JP2000503271A - トラクションスリップコントロール式液圧ブレーキ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明の対象であるブレーキ装置は、トラクションスリップコントロールのための４弁−ＡＢＳを装備している。本発明では、既存の電磁操作式流入弁（１２，１３）のほかに、駆動される車輪に属する車輪ブレーキ（６）だけが排出弁（２１）を備えていることを提案する。ブレーキ管路（４）には分離弁（９）が付加的に設けられ、自吸式戻しポンプ（１６）が使用される。この戻しポンプは付加的に、マスターシリンダ（１）と分離弁（９）の間のブレーキ管路（４）に至る吸込み管路（１７）を備えている。吸込み管路（１７）は特に液圧弁によって遮断可能である。分離弁（９）も液圧操作バージョンによって置き換え可能である。これは、トラクションスリップコントロールを実現するために、高々４個の付加的な電磁弁だけしかブレーキ装置全体のために必要としないという利点がある。

Description

【発明の詳細な説明】 トラクションスリップコントロール式液圧ブレーキ装置 本発明は請求項１の上位概念に記載した液圧ブレーキ装置に関する。このよう なブレーキ装置は特開平６−１７１４８７号公報によって知られている。その際 、このブレーキ装置は、戻し原理に従って作動する普通のブレーキ装置と異なり 、車輪ブレーキから戻しポンプの吸込み側に至る還流管に、低圧アキュムレータ も排出弁も備えていないアンチロックコントロール式ブレーキ装置である。車輪 ブレーキ内に動圧を発生するために、還流管は絞り個所だけを備えている。この 絞り個所は車輪ブレーキと戻しポンプの吸込み側の間で圧力降下を生じる。それ によって、車輪ブレーキ内の圧力上昇は、車輪ブレーキに至るブレーキ分岐管路 内の流入弁が閉じ、ポンプ圧力が車輪ブレーキにもはや達しないことによって行 われる。圧力媒体が車輪ブレーキから持続的に流出するので、ブレーキ圧力が低 下する。 本発明の課題は、このようなブレーキ装置の付加的コスト、すなわち電気導線 と、トラクションスリップコントロールのための弁の付加的な制御ロジックをで きるだけ少なくすることである。 この課題は請求項１または請求項３記載の特徴によって解決される。これによ って本発明は、駆動される１本の車軸を備えた車両において、このようなブレー キ装置あたり高々４個の付加的な電磁弁でトラクションスリップコントロールを 可能にする。駆動される車輪だけが、戻しポンプによる充分なブレーキ圧力上昇 を可能にする排出弁を必要とする。トラクションスリップコントロールの場合に も、低圧アキュムレータは不要である。３個の個別的な２ウェイ／２位置方向制 御弁を選択する場合には、戻しポンプに至る吸込み管路内に設けた切換弁が液圧 的に制御可能であるかあるいはブレーキ管路内に設けた分離弁が液圧的に制御可 能であるかあるいはこの両弁が液圧的に制御可能である。排出弁としては特に電 磁弁が使用される。それによって、車輪ブレーキ内のブレーキ圧力を必要に応じ て上昇または低下させることができる。切換弁と分離弁が一つの組み合わせ弁に まとめられると、この組み合わせ弁は電磁的に操作可能であり、それによって排 出弁の他に第２の制御ロジックが必要であるかあるいは液圧操作式組み合わせ弁 として形成可能であり、それによって他の制御装置と電気導線が不要である。 ６つの図に示した複数の実施の形態の形態に基づいて、本発明思想を詳しく説 明する。 図１は本発明によるブレーキ装置のブレーキ回路を示す図、 図２は、図１の電磁操作式分離弁装置と置換可能な液圧操作式分離弁装置を示 す図、 図３は無圧状態で開放する図１の切換弁と置換可能である無圧状態で閉鎖する 液圧操作式切換弁を示す図、 図４は図１の分離弁と切換弁の機能を組み合わせた組み合わせ弁を示す図、 図５は液圧操作式組み合わせ弁を示す図、 図６は電流を通じていない状態で閉じる図１の排出弁と置換可能な組み合わせ 排出弁を示す図である。 図１のブレーキ装置はマスターシリンダ１を備えている。このマスターシリン ダは貯蔵容器２に接続され、ブレーキペダル３を介して操作可能である。マスタ ーシリンダ１から２つのブレーキ回路Ｉ，ＩＩが出発している。ブレーキ回路Ｉ ，ＩＩは同一に形成されているので、ブレーキ回路Ｉの図示内容は図示していな いブレーキ回路ＩＩについても同様に当てはまる。その際、両ブレーキ回路の戻 しポンプは共通の１個のモータによって駆動可能である。 マスターシリンダ１からブレーキ管路４が２つのブレーキ回路７，８を経てそ れぞれ１つの車輪ブレーキ５または６まで延びている。ブレーキ管路４には分離 弁９が設けられている。この分離弁は電流を通じていない状態で開放する電磁操 作式２ウェイ／２位置方向制御弁として形成されている。車輪ブレーキ５に通じ るブレーキ分岐管路７はマスターシリンダ１と分離弁９の間の分岐点１０のとこ ろでブレーキ管路４から分岐し、車輪ブレーキ６に通じるブレーキ分岐管路８は 、ブレーキ管路４の端部、すなわちマスターシリンダ１から見て分離弁９の向こ う側にある分岐点１１から分岐している。ブレーキ分岐管路７，８にはそれぞれ 、流入弁１２または１３が設けられている。この流入弁は電流を通じないときに 開放する電磁弁である。各々の車輪ブレーキ５，６から還流管路１４または１５ が自吸式戻しポンプ１６の吸込み側に案内されている。戻しポンプ１６の吸込み 側は還流管１４，１５のほかに、吸込み管路１７を介してマスターシリンダ１と 分離弁９の間のブレーキ管路４に接続されている。吸込み管路１７は圧力が加わ らない状態で開放する液圧操作式２ウェイ／２位置方向切換弁１８を介して遮断 可能である。この２ウェイ／２位置方向切換弁は供給されるマスターシリンダ圧 力によって閉鎖される。 戻しポンプ１６の圧力側は送出管路２２を介して分岐点１１でブレーキ管路に 接続されている。 車輪ブレーキ５の還流管路１４は電磁弁ではなく、絞り１９と、車輪ブレーキ ５の方向に遮断する逆止弁２０を備えている。車輪ブレーキ６の還流管路１５に は、電流を通じていない状態で閉じる電磁操作式排出弁２１が設けられている。 アンチロックコントロールの間、絞り１９と逆止弁２０は車輪ブレーキ５内に 充分な動圧をもたらす。車輪ブレーキ６内では、排出弁２１が閉じることにより 、ブレーキ圧力が発生し、保持される。 分離弁９に対して平行に、逆止弁２３と逃がし弁２４が接続配置されている。 逆止弁２３はマスターシリンダ１から車輪ブレーキ６の方への圧力媒体流れを可 能にし、逃がし弁２４は、ブレーキ分岐管路８内に高すぎる圧力が発生したとき に開放する。 図示したブレーキ回路Ｉはダイアゴナル式ブレーキ回路分割型ブレーキ装置か ら推察される。これは、一方の車軸だけが駆動される場合にトラクションコント ロールが各々のブレーキ回路のその都度一方の車輪ブレーキへの積極的なブレー キ介入を必要とすることを意味する。この場合、車輪ブレーキ６が駆動される車 輪に属し、車輪ブレーキ５が駆動されない車輪に属する。これに応じて、分離弁 ９が閉じる際に、駆動される車輪の車輪ブレーキ６だけがマスターシリンダ１か ら分離され、駆動されない車輪の車輪ブレーキ５は持続的にマスターシリンダ１ に接続されたままである。これにより、ブレーキペダルを操作しないで、積極的 なブレーキ圧力上昇が戻しポンプ１６の搬送圧力だけによって車輪ブレーキ６内 でのみ可能であり、かつ必要である。言わばアンチロックコントロールのため、 ヨーモーメントコントロールのためあるいは他の理由から、積極的なブレーキ介 入が車輪ブレーキ５内でも行われると、ブレーキ分岐管路７は分岐点１０でなく 分岐点１１でブレーキ管路４に接続される。そして、還流管路１４は液圧操作式 要素の代わりに、電磁弁を備えている。例えばブレーキ装置が前車軸−後車軸− 分割ブレーキ回路を有し、それによって駆動される車輪の両車輪ブレーキが共通 の一つのブレーキ回路内に配置されていると、このブレーキ回路内でのトラクシ ョンスリップコントロールのために、２個の排出弁が配置されるが、トラクショ ンコントロールを行う必要のない他方のブレーキ回路には排出弁を設ける必要が ない。 図２に従って、分離弁９は液圧操作式分離弁２９によって置き換え可能である 。この分離弁２９の場合、マスターシリンダ圧力は開放方向に作用し、戻しポン プ１６の送出圧力は閉じるように作用する。マスターシリンダ１と戻しポンプ１ ６から圧力が供給されると、分離弁は図示した開放した基本位置にとどまる。な ぜなら、分離弁がばねによって開放方向に付勢されているからである。逆止弁２ ３と逃がし弁２４の配置は図１の配置と同じである。 図１の切換弁１８の代わりに、図３の切換弁３８を設けることができる。この 切換弁は同様に液圧で操作されるが、無圧状態で閉じている。戻しポンプ１６の 吸込み側の圧力を切換弁３８に対して閉鎖方向に作用させることができる制御管 路の目的は、回転する戻しポンプ１６による負圧の際に、切換弁３８があたかも その開放位置に引っ張られるようにすることである。この切換え位置でマスター シリンダ１からブレーキ圧力が発生すると、切換え弁３８の下方にも正圧が生じ る。この正圧は再び切換え弁３８を閉鎖するように作用する。このようなペダル 操作式ブレーキングが臨界スリップ値を生じない限り、ポンプは停止され、ブレ ーキスリップコントロールが必要になるまで運転されない。しかし、戻しポンプ １６が再び吸込み始めると、戻しポンプ１６に供給するために、還流管１４と場 合によっては還流管１５を経て充分な圧力媒体量が流出する限り、切換え弁３８ は差し当たり開放しない。すなわち、この時間の間、吸込み管路１７内の圧力が 大気圧以下に下がらないので、切換弁３８を付勢する圧縮ばねは切換弁３８をそ の閉じた基本位置に保持する。 切換弁のこのバージョンは、きわめて簡単な制御ロジックを有する電磁操作式 切換弁として簡単に形成可能である。というのは、トラクションスリップコント ロールまたはアクティブブレーキングが必要なときに、切換弁を開放すればよい からである。他のすべての状況では切換弁は閉じたままにすることができる。そ の際、図１の分離弁および排出弁２１または他の電磁操作式排出弁と組み合わせ て、このようなブレーキ回路３のために付加的な電磁弁が必要である。しかし、 これは他方では、構造的に簡単に構成される標準電磁弁を使用することができる という利点がある。すなわち、このような変形は、電気的な導線のコストがたい した問題ではなく、例えば適当な制御ロジックを他のブレーキ装置から容易に借 用できるときに推奨される。しかし、電磁操作式切換弁は例えば図２の液圧式分 離弁とも組み合わせ可能であるので、このような場合にもブレーキ回路Ｉにおい て付加的な電磁弁が２個だけ使用される。 図４は、一点鎖線で示した図１のボックス２５の代わりに使用可能な組み合わ せ弁を示している。この組み合わせ弁４５は分離弁９と、電流を通じていないと きに閉じている、吸込み管路１７内の電磁操作式切換弁との組み合わせに相当す る。これは、組み合わせ弁４５がその基本位置でブレーキ管路４を開放し、吸込 み管路１７をマスターシリンダ１から分離することを意味する。これに対して、 電流を供給したその切換え位置では、組み合わせ弁４５によって吸込み管路１７ がマスターシリンダ１に接続され、ブレーキ管路４が遮断される。 図５は液圧操作されるこのような組み合わせ弁を示している。この組み合わせ 弁５５は図２の分離弁2９と図３の切換え弁３８の組み合わせに相当する。組み 合わせ弁は図３の切換弁３８と同じ制御管路を備えているので、ブレーキ管路４ を開放するばねで付勢される図示したその基本位置は、マスターシリンダが操作 されないときに吸込み管路１７に負圧が発生しない限り、常に維持される。組み 合わせ弁５５のこのバージョンの場合には、アンチロックコントロール式ブレー キ装置を装備するために、分離弁２９と切換弁３８を一緒に支承する場合のよう に、駆動される車輪の車輪ブレーキあたり付加的な電磁弁を１個だけしか必要と しない。すなわち、それぞれ１個の排出弁しか必要としない。 還流管路１５の排出弁の代わりに、図６に示した解決策を用いることができる 。図６に示した排出弁は同様に、電磁的に操作されるが、その通電しない基本位 置で開放している。車輪ブレーキ５の還流管路１４にも設けることができるよう に、この排出弁6１が絞り１９と逆止弁２０と直列に接続されていると、トラク ションスリップコントロールのためにのみあるいは他のアクティブブレーキング のためにのみ排出弁を閉じればよいという利点がある。ブレーキペダル３の操作 時に生じるアンチロックコントロールの場合には、還流管路１５と還流管路１４ 内で動圧を発生するために、液圧要素１９，２０で充分である。すなわち、この ような排出弁６１の制御ロジックは、電流を通じないときに閉じる排出弁２１と 比べて非常に簡単である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．ペダルで操作されるマスターシリンダ（１）を備え、このマスターシリンダ が貯蔵容器（２）に接続され、マスターシリンダから少なくとも１つのブレー キ回路（Ｉ）が出発し、このブレーキ回路が、マスターシリンダ（１）から車 輪ブレーキ（５，６）の少なくとも１つのブレーキ分岐管路（７，８）に至る ブレーキ管路（４）と、ブレーキ分岐管路（７，８）内に設けられた１個ずつ の流入弁（１２，１３）と、車輪ブレーキ（５，６）から戻しポンプ（１６） の吸込み側に至る１本ずつの還流管路（１４，１５）と、戻しポンプ（１６） の送出側から来てマ スターシリンダ（１）と少なくとも１本のブレーキ分岐管 路（８）との間のブレーキ管路（４）に接続された圧力管路（２２）を備えて いる、液圧式ブレーキ装置において、 ブレーキ装置が駆動される車輪の車輪ブレーキ（６）の還流管路（１５）に のみ１個ずつの排出弁（２１，６１）を備え、 マスターシリンダ（１）と圧力管路（２２）の接続部との間のブレーキ管路 （４）内に、２ウェイ／２位置分離弁（９，２２）が配置され、 吸込み管路（１７）がマスターシリンダ（１）と分離弁（９，２９）の間の ブレーキ管路（４）に接続し、かつ戻しポンプ（１６）の吸込み側に案内され 、 戻しポンプ（１６）が自吸式であり、２ウェイ／２位置切換弁（１８，３８ ）が吸込み管路（１７）内に設けられ、切換弁（１８，３８）およびまたは分 離弁（９，２９）が液圧操作される弁であることを特徴とする液圧式ブレーキ 装置。 ２．切換弁（１８）がその基本位置で開放していることを特徴とする請求項１記 載のブレーキ装置。 ３．切換弁（３８）がその基本位置で閉じていることを特徴とする請求項１記載 のブレーキ装置。 ４．ペダルで操作されるマスターシリンダ（１）を備え、このマスターシリンダ が貯蔵容器（２）に接続され、マスターシリンダから少なくとも１つのブレー キ回路（Ｉ）が出発し、このブレーキ回路が、マスターシリンダ（１）から車 輪ブレーキ（５，６）の少なくとも１つのブレーキ分岐管路（７，８）に至る ブレーキ管路（４）と、ブレーキ分岐管路（７，８）内に設けられた１個ずつ の流入弁（１２，１３）と、車輪ブレーキ（５，６）から戻しポンプ（１６） の吸込み側に至る１本ずつの還流管路（１４，１５）と、戻しポンプ（１６） の送出側から来てマスターシリンダ（１）と少なくとも１本のブレーキ分岐管 路（８）との間のブレーキ管路（４）に接続された圧力管路（２２）を備えて いる、液圧式ブレーキ装置において、 ブレーキ装置が駆動される車輪の車輪ブレーキ（６）の還流管路（１５）に のみ１個ずつの排出弁（２１，６１）を備え、 マスターシリンダ（１）と圧力管路（２２）の接続部との間のブレーキ管路 （４）内に、分離弁が配置され、 吸込み管路（１７）がマスターシリンダ（１）と分離弁の間のブレーキ管路 （４）に接続し、かつ戻しポンプ（１６）の吸込み側に案内され、 戻しポンプ（１６）が自吸式であり、切換弁が吸込み管路（１７）に設けら れ、分離弁と切換弁が構造的に３ウェイ／２位置組み合わせ弁（４５，５５） にまとめられ、この組み合わせ弁がその基本位置でブレーキ管路（４）を開放 し、切換え位置でマスターシリンダ（１）と戻しポンプ（１６）の吸込み側を 接続することを特徴とする液圧式ブレーキ装置。 ５．組み合わせ弁（５５）が液圧操作されることを特徴とする請求項４記載のブ レーキ装置。 ６．ブレーキ装置のすべての排出弁（２１）が通電しない状態で開放する２ウェ イ／２位置電磁弁であることを特徴とする請求項１〜５のいずれか一つに記載 のブレーキ装置。