JP2000507188A - 液圧式車両ブレーキ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は液体ポンプ（１８）と、パワー制動のための高圧液体アキュムレータ（２４）と、従来のマスタブレーキシリンダとを備えた液圧式車両ブレーキ装置であって、マスタブレーキシリンダ（１０）が、パワー制動のためのブレーキ力目標値発生器として役立つと共に、パワーブレーキ装置の故障時にマニュアルでブレーキ装置を操作するためにも役立つ形式のものに関する。本発明は、液体ポンプ（１８）の吸込側を低圧液体アキュムレータ（２０）に接続し、この低圧液体アキュムレータ内に、ホイールブレーキ圧の降下時にホイールブレーキシリンダ（１６）からブレーキ液を流入せしめることを提案する。本発明の有する利点は、マスタブレーキシリンダ（１０）のリザーバ（１２）への液体ポンプの接続が不要となるため、それに付随する非シール性にもとづき、パワーブレーキ装置並びにマニュアルブレーキ装置の機能がリスクにさらされることが回避されることにある。

Description

【発明の詳細な説明】 液圧式車両ブレーキ装置 従来技術 本発明は請求項１の上位概念に記載した形式の、常用パワーブレーキ装置と補 助マニュアルブレーキ装置とを備えた液圧式車両ブレーキ装置に関する。 この種の車両ブレーキ装置はＳ．Ａ．Ｅ．ペーパ（S.A.E.-Paper）９６０９９ １号から公知である。この公知の車両ブレーキ装置は１つのマスタブレーキシリ ンダを備えており、このマスタブレーキシリンダには少なくとも１つの遮断弁を 介してホイールブレーキシリンダが接続されている。さらに、この公知の車両ブ レーキ装置は、リザーバからブレーキ液を吸い込んで高圧液体アキュムレータ内 へ搬送する液体ポンプを備えている。高圧液体アキュムレータは動力エネルギア キュムレータを形成しており、液体ポンプは高圧液体アキュムレータと共に動力 エネルギ源を形成している。ホイールブレーキシリンダはブレーキ圧形成弁を介 して高圧液体アキュムレータもしくは液体ポンプの圧力側に接続されている。ホ イールブレーキシリンダはそれぞれホイールブレーキシリンダの下流に接続され たブレーキ圧降下弁を介してリザーバに接続可能である。 パワー制動のために少なくとも１つの遮断弁が閉じられ、ブレーキ圧形成弁が 開放され、その結果、加圧下のブレーキ液が高圧液体アキュムレータからホイー ルブレーキシリンダ内へ流入する。ホイールシリンダ内に形成されるホイールブ レーキ圧及びこれにより生じる制動トルクはブレーキ圧形成弁とブレーキ圧降下 弁とを介して自体公知の形式で調整されかつ変化させられる。パワー制動時に少 なくとも１つの閉じた遮断弁によってホイールブレーキシリンダから液圧的に遮 断されたマスタブレーキシリンダは、このことにより制動トルク目標値発生器と してのみ役立ち、この制動トルク目標値発生器の操作に依存してホイールブレー キ圧が調整される。 例えば動力エネルギ源の故障時の補助制動のために、例えば遮断弁が自発的に 開放され、かつブレーキ圧形成弁及びブレーキ圧降下弁が従来形式でマスタブレ ーキシリンダを介してその閉鎖位置へ戻されることで制動が行われる。 発明の利点 請求項１の特徴を備えた本発明にもとづく車両ブレーキ装置は低圧液体アキュ ムレータを備えており、ホイールブレーキ圧を降下させるためにブレーキ圧降下 弁が開放されると、液体ポンプがこの低圧液体アキュムレータからブレーキ液を 吸込み、かつ、ホイールブレーキシリンダからこの低圧液体アキュムレータ内へ ブレーキ液が流入する。低圧液体アキュムレータを使用することによって、パワ ーブレーキ装置のためにいかなる場合でもブレーキ液リザーバを省くことができ 、液体ポンプがマスタブレーキシリンダのブレーキ液リザーバに接続されておら ず、かつパワー制動中にブレーキ液がホイールブレーキシリンダからマスタブレ ーキシリンダへ向かって又はそのリザーバ内へ逆流しない。パワーブレーキ装置 は閉じた系を形成し、これが故障に対する高い安全性を保証する。さらに、マス タブレーキシリンダのリザーバへの液圧的な接続が不要であり、かつ液体ポンプ のための吸込導管としての並びにホイールブレーキシリンダからの戻し導管とし ての液圧導管が不要である。このことはまず、リザーバに接続部を設ける必要な しに、ブレーキ液リザーバを装備した現存のマスタブレーキシリンダが使用でき るという利点を有している。別の利点は、この種の接続部及び液圧導管が省かれ ることにより、それらに付随する非シール性のリスクも排除されることにある。 リザーバ又は前述の液圧導管の接続部の１つに非シール性が生じれば、それがパ ワーブレーキ装置並びに筋力ブレーキ装置に働いてブレーキ装置全体を機能不能 に陥れる致命的な結果を招く。本発明にもとづく車両ブレーキ装置は、要するに 、その常用パワーブレーキ装置と補助マニュアルブレーキ装置とが冗長的であり 、これにより、故障に対する著しく向上した安全性が 得られるという利点を有している。 従属項には主請求項に記載した発明の有利な構成及び変化実施例が記載されて いる。 図面 次に２つの実施例につき本発明を詳細に説明する。 第１図及び第２図は本発明にもとづく車両ブレーキ装置のそれぞれ１つの実施 例を示す。 実施例の記載 第１図に示された本発明にもとづく車両ブレーキ装置はブレーキ液リザーバ１ ２を備えたタンデム形マスタブレーキシリンダ１０を有しており、このブレーキ 液リザーバには２つのブレーキ回路が接続されている。マスタブレーキシリンダ １０にはその下流に、基本位置で開らく遮断弁１４がそれぞれのブレーキ回路内 に配置されており、これらの遮断弁を介してホイールブレーキシリンダ１６がマ スタブレーキシリンダ１０に液圧的に接続されている。 さらに、第１図に示された本発明にもとづく車両ブレーキ装置はポンプモータ １９を備えた液体ポンプ１８を有しており、液体ポンプの吸込側が低圧液体アキ ュムレータ２０に接続されており、かつ液体ポンプの吐出側にはチェック弁２２ を介して高圧液体アキュムレータ２４が接続されている。ホイールブレーキシリ ンダ１６は、差圧弁２８を内蔵していて基本位置で閉じるブレーキ圧形成弁２６ を介して液体ポンプ１８の 吐出側と高圧液体アキュムレータ２４とに接続されている。ホイールブレーキシ リンダ１６は、その下流に配置されていて基本位置で閉じるブレーキ圧降下弁３ ０を介して液圧的に低圧液体アキュムレータ２０と液体ポンプ１８の吸込側とに 接続されている。 液体ポンプ１８の吐出側から吸込側へ通じた液圧導管内には基本位置で閉じる ２つのペダル行程弁３２，３４が直列に配置されており、それらの間に、マスタ ブレーキシリンダ１０の押しのけ室、図示の実施例では遊動ピストン形押しのけ 室が接続されている。 図示の実施例では１車両軸の車両ホイールのホイールブレーキシリンダ１６が 共通してタンデム形マスタブレーキシリンダ１０の１つの押しのけ室に、要する に１つのブレーキ回路に接続されており、それも、後車輪のホイールブレーキシ リンダ１６は、既に説明したように付加的にペダル行程弁３２，３４の間に接続 されている遊動ピストン形押しのけ室に接続されている。遮断弁１４から一方の ホイールブレーキシリンダ１６へ通じたブレーキ導管内には、基本位置で開くイ コライジング弁３６が配置されており、１車両軸の車両ホイールのホイールブレ ーキシリンダ１６はこのイコライジング弁を介して液圧的に互いに接続されてお り、かつイコライジング弁３６の閉鎖により互いに遮断可能である。 本発明にもとづく車両ブレーキ装置はそれぞれのホ イールブレーキシリンダ１６にホイール圧力センサ３８を、高圧液体アキュムレ ータ２４にパワーセンサ４０を、マスタブレーキシリンダ１０のそれぞれの押し のけ室のために圧力センサ４２を、かつマスタブレーキシリンダ１０を操作する ブレーキペダル４６のためにぺダル行程センサ４４を備えている。さらに、それ ぞれの車両ホイール１６にホイール回転センサ４８が設けられている。 すべての弁１４，２６，３０，３２，３４，３６は図示の実施例では２ポート ２位置方向制御マグネット弁として形成されている。圧力形成弁２８及び圧力降 下弁３０はペダル行程弁３２，３４と同様に３ポート３位置方向制御マグネット 弁に置き換えられてもよい（図示せず）。ブレーキ圧形成弁２８及びブレーキ圧 降下弁３０及びペダル行程弁３２，３４は制御の品位の改善のために比例弁とし て形成されている。ペダル行程弁はさらに、第２図に示されているように、比例 圧力制御弁５０，５２として形成されることもできる。その他の点では、第２図 に示された本発明にもとづく車両ブレーキ装置は第１図に示されたブレーキ装置 と同じに構成されかつ同じ形式で機能する。第２図に関して第１図の対応する構 成が参照される。弁１４，２６，３０，３２，３４，３６及びポンプモータ１９ の制御は、圧力センサ３８，４０，４２、ペダル行程センサ４４及びホイール回 転センサ４８からの信号を 受け取る電子制御装置５４を介して行われる。 パワー制動 パワー制動のためには遮断弁１４が閉じられ、要するにマスタブレーキシリン ダ１０がホイールブレーキシリンダ１６から液圧的に遮断される。マスタブレー キシリンダ１０はパワー制動のためにはブレーキ力目標値発生器として役立てら れる。マスタブレーキシリンダ１０の押しのけ室に接続された圧力センサ４２に よって押しのけ室内の圧力が測定される。この圧力はブレーキペダルの踏力に依 存しており、従ってこれらの圧力センサ４２を以下に踏力センサ４２と記載する 。パワー制動のためには両方の踏力センサ４２の一方の踏力センサの信号が引き 出され、他方の踏力センサ４２は一方の踏力センサの故障時の安全のために冗長 的に設けられている。 液体ポンプ１８と高圧液体アキュムレータ２４とが動力エネルギ源を形成し、 高圧液体アキュムレータ２４は動力エネルギアキュムレータを形成しており、そ の圧力はこれに接続されたパワーセンサ４０によって測定される。パワー制動の ためには、ブレーキ液が高圧液体アキュムレータ２４から取り出される。高圧液 体アキュムレータ２４は液体ポンプ１８によって加圧されており、その場合、補 充は時々行われるだけで十分であり、要するに液体ポンプ１８が一時的に接続さ れる。 ブレーキ圧形成弁２６及びブレーキ圧降下弁３０によって、ブレーキペダル４ ６の踏み込みによりマスタブレーキシリンダ１０内に生じる圧力に依存するホイ ールブレーキ圧がホイールブレーキシリンダ１６内に調整される。それぞれのホ イールブレーキシリンダ１６に対応して１つのブレーキ圧形成弁２６と１つのブ レーキ圧降下弁３０とが配置されているため、イコライジング弁３６の閉鎖後に ホイールブレーキ圧がそれぞれのホイールにおいて別々に調整される。ブレーキ 圧形成弁２６とブレーキ圧降下弁３０とによるホイールブレーキ圧変調によって 公知形式でスリップ制御が可能である。個々のホイールごとの圧力制御が行われ ない限りにおいて、複数のホイールブレーキシリンダ１６、例えば１車両軸の車 両ホイールのホイールブレーキシリンダ１６内のホイールブレーキ圧又はすべて のホイールブレーキシリンダ１６内のホイールブレーキ圧は１つのブレーキ圧形 成弁２６と１つのブレーキ圧降下弁３とによって共通して制御されることができ る。 マスタブレーキシリンダ１０が操作されていない場合、必要に応じて、液体ポ ンプ１８の吸込側に配置されたペダル行程弁３４を開放することで、高圧液体ア キュムレータ２４は液体ポンプ１８を介してマスタブレーキシリンダ１０のリザ ーバ１２からブレーキ液の補充を受けることができる。例えば熱膨張により高圧 液体アキュムレータ２４からブレーキ液がリザーバ１２内へ達した場合には、高 圧液体アキュムレータ２４の補充が必要である。 両方のペダル行程弁３２，３４は両方の液体アキュムレータ２０，２４及び液 体ポンプ１８と共にパワー制動のための能動的なペダル行程シュミレータを形成 している。パワー制動時には遮断弁１４が閉じられ、その結果、マスタブレーキ シリンダ１０からホイールブレーキシリンダ１６へ向かってブレーキ液が押しの けられることができない。それにもかかわらずペダル行程を得るために、液体ポ ンプ１８の吸込側に配置されたペダル行程弁３４が、所望のペダル行程が得られ るまで開放される。ブレーキペダル４６を戻すために、液体ポンプ１８の吐出側 に配置されたペダル行程弁３２が開放され、その結果、ブレーキ液が高圧液体ア キュムレータ２４からマスタブレーキシリンダ１０内へ流入し、これをブレーキ ペダル４６と一緒に元の位置へ戻す。 ペダル行程センサ４４により測定されるペダル行程は、ブレーキペダル４６の 踏力に依存してマスタブレーキシリンダ１０内に生じて踏力センサ４２により測 定される圧力に依存して調整される。この形式で、それぞれ所望の踏力／行程特 性曲線が調整される。さらに、電子制御装置５４を介してペダル行程弁３２，３ ４を制御する調整アルゴリズムを変化させることによ り踏力／行程特性曲線を簡単に変化させることもできる。その場合、車両ブレー キ装置の液圧的な構成部分の変更は不要である。このことにより簡単に車両ブレ ーキ装置を種々異なる車両に適合させることが可能である。さらにまた、踏力／ 行程特性曲線をそれぞれの運転者の希望に適合させることも考えられる。 能動的なペダル行程シュミレータ１８，２０，２４，３２，３４は、第２図に 示されているように、ペダル行程弁として比例方向制御弁３２，３４の代わりに 比例圧力調整弁５０，５２を用いても実現される。 補助ブレーキ装置 パワーブレーキ装置、要するに常用ブレーキ装置の故障の際に、本発明にもと づく車両ブレーキ装置が補助ブレーキ装置としてマニュアルで操作される。この ことのために、すべての弁１４，２６，３０，３２，３４，３６がその基本位置 にとどめられる。ブレーキペダル４６の踏み込みによりマスタブレーキシリンダ １０が常用制動でと同様に操作される。マスタブレーキシリンダ１０の押しのけ 室から押しのけられたブレーキ液は開かれた遮断弁１４と開かれたイコライジン グ弁３６とを通ってすべてのホイールブレーキシリンダ１６へ達する。マニュア ル制動時に作動しない能動的なペダル行程シュミレータを両方のペダル行程弁３ ２，３４を介して実現させたことの利点は、マニュアル制動時にはペダル行程シ ュミレータがマスタブレー キシリンダ１０から押しのけられたブレーキ液を受容せず、かつペダル行程を延 長せしめず、その結果、ペダル行程が全く失われず、かつマスタブレーキシリン ダ１０から押しのけられたブレーキ液がホイールブレーキシリンダだけに流入す ることにある。このことの意味するところは、マニュアル制動時にはペダル行程 がフルに利用されるということである。 本発明にもとづく車両ブレーキ装置は冗長的に形成されており、かつ特に故障 に対する安全性が高いという利点を有している。車両ブレーキの液圧的な構成部 分のいずれかが故障した際に、この車両ブレーキは少なくとも補助ブレーキ装置 としてマニュアルで操作される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 マーティン プファウ ドイツ連邦共和国 Ｄ―71287 ヴァイス アッハ グラーベンシュトラーセ 32 (72)発明者 エバーハルト シュンク ドイツ連邦共和国 Ｄ―76829 ランダウ アイヒボルンシュトラーセ 11

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 1. 常用パワーブレーキ装置と補助マニュアルブレーキ装置とを備えた液圧的 な車両ブレーキ装置であって、マスタブレーキシリンダが設けられており、この マスタブレーキシリンダに遮断弁を介して少なくとも１つのホイールブレーキシ リンダが接続されており、かつ、液体ポンプが設けられており、その吐出側に、 高圧液体アキュムレータが接続されており、かつブレーキ圧形成弁を介して少な くとも１つのホイールブレーキシリンダが接続されており、かつ、ホイールブレ ーキシリンダの下流に接続されたブレーキ圧降下弁が設けられている形式のもの において、 車両ブレーキ装置が低圧液体アキュムレータ（２０）を備えており、この低圧 液体アキュムレータに液体ポンプ（１８）がその吸込側で接続されており、かつ この低圧液体アキュムレータにホイールブレーキシリンダ（１６）がブレーキ圧 降下弁（３０）を介して接続されていることを特徴とする液圧式車両ブレーキ装 置。 2. ブレーキ圧形成弁（２６）及びブレーキ圧降下弁（３０）が比例弁として 形成されていることを特徴とする請求項１記載の車両ブレーキ装置。 3. マスタブレーキシリンダ（１０）がタンデム形マスタブレーキシリンダ（ １０）として形成されてお り、このタンデム形マスタブレーキシリンダに２つのブレーキ回路が接続されて おり、これらのブレーキ回路がそれぞれ少なくとも１つのホイールブレーキシリ ンダ（１６）を有していることを特徴とする請求項１記載の車両ブレーキ装置。 4. １車両軸の車両ホイール（１６）が一方のブレーキ回路に接続されており 、かつイコライジング弁（３６）を介して互いに結合されていることを特徴とす る請求項３記載の車両ブレーキ装置。 5. 車両ブレーキ装置が制動スリップ制御装置（２６，３０，４８，５４）を 備えていることを特徴とする請求項１記載の車両ブレーキ装置。 6. マスタブレーキシリンダ（１０）が１つの踏力センサ（４２）と１つのペ ダル行程センサ（４４）と２つのペダル行程弁（３２，３４；５０，５２）とを 備えており、その場合、一方のペダル行程弁（３４；５２）がマスタブレーキシ リンダ（１０）と液体ポンプ（１８）の吸込側もしくは低圧液体アキュムレータ （２０）との間に接続されており、他方のペダル行程弁（３２；５０）がマスタ ブレーキシリンダ（１０）と液体ポンプ（１８）の吐出側もしくは高圧液体アキ ュムレータ（２４）との間に接続されていることを特徴とする請求項１記載の車 両ブレーキ装置。 7. ペダル行程弁が比例方向制御弁（３２，３４）として形成されていること を特徴とする請求項６記載 の車両ブレーキ装置。 8. ペダル行程弁が比例圧力調整弁（５０，５２）として形成されていること を特徴とする請求項６記載の車両ブレーキ装置。 9. マスタブレーキシリンダ（１０）が互いに依存しない２つの踏力センサ（ ４２）を備えていることを特徴とする請求項１記載の車両ブレーキ装置。