【発明の詳細な説明】
抗腫瘍剤としてのアリールスルホニルイミダゾロン誘導体
技術分野
本発明は強力な抗腫瘍(antineoplastic)作用を示す新規なアリールスルホニル
イミダゾロン誘導体に関するものである。さらに具体的には、本発明は公知のス
ルホニルウレア抗腫瘍剤(antitumor agents)と比べて優れた抗腫瘍作用を示し、
副作用が殆どない下記一般式(I):
R1は水素またはメチルを表し、
R2はクロロアセチル;C1−C5アルキルアミノアセチル;アリルアミノアセチ
ル;C1−C4アルコキシカルボニル;ニコチニル;フラノイル;チオフェノイル
;ハロゲン、ニトロ、シアノ、非極性アミノ酸残基により置換されていてもよい
アミノ、ヒドロキシ、互いに独立してハロゲンにより置換されていてもよいメチ
ルもしくはメトキシ、エトキシまたはクロロアセチルアミノにより置換されてい
てもよいベンゾイル;あるいは
(式中、Xは酸素または硫黄原子を表し、R3はC1−C4アルキル、アリル、ク
ロロアセチルもしくはシクロヘキシル、またはメトキシ、フルオロ、メチル、ア
ミノもしくはメチルチオにより置換されていてもよいフェニルを表す)を表す。
]で示される新規なアリールスルホニルイミダゾロン誘導体、その医薬上許容さ
れ
る塩または立体異性体に関するものである。
本発明はまた一般式(I)の化合物を製造する方法、一般式(I)の目的化合
物の製造に用いることができる新規な中間体、及び一般式(I)の化合物を有効
成分として含有する抗腫瘍性(antitumor composition)組成物に関するものであ
る。
背景技術
互いに異なる作用を示す多くのスルホニルウレア類が当業界に知られている。
これらのいくつかは低血糖作用を有し、いくつかは除草作用を有し、いくつかは
抗真菌作用を有している。
最近、特定のジアリールスルホニルウレア類もまた抗腫瘍作用を有することが
幾つかの文献に報告されている[参照:米国特許第4,845,128号(1989);ヨー
ロッパ特許公報第0222475号(1987.5.20発行)、ヨーロッパ特許公報第0291269
号(1988.11.17発行)、ヨーロッパ特許公報第0467613号(1992.1.22発行);Gr
indey,et al.,American Association of Cancer Research,27:277(1986);Houg
hton,et al.,Cancer Chemotherapy and Pharmacology,25:84-88(1989)]。
下記式(II)で表されるスロフェヌル(Sulofenur)[N−(インダン−5−ス
ルホニル)−N−(4−クロロフェニル)ウレア;LY186641]が公知の抗腫瘍性
ジアリールスルホニルウレア化合物の代表的な例であり、第一相臨床試験に進行
している(参照:Cancer Res.,49,5217-5220,1989]:
特に、この化合物は治療し難い固形腫瘍(tumor)に対して強力な抗腫瘍作用(an
titumor activity)を示すことが報告されている(参照:J.Med.Chem.,1990,33,
2393)。この化合物の作用メカニズムはまだ知られていないが、固形腫瘍及
びヒト腫瘍異種移植に対して例外的に広範囲な活性スペクトルを有し、また幾つ
かの若干の他の臨床作用も有する。さらに、スロフェヌルは、他の抗腫瘍剤が用
いられる場合に一般的に発生し得る骨髄抑圧(myelosuppression)、悪心、嘔吐、
脱毛症、粘膜炎(mucositis)及び肝臓毒性を含む深刻な副作用を起こさないが、
アニリン類の代謝物質から発生する貧血症またはメトヘモグロビン血症のような
若干の副作用を示す。
発明の開示
上述のこれらの結果より、本発明者らは、スロフェヌルより固形腫瘍に対して
一層改善された抗腫瘍作用を有し、かつ上述した副作用の原因となるアニリン類
の代謝物質を生成しない、新規なアリールスルホニルウレア誘導体を研究した。
その結果、本発明者らは上記で定義した一般式(I)のアリールスルホニルイミ
ダソロン誘導体がこのような目的を満足することを確認し、本発明を完成した。
従って、本発明の目的は、下記一般式(I):
R1は水素またはメチルを表し、
R2はクロロアセチル;C1−C5アルキルアミノアセチル;アリルアミノアセチ
ル;C1−C4アルコキシカルボニル;ニコチニル;フラノイル;チオフェノイル
;ハロゲン、ニトロ、シアノ、非極性アミノ酸残基により置換されていてもよい
アミノ、ヒドロキシ、互いに独立してハロゲンにより置換されていてもよいメチ
ルもしくはメトキシ、エトキシまたはクロロアセチルアミノにより置換されてい
てもよいベンゾイル;あるいは
(式中、Xは酸素または硫黄原子を表し、R3はC1−C4アルキル、アリル、ク
ロロアセチルもしくはシクロヘキシル、またはメトキシ、フルオロ、メチル、ア
ミノもしくはメチルチオにより置換されていてもよいフェニルを表す)を表す。
]で示される新規なアリールスルホニルイミダゾロン誘導体、その医薬上許容さ
れる塩または立体異性体を提供することである。
一般式(I)の化合物の置換基の定義において、用語“アルキル”は単独でま
たは“アルキルアミノアセチル”のように複合用語の形で使用され、直鎖または
分岐鎖の飽和炭化水素、たとえばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イ
ソブチル、t−ブチルまたはその異性体などを意味し;用語“アルコキシ”は単
独でまたは“アルコキシカルボニル”のように複合用語の形で使用され、直鎖ま
たは分岐鎖のアルコキシ基、たとえばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブ
トキシまたはその異性体などを意味し;用語“ハロゲン”はフルオロまたはクロ
ロを意味する。加えて、用語“非極性アミノ酸残基”は非極性側鎖を有するアミ
ノ酸残基、たとえばアミノアセチル、2−アミノプロパノイル、2−アミノ−3
−メチルブチリル、2−アミノ−4−メチルペンタノイル、2−アミノ−4−メ
チルチオブチリル、ピロリジン−2−イルカルボニル、2−アミノ−3−フェニ
ルプロパノイルなどを意味する。
本発明の別の目的は、一般式(I)の新規なアリールスルホニルイミダゾロン
誘導体またはその医薬上許容される塩または立体異性体の以下の製造方法を提供
することである。即ち、
a)下記一般式(III):
で示される化合物を下記一般式(IV):
R2-Y (IV)
で示される化合物と反応させて、下記一般式(I):で示される化合物を得る[上記式中、R1及びR2はそれぞれ前記と同義であり、
Yは反応性離脱基を表す];または
b)下記一般式(III):
で示される化合物またはその塩を下記一般式(V):
R3NC=X (V)
で示される化合物と反応させて、下記一般式(Ia):
で示される化合物を得る[上記式中、R1、R3及びXはそれぞれ前記と同義であ
る];または
c)インドリン基の1−位置にp−ニトロベンゾイル基を有する下記一般式(I
b):で示される化合物を還元して、下記一般式(Ic):
で示される化合物を得、製造された一般式(Ic)の化合物またはその塩を、ア
ミノ基が下記一般式(VI):
で示されるt−ブトキシカルボニルで保護されたアミノ酸と縮合し、次いで脱保
護して、下記一般式(Id):
で示される化合物を得る[上記式中、tBOCはt−ブトキシカルボニルを表し
、R4は非極性アミノ酸残基を表す]。
上記方法(a)及び(b)で出発物質として使用される一般式(III)の化合
物
は新規な化合物である。従って、一般式(III)の化合物をその製造方法と共に
提供することもまた本発明の別の目的である。
本発明のさらなる目的は、活性成分として、治療的に有効量の上記で定義した
一般式(I)の化合物を、医薬上許容される担体と共に含有する抗腫瘍性組成物
を提供することである。
発明を実施するための最良の態様
本発明による一般式(I)の化合物中で好ましいものは、
がクロロアセチル;C1−C5アルキルアミノアセチル;アリルアミノアセチル;
C1−C4アルコキシカルボニル;ニコチニル;フラノイル;チオフェノイル;あ
るいはハロゲン、ニトロ、シアノ、ヒドロキシ、互いに独立してハロケンにより
置換されていてもよいメチルもしくはメトキシ、エトキシまたはクロロアセチル
アミノにより置換されていてもよいベンゾイルである化合物、
(式中、Xは酸素または硫黄原子であり、R3はC1−C4アルキル、アリル、ク
ロロアセチルもしくはシクロヘキシル、またはメトキシ、フルオロ、メチル、ア
ミノもしくはメチルチオにより置換されていてもよいフェニルである)である化
合物、および
(式中、R4は水素または非極性アミノ酸残基である)であり、かつフェニル基
を有するイミダゾロン環の4位−炭素に(S)−立体異性配置を有する化合物で
ある。
一般式(I)で示される化合物の代表的な例としては次のような化合物が挙げ
られる。
4−フェニル−1−(N−エトキシカルボニルインドリン−5−スルホニル)
−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−エチルカルバモイルインドリン−5−スルホニル)
−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−エチルカルバモイル−2−メチルインドリン−5−
スルホニル)−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−プロピルカルバモイルインドリン−5−スルホニル
)−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−プロピルカルバモイル−2−メチルインドリン−5
−スルホニル)−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−イソプロピルカルバモイルインドリン−5−スルホ
ニル)−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−イソプロピルカルバモイル−2−メチルインドリン
−5−スルホニル)−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−t−ブチルカルバモイルインドリン−5−スルホニ
ル)−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−ニトロベンゾイル)インドリン−5−スルホ
ニル]−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−アミノベンゾイル)インドリン−5−スルホ
ニル]−2−イミダゾロン・HCl;
4−フェニル−1−[N−(4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリン
−5−スルホニル]−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−アミノベンゾイル)−2−メチルインドリン
−5−スルホニル]−2−イミダゾロン・HCl;
4−フェニル−1−(N−ベンゾイルインドリン−5−スルホニル)−2−イ
ミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−エトキシベンゾイル)インドリン−5−スル
ホニル]−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−ニコチニルインドリン−5−スルホニル)−2−イ
ミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−フラノイルインドリン−5−スルホニル)−2−イ
ミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−チオフェノイルインドリン−5−スルホニル)−2
−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−クロロベンゾイル)インドリン−5−スルホ
ニル]−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−クロロアセチルアミノベンゾイル)インドリ
ン−5−スルホニル]−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−クロロアセチルアミノベンゾイル)−2−メ
チルインドリン−5−スルホニル]−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−クロロアセチル−2−メチルインドリン−5−スル
ホニル)−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−メチルアミノアセチル−2−メチルインドリン−5
−スルホニル)−2−イミダゾロン・HCl;
4−フェニル−1−(N−イソプロピルアミノアセチル−2−メチルインドリ
ン−5−スルホニル)−2−イミダゾロン・HCl;
4−フェニル−1−(N−イソプロピルアミノアセチルインドリン−5−スル
ホニル)−2−イミダゾロン・HCl;
4−フェニル−1−(N−イソブチルアミノアセチル−2−メチルインドリン
−5−スルホニル)−2−イミダゾロン・HCl;
4−フェニル−1−(N−イソブチルアミノアセチルインドリン−5−スルホ
ニル)−2−イミダゾロン・HCl;
4−フェニル−1−(N−t−ブチルアミノアセチル−2−メチルインドリン
−5−スルホニル)−2−イミダゾロン・HCl;
4−フェニル−1−(N−アリルアミノアセチル−2−メチルインドリン−5
−スルホニル)−2−イミダゾロン・HCl;
4−フェニル−1−(N−エチルカルバモイルインドリン−5−スルホニル)
−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−プロピルカルバモイルインドリン−5−スルホニル
)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−イソプロピルカルバモイルインドリン−5−スルホ
ニル)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−アリルカルバモイルインドリン−5−スルホニル)
−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−シクロヘキシルカルバモイルインドリン−5−スル
ホニル)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−フェニルカルバモイルインドリン−5−スルホニル
)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−アミノフェニル)カルバモイルインドリン−
5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−メトキシフェニル)カルバモイルインドリン
−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−メチルチオフェニル)カルバモイルインドリ
ン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−メチルチオカルバモイルインドリン−5−スルホニ
ル)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−エチルチオカルバモイルインドリン−5−スルホニ
ル)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−プロピルチオカルバモイルインドリン−5−スルホ
ニル)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−ブチルチオカルバモイルインドリン−5−スルホニ
ル)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−フェニルチオカルバモイルインドリン−5−スルホ
ニル)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−メトキシフェニル)チオカルバモイルインド
リン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(2−メトキシフェニル)カルバモイルインドリン
−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−メチルフェニル)カルバモイルインドリン−
5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−フルオロフェニル)チオカルバモイルインド
リン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−(N−ベンゾイルインドリン−5−スルホニル)−4,5
−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−メチルベンゾイル)インドリン−5−スルホ
ニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(2−ヒドロキシベンゾイル)インドリン−5−ス
ルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−メトキシベンゾイル)インドリン−5−スル
ホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(3,4−ジメトキシベンゾイル)インドリン−5
−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−エトキシベンゾイル)インドリン−5−スル
ホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−クロロベンゾイル)インドリン−5−スルホ
ニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−フルオロベンゾイル)インドリン−5−スル
ホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−ニトロベンゾイル)インドリン−5−スルホ
ニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−シアノベンゾイル)インドリン−5−スルホ
ニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−アミノベンゾイル)インドリン−5−スルホ
ニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン・HCl;
4−フェニル−1−[N−(3−クロロベンゾイル)インドリン−5−スルホ
ニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(3,5−ジクロロベンゾイル)インドリン−5−
スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(3−フルオロベンゾイル)インドリン−5−スル
ホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(2,4−ジフルオロベンゾイル)インドリン−5
−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(3−トリフルオロメチルベンゾイル)インドリン
−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(3−トリフルオロメトキシベンゾイル)インドリ
ン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
4−フェニル−1−[N−(4−トリフルオロメトキシベンゾイル)インドリ
ン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン;
(S)−(+)−4−フェニル−1−[N−(4−アミノベンゾイル)インド
リン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン・HCl;
(S)−(+)−4−フェニル−1−[N−{4−(2−アミノプロパノイル
)アミノベンゾイル}インドリン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−
イ
ミダゾロン・HCl;
(S)−(+)−4−フェニル−1−[N−{4−(2−アミノアセチル)ア
ミノベンゾイル}インドリン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミ
ダゾロン・HCl;
(S)−(−)−4−フェニル−1−[N−{4−(2−アミノ−3−フェニ
ル−プロパノイル)アミノベンゾイル}インドリン−5−スルホニル]−4,5
−ジヒドロ−2−イミダゾロン・HCl。
上記例示の化合物の中で最も好ましい化合物は、4−フェニル−1−(N−イ
ソプロピルカルバモイルインドリン−5−スルホニル)−2−イミダゾロン及び
(S)−(+)−4−フェニル−1−[N−(4−アミノベンゾイル)インドリ
ン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンである。
本発明化合物は、その構造、即ちフェニル基を有するイミダゾロン環の4位−
炭素原子において、非対称炭素原子を有することができる。上記キラル中心は(
R)または(S)配置、もしくは(R)と(S)の混合で存在し得る。従って、
本発明はまた、すべてのそれらの立体異性体及びその混合物も含む。特に、本発
明において、より好ましい立体異性配置は(S)である。
本発明による一般式(I)の化合物は、医薬上許容される塩を形成してもよい
。本明細書において、用語”医薬上許容される塩”は、”無毒性酸付加塩”を意
味し、かかる塩は塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸などの無機酸との塩、酢酸、
シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、クエン酸、フマル酸、
コハク酸、酒石酸、アスコルビン酸などの有機酸との塩、及びイミダゾリン系化
合物の技術分野で一般的に知られ、通常使用される他の酸との塩を意味する。こ
れら酸付加塩は一般式(I)の化合物の最終分離及び精製中に製造するか、また
は通常の転換方法によって、遊離形態の化合物を対応する酸と反応させて単独に
製造することができる。
本発明によると、一般式(I)の化合物は、以下の反応図式(a)〜(c)に
示されるどの方法でも製造することができる。それらを詳細に説明する。反応図式(a) 上記反応図式(a)による、一般式(II)の化合物と一般式(IV)の化合物と
の反応において、反応に悪影響を及ぼさない限り、いかなる反応不活性有機溶媒
も使用することができる。この反応に好適な溶媒は、ベンゼン、トルエン、ジク
ロロメタン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メタノール及びエタノールを
含む。これらの中で、ジクロロメタン及びテトラヒドロフランが好ましく使用で
きる。この反応はまた塩基の存在下で行うこともできる。塩基としては、ピリジ
ン、ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミンまたはジエチルアミン、好まし
くはピリジンが使用できる。反応温度及び時間は特に制限されず、使用する出発
物質によって決定することができる。一般的に、この反応は室温で1〜8時間行
うことができる。反応図式(b) 一般式(III)の化合物と一般式(V)の化合物の反応による、インドリン環
の窒素がカルバモイルまたはチオカルバモイル基に置換された一般式(Ia)の
化合物の製造は、溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としてはベンゼン、ト
ルエンまたはジメチルホルムアミド、好ましくはトルエンが使用できる。反応温
度及び時間は上記反応(a)のように特に制限されない。しかしこの反応は一般
的に50〜80℃で5〜18時間行うことができる。反応図式(c) 反応(c)の第1ステップで、イミダゾロン環に非対称中心を有し、即ち(S
)−立体特異性を有する、一般式(Ib)の化合物のニトロ基をアミノ基に還元
して一般式(Ic)の化合物を製造する。還元は、通常の還元条件、たとえば鉄
及びメタノール、ラネーニッケル(Raney nickel)及び水素ガス、または水素化
ホウ素ナトリウム及びパラジウムの存在下で行うことができる。
反応(c)の第2ステップで、一般式(Ic)の化合物を一般式(VI)の置換
アミノ酸と反応させることにより得られた縮合生成物を、続いて脱保護し、(S
)−立体特異性を有する一般式(Id)の目的化合物を生成する。一般式(VI)
の
化合物として、人体で一般的に発生する形態のL−型アミノ酸が使用することが
できる。保護基を除去するための通常の反応条件を脱保護反応に使用できる。た
とえば、脱保護はトリフルオロ酢酸(TFA)及びp−クレゾールの存在下で行
うことができる。この第2反応ステップは、J.Med.Chem.,1996,39,3114-31
22に開示の公知の方法によって容易に行うことができる。
(S)−立体異性配置を有する一般式(I)の化合物を目的とする場合には(
S)−立体異性の出発物質が使用できる。
目的生成物が方法(a)〜(c)によって得られた後、必要に応じ、当業者の
公知のいかなる方法、たとえば濾過、クロマトグラフィーまたは結晶化によって
回収及び精製することができる。
一方、反応方法(a)及び(b)で使用された一般式(III)の出発物質は新
規である。従って、本発明は化合物(I)の製造に有用な中間体として化合物(
III)を提供する。
一般式(III)の化合物は、以下の方法(d)〜(f)のいずれの方法によっ
ても得ることができる。即ち、
d)下記一般式(VIIa):
で示される化合物を下記一般式(VIII):
で示される化合物と反応させて、下記一般式(IXa):
で示される化合物を得、次いで一般式(IXa)の化合物のアミノ保護基としての
トリフルオロアセチル基を除去して、下記一般式(IIIa):で示される化合物を製造する[上記式中、R1は前記と同義である];または
e)下記一般式(VIIb):
で示される化合物を下記一般式(VIII):
で示される化合物と反応させて、下記一般式(IXb):
で示される化合物を得、次いで一般式(IXb)の化合物のトルフルオロアセチル
基を除去し、得られた生成物を酸−加水分解して、下記一般式(IIIb):で示される化合物を製造する[上記式中、R1は前記と同義である];または
f)下記一般式(X):
で示される(S)−フェニルグリシノールをフェニルクロロホルメート(ClCOOPh
)と反応させて、下記一般式(XI):
で示される化合物を得、これをメタンスルホニルクロリド(CH3S02Cl)と反応さ
せて、下記一般式(XII):
で示される化合物を製造し、次いで得られた一般式(XII)の化合物を下記一般
式(XIII):で示される化合物と結合し、脱保護して、下記一般式(IIIc):
で示される化合物を得る[上記式中、R1は前記と同義である]。
化合物(III)を製造するための上記方法(d)〜(f)は、それぞれ以下の
反応図式(d)〜(f)として示され、詳細に説明される。反応図式(d) 反応(d)の第1ステップで、一般式(VIIa)及び(VIII)の化合物をカッ
プリングして化合物(IXa)を生成する。これら出発物質(VIIa)及び(VIII
)は当業界の公知の通常の方法によって合成できる(参照:Orug Res.,42,pp5
92-594,1992; Chimie Therapeutique,6,pp659-668,1973)。この反応は非プ
ロトン性有機溶媒中で塩基の存在下で行うことができる。この反応に好適に使用
できる溶媒は、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル
、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、テトラヒドロフランなどを含む。ジメチル
ホルムアミドが最も好ましい溶媒である。塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナ
トリウム、ナトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド、水素化ナトリウム
など、好ましくは水素化ナトリウムが挙げられる。2つの反応物は、1つが他に
対して過剰に使用できるが、一般的に、互いに同じモル量で使用される。またこ
の反応は0℃〜反応混合物の沸点、好ましくは20〜30℃で行う。この反応は少々
発熱反応であり、通常5〜6時間以内に完了する。
脱保護ステップで、トリフルオロアセチル基は、水とメタノールの混合溶媒中
で一般式(IXa)の化合物を懸濁し、次いで懸濁液を炭酸カリウムと反応させる
ことにより除去されて、一般式(IIIa)の化合物を生成する。しかし、脱保護
反
応はまた当業界の公知の通常の方法によって行うことができる(参照:J.Org.
Chem.,53,3108,1998:J.Am.Chem.Soc.,95,612,1973)。反応図式(e) 第1ステップで、当業界の公知の通常の方法(参照:J.Am.Chem.Soc.,107
,pp2931-2943,1992;Chimie Therapeutique,6,pp659-668,1973)によって得
られる出発化合物(VIIb)及び(VIII)をカップリングして化合物(IXb)を
生成する。この反応は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化リチウムまたは
重炭酸ナトリウム、好ましくは重炭酸ナトリウムのような塩基の存在下で、テト
ラヒドロフランまたはアセトンのような水混和性不活性溶媒中で行うことができ
る。2つの反応物は、他の比率でも実施できるが、一般的に、互いに同モル量で
使用するか、化合物(VIIb)に対して若干過剰モルの化合物(VIII)が使用さ
れる。この反応は0〜80℃、好ましくは20〜30℃で行う。これらの好まし
い温度で、反応は通常約4時間以内に完了する。
脱保護反応は、方法(d)に記述された同じ方法によって行うことができる。
次いで酸−加水分解は当業界の公知の通常の方法によって行う。反応図式(f) 第1ステップで、商業的に入手可能な(S)−2−フェニルグリシノールを、
炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムからなる群より選ばれる
塩基と共に、蒸留水に溶解し、次いでこの反応混合物に、少量のテトラヒドロフ
ラン中に溶解したフェニルクロロホルメートを徐々に滴下する。反応を室温で1
時間行った後、生成物を酢酸エチルで抽出し、一般式(XI)の(S)−2−N
−フェノキシカルボニルアミノ−2−フェニルエタノールを得る。
得られた化合物(XI)を、クロロホルム、テトラヒドロフランまたは塩化メ
チレンのような溶媒に溶解し、0℃に冷却し、次いでピリジンまたはトリエチル
アミンのような塩基の存在下でメタンスルホニルクロリドと反応させて、一般式
(XII)の(S)−2−N−フェノキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチル
メタンスルホネートを得る。
最後に、生成した化合物(XII)を一般式(XIII)の公知のN−トリフルオ
ロアセチル−5−アミノスルホニル−インドリンと反応させて、一般式(IIIc
)の化合物を製造する。この反応で反応物として使用した一般式(XIII)の化
合物は、公知の方法によって製造することができる(参照:Chimie Therapeutiq
ue,6,
659-668,1973)。化合物(XII)と(XIII)の反応に好適な溶媒としては、非
プロトン性溶媒、たとえばベンゼン、クロロホルム、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトンなど、好ましく
はジメチルホルムアミドが挙げられる。若干の場合には、適当な塩基、たとえば
炭酸カリウム、ナトリウムメトキシド、炭酸ナトリウム、カリウムt−ブトキシ
ド、水素化ナトリウムなど、特に水素化ナトリウムの添加が好適である。反応(
d)の第1ステップと同じ、反応物の同モル比、反応温度及び時間がこの反応に
適用することができる。
本発明による一般式(I)の目的化合物は、その強力な抗腫瘍作用の点から、
投与目的で医薬組成物に剤形化することができる。当該医薬組成物は新規なもの
として見なされ、結果として、本発明のさらなる態様を構成する。従って、本発
明はまた医薬上許容される担体、及び活性成分として、治療的に有効量の上記で
定義した一般式(I)の化合物を含有する抗腫瘍性組成物に関するものである。
本発明による医薬組成物は、感受性腫瘍の治療のために、経口的に、直腸内に
、非経口的に(即ち、静脈内に、筋肉内にまたは皮下に)、脳槽内に、膣内に、
腹腔内にまたは局所的に投与することができる。固形投与形態の経口製剤として
は、カプセル、錠剤、丸剤、散剤または顆粒剤が挙げられる。かかる経口投与用
固形投与形態において、一般式(I)の活性化合物は、少なくとも一つの賦形剤
、たとえば充填剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、溶液凝固遅延剤(solution retar
ders)、吸収促進剤、湿潤剤、吸収剤または滑沢剤と混合される。液体投与形態
の経口製剤としては、医薬上許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤または
エリキシル剤が挙げられる。液体投与形態は、活性成分に加えて、当業界で通常
使用される不活性希釈剤、たとえば水、その他の溶媒、可溶化剤、懸濁化剤また
は乳化剤を含んでもよい。非経口投与用注射製剤は、水、水−ポリエチレングリ
コールまたは水−プロピレングリコール溶液の形態であり得、その等張性、pH、
流動性などは生体の生理的条件に適するように調節することができる。注射製剤
としては、滅菌の水性または非水性液剤、分散剤、懸濁剤、乳剤及び用時調製注
射製剤が挙
げられる。好適な水性または非水性担体、希釈剤、溶剤または賦形剤の例として
は、水、エタノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセ
ロール、それらの適当な混合物、植物性オイル(たとえばコーン油またはオリー
ブ油)及びオレイン酸エチルのような注射用有機エステルが挙げられる。好適な
流動性は、たとえばレシチンのようなコーティング剤の使用により、分散剤の場
合には、特定の粒子サイズの維持により、及び界面活性剤の使用により、維持す
ることができる。投与容易性及び用量の均一性のための投与単位形態で、前述の
医薬製剤を剤形化するのが特に有利である。製剤の投与単位形態は、単一用量と
して適した物理的に別個の単位をいい、それぞれの単位は、目的の治療効果を得
るために計算された所定量の活性成分を含有する。かかる投与単位形態は、パッ
ケージ形態、たとえば錠剤、カプセル剤、あるいはバイアルまたはアンプルに充
填された粉末、あるいはチューブまたはびんに充填された軟膏、ゲルまたはクリ
ームであり得る。
本発明の一般式(I)の活性化合物を、感受性腫瘍で苦しむ患者に医薬として
適用する場合、約10〜約5000mg、好ましくは約10〜約1000mgの量で投与すること
が好ましい。しかし、投与用量は、患者の要求、治療すべき腫瘍の重症度、選択
された化合物、投与経路、治療期間などによって変わり得る。特定の条件に適し
た好ましい用量は、通常の方法に従って、当業者により決定することができる。
一般的に、治療は、活性化合物の最適用量よりも少ない量から始め、投与用量は
、最適治療効果が得られるまで、少しずつ増加する。便宜上、1日総用量は、い
くつかに分けて、1日に数回、例えば1〜6回投与することができる。
本発明の下記の実施例によってさらに具体的に説明する。しかし、次の製造例
及び実施例は本発明を例示したもので、本発明の範囲をいかなるようにも制限す
るものではない。製造例1 4−フェニル−1,3−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
2−ブロモアセトフェノン(18g,90mmol)をクロロホルム900mlに溶解した。
ここにヘキサメチレンテトラアミン(13.87g,99mmol)を加え、反応混合物を60
℃で4時間攪拌した。攪拌後、反応混合物を室温に冷却し、濾過した後、収集し
た沈殿物をエタノール180mlに懸濁した。得られた懸濁液に濃HCl 90mlを滴下し
て反応混合物を室温で18時間攪拌した。次いで反応混合物を濾過して白色沈殿物
を除去し、濾液を減圧下で濃縮して黄色固体を得た。この固体をメタノールと酢
酸エチルの混合物(1:50,v/v)から再結晶化して、黄色固体の2−アミノアセ
トフェノン13gを得た。
収率:84%
2−アミノアセトフェノン(5.6g,32.65mmol)を温度計付の3頸フラスコ中
で水200mlに溶解し、70℃に加熱した。濃HClを連続的に添加することにより、反
応溶液のpHを1〜3の範囲に維持しながら、シアン酸カリウム(2.9g,35.92mmo
l)を70℃で数回で加えた。シアン酸カリウムの添加が完了した後、反応混合物
を70℃で4時間攪拌して室温で一晩放置した。形成された褐色沈殿物を濾過収集
し、乾燥して、標題化合物3.7gを得た。
収率:72%
製造例2 N−トリフルオロアセチル−2−メチルインドリン−5−スルホニルクロリドの 合成
2−メチルインドリン(10ml,76.8mmol)をジクロロメタン100mlに溶解し、
次いで0℃に冷却した。この溶液にピリジン(18.7ml,0.22mol)及びトリフル
オロ酢酸無水物(24ml,0.17mol)を加えた。反応混合物を室温で6時間撹拌し
、ジクロロメタン300mlで希釈した後、5%HCl 150mlで2回洗浄した。ジクロロ
メタン層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、N−トルフルオロアセチ
ル−2−メチルインドリン15gを得た。
収率:85%
クロロスルホン酸(25ml,0.37mmol)を温度計付の3頸フラスコの中で0℃に
冷却した。ここにN−トリフルオロアセチル−2−メチルインドリン(17g,74.
23mmol)を数回で添加した。得られた混合物を60℃で1時間撹拌した後、反応混
合物を200mlの氷水に徐々に注いだ。形成された沈殿物を濾過収集し、乾燥して
、標題化合物9.2gを得た。
収率:80%
また出発物質として、2−メチルインドリンに代えてインドリンを用いること
以外は、同様の方法により、N−トルフルオロアセチル−インドリン−5−スル
ホニルクロリドを製造することもできる。製造例3 4−フェニル−1−(インドリン−5−スルホニル)−2−イミダゾロンの合成
製造例1で製造した4−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−2−イミダゾロ
ン(4g,24.84mmol)をジメチルホルムアミド30mlに懸濁し、0℃に冷却した。
水素化ナトリウム(60%オイル状,1.09g,27.3mmol)を加えた後、得られた混
合物をきれいに溶液になるまで0℃で数分間攪拌した。反応混合物に製造例2で
製造したN−トルフルオロアセチル−インドリン−5−スルホニルクロリド(8.5
6g,27.32mmol)を0℃で少しずつ加えた。反応混合物を室温で4時間撹拌し、
再び0℃に冷却した後、沈殿物が形成されるまで混合物に水を徐々に加えた。得
られた沈殿物を収集し水で洗浄した後、乾燥して、4−フェニル−1−(N−ト
リフルオロアセチルインドリン−5−スルホニル)−2−イミダゾロン7.6gを得
た。
得られた4−フェニル−1−(N−トリフルオロアセチルインドリン−5−ス
ルホニル)−2−イミダゾロン(6g,13.3mmol)を水とメタノール(1:1,v/v)の混
合物30mlに懸濁した。炭酸カリウム(3.7g,26.6mmol)を懸濁液に加えて反応混合
物を室温で4時間撹拌した。攪拌後、反応混合物を半分の容積に濃縮した。得ら
れた粗生成物をジクロロメタン200mlで2回抽出し、塩水で洗浄し、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥し、オイル状に濃縮した後、酢酸エチルから結晶化して、白色
固体の標題化合物4.08gを得た。
収率:87%
またN−トリフルオロアセチル−インドリン−5−スルホニルクロリドに代え
て、N−トリフルオロアセチル−2−メチルインドリン−5−スルホニルクロリ
ドを反応させること以外は、同様の方法により、4−フェニル−1−(2−メチ
ルインドリン−5−スルホニル)−2−イミダゾロンを製造することもできる。製造例4 2−メトキシ−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾールの合成
N−ブロモスクシンイミド(10.68g,0.06mol)及びシアンアミド(4.2g,0.1mol
)をジクロロメタン150mlに溶解して混合物を5分間撹拌した。この混合物に滴下
漏斗を用いて、スチレン(5.2g,0.05mol)のジクロロメタン20mlの溶液を1時間
加えた。得られた反応混合物を室温で12時間撹拌し、新たに製造した同量の5%
チオ硫酸ナトリウム及び塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮し
た後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/トルエン=
1/20,v/v)で精製して、2−ブロモ−1−フェニルエチルシアンアミド8.98gを
得た。
収率:64%
得られた2−ブロモ−1−フェニルエチルシアンアミド(4.5g,0.02mol)を7%
(w/w)HCl-CH3OH溶液16mlに溶解し、得られた混合物を35〜40℃で6時間攪拌した
。反応混合物を室温に冷却した後、ここに炭酸ナトリウム(5.3g,0.05mol)を加
えて反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで水(200ml)を加え、生成物をジク
ロロメタンで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した後、酢酸エチル
から再結晶化により精製して、白色固体の標題化合物2.6gを得た。
収率:74%
製造例5 4−フェニル−1−(インドリン−5−スルホニル)−4,5−ジヒドロ−2− イミダゾロンの合成
製造例4で製造した2−メトキシ−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−2−イ
ミダゾール(0.95g,5mmol)をアセトン20mlに溶解し、次いでここに、水20ml中の
重炭酸ナトリウム(0.63g,7.5mmol)、製造例2で製造したN−トリフルオロアセ
チル−インドリン−5−スルホニルクロリド(1.3g,5mmol)を順に加えた。反応
混合物を室温で1時間攪拌した後、粗生成物をジクロロメタン20mlで4回抽出し
、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=1/2,v/v)で精製して、2−メトキシ
−4−フェニル−1−(N−トリフルオロアセチルインドリン−5−スルホニル
)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾール1.01g(収率:49%)を得た。得られ
た化合物を5%(w/w)HCl-CH30H 10mlで室温で3時間処理した。得られた沈殿物を
収集し、メタノールで洗浄した後、乾燥して、4−フェニル−1−(N−トリフ
ルオロアセチルインドリン−5−スルホニル)−4,5−ジヒドロ−2−イミダ
ゾロン0.8g(収率:75%)を得た。上記化合物のトリフルオロアセチル基を製造
例3と同様の方法により脱保護して、白色固体の標題化合物を得た。
収率:72%
製造例6 (S)−2−N−フェノキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチルメタンスル ホネートの合成
(S)−(+)−2−フェニルグリシノール(1g,7.3mmol)及び重炭酸ナトリ
ウム(0.92g,10.95mmol)を水20mlに溶解した。ここに、THF2ml中のフェニルクロ
ロホルメート(0.92ml,7.66mmol)を徐々に加え、反応混合物を室温で1時間攪拌
した。得られた生成物を酢酸エチル100mlで抽出し、塩水で洗浄し、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥した後、濃縮して、白色固体の(S)−2−N−フェノキシカ
ルボニルアミノ−2−フェニルエタノール1.72g(収率:91%)を得た。
(S)−2−N−フェノキシカルボニルアミノ−2−フェニルエタノール(2g
,7.75mmol)をジクロロメタン30mlに溶解し、次いで0℃に冷却した。ここにト
リエチルアミン(3.24ml,33.25mmol)及びメタンスルホニルクロリド(1.2ml,15.
5mmol)を0℃で順に加えた。反応混合物全体を0℃で30分間攪拌した後、さら
に室温で1時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタン50mlで希釈し、塩水で洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。残渣をメタノール及び酢
酸エチルの混合物(1/30,v/v)から再結晶化して、白色固体の標題化合物2.5g
を得た。
収率:96%
製造例7 N−トリフルオロアセチルインドリン−5−スルホンアミドの合成
製造例2で製造したN−トリフルオロアセチル−インドリン−5−スルホニル
クロリド(4g,13.35mmol)をジクロロメタン100mlに溶解し、アンモニアガスを反
応混合物に2時間通過させた。形成された沈殿物を収集し、乾燥して、標題化合
物3.51gを得た。
収率:94%
製造例8 (S)−(+)−4−フェニル−1−(インドリン−5−スルホニル)−4,5 −ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
水素化ナトリウム(60%,オイル状,475mg,11.88mmol)をジメチルホルムアミ
ド15mlに懸濁し、0℃に冷却した。懸濁液に、製造例7で製造したN−トリフル
オロアセチル−インドリン−5−スルホンアミド(0.832g,2.97mmol)を数回で加
え、混合物を0℃で10分間攪拌した。次いでここに、製造例6で製造した(S)
−2−N−フェノキシカルボニルアミノ−2−フェニルエチルメタンスルホネー
ト(1.0g,2.97mmol)を加えた。反応混合物を0℃で3時間撹拌し、さらに室温で
1時間攪拌した。TLCで反応完了を確認した後、反応混合物を氷30mlに注いだ。
得られた沈殿物を収集し、乾燥して、標題化合物0.72gを得た。
収率:68%
実施例1 4−フェニル−1−(N−エトキシカルボニルインドリン−5−スルホニル)− 2−イミダゾロンの合成
製造例3で製造した4−フェニル−1−(インドリン−5−スルホニル)−2
−イミダゾロン(150mg,0.44mmol)をジクロロメタン10mlに溶解し、次いでここ
に、ピリジン(39μl,0.484mmol)及びエチルクロロホルメート(46μl,0.484mmo
l)を順に加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌した後、ジクロロメタンで希釈
し、塩水で2回洗浄した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減
圧下でオイル状に濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:
ジクロロメタン/メタノール=15/1,v/v)で精製し、白色固体の標題化合物173
mgを得た。
収率:96%
M.P.:214-216℃
実施例2 4−フェニル−1−(N−エチルカルバモイルインドリン−5−スルホニル)− 2−イミダゾロンの合成
製造例3で製造した4−フェニル−1−(インドリン−5−スルホニル)−2
−イミダゾロン(100mg,0.29mmol)をトルエン10mlに溶解し、ここにエチルイソ
シアネート(35μl,0.435mmol)を加えた。反応混合物を80℃で8時間攪拌した。
溶媒を減圧下で留去した。残渣をジクロロメタン30mlに溶解し、塩水で2回洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、オイル状に濃縮した後、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン/メタノール=15/1,v/v)で精
製して、標題化合物113mgを得た。
収率:95%
M.P.:234.1-234.8℃
実施例3 4−フェニル−1−(N−エチルカルバモイル−2−メチルインドリン−5−ス ルホニル)−2−イミダゾロンの合成
実施例2と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:92%
M.P.:239.8-241.4℃
実施例4 4−フェニル−1−(N−プロピルカルバモイルインドリン−5−スルホニル) −2−イミダゾロンの合成
実施例2と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:95%
M.P.:165-167℃
実施例5 4−フェニル−1−(N−プロピルカルバモイル−2−メチルインドリン−5− スルホニル)−2−イミダゾロンの合成
実施例2と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:95%
M.P.:137.8-138.2℃
実施例6 4−フェニル−1−(N−イソプロピルカルバモイルインドリン−5−スルホニ ル)−2−イミダゾロンの合成
実施例2と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:93%
M.P.:214-216.5℃
実施例7 4−フェニル−1−(N−イソプロピルカルバモイル−2−メチルインドリン− 5−スルホニル)−2−イミダゾロンの合成
実施例2と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:93%
M.P.:154.3-156.5℃
実施例8 4−フェニル−1−(N−t−ブチルカルバモイルインドリン−5−スルホニル )−2−イミダゾロンの合成
実施例2と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:76%
M.P.:221.7-223℃
実施例9 4−フェニル−1−[N−(4−ニトロベンゾイル)インドリン−5−スルホニ ル]−2−イミダゾロンの合成
製造例3で製造した4−フェニル−1−(インドリン−5−スルホニル)−2
−イミダゾロン(300mg,0.88mmol)をジクロロメタン10m1に懸濁した。次いでこ
こに、ピリジン(85μl,1.05mmol)及び4−ニトロベンゾイルクロリド(163mg,0
.88mmol)を順に加えた。TLCで反応をモニターしながら、得られた反応混合物を
窒素気流下で室温で5時間攪拌した。反応完了後、混合物全体をジクロロメタン
で希釈し、塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。最後にシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン/メタノール=15
/1,v/v)で精製して、黄色固体の標題化合物400mgを得た。
収率:92%
M.P.:244.8-246.3℃
実施例10 4−フェニル−1−[N−(4−アミノベンゾイル)インドリン−5−スルホニ ル]−2−イミダゾロン・HClの合成
実施例9で製造した4−フェニル−1−[N−(4−ニトロベンゾイル)イン
ドリン−5−スルホニル]−2−イミダゾロン(100mg,0.2mmol)及び50%ラネー-
Ni 1.5mlをメタノール20mlに懸濁した。反応混合物を水素雰囲気(5バール)下
で室温で4時間攪拌した。反応混合物をセライトを通して濾過した後、濾液を濃
縮した。得られた残渣をメタノールとジクロロメタンの混合溶媒(1:40,v/v)か
ら結晶化して、遊離塩基形態で標題化合物を得、次いで20%(w/w)HCl-CH30Hと反
応させて、白色固体HCl塩の標題化合物92mgを得た。
収率:92%
M.P.:199-201℃
実施例11 4−フェニル−1−[N−(4−ニトロベンゾイル)−2−メチルインドリン− 5−スルホニル]−2−イミダゾロンの合成
実施例9と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:88%
M.P.:168.5-171.8℃
実施例12 4−フェニル−1−[N−(4−アミノベンゾイル)−2−メチルインドリン− 5−スルホニル]−2−イミダゾロン・HClの合成
実施例10と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:68%
M.P.:189-190℃
実施例13 4−フェニル−1−(N−べンゾイルインドリン−5−スルホニル)−2−イミ ダゾロンの合成
実施例9と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:96%
M.P.:167.4-170℃
実施例14 4−フェニル−1−[N−(4−エトキシベンゾイル)インドリン−5−スルホ ニル]−2−イミダゾロンの合成
実施例9と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:89%
M.P.:249-252.8℃
実施例15 4−フェニル−1−(N−ニコチニルインドリン−5−スルホニル)−2−イミ ダゾロンの合成
実施例9と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:82%
M.P.:244-245.2℃
実施例16 4−フェニル−1−(N−フラノイルインドリン−5−スルホニル)−2−イミ ダゾロンの合成
実施例9と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:85%
M.P.:255.5-257℃
実施例17 4−フェニル−1−(N−チオフェノイルインドリン−5−スルホニル)−2− イミダゾロンの合成
実施例9と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:97%
M.P.:258.2-259.5℃
実施例18 4−フェニル−1−[N−(4−クロロベンゾイル)インドリン−5−スルホニ ル]−2−イミダゾロンの合成
実施例9と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:87%
M.P.:220.3-221.3℃
実施例19 4−フェニル−1−[N−(4−クロロアセチルアミノベンゾイル)インドリン −5−スルホニル]−2−イミダゾロンの合成
実施例10で製造した4−フェニル−1−[N−(4−アミノベンゾイル)イ
ンドリン−5−スルホニル]−2−イミダゾロン(150mg,0.3mmol)をジクロロメ
タン10mlに溶解した。ここにピリジン(73μl,0.9mmol)及びクロロアセチルク
ロリド(36μl,0.45mmol)を順に加え、次いで反応混合物を窒素気流下で室温で
2時間撹拌した。攪拌後、反応混合物をジクロロメタン30mlで希釈し、水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン/メタノール-10/1,v/v)で精製
して、白色固体の標題化合物130mgを得た。
収率:84%
M.P.:188-189℃
実施例20 4−フェニル−1−[N−(4−クロロアセチルアミノベンゾイル)−2−メチ ルインドリン−5−スルホニル]−2−イミダゾロンの合成
実施例19と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:72%
M.P.:245.5-246.4℃
実施例21 4−フェニル−1−(N−クロロアセチル−2−メチルインドリン−5−スルホ ニル)−2−イミダゾロンの合成
製造例3で製造した4−フェニル−1−(2−メチルインドリン−5−スルホ
ニル)−2−イミダゾロン(300mg,0.85mmol)をジクロロメタン10mlに溶解した
。
ここにピリジン(75μl,0.93mmol)及びクロロアセチルクロリド(74μl,0.93
mmol)を順に加え、次いで反応混合物を窒素気流下で室温で2時間攪拌した。攪
拌後、反応混合物をジクロロメタン50mlで希釈し、水で洗浄し、無水硫酸マグネ
シウムで乾燥し、次いで濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶出液:ジクロロメタン/メタノール=10/1,v/v)で精製して、白色固体の標
題化合物342mgを得た。
収率:94%
M.P.:157-159℃
実施例22 4−フェニル−1−(N−メチルアミノアセチル−2−メチルインドリン−5− スルホニル)−2−イミダゾロン・HClの合成
実施例21で製造した4−フェニル−1−(N−クロロアセチル−2−メチル
インドリン−5−スルホニル)−2−イミダゾロン(120mg,0.278mmol)をアセト
ン10mlに溶解し、次いでここにヨウ化ナトリウム(63mg,0.42mmo1)を加えた。反
応混合物を室温で2時間攪拌し、溶媒を留去した。残渣をテトラヒドロフラン10
mlに溶解した。ここに40%メチルアミン(239μl,2.78mmol)を加えた後、反応混
合物を室温で6時間攪拌した。溶媒を減圧下で留去し、次いで残渣をジクロロメ
タン50mlに溶解し、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。残
渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン/メタノー
ル=15/1,v/v)で精製して、遊離塩基形態で標題化合物を得、次いで20%(w/w)H
Cl-CH30Hと反応させて、白色固体HCl塩の標題化合物88mgを得た。
収率:65%
M.P.:197-199℃
実施例23 4−フェニル−1−(N−イソプロピルアミノアセチル−2−メチルインドリン −5−スルホニル)−2−イミダゾロン・HClの合成
実施例22と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:76%
M.P.:202-203.6℃
実施例24 4−フェニル−1−(N−イソプロピルアミノアセチルインドリン−5−スルホ ニル)−2−イミダゾロン・HClの合成
実施例22と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:81%
M.P.:205-206℃
実施例25 4−フェニル−1−(N−イソブチルアミノアセチル−2−メチルインドリン− 5−スルホニル)−2−イミダゾロン・HClの合成
実施例22と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:84%
M.P.:197-199℃ 実施例26 4−フェニル−1−(N−イソブチルアミノアセチルインドリン−5−スルホニ ル)−2−イミダゾロン・HClの合成
実施例22と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:77%
M.P.:225℃
実施例27 4−フェニル−1−(N−t−ブチルアミノアセチル−2−メチルインドリン− 5−スルホニル)−2−イミダゾロン・HClの合成
実施例22と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:65%
M.P.:227.2-230℃
実施例28 4−フェニル−1−(N−アリルアミノアセチル−2−メチルインドリン−5− スルホニル)−2−イミダゾロン・HClの合成
実施例22と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:85%
M.P.:220-222℃ 実施例29 4−フェニル−1−(N−エチルカルバモイルインドリン−5−スルホニル)− 4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
製造例5で製造した4−フェニル−1−(インドリン−5−スルホニル)−4
,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン(0.25g,0.73mmol)をトルエン10mlに溶解し
、次いでここにエチルイソシアネート(0.1ml,1.09mmol)を加えた。反応混合物
を50−60℃で18時間攪拌した。溶媒を留去した後、残渣をジクロロメタン50ml
に溶解し、水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した
。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロ
メタン/メタノール=15/1,v/v)で精製して、標題化合物0.22gを得た。
収率:90%
M.P.:127℃
実施例30 4−フェニル−1−(N−プロピルカルバモイルインドリン−5−スルホニル) −4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:92%
M.P.:197-198.6℃ 実施例31 4−フェニル−1−(N−イソプロピルカルバモイルインドリン−5−スルホニ ル)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:89%
M.P.:120-122℃
実施例32 4−フェニル−1−(N−アリルカルバモイルインドリン−5−スルホニル)− 4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:69%
M.P.:217.3-218.7℃
実施例33 4−フェニル−1−(N−シクロヘキシルカルバモイルインドリン−5−スルホ ニル)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:82%
M.P.:272.9-274.8℃
実施例34 4−フェニル−1−(N−フェニルカルバモイルインドリン−5−スルホニル) −4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:76%
M.P.:246.7-248.5℃
実施例35 4−フェニル−1−[N−(4−アミノフェニル)カルバモイルインドリン−5 −スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:63%
M.P.:158-160℃
実施例36 4−フェニル−1−[N−(4−メトキシフェニル)カルバモイルインドリン− 5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:68%
M.P.:267.7-269.6℃ 実施例37 4−フェニル−1−[N−(4−メチルチオフェニル)カルバモイルインドリン −5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:88%
M.P.:260.1-261.3℃
実施例38 4−フェニル−1−(N−メチルチオカルバモイルインドリン−5−スルホニル )−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:75%
M.P.:217.4-219.2℃
実施例39 4−フェニル−1−(N−エチルチオカルバモイルインドリン−5−スルホニル )−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:86%
M.P.:223.1-224.5℃ 実施例40 4−フェニル−1−(N−プロピルチオカルバモイルインドリン−5−スルホニ ル)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:86%
M.P.:222.3-223.5℃
実施例41 4−フェニル−1−(N−ブチルチオカルバモイルインドリン−5−スルホニル )−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:93%
M.P.:186.3-187.7℃
実施例42 4−フェニル−1−(N−フェニルチオカルバモイルインドリン−5−スルホニ ル)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:80%
M.P.:182-182.7℃
実施例43 4−フェニル−1−[N−(4−メトキシフェニル)チオカルバモイルインドリ ン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:89%
M.P.:181-183℃
実施例44 4−フェニル−1−[N−(2−メトキシフェニル)カルバモイルインドリン− 5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:69%
M.P.:201.9-203.8℃
実施例45 4−フェニル−1−[N−(4−メチルフェニル)カルバモイルインドリン−5 −スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:82%
M.P.:222.7-224.2℃ 実施例46 4−フェニル−1−[N−(4−フルオロフェニル)チオカルバモイルインドリ ン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例29と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:72%
M.P.:190.5-192.5℃
実施例47 4−フェニル−1−(N−ベンゾイルインドリン−5−スルホニル)−4,5− ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
製造例5で製造した4−フェニル−1−(インドリン−5−スルホニル)−4
,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン(0.20g,0.58mmol)をジクロロメタン12mlに
溶解した。ピリジン(0.1ml,0.58mmol)及びべンゾイルクロリド(0.1g,0.58mmol
)を窒素気流下で0℃で順に滴下した。反応混合物を0℃で2時間攪拌し、さら
に室温で3時間攪拌した。反応混合物をジクロロメタン20mlで希釈し、水10mlで
2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘキサン=2/1,v/v)で
精製して標題化合物を得た。
収率:92%
M.P.:127℃
実施例48 4−フェニル−1−[N−(4−メチルベンゾイル)インドリン−5−スルホニ ル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:68%
M.P.:125℃
実施例49 4−フェニル−1−[N−(2−ヒドロキシベンゾイル)インドリン−5−スル ホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:76%
M.P.:221℃
実施例50 4−フェニル−1−[N−(4−メトキシベンゾイル)インドリン−5−スルホ ニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:69%
M.P.:220-222℃ 実施例51 4−フェニル−1−[N−(3,4−ジメトキシベンゾイル)インドリン−5− スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:60%
M.P.:178-179℃
実施例52 4−フェニル−1−[N−(4−エトキシベンゾイル)インドリン−5−スルホ ニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:62%
M.P.:216.5-217.5℃
実施例53 4−フェニル−1−[N−(4−クロロベンゾイル)インドリン−5−スルホニ ル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:78%
M.P.:235.3℃
実施例54 4−フェニル−1−[N−(4−フルオロベンゾイル)インドリン−5−スルホ ニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:67%
M.P.:134℃
実施例55 4−フェニル−1−[N−(4−ニトロベンゾイル)インドリン−5−スルホニ ル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:86%
M.P.:145℃
実施例56 4−フェニル−1−[N−(4−シアノベンゾイル)インドリン−5−スルホニ ル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:85%
M.P.:241-243℃
実施例57 4−フェニル−1−[N−(4−アミノベンゾイル)インドリン−5−スルホニ ル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン・HClの合成
実施例55で製造した4−フェニル−1−[N−(4−ニトロベンゾイル)イ
ンドリン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン(100mg,0.
2mmol)及び50%ラネ−Ni 1.5mlを、メタノールとジクロロメタンを含む混合溶媒(
3/1,v/v)20mlに懸濁した。反応混合物を水素雰囲気(5バール)下で室温
で4時間攪拌した。反応混合物をセライトを通して濾過し、次いで濾液を減圧下
で濃縮した。得られた残渣をメタノールとジクロロメタンの混合溶媒(1:40,v/v
)から結晶化して、遊離塩基形態で標題化合物を得、次いで5.7%(w/w)HCl-CH30H5
mlと反応させて、白色固体HCl塩の標題化合物90mgを得た。
収率:88%
M.P.:216-217℃
実施例58 4−フェニル−1−[N−(3−クロロベンゾイル)インドリン−5−スルホニ ル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:72%
H.P.:132-136℃
実施例59 4−フェニル−1−[N−(3,5−ジクロロベンゾイル)インドリン−5−ス ルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:79%
M.P.:235.8-236℃
実施例60 4−フェニル−1−[N−(3−フルオロベンゾイル)インドリン−5−スルホ ニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:81%
M.P.:202.5℃
実施例61 4−フェニル−1−[N−(2,4−ジフルオロベンゾイル)インドリン−5− スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:71%
M.P.:128℃
実施例62 4−フェニル−1−[N−(3−トリフルオロメチルベンゾイル)インドリン− 5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:83%
M.P.:119.2-119.4℃
実施例63 4−フェニル−1−[N−(3−トリフルオロメトキシベンゾイル)インドリン −5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:65%
M.P.:129-131℃ 実施例64 4−フェニル−1−[N−(4−トリフルオロメトキシベンゾイル)インドリン −5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロンの合成
実施例47と実質的に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:71%
M.P.:180-181.5℃
実施例65 (S)−(+)−4−フェニル−1−[N−(4−アミノベンゾイル)インドリ ン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン・HClの合成
製造例8で製造した(S)−(+)−4−フェニル−1−(インドリン−5−
スルホニル)−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン(0.72g,2.09mmol)をジク
ロロメタン20m1に溶解した。次いでここにピリジン(186μl,2.23mmol)及び4−
ニトロベンゾイルクロリド(413mg,2.23mmol)を窒素気流下で0℃で順に加えた
。反応混合物を5℃で2時間攪拌し、さらに室温で3時間攪拌した。反応混合物
をジクロロメタン20mlで希釈し、水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、
濃縮し、最後にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル/ヘ
キサン=2/1,v/v)で精製して、(S)−(+)−4−フェニル−1−[N−(
4−ニトロベンゾイル)インドリン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2
−イミダゾロン0.97g(収率:93%)を得た。
(S)−(+)−4−フェニル−1−[N−(4−ニトロベンゾイル)インド
リン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン(100mg,0.2mmo
l)をメタノールとジクロロメタンの混合溶媒(3/1,v/v)に溶解した。次いでここ
に50%ラネーNiを加え、反応混合物全体を水素雰囲気(5バール)下で室温で4
時間攪拌した。反応混合物をセライトを通して濾過し、次いで濾液を減圧下で濃
縮した。得られた残渣をメタノールとジエチルエーテルの混合溶媒(1/40,v/v)
から再結晶化することにより精製して、遊離塩基形態で標題化合物を得、次いで
23%(w/w)HCl-CH30Hで処理して白色固体HCl塩の標題化合物82mgを得た。
収率:87%
M.P.:216.0℃
[α]D=+20.4゜(C=0.98,Me0H)
実施例66 (S)−(+)−4−フェニル−1−[N−{4−(2−アミノプロパノイル) アミノベンゾイル}インドリン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イ ミダゾロン・HClの合成
1,3−ジシクロヘキシルカルボイミド(483mg,2.15mmol)及び1−ヒドロキ
シベンゾトリアゾール水和物(291mg,2.15mmol)のテトラヒドロフラン10mlの溶
液に、N−(t−ブトキシカルボニル)−L−アラニン(352mg,1.86mmol)及び
4−ジメチルアミノピリジン(50mg,0.41mmol)を順に加えた。反応混合物を室温
で5分間攪拌した。次いで、ここに、実施例65で製造した(S)−(+)−4
−フェニル−1−[N−(4−アミノベンゾイル)−インドリン−5−スルホニ
ル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン(200mg,0.41mmol)を加え、混合物
全体を室温で24時間攪拌した。攪拌後、反応混合物を濾過した。濾液を酢酸エ
チルで希釈し、塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで濃縮した
。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチ
ル/ヘキサン=2/1.v/v)で精製して、(S)−(+)−4−フェニル−1−[
N−{4−(2−t−ブトキシカルボニルアミノプロパノイル)アミノベンゾイ
ル}インドリン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン260m
g(収率:96%)を得た。
(S)−(+)−4−フェニル−1−[N−{4−(2−t−ブトキシカルボ
ニルアミノプロパノイル)アミノベンゾイル}インドリン−5−スルホニル]−
4,5−ジヒドロ−2−イミダゾロン(140mg,0.22mmol)及びp−クレゾール(57
μl,0.55mmol)を、トリフルオロ酢酸と水の混合溶媒(5ml:0.5ml)に溶解した。
反応混合物を室温で3時間攪拌し、次いでここにジエチルエーテル10mlを加えた
。形成された沈殿物を収集し、水20mlに溶解し、トリエチルアミンを用いて中和
し、次いで酢酸エチルで抽出した。抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濃
縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:ジクロロメタン/メタノ
ール=10/1,v/v)で精製して、遊離塩基形態で標題化合物を得、次いで5.7%(w/
w)HCl-CH30Hで処理して、白色固体HCl塩の標題化合物110mgを得た。
収率:82%
M.P.:247.4℃
[α]D=+34.5°(C=0.02,MeOH)
実施例67 (S)−(+)−4−フェニル−1−[N−{4−(2−アミノアセチル)アミ ノベンゾイル}インドリン−5−スルホニル]−4,5−ジヒドロ−2−イミダ ゾロン・HClの合成
N−(t−ブトキシカルボニル)−L−アラニンに代えてN−(t−ブトキシ
カルボニル)−L−グリシンを用いたこと以外は、実施例66と実質的に同じ方
法により標題化合物を製造した。
収率:71%
M.P.:263.3℃
[α]D=+35.6゜(C=1.26,MeOH)
実施例68 (S)−(−)−4−フェニル−1−[N−{4−(2−アミノ−3−フェニル −プロパノイル)アミノベンゾイル}インドリン−5−スルホニル]−4,5− ジヒドロ−2−イミダゾロン・HClの合成
N−(t−ブトキシカルボニル)−L−アラニンに代えてN−(t−ブトキシ
カルボニル)−L−フェニルグリシンを用いたこと以外は、実施例66と実質的
に同じ方法により標題化合物を製造した。
収率:66%
M.P.:202.5℃
[α]D=-9.1゜(C=2.76,MeOH)
以下、本発明による化合物(I)の抗腫瘍作用を試験管内あるいは生体内で評
価した。評価方法及びその結果を以下の実験例1〜4に記述した。実験例1 ヒト癌細胞系に対する試験管内抗腫瘍作用
本発明化合物の試験管内抗腫瘍作用を以下のヒト癌細胞系に対してMTTアッセ
イ法で測定した。
A549(ATCCCCL 185):ヒト肺癌
K562(ATCCCCL243):ヒト慢性骨髄性白血病
SK-0V-3(ATCC HTB77):ヒト卵巣腺癌
KB(ATCCCCL 17):ヒト類表皮癌
Colo205(ATCC CCL222):ヒト大腸腺癌
この実験において、公知の抗腫瘍性化合物、ドキソルビシン(Doxorubicin)及
びスロフェヌルを比較薬剤として用いた。
それぞれの腫瘍細胞を、10%牛胎児血清、100IU/mlペニシリン及び100μg/mlス
トレプトマイシンを含有するRPMI1640培地で培養し、次いで0.05%トリプシン及
び0.53mM EDTA・4Naを含有するトリプシン-EDTA溶液で一週間に1回または2回
定期的に継代培養した。得られたヒト腫瘍細胞系(10,000細胞/100μl)を96−
ウェルマイクロプレート上に入れ、次いで5%C02インキュベータ中で37℃で24
時間培養した。試験化合物をDMSOに溶解し、0.22μmPVDF濾過器で滅菌し、次い
で連続して5倍希釈して40μg/ml〜0.00256μg/mlとした。得られたサンプル溶
液100μl及びRPMI1640培地のみ(対照グループ)を、それそれヒト腫瘍細胞を含
む96−ウェルマイクロプレートに添加した。試験化合物の最終濃度は20μg/ml〜
0.00128μg/mlの範囲であり、DMSOの濃度は0.5%未満であった。細胞を5%CO2イン
キュベータ中で37℃で48時間培養した。MTT(3−(4,5−ジメチルチア
ゾール−2−イル)−e,5−ジフェニルテトラゾリウムブロマイド)を2mg/m
lの濃度で生理食塩水で溶解し、得られた溶液を0.22μmPTFE濾過器で濾過した。
得られたMTT溶液25μlを96−ウェルマイクロプレートの各ウェルに添加し、5%CO2
インキュベータ中で37℃で4時間さらにインキュベートした。次いでマイク
ロプレートの内容物を1000rpmで10分間遠心分離し、上澄み液を振り出して除去
した。ミトコンドリアコハク酸脱水素酵素によりMTTから形成されたホルマザン(
formazan)をDMSO100μlに溶解した。各ウェルの吸光度をマイクロELISA判読器で
540nmで測定し、細胞毒性を試験グループの吸光度を対照グループの吸光度で割
ることにより算出した。算出した細胞毒性(%)をプロットした後、50%腫瘍増
殖抑制濃度(IC50)をリニア−レグレション法(Linear-Regression method)評
価した。試験結果を以下の表1〜5に記載する。 実験例2 P388 マウス白血病細胞に対する生体内抗腫瘍作用
P388マウス白血病細胞をBDF1マウスに腹腔内注射して腹膜腔で増殖させた。P3
88細胞を周期的に滲出させて(exudated)、継代培養のために再びマウスに腹腔内
注射した。
細胞を滲出させ、洗浄し、塩水に再懸濁し(2×107細胞/ml)、次いでBDF1マ
ウスに再び腹腔内注射した(2×106細胞/0.1ml)。
適当な賦形剤に溶解した試験化合物を、2日に1回の頻度で10日間、P388マ
ウス白血病腫瘍細胞を移植したマウスに、腹腔内または経口投与した。賦形剤を
対照グループのマウスに投与した。次いで生存している動物の数を毎日チェック
し、半生存時間(MST)を測定した。
各試験化合物のT/C比(%)を以下の式により計算した。試験結果を表6に示す
。
T/C(%)=(試験グループのMST÷対照グループのMST)×100 実験例3 コロン26マウス大腸癌細胞に対する生体内抗腫瘍作用
コロン26マウス癌細胞をBalb/Cマウスに皮内注射し、マウス腹部表皮中、固形
腫瘍になるまで増殖させた。コロン26腫瘍をマウスから定期的に切取り、コラゲ
ナーゼとDNアーゼを含有する酵素混合物で消化し、次いで継代培養のためにマウ
スに再び皮内注射した。
細胞を洗浄し、食塩水に再懸濁し(5×106細胞/ml)、毛を予め剃ったBalb/C
マウスの腹部に皮内接種した(5×105細胞/0.1ml)。各試験化合物を、30:20:5
0の容積比の60%,プロピレングリコール(PG)、40%クレモファー(cremophor)RH
60(CP)及び蒸留水(DW)の混合溶媒に溶解した。腫瘍のサイズが適当な水準に
到達した時、試験化合物を、2日に1回の頻度で10日間、コロン26腫瘍細胞を
移植したマウスに、経口投与した。賦形剤も対照グループのマウスに投与した。
各グループの腫瘍の主軸及び副軸をベルニアカリパス(vernier calipers)で規則
的に測定し、腫瘍体積の増加を評価した。腫瘍体積を以下の式により計算した。
腫瘍体積(mm3)=(1/2)×[主軸の長さ(mm)]×[副軸の長さ(mm)]2
対照グループの腫瘍体積が約1500mm3に到達した時、試験動物を頸部脱臼によ
り生贄にし、腫瘍を注意して切除し、秤量した。各試験化合物の腫瘍増殖抑制率
(%)を以下のように計算した。
腫瘍増殖抑制率(%)=100×[1-(試験グループの腫瘍重量÷対照グループの腫
瘍重量)]
結果を以下の表7に示す。
実験例4 急性毒性実験(LD50)
試験動物として雄ウィスターラット(Charles River Japan,ca,6週齢)を用
い、対照賦形剤としてナトリウム−カルボキシメチルセルロース(Na-CMC,Sigm
aChemical,U.S.A)を用いた。化合物57及び65をそれぞれ投与前に、0.5%Na
-CMCに懸濁した。試験化合物を400,550,700,850及び1000mg/kgの用量で胃洗
浄により投与した。対照グループは0.5%Na-CMCのみで処理した。各グループは5
匹のラットから構成された。各試験化合物のLD50値及び95%信頼区間をプロビッ
ト方法(probit method)により計算した。得られた結果を以下の表8に記載する
(95%信頼区間はカッコ内に示す。)。
表8の結果からわかるように、本発明化合物(I)は、ヒトを含む哺乳動物に
対して殆ど急性毒性がないので、従って、抗腫瘍剤として安全に使用することが
できる。
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(31)優先権主張番号 1996/53450
(32)優先日 平成8年11月12日(1996.11.12)
(33)優先権主張国 韓国(KR)
(31)優先権主張番号 1997/19365
(32)優先日 平成9年5月19日(1997.5.19)
(33)優先権主張国 韓国(KR)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),AU,CA,CN,J
P
(72)発明者 イー、ムン ソン
大韓民国、キョンギ−ド 463―020、ソン
ナム、ブンダン―グ、スネ−ドン、パーク
タウン アパートメント ナンバー 110
―301
(72)発明者 チェー、ドン ラク
大韓民国、キョンギ−ド 435―042、グン
ポ、サンボン イ−ドン、ジュゴン アパ
ートメント ナンバー 107―504
(72)発明者 イー、ジョン アー
大韓民国、ソウル 151―014、カナ−ク、
シンリム サ−ドン、477―16
(72)発明者 イー、ヒー スン
大韓民国、デジョン 301―151、ジュン―
グ、テピョン イル―ドン、338―37
(72)発明者 ユン、ヘー ラン
大韓民国、キョンギ−ド 427―030、クァ
チョン、ウォンムン―ドン、ジュゴン ア
パートメント ナンバー 267―105
(72)発明者 イー、トッ クン
大韓民国、キョンギ−ド 435―042、グン
ポ、サンボン イ−ドン、サムイク ウル
チ アパートメント ナンバー 622―401
(72)発明者 ムン、ウン イー
大韓民国、キョンギ−ド 431―070、アン
ヤン、ドンアン―グ、ピョンチョン―ド
ン、クンマウル アパートメント ナンバ
ー 607―105
(72)発明者 ファン、ヒョン スク
大韓民国、ソウル 133―050、ソンドン―
グ、マザン―ドン、462―1
(72)発明者 チェー、チョン ハー
大韓民国、ソウル 137―140、ソチョー―
グ、ウミョン―ドン、デリム アパートメ
ント ナンバー 103―403
(72)発明者 ジョン、サン ホン
大韓民国、デジョン 305―345、ユウソン
―グ、シンソン―ドン、ドゥレ アパート
メント ナンバー 102―804