマーで32P-dATPラベルしたプロ ーブ(比活性>1x109cpm/μg)(Feinberg,A.P.and Vogelstein,B.(1983)Anal.Bioc hem.132,6-13)を含んだ同溶液中で、12時間、約65℃でハイブリダイゼーション すること、を含んでいる。それからフィルターを、2x SSC,0.5% SDS中で、30分 間2回、好ましくは50℃以下、より好ましくは55℃以下、より好ましくは60℃以 下、より好ましくは65℃以下、さらにより好ましくは70℃以下、特には75℃以下 で洗う。 これらの条件下で、ヌクレオチドプローブがハイブリダイズする分子を、Phos pho Image detectorで検出する。 免疫交差反応性: 免疫交差反応性を決定するために用いる抗体を、精製した転写因子を用いて調 製することができる。より詳しく述べると、N.Axelsen et al.,A Manual of Qua ntitative Immunoelectrophoresis,Blackwell Scientific Publications,1973,C hapter 23またはA.Johnst one and R.Thorpe,Immunochemistry in Practice,Bla ckwell Scientific Publications,1982,pp.27-31に記載された方法によって、ラ ビットまたは謳歯類を免疫して、本発明の転写因子に対する抗血清を作ることが できる。例えば、塩析(硫酸アンモニウム)を行い、続いて透析して、そしてイ オン交換クロマトグラフィー、例えばDEAEセファデックスにかけて、抗血清から 精製したイムノグロブリンを得ることができる。タンパク質の免疫化学的特性を 、オクタロニー二重拡散分析法(O.Ouchterlony,Handbook of Experimental Immu nology(D.M.Weir,ed.),Blackwell Scientific Publications,1967, pp.655-706)、交差免疫電気泳動法(N.Axelsen et al.前出Chapters 3 and 4)、 またはロケット免疫電気泳動法(N.Axelsen et al.前出Chapter 2)によって決定 することができる。 実施例 実施例1 A.オリゼからのamyRの転写因子のクローニング: 両方ともTAKAアミラーゼプロモーターの調節下にある2つの異なるタンパク質 の発現が不可能になったA.オリゼの変異株の補完から、amyRをクローニングした 。TAKAプロモーターの調節下にある、リパーゼ(HLL)をコードするcDNA、および 自身のプロモーターから転写されるTAKAアミラーゼ遺伝子1コピーを含んでいる 菌株SRe440を突然変異誘発して、A.オリゼの変異株ToC879を作成した。 アミラーゼ陰性の表現型(amylase-)を示す変異体から、続けてリパーゼ陰性の 表現型(lipase-)を示す変異体を同定単離した。 菌株ToC879は、両方の発現カセットの完全なコピーを含んでいる。アミラーゼ 陰性表現型によって、ToC879は、唯一の炭素源として1%シクロデキストリンを 含んでいるプレート上で増殖できなくなり、一方親株のSRe440は、このプレート 上で増殖する。 ToC879をDSMに寄託した(DSM No.10671)。 A.オリゼのコスミドライブラリー、および、自律複製するpHelp1を基にして作 成した、glufosinate耐性を付与するストレプトミセス・ハイグロスコピカス(St reptomyces hygroscopicus)のbar遺伝子を保持しているプラスミド(D.Gems,I.L .Johnstone and A.J.Clutterbuck(1991)Gene 88,61-67)を用いて、ToC879を同時 形質転換することによって、amyRを単離した。唯一の炭素源としてシクロデキス トリンを含んでいるプレート上での選択性が回復した形質転換体 を、同時にリパーゼ陽性表現型への回復に関してスクリーニングした。 この形質転換を引き起こしたDNAを、シクロデキストリンのプレート上で増殖 したコロニーから回収した。これをサブクローニングして、ToC879の両表現型を 補完することができる4.3kb DNA断片を単離した。この断片上の当該遺伝子を、a myRと名付けた。 pHelp1の誘導体であるpMT1657の作成: 次の4つの断片を連結することによってプラスミドpMT1612を作成して、その 後大腸菌DH5αを形質転換した。 i) SphI/XbaIで切断した大腸菌ベクターpToC65(EP531372に記載されている) ii) SphI/BamHIで切断した、A.ニデュランスのamdSのプロモーターを有するPCR 断片 iii) pBP1TをBamHI/XhoIで切断して得た、bar遺伝子を有する0.5kbの断片(B.Sta ubinger et al.(1992)Fungal Genetics Newsletter 39,82-83)、および iv) pIC AMG/Term(EP Application No.87103806.3)をXhoI/XbaIで切断して得た 、A.ニガーのグルコアミラーゼの転写ターミネーターを有する0.7kbの断片 amdSのプロモーターを有するPCR断片は、鋳型DNAとしてプラスミドpMSX-6B1(M .E.Katz et al.(1990)Mol.Gen.Genet.220,373-376)、プライマーとして2つのオ リゴヌクレオチド、4650(配列番号4)および4561(配列番号5)を用いて作成 した。 pMSX-6B1は、amdSプロモーターのアップ変異(up mutation)I666を有する。 HindIIIで切断して、脱リン酸化したpMT1612を、pHelp1からHindIIIで切断し て得た、AMA1配列を有する5.5kb断片に連結した。できたプラスミドpMT1657は、 アスペルギルス属において自己複製でき、そして増加したglufosinate耐性によ って選択することができる。図1にpMT1657を示すが、ここでPamdSは、前記ii) のamdSプロモーターの断片、barは、前記iii)の断片、そしてTamgは、前記iv) の断片を表す。 コスミドライブラリーの作成: SuperCos1 cosmid vector kit(Stratagene Cloning Systems,LaJolla CA,USA) を用いて、この取扱説明書に従って、A.オリゼのコスミドライブラリーを作成し た。 標準の方法によって(Christensen,T.et.al.(1988)Biotechnology 6,1419-1422 )作成したプロトプラストから、A.オリゼIF04177のゲノムDNAを調製した。 プロトプラストを分離してから、LabofugeT(Heto)によって2500rpmで5分間遠 心して、これをペレットにした。次にこのペレットを、前記キットの説明書の記 載どおり10mM NaCl,20mMトリス塩酸(pH 8.0),1mM EDTA,100μg/mlプロテイ ナーゼKおよび0.5% SDSに縣濁した。その後、この説明書に従ってDNAを調製し た。 CHEFゲル装置(Bio-Rad Laboratories,Hercules CA,USA)を用いて、1%アガロ ースゲル内で、10-50秒間の200ボルトのパルスをかけて、20時間電気泳動を行い 、ゲノムDNAのサイズを決定した。ゲルをエチジンブロマイドで染色し、写真を 撮った。DNAのサイズは、50-100kbであった。このDNAをSau3Aで部分的に切断し た。前記と同じにCHEFゲル分析を行ったところ、切断したDNAのサイズは20-50kb であった。塩化セシウム勾配にかけ、バンドになったSuperCoslベクターを、説 明書に従い調製した。説明書どおりに、ライゲ ーションおよびパッケージングを行った。 ライブラリーの力価を決定した後、パッケージング混合液すべてを、宿主細胞 XL1-BlueMRにトランスフェクションして、そして50μg/mlアンピシリン含有のL Bプレート上にまいた。約3800コロニーが得られた。10コロニーから調製したコ スミド調製品は、全て予想したサイズの挿入断片を有することがわかった。個別 に拾ったコロニーを、100μlLB(100μg/mlアンピシリン含有)が入ったマイク ロタイタープレートのウエルに接種して、37℃で一晩放置した。各ウエルに、50 %グリセロール100μlを加え、全ライブラリーを−80℃で凍結した。合計3822 コロニーを保存した。 これは、A.オリゼのゲノムの約4.4倍を示す。コロニーを拾った後に、プレー トをかきとり、かきとったものをプールした。そしてこの全ライブラリーをまた 4つのプールに分けて、凍結グリセロール保存した。この4つのプールを、ToC9 01-ToC904とした。 マイクロタイタープレートの半分に合わせた6列8ピンの多重ピン装置を用い て、個別に凍結したライブラリーのコロニーを、LBプレート(100μg/mlアンピ シリン含有)に接種した。ライブラリーの全クローンから、コロニーを接種した プレートを作成した。 プレートを37℃で一晩放置した。ペトリ皿のサイズに切って、滅菌したワット マン540フィルターを、コロニーの上にのせて、さらに2時間37℃で放置した。 このフィルターを、200μg/mlクロラムフェニコールを含有したLBプレートに転 写し、このプレートを37℃で一晩放置した。 翌日、フィルターを、0.5M NaOHで5分間2回、それから0.5Mトリス塩酸(pH 7 .4)で5分間2回、それから2x SSCで5分間2回洗った。フィルターをエタノー ルに浸し、空気中で乾燥させた。 amyRクローンの選択: ToC901-904からコスミドDNAを調製して、これをpMT1657と一緒に導入して、To C879を同時形質転換した。形質転換の方法は、EP Application No.87103806.3に 記載されている。約8700の形質転換体を、浸透圧安定化のための1Mスクロース、 および10mM(NH4)2SO4を含んだ最小培地プレート(Cove D.J.(1966)BBA113,51-56) において、1mg/ml glufosinateに対する耐性から選択した。 ランダムに選択した10個の形質転換体を、同タイプのプレート上でもう一度分 離した。この10個の形質転換体からの分生子(conidiospores)を、1mg/ml glufos inateを含んだ最小培地に接種し、DNA調製に十分な菌糸体が集められるまで、30 ℃で生育した。T.Christ ensen et al.(前出)の方法で、DNAを調製した。 切断していないDNAを、0.7%アガロースゲルにのせて電気泳動し、続いてサザ ンブロットを行った。SuperCoslに特異的な、32P標識したDNA断片を用いて、こ のブロットをハイブリダイズした。10個の各形質転換体は、直鎖の染色体DNAよ り大きな移動度のバンドを示した。各バンドはまた、pHelp1特異的なプローブに もハイブリダイズした。このことは、コスミドライブラリーの同時形質転換頻度 は100%に近く、そしてコスミドは、自律複製ベクターpHelp1内に組み込まれたこ とを示した。 この形質転換体は、pHelp1による形質転換体から予測されたように、不安定で あった。glufosinate耐性のコロニーから得られた分生子の10%未満が、glufosi nate耐性の子孫を生じた。 全形質転換体から分生子を集め、8個のプールに分け、1mg/ml glufosinate,1 0mM(NH4)2SO4および1%b-シクロデキストリン(Kleptose from Roquette Freres,6 2136 Lestem,France)を含んだ最小培地プレート(Cove D.J.前出)にまいた。 1つのプールから4コロニーを、別の1つのプールから1コロニ ーを得た。最初のプールからの2コロニーを、同タイプのプレート上で再度分離 した。 再分離したコロニーの分生子を、炭素源としてグルコースまたはシクロデキス トリンを含んだプレート、およびglufosinateを含んだプレート上にまいた。glu fosinate耐性およびシクロデキストリン中での増殖能の表現型は、どちらも同程 度に不安定であった。これは、形質転換体において、シクロデキストリン中での 増殖能を付与する遺伝子は、物理的にpMT1657に連結されていることを示した。 再分離したプレートからコロニーを切り出して、抗HLLリパーゼ抗体を用いて 、ロケット免疫電気泳動(RIE)で分析した。これらの形質転換体は、この抗体に 対して明らかに反応したが、マルトース中で増殖するToC879は、反応しなかった 。このことから、アミラーゼの発現(すなわちシクロデキストリン中での増殖) およびリパーゼの発現(すなわち抗体との結合)の両方が、これらの形質転換体 において回復していたことが結論された。この表現型を起こす原因遺伝子を、am yRと名付けた。 amyR遺伝子の単離: 2つの異なる方法を用いて、アミラーゼ陽性およびリパーゼ陽性を示す、ToC8 79の形質転換体から、amyR遺伝子を回収することに成功した。 炭素源としてシクロデキストリンを含んだ最小培地中で増殖させた菌糸体から DNAを調製した。 最初の方法では、総DNAから元のコスミドを回収するために、St -heads)にパッケージングした。キットに明記された条件で、パッケージング反 応液を、大腸菌XL1-BlueMRに混ぜた。この大腸菌を、 50μg/mlアンピシリンを含んだLBプレートにまいた。プレート上に2つのコロ ニーが出現した。それらが保持するコスミドは同一で、このコロニーをToC1012 と名付けた。 2番目の方法では、総DNAを用いて、コンピテントな大腸菌DH5a細胞を形質転 換した。16コロニーが単離されて、異なる6プラスミドが含まれていることが、 制限酵素切断の結果から示された。各プラスミドをEcoRIで切断して、サザンブ ロット分析を行った。32P標識したpMT1657およびSuperCos1の混合物をプローブ として、これらのベクターのいずれの部分でもないDNA断片を同定した。長さ約0 .7kbおよび1.2kbの2つのEcoRI断片は、これらのいずれのプローブにもハイブリ ダイズしなかった。1.2kb断片を単離し、32Pで標識した。これをプローブとし て用い、当該形質転換体が得られたコスミドライブラリー部分を転写したフィル ターを、ハイブリダイズした。約1000クローンが含まれているToC904プールから 、6コスミドがハイブリダイズした。 制限酵素切断の結果から、このうちのいくつかは同一であることが示されたの で、異なる4コスミドを単離した。 全てのコスミドは、少なくとも同様にTAKAアミラーゼ遺伝子の部分を含んでい た。この4つのコスミドおよびコスミドToC1012を、pMT1623と一緒に用いて、To C879を同時形質転換した。pMT1623は、pUCを基にしたプラスミドで、A.オリゼの tpiプロモーターの調節下にbar遺伝子を保持している。各々の同時形質転換から 、glufosinate耐性によって、15個の形質転換体を単離し、そしてシクロデキス トリン中での増殖能をテストとした。 ToC1012から得られた8個の形質転換体、および他の1つのコスミド41B12から 得られた3個の形質転換が、増殖可能であった。他のコスミドからの形質転換体 は、いずれも増殖しなかった。ToC101 2および41B12からの形質転換体の全てが増殖しないことは、各実験の同時形質転 換頻度を反映していると思われる。シクロデキストリン中で増殖した形質転換体 のコロニーを、ロケット免疫電気泳動(RIE)によって分析したところ、これら は全てリパーゼを生産することがわかった。 コスミドからamyRをサブクローン化するために、41B12をBglII、HindIIIまた はPstIによって切断し、得られたDNA断片をpUC19にクローン化した。このサブク ローンを用いてToC879を形質転換し、この形質転換体について、前記どおりに、 シクロデキストリン中での増殖能およびリパーゼ生産能を分析した。1つのプラ スミド、pToC316(図2)が、約9kbのHindIII断片を含んでいて、これにamyRが 含まれていることが確認された。 これをサブクローニングして、4.3kb HindIII/SacI断片を含んでいるプラスミ ドpToC320を作った。これを図3に示す。続いてサブクローニングおよびプライ マー歩行を行い、ABI社のDNAシークエンサーでこのDNA配列を決定した。 配列番号1に、amyR遺伝子を含んでいる3980bpのDNA配列を示す。推定したア ミノ酸配列を、配列番号3に示す。アミノ酸28-54間には、Ga14タイプのジンク フィンガー(zinc finger)配列が確認された。この配列は、DNAに結合することが 知られている(Reece,R.J.and Ptashne,M.(1993)Science 261,909-910)。 amyRが、アミラーゼ特異的DNA断片を含んでいるコスミドから単離されたこと から、IF04177では、amyRは、3つのアミラーゼ遺伝子の中の1つの近くにある ことがわかる。コスミドのマッピングから、αアミラーゼ遺伝子とamyRとは、5- 6kb離れていることが示された。ゲノムDNAのサザンブロット分析から、IFO4177 には、amyRは1コピーあるだけで、それは1つのアミラーゼ遺伝子の近くにあ ることが確認された。 amyRのcDNA分析: Wahleithner,J.A.et al.(1996,Curr.Genet.29,395-403)の方法によって、αア ミラーゼの生産に有利な条件下で、マルトース含有培地中で増殖させたA.オリゼ の培養から、mRNAを調製した。 標準の方法によって作成した二本鎖cDNAを鋳型として、次のプライマーを用い てPCR反応した。 プライマー20866および23087を用いたPCR反応から、約1.1kbの断片が得られた 。EcoRIおよびHindIII(プライマーに、これらの制限部位を組み込んでいた)に よってこの断片を切断し、同酵素で切断したベクターpUC19にクローン化した。 このプラスミド内の挿入断片の配列を決定したところ、当該遺伝子のこの配列 部分にイントロンがあることがわかった。このイントロンは、配列番号2に示さ れている。 オリゴdTプライマーおよびプライマー20866を用いた別のPCR反応からは、明確 な断片が得られなかった。この反応液の一部を鋳型として、オリゴdTプライマー およびプライマー20865を用いて、新たに反応を行い、約1.1kbの断片を得た。こ の断片を、EcoRIおよびHindIIIで切断してpUC19にクローン化した。 決定した配列から、この断片は、amyRの3'部分を含むこと、およびもう一つの イントロンがあることが示された。これも、配列番号2に示されている。3'末端 について、3つの独立のプラスミドの配列を決定した。2つのポリA付加部位が 、塩基3827および塩基3927 に位置することが確認された。 実施例2 amyR陰性株における、グルコアミラーゼ合成の定量: A.オリゼは、glaA遺伝子にコードされるグルコアミラーゼを生産する。これは 、αアミラーゼの場合と同じ物質によって制御されている(Y.Hata et al.(1992 )Curr.Genet.22,85-91)。amyRが、glaAの制御にも関与するかどうか見るために 、amyR陰性株ToC879および、ToC879の直接の親株であるamyR野生型株SRe440を、 グルコアミラーゼが誘導される条件下に培養して、その合成を測定した。 各菌株の分生子を、YPM(2%マルトース含有YP)10mlに接種して、30℃で4日間 増殖させた。上清を集め、グルコアミラーゼによって切断されると黄色に変わる 基質であるp-ニトロフェニルαD-グルコピラノシドと混ぜて、グルコアミラーゼ 含有量を測定した。この方法では、発酵ブロス0.5mlを、1mg/mlの基質を含む0.1 M酢酸ナトリウム(pH4.3)1mlと混ぜる。サンプルを室温で3時間放置した後、0.1 M Na2B4O7 1.5mlを加えた。黄色を、分光光度計にて400nmの吸光で測定した。対 照のサンプルは、最初に上清をほう酸塩と混ぜてから、基質溶液と混ぜることで 作った。この結果(反応サンプル値−対照サンプル値(OD units))を以下に示す 。 SRe440:0.655 ToC879:0.000 ToC879から得たサンプルでは、全く吸光が観察されなかった。このことは、A. オリゼにおいて、グルコアミラーゼの合成には、AmyR転写因子の発現が必要であ ることを示す。 実施例3 AmyRの過剰発現: A.オリゼのtpi遺伝子のプロモーターと連結したamyRのコード領 域および3'非コード配列を含んでいる、プラスミドpToC342を作成した。tpi遺伝 子は、トリオースリン酸イソメラーゼをコードしていて、これは構成的に発現さ れていて、基本代謝に関与する酵素である。A.オリゼのtpi遺伝子を、McKnight, G.L.et al(1986,Cell 46,143-147)の方法に従って、A.ニデュランスのcDNAクロ ーンとのクロスハイブリダイゼーションによって単離した。配列を決定して、構 造遺伝子を同定した。プロモーターとして、コード領域の直上流の約700bpの断 片を用いた。pToC342は、ToC879の変異を補完することができた。さらにA.オリ ゼのpyrG遺伝子を、pToC342に導入し、プラスミドpToC359を作成した。できたプ ラスミドによって、JaL228のpyrG変異株であるJaL250を形質転換した。前記変異 株は、特許出願DK1024/96(Filing date1996-09-19)に記載されている。pToC359 の多重コピーを有する菌体では、グルコアミラーゼの合成レベルが増加している ことがわかった。 pToC342およびpToC359の作成: 鋳型としてpToC320、および以下のプライマーを用いて、PCR反応を行った。 できた断片をEcoRI/ApaIで切断し、生じた約180bpの断片を、EcoRI/ApaIで切 断したpToC320にクローン化した。できたプラスミドpToC336の配列を決定して、 PCR断片が完全であることを確認した。pToC336の2.6kbのBamHI/SacI断片は、amy Rのコード領域および3'非コード配列を含み、この断片と、tpiプロモーターを含 有する約700bpのEcoRI/BamHI断片とを、EcoRI/SacIで切断したpUC19にクローン 化した。tpiプロモーターの下流のBamHI部位は、インビトロに作成導入されたも ので、一方EcoRI部位は、元々のtpiクロ ーンに内在しているものである。できたプラスミドpToC342をHIndIIIで切断した 後、脱リン酸化して、これをA.オリゼのpyrG遺伝子を含有する1.8kbのHindIII断 片に連結した。できたプラスミドをpToC359と名付けた。pToC342およびpToC359 の両方の構造を、図4に示す。ここで、Ptpiは、tpiプロモーターを表し、そし てTamyRは、amyRの3'非コード領域を表す。pyrG遺伝子のクローニングは、WO95/ 35385に記載されている。 A.オリゼJaL250における発現 JaL250は、5-フルオロオロト酸耐性によって選択された、JaL228のpyrG変異体 である。JaL228は、特許出願DK1024/96(Filing Datel996-09-19)に記載されてい る。標準の方法でpToC359によって形質転換し、ウリジン要求性からの回復に関 して選択して、JaL250を得た。この形質転換体を、分生子を経て、2回再選択し て、それから2%マルトース含有のYP培地中で、4日間30℃で増殖させた。分泌さ れたグルコアミラーゼを、p-ニトロフェニルαD-グルコピラノシドを切断する能 力によって測定した。この形質転換体の発酵ブロスでは、5-31の任意グルコアミ ラーゼ単位/mlを示したが、JaL228では、2-3単位/mlであった。最良の形質転換 体を、ToC1200と名付けた。サザン分析の結果、pToC359の多重コピーが、ToC120 0のゲノム内に組み込まれていることが明らかにされた。αアミラーゼプロモー ターを有する発現プラスミドにとって、ToC1200を、宿主株として用いることは 有利であるだろう。 実施例4: 炭素代謝産物による、TAKAアミラーゼプロモーターの抑制 TAKAアミラーゼのプロモーターは、炭素代謝産物によって抑制を受ける。アス ペルギルス属では、炭素代謝産物による抑制は、少なくとも部分的には、転写抑 制因子CreAによって仲介される。これは 、S.セレビシエのMIG1の相同物である。CreAによって調節されるプロモーターの DNA結合部位は、GCに富み、表面的にはS.セレビシエのMIG1部位と同一であるこ とが知られている。TAKAアミラーゼのプロモーターには、いくつかの潜在的CreA 結合部位がある。このプロモーターが、炭素代謝産物による抑制に関与している かどうか決めるために、3つのこの部位を変異させたが、炭素代謝産物による抑 制の解除は部分的であった。これとは対照的に、レポーター遺伝子に共役させた この修飾プロモーターを含んでいる菌体に、構成的に発現するAmyRのコピーを導 入すると、レポーターの抑制は、完全に解除された。 CreA部位を欠失したTAKAアミラーゼのプロモーターの作成: TAKAアミラーゼのプロモーターでは、既知のCreA部位とMIG1部位との比較から 、3つの部位が、潜在的なCreA結合部位として同定された。これらの部位は、次 の配列を有する。 下線の塩基をAに変えた。この変異は、MIG1結合部位を、機能しなくすること が知られている。標準的な部位特異的突然変異誘発法によって、置換を行った。 この修飾プロモーターと、A.ニガーのグルコアミラーゼの3'非翻訳配列とを有す る発現ベクターpToC297を作成した。pToC297は、プロモーターの変異以外は、WO 91/17243に記載されているpToC68と同一である。両プラスミドは、プロモーター とターミネーターとの間に、唯一のBamHI部位を有する。 CreA陰性TAKAアミラーゼプロモーターによって制御されるリパーゼの発現: ヒュミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)のリパーゼをコ ードするcDNAを有する約950bpのBamHI断片を、pToC297にクローン化した(H.ラ ヌギノサのリパーゼのクローニングおよび発現は、以前にEP3052l6に記載されて いる)。できたプラスミドpToC298と、A.ニデュランスのamdS遺伝子との同時形 質転換によって、A.オリゼIF04177を形質転換した。この構造を図5に示す。こ こで、Ptaka-creAは、CreA結合部位を欠失したTAKAアミラーゼプロモーターを表 す。形質転換体を、分生子を経て2回再単離して、この中からリパーゼを生産す る1つの形質転換体ToC1075を、次の評価のために選択した。 ToC1075、および、野生型TAKAアミラーゼプロモーターに連結されたリパーゼ を含んでいるIF04177のp960形質転換体(以前EP 305216に記載されている)を、 2%または10%グルコースを含んでいるYP培地10ml中で、30℃で増殖させた。発 酵ブロスから、毎日サンプルを取り、リパーゼの分析を行った。精製したリパー ゼに対するポリクローナル抗体を用いて、ロケット免疫電気泳動によって、リパ ーゼ含有量を測定した。A.オリゼIF04177の発酵ブロスは、この抗体と反応しな かった。発酵ブロス中のグルコース含有量を、同様にして毎日、Lilly社のTes-t apeを用いて測定した。 1日目、全ての培養においてグルコースが検出された。しかし2日目では、元 々10%含んでいる培養においてのみ、グルコースが検出された。リパーゼ生産の 結果を図6に示す。これから、野生型プロモーターは、グルコースがなくなるま で、抑制されることが示唆される。よってグルコースが使い尽くされた時に、リ パーゼの蓄積が始まる。図6からまた、10%グルコース中で発酵する場合に、こ の修飾プロモーターは厳密には制御されないで、グルコース存在下に低レベルの リパーゼが生産されることが示される。すなわち、ToC1075では、部分的なグル コース抑制が見られる。 ToC1075における炭素代謝産物によるリパーゼの抑制の、pToC342による解除: pToC342と、bar含有プラスミドpMT1623との同時形質転換によって、ToC1075を 形質転換した。pToC342の多重コピーを含んでいて、そしてリパーゼの発現カセ ットを保持する菌株を、サザンブロット分析によって同定した。この様な1つの 菌株をToC1139と名付けた。ToC1075およびToC1139を、2%または10%グルコー スを含んだYP培地10ml中で、30℃で増殖させて、そしてサンプルのリパーゼおよ びグルコースを、毎日分析した。パラニトロフェニル酪酸の切断によって、リパ ーゼを測定した。Lilly社のTes-tapeによって、グルコース含有量を測定した。 結果を図7に示す。これから、前記同様、ToC1075では、グルコースによる抑制 の解除は部分的であり、一方ToCl1139によるリパーゼ生産は、グルコースの存在 に無関係であることが示される。 実施例5 A.ニガーのamyR遺伝子のサザン分析: A.ニガーにおいて、αアミラーゼおよびグルコアミラーゼの合成は、A.オリゼ の場合と同様、炭素源によって制御される。よって、A.ニガーもまた、amyR遺伝 子を含んでいると思われる。A.オリゼのamyR遺伝子と、A.ニガーの染色体DNAと の間のクロスハイブリダイゼーションを調べることによって、この仮説を検証し た。 通常の方法によって、A.ニガーからDNAを調製した。このDNAを、BamHI,BglII ,EcoRI,HindIII,SalI,XmaIまたはXbaIによって切断し、生じたDNA断片をア ガロースゲル電気泳動によって分離した。DNAを、ニトロセルロース膜に転写し 、そしてA.オリゼのamyRの構造遺伝子の部分を32P標識したプローブによってハ イブリダイズした。このプローブは、pToC320をPCRで増幅して作られたもの で、そして、配列番号1の塩基1683から塩基2615までのものである。ハイブリダ イゼーションは、10xデンハルト溶液,5x SSC,10mM EDTA,1% SDS,0.15mg/ml polyA,0.05mg/ml酵母tRNA中で、50℃で一晩行った。ハイブリダイゼーション後 、ストリンジェント性(stringency)を増加させながら、膜を洗い、そして膜の放 射活性をPhospho Imagerで解析した。膜を2x SSC,0.1% SDS中で、58℃で洗った 場合の結果を、図8に示す。いくつかの制限酵素を用いた場合に、単一バンドが 見られる。よって、このクロスハイブリダイゼーションの結果に基づいて、A.ニ ガーのamyR遺伝子をクローン化することができる。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成10年8月13日(1998.8.13) 【補正内容】 請求の範囲 1.糸状真菌において、αアミラーゼプロモーターによって開始される発現を 制御する転写因子。 2.アスペルギルス属(Aspergillus)、トリコデルマ属(Trichoderma)、ペニシ リウム属(Penicillium)、フサリウム属(Fusarium)およびヒュミコラ属(Humicola )などの真菌に由来する、請求項1の因子。 3.A.オリゼ(A.oryzae)、A.ニガー(A.niger)、A.アワモリ(A.awamori)の種、 特にA.オリゼIF04177に由来する、請求項2の因子。 4.配列番号3のアミノ酸配列を含んでいる前記因子の短縮型(truncated for ms)を1つまたは複数含んでいる、請求項3の因子。 5.請求項1−4のいずれかの因子をコードするDNA配列を有するDNA構成体。 6.配列番号1および配列番号2のDNA配列の断片を1つもしくは複数、また は前記断片の組み合わせを含んでいる、請求項5のDNA配列。 7.糸状真菌において、αアミラーゼプロモーターによる発現を制御する活性 を有する転写因子をコードするDNA配列を含んでいるDNA構成体で、前記DNA配列 が、 a)大腸菌ToC1058,DSM10666に存在するプラスミドpToC320内にクローン化され ているDNA配列内の、転写因子をコードする部分であるか、または b)i)a)に定義されたDNA配列に少なくとも60%相同であるか、または ii)a)に定義されたDNA配列と同じであるヌクレオチドプロ ーブによってハイブリダイズされるか、または iii)a)に定義されたDNA配列を含んでいるDNA配列によってコードされる転 写因子に、少なくとも50%相同である転写因子をコードするか、または iv)a)に定義されたDNA配列によってコードされる、精製された転写因子 に対する抗体と、免疫反応する転写因子をコードするか、または v)本DNA配列によって形質転換されると、DSM No.10671の変異が補完され る、すなわちDSM No.10671が、シクロデキストリン中で増殖でき、且つリパーゼ を生産できる様になる、a)に定義されたDNA配列の類似体である、 前記DNA構成体。 8.前記DNA配列が、糸状真菌から得られる、請求項5−7のいずれかのDNA構 成体。 9.前記糸状真菌が、分類群としての藻菌類(Phycomycetes)、接合菌類(Zygom ycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basidiomycetes)および不完全真菌 類(fungi imperfecti)、例えば不完全糸状菌類(Hyphomycetes)、例えばアスペル ギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、フサリウム属およびヒュミコラ属 、特にアスペルギルス属の種の株、特にA.オリゼの株、のいずれかに属する、請 求項8のDNA構成体。 10.前記DNA配列が、アスペルギルス・オリゼの株のDNAライブラリーから単離 されるか、または前記DNAライブラリーを基にして作成される、請求項9のDNA構 成体。 11.前記DNA配列が、酵母の株、特にサッカロミセス属の株から得られる請求 項5−8のいずれかのDNA構成体。 12.前記DNA配列が、大腸菌DSMI0666から単離される、請求項7 のDNA構成体。 13.請求項5−12のいずれかのDNA構成体を含んでいる、組換え発現ベクター 。 14.請求項5−12のいずれかのDNA構成体か、または請求項13の組換え発現ベ クターを含んでいる、細胞。 15.前記細胞が、真核生物の細胞、特に真菌細胞、例えば酵母細胞または糸状 真菌細胞である、請求項14の細胞。 16.前記細胞が、アスペルギルス属の種の株、特にA.ニガーまたはA.オリゼの 株である、請求項15の細胞。 17.前記細胞が、トリコデルマ属の種の株、特にT.リーセイ(T.reesei)の株で ある、請求項15の細胞。 18.前記細胞が、サッカロミセス属の株、特にS.セレビシエ(S.cerevisiae)の 株である、請求項15の細胞。 19.前記因子および注目のポリペプチドの生産を誘導する条件下に、請求項14 −18のいずれかの前記細胞を増殖させて、そして注目の前記ポリペプチドを回収 することを含んでなる、注目の前記ポリペプチドを生産する方法。 20.前記真菌が、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、フサ リウム属およびヒュミコラ属の真菌である、請求項19の方法。 21.前記細胞が、A.オリゼ、A.ニガーまたはA.アワモリの種である、請求項20 の方法。 22.注目の前記ポリペプチドが、医薬用ポリペプチドである、請求項19−21の いずれかの方法。 23.前記医薬用ポリペプチドが、成長ホルモン、インスリンまたは血液凝固因 子である、請求項22の方法。 24.前記ポリペプチドが、工業用酵素である、請求項19−21のい ずれかの方法。 25.前記工業用酵素が、カルボニルヒドロラーゼ、カルボヒドラーゼ、プロテ アーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、オキシドレダクターゼ、グルコア ミラーゼまたはエステラーゼである、請求項24の方法。 26.糸状真菌において、注目のポリペプチドの発現を促進するための、請求項 1−4のいずれかの因子の使用。 27.前記因子が、請求項4の因子である、請求項26に記載されている使用。 28.前記真菌が、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、フサ リウム属およびヒュミコラ属の真菌、特にアスペルギルス属の種の株、特にA.オ リゼの種の株である、請求項27に記載されている使用。 29.前記真菌が、A.オリゼ、A.ニガー、A.アワモリ、T.リーセイまたはT.ハー ジアナム(T.harzianum)の種である、請求項28に記載されている使用。 30.注目の前記ポリペプチドが、医薬用ポリペプチドである、請求項26−29の いずれかに記載されている使用。 31.前記医薬用ポリペプチドが、成長ホルモン、インスリンまたは血液凝固因 子である、請求項30に記載されている使用。 32.前記ポリペプチドが、工業用酵素である、請求項26−29のいずれかに記載 されている使用。 33.前記工業用酵素が、カルボニルヒドロラーゼ、カルボヒドラーゼ、プロテ アーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、オキシドレダクターゼ、グルコア ミラーゼまたはエステラーゼである、請求項32に記載されている使用。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12N 1/21 9/00 9/00 // A61K 38/00 A61K 37/02 38/27 37/36 38/28 37/26 38/43 37/465 (C12N 15/09 ZNA C12R 1:66) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:885) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:80) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:77) (C12N 15/09 ZNA C12R 1:645) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.糸状真菌において、αアミラーゼプロモーターによる発現を制御する転写 因子。 2.アスペルギルス属(Aspergillus)、トリコデルマ属(Trichoderma)、ペニシ リウム属(Penicillium)、フサリウム属(Fusarium)およびヒュミコラ属(Humicola )などの真菌に由来する、請求項1の因子。 3.A.オリゼ(A.oryzae)、A.ニガー(A.niger)、A.アワモリ(A.awamori)の種、 特にA.オリゼIF04177に由来する、請求項2の因子。 4.配列番号3のアミノ酸配列の断片を1つ以上含んでいるアミノ酸配列を有 する、請求項3の因子。 5.請求項1−4のいずれかの因子をコードするDNA配列を有するDNA構成体。 6.配列番号1のDNA配列の断片を1つか、または組み合わせて含んでいるDNA 配列を有する、請求項5のDNA配列。 7.糸状真菌において、αアミラーゼプロモーターによる発現を制御する活性 を有する転写因子をコードするDNA配列を含んでいるDNA構成体で、前記DNA配列 が、 a)大腸菌ToC1058,DSM10666に存在するプラスミドpToC320内にクローン化され ているDNA配列内の、転写因子をコードする部分であるか、または b)i)a)に定義されたDNA配列に少なくとも60%相同であるか、または ii)a)に定義されたDNA配列と同じであるヌクレオチドプローブによって ハイブリダイズされるか、または iii)a)に定義されたDNA配列を含んでいるDNA配列によってコードされる転 写因子に、少なくとも50%相同である転写因子をコードするか、または iv)a)に定義されたDNA配列によってコードされる、精製された転写因子 に対する抗体と、免疫反応する転写因子をコードするか、または v)本DNA配列によって形質転換されると、ToC879の変異が補完される、す なわちToC879が、シクロデキストリン中で増殖でき、且つリパーゼを生産できる 様になる、a)に定義されたDNA配列の類似体である、 前記DNA構成体。 8.前記DNA配列が、糸状真菌から得られる、請求項5−7のいずれかのDNA構 成体。 9.前記糸状真菌が、分類群としての藻菌類(Phycomycetes)、接合菌類(Zygom ycetes)、子嚢菌類(Ascomycetes)、担子菌類(Basid iomycetes)および不完全真 菌類(fungi imperfecti)、例えば不完全糸状菌類(Hyphomycetes)、例えばアスペ ルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、フサリウム属およびヒュミコラ 属、特にアスペルギルス属の種の株、特にA.オリゼの株、のいずれかに属する、 請求項8のDNA構成体。 10.前記DNA配列が、アスペルギルス・オリゼの株のDNAライブラリーから単離 されるか、または前記DNAライブラリーを基にして作成される、請求項9のDNA構 成体。 11.前記DNA配列が、酵母の株、特にサッカロミセス属の株から得られる請求 項5−8のいずれかのDNA構成体。 12.前記DNA配列が、大腸菌DSM10666から単離される、請求項7のDNA構成体。 13.請求項5−12のいずれかのDNA構成体を含んでいる、組換え発現ベクター 。 14.請求項5−12のいずれかのDNA構成体か、または請求項13の組換え発現ベ クターを含んでいる、細胞。 15.前記細胞が、真核生物の細胞、特に真菌細胞、例えば酵母細胞または糸状 真菌細胞である、請求項14の細胞。 16.前記細胞が、アスペルギルス属の種の株、特にA.ニガーまたはA.オリゼの 株である、請求項15の細胞。 17.前記細胞が、トリコデルマ属の種の株、特にT.リーセイ(T.reesei)の株で ある、請求項15の細胞。 18.前記細胞が、サッカロミセス属の株、特にS.セレビシエ(S.cerevisiae)の 株である、請求項15の細胞。 19.前記因子および注目のポリペプチドの生産を誘導する条件下に、請求項14 −18のいずれかの前記細胞を増殖させて、そして注目の前記ポリペプチドを回収 することを含んでなる、注目の前記ポリペプチドを生産する方法。 20.前記真菌が、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、フサ リウム属およびヒュミコラ属の真菌である、請求項19の方法。 21.前記細胞が、A.オリゼ、A.ニガーまたはA.アワモリの種である、請求項20 の方法。 22.注目の前記ポリペプチドが、医薬用ポリペプチドである、請求項19−21の いずれかの方法。 23.前記医薬用ポリペプチドが、成長ホルモン、インスリンまたは血液凝固因 子である、請求項22の方法。 24.前記ポリペプチドが、工業用酵素である、請求項19−21のいずれかの方法 。 25.前記工業用酵素が、カルボニルヒドロラーゼ、カルボヒドラーゼ、プロテ アーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、オキシドレダクターゼ、グルコア ミラーゼまたはエステラーゼである、請求項24の方法。 26.糸状真菌において、注目のポリペプチドの発現を促進するための、請求項 1−4のいずれかの因子の使用。 27.前記因子が、請求項4の因子である、請求項26に記載されている使用。 28.前記真菌が、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ属、フサ リウム属およびヒュミコラ属の真菌、特にアスペルギルス属の種の株、特にA.オ リゼの種の株である、請求項27に記載されている使用。 29.前記真菌が、A.オリゼ、A.ニガー、A.アワモリ、T.リーセイまたはT.ハー ジアナム(T.harzianum)の種である、請求項28に記載されている使用。 30.注目の前記ポリペプチドが、医薬用ポリペプチドである、請求項26−29の いずれかに記載されている使用。 31.前記医薬用ポリペプチドが、成長ホルモン、インスリンまたは血液凝固因 子である、請求項30に記載されている使用。 32.前記ポリペプチドが、工業用酵素である、請求項26−29のいずれかに記載 されている使用。 33.前記工業用酵素が、カルボニルヒドロラーゼ、カルボヒドラーゼ、プロテ アーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、オキシドレダクターゼ、グルコア ミラーゼまたはエステラーゼである、請求項32に記載されている使用。
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