JP2011201469A - 車両のブレーキシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブレーキペダル操作によってマスタシリンダ圧を発生するタンデム型マスタシリンダと、前輪系統配管と後輪系統配管とを連通すると共に、第2マスタシリンダ室と前記後輪系統配管とを遮断する第1ポジションと、前記前輪系統配管と前記後輪系統配管とを遮断すると共に前記第2マスタシリンダ室と前記後輪系統配管とを連通する第2ポジションとを有するカットバルブと、後輪に接続され、回生力を発生可能なモータジェネレータと、液漏れ検出手段により液漏れが検出されていないときは前記カットバルブを前記第1ポジションとし、液漏れが検出されたときは前記カットバルブを前記第2ポジションに切り換えるコントローラを備えた。
【選択図】図1
Description
次に、上記回路構成に基づく作用について説明する。まず、正常時における通常ブレーキ作用について説明する。運転者がブレーキペダルBPを踏み込むと、マスタシリンダ圧が発生する。このマスタシリンダ圧は、第1マスタシリンダ室MC1から液圧ユニットHUを介してメイン油路13へと供給され、前輪系統配管LF及び後輪系統配管LRに液圧が供給される。尚、カットバルブCVは開状態であるため、第2マスタシリンダ室MC2と後輪系統配管LRとは遮断された状態である。このとき、後輪系統配管LRにはプロポーショニングバルブPVを介して液圧が供給されるため、液圧上昇勾配が前輪系統配管LFとは異なる。これにより、制動に伴う荷重移動によって後輪側がロックしやすくなる傾向を回避する。
次に、ブレーキ配管の失陥時における作用について説明する。図3は実施例1のブレーキシステムにおいて前輪系統配管が失陥した場合の概略図である。コントローラ100では、ストロークセンサ1によりブレーキペダルストローク量が所定値以上と検出されたときに、液圧センサ2によりマスタシリンダ圧が上昇してこない場合、前輪系統配管LFもしくは後輪系統配管LRにおいて、配管の破れ等による液漏れが発生していると判断する。このとき、カットバルブCVを第2ポジションに切り換える指令を出力すると共に、保持弁EVを遮断する指令を出力する。これにより、第2マスタシリンダ室MC2の液圧はカットバルブCVを介して後輪系統配管LRに供給される。すなわち、前輪系統配管LFへのブレーキ液の流出を保持弁EVとカットバルブCVにより遮断しつつ、後輪系統配管LRの制動力を確保することができる。
次に、インホイルモータMDと液圧ブレーキ装置との回生協調制御処理について説明する。図5は実施例1の回生協調制御処理を表すフローチャートである。
ステップS1では、アクセルペダル開度が所定値以上か否かを判断し、運転者がアクセルペダルを解放した状態であると判断できるときはステップS2に進み、それ以外のときはステップS18に進んで非制御状態とする。アクセルオン状態では回生強調を非制御とし、アクセルとブレーキが同時に踏まれた場合には、摩擦ブレーキのみで車両を安定して減速できるからである。
ステップS2では、マスタシリンダ圧PMと、車体速Vと、車輪速Vrとを読み込む。尚、車体速Vは、各輪車輪速Vrの平均値もしくは最高値を適宜選択してもよいし、車体減速度等から車体速の推定を行っても良く、特に限定しない。
ステップS4では、カットバルブCVを閉じる制御指令を出力する。これにより、前輪系統配管LFもしくは後輪系統配管LRに失陥が生じていたとしても、一方の系統の制動力を確保することができる。
ステップS6では、インホイルモータMDの最大回生力BMMと、許容回生力BMCと、スリップ率λを算出する。具体的には、踏力−制動力特性に基づいて各種制動力を決定する。図6は実施例1の踏力と制動力との関係を表す特性図である。まず、ステップS5で設定された必要制動力に対応する各種アクチュエータ(インホイルモータMD及び液圧ブレーキ装置)の制動力を決定する。
ステップS8では、最大回生力BMMをスリップ率感度Kd(0<Kd<1)と許容回生力BMC(初期値はBMM)を掛け合わせ、新たな許容回生力BMCを算出する。次に、ステップS8−1に進み制動力BMをBMCに設定する。RR駆動輪滑りが発生している状況では回生力を低下させる必要があるからであり、新たな許容回生力BMCは理想制動力配分となるように回生力を低減させる(図7のRR回生力参照:BMM→BMC)。
ステップS13では、回生量をBMに設定し、ステップS14では、以下の式から液圧ユニットHUで制御する制御液圧Pfを決定する。
摩擦制動力BP=必要制動力BA−回生力BM
摩擦制動力BP=前輪摩擦制動力BF+後輪摩擦制動力BR
尚、BFとBRはプロポーショニングバルブPVの特性によって一義的に決定されており、例えば、BR=k・BFのような関係がある(kはPVによって決まる特性係数:図7の勾配参照)。よって、前後輪の摩擦制動力が決定できる。
ステップS17では、増圧比例弁HSVの閉制御指令を出力する。具体的には、増圧比例制御弁HSVに差圧に基づく電磁力を付与し、上流側はマスタシリンダ圧、下流側は液圧が0となるように設定する。このとき、減圧弁AVを開き、ポンプ4を駆動することで、増圧比例弁HSVから流出したブレーキ液をアキュムレータ5内に貯留しつつ、第1マスタシリンダ室MC1内に還流する。これにより、ブレーキペダルストローク量をある程度確保しつつ、回生制動力のみを発生させる。
次に、上記制御処理に基づく制動力制御の作用について説明する。図7は実施例1の車両のブレーキシステムの前後制動力配分特性を表す特性図である。以下、この特性図を用いて説明する。
〔低減速度領域における制動力制御〕
運転者のブレーキペダル踏力が50(N)の場合を例に説明する。この場合、必要制動力は500(N)程度となり、全て回生制動力によって確保する(図6参照)。よって、液圧制動力は発生させる必要がないため、後輪の回生制動力のみで必要制動力を確保する。これにより、図7のA点に示す前後輪制動力の関係を示すこととなり、理想制動力配分線からは大きく外れる制動力特性となるが、減速度が低いときは、車両前方への荷重移動が小さく、後輪のみで制動力を確保しても後輪スリップを招く虞が低いため、問題は無い。
運転者のブレーキペダル踏力が100(N)の場合を例に説明する。この場合、必要制動力は1250(N)程度となり、回生制動力と液圧制動力の両方によって回生協調制御を行う。図6に示すように、踏力100(N)のときの最大回生力BMMは500(N)程度である。このとき、前輪液圧制動力は500(N)、後輪液圧制動力は250(N)となる。これにより、図7のB点に示す前後輪制動力の関係を示すことになる。
運転者のブレーキペダル踏力が200(N)の場合を例に説明する。この場合、必要制動力は2800(N)程度となり、液圧制動力のみで制動力を確保する。このとき、前輪側の液圧制動力は2000(N)、後輪側の液圧制動力は800(N)となる。この関係は、プロポーショニングバルブPVの特性によって決まるものである。これにより、図7のC点に示す前後輪制動力の関係を示すことになる。回生制動力は発生しないため、特に協調制御は行われず、増圧比例制御弁HSVも開弁状態となる。
(1)ブレーキペダル操作によって第1マスタシリンダ室MC1と第2マスタシリンダ室MC2にマスタシリンダ圧を発生するタンデム型マスタシリンダMCと、第1マスタシリンダ室MC1に接続され、ブレーキ液を貯留可能な液圧ユニットHUと、液圧ユニットHUに接続され、前輪側のホイルシリンダにブレーキ液を供給し液圧制動力を発生させる前輪系統配管LFと、前輪系統配管LFに接続され、後輪側のホイルシリンダにブレーキ液を供給し液圧制動力を発生させる後輪系統配管LRと、前輪系統配管LFと後輪系統配管LRとを連通すると共に第2マスタシリンダ室MC2と後輪系統配管LRとを遮断する第1ポジションと、前輪系統配管LFと後輪系統配管LRとを遮断すると共に第2マスタシリンダ室MC2と後輪系統配管LRとを連通する第2ポジションとを有するカットバルブCVと、後輪に接続され、回生力を発生可能なインホイルモータMD(モータジェネレータ)と、前輪系統配管LF又は後輪系統配管LRの液漏れを検出するステップS3(液漏れ検出手段)と、ステップS3により液漏れが検出されていないときはカットバルブCVを第1ポジションとし、液漏れが検出されたときはカットバルブCVを第2ポジションに切り換えるコントローラ100と、を備えた。
実施例1の構成にあっては、通常時において液圧ユニットHUを介して前後輪に制動力を発生させており、ストローク量STとマスタシリンダ圧との関係を見れば、配管のどこかに失陥が生じていると推定できる。また、どこに失陥が発生したかを検証することなくカットバルブCVを遮断するだけで、失陥していない箇所の制動力を確保できる。
よって、前輪系統配管LF及び後輪系統配管LRへの液圧を制限しつつ、アキュムレータ5によってブレーキペダルストロークを確保することが可能となり、運転者に違和感を与えることなく回生協調制御を実行することができる。
よって、荷重移動が少ない低減速度域では後輪の回生力のみで制動力を発生させることで回生効率を高めることができる。また、中減速度域では液圧ブレーキ装置を作動させることで前後輪制動力配分特性を改善することができる。また、高減速度域では、液圧ブレーキ装置のみで制動するため、より理想的な前後輪制動力配分特性に近づけることができる。
2 液圧センサ
3 モータ
4 ポンプ
5 アキュムレータ
10 第1油路
11 第2油路
13 メイン油路
21 供給油路
22 還流油路
100 コントローラ
AV 減圧弁
BA 必要制動力
BF 前輪摩擦制動力
BM 回生力
BMC 許容回生力
BMM 最大回生力
BP ブレーキペダル
BP 摩擦制動力
BR 後輪摩擦制動力
CV カットバルブ
EV 保持弁
HSV 増圧比例制御弁
HU 液圧ユニット
LF 前輪系統配管
LR 後輪系統配管
MC マスタシリンダ
MC1 第1マスタシリンダ室
MC2 第2マスタシリンダ室
MD インホイルモータ
PV プロポーショニングバルブ
Claims (5)
- ブレーキペダル操作によって第1マスタシリンダ室と第2マスタシリンダ室にマスタシリンダ圧を発生するタンデム型マスタシリンダと、
前記第1マスタシリンダ室に接続され、ブレーキ液を貯留可能な液圧ユニットと、
前記液圧ユニットに接続され、前輪側のホイルシリンダにブレーキ液を供給し液圧制動力を発生させる前輪系統配管と、
前記前輪系統配管に接続され、後輪側のホイルシリンダにブレーキ液を供給し液圧制動力を発生させる後輪系統配管と、
前記前輪系統配管と前記後輪系統配管とを連通すると共に前記第2マスタシリンダ室と前記後輪系統配管とを遮断する第1ポジションと、前記前輪系統配管と前記後輪系統配管とを遮断すると共に前記第2マスタシリンダ室と前記後輪系統配管とを連通する第2ポジションとを有するカットバルブと、
後輪に接続され、回生力を発生可能なモータジェネレータと、
前記前輪系統配管又は前記後輪系統配管の液漏れを検出する液漏れ検出手段と、
前記液漏れ検出手段により液漏れが検出されていないときは前記カットバルブを前記第1ポジションとし、液漏れが検出されたときは前記カットバルブを前記第2ポジションに切り換えるコントローラと、
を備えたことを特徴とする車両のブレーキシステム。 - 請求項1に記載の車両のブレーキシステムにおいて、
前記ブレーキペダルのストローク量を検出するストロークセンサと、
前記マスタシリンダ室の液圧を検出する液圧センサと、
を設け、
前記液漏れ検出手段は、前記ストロークセンサのセンサ値が増大したにも係らず前記液圧センサのセンサ値が増大しないときに液漏れを検出することを特徴とする車両のブレーキシステム。 - 請求項1又は2に記載の車両のブレーキシステムにおいて、
前記液圧ユニットは、
前記第1マスタシリンダ室からのブレーキ液が供給される供給油路と、
前記第1マスタシリンダ室へブレーキ液を還流する還流油路と、
前記供給油路上に設けられ、上流側と下流側との差圧を制御する増圧比例弁と、
該増圧比例弁の下流に設けられ前記第1マスタシリンダ室と前記前輪系統配管との間を遮断する保持弁と、
前記還流油路上に設けられ、ブレーキ液を貯留可能なアキュムレータと、
前記還流油路上に設けられ、前記アキュムレータよりも前記第1マスタシリンダ室側に配置されたポンプと、
前記還流油路上に設けられ、前記アキュムレータよりも前記前輪系統配管側に配置された減圧弁と、
を備えたことを特徴とする車両のブレーキシステム。 - 請求項3に記載の車両のブレーキシステムにおいて、
運転者の要求している必要制動力を検出する必要制動力設定手段を設け、
前記必要制動力設定手段により設定された制動力が第1の所定値以下の低減速度域のときは、前記モータジェネレータによる回生力のみ発生させ、
前記第1の所定値より大きく、前記第1の所定値より大きい第2の所定値以下の中減速度域のときは、前記モータジェネレータによる回生力と液圧制動力とにより回生協調制御を実行し、
前記第2の所定値より大きい高減速度域のときは、液圧制動力のみを発生させることを特徴とする車両のブレーキシステム。 - 請求項4に記載の車両のブレーキシステムにおいて、
前記中減速度域のときに、後輪に所定以上のスリップが生じたときは、回生力を低減させることを特徴とする車両のブレーキシステム。
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