JP3343567B2 - 糸状菌のエンハンサーdna塩基配列およびその用途 - Google Patents

糸状菌のエンハンサーdna塩基配列およびその用途

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糸状菌を宿主として有
用タンパク質およびペプチドを効率的に生産するために
有効な新規エンハンサーDNA塩基配列、これを導入し
たプロモーター、そのプロモーターを含む発現用プラス
ミドおよびそれを用いた有用タンパク質ならびにペプチ
ド製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】遺伝子組み換えによる有用タンパク質の
宿主としては、これまで大腸菌や酵母が主に用いられて
きた。しかし、大腸菌では、異種タンパク質を高発現さ
せた場合、菌体内に不溶性のタンパク質を形成したり、
真核生物のタンパク質に特徴的な糖鎖の付加などの翻訳
後修飾が起こらず、活性のあるタンパク質を得るために
少なからず困難を伴うという欠点がある。また、酵母で
は、糖鎖の付加は起こるが、生産量が低いという問題が
あった。
【0003】一方、糸状菌は、菌体外に各種の酵素タン
パク質を多量に分泌生産し、例えば工業的に利用されて
いるアスペルギルス・ニガーの株ではグルコアミラーゼ
を培養液1リットル当たり20g以上、また、アスペルギ
ルス・オリゼでもα−アミラーゼを固体培養で1kg当た
り50g程度生産するといわれており、セルラーゼ生産菌
であるトリコデルマ・リーセイも同レベルの酵素生産性
を有しているので、同種はもちろん異種タンパク質につ
いても高分泌生産の可能性を秘めていると期待されてい
る。また、アスペルギルス・オリゼやアスペルギルス・
ニガーなどのように醸造食品の製造や食品加工用酵素の
生産に利用されているものが多く、これらの糸状菌は各
種関係機関、例えば、アメリカ食品薬品局(FDA)に
おいて宿主として安全であると評価されており、これら
の糸状菌による有用タンパク質生産も認可されやすいと
考えられる。
【0004】このような点から、大腸菌や、酵母に代わ
る微生物として、糸状菌を遺伝子工学の宿主として、様
々なタンパク質の生産が近年報告されるようになってき
た。遺伝子工学により目的のタンパク質を生産する場
合、その生産効率は、使用するプロモーターによる転写
量、転写後の翻訳効率、発現したタンパク質の糖鎖付加
などの翻訳後修飾、遺伝子のコピー数、宿主プロテアー
ゼによるタンパク質の分解など様々な因子によって規制
されるが、まず第一に、目的タンパク質の転写量が多く
なければ、転写量以上の発現分泌は望むべくもない。こ
の観点から、いかにして強力なプロモーターを取得する
かが大きな問題となるため、糸状菌においても種々のプ
ロモーターが単離され、これらを用いて目的タンパク質
の生産が報告されている。その代表例としてアスペルギ
ルス・ニガーのグルコアミラーゼ遺伝子のプロモーター
[Biotechnology, 5, 368(1987)]、アスペルギルス・
オリゼのα−アミラーゼ遺伝子のプロモーター[Biotec
hnology, 6, 1419(1988)]、トリコデルマ・リーセイの
セロビオハイドラーゼI遺伝子のプロモーター[Biotec
hnology, 7, 596(1989)]等があげられる。
【0005】しかしながら、糸状菌の遺伝子工学に関す
る研究は、他の微生物に比べて遅れており、プロモータ
ーに関する遺伝子発現機構は、まだほとんど解明されて
おらず、ここ数年でようやく報告例が増えてきているの
が現状である。例えば、炭素源の利用に関する遺伝子の
負の発現制御に関係しているカタボライト抑制遺伝子
[Mol. Microbiol., 7, 847-857(1993)]あるいは、広
く真核生物の遺伝子発現調節領域で見い出されるCCA
AT配列の結合因子[Mol. Gen. Genet., 235, 81(199
2)]に関する研究などがあげられるに過ぎない。したが
って、糸状菌による有用タンパク質の生産は、使用する
プロモーターの本来の発現制御に依存しており、目的に
応じたプロモーターを選択して利用しているのが現状で
あり、プロモーターの発現調節力を改良してより有用な
プロモーターを取得する試みは、現在まで行われていな
い。したがって、プロモーターの改良技術が提供されれ
ば、新規高発現プロモーターを単離することなく、既存
のプロモーターを改良することにより、より有用性の高
いプロモーターが取得できるのみならず、そのプロモー
ターの発現制御も可能となり、有用タンパク質のより効
率的な生産が可能となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プロ
モーターの発現制御に関する解析、例えば、エンハンサ
ー核酸塩基配列を同定し、このエンハンサー配列の機能
を解明することにある。さらに、これを利用してプロモ
ーターを改良し、このプロモーターを用いた発現プラス
ミドを構築し、このプラスミドを用いて糸状菌を形質転
換することによるタンパク質発現系を開発することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明者らは鋭意研究を行い、アスペルギルス・オ
リゼのα−グルコシダーゼ遺伝子(agdA)のプロモータ
ーを単離し、このプロモーターの詳細な解析を行った結
果、正の発現調節に深くかかわっている新規エンハンサ
ー核酸塩基配列を見い出し、このエンハンサー配列をプ
ロモーターに複数個導入することにより、プロモーター
の転写活性の増大および炭素源に対する依存性の排除に
成功した。さらに、この改良プロモーターと選択マーカ
ーとして硝酸還元酵素遺伝子(niaD)を用いて有用タン
パク質およびペプチドを効率的に発現せしめるための新
規発現プラスミドを構築した。また、このプラスミドを
用いて糸状菌を形質転換し、有用タンパク質、例えば、
α−グルコシダーゼの高生産株、あるいは、任意の生産
性を有する形質転換体を取得することに成功し、本発明
を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、(1) 配列−CGG
NNATTTA−を含有するエンハンサーDNA塩基配
列、(2) NNがGCである(1)記載のエンハンサ
ーDNA塩基配列、(3) 配列−CCAATCAGC
GT−を含有するエンハンサーDNA塩基配列、(4)
(1)または(3)記載の配列を含有するエンハンサ
ーDNA塩基配列、(5) NNがGCである(4)記
載のエンハンサーDNA塩基配列、および(6)
(1)または(3)記載のエンハンサーDNA塩基配列
を、1個または複数個、糸状菌で機能するプロモーター
領域に導入したことを特徴とする改良プロモーター、
(7) プロモーター領域が糸状菌由来の加水分解酵素
遺伝子、または、解糖系酵素遺伝子のプロモーター領域
である(6)記載の改良プロモーター、(8) プロモ
ーター領域が、配列番号:2で示されるアスペルギルス
・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来のα−グルコシダ
ーゼ遺伝子のプロモーター領域、あるいは、その部分配
列を含むプロモーター領域である(6)記載の改良プロ
モーター、ならびに(9) (6)記載の改良プロモー
ターを有し、宿主糸状菌の形質転換体の選択に好適なマ
ーカー遺伝子を有し、ターミネーターを有し、大腸菌で
複製可能なDNA領域を有する、糸状菌におけるポリペ
プチド発現用プラスミド、(10) マーカー遺伝子が
糸状菌由来の硝酸還元酵素遺伝子、オルニチンカルバモ
イルトランスフェラーゼ遺伝子、トリプトファンシンタ
ーゼ遺伝子、またはアセトアミダーゼ遺伝子である
(9)記載のプラスミド、(11) マーカー遺伝子
が、アスペルギルス属由来の硝酸還元酵素遺伝子である
(9)記載のプラスミド、(12) ターミネーター
が、配列番号:3で示されるアスペルギルス・オリゼ由
来のα−グルコシダーゼ遺伝子のターミネーター、ある
いは、その部分配列を含むターミネーターである(9)
記載のプラスミド、(13) ポリペプチドをコードす
るDNAをプロモーターおよびターミネーターの間に有
する(9)記載のプラスミド、さらに(14) (1
3)記載のプラスミドを糸状菌に導入し、得られた形質
転換体を培養することよりなるポリペプチドの製造法。
を提供する。なお、特許請求の範囲および発明の詳細な
説明に記載の配列中、Nはヌクレオチドを示し、Aはア
デニン、Tはチミン、Cはシトシン、Gはグアニンを表
す。また、本明細書においては、これらの配列におい
て、左側が5’末端側、右側が3’末端側として示して
あるが、逆方向の配列であっても本発明のエンハンサー
機能を発揮するものであり、特に断らない限り、この表
記をもって両方のエンハンサー配列を示すものとする。
以下、本発明について詳しく説明する。
【0009】まず、アスペルギルス・オリゼのα−グル
コシダーゼ遺伝子(agdA)のプロモーターの単離を行っ
た。すなわち、α−グルコシダーゼ遺伝子を含むプラス
ミドpTGF-1[特開平第6-62868号]を材料にして、プロ
モーター、ターミネーターを含むα−グルコシダーゼ遺
伝子(agdA)の全塩基配列を決定するために、デレーシ
ョンクローンの作製をキロシークエンス用デレーション
キット(宝酒造社製)を用いて行い、これらのクローン
の塩基配列をジデオキシ法により決定した。決定された
全塩基配列からプロモーター領域(配列番号:2)、α
−グルコシダーゼコード領域(配列番号:1)、ターミ
ネーター領域(配列番号:3)をそれぞれ決定後、プロ
モーター領域のエンハンサー核酸塩基配列候補の検索を
遺伝子解析ソフトを用いて、アスペルギルス・オリゼの
α−アミラーゼ遺伝子(amyB)[Biosci. Biotech. Bio
chem., 56, 1849-1853(1992)]あるいは、グルコアミラ
ーゼ遺伝子(glaA)[Curr. Genet., 22, 85-91(199
2)]のプロモーターと比較することにより行った。
【0010】その結果見い出されたエンハンサー候補配
列の機能を確認するために、まず、agdA遺伝子のプロモ
ーターのサブクローニングと各種デレーションプロモー
ター(図4)を構築した。次に、構築された各種デレー
ションプロモーターを用いてagdAプロモーターの発現に
必要なエンハンサー配列を同定するために、この各種デ
レーションプロモーターにレポーター遺伝子としての大
腸菌のβ−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子(uidA)を
結合した融合遺伝子を構築し、この融合遺伝子と、agdA
ターミネーター、選択マーカーとしてのアスペルギルス
・オリゼの硝酸還元酵素遺伝子(niaD)からなる、種々
のプロモーター活性測定用プラスミド(図2)を構築し
た。このプラスミドを用いて、アスペルギルス・オリゼ
の硝酸還元酵素欠損株を公知の方法[Agric. Biol. Che
m., 51, 323-328(1987)]により形質転換し、得られた
形質転換体のサザン解析を行い、その中から宿主のniaD
遺伝子座に相同的に1コピー、インテグレートされ、染
色体に組み込まれるときの位置効果と導入されるコピー
数の影響を受けずに、正確にプロモーター活性を測定で
きる形質転換体を選択した。これら選択された形質転換
体のβ−グルクロニダーゼ(GUS)活性を公知の方法[P
roc. Natl. Sci. USA, 83, 8447-8451(1986)]に準じて
測定することにより、agdAプロモーター上のエンハンサ
ー配列を同定した。
【0011】すなわち、図4に示す結果から、agdAプロ
モーター上のXhoI-EcoRV領域にエンハンサー配列が存在
し、さらに、この領域中にエンハンサー候補配列が含ま
れており、このエンハンサー候補配列およびその上流と
下流の配列を特異的に欠失させたとき、agdAデレーショ
ンプロモーター6および7の活性は激減することから、
このデレーションプロモーターで欠失している配列(図
1)がエンハンサー核酸塩基配列であると同定した。す
なわち、DNA塩基配列単位B(5’−CGGGCAT
TTA−3’)および塩基配列単位C(5’−CCAA
TCAGCGT−3’)を含むエンハンサー核酸塩基配
列を提供するに至った。
【0012】さらに、エンハンサー塩基配列BおよびC
を含むDNA塩基配列単位E(図1)をagdAプロモータ
ーに1個導入し、合計2個のDNA塩基配列単位Eを含
むagdAプロモーターのGUS活性は、約3倍増加すること
を示す(図5)ことから、この塩基配列単位Eもまたエ
ンハンサー機能を有することを確証した。
【0013】また、エンハンサー配列Bの5’末端から
4および5塩基目をamyBプロモーター、glaAプロモータ
ーに存在する配列−AA−に置換した配列E(AA)あ
るいは、他の任意の塩基に置換した配列E(TC)、配
列E(CG)のいずれの配列を導入した場合にも、プロ
モーター活性は2倍以上増加することを示した(図
5)。
【0014】以上の結果より、エンハンサー配列Bの
5’末端から4および5塩基目の塩基配列は、−GC−
に特定されることなく、どの塩基に置換されてもエンハ
ンサー作用を示すことが確認された。すなわち、塩基配
列の揺らぎを含む配列A(5’−CGGNNATTTA
−3’)は、エンハンサー機能を有することが確証され
た。以上の如く、新規エンハンサー核酸塩基配列が提供
された。
【0015】さらに、本発明は、上述の如く提供された
新規エンハンサー核酸塩基配列を糸状菌で機能するプロ
モーターに導入することによるプロモーター活性の改良
を提供するものである。
【0016】エンハンサー配列を導入するプロモーター
としては、糸状菌において機能するものであれば特に制
限されないが、具体的には、α−アミラーゼ、グルコア
ミラーゼ、α−グルコシダーゼ、プロテアーゼ、リパー
ゼ、セルラーゼ、セロビオハイドラーゼ、アセトアミダ
ーゼ等の加水分解酵素遺伝子、3−ホスホグリセレート
キナーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒ
ドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ等の解糖系
酵素遺伝子のプロモーターが挙げられる。好適なプロモ
ーターは、アスペルギルス属のα−アミラーゼ、グルコ
アミラーゼ、α−グルコシダーゼの遺伝子から単離する
ことができる。より好適には、アスペルギルス・オリゼ
のα−グルコシダーゼ遺伝子のプロモーターが挙げられ
る。そのプロモーターの全塩基配列は、配列番号2で示
されるが、その部分配列であっても糸状菌におけるプロ
モーターとしての機能を有する限り本発明に含まれる。
【0017】本エンハンサー核酸塩基配列のプロモータ
ーへの導入部位は、プロモーター領域であれば特に制限
されるものではない。また、導入方法は、例えば以下の
ようにして行うことができる。まず、導入したいプロモ
ーター領域を適当な2種類の制限酵素[A]、[B]で
消化する。ただし、[A]は平滑末端を生じる酵素を用
いる。なければ[A]の末端をDNAブランチングキッ
ト(宝酒造社製)を用いて平滑末端化する。次に、5’
末端から制限酵素サイトを[B]・[A]の順で付加し
たプライマーと制限酵素サイトを付加しないプライマー
を用いて、エンハンサー配列を含む断片をPCR法によ
り増幅する。このようにして増幅した断片を上述の如く
消化したプロモーターに挿入することにより、平滑末端
サイトと制限酵素Bサイトでそれぞれ結合される。結合
後、平滑末端サイトの制限酵素認識サイトは消失される
が、もう一方のサイトには[B]・[A]のサイトが存
在する。エンハンサー配列を2個以上導入する場合に
は、1個導入されたプロモーターを制限酵素[A]と
[B]で消化後、以下、同様の方法で順次エンハンサー
配列を導入することにより成し遂げられる。また、導入
するエンハンサー配列の個数により、任意の転写活性を
持つプロモーターの構築が可能となる。さらに、具体的
な1例として図6に示す如くエンハンサー配列を導入し
たα−グルコシダーゼ遺伝子のプロモーターは、転写活
性が増加するのみならず、グルコース抑制を受けず、炭
素源に影響されない恒常的に高発現するプロモーターに
改良された。すなわち、プロモーターの発現制御の改良
にも成功するに至った。
【0018】さらに、本発明の新規発現プラスミドは、
上述の如く改良された糸状菌で機能するプロモーター
と、ターミネーターを有し、宿主の形質転換体の選択に
好適なマーカー遺伝子を有し、大腸菌で複製可能なDN
A領域を有するものである。
【0019】ターミネーターは、糸状菌において機能す
るものであれば特に制限されないが、具体的には、配列
番号3に示されるアスペルギルス・オリゼのα−グルコ
シダーゼ遺伝子のターミネーター、あるいは、その部分
配列を含むターミネーターがより好適に用いられる。
【0020】好ましい選択マーカーとしては、硝酸還元
酵素(niaD)、オルニチンカルバモイルトランスフェラ
ーゼ(argB)、トリプトファンシンターゼ(trpC)、ア
セトアミダーゼ(amdS)の遺伝子が挙げられる。ただ
し、宿主糸状菌は、選定された選択マーカーについての
機能的遺伝子を有しない株を用いなければならない。よ
り好適な選択マーカー遺伝子は、硝酸還元酵素遺伝子
(niaD)である。niaD遺伝子を選択マーカーとして用い
る場合には、このマーカーに対して遺伝子に欠損を有す
る糸状菌のniaD株を宿主として用いなければならない。
このniaD変異株は、アンクルらの方法[Mol. Gen. Gene
t., 218, 99-104(1989)]により取得することができ
る。このniaD遺伝子を選択マーカーとして用いることに
より、宿主の染色体のniaD遺伝子座に相同的にインテグ
レートされる形質転換体を取得することが容易になる。
すなわち、インテグレートされる位置による発現の影響
は排除されるため、目的とする有用タンパク質の発現
は、インテグレートされるコピー数に規定されるのみで
ある。従って、本発明の発現プラスミドのプロモーター
へのエンハンサー配列の導入個数の調整と、niaD遺伝子
により選択された形質転換体のコピー数をサザン解析で
調べることにより、有用タンパク質の高生産のみなら
ず、任意の生産力を持つ形質転換体の取得が可能とな
る。さらに、アスペルギルス属、例えばアスペルギルス
・オリゼのniaD遺伝子は、多くの糸状菌、例えばアスペ
ルギルス・ニガー、アスペルギルス・ニドランス、ペニ
シリュウム・クリソゲナムなどで機能を有する[Mol. G
en. Genet., 218, 99-104(1989)]ため、種々の糸状菌
を宿主として利用することが可能である。
【0021】本プラスミドの構築は、例えば以下のよう
にして行うことができる。大腸菌ベクター、例えばpUC1
18のマルチクローニングサイトにniaD遺伝子を含むプラ
スミドpSTA14[Mol. Gen. Genet., 218, 99-104(198
9)]から適当な制限酵素で切り出したniaD遺伝子を挿入
する。次に、使用するターミネーター領域を適当な制限
酵素で切り出すか、あるいは、PCR法により増幅し
て、上記のプラスミドに挿入する。得られたプラスミド
に前述の方法で構築したエンハンサー配列を導入したプ
ロモーターを適当な制限酵素で切り出して、ターミネー
ター領域に隣接して挿入する。このようにして発現プラ
スミドが構築できる。さらに、具体的な例として図8に
示す手順で構築されたプラスミドpNAG136、pNAG142が挙
げられる。これらのプラスミドは、発現させるべき目的
のタンパク質をコードするDNA断片を、プロモーター
とターミネーターの間に挿入するとき利用できる制限酵
素サイトを増やす目的で、8種類の制限酵素認識サイト
を導入してある。
【0022】本発明は、さらに、目的とする有用タンパ
ク質あるいはペプチドを、糸状菌を宿主として製造する
方法をも開示するものである。これは、例えば次のステ
ップにより成し遂げられる。まず、目的タンパク質をコ
ードするDNAの開始コドン上流と終止コドン下流に適
当な制限酵素サイトを部位特異的変異法[Proc. Natl.
Sci. USA, 82, 488(1985)]あるいは、PCR法により
それぞれ導入し、これらの制限酵素サイトを両端に持つ
DNA断片を発現プラスミド例えばpNAG136あるいは、p
NAG142に挿入する。または、目的タンパク質の遺伝子の
ターミネーターが糸状菌で機能する場合は、タンパク質
のコード領域とターミネーター領域を含むDNA断片
を、同様な方法で調製してプロモーターに連結すること
も可能である。この様にして得られた形質転換ベクター
を用いて、このベクターに含まれる選択マーカーに対し
て遺伝子に欠損を有する糸状菌を公知の方法[Agric. B
iol. Chem., 51, 323-328(1987)]により形質転換す
る。次に、選択マーカーに対する選択培地で生育できる
形質転換体を取得後、この形質転換体を適当な培地、培
養条件で培養し、目的のたんぱく質を生産させる。生産
された目的のタンパク質は、適当な方法で定性、定量
し、また、必要に応じて単離・精製される。
【0023】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明の実施例はこれらに限られるものではな
い。なお、本実施例で使用した制限酵素およびその他の
遺伝子操作用酵素は、宝酒造または東洋紡績の製品を用
い、これらの酵素の反応条件は製品購入時に添付される
説明書に従った。
【0024】実施例1 α−グルコシダーゼ遺伝子のプ
ロモーター領域とタ ーミネーター領域の同定と塩基配列 アスペルギルス・オリゼRIB40株のα−グルコシダーゼ
遺伝子を含む7.0kbのPstI部位に挿入したプラスミドpTG
F-1[特開平6-62868]を材料に用いた。
【0025】まず、α−グルコシダーゼを含む5.0kbのS
caI断片をpTGF-1から取得し、この断片にEcoRIリンカー
を付加した後、プラスミドpUC118のEcoRI部位に正、逆
両方向に挿入してそれぞれ得られたプラスミドpTGS-1と
pTGS-2を用いて、α−グルコシダーゼ遺伝子の全塩基配
列を決定するために、デレーションクローンの作成をキ
ロシークエンス用デレーションキット(宝酒造社製)を
用いて行った。具体的には、pTGS-1あるいは、pTGS-2を
SmaIとPstIで切断し、エキソヌクレアーゼIIIによる消
化、マングビーンヌクレアーゼによる平滑末端化、クレ
ノーフラグメントによる末端修復後、ライゲーションし
て各鎖長のデレーションプラスミドを作成した。これら
のデレーションプラスミドから1本鎖DNAを調製し、
ジデオキシ法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74, 5463
-5467(1977)]により自動シークエンサー370A(アプラ
イド バイオシステムズ社製)を用いて、塩基配列を決
定した。決定した配列中の約3.2kb HindIII-EcoRV領域
中にα−グルコシダーゼ遺伝子のコード領域が存在する
ことが確認されており[特開平6-62868]、また、糸状
菌におけるイントロンのコンセンサス配列[「The stru
cture and organization of nuclear genes of filamen
tous fungi」IRL Press, Oxford, pp93-139(1987)]に
一致する配列を3ヶ所見い出した。以上の結果より、配
列番号1に示す985アミノ酸からなるα−グルコシダー
ゼ遺伝子のコード領域を含む全塩基配列が決定された。
【0026】次に、5’側上流に存在するScaI部位より
さらに上流のプロモーター領域の塩基配列を決定するた
めに、pTGF-1[特開平6-62868]の1.5kb PstI-SalI断片
をプラスミドpUC118あるいは、pUC119のマルチクローニ
ング部位のPstI, SalI部位に挿入した。そのプラスミド
から1本鎖DNAを調製し、デレーションプラスミドの
時と同様にジデオキシ法により自動シークエンサーを用
いて塩基配列を決定した。以上の結果より配列番号2に
示す720bpのプロモーター領域の塩基配列を決定した。
【0027】また、α−グルコシダーゼ遺伝子の終止コ
ドン(TGA)より3’下流のターミネーター領域の塩基
配列は、デレーションプラスミドにより決定された5.0k
b ScaI断片中に十分な長さが含まれており、配列番号3
に、終止から840bpのターミネーター領域の塩基配列を
示す。
【0028】実施例2 新規エンハンサー候補の検索 α−グルコシダーゼ遺伝子(agdA)のプロモーター領域
中に存在する未知のエンハンサー配列を同定するため
に、まず、プロモーターのホモロジー検索をDNASI
S遺伝子解析ソフト(日立ソフトウエアエンジニアリン
グ社製)を用いて行った。一般的に高発現、高分泌する
ことが知られているアスペルギルス・オリゼのα−アミ
ラーゼ遺伝子(amyB)のプロモーター[Biosci. Biotec
h. Biochem., 56,1849-1853(1992)]あるいは、グルコ
アミラーゼ遺伝子(glaA)のプロモーター[Curr. Gene
t., 22, 85-91(1992)]と比較したところ、プロモータ
ー領域全体としてのホモロジーはamyBのプロモーターと
51%、glaAのプロモーターと52%のホモロジーを示した
が、特にホモロジーの高い領域は見つからなかった。そ
こで、次に、agdAのプロモーターを20-50bp単位に分割
してより詳細なホモロジー検索をしたところ、図1に示
す(5’−CGGGCTAAAT−3’)の配列と高ホ
モロジーの配列(5’−CGGAAATTTA−3’)
が、amyBプロモーターとglaAプロモーターで発見され
た。また、この過程でamyBプロモーターとglaAプロモー
ターで共通に保存されている2つの公知の領域Region
I、II[Curr. Genet., 22, 85-91(1992)]もまた、agdA
プロモーター領域に存在することが確認された。
【0029】実施例3 α−グルコシダーゼ遺伝子プロ
モーターのサブクロ ーニングと各種デレーションプロモ
ーターの構築 ホモロジー検索で見つかった配列(5’−CGGGCT
AAAT−3’)のエンハンサー作用の有無、あるい
は、それ以外のエンハンサー部位を同定するために、ag
dAプロモーターのサブクローニングをPCR法を用いて
行った。
【0030】配列番号2に示すagdAプロモーターの存在
位置17から718の702bpを増幅するためにPstIサイトを付
加した上流プライマーとして、 5SP: 5'-GGCTGCAGTCATGGCACCACTAGAGATG-3' SalIサイトを付加した下流プライマーとして、 3ASP: 5'-CCGTCGACCGTGGTCCGCCAAGTTGATT-3' をDNA合成機モデル391 PCR-MATE(アプライド バイ
オシステムズ社製)を用いて合成した。上記の2つのプ
ライマーとテンプレートとしてプラスミドpTGF-1を用い
てサーマル・サイクラー(パーキンエルマージャパン社
製)により、agdAプロモーターのPstI-SalI断片を取得
し、この断片をpUC118のマルチクローニングサイトに挿
入してagdAプロモーターを含むプラスミドpAGP1(図
1)を取得した。
【0031】次に、このpAGP1を用いて図4に示すよう
なagdAの各種デレーションプロモーターを構築した。具
体的には、例えば、pAGP1をPstI、EcoT14Iで消化した
後、0.8%アガロース電気泳動にかけ分離した約3.8kb Ps
tI-EcoT14I断片をジーンクリーンキット(バイオ101
社製)を用いて回収した。この断片をDNAブランチン
グキット(宝酒造社製)を用いて平滑末端化後、セルフ
ライゲーションする事により、agdAデレーションプロモ
ーター2(P-agdA2)を含むプラスミドpAGP2を取得し
た。以下、pAGP1をPstIとXhoI、EcoRV、あるいは、FbaI
で二重消化した後、同様な方法でagdAデレーションプロ
モーター3、4、あるいは、5を含むプラスミドpAGP
3、4、あるいは、5をそれぞれ取得した。
【0032】ホモロジー検索の結果見つかったamyBプロ
モーターとglaAプロモーターに相同性の高い塩基配列
(5’−CGGGCTAAAT−3’)だけを欠失させ
たagdAデレーションプロモーター6(P-agdA6)は、コ
ンビネーションPCR法[「PCRTechnology」,Stocton
Press, New York, pp.61-70(1989)]を用いて取得し
た。具体的には、まず、高ホモロジー配列を欠失した内
部上流プライマーとして、 5ISP: 5'-GCGTCGTGTCGGGGGATGGACCAATCAGC-3' 同じく内部下流プライマーとして、 3IASP: 5'-CATCCCCCGACACGACGCTTGAGCCCTGA-3' を合成した。
【0033】次に、agdAプロモーターのサブクローニン
グの時に合成した上流プライマー5SPと内部下流プライ
マー3IASPを用いてPCR産物1を増幅し、同じく内部
上流プライマー5ISPと下流プライマー3ASPを用いてPC
R産物2を増幅した。得られたPCR産物1と2を混合
してテンプレートとし、上流プライマー5SPと下流プラ
イマー3ASPを用いて3回目のPCR反応をGene AmpTM k
it(パーキンエルマージャパン社製)を用いて下記の反
応溶液中で行った。 H2O 70.5μl 10x反応溶液 10μl dNTP mix(1,25mM) 16μl 上流プライマー5SP(0.1mM) 1μl 下流プライマー3ASP(0.1mM) 1μl PCR産物1 1μl(5-100ng) PCR産物2 1μl(5-100ng) AmplitaqTMDNAポリメラーゼ 0.5μl 反応条件は(94℃, 0.5分)→(55℃, 1分)→(72℃,
2分)で25サイクル行った。PCR増幅後の反応溶液
は、フェノール・クロロホルム処理後、エタノール沈澱
で回収し、PstI、SalIで処理した後、0.8%アガロース電
気泳動に供し、agdAデレーションプロモーター6(P-ag
dA6)を単離・精製した。このデレーションプロモータ
ーをPstI、SalIで処理したpUC118に挿入してP-agdA6を
含むプラスミドpAGP6を取得した。
【0034】同様なコンビネーションPCR法を用い
て、図1に示すような相同性の高い塩基配列のすぐ下流
領域3とすぐ上流領域1だけを欠失させたagdAデレーシ
ョンプロモーター7(P-agdA7)あるいは、8(P-agdA
8)をそれぞれ取得してPstI、SalI処理したpUC118にそ
れぞれ挿入して、pAGP7あるいは、pAGP8を取得した。ま
た、コンビネーションPCR法により得たデレーション
プロモーターは、目的の配列が欠失していることをジデ
オキシ法により塩基配列を調べることにより確認した。
【0035】実施例4 プロモーター活性測定用プラス
ミドの構築 構築された各種agdAデレーションプロモーターを用いて
agdAプロモーターの発現に必要なエンハンサー配列を同
定するため、agdAターミネーターと選択マーカーとして
のアスペルギルス・オリゼの硝酸還元酵素遺伝子(nia
D)とレポーター遺伝子としての大腸菌(E. coli)のβ
−グルクロニダーゼ(GUS)遺伝子(uidA)からなるプ
ロモーター活性測定用プラスミドpNAGT4(図2)を構築
した。
【0036】まず、硝酸還元酵素遺伝子(niaD)を含む
プラスミドpSTA14[Mol. Gen. Genet., 218, 99-104(19
89)]をXhoI、HindIIIで消化後、0.8%アガロース電気泳
動に供し、niaDを含む4.4kbのXhoI-HindIII断片を単離
・精製した。この断片をDNAブランチングキット(宝
酒造社製)を用いて平滑末端化した後、EcoRI処理後同
じく平滑末端化処理したpUC118に挿入してpNR10を得
た。
【0037】次に、pNR10にβ−グルクロニダーゼ(GU
S)遺伝子(uidA)を挿入するために、pBI221[Proc. N
atl. Acad. Sci. USA, 83, 8447-8451(1986)]のGUS遺
伝子の5’上流のSmaIサイトで消化し、これにSalIリン
カーを付けセルフライゲーションした後、次に、3’下
流のSacIサイトで消化後、平滑末端化してXbaIリンカー
を付け同様にセルフライゲーションしてpBI221-SXを得
た。このpBI221-SXからGUS遺伝子を含む約1.9kbのSalI-
XbaI断片をアガロース電気泳動を用いて同様に単離・精
製した後、pNR10のマルチクローニングサイトのSalI、X
baIサイトに挿入してプラスミドpNRG1を得た。
【0038】このpNRG1にα−グルコシダーゼ遺伝子(a
gdA)のターミネーター(T-agdA)を挿入するために、
まず、ターミネーターをPCR法により取得した。配列
番号3に示すagdAターミネーターの存在位置8から837の
830bpを増幅するためにXbaIサイトを付加した上流プラ
イマーとして、5TSP: 5'-CCTCTAGAAGCGTAACAGGATAGCCT
AG-3' SmaIサイトを付加した下流プライマーとして、 3TASP: 5'-GGCCCGGGAGTAACCCATTCCCGGTTCT-3' をDNA合成機モデル391 PCR-MATE(アプライド バイ
オシステムズ社製)を用いて合成した。上記2つのプラ
イマーとテンプレートとしてプラスミドpTGF-1を用いて
サーマル・サイクラー(パーキンエルマージャパン社
製)によりagdAターミネーターのXbaI-SmaI断片を取得
した。この断片をXbaI、SmaI消化したpNRG1に挿入して
プロモーター活性測定用プラスミドpNAGT4を得た。
【0039】実施例5 形質転換体の取得 上述の通り得られたpNAGT4に各種agdAデレーションプロ
モーターを挿入して得られたプラスミドを用いてアスペ
ルギルス・オリゼの形質転換体を取得した。
【0040】まず、前述の各種agdAデレーションプロモ
ーターを含むプラスミドのうちpAGP2、3、4、5は、SalI
とNaeIで消化後、アガロース電気泳動を用いてデレーシ
ョンプロモーターを含むSalI-NaeI断片を単離・精製し
た。また、SalIとPstIで処理したpAGP1、6、7、8から同
様にして、デレーションプロモーターを含むSalI-PstI
断片を単離・精製した。
【0041】次に、pNAGT4をSalI、NaeI消化、あるい
は、SalI、PstI消化し、同様にそれぞれの制限酵素で処
理されたpNAGT4を単離・精製した後、使用した制限酵素
に対応する各デレーションプロモーター断片をpNAGT4に
それぞれ導入することにより、pNAGG1-1からpNAGG1-8の
8種類のプラスミドを得た。図2にその一例を示す。
【0042】次に、以上得られたpNAGG1シリーズのプラ
スミドによるアスペルギルス・オリゼの形質転換を行っ
た。アスペルギルス・オリゼの硝酸還元酵素欠損株(ni
aD-)、例えば、niaD14株[Mol. Gen. Genet., 218, 99
-104(1989)]をデキストリン・ペプトン培地(2% デキ
ストリン、1% ポリペプトン、0.5% KH2PO4、0.05% MgSO
4・7H2O)で30℃、3日間振とう培養した後、得られた菌
体を滅菌水で洗浄した。この菌体を細胞壁溶解液[10mM
リン酸緩衝液、pH 6.0、0.8M NaCl、20mg/ml ヤタラー
ゼ(宝酒造社製)]に懸濁し、30℃、2〜3時間緩やかに
振とうすることによりプロトプラスト化した。得られた
プロトプラストをガラスフィルターで濾過することによ
り残存する菌体を除去した。
【0043】次に、このプロトプラストを用いて五味ら
の方法[Agric. Biol. Chem., 51,323-328(1987)]によ
りコンピテントセルの調製および形質転換を行い、単一
窒素源として硝酸を含む培地、例えば、ツァペック・ド
ックス培地(0.2% NaNO3、0.1% K2HPO4、0.05% KCl、0.
05% MgSO4・7H2O、2% グルコース、pH 5.5]で生育可能
な形質転換体をそれぞれのプラスミドにつき各12株づつ
合計96株取得した。
【0044】実施例6 各種デレーションプロモーター
のβ−グルクロニダ ーゼ活性 得られた各種形質転換体のサザン解析を行い、その中か
ら、相同的に1コピー、インテグレートされた株を選択
して、β−グルクロニダーゼ(GUS)活性を測定した。
【0045】まず、サザン解析を行うために、染色体D
NAの調製を行った。形質転換体の分生胞子1白金耳を
デキストリン・ペプトン培地(2% デキストリン、1% ポ
リペプトン、0.5% KH2PO4、0.1% NaNO3、0.05% MgSO4
7H2O)100mlに接種し、30℃、3日間振とう培養後、得ら
れた菌体を3G1ガラスフィルターで集め滅菌水で洗浄し
た。この菌体の水分を濾紙により除去した後、あらかじ
め-80℃に冷却した乳鉢を用いて液体窒素中ですりつぶ
した。この菌体破砕物をTE溶液(10mM Tris-HCL、1mM
EDTA、pH 8.0)に懸濁した後、溶菌溶液(0.5% SDS、5
0mM EDTA)を等量加えて緩やかに撹拌後、37℃、30分間
放置した。得られた溶菌液を3000rpm、20分間冷却遠心
分離後、上清を取得した。その上清を等量のフェノール
・クロロホルム混合液で2回処理して、夾雑するタンパ
ク質を除去後、2.5倍容の冷エタノールを加えDNAを
沈澱させた。この沈殿物を0.1mg/mlのRNaseを含むTE
溶液に緩やかに溶解して30℃、30分間反応した。この溶
液をフェノール・クロロホルム処理した後、2.5倍容の
冷エタノールを添加し、生じた染色体DNAをパスツー
ルピペットで巻き取った。巻き取ったDNAを乾燥後、
TE溶液に溶解し、染色体DNA溶液を調製した。得ら
れた染色体DNAをSalIで消化後、アガロース電気泳動
で分離しナイロンメンブレン、例えば、ハイボンドN
(アマシャム社製)にブロットした後、プラスミドpUC1
18をプローブとしてサザン解析を行った。この時、EC
LランダムプライムDNAラベリング・検出システム
(アマシャム社製)を用いてプローブのラベリングおよ
びシグナルの検出を行った。その結果、形質転換に用い
たプラスミドに含まれる各デレーションプロモーターの
サイズに依存した9.3kbから8.9kbのシングルバンドの検
出、あるいは、このシングルバンドに加え、プラスミド
のサイズに相当する11.0kbから10.6kbにもハイブリダイ
ズして合計2本のバンドが検出される場合の2通りのパ
ターンが存在した。この結果は、図3に示すように、1
本のバンドの場合は1コピー、2本のバンドのばあいは2
コピー以上、宿主のniaD遺伝子座に相同的にインテグレ
ートされていることを意味している。
【0046】形質転換に用いたプラスミドは、選択マー
カー遺伝子としてniaD遺伝子を含んでおりこの選択マー
カー単独で形質転換した場合は、高頻度で相同的にイン
テグレートされる[Mol. Gen. Genet., 218, 99-104(19
89)]ことが明らかになっているが、これに新たに導入
したい別の遺伝子を含むプラスミドを用いて形質転換し
た場合にも、導入される遺伝子の影響を受けずに、niaD
遺伝子座で相同的にインテグレートされることが明らか
となった。また、ごく希にniaD遺伝子座で2重交差によ
る組み換えを生じ、niaD遺伝子のみがインテグレートさ
れるパターンも存在した。
【0047】サザン解析の結果より、プロモーター活性
の測定に適した形質転換体、即ち、相同的に1コピーだ
けインテグレートされ、染色体に組み込まれる時の位置
効果と導入されるコピー数の影響を受けずに、正確にプ
ロモーター活性を測定できる形質転換体を、使用したプ
ラスミドにつき任意に2株ずつ合計16株選択した。
【0048】次に、選択された16株の分生胞子5x105
個をツァペック・ドックス・ポリペプトン培地(1% ポ
リペプトン、0.1% K2HPO4、0.05% MgSO4・7H2O、0.05%
KCL、0.01% FeSO4、2% グルコース、pH 5.5)15mlに接
種し、30℃、3日間振とう培養後、得られた菌体を3G1ガ
ラスフィルターで集めた。この菌体の水分を濾紙で除去
した後、約0.2gの菌体を-80℃に冷却した乳鉢を用いて
液体窒素中ですりつぶした。この菌体破砕物を0.8mlの
抽出溶液(50mM リン酸緩衝液、pH 7.0、10mM EDTA、0.
1% Triton X-100、0.1% sarkosyl、10mM β−メルカプ
トエタノール)に懸濁後、約1分間激しく撹拌すること
により酵素を抽出後、15000rpm、15分間、遠心分離して
菌体残さを除去した上清を酵素溶液とした。得られた酵
素液中のβ−グルクロニダーゼ(GUS)活性は、公知の
方法[Proc. Natl. Acad. Sci. USA,83, 8447-8451(198
6)]に準じて、1mlの反応溶液(50mM リン酸緩衝液、pH
7.0、0.1% Triton X-100、10mM β−メルカプトエタノ
ール、1mM p−ニトロフェニルグルクロニド)中で37℃
で酵素液5μlから50μlを反応させ、415nm の吸光度を
測定することにより行った。なお、この時の活性は、デ
レーションしていない本来のα−グルコシダーゼプロモ
ーター(P-agdA1)により生産されたGUS活性を100%とす
る相対活性で示した。その結果を図4に示す。
【0049】agdAプロモーターを5’上流領域から欠失
させた場合、P-agdA1とP-agdA2の間の領域(PstI-EcoT1
4I)とP-agdA3とP-agdA4の間の領域(XhoI-EcoRV)の2
ヶ所で大きな活性低下が見られた。その内、PstI-EcoT1
4I領域中には、公知の保存配列RegionI[Curr. Genet.,
22, 85-91(1992)]が存在していた。また、XhoI-EcoRV
領域中には、ホモロジー検索の結果見い出された塩基配
列B(5’−CGGGCATTTA−3’)が含まれて
いた。さらに、上記の配列Bだけを欠失したデレーショ
ンプロモーター(P-agdA6)の活性もまた激減している
ことから、agdAプロモーターに存在する塩基配列Bは、
新規なエンハンサーであることが確認された。また、エ
ンハンサー配列Bの前後の塩基配列だけをそれぞれ欠失
したプロモーターP-agdA7とP-agdA8のうち、P-agdA7の
相対活性は19%しか示さず、ここで欠失した配列C
(5’−CCAATCAGCGT−3’)もまたエンハ
ンサー配列であることが確認された。
【0050】実施例7 新規エンハンサー配列の多様性
の決定 新規なエンハンサー配列であることが確認された塩基配
列B(5’−CGGGCATTTA−3’)と保存性の
高い配列が、実施例2で行ったホモロジー検索の結果、
α−アミラーゼプロモーターとグルコアミラーゼプロモ
ーターにも存在することが確認されており、これらの配
列もまた、エンハンサー機能を持つかどうかを確認する
ために、配列Bと異なる塩基部分を任意の塩基と置換し
た配列を、agdAプロモーターに挿入したプロモーターを
作成して、そのプロモーター活性を測定した。
【0051】まず、実施例3で取得したagdAプロモータ
ー(0.7kb PstI-SalI断片)を含むプラスミドpAGP1を用
いてagdAプロモーターのEcoRVとClaIサイトを制限酵素
処理した後、DNAブランチングキット(宝酒造社製)
を用いて平滑末端化し、セルフライゲーションすること
によりエンハンサー配列を含まないEcoRV-ClaI断片を除
去したagdAデレーションプロモーター131(P-agdA13
1)を含むプラスミドpAGP131を取得した(図5)。次
に、図5に示すエンハンサー配列BおよびCを含むDN
A塩基配列E(具体的配列は図4に示す)を除去したEc
oRV-ClaI断片の変わりに挿入するために、この配列Eを
PCR法により取得した。具体的には、上流プライマー
として、 5SPE: 5'-TCAAGCGTCGTGTCGGGCATT-3' ClaIサイトを付加した下流プライマーとして、 3ASPE: 5'-CCATCGATGATATCCCTACGCTGATTGG-3' をDNA合成機モデル391 PCR-MATE(アプライド バイ
オシステムズ社製)を用いて合成した。上記の2つのプ
ライマーとテンプレートとしてプラスミドpTGF-1を用い
てサーマル・サイクラー(パーキンエルマージャパン社
製)により増幅した。この増幅された配列EをagdAプロ
モーターに挿入するために、P-agdA131の時と同様にagd
AプロモーターをEcoRVとClaIで消化し、アガロース電気
泳動を用いてEcoRV-ClaI断片を除去した。これと配列E
をライゲーションすることにより配列Eを挿入したプロ
モーター131GC(P-agdA132GC)を含むプラスミドp
AGP132-GCを得た。
【0052】次に、エンハンサー配列Bの5’末端から
4塩基目と5塩基目が−AA−に置換された配列(5’
−CGGAAATTTA−3’)、即ち、α−アミラー
ゼ(amyB)プロモーターとグルコアミラーゼ(glaA)プ
ロモーターに共通する配列を含む配列E(AA)をP-ag
dA131GCと同様に、agdAプロモーターに挿入するために
配列E(AA)のPCR増幅を行った。上流プライマー
として、 5SPE-AA: 5'-TCAAGCGTCGTGTCGGAAATT-3' を合成し、下流プライマーは、配列E増幅で使用したプ
ライマー3ASPEを用いて今までと同様にサーマル・サイ
クラーにより増幅した。この増幅された配列E(AA)
をP-agdA132GCの時と同様な方法でagdAプロモーターに
挿入して、プロモーター132AA(P-agdA132AA)を
含むプラスミドpAGP132-AAを取得した。また、それ以外
にも、エンハンサー配列Bの5’末端から4塩基目と5
塩基目が、−TC−、あるいは−CG−に置換された配
列を含む配列E(TC)あるいは配列E(CG)を上述
と同様な方法で PCRを用いて増幅した後、agdAプロ
モーターに挿入してプロモーター132TC(P-agdA13
2TC)あるいは、プロモーター132CG(P-agdA132C
G)を含むプラスミドpAGP132-TCあるいは、pAGP132-CG
を取得した。
【0053】以上得られた5種類のプラスミドをPstI、
SalIで処理後、種々の改変agdAプロモーターを含むPstI
-SalI断片をアガロース電気泳動により単離・精製し
た。この断片を実施例4で構築したプロモーター活性測
定用プラスミドpNAGT4(図2)のPstI、SalIサイトに挿
入して、pNAGG1-131、-132GC、-132AA、-132TCそして-1
32CGを得た。つぎに、これらのプラスミドを用いて実施
例5で示した方法でアスペルギルス・オリゼの形質転換
体を各々のプラスミドにつき、各6株ずつ合計30株取
得した。これらの形質転換体のサザン解析を実施例6の
方法で行い、硝酸還元酵素遺伝子(niaD)座で相同的に
1コピー、インテグレートされ、染色体に組み込まれる
位置効果と導入されるコピー数の影響を受けない形質転
換体を任意に2株ずつ選択した。選択された形質転換体
を実施例6の方法に従い、ツァペック・ドックス・ポリ
ペプトン培地での培養後、液体窒素による菌体破砕、破
砕菌体からの酵素の抽出、抽出酵素液のβ−グルクロニ
ダーゼ(GUS)活性測定を行うことにより改変プロモー
ターの活性を測定した。
【0054】その結果、エンハンサー配列BおよびCを
含むDNA塩基配列EをagdAプロモーターに導入した改
変プロモーター132GC(P-agdA132GC)のGUS活性
は、コントロールのP-agdA131と比べて2.7倍の上昇を示
し、エンハンサー配列BおよびCを含む配列Eは、プロ
モーター活性を増強する能力を有することが確認され
た。また、エンハンサー配列Bの5’末端から4および
5塩基目をamyBプロモーター、glaAプロモーターに存在
する配列−AA−に置換した配列E(AA)あるいは、
他の任意の塩基に置換した配列E(TC)、配列E(C
G)のいずれの配列を導入した場合にもプロモーター活
性は2倍以上増加することを示した。以上の結果より、
エンハンサー配列Bの5’末端から4および5塩基目の
塩基配列は、−GC−に特定されることなくどの塩基に
置換されてもエンハンサー作用を示すことが確認され
た。すなわち、塩基配列の揺らぎを含む配列A(5’−
CGGNNATTTA−3’)は、エンハンサー機能を
有することが示された。
【0055】実施例8 エンハンサー配列の導入による
プロモーターの改良 2塩基の揺らぎを含むエンハンサー配列A(5’−CG
GNNATTTA−3’)とエンハンサー配列Cを含む
DNA塩基配列EをagdAプロモーターに複数個導入する
ことにより、プロモーター活性の改良を行った。
【0056】まず、実施例7で構築したプロモーターP-
agdA132GCは、配列Eが1個導入されたプロモーターで
あり、この時導入される配列Eの5’末端は平滑末端で
結合し、結合後EcoRVの認識サイトは消失する。一方、
3’末端は配列Eに元々含まれるEcoRVサイトに加えP
CRのときにClaIサイトが付加されているため、結合
後、図5あるいは、6に示すように2つの制限酵素サイ
トが存在する。このEcoRV、ClaIサイトを利用して複数
個タンデムに配列Eを順次導入していった。具体的に
は、P-agdA132GCを含むプラスミドpAGP132-GCをEcoRV、
ClaIで消化し、これに実施例7でPCR増幅した3’末
端にEcoRV、ClaIサイトを持つ配列Eを導入して、pAGP1
33を構築した。このpAGP133をEcoRV、ClaIで消化し、以
下同様に、順次配列Eをプロモーターに導入していき、
最高11個導入し、合計12個、配列Eがタンデムに存
在するプロモーターP-agdA142までを含むプラスミドを
構築した。これらのプラスミドの中から配列Eが4個、
6個、12個存在するプロモーターを含むプラスミドpA
GP134、136、142をPstI、SalIで消化後、これらの改良
プロモーターをアガロース電気泳動で単離・精製し、Ps
tI、SalIサイトを両端に持つ改良プロモーターを実施例
4で構築したプロモーター活性測定用プラスミドpNAGT4
(図2)のPstI、SalIサイトに挿入してpNAGG1-134、-1
36、142を取得した。
【0057】次に、改良されたagdAプロモーターの対照
としてアスペルギルス・オリゼのグルコアミラーゼ遺伝
子(agdA)のプロモーターを用いて、これにレポーター
遺伝子としてのGUS遺伝子を連結したプラスミドをagdA
プロモーターの場合と同様に構築した。具体的には、ま
ず、公知のglaAプロモーター塩基配列[Curr. Genet.,
22, 85-91(1992)]から以下に示すプライマーを合成し
てglaAプロモーター(P-glaA)をサブクローニングし
た。PstIサイトを付加した上流プライマーとして、 5SGP: 5'-GGCTGCAGAGCCTACGCTAAAGCAAAGT-3' SalIサイトを付加した下流プライマーとして、 5ASGP: 5'-CCGTCGACTGCTTCGACTTCGTTTGCTG-3' これらのプライマーを用いてglaAプロモーター(P-gla
A)を含むプラスミド、例えば、pRGA-1[Gene, 108, 14
5-150(1991)]をテンプレートとしてPCR増幅を行
い、galAプロモーター(P-glaA)の0.7kb PstI-SalI断
片を取得し、実施例4で構築したプロモーター活性測定
用プラスミドpNAGT4のPstI、SalIサイトに挿入してpNGA
G1を構築した。次に、これらのプラスミドを用いて実施
例5で示した方法で形質転換体を各々のプラスミドにつ
き各6株ずつ合計24株取得し、これらの形質転換体の
サザン解析を実施例6の方法で行い、niaD遺伝子座で相
同的に1コピー、インテグレートされた形質転換体を任
意に2株ずつ選択した。選択された形質転換体から実施
例6の方法に従い菌体培養、酵素の抽出を行い、抽出酵
素液のβ−グルクロニダーゼ(GUS)活性測定を行うこ
とにより、改良プロモーターの活性を測定した。
【0058】この結果、図6に示すように、配列Eをプ
ロモーターにタンデムに導入するに従いGUS活性は増加
し、P-agdA142では、配列Eが1個存在するP-agdA131に
比べて3.5倍のプロモーター活性の増強が確認された。
さらに、本来、高発現プロモーターとして有用なglaAプ
ロモーターと比べても3倍以上のプロモーター活性を示
し、エンハンサー配列をプロモーターに導入する方法
は、非常に有効であることが確認された。
【0059】実施例9 改良プロモーターの炭素源に対
する有効性 エンハンサー配列Eをタンデムに複数個導入することに
より高発現化されたプロモーターP-agdA142の炭素源に
対する有効性を試験するために、種々の炭素源を含む培
地で生育した菌体のGUS活性を測定した。
【0060】実施例6で使用した改良前の本来のagdAプ
ロモーター(P-agdA1)にGUS遺伝子を連結した融合遺伝
子が1コピー、インテグレートされた形質転換体および
実施例8で使用した改良プロモーター(P-agdA142)あ
るいは、glaAプロモーター(P-gla)とGUS遺伝子の融合
遺伝子が1コピー、インテグレートされた形質転換体、
各々2株、合計6株の分生胞子1x106個をツァペック・
ドックス・ポリペプトン培地(1% ポリペプトン、0.1%
K2HPO4、0.05% MgSO4・7H2O、0.05% KCl、0.01% FeS
O4、2% グルコース、pH 5.5)あるいは、この培地のグ
ルコースを表1に示す各種の炭素源に置換した培地15ml
に接種し、30℃、3日間振とう培養後、実施例6の方法
に従い、菌体破砕、酵素抽出を行い、抽出酵素液のGUS
活性を測定した。その結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】改良プロモーター(P-agdA142)は、本来
のプロモーター(P-agdA1)に比べてグルコースで10倍
以上、他の炭素源でも5〜6倍、高活性を示した。さら
に、P-agdA142は、glaAプロモーター(P-glaA)に比べ
ても供試したいずれの炭素源においても高活性を示し
た。また、glaAプロモーターあるいは、本来のagdAプロ
モーターは、グルコース抑制の影響を受けるため、炭素
源グルコースのときの活性は極端に低下する特徴を有す
るが、改良プロモーターでは、グルコースにおいても他
の炭素源の約80%の相対活性を保持していた。この結果
は、エンハンサー配列を複数個導入することにより改良
されたプロモーターP-agdA142は、炭素源に影響され
ず、恒常的に高発現することを意味しており、その有用
性は非常に高く、プロモーターの発現制御機能もまた、
改良できることを示した。
【0063】実施例10 改良プロモーターのノーザン
解析 実施例8で構築された改良プロモーターP-agdA142によ
りGUS活性の顕著な増加が確認されたが、この活性増加
が、プロモーターの転写活性の増加、すなわち、GUS遺
伝子(uidA)のmRNAの増加のためであるかどうかの
確認を行った。
【0064】実施例8で構築したエンハンサー配列Eが
1個だけ存在するプロモーター(P-agdA131)4個存在す
るプロモーター(P-agdA134)あるいは、12個存在する
改良プロモーター(P-agdA142)とGUS遺伝子の融合遺伝
子が1コピー、インテグレートされた形質転換体の分生
胞子1x106個をツァペック・ドックス・ポリペプトン培
地100mlに接種し、30℃、3日間振とう培養後、ガラス
フィルターで集菌し、滅菌水で洗浄した。洗浄菌体約2.
0gを炭素源がグルコースあるいは、マルトースのツァペ
ック・ドックス・ポリペプトン培地100mlに移した後、
さらに、30℃、12時間振とう培養した菌体をガラスフィ
ルターで集め、滅菌水で洗浄した。この洗浄菌体の水分
を濾紙で除去後、約2.0gの菌体を-80℃に冷却した乳鉢
を用いて液体窒素中ですりつぶし、この菌体破砕物に6m
lのグアニジンイソチオシアネート溶液(5M グアニジン
イソチオシアネート、10mM EDTA、50mM Tris-HCl、pH
7.5)と0.6mlのβ−メルカプトエタノールを加え懸濁溶
液を調整後、公知の方法[DNA, 2, 329-335(1983)]に
準じてRNAを調製した。このRNAの20μgをホルム
アルデヒド・アガロースゲル電気泳動で分離後、ナイロ
ンメンブレン例えば、ハイボンドN(アマシャム社製)
へ、トランスブロットした後、トランスイルミネーター
を用いて紫外線照射することによりメンブレン上にRN
Aを固定した。次に、プラスミドpBI221-SX(図2)か
ら調製した1.9kb XbaI-SalI断片のGUS遺伝子(uidA)と
メンブレンをハイブリダイゼーション溶液(5xSSPE、5x
Denhardt's溶液、50% ホルムアミド、0.5% SDS、100μg
/ml 熱変性鮭精子DNA)中で42℃、17時間ハイブリダイ
ズさせた後、適当な洗浄溶液、例えば、6xSSCあるい
は、0.2xSSC,0.1% SDSでメンブレンを洗浄した。このメ
ンブレンとハイブリダイズしたシグナルはX線フィルム
上で検出された。
【0065】この結果、図7に示すように、炭素源グル
コース、マルトースいずれの場合においても、エンハン
サー配列が1個のプロモーター(P-agdA131)より12個存
在するプロモーター(P-agdA142)の方が、多量のGUS遺
伝子(uidA)のmRNAが検出された。これは、agdAプ
ロモーターにエンハンサー配列を複数個導入することに
よりプロモーターの転写活性が増加したことを意味して
おり、GUS活性の増加は、P-agdA142のプロモーター機能
が改善された結果であることが確認された。
【0066】実施例11 高発現ベクターpN AG136とpNA
G142の構築 硝酸還元酵素遺伝子(niaD)を選択マーカーに持ち、高
発現プロモーターP-agdA136あるいは、P-agdA142とagdA
ターミネーターの間にマルチクローニングサイト(MC
S)を導入した汎用性のある高発現ベクターpNAG136ある
いは、pNAG142を図8に示す手順で構築した。
【0067】まず、配列番号3に示すagdAターミネータ
ーの存在位置8から585の578bpを増幅するために、実施
例4で合成したXbaIサイトを付加した上流プライマー5T
SPとSmaIサイトを付加した下流プライマー、 3TASP-2: 5'-GGGAGGTGTACGCTTGGTAAAGT-3' をDNA合成機モデル391 PCR-MATE(アプライド バイ
オシステムズ社製)を用いて合成した。これらのプライ
マーを用いてプラスミドpTGF-1[特開平6-62868]をテ
ンプレートとしてPCR増幅を行い、agdAターミネータ
ーの0.6kb XbaI-SmaI断片を取得した。この断片を実施
例4で構築したniaD遺伝子を含むプラスミドpNR10のマ
ルチクローニングサイト(MCS)のXbaI、SmaIサイトに
挿入してプラスミドpNRT10を構築した。このプラスミド
のPstI、SalIサイトに、実施例8で構築したエンハンサ
ー配列を6個あるいは、12個もつ高発現プロモーターP-a
gdA136あるいは、P-agdA142のPstI-SalI断片をそれぞれ
挿入して、pNAG136xsあるいは、pNAG142xsを取得した。
【0068】次に、agdAターミネーター(T-agdA)と高
発現agdAプロモーター(P-agdA136あるいは、P-agdA14
2)の間にマルチクローニングサイトを導入するため
に、まず、マルチクローニングサイトとして使用可能な
制限酵素の検索を行った。すなわち、高発現ベクターの
構成要素であるniaD遺伝子、agdAターミネーター(T-ag
dA)、高発現プロモーター(P-agdA136あるいは、P-agd
A142)、pUC118のいずれにも存在しない制限酵素の検索
を行った結果、pNAG136xsあるいは、pNAG142xsで使用で
きるXbaI、SalI以外に新たに、NdeI、NotI、PmaCI、Spe
Iが使用できることが確認された。また、高発現agdAプ
ロモーターの5’末端に存在するHindIII、SphIを除去
すれば、これらの制限酵素も使用できるため、pNAG136x
sあるいは、pNAG142xsをHindIII、SphIで消化し、DN
Aブランチングキット(宝酒造社製)を用いて平滑末端
化した後、セルフライゲーションすることにより、Hind
III、SphIサイトを除去した。次に、上述の検索の結
果、使用可能な8種類の制限酵素(両端はXbaIとSalI)
からなるマルチクローニングサイト(図8)をDNA合
成機を用いてセンス鎖、アンチセンス鎖をそれぞれ合成
し、これらを混合後、(94℃、1分間)→(55℃、10分
間)インキュベート後、氷冷することによりアニールさ
せ2本鎖のマルチクローニングサイトを取得した。合成
した1本鎖DNAは以下に示す。
【0069】センス鎖: 5'-CTAGAGCATGCCATATGAC
TAGTCACGTGGCGGCCGCAAGCTTG-3' アンチセンス鎖: 5'-TCGACAAGCTTGCGGCCGCCACGTGACTAGT
CATATGGCATGCT-3'
【0070】ここで得られたマルチクローニングサイト
の5’末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造社
製)を用いてリン酸化した後、HindIII、SphIを除去し
たpNAG136xs、pNAG142xsのXbaI、SalIサイトに挿入する
ことにより、pNAG136とpNAG142を構築した。
【0071】実施例12 アスペルギルス・オリゼのα
−グルコシダーゼ高生産株の取得 実施例8で構築したエンハンサー配列Eを複数個agdAプ
ロモーターに導入することにより高発現プロモーターに
改良されたP-agdA136あるいは、P-agdA142によるα−グ
ルコシダーゼ(AGL)高生産株を育種するために、ま
ず、形質転換用プラスミドpNAGL136あるいは、pNAGL142
を構築した。その構築手順を図9に示す。
【0072】実施例8で構築した改良プロモーターP-ag
dA136あるいは、P-agdA142を含むプラスミドpAGP136あ
るいは、pAGP142をCpoI、BamHIで消化後、アガロース電
気泳動で単離・精製した。次に、α−グルコシダーゼ遺
伝子(agdA)を含むプラスミドpTGF-1[特開平6-6286
8]をCpoI、BamHIで処理し、agdAのコード領域およびタ
ーミネーター領域を含む3.8kb CpoI-BamHI断片を、同様
に単離・精製した。この断片を前述のCpoI、BamHI処理
したプラスミドに挿入してpAGL136あるいは、pAGL142を
構築した。これらのプラスミドをPstI、SmaIで消化後、
4.4kbあるいは、4.7kbの改良agdAプロモーターに連結さ
れたagdA遺伝子のPstI-SmaI断片を単離・精製し、この
断片を実施例4で構築した選択マーカーとしての硝酸還
元酵素遺伝子(niaD)を含むプラスミドpNR10のPstI、S
maIサイトに挿入することにより、形質転換プラスミドp
NAGL136あるいは、pNAGL142を構築した。
【0073】次に、これらのプラスミドを用いて実施例
5で示した方法でアスペルギルス・オリゼの硝酸還元酵
素欠損株(nia14)の形質転換を行い、約300株の形
質転換体を取得後、高生産株のスクリーニングを以下に
述べる方法で行った。形質転換体の分生胞子1白金耳
を、0.05%4−ニトロフェニル−α−D−グルコシド(4N
PG)を含むツァペック・ドックス寒天培地(0.2% NaN
O3、0.1% K2HPO4、0.05% KCl、0.05% MgSO4・7H2O、2%
グルコース、1.5% 寒天、pH 5.5)に接種し、生育した
菌体コロニーの周辺の色が、分泌されたα−グルコシダ
ーゼの作用により基質である4NPGが分解され生じた4−
ニトロフェノールのために黄色に変化し始める時間およ
び色の強さを指標に、スクリーニングを行った。このス
クリーニングにより、活性の強い十数株を選択し、次
に、これらの形質転換体のサザン解析を行い、コピー数
の最も多い株をスクリーニングした。また、同時に、活
性の弱い任意の数株についてもサザン解析を行った。な
お、染色体DNAの調製は、実施例6の方法に従って行
った。ここで得られた染色体DNAをXhoI、SalIで消化
後、アガロース電気泳動で分離し、ナイロンメンブラ
ン、例えば、ハイボンドN(アマシャム社製)にブロッ
トした後、3.8kb CpoI-BamHI断片のagdA遺伝子をプロー
ブとしてサザン解析を行った。この時、ECLランダム
プライムDNAラベリング・検出キット(アマシャム社
製)を用いてプローブのラベリングおよびシグナルの検
出を行った。
【0074】その結果、図10に示すように、アスペル
ギルス・オリゼが本来持っているagdAに相当する7.1kb
のバンドが共通して検出され、それ以外に、使用した高
発現プロモーターの長さに依存した8.0kbあるいは、8.9
kbのバンドが検出され合計2本のシグナルが存在するni
aD遺伝子座で相同的に1コピー、インテグレートしてい
る株、あるいは、この2本のシグナルに加えさらに、使
用した形質転換プラスミド(pNAGL136あるいは、pNAGL1
42)のサイズに相当する12.0kbあるいは、12.3kbのバン
ドもまた検出され合計3本のシグナルが存在する相同的
に2コピー以上、インテグレートしている株、の2通り
のパターンが検出された。また、プレートスクリーニン
グで活性の強かった形質転換体は、いずれも2コピー以
上インテグレートされており、この中から、12.0kbのシ
グナルの最も強い株AGL136-60は、4から5コピー、12.
3kbのシグナルの最も強い株AGL142-72は、3から4コピ
ー、それぞれインテグレートされていると推定された。
【0075】次に、上記のAGL136-60株とAGL142-72株、
それに加えて、形質転換に使用したプラスミドから得ら
れた1コピーおよび2コピー株をそれぞれ2株ずつ選択
した、これら10株の形質転換体のα−グルコシダーゼ
(AGL)活性を測定した。
【0076】選択された10株と親株niaD14の分生胞子
2白金耳を、デキストリン・ペプトン(DP)培地(2%
デキストリン、1% ポリペプトン、0.5% KH2PO4、0.05%
MgSO4・7H2O)あるいは、炭素源が2% グルコースか2%
マルトースのツァペック・ドックス・ポリペプトン(C
D−P)培地(1% ポリペプトン、0.1% K2HPO4、0.05%
MgSO4・7H2O、0.05% KCl、0.01% FeSO4、2% 炭素源、pH
5.5)の3種類の培地15mlに接種し、30℃、3日間振と
う培養後、ガラスフィルターを用いて菌体を除去した培
養濾液を調製した。この培養濾液中のα−グルコシダー
ゼ(AGL)活性は、反応溶液(20mM 酢酸緩衝液、pH 5.
0、0.2% 4−ニトロフェニル−α−D−グルコシド(4NP
G))に適当量、例えば、0.1mlの培養濾液を加え1mlと
し、37℃で任意の時間(1〜60分間)反応後、2.0mlの0.
5M Na2CO3溶液を加えて反応を停止して、反応溶液中に
遊離してくる4−ニトロフェノール(4NP)を405nmの吸
光度の上昇で測定した。1ユニット(U)は、1分間に
1μmolの4NPを遊離する活性と定義した。また、培養濾
液中のタンパク質濃度は、プロテインアッセイ染色液
(バイオラッド社製)により定量した。測定結果を表2
に示す。
【0077】
【表2】
【0078】形質転換体のAGL活性は、いずれの培地で
培養した場合でも親株より非常に高く、例えば、1コピ
ー、インテグレートされるだけでDP培地の時AGL142-9
5株で40倍以上増加した。また、AGL136株、AGL142株の
いずれの形質転換体においても、インテグレートされた
コピー数が多いほど活性が高く、サザン解析の結果、最
もコピー数が多かったAGL136-60株、AGL142-72株では、
DP培地で80倍以上、CD−P培地のグルコースの時で
130倍以上、マルトースの時で25倍以上活性増加が見ら
れた。また、使用した改良プロモーターの活性は、P-ag
dA136よりP-agdA142の方が高く、これを反映して同じコ
ピー数の形質転換体では、AGL142株の方が活性が高かっ
た。
【0079】以上の結果は、niaD遺伝子を選択マーカー
に用いた場合、相同的にインテグレートされるため、染
色体に組み込まれるときの位置効果の影響を受けず、従
って、使用するプロモーターの強さと、インテグレート
されるコピー数により、任意の酵素活性を持つ形質転換
体を取得することが可能であることを意味する。さら
に、形質転換体のAGLの炭素源マルトースに対するグル
コースの相対活性は、親株では15%しか示さないのに対
してほとんどの株で70〜80%を示し、これは、改良プロ
モーターにより生産されるAGLは、グルコース抑制の影
響をほとんど受けないことを意味する。
【0080】また、これらの形質転換体の培養濾液につ
いて、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、
α−グルコシダーゼと同様の分子量のタンパク質が明ら
かに増大していることを確認した。
【0081】
【発明の効果】本発明のエンハンサーDNA塩基配列を
糸状菌で機能するプロモーターに導入することにより、
プロモーターの転写活性が増加するのみならず、任意の
強さのプロモーターを構築でき、さらに、その発現制御
機能の改良も可能となり、既存のプロモーターをより有
用なプロモーターに改良できる。また、このようにして
改良されたプロモーターを含む発現プラスミドを用いれ
ば、産業上有用な酵素、タンパク質、ポリペプチド等
を、安全性が高く高分泌能を有する糸状菌を宿主とし
て、より効率的に大量に製造することが可能となった。
また、本発明のエンハンサー配列に関するプロモーター
の解析は、少なからず糸状菌の発現制御機構の解明に貢
献するものである。
【0082】
【配列表】
【0083】配列番号:1 配列の長さ:3207 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 配列: TCCGTTTCTT AAAAGAACAA CTACAACACG GTCCGGAATC AACTTGGCGG ACCACGAC 58 ATG GCC GGT CTA AAA AGC TTC CTT GCC AGT TCT TGG CTG CTA CCA GTG 106 Met Ala Gly Leu Lys Ser Phe Leu Ala Ser Ser Trp Leu Leu Pro Val 1 5 10 15 GCT TGC GGG GCG AGT CAA TCT ATC GTT CCT AGC ACT TCG GCA ACA GCG 154 Ala Cys Gly Ala Ser Gln Ser Ile Val Pro Ser Thr Ser Ala Thr Ala 20 25 30 GCA TAC TCG CAG TTC ACC ATT CCC GCC TCT GCC GAT GTG GGC GCG AAT 202 Ala Tyr Ser Gln Phe Thr Ile Pro Ala Ser Ala Asp Val Gly Ala Asn 35 40 45 TTG GTC GCC AAC ATT GAT GAC CCC CAA GCG GTC AAC GCG CAA TCT GTC 250 Leu Val Ala Asn Ile Asp Asp Pro Gln Ala Val Asn Ala Gln Ser Val 50 55 60 TGT CCG GGC TAC AAG GCC TCC GAT GTG AAA CAT TCC TCC CAG GGT TTC 298 Cys Pro Gly Tyr Lys Ala Ser Asp Val Lys His Ser Ser Gln Gly Phe 65 70 75 80 ACC GCT AGC CTG GAG TTG GCT GGA GAC CCT TGT AAT GTT TAC GGA ACG 346 Thr Ala Ser Leu Glu Leu Ala Gly Asp Pro Cys Asn Val Tyr Gly Thr 85 90 95 GAC GTC GAT TCG TTG ACC CTG ACC GTG GAA TAC CAG GCA AAG GAT CGT 394 Asp Val Asp Ser Leu Thr Leu Thr Val Glu Tyr Gln Ala Lys Asp Arg 100 105 110 TTG AAC ATC CAG ATT GTT CCG ACG TAT TTT GAC GCC TCC AAT GCA TCT 442 Leu Asn Ile Gln Ile Val Pro Thr Tyr Phe Asp Ala Ser Asn Ala Ser 115 120 125 TGG TAC ATT CTT TCG GAA GAG CTA GTG CCC AGA CCA AAG GCT TCC CAA 490 Trp Tyr Ile Leu Ser Glu Glu Leu Val Pro Arg Pro Lys Ala Ser Gln 130 135 140 AAT GCA TCG GTT CCT CAG AGT GAT TTT GTT GTC TCT TGG TCC AAC GAA 538 Asn Ala Ser Val Pro Gln Ser Asp Phe Val Val Ser Trp Ser Asn Glu 145 150 155 160 CCT TCT TTC AAC TTT AAG GTG ATC CGA AAA GCT ACT GGT GAC GTG CTA 586 Pro Ser Phe Asn Phe Lys Val Ile Arg Lys Ala Thr Gly Asp Val Leu 165 170 175 TTC AAC ACA AAG GGC TCT ACC TTA GTC TAC GAG AAT CAG TTC ATA GAA 634 Phe Asn Thr Lys Gly Ser Thr Leu Val Tyr Glu Asn Gln Phe Ile Glu 180 185 190 TTT GTC ACG TTG TTG CCT GAA GAA TAT AAC CTA TAT GGC TTG GGA GAG 682 Phe Val Thr Leu Leu Pro Glu Glu Tyr Asn Leu Tyr Gly Leu Gly Glu 195 200 205 CGG ATG AAC CAG CTG CGG CTA CTG GAG AAC GCT AAT TTG ACG CTA TAT 730 Arg Met Asn Gln Leu Arg Leu Leu Glu Asn Ala Asn Leu Thr Leu Tyr 210 215 220 GCC GCA GAT ATC GCA GAT CCC ATT GAC GA gtacgtatct ggcatttggt gc 781 Ala Ala Asp Ile Ala Asp Pro Ile Asp As 225 230 ggcccatt aggttttagg ctaatccatg gacctctag T AAC ATC TAT GGA CAT CA 837 p Asn Ile Tyr Gly His His 235 240 GCA TTT TAC TTG GAT ACA AGG TAC TAC AAG GTG GGT GGT CAG AAT AAG 885 Ala Phe Tyr Leu Asp Thr Arg Tyr Tyr Lys Val Gly Gly Gln Asn Lys 245 250 255 AGC CAT ACC ATA GTC AAG AGC AGC GAA GCG GAA CCA TCT CAA GAA TAC 933 Ser His Thr Ile Val Lys Ser Ser Glu Ala Glu Pro Ser Gln Glu Tyr 260 265 270 GTC TCA TAT TCT CAC GGA GTG TTC CTC AGA AAT GCC CAT GGA CAG GAG 981 Val Ser Tyr Ser His Gly Val Phe Leu Arg Asn Ala His Gly Gln Glu 275 280 285 ATC CTC CTG CGG GAT CAA AAG TTG ATC TGG CGC ACT CTG GGA GGA AGC 1029 Ile Leu Leu Arg Asp Gln Lys Leu Ile Trp Arg Thr Leu Gly Gly Ser 290 295 300 GTT GAT CTG ACA TTC TAC TCT GGC CCA ACG CAA GCC GAG GTC ACC AAG 1077 Val Asp Leu Thr Phe Tyr Ser Gly Pro Thr Gln Ala Glu Val Thr Lys 305 310 315 320 CAA TAT CAG CTC AGC ACC GTG GGA CTG CCT GCC ATG CAG CAA TAT AAC 1125 Gln Tyr Gln Leu Ser Thr Val Gly Leu Pro Ala Met Gln Gln Tyr Asn 325 330 335 ACG CTC GGA TTT CAC CAG TGC CGC TGG GGC TAT AAC AAC TGG TCC GAA 1173 Thr Leu Gly Phe His Gln Cys Arg Trp Gly Tyr Asn Asn Trp Ser Glu 340 345 350 TTT GAA GAC GTA CTT GCC AAT TTC GAG AGA TTC GAG ATT CCT TTG GAG 1221 Phe Glu Asp Val Leu Ala Asn Phe Glu Arg Phe Glu Ile Pro Leu Glu 355 360 365 TAC CTC TG gtaagaaaca tgttcgtcgc tcattcggct tccttctaac gcctatat 1277 Tyr Leu Tr 370 gc ag G GCC GAT ATC GAT TAC ATG CAT GGA TAT CGC AAT TTT GAC 1321 p Ala Asp Ile Asp Tyr Met His Gly Tyr Arg Asn Phe Asp 375 380 AAT GAC CAA CAT CGC TTT TCG TAT GAA GAA GGT GAA AAG TTC CTC AAC 1369 Asn Asp Gln His Arg Phe Ser Tyr Glu Glu Gly Glu Lys Phe Leu Asn 385 390 395 400 AAG CTT CAC GCC GGT GGA CGT CGC TGG GTC CCA ATC GTT GAC GGA GCT 1417 Lys Leu His Ala Gly Gly Arg Arg Trp Val Pro Ile Val Asp Gly Ala 405 410 415 CTT TAT ATT CCC AAT CCG GAG AAC GCT TCT GAT GC gtaagtggcc gtctt 1467 Leu Tyr Ile Pro Asn Pro Glu Asn Ala Ser Asp Al 420 425 ccaca tactcttgcc cgtgaacgaa gactcaccgt gattatag T TAC GAA ACT TAT 1523 a Tyr Glu Thr Tyr 430 GAC AGA GGC GCC AAG GAC GAT GTT TTC ATC AAG AAT CCC GAC GGC AGT 1571 Asp Arg Gly Ala Lys Asp Asp Val Phe Ile Lys Asn Pro Asp Gly Ser 435 440 445 CTA TAC ATT GGC GCT GTC TGG CCT GGC TAT ACT GTC TAC CCC GAC TGG 1619 Leu Tyr Ile Gly Ala Val Trp Pro Gly Tyr Thr Val Tyr Pro Asp Trp 450 455 460 CAT CAT CCT AAG GCC TCC GAT TTC TGG GCT AAT GAG CTG GTC ACC TGG 1667 His His Pro Lys Ala Ser Asp Phe Trp Ala Asn Glu Leu Val Thr Trp 465 470 475 480 TGG AAC AAG CTG CAT TAT GAT GGG GTC TGG TAC GAC ATG GCT GAA GTT 1715 Trp Asn Lys Leu His Tyr Asp Gly Val Trp Tyr Asp Met Ala Glu Val 485 490 495 TCT TCC TTC TGC GTA GGG AGC TGC GGA ACT GGC AAT CTG TCA ATG AAC 1763 Ser Ser Phe Cys Val Gly Ser Cys Gly Thr Gly Asn Leu Ser Met Asn 500 505 510 CCG GCT CAT CCA CCG TTC GCT CTC CCC GGC GAA CCA GGG AAC GTC GTC 1811 Pro Ala His Pro Pro Phe Ala Leu Pro Gly Glu Pro Gly Asn Val Val 515 520 525 TAT GAT TAT CCA GAG GGC TTT AAC ATC ACC AAT GCT ACG GAA GCA GCC 1859 Tyr Asp Tyr Pro Glu Gly Phe Asn Ile Thr Asn Ala Thr Glu Ala Ala 530 535 540 TCA GCA TCC GCT GGG GCG GCA AGC CAA TCC GCA GCG GCA TCA TCC ACA 1907 Ser Ala Ser Ala Gly Ala Ala Ser Gln Ser Ala Ala Ala Ser Ser Thr 545 550 555 560 ACT ACA TCA GCC CCC TAC CTG CGT ACA ACA CCT ACC CCC GGA GTT CGT 1955 Thr Thr Ser Ala Pro Tyr Leu Arg Thr Thr Pro Thr Pro Gly Val Arg 565 570 575 AAT GTT GAC CAC CCT CCT TAT GTT ATC AAC CAT GTC CAA CCT GGC CAC 2003 Asn Val Asp His Pro Pro Tyr Val Ile Asn His Val Gln Pro Gly His 580 585 590 GAC CTG AGC GTT CAC GCC ATC TCA CCA AAT TCT ACT CAC TCG GAT GGG 2051 Asp Leu Ser Val His Ala Ile Ser Pro Asn Ser Thr His Ser Asp Gly 595 600 605 GTC CAG GAG TAT GAT GTA CAC AGT CTT TAC GGC CAC CAA GGC ATA AAT 2099 Val Gln Glu Tyr Asp Val His Ser Leu Tyr Gly His Gln Gly Ile Asn 610 615 620 GCA ACC TAT CAC GGA TTG CTC AAG GTG TGG GAG AAC AAA CGC CCC TTT 2147 Ala Thr Tyr His Gly Leu Leu Lys Val Trp Glu Asn Lys Arg Pro Phe 625 630 635 640 ATC ATC GCA CGC TCT ACA TTT TCC GGC TCT GGG AAA TGG GCC GGC CAC 2195 Ile Ile Ala Arg Ser Thr Phe Ser Gly Ser Gly Lys Trp Ala Gly His 645 650 655 TGG GGT GGT GAT AAC TTC TCC AAA TGG GGA TCG ATG TTC TTT TCG ATC 2243 Trp Gly Gly Asp Asn Phe Ser Lys Trp Gly Ser Met Phe Phe Ser Ile 660 665 670 TCG CAG GCC CTC CAG TTC TCG CTC TTT GGC ATC CCT ATG TTT GGT GTT 2291 Ser Gln Ala Leu Gln Phe Ser Leu Phe Gly Ile Pro Met Phe Gly Val 675 680 685 GAC ACC TGT GGT TTC AAT GGA AAC ACG GAT GAG GAG CTA TGC AAC CGA 2339 Asp Thr Cys Gly Phe Asn Gly Asn Thr Asp Glu Glu Leu Cys Asn Arg 690 695 700 TGG ATG CAG CTC TCG GCC TTT TTC CCT TTC TAC CGC AAC CAT AAT GTT 2387 Trp Met Gln Leu Ser Ala Phe Phe Pro Phe Tyr Arg Asn His Asn Val 705 710 715 720 CTC TCT GCA ATC CCA CAA GAG CCC TAT CGG TGG GCG TCC GTG ATC GAT 2435 Leu Ser Ala Ile Pro Gln Glu Pro Tyr Arg Trp Ala Ser Val Ile Asp 725 730 735 GCC ACG AAG GCG GCA ATG AAC ATT CGA TAC GCT ATT TTG CCG TAC TTT 2483 Ala Thr Lys Ala Ala Met Asn Ile Arg Tyr Ala Ile Leu Pro Tyr Phe 740 745 750 TAC ACC CTG TTC CAT TTG GCC CAC ACC ACT GGA TCT ACG GTC ATG CGC 2531 Tyr Thr Leu Phe His Leu Ala His Thr Thr Gly Ser Thr Val Met Arg 755 760 765 GCA CTT GCG TGG GAG TTC CCG AAT GAC CCC TCC CTA GCT GCT GTC GGC 2579 Ala Leu Ala Trp Glu Phe Pro Asn Asp Pro Ser Leu Ala Ala Val Gly 770 775 780 ACC CAA TTT CTT GTC GGT CCC TCG GTC ATG GTG ATT CCT GTT CTT GAG 2627 Thr Gln Phe Leu Val Gly Pro Ser Val Met Val Ile Pro Val Leu Glu 785 790 795 800 CCA CAG GTA GAT ACT GTC CAG GGT GTC TTC CCA GGT GTT GGA CAT GGG 2675 Pro Gln Val Asp Thr Val Gln Gly Val Phe Pro Gly Val Gly His Gly 805 810 815 GAA GTC TGG TAC GAC TGG TAC TCT CAA ACA GCT GTT GAT GCA AAG CCC 2723 Glu Val Trp Tyr Asp Trp Tyr Ser Gln Thr Ala Val Asp Ala Lys Pro 820 825 830 GGT GTC AAC ACA ACA ATC TCA GCG CCA CTG GGC CAC ATT CCG GTT TTC 2771 Gly Val Asn Thr Thr Ile Ser Ala Pro Leu Gly His Ile Pro Val Phe 835 840 845 GTT CGT GGT GGT AGC ATT CTG CCC ATG CAG GAG GTT GCG CTG ACC ACT 2819 Val Arg Gly Gly Ser Ile Leu Pro Met Gln Glu Val Ala Leu Thr Thr 850 855 860 CGC GAC GCT CGC AAG ACC CCC TGG TCT TTG CTC GCG TCG CTG AGC AGT 2867 Arg Asp Ala Arg Lys Thr Pro Trp Ser Leu Leu Ala Ser Leu Ser Ser 865 870 875 880 AAT GGA ACT GCC TCT GGC CAG CTC TAC CTC GAT GAT GGA GAA AGT GTC 2915 Asn Gly Thr Ala Ser Gly Gln Leu Tyr Leu Asp Asp Gly Glu Ser Val 885 890 895 TAC CCC GAG GAT ACG CTT TCT GTG GAC TTC CTG GCG TCT CGC TCC ACT 2963 Tyr Pro Glu Asp Thr Leu Ser Val Asp Phe Leu Ala Ser Arg Ser Thr 900 905 910 CTC CGA GCC TCT GCG CGG GGT ACT TGG AAG GAG GCG AAT CCA CTA GCG 3011 Leu Arg Ala Ser Ala Arg Gly Thr Trp Lys Glu Ala Asn Pro Leu Ala 915 920 925 AAT GTG ACG GTA CTT GGT GTG ACT GAG AAG CCA TCC TCA GTG ACA CTC 3059 Asn Val Thr Val Leu Gly Val Thr Glu Lys Pro Ser Ser Val Thr Leu 930 935 940 AAT GGC GAG ACG CTC TCC TCC GAC TCT GTG AAG TAT AAC GCC ACC TCA 3107 Asn Gly Glu Thr Leu Ser Ser Asp Ser Val Lys Tyr Asn Ala Thr Ser 945 950 955 960 CAC GTT CTC CAC GTT GGT GGC TTG CAG AAG CAC ACA GCG GAT GGA GCA 3155 His Val Leu His Val Gly Gly Leu Gln Lys His Thr Ala Asp Gly Ala 965 970 975 TGG GCG AAG GAC TGG GTA CTG AAA TGG TGAAGGAAGC GTAACAGGAT AGCCT 3207 Trp Ala Lys Asp Trp Val Leu Lys Trp 980 985
【0084】配列番号:2 配列の長さ:720 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 配列: GCCATCGGAT GCTCCCGTCA TGGCACCACT AGAGATGGCG TGGAAAACCC TCACCGGCAC 60 ACCGGAGGGG TTTAGGCACC TTGGAATATG AGGTGGGGAA CGATGTATTT GCCAGTATTG 120 ACTCTGGTGA ATGGATCTCT CGAGAAATAC TACCTTTTCA GGGCTCAAGC GTCGTGTCGG 180 GCATTTATCG GGGGATGGAC CAATCAGCGT AGGGATATCA GATGATCGCC AGCATTGGTC 240 AGGAACGTTT CCAATTTCCG GACACGGAAG TACTGTAACT GCTCCCAAGA ATCAACACAC 300 TCTTTTCCGG TCTCGTCCTT TGCTCGGCAG AGATTCATCT CCCATCGTCG GCTTAACCGG 360 TACTCTTTCG TCACGTTCCA AAAGGCTTGA TCATGCTGTC CCCACTCCGT GCGGGTGAAG 420 CCACCTCATT GCTGCGTAGG ACCTATACCC TTCAACTAGC GTGACTTCTT CCCCTCTCAT 480 GGTCGAGAGA TTGCAGGCAA TGCCCCTCGG ACGTTTGACG GGGAATGTTT TGCCTTCACG 540 GCAGGTAGCA CAAATCGATG GGAACGGGAC GGGCCATCAA TTGTGAGGGA TTTCCCGTGG 600 ACACCTGGTT CGTCAAGACA TATACATCTA GCTACAATTC CGGTTCGGAG ACGGCAGAGG 660 GGTCCGTTTC TTAAAAGAAC AACTACAACA CGGTCCGGAA TCAACTTGGC GGACCACGAC 720
【0085】配列番号:3 配列の長さ:840 配列の型:核酸 鎖の数:二本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 配列: TGAAGGAAGC GTAACAGGAT AGCCTAGACC CACATACTAT CTGTATACAA CTCCGCAATA 60 TGAAGTGATG AATGCAAACT AGCAGCGAAT CGGATATCAG TAGCATAACG TAATCGGTAA 120 GCGAGTTGCC CGCGCAAGCG AGTTGCCCAC CACACGCGTT TTCAACGCGC CTCAATTTCT 180 TAGATGATTA AAACATCAGC CATACCACCA AAAATACCTA AATCAAAAAA ATCACGCGTT 240 GAGCAGGAAG GCAGAATCCT ATTAGCTATA TCAGCTATAA AAAAACAAGA AATCAGCAGT 300 TTTAGAAAGG CAGCTGAAAT TTTTAATATA CCTATCGCTA CACTACGTTA TCGTCTAAAT 360 GGAGGTTCCT TTCGAAATGA TACTCGTGCC AATAGTTATA AAATAACTTC TAGTGAAGAG 420 AAATCGCTTA AAAAATAGAT TCTATCACTA GATAAACGTG GAGCACCTCC TCGGCCTGTA 480 CACGTACGAG AAATAGCCAA TATCCTGCTT TTAAAGCGTA ATACTACCTC CCCCCCTACT 540 ACTGTAGAGG AGAAATGGGT ATACAACTTT ACCAAGCGTA CACCTAAGCT TAAATTCTGC 600 TTTGCACGTC GCTACAACTA TCAGCATGCC AAGGTAGAGG ATCCTAAGGT TCTAGGTACT 660 TAGTTTAAGC AGGTAAATAA GGTTATTCAG AAGTACGGTA TAGCTTCAAG CGATATATAC 720 AATTTTAATA AAACGGGGTT TATAATGGGC CTAATAGCTA CAGCCAAAGT TGTTACTAGA 780 TCTAATATGC CAGGGAAACT ATTTTTATTA CAGCTAGAGA ACCGGGAATG GGTTACTGCC 840
【図面の簡単な説明】
【図1】α−グルコシダーゼ遺伝子のプロモーター領域
の制限酵素地図およびエンハンサー配列とその周辺の塩
基配列を示す。
【図2】プラスミドpNAGT4およびpNAGG1-1の構築手順を
示す。
【図3】GUS遺伝子のniaD遺伝子座での相同的インテグ
レーションパターンを示す。
【図4】α−グルコシダーゼ遺伝子の各種欠失プロモー
ターの相対活性を示す。
【図5】エンハンサー塩基配列Bの揺らぎ部分の2塩基
対を任意の塩基と置換したときのプロモーター活性を示
す。
【図6】エンハンサー塩基配列Eをプロモーターに導入
したときのプロモーター活性を示す。
【図7】エンハンサー塩基配列Eを導入したプロモータ
ーのノーザンブロット解析を示す電気泳動の図面代用写
真である。
【図8】プラスミドpNAG136およびpNAG142の構築手順を
示す。
【図9】プラスミドpNAGL136およびpNAGL142の構築手順
を示す。
【図10】α−グルコシダーゼ遺伝子のniaD遺伝子座で
の相同的インテグレーションパターンを示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:69) (72)発明者 尾関 健二 兵庫県西宮市今津出在家町4番9号 大 関株式会社総合研究所内 (72)発明者 神田 晃敬 兵庫県西宮市今津出在家町4番9号 大 関株式会社総合研究所内 (72)発明者 布川 彌太郎 兵庫県西宮市今津出在家町4番9号 大 関株式会社総合研究所内 (72)発明者 五味 勝也 東京都北区滝野川2丁目6番RC101 (72)発明者 北本 勝ひこ 茨城県牛久市上柏田3丁目14番18号 (72)発明者 高橋 康次郎 東京都北区滝野川2丁目6番30号 国税 庁醸造試験所内 (72)発明者 田村 學造 東京都大田区山王2丁目17番12号 (56)参考文献 特開 平6−62868(JP,A) Curr.Genet.,22,85−91 Biosci.Biotech.Bi ochem.,1995年,59(8),1516 −1521 Curr.Genet.,1996年, 30,432−438 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 15/00 - 15/90 C12P 21/02 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) WPI(DIALOG)

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列−CGGNNATTTA−を含有す
    るエンハンサーDNA塩基配列。
  2. 【請求項2】 NNがGCである請求項1記載のエンハ
    ンサーDNA塩基配列。
  3. 【請求項3】 配列−CCAATCAGCGT−を含有
    するエンハンサーDNA塩基配列。
  4. 【請求項4】 請求項1または3記載の配列を含有する
    エンハンサーDNA塩基配列。
  5. 【請求項5】 NNがGCである請求項4記載のエンハ
    ンサーDNA塩基配列。
  6. 【請求項6】 請求項1または3記載のエンハンサーD
    NA塩基配列を、1個または複数個、糸状菌で機能する
    プロモーター領域に導入したことを特徴とする改良プロ
    モーター。
  7. 【請求項7】 プロモーター領域が糸状菌由来の加水分
    解酵素遺伝子、または、解糖系酵素遺伝子のプロモータ
    ー領域である請求項6記載の改良プロモーター。
  8. 【請求項8】 プロモーター領域が、配列番号:2で示
    されるアスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)
    由来のα−グルコシダーゼ遺伝子のプロモーター領域、
    あるいは、その部分配列を含むプロモーター領域である
    請求項6記載の改良プロモーター。
  9. 【請求項9】 請求項6記載の改良プロモーターを有
    し、宿主糸状菌の形質転換体の選択に好適なマーカー遺
    伝子を有し、ターミネーターを有し、大腸菌で複製可能
    なDNA領域を有する、糸状菌におけるポリペプチド発
    現用プラスミド。
  10. 【請求項10】 マーカー遺伝子が糸状菌由来の硝酸還
    元酵素遺伝子、オルニチンカルバモイルトランスフェラ
    ーゼ遺伝子、トリプトファンシンターゼ遺伝子、または
    アセトアミダーゼ遺伝子である請求項9記載のプラスミ
    ド。
  11. 【請求項11】 マーカー遺伝子が、アスペルギルス属
    由来の硝酸還元酵素遺伝子である請求項9記載のプラス
    ミド。
  12. 【請求項12】 ターミネーターが、配列番号:3で示
    されるアスペルギルス・オリゼ由来のα−グルコシダー
    ゼ遺伝子のターミネーター、あるいは、その部分配列を
    含むターミネーターである請求項9記載のプラスミド。
  13. 【請求項13】 ポリペプチドをコードするDNAをプ
    ロモーターおよびターミネーターの間に有する請求項9
    記載のプラスミド。
  14. 【請求項14】 請求項13記載のプラスミドを糸状菌
    に導入し、得られた形質転換体を培養することよりなる
    ポリペプチドの製造法。
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