JP2000351851A - 新規な熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの製造方法およびそれに用いるストランド - Google Patents

新規な熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの製造方法およびそれに用いるストランド

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JP2000351851A
JP2000351851A JP11165382A JP16538299A JP2000351851A JP 2000351851 A JP2000351851 A JP 2000351851A JP 11165382 A JP11165382 A JP 11165382A JP 16538299 A JP16538299 A JP 16538299A JP 2000351851 A JP2000351851 A JP 2000351851A
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ethylene
polyisobutylene
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JP11165382A
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Yoshihiro Goshi
義広 合志
Junichi Hattori
純一 服部
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Eneos Corp
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Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ストランド強度が高く、ベタツキの少ない熱
可塑性樹脂改質用のマスターバッチペレットを長時間安
定して生産し得る製造方法およびそれに用いるストラン
ドを提供する。 【解決手段】 (A)低結晶性ポリオレフィン30〜9
5重量%および(B)特定分子量範囲のポリイソブチレ
ン5〜70重量%の合計量100重量部と、上記(A)
より低い融点を有するポリオレフィン1〜50重量部と
を配合し、実質的に上記(A)を溶融せず(C)を溶融
する温度領域において混練押出しを行い、ストランド強
度20kg/cm以上のストランドを製造して、得られた
ストランドを切断することを特徴とする熱可塑性樹脂改
質用マスターバッチの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明はベタツキが少な
く、作業性の良好な、新規な熱可塑性樹脂改質用マスタ
ーバッチの製造方法に関する。詳しくは、エチレンとα
−オレフィンとの共重合により得られる、特定の性状を
有するポリオレフィンからなるマスターバッチの製造方
法に関するものであり、特に、ストランド強度が高く、
マスターバッチ貯蔵中に自重あるいは上部からの圧力で
押し潰されたり、ブロッキングやブリードが発生するな
どの欠点のない、作業性の良好な新規な可塑性樹脂改質
用マスターバッチを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を射出成形、押出成形、ブ
ロー成形、インフレーション成形等の方法で成形するこ
とにより各種の成形体、シート、フィルム等が製造され
ている。一般に、そのような熱可塑性樹脂には、それぞ
れの用途に要求される特性を付与するために、液状また
は固体粉末状などの各種改質剤、例えば可塑剤、充填
剤、染料、顔料、滑剤、酸化防止剤等が配合されてい
る。これらの改質剤は、あらかじめ熱可塑性樹脂に配合
しペレット化して使用するか、あるいはあらかじめ改質
剤の含有量を多く配合したマスターバッチペレットを製
造し、成形時にベース樹脂にドライブレンドして使用す
る。特に、改質剤が非固形状、例えば液状であるとき
は、改質されるべき熱可塑性樹脂と同種またはこれと相
溶性を有する樹脂によりあらかじめマスターバッチペレ
ットを製造し、これを熱可塑性樹脂にドライブレンドし
て使用する方法が広く採用されている。
【0003】ポリブテンのマスターバッチの製造方法
は、例えば、特開平1−201346号公報、特開平2
−11638号公報、特開平5−78496号公報等に
提案されている。しかし、これらのマスターバッチは、
袋詰め品として保管中に、袋の底部または段詰みの最下
部において自重および上部からの圧力で押し潰され、ブ
ロッキングやブリードが発生して、製品として使用でき
ないという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の現状に対し、本
願発明は、ブリードによるベタツキが少なく、ドライブ
レンド時のブロッキングや、ホッパー内でのブリッジン
グがなく、しかも長時間の貯蔵においてもブリード現象
を生じない優れた性状のマスターバッチペレットを、連
続的に長時間安定して生産し得る製造方法を確立し、そ
れに用いるストランドを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本願発明者らは、これら
の課題を解決するために鋭意検討した結果、低結晶性ポ
リオレフィンを用いて製造した、優れた強度を有するス
トランドを切断して得られるポリイソブチレンのマスタ
ーバッチペレットにおいては、ポリイソブチレンのブリ
ードによるベタツキが少なく、ドライブレンド時のブロ
ッキングや、ホッパー内でのブリッジングなどによる作
業性の低下が著しく改良され、長時間の貯蔵においても
ブリード現象が認められず、また上記マスターバッチは
連続的に安定して製造することが可能であることを見出
して本願発明に到達した。
【0006】すなわち本願発明の第1は、(A)低結晶
性ポリオレフィン 30〜95重量%および(B)粘度
平均分子量が30,000〜1,400,000のポリイ
ソブチレン 5〜70重量%からなるものを100重量
部と、(C)前記(A)のポリオレフィンよりも十分低
い融点を有するポリオレフィン1〜50重量部とを配合
し、前記(A)のポリオレインを実質的に溶融せず、前
記(C)のポリオレフィンを実質的に溶融する温度領域
において混練押出しを行うことにより、ストランド強度
が20kg/cm以上であるストランドを製造し、このス
トランドを切断することを特徴とする新規な熱可塑性樹
脂改質用マスターバッチの製造方法に関するものであ
る。
【0007】本願発明の第2は、(A)低結晶性ポリオ
レフィン 30〜95重量%および(B)粘度平均分子
量が30,000〜1,400,000のポリイソブチレ
ン 5〜70重量%からなるもの100重量部と、
(C)前記(A)のポリオレフィンよりも十分低い融点
を有するポリオレフィン1〜50重量部とからなる、ス
トランド強度が20kg/cm以上であることを特徴とす
るマスターバッチ用ストランドに関するものである。
【0008】本願発明の第3は、(A)エチレンと炭素
数3〜12のα−オレフィンとの共重合により得られ
る、下記(I)〜(IV)の性状を有するエチレン・α−
オレフィン共重合体 30〜95重量%、 (I)メルトフローレート(MFR)0.01〜100g/
10min (II)密度 0.860〜0.940g/cm (III)示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピー
ク温度(T)100℃以上 (IV)沸騰n−ヘキサン不溶分 10重量%以上、およ
び(B)粘度平均分子量が30,000〜1,400,0
00のポリイソブチレン 5〜70重量%からなるもの
を100重量部と、(C)MFRが0.01〜100g/1
0minであり、かつDSCによるTが上記のTより5
℃以上低いポリオレフィン 1〜50重量部とを配合
し、上記エチレン・α−オレフィン共重合体のTない
し(T−45)℃の温度領域で混練押出しを行うこと
により、ストランド強度が20kg/cm以上であるスト
ランドを製造し、このストランドを切断することを特徴
とする新規な熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの製造
方法に関するものである。
【0009】本願発明の第4は、(A)エチレンと炭素
数3〜12のα−オレフィンとの共重合により得られ
る、下記(I)〜(IV)の性状を有するエチレン・α−
オレフィン共重合体 30〜95重量%、 (I)メルトフローレート(MFR)0.01〜100g/
10min (II)密度 0.860〜0.940g/cm (III)示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピー
ク温度(T)100℃以上 (IV)沸騰n−ヘキサン不溶分 10重量%以上、およ
び(B)粘度平均分子量が30,000〜1,400,0
00のポリイソブチレン 5〜70重量%からなるもの
を100重量部と、(C)MFRが0.01〜100g/1
0minであり、かつDSCによるTが上記のTより5
℃以上低いポリオレフィン 1〜50重量とを配合して
なる、ストランド強度が20kg/cm以上であるマスタ
ーバッチ用ストランドに関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本願発明を詳述する。本願
発明においては、まず(A)低結晶性ポリオレフィンと
(B)ポリイソブチレンとを混合する。あらかじめ所定
割合に混合してもよく、また別個に押出機に供給しても
よい。通常は所定割合で別個に押出機に供給する。用い
る(A)低結晶性ポリオレフィンは、一定の結晶性を有
しており熱可塑性ではあるがしかし低結晶性のものであ
る。好ましくはX線回折法による結晶化度が50%程度
のポリオレフィンである。オレフィンとしては特に限定
されず、エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブテン
−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オク
テン−1等のオレフィンのホモ重合体または共重合体で
ある。例えば高圧ラジカル重合法で製造される低密度ポ
リエチレン、高圧ないし低圧のイオン重合法により製造
される直鎖低密度ポリエチレンなどが例示される。ま
た、(A)低結晶性ポリオレフィンは粉末状または顆粒
状のものが好ましい。具体的には10メッシュの篩を通
過する程度の大きさのものが好ましい。
【0011】(A)低結晶性ポリオレフィンとして、好
ましくは次に説明するエチレン・α−オレフィン共重合
体(A)を用いる。 (1)エチレン・α−オレフィン共重合体(A) 好ましいエチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法
は特に限定されないが、例えば、少なくともマグネシウ
ムおよびチタンを含む固体触媒成分および有機アルミニ
ウム化合物からなる触媒の存在下で、エチレンとα−オ
レフィンとを共重合して得られる。近年開発されたチー
グラー系触媒であるメタロセン系触媒またはシングルサ
イト系触媒により製造されるエチレン・α−オレフィン
共重合体も同様に使用することができる。α−オレフィ
ンは炭素数3〜12のものが使用される。具体的には、
例えばプロピレン、ブテン−1、4−メチルペンテン
1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセ
ン−等が挙げられる。これらのうち特に好ましいもの
は、炭素数が3〜6であるプロピレン、ブテン−1、4
−メチルペンテン−1およびヘキセン−1である。ま
た、本願発明の目的を逸脱しない限り、コモノマーとし
てジエン類、例えばブタジエン、1,4−ヘキサジエン
などを併用することもできる。α−オレフィンの含有量
は0.1〜10モル%であることが好ましい。炭素数が
13以上のα−オレフィンを用いると、ペレット表面に
ベタツキを生じ易いので好ましくない。
【0012】使用する触媒系は、前記のとおり特に限定
されないが、少なくともマグネシウムおよびチタンを含
む固体触媒成分および有機アルミニウム化合物からなる
触媒を用いる場合につき以下に説明する。この触媒は、
少なくともマグネシウムとチタンとを含有する固体触媒
成分に、有機アルミニウム化合物を組み合わせたもので
ある。固体触媒成分としては、例えば、金属マグネシウ
ム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグ
ネシウム、塩化マグネシウム等のマグネシウム塩、ケイ
素、アルミニウム、カルシウムから選ばれる元素とマグ
ネシウム原子とを含有する複塩、複酸化物炭酸塩、塩化
物あるいは水酸化物など、更にこれらの無機質固体化合
物を含酸素化合物、含硫黄化合物、芳香族炭化水素また
はハロゲン含有物質で処理または反応を行ったもの等の
マグネシウムを含む無機質固体化合物にチタン化合物を
公知の方法により担持させたものが挙げられる。
【0013】上記の含酸素化合物としては、例えば水、
アルコール、フェノール、ケトン、アルデヒド、カルボ
ン酸、エステル、アルコキシシラン、ポリシロキサン、
酸アミド等の有機含酸素化合物、金属アルコキシド、金
属のオキシ塩化物等の無機含酸素化合物を例示すること
ができる。含硫黄化合物としては、チオール、チオエー
テルのような有機含硫黄化合物、二酸化硫黄、三酸化硫
黄などの無機含硫黄化合物を例示することができ、更に
硫黄自体も用いることができる。芳香族炭化水素として
は、ベンゼン、トルエン、キシレン、アントラセン、フ
ェナントレンなどの各種の単環および多環の芳香族炭化
水素化合物が挙げられる。ハロゲン含有物質としては、
塩素、塩化水素、金属塩化物、有機ハロゲン化物などの
化合物を例示することができる。
【0014】一方、マグネシウムを含む無機質固体化合
物に担持させるチタン化合物としては、チタンのハロゲ
ン化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、ハロ
ゲン化酸化物等を挙げることができる。チタン化合物と
しては4価のチタン化合物および3価のチタン化合物が
好適であり、4価のチタン化合物として具体的には、一
般式Ti(OR)4−n(ここで、Rは炭素数1〜2
0のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を示
し、Xはハロゲン原子を示し、nは0≦n≦4の整数で
ある)で示されるものが好ましく、更に具体的には四塩
化チタン、四臭化チタン、四ヨウ化チタン、モノメトキ
シトリクロロチタン、ジメトキシジクロロチタン、トリ
メトキシモノクロロチタン、テトラメトキシチタン、モ
ノエトキシトリクロロチタン、ジエトキシジクロロチタ
ン、トリエトキシモノクロロチタン、テトラエトキシチ
タン、モノイソプロポキシトリクロロチタン、ジイソプ
ロポキシジクロロチタン、トリイソプロポキシモノクロ
ロチタン、テトライソプロポキシチタン、モノブトキシ
トリクロロチタン、ジブトキシジクロロチタン、モノペ
ントキシトリクロロチタン、モノフェノキシトリクロロ
チタン、ジフェノキシジクロロチタン、トリフェノキシ
モノクロロチタン、テトラフェノキシチタン等を挙げる
ことができる。三価のチタン化合物としては、三塩化チ
タン等の三ハロゲン化チタンが好ましい。これらのチタ
ン化合物のうち、四価のチタン化合物が好ましく、特に
四塩化チタンが好ましい。
【0015】他の触媒系の例としては、固体触媒成分と
して、いわゆるグリニャール化合物などの有機マグネシ
ウム化合物とチタン化合物との反応成生物を用い、これ
に有機アルミニウム化合物を組み合わせた触媒系を例示
することができる。有機マグネシウム化合物としては、
例えば、一般式RMgX、RMg、RMg(OR)等(こ
こで、Rは炭素数1〜20の有機残基を、Xはハロゲン
原子を示す)およびこれらのエーテル結合体、またはこ
れらの有機マグネシウム化合物に更に他の有機金属化合
物、例えば有機ナトリウム、有機リチウム、有機ホウ
素、有機カルシウム、有機亜鉛等の各種化合物を加えて
変性したものを用いることができる。
【0016】また他の触媒系の例としては、固体触媒成
分として、SiO、Al等の無機酸化物と前記の
少なくともマグネシウムおよびチタンを含有する固体触
媒成分とを接触させて得られる固体物質を用い、これに
有機アルミニウム化合物を組み合わせたものを例示する
ことができる。無機酸化物としてはSiO、Al
の他にCaO、B、SnO等を挙げることがで
き、またこれらの酸化物の複酸化物も支障なく使用する
ことができる。これら各種の無機酸化物とマグネシウム
およびチタンを含有する固体触媒成分とを接触させる方
法としては、公知の方法を使用することができる。すな
わち、不活性溶媒の存在下に、温度20〜400℃、好
ましくは50〜300℃において通常5分〜20時間反
応させる方法、共粉砕処理による方法等が用いられ、ま
たこれらを適宜組み合わせる方法でもよい。
【0017】これらの触媒系において、チタン化合物を
有機カルボン酸エステルとの付加物として使用すること
もでき、また前記のマグネシウムを含む無機固体化合物
を有機カルボン酸エステルと接触させて処理した後使用
することもできる。また有機アルミニウム化合物を有機
カルボン酸エステル、有機ケイ素化合物との付加物とし
て使用してもなんら差し支えない。
【0018】上記の固体触媒成分と組み合わせるべき有
機アルミニウム化合物の具体的な例としては、一般式R
Al、RAlX、RAlX、RAlOR、RAl(O
R)X、RAl等(ここで、Rは炭素数1〜20
のアルキル基、アリール基またはアラルキル基、Xはハ
ロゲン原子を示し、Rは同一でもまた異なってもよい)
で示される化合物が好ましく、具体的にはトリエチルア
ルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシ
ルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチル
アルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムエトキシ
ド、エチルアルミニウムセスキクロリド、およびこれら
の混合物等が挙げられる。有機アルミニウム化合物の使
用量は特に制限されないが、通常チタン化合物に対して
0.1〜1,000モル倍使用することができる。
【0019】また、前記触媒系をα−オレフィンと接触
させた後に重合反応に用いることによって、重合活性を
大幅に向上させ、未処理の場合よりも一層安定した状態
で運転を行うことができる。
【0020】重合反応は通常のチグラー型触媒によるオ
レフィンの重合反応と同様にして行うことができる。な
お、近年開発されたチーグラー系触媒であるメタロセン
系触媒またはシングルサイト系触媒を用いる場合も同様
にして製造することができる。すなわち反応はいずれも
実質的に酸素および水素を絶った状態で、気相におい
て、不活性溶媒の存在下で、またはモノマー自体を溶媒
として行われる。オレフィンの重合条件は、温度が20
0〜300℃、好ましくは40〜200℃であり、圧力
は常圧ないし70kg/cm・G、好ましくは2〜60kg/cm
・Gである。分子量の調節は重合温度、触媒のモル比な
どの重合条件を変えることによってもある程度調節でき
るが、通常のチグラー型触媒を用いる場合には、重合系
に水素を添加することにより効果的に行うことができ
る。なお、水素濃度、重合濃度などの重合条件の異なる
2段階ないしそれ以上の多段階の重合反応を用いてもな
んら差し支えない。以上の方法により、本願発明におい
て使用する特定性状を有するエチレン・α−オレフィン
共重合体(A)を製造することができる。
【0021】本願発明において用いるエチレン・α−オ
レフィン共重合体(A)のメルトフローレート(MF
R)(JIS K6760準拠、190℃、2.16kg荷
重)は0.01〜100g/10minであり、好ましくは0.
1〜50g/10min、更に好ましくは 0.1〜20g/10min
である。密度(JIS K6760による)は0.860
〜0.940g/cmであり、好ましくは0.910g/cm
を超えかつ0.940g/cm以下である。更に好ましく
は0.915〜0.935g/cmである。示差走査熱量測
定法(DSC)による最大ピーク温度(T)は100
℃以上、好ましくは110〜130℃、更に好ましくは
115〜125℃である。沸騰n−ヘキサン不溶分は1
0重量%以上、好ましくは20〜95重量%、更に好ま
しくは20〜90重量%である。なお、DSCおよび沸
騰n−ヘキサン不溶分の測定方法は後に説明する。
【0022】エチレン・α−オレフィン共重合体(A)
のMFRが0.01g/10min未満では、MFRが小さすぎ
て流動性に劣り、ペレットの成形性が低下する。また、
MFRが100g/10minを超えるとマスターバッチが軟
質になりすぎ、ペレットの表面にベタツキが発生する。
密度が0.860g/cm未満では、同様にペレット表面
にベタツキが発生する。また密度が0.940g/cm
超えると、ストランド状に押出すことが困難になるなど
ペレットの成形性が低下し、また押出し成形が可能であ
っても長時間の貯蔵中にブリードが発生し不安定になり
易い。Tが100℃未満では、マスターバッチ表面に
ベタツキが発生する。なお、Tが複数個存在するとき
は、最も低い温度に相当するものをエチレン・α−オレ
フィン共重合体(A)のTとする。沸騰n−ヘキサン
不溶分が10重量%より少ないと、やはり得られるマス
ターバッチの表面にベタツキが生じて好ましくない。な
お、これらのエチレン・α−オレフィン共重合体(A)
は、前記のように粉末状または顆粒状とすることが好ま
しい。
【0023】(2)ポリイソブチレン(B) 本願発明において、低結晶性ポリオレフィンと配合する
ポリイソブチレン(B)は、樹脂改質用のものであり、
その改質の目的によって広い範囲から選択することがで
きる。例えば、工業的にナフサクラッキングの際に得ら
れるC留分からブタジエンを除いたブタン−ブテン留
分を、塩化アルミニウム、シリカアルミナ、陽イオン交
換樹脂のような酸性触媒、特にフリーデル−クラフツ型
触媒の存在下で重合して得られる粘稠ポリマーが挙げら
れる。これらのポリイソブチレンは通常、粘度平均分子
量が30,000〜1,400,000、好ましくは30,
000〜800,000のものが使用される。粘度平均
分子量がこの範囲より小さいものを用いると、ストラン
ド強度が低くなり、結果として貯蔵中に自重および上部
からの圧力でマスターバッチが押し潰され、ブロッキン
グやブリードが発生することがあるので好ましくない。
粘度平均分子量がこの範囲より大きい場合には、ポリイ
ソブチレンが硬すぎて取り扱いが困難になると共に、目
的の樹脂改質効果が減少するので好ましくない。なお、
ポリイソブチレン(B)は上記平均粘度範囲内にある限
り、二種またはそれ以上の複数のポリイソブチレンを併
用することもでき、また本願発明の効果を損なわない限
りにおいて適宜の割合でポリブテンを併用することもで
きる。
【0024】本願発明においては、(A)低結晶性ポリ
オレフィンおよび(B)ポリイソブチレンとともに、上
記低結晶性ポリオレフィンよりも十分に融点Tの低い
(C)ポリオレフィンを配合する。このポリオレフィン
としては、結晶性を全く有しないゴム状ポリオレフィン
は適当でなく、ある程度の結晶性を有するポリオレフィ
ンであって熱可塑性のものが用いられる。十分に融点が
低い限り(A)低結晶性ポリオレフィンと同種のものを
利用することもできる。融点差としては、5℃以上あれ
ば十分である。また、この(C)ポリオレフィンは粉末
状または顆粒状のものが好ましい。具体的には10メッ
シュの篩を通過する程度の大きさのものが好ましい。
【0025】好ましい(C)ポリオレフィンは以下のよう
なものである。 (3)ポリオレフィン(C) 本願発明に用いるポリオレフィン(C)は、上記エチレ
ン・α−オレフィン共重合体(A)と相溶性のあるポリ
オレフィンの中から選ばれる。前記のように、結晶性を
全く有しないゴム状ポリオレフィンは適当でなく、ある
程度の結晶性を有するポリオレフィンであって熱可塑性
のものを用いる。例えば、炭素数2〜12のオレフィン
を気相であるいは不活性溶媒の存在下でラジカル発生剤
またはチーグラー型触媒などの重合用触媒を用いて重合
または共重合することにより得られるポリオレフィンか
ら選ぶことができる。コモノマーであるオレフィンは必
ずしも炭化水素のみである必要はなく、酢酸ビニル、ア
クリル酸エステル等のようなオレフィン系化合物であっ
ても差し支えない。あるいはポリオレフィンに無水マレ
イン酸などの極性基を導入したものでも差し支えない。
このようにエチレン・α−オレフィン共重合体(A)と
相溶性があり、しかも後に述べるTなどに関する条件
を満たすポリオレフィンの具体的な例としては、エチレ
ンを高圧下の気相において、酸素または有機過酸化物を
用いてラジカル重合して得られる、通常高圧法低密度ポ
リエチレン(以下、「LDPE」と略すことがある)と呼
ばれるポリマーが挙げられる。
【0026】本願発明に用いるポリオレフィン(C)
は、MFRが0.01〜100g/10minであることが好ま
しい。T(融点)はエチレン・α−オレフィン共重合
体(A)のTより5℃以上、好ましくは10℃以上低
いものである。ここでTはDSC(示差走査熱量計)に
より測定し、Tが複数個あるときは、最も高い温度に
相当するものをポリオレフィン(C)のTとする。ま
た、好ましいポリオレフィン(C)としては、沸騰n−
ヘキサン不溶分が10重量%以上のものが挙げられる。
【0027】ポリオレフィン(C)のMFRが0.01g
/10min未満では、MFRが小さすぎて押出成形性に劣
り、ペレット成形性が低下する。 MFRが100g/10m
inを超えると、ストランド状に押出成形した際、ストラ
ンドの表面が粘着性を帯びて好ましくない。Tが前記
エチレン・α−オレフィン共重合体(A)のTよりも
高いか、あるいは低くてもその差が5℃未満であるポリ
オレフィン(C)を用いると、押出し時に長時間安定し
た運転を継続することができないなどペレットの成形性
が低くなり好ましくない。また、沸騰n−ヘキサン不溶
分が10重量%より少ないと、得られるマスターバッチ
の表面はベタツキが生じ易くなり好ましくない。
【0028】(4)配合割合 本願発明に用いる(A)低結晶性ポリオレフィンおよび
ポリイソブチレン(B)の配合割合は、(A)低結晶性
ポリオレフィンが30〜95重量%、好ましくは40〜
90重量%、更に好ましくは45〜90重量%であり、
ポリイソブチレン(B)が5〜70重量%、好ましくは
10〜60重量%、更に好ましくは10〜55重量%で
ある。ここで(A)低結晶性ポリオレフィンおよびポリ
イソブチレン(B)の合計を100重量%とする。ポリ
イソブチレン(B)の量が5重量%より少ない場合は、
熱可塑性樹脂の成形加工時にマスターバッチの使用量が
多くなりすぎ、効率が低下する。またポリイソブチレン
の配合量が70重量%より多い場合は、マスターバッチ
表面にベタツキが発生して好ましくない。また(C)ポ
リオレフィンは(A)低結晶性ポリオレフィンおよびポ
リイソブチレン(B)の合計量100重量部に対して1
〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、更に好まし
くは5〜30重量部である。ポリオレフィン(C)の配
合量が1重量部より少ないと、本願発明の効果が認めら
れない。また50重量部より多いと、相対的にポリイソ
ブチレン(B)の含有量が少なくなるため、熱可塑性樹
脂の成形加工時にマスターバッチの使用量が多くなり効
率が低下する。
【0029】(5)新規な熱可塑性樹脂改質用マスター
バッチの製造方法 本願発明の新規な熱可塑性樹脂改質用マスターバッチ
は、上記の(A)低結晶性ポリオレフィン、ポリイソブ
チレン(B)およびポリオレフィン(C)を所定の配合
割合になるように押出機に供給して製造する。マスター
バッチの形状は特に限定するものでないが、通常は扱い
易さの点からペレット状であることが好ましい。これら
の混練押出しには樹脂をペレット化するための任意の公
知技術を使用することができる。代表的な例として、一
軸押出機あるいは二軸押出機またはニーダールーダー
(押出機にニーダーを付加した装置)などを用いた混練
押出し方法が挙げられる。
【0030】本願発明のマスターバッチペレットは、前
記(A)低結晶性ポリオレインを実質的に溶融せず、前
記(C)のポリオレフィンを実質的に溶融する温度領域
において混練押出しを行うことにより、ストランド強度
が20kg/cm以上であるストランドを製造し、これを
切断することによって得られる。すなわち、前記(A)
低結晶性ポリオレインの融点Tより低く、かつ前記
(C)のポリオレフィンの融点Tを超える温度領域内
において混練押出しを行う方法である。押出機温度とと
もにダイス温度もまたこの温度領域内に設定する必要が
ある。
【0031】より好ましい本願発明のマスターバッチペ
レットの製造方法の態様は以下のとおりである。混練押
出温度は、前記エチレン・α−オレフィン共重合体
(A)のTないし(T−45)℃の温度範囲、好まし
くは (T−5)〜(T−40)℃、更に好ましくは
(T−10)〜(T−30)℃の温度範囲である。混練
押出温度が (T−45)℃より低いと、ペレット自体
の強度が低下するか、あるいはストランド状に押出すこ
とができず、ペレット化することが困難である。エチレ
ン・α−オレフィン共重合体(A)、ポリイソブチレン
(B)およびポリオレフィン(C)は、混練前にあらか
じめ機械的に混合しておいてもよく、また混練時に同時
にあるいはそれぞれ別に加えてもよい。本願発明のマス
ターバッチを製造する際には、エチレン・α−オレフィ
ン共重合体(A)のTよりも低い温度において混練
し、押し出すことが肝要であるが、一方、ポリオレフィ
ン(C)の軟化点(JIS k6760)ビカット法)
よりも高い温度、あるいは軟化点より低くてもその差が
10℃以下の範囲の温度で混練押出しを行うことが必要
である。本願発明においては、押出機の溶融混練部およ
び出口部(ダイス)における温度が、いずれも上記の温
度範囲にあることが必要である。
【0032】このようにして、ストランド強度が20kg
/cm以上であるストランドを押し出す。ストランド強
度が20kg/cm未満であるストランドでは、長期にわ
たるマスターバッチペレットの貯蔵中に、自重および上
部からの圧力でマスターバッチが押し潰され、ブロッキ
ングやブリードが発生する懸念があるので好ましくな
い。なおストランド強度とペレットの自重および上部か
らの圧力によるペレット崩壊とは直接関係がないとも考
えられるが、経験的にストランドの強度と、それを切断
して得られたペレットが長期貯蔵中に自重および上部か
らの圧力により押し潰されてブロッキングやブリードを
発生する現象との間には良い相関関係が観察される。
【0033】混練押出し後のペレット化工程としては、
得られたストランドを切断するために任意の公知技術を
使用することができる。代表的な例としては、コールド
カット法、すなわち、上記条件で押出されたストランド
を水冷あるいは空冷などにより冷却した後、ペレタイザ
ーにより切断する方法などが挙げられる。なお、必要に
応じてストランド状以外の形態で押し出し、これをカッ
トしてペレットとすることも可能である。この場合にお
いても、押し出し成型体の強度は前記ストランド状の場
合と同様の要件を満たすことが好ましい。
【0034】本願発明の方法においては、従来公知の可
塑剤、充てん剤、染料、顔料、滑剤、酸化防止剤等のほ
か、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石
油樹脂、テルペン樹脂、ロジンおよびその誘導体等の粘
着付与樹脂類を加えることができる。これらは、あらか
じめマスターバッチの各成分に配合しておいてもよく、
またマスターバッチ製造時に配合してもよい。
【0035】本願発明の製造方法により得られる新規な
熱可塑性樹脂改質用マスターバッチは、前記のような優
れた性質を有していることから、応用範囲は極めて広
い。例えば、下記に示す各種の分野で使用される熱可塑
性樹脂の改質剤として有用である。 (イ)各種包装用フィルム類(ラップフィルム、ストレ
ッチフィルム、農業用フィルム等) (ロ)各種シート (ハ)被覆用材料 (ニ)遮音材料、制振材、シール材、防水材 (ホ)履物類 (ヘ)ホース、パッキング材
【0036】
【実施例】以下、本願発明を実施例により具体的に説明
する。最初に、DSC、沸騰n−ヘキサン不溶分および
実施例で使用した各種実用性能の測定方法ならびにエチ
レン・α−オレフィン共重合体(A)の製造方法につい
て説明する。
【0037】<各種性状の測定方法> (1)示差走査熱量測定法(DSC) 熱プレスにより成形した厚さ100μmのフィルムを試
料とし、170℃に昇温してその温度で15分間保持し
た後、降温速度25℃/minで0℃まで冷却する。次にこ
の状態から昇温速度10℃/minで170℃まで昇温して
測定を行う。0℃から170℃に昇温する間に現れたピ
ークのうち最大ピークの頂点の位置に相当する温度を最
大ピーク温度(T)とする。
【0038】(2)沸騰n−ヘキサン不溶分の測定方法 熱プレスを用いて、厚さ200μmのシートを成形し、
それから20mm×30mmの試料を3枚切り取り、二
重管式ソックスレー抽出器を用いて、沸騰n−ヘキサン
で5時間抽出を行う。n−ヘキサン不溶分を取り出し、
真空乾燥(7時間、真空下、50℃)後、次式(1)に
より沸騰n−ヘキサン不溶分を算出する。 沸騰n−ヘキサン不溶分(重量%)= (抽出後のシート重量/抽出前のシート重量)×100 ・・・・・(1)
【0039】(3)ペレットのベタツキ評価法 長さ約50mmのストランドを2枚の透明なポリエステ
ルフィルム(厚さ38μm)の間に挟み、指先で軽く押
さえ、ポリエステルフィルム上に残ったストランドの跡
から、次の基準でベタツキの程度を判定した。 ◎:ベタツキなし(全く跡が残らない) ○:ほとんどなし(わずかに跡が残る) △:ややあり (かなり跡が残る) ×:あり (全面に跡が残る) (4)ペレットの成形性評価法 ストランドをホットカット装置によりペレット化すると
きの安定性を、下記の基準で判定した。 ◎:ストランドを安定してカットできる。 ○:ストランドを比較的安定してカットできる。 △:ストランドの表面が荒く、ときどき切断する。 ×:ペレット化が困難である。 (5)ストランド強度測定法 引張速度: 50mm/min チャック間: 25mm 試験片数: 5本
【0040】<エチレン・α−オレフィン共重合体
(A)の製造例>実施例および比較例で使用したエチレ
ン・α−オレフィン共重合体成分の製造例を示す。 (製造例1、2)実質的に無水の塩化マグネシウム、ア
ントラセンおよび四塩化チタンから得られた固体触媒成
分とトリエチルアルミニウムからなる触媒を用いてエチ
レンとブテン−1との共重合を行い、それぞれMFRお
よびTの異なる2種類のエチレン・ブテン−1共重合
体A1およびA2を製造した。これらの共重合体の性状
を表1に示す。
【0041】(製造例3、4)実質的に無水の塩化マグ
ネシウム、アントラセンおよび四塩化チタンから得られ
た固体触媒成分とトリエチルアルミニウムからなる触媒
を用いてエチレンとプロピレンとの共重合を行い、それ
ぞれMFRおよびTの異なる2種類のエチレン・プロ
ピレン共重合体A3およびA4を製造した。これらの共
重合体の性状を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】<実施例1>製造例1で製造した顆粒状の
エチレン・ブテン−1共重合体A1に、粉末状の高圧法
低密度ポリエチレン(MFR 5g/10min、T 107
℃、軟化点 94℃、10〜80メッシュ;商品名:ジ
ェイレックス JM511N、日本ポリオレフィン(株)
製)を加えて均一に混合したものを、二軸押出機のホッ
パー口より投入した。別に、あらかじめ80℃に加熱し
たポリイソブチレン(粘度平均分子量40,000;商
品名:ハイモール 4H、日本石油化学(株)製)を、同
押出機の液体添加部よりポンプを用いて押出機に連続的
に供給した。使用した二軸押出機はスクリュー径30mm
φ、L/D=37であり、そのダイスは径3mmφの4穴
からなり、回転数70rpmおよび表2に示した温度条件
で混練−押出しを行った。ダイスの出口部分に取り付け
たホットカット装置により、押出されたストランドを連
続的に切断してペレット化した。上記の条件で二軸押出
機の運転を2時間継続して行い、2時間後に得られたペ
レットの性状評価結果を表3に示す。高圧法低密度ポリ
エチレンの混合量は、表2に示したように共重合体A1
とポリイソブチレンの合計量100重量部に対して10
重量部とした。ポリイソブチレンの量は、共重合体A1
/ポリイソブチレン重量比が表3に示したように、60
/40および50/50になるように変化させて2回の
実験を行った。いずれの実験においても2時間以上にわ
たり安定した性状のペレットが連続して得られ、機械的
な問題も生じなかった。
【0044】<実施例2、3>実施例1において、高圧
法低密度ポリエチレン(実施例1に同じ)の混合量を2
0および30重量部にそれぞれ変えて同様に実験を繰り
返した。製造条件を表2に、ペレット性状を表3に示す
(以下、同様)。いずれの実験においても2時間以上に
わたり安定した性状のペレットが連続して得られ、機械
的な問題も生じなかった。
【0045】<実施例4、5>実施例3の押出し温度を
100℃および90℃にそれぞれ下げて同様の操作を繰
り返した。いずれの実験においても2時間以上にわたり
安定した性状のペレットが連続して得られ、機械的な問
題も生じなかった。
【0046】<実施例6>実施例3の押出し温度を12
0℃に上げて同様の操作を繰り返した。この温度は共重
合体A1のT122.5℃より低いので、いずれの実
験においても2時間以上にわたり安定した性状のペレッ
トが連続して得られ、機械的な問題も生じなかった。
【0047】<実施例7〜9>製造例2、3および4で
製造した顆粒状のエチレン・ブテン−1共重合体A2な
らびにエチレン・プロピレン共重合体A3およびA4を
それぞれ用い、高圧法低密度ポリエチレン(実施例1に
同じ)の混合量を20重量部とし、押出し温度をそれぞ
れ100℃、110℃および120℃として同様に実験
を繰り返した。いずれの実験においても2時間以上にわ
たり安定した性状のペレットが連続して得られ、機械的
な問題も生じなかった。
【0048】<比較例1>実施例3の押出し温度を11
0℃から140℃に変え、その他は同じ条件で行った。
この温度は共重合体A1のTよりも17.5℃高い。
表3に示すように、得られたペレットはいずれもベタツ
キがあった。
【0049】<比較例2>実施例8の押出し温度を11
0℃から130℃に変え、その他は同じ条件で行った。
この温度は共重合体A3のTよりも8.2℃高い。表
3に示すように、得られたペレットはいずれもベタツキ
があった。
【0050】<比較例3>実施例6において高圧法低密
度ポリエチレンを加えず、その他は同じ条件(押出温度
120℃)で行った。その結果、最初の間はベタツキの
少ない正常なペレットが得られたが、運転の継続と共に
ポリイソブチレン配合量の多いペレットにはベタツキが
見られるようになった。2時間後には、表3に示すよう
にペレットにはベタツキが生じ、ポリイソブチレン混合
量が多くなるほどベタツキの程度が増大した。
【0051】<比較例4>製造例2で製造した顆粒状の
エチレン・ブテン−1共重合体A2を用い、比較例3と
同様に繰り返した。表3に示すように、比較例3と同じ
結果が得られた。
【0052】<比較例5>製造例4で製造した顆粒状の
エチレン・ブテン−1共重合体A4を用い、押出し温度
を70℃に下げ、しかも高圧法低密度ポリエチレンを加
えずに実験を行った。表3に記載したように、良好なス
トランドが得られず、ペレットにするためのホットカッ
トが不可能であった。
【0053】<比較例6>実施例2において、(A)成
分としてエチレン・ブテン−1共重合体A1の代わりに
高密度ポリエチレン(密度 0.950g/cm、T
29℃;商品名:ジェイレックス KF251A、日本
ポリオレフィン化学(株)製)を用い、その他は同じ条件
で行った。この高密度ポリエチレンは、密度が共重合体
A1の0.920g/cmに比べて0.950g/cmと高
い。表3に記載したように、良好なストランドが得られ
ず、ペレットにするためのホットカットが不可能であっ
た。
【0054】<比較例7>実施例1において、ポリイソ
ブチレンをポリブテンに替えて実験を行った。表3に示
すように、製造直後のベタツキはなかったが、1ヶ月後
には袋詰め品の底部のペレットにブロッキングが生じて
いた。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【発明の効果】本願発明の新規な方法により、ストラン
ド強度が高いマスターバッチペレット用ストランドを製
造することができ、これを用いて長期の保存においても
ブロッキング等をを起こすことの少ない熱可塑性樹脂改
質用マスターバッチペレットが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA12 AA13 AB22 AB23 AB24 AE30 FA03 FB04 FC05 4F201 AA03 AA09 AC01 AC08 AR15 BA02 BC01 BC02 BC12 BC17 BC19 BL08 BM06 BM14 4J002 BB00W BB00Y BB05W BB17X GT00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)低結晶性ポリオレフィン 30〜
    95重量%および(B)粘度平均分子量が30,000
    〜1,400,000のポリイソブチレン 5〜70重量
    %からなるものを100重量部と、(C)前記(A)の
    ポリオレフィンよりも十分低い融点を有するポリオレフ
    ィン1〜50重量部とを配合し、前記(A)のポリオレ
    フィンを実質的に溶融せず、前記(C)のポリオレフィ
    ンを実質的に溶融する温度領域において混練押出しを行
    うことにより、ストランド強度が20kg/cm以上であ
    るストランドを製造し、該ストランドを切断することを
    特徴とする新規な熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 (A)低結晶性ポリオレフィン 30〜
    95重量%および(B)粘度平均分子量が30,000
    〜1,400,000のポリイソブチレン 5〜70重量
    %からなるもの100重量部と、(C)前記(A)のポ
    リオレフィンよりも十分低い融点を有するポリオレフィ
    ン1〜50重量部とからなる、ストランド強度が20kg
    /cm以上であることを特徴とするマスターバッチ用ス
    トランド。
  3. 【請求項3】 (A)エチレンと炭素数3〜12のα−
    オレフィンとの共重合により得られる、下記(I)〜(I
    V)の性状を有するエチレン・α−オレフィン共重合体
    30〜95重量%、 (I)メルトフローレート(MFR)0.01〜100g/
    10min (II)密度 0.860〜0.940g/cm (III)示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピー
    ク温度(T)100℃以上 (IV)沸騰n−ヘキサン不溶分 10重量%以上、およ
    び(B)粘度平均分子量が30,000〜1,400,0
    00のポリイソブチレン 5〜70重量%からなるもの
    を100重量部と、(C)MFRが0.01〜100g/1
    0minであり、かつDSCによるTが上記のTより5
    ℃以上低いポリオレフィン 1〜50重量部とを配合
    し、上記エチレン・α−オレフィン共重合体のTない
    し(T−45)℃の温度領域で混練押出しを行うこと
    により、ストランド強度が20kg/cm以上であるスト
    ランドを製造し、該ストランドを切断することを特徴と
    する新規な熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 (A)エチレンと炭素数3〜12のα−
    オレフィンとの共重合により得られる、下記(I)〜(I
    V)の性状を有するエチレン・α−オレフィン共重合体
    30〜95重量%、 (I)メルトフローレート(MFR)0.01〜100g/
    10min (II)密度 0.860〜0.940g/cm (III)示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピー
    ク温度(T)100℃以上 (IV)沸騰n−ヘキサン不溶分 10重量%以上、およ
    び(B)粘度平均分子量が30,000〜1,400,0
    00のポリイソブチレン 5〜70重量%からなるもの
    を100重量部と、(C)MFRが0.01〜100g/1
    0minであり、かつDSCによるTが上記のTより5
    ℃以上低いポリオレフィン 1〜50重量とを配合して
    なる、ストランド強度が20kg/cm以上であるマスタ
    ーバッチ用ストランド。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002219708A (ja) * 2001-01-25 2002-08-06 Nippon Petrochem Co Ltd 樹脂改質用マスターバッチの製造方法
JP2005179556A (ja) * 2003-12-22 2005-07-07 Idemitsu Kosan Co Ltd 軟質ポリオレフィン系樹脂の造粒方法及び造粒物

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