JP2000358298A - スピーカ - Google Patents

スピーカ

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Yutaka Murai
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    • H04R7/00Diaphragms for electromechanical transducers; Cones
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 半球面状の振動体を用いたスピーカであっ
て、簡単に製造をすることができるスピーカを得る。 【解決手段】 スピーカ10は、円板状のベース12を
含む。ベース12に形成された円形の溝16に半球面状
の振動子22を嵌め込んで接着する。振動子22の両面
に形成された電極に端子30,32を取り付ける。ベー
ス30,32は、ベース12に形成された端子用溝1
8,20を通して、ベース18の面に直交するように引
き出す。さらに、振動子22の外面側に、別部材として
のホーンを取り付けてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はスピーカに関し、
特にたとえば、半球面状の振動体を用いたスピーカに関
する。
【0002】
【従来の技術】本願発明者は、半球面状の振動体を用い
たスピーカを発明し、特願平7−347884号(特開
平9−168194号公報)として特許出願を行ってい
る。このスピーカ1は、図9に示すように、圧電体材料
で形成された半球面状の振動体2の両面に電極3a,3
bを形成し、これらの電極3a,3b間に信号を入力す
ることによって振動体2を振動させて音波を放射するも
のである。振動体2の端縁部は、ベース4に取り付けら
れる。
【0003】ベース4には、振動体2の内面側から外側
に向かって徐々に広がる孔(音道)を有するホーン部5
が形成されている。このホーン部5によって、振動体2
の振動により振動体2の内面側から放射された音波がホ
ーン部5を通って外部に導き出される。振動体2の外面
側から放射される音波と内面側から放射される音波と
は、180°の位相差があるが、ホーン部5によって、
スピーカ1の設置面に平行する方向においてほぼ同じ位
相となるように揃えられる。
【0004】このように、このスピーカ1では、振動体
2が半球面状に形成されていることにより、振動体2の
湾曲した外面側からは、全方位にわたって音波が放射さ
れる。また、振動体2の内面側から放射された音波はホ
ーン部5の音道を通り、スピーカ1の設置面に平行する
方向において全方位にわたって放射される。したがっ
て、このスピーカ1は、無指向性のスピーカとすること
ができる。しかも、振動体2の外面側から放射される音
波と内面側から放射される音波を利用することにより、
電気信号から音波への変換効率のよいスピーカとするこ
とができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のスピーカでは、振動体の内面側から放射され
る音波を利用しているため、ベースとホーン部とを一体
的に形成する必要がある。ここで、ホーン部に形成され
た孔の形状は、振動体の内面側から外側に向かって徐々
に広がる形状に形成されており、形状が複雑であるた
め、ベースおよびホーン部の製造が困難である。また、
振動体の内面側から放射される音波を有効に利用するに
は、ベースと振動体との間の空隙の精度が重要であり、
高い組立精度を必要としていた。
【0006】それゆえに、この発明の主たる目的は、半
球面状の振動体を用いたスピーカであって、簡単に製造
をすることができるスピーカを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、半球面状の
振動体と、振動体を振動させるための駆動手段と、振動
体の端縁部を固定するための平板ベースとを含む、スピ
ーカである。このようなスピーカにおいて、振動体を圧
電体材料で形成し、駆動手段を振動体の内面および外面
に形成される電極で構成することができる。さらに、振
動体の外面側に配置され、振動体の近傍から遠ざかるに
したがって徐々に広がる孔を有するホーンを使用するこ
とができる。また、ホーンは、振動体の振動によって生
じる音を反射するとともに、振動体の振動に伴って振動
するものとすることができる。ここで、ホーンは、平板
ベースに固定される。
【0008】この発明のスピーカでは、半球面状の振動
体の外面側から放射される音波のみを利用することによ
り、内面側から放射される音波を利用する必要がなく、
ベースと一体的にホーン部を形成する必要がない。その
ため、半球面状の振動体の端縁部を固定するためのベー
スを平板状にすることができ、スピーカの製造が容易で
ある。半球面状の振動体としては、圧電体材料を用いた
ものを使用することができ、この場合、振動体を振動さ
せるために、振動体の両面に電極が形成される。さら
に、振動体の外面側に、外側に向かって徐々に広がるホ
ーンを取り付けることにより、振動体の外面側から放出
されてホーンの内面に達した音波が反射し、スピーカか
ら放射される音波の向きが揃えられ、放射方向の音圧レ
ベルを上げることができる。このとき、振動体の振動に
伴ってホーンが振動するように構成することにより、低
音部の音圧レベルを上げることができる。
【0009】この発明の上述の目的,その他の目的,特
徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施
の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0010】
【発明の実施の形態】図1はこの発明のスピーカの一例
を示す斜視図であり、図2はその断面図である。スピー
カ10は、平板状のベース12を含む。ベース12は、
たとえばアルミニウムなどを用いて円板状に形成され
る。ベース12の中央部には、小さい孔14が形成され
ている。さらに、ベース12の一方面上には、ベース1
2の外周に沿って、円形の溝16が形成される。また、
ベース12の対向端部には、それぞれ端子用溝18,2
0が形成される。端子用溝18,20は、ベース12の
一方面から端縁部にかけて、へこむように形成される。
これらの端子用溝18,20は、後述の端子をベース1
2の他方面側に引き出すために用いられる。
【0011】ベース12の一方面側には、半球面状の振
動子22が取り付けられる。振動子22は、図3に示す
ように、たとえば圧電セラミックなどで形成される半球
面状の振動体24を含む。振動体24は、その厚み方向
に分極処理が施される。そして、この振動体24を振動
させるための駆動手段として、振動体22の両面に電極
26,28が形成される。この場合、たとえば金,銀,
ニッケルなどの導電材料を、めっき,蒸着,スパッタリ
ングなどの方法によって振動体22上に形成することに
より、電極26,28が形成される。
【0012】振動子22は、ベース12に形成された円
形の溝16に嵌め込まれる。そして、振動子22の端縁
部が、絶縁性の接着剤などによって、溝16内でベース
12に接着される。このとき、接着時の加熱によって内
部の空気が膨張し、振動子22とベース12との間に浮
きを生じ接着が不安定になることを防ぐために、ベース
12に形成された小さい孔14が空気抜きの役割を果た
す。さらに、振動体24の両面に形成された電極26,
28には、端子30,32が取り付けられる。端子3
0,32は、図4および図5に示すように、クランク状
に形成され、その先端部が2つに分割されている。端子
の先端部が分割されていない場合、振動子22の球面上
に端子が半田付けされるため、端子の周辺部と振動子の
電極との間に大きい隙間が生じ、半田付けしにくい。ま
た、端子の折り曲げ部分に半田が付着しやすく、電極と
端子との接続に寄与しない半田が端子に残ってしまう。
それに対して、端子30,32は、その先端部が2つに
分割されているため、球面上に端子30,32の先端部
を近接して接触させることができる。さらに、分割され
た端子30,32の先端部の間に半田が入り込み、電極
26,28と端子30,32との接続を確実なものにす
ることができる。
【0013】端子30は振動体24の外面に形成された
電極26に接続され、端子32は振動体24の内面に形
成された電極28に接続される。そして、端子30,3
2は、ベース12に形成された端子用溝18,20を通
して、ベース12の面に直交する向きに引き出される。
このとき、端子30,32とベース12とが短絡しない
ように、端子用溝18,20の内側と端子30,32と
の間に間隔が設けられる。なお、ベース12をアルミニ
ウムで形成する場合、その表面にアルマイト処理を施す
ことにより絶縁皮膜を形成したり、絶縁性樹脂膜などを
形成すれば、ベース12と端子30,32とが接触して
いてもよい。また、ベース12を絶縁性樹脂などの絶縁
材で形成すれば、端子30,32とベース12との間に
間隔を設ける必要はない。
【0014】このスピーカ10では、端子30,32に
信号を入力することにより、振動体24が振動し、振動
子22の湾曲した外面から音波が放射される。しかしな
がら、振動子22の内面から放射される音波は、ベース
12があることによって、外部には放射されない。な
お、ベース12の中央部に形成された小さい孔14は、
振動子22をベース12に接着する際に、内部の空気を
逃がすためのものであり、音波の放射には関与していな
い。
【0015】このスピーカ10では、従来のスピーカの
ように、振動子22の内面から放射される音波を利用し
ていないため、ベース12にホーン部を形成する必要が
ない。そのため、ベース12に複雑な形状のホーン部を
加工する必要がなく、スピーカ10の製造が簡単であ
る。そのため、スピーカ10の製造コストを下げること
ができる。
【0016】このスピーカ10では、振動子22の直径
を約20mmに設定することにより、高音用のツィータ
として用いることができる。この場合、他の中低音用の
スピーカと組み合わせてスピーカシステムが構成され
る。このスピーカ10を組み込んだスピーカシステムで
は、高音域の全域にわたって必要とされる90dB程度
の音圧レベルを得ることが難しい。そのため、図6およ
び図7に示すように、スピーカ10にホーン40を組み
合わせたスピーカ50を発明した。このスピーカ50に
おけるホーン40には、音波が通るための音道42とし
て、一方側から他方側に向かうにしたがって徐々に広が
る孔が形成される。音道42の狭い側において、ホーン
40の内面側に鍔状部44が形成される。この鍔状部4
4に、ベース12の一方面の端部が接着される。このと
き、振動子22は、音道42側に配置される。
【0017】さらに、音道42の広い側の端部におい
て、ホーン40の外側に鍔状部46が形成される。鍔状
部46には、たとえば3つの取付け孔48が形成され
る。この取付け孔48は、他の音域のスピーカと組み合
わせたスピーカシステムにおいて、バッフル板などにス
ピーカ50を取り付けるために用いられる。ホーン40
は、たとえばABS樹脂などの材料で薄肉となるように
形成される。
【0018】このホーン40を取り付けたスピーカ50
では、振動子22の外面から放射された音波がホーン4
0の内面で反射し、一方向に音波が揃えられる。そのた
め、高い音圧レベルを得ることができる。さらに、ホー
ン40をABS樹脂などの軽い材料で薄肉となるように
形成することにより、振動子22の振動に伴ってホーン
40も振動させることができる。このように、ホーン4
0を振動させることにより、低音側の音圧レベルを上げ
ることができる。
【0019】ここで、ホーン40を取り付けていないス
ピーカ10と、ホーンを用いるがホーンとベースとを接
触させていないスピーカ(図示せず)と、ベース12と
ホーン40とを接着したスピーカ50について、音圧レ
ベルを測定し、その結果を図8に示す。このとき、ベー
スとホーンとを接触させていないスピーカ(図示せず)
では、ホーンは反射用としてのみ使用されている。ま
た、ベース12とホーン40とを接着したスピーカ50
では、ホーン40は反射用および振動用の両方の役割を
果している。
【0020】図8からわかるように、ホーンを反射用と
してのみ用いたスピーカ(図示せず)では、ホーンを使
用しないスピーカ10に比べて、全体的に高い音圧レベ
ルを得ることかできた。また、ホーン40を反射用およ
び振動用として用いたスピーカ50では、ホーンを反射
用としてのみ用いたスピーカ(図示せず)に比べて、さ
らに高い音圧レベルを得ることができる。しかも、ホー
ン40を振動用として用いることにより、特に高音域に
おける低音側の音圧レベルが高くなっていることがわか
る。
【0021】このように、ホーン40を用いることによ
って、高い音圧レベルを得ることができ、他のスピーカ
と組み合わせてスピーカシステムとするのに適してい
る。なお、ホーン40はベース12と別の部材として形
成されているため、従来のベースとホーン部とが一体と
なったものに比べて、成形が容易である。したがって、
ホーン40を含めても、従来のスピーカに比べて製造が
容易であり、低コストでスピーカ10を製造することが
できる。
【0022】なお、ホーン40として、質量の大きい材
料を用いると、反射用としての役割を果たすことはでき
るが、振動板としての役割を果たすことができない。そ
のため、ホーン40の材料としては合成樹脂材や、薄肉
の金属などを用いることが好ましい。
【0023】
【発明の効果】この発明によれば、ベースやホーンの構
造が簡単であるため、これらの製造が容易であり、安価
にスピーカを得ることができる。また、ホーンを用い
て、振動子から放射された音波を反射するとともに、振
動子の振動に伴ってホーン自身を振動させることによ
り、必要な音圧レベルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のスピーカの一例を示す斜視図であ
る。
【図2】図1に示すスピーカの断面を示す図解図であ
る。
【図3】図1に示すスピーカに用いられる振動子の断面
図である。
【図4】図1に示すスピーカにおいて、振動子と端子と
の接続状態を示す図解図である。
【図5】図4に示す端子の側面図である。
【図6】図1に示すスピーカにホーンを取り付けた状態
を示す斜視図である。
【図7】図6に示すスピーカの断面を示す図解図であ
る。
【図8】ホーンを使用しないスピーカと、ベースとホー
ンとを非接触の状態としたスピーカと、ベースとホーン
とを接着したスピーカの音圧レベルの特性を示す特性図
である。
【図9】従来のスピーカの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10,50 スピーカ 12 ベース 14 孔 16 溝 18,20 端子用溝 22 振動子 24 振動体 26,28 電極 30,32 端子 40 ホーン 42 音道
フロントページの続き (72)発明者 村井 豊 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 (72)発明者 毛利 隆夫 京都府長岡京市天神二丁目26番10号 株式 会社村田製作所内 Fターム(参考) 5D004 AA01 BB01 CC02 CC04 CD03 CD06 CD10 DD01 DD06 FF05 FF07 5D018 AE02 AE10 AE12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半球面状の振動体、 前記振動体を振動させるための駆動手段、および前記振
    動体の端縁部を固定するための平板ベースを含む、スピ
    ーカ。
  2. 【請求項2】 前記振動体は圧電体材料で形成され、前
    記駆動手段は前記振動体の内面および外面に形成される
    電極で構成される、請求項1に記載のスピーカ。
  3. 【請求項3】 前記振動体の外面側に配置され、前記振
    動体の近傍から遠ざかるにしたがって徐々に広がる孔を
    有するホーンを含む、請求項1または請求項2に記載の
    スピーカ。
  4. 【請求項4】 前記ホーンは、前記振動体の振動によっ
    て生じる音を反射するとともに、前記振動体の振動に伴
    って振動することを特徴とする、請求項3に記載のスピ
    ーカ。
  5. 【請求項5】 前記ホーンは、前記平板ベースに固定さ
    れてなる、請求項3または請求項4に記載のスピーカ。
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