JP3318342B2 - マット性フィルムまたはシートおよびその製造方法 - Google Patents

マット性フィルムまたはシートおよびその製造方法

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JP3318342B2
JP3318342B2 JP10524492A JP10524492A JP3318342B2 JP 3318342 B2 JP3318342 B2 JP 3318342B2 JP 10524492 A JP10524492 A JP 10524492A JP 10524492 A JP10524492 A JP 10524492A JP 3318342 B2 JP3318342 B2 JP 3318342B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリオレフィン系マット
性フィルムまたはシートおよびその製造方法に関し、更
に詳しくは、該フイルムはマット性、引張り弾性率、引
裂き性、柔軟性、耐衝撃性、耐熱性、貼合性、難白化
性、耐傷付き性などに優れ、高級感があり、粘着テープ
基材、文具カバーやケース、ファッションバッグ、建築
内装材、自動車内装材などのフィルムとして有効に利用
されうるポリオレフィン系マット性フィルムまたはシー
トおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、マット性フィルムまたはシートに
は、ポリ塩化ビニル樹脂が主に使用されているが、柔軟
性を付与するために多量に用いられる可塑剤が長期間使
用されるとブルーミングし揮散されることによって、柔
軟性が消失するという問題がある。また、ポリ塩化ビニ
ル樹脂は燃焼時に有毒な塩化水素ガスその他を多量に発
生する問題も指摘され、昨今では、このような問題のな
いポリオレフィン系重合体に代替されつつある。
【0003】このようなポリオレフィン系重合体からな
るマット性フィルムまたはシートの製造は、メルトフロ
ーレート(MFR)および高荷重MFR/低荷重MFR
比すなわち分子量分布が特定範囲のポリエチレンを特定
の条件で成膜することによって直接製造する方法(特開
昭50−56451号公報)、また、エチレン・酢酸ビ
ニル共重合体(EVA)と低密度エチレン・α−オレフ
ィン共重合体(LLDPE)とをブレンドする方法(特
開昭59−215343号公報)があるが、フィルムの
腰(曲げ弾性率)、耐熱性やマット性が充分でないとい
う難点がある。さらに、プロピレンにppmオーダーの
ビニルトリアルキルシランなどを共重合したポリプロピ
レンが提案されている(特開平1−185306号公
報)が、耐熱性は改良されてもフィルムの柔軟性がな
く、マット性は改良されない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこれらの問題
点を解消し、高級感があり、しかも引張り弾性率(腰に
関係がある)、柔軟性、耐衝撃性、耐熱性、貼合性、難
白化性、マット性、耐傷付き性などに優れたポリオレフ
ィン系マット性フィルムまたはシートおよびその製造方
法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第1発明は、 (A)プロピレン(共)重合体 10〜80重量%、 (B)エチレンと炭素数3〜12のαーオレフィンとを共重合させて得られる下 記(I )〜(III )の性状を満足するエチレン・αーオレフィン共重合体 5〜30重量%、 (I )密度0.860〜0.910g/cm3 (II)示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピーク
温度(Tm )100℃以上 (III )沸騰nーヘキサン不溶分 10重量%以上 (C)高圧ラジカル法エチレン(共)重合体および/ま
たは下記 a〜fから選択された1種のモノマーで変性
されたポリオレフィン系樹脂 a:カルボン酸基、カルボン酸エステル基または酸無水基含有モノマー b:エポキシ基含有モノマー、 c:ヒドロキシル基含有モノマー、 d:アミノ基含有モノマー、 e:アルケニル環状イミノエーテル誘導体モノマー f:多官能モノマー 5〜85重量%(A)成分のメルトフローレートが1〜20g/10min.、
(B)成分のメルトフローレートが0.1〜2.0g/10
min.で、かつ、(A)(B)成分のメルトフローレート
の比が(A)/(B)=5〜20および/または結晶化
温度差が5℃以上であり 、 (A)プロピレン(共)重合体、(B)エチレン・αー
オレフィン共重合体および(C)高圧ラジカル法エチレ
ン(共)重合体および/または変性されたポリオレフィ
ン系樹脂との組成物100重量部に対して、 (D)無機充填剤および/または(E)難燃剤 1〜150重量部 からなる組成物を含むグロス(60°)が30%以下で
あるマット性フィルムまたはシートである。
【0006】本発明の第2発明は、 (A)プロピレン(共)重合体 10〜80重量%、 (B)エチレンと炭素数3〜12のαーオレフィンとを共重合させて得られる下 記(I )〜(III )の性状を満足するエチレン・αーオレフィン共重合体 5〜30重量%、 (I )密度0.860〜0.910g/cm3 (II)示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピーク
温度(Tm )100℃以上 (III )沸騰nーヘキサン不溶分 10重量%以上 (C)高圧ラジカル法エチレン(共)重合体および/ま
たは下記 a〜fから選択された1種のモノマーで変性
されたポリオレフィン系樹脂 a:カルボン酸基、カルボン酸エステル基または酸無水基含有モノマー b:エポキシ基含有モノマー、 c:ヒドロキシル基含有モノマー、 d:アミノ基含有モノマー、 e:アルケニル環状イミノエーテル誘導体モノマー f:多官能モノマー 5〜85重量%(A)成分のメルトフローレートが1〜20g/10min.、
(B)成分のメルトフローレートが0.1〜2.0g/10
min.で、かつ、(A)(B)成分のメルトフローレート
の比が(A)/(B)=5〜20および/または結晶化
温度差が5℃以上であり 、 (A)プロピレン(共)重合体、(B)エチレン・αー
オレフィン共重合体および(C)高圧ラジカル法エチレ
ン(共)重合体および/または変性されたポリオレフィ
ン系樹脂との組成物100重量部に対して、 (D)無機充填剤および/または(E)難燃剤 1〜150重量部 からなる組成物をTダイ法により、成形温度180℃〜
280℃で押出し、マットロールおよび/またはタッチ
ロールの表面温度を50℃以下に保ちながらグロス(6
0°)が30%以下になるように成形することを特徴と
するマット性フィルムまたはシートの製造方法である。
【0007】
【0008】
【0009】以下本発明の内容を詳述する。本発明で使
用する(A)プロピレン(共)重合体は、プロピレンの
単独重合体、プロピレンを主成分とする他のα−オレフ
ィンとのブロック共重合体あるいはランダム共重合体な
どの公知のポリプロピレン(共)重合体を使用すること
ができる。該ポリプロピレン(共)重合体のMFRは1
〜20g/10min.、好ましくは4〜18g/10min.の範
囲から選択するのがよい。上記(A)ポリプロピレン
(共)重合体の配合量は10〜80重量%である。10
重量%より少ないと耐熱性が劣り、80重量%より多い
と柔軟性に欠けるので、この範囲から選択するのがよ
い。
【0010】本発明に使用する(B)エチレン・αーオ
レフィン重合体とは、密度が0.860〜0.910 g
/cm3 であり、示差走査熱量測定法(DSC)による最
大ピーク温度(Tm )100℃以上、かつ沸騰n−ヘキ
サン不溶分10重量%以上の性状を有し、直鎖状低密度
ポリエチレンとエチレン−α−オレフィン共重合体ゴム
との中間の性状を示すポリエチレン(VLDPEと称す
る)である。更に詳しくは、エチレンと炭素数3〜12
のαーオレフィンとの共重合体であって、このVLDP
EはLLDPEが示す高結晶部分とエチレン−α−オレ
フィン共重合体ゴムが示す非晶部分とを合わせ持つ樹脂
であって、前者の特徴である機械的強度、耐熱性など
と、後者の特徴である自己粘着性、ゴム状弾性、耐低温
衝撃性などがバランスよく共存しており、本発明に用い
るときは極めて有用である。
【0011】具体的なαーオレフィンとしては、プロピ
レン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1ーヘ
キセン、1−オクテン、1−ドデセンなどを挙げること
ができる。これらのうちとくに好ましいのは1−ブテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、1ーヘキセン、1−オ
クテンである。エチレン共重合体中のαーオレフィン含
有量は5〜40モル%であることが好ましい。
【0012】該VLDPEは、少なくともマグネシウム
及びチタンを含有する固体触媒成分と有機アルミニウム
化合物とからなる触媒系を用いて製造することができ
る。該固体触媒成分としては、金属マグネシウム;水酸
化マグネシウム;酸化マグネシウム;塩化マグネシウム
などのマグネシウム塩;ケイ素、アルミニウム、カルシ
ウム;炭酸マグネシウムから選ばれる元素とマグネシウ
ム原子とを含有する複 塩、複酸化物、炭酸塩、塩化
物、あるいは水酸化物など;さらにはこれらの無機質固
体化合物を含酸素化合物、含硫黄化合物、芳香族炭化水
素、ハロゲン含有物質で処理または反応させたものなど
マグネシウムを含む無機質固体化合物にチタン化合物を
公知の方法により担持させたものが挙げられる。
【0013】上記の含酸素化合物としては、たとえば
水;アルコール、フェノール、ケトン、アルデヒド、カ
ルボン酸、エステル、ポリシロキサン、酸アミドなどの
有機含酸素化合物;金属アルコキシド、金属のオキシ塩
化物などの無機系含酸素化合物を例示することができ
る。
【0014】含硫黄化合物としては、チオール、チオエ
ーテルのような有機、含硫黄化合物、二酸化硫黄、三酸
化硫黄、硫酸のような無機硫黄化合物を例示することが
できる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、アントラセン、フェナントレンのような
各種の単環および多環および多環の芳香族炭化水素化合
物を例示することができる。
【0015】ハロゲン含有物質としては、塩素、塩化水
素、金属塩化物、有機ハロゲン化物のような化合物を例
示することができる。
【0016】一方マグネシウムを含む無機質固体化合物
に担持させるチタン化合物としては、チタンのハロゲン
化物、アルコキシハロゲン化物、アルコキシド、ハロゲ
ン化酸化物などを挙げることができる。チタン化合物と
しては4価のチタン化合物と3価のチタン化合物が好適
であり、4価のチタン化合物としては具体的には一般式
Ti(OR)n4-n (ここでRは炭素数1〜20のアル
キル基、アリ−ル基またはアラルキル基を示し、Xはハ
ロゲン原子を示し、nは0≦n≦4の整数である)で示
されるものが好ましく、四塩化チタン、四臭化チタン、
四ヨウ化チタン、モノメトキシトリクロロチタン、ジメ
トキシジクロロチタン、トリメトキシモノクロロチタ
ン、テトラメトキシチタン、モノエトキシトリクロロチ
タン、ジエトキシジクロロチタン、トリエトキシモノク
ロロチタン、テトラエトキシチタン、モノイソプロポキ
シトリクロロチタン、ジイソプロポキシジクロロチタ
ン、トリイソプロポキシモノクロロチタン、テトライソ
プロポキシチタン、モノブトキシトリクロロチタン、ジ
ブトキシジクロロチタン、モノペントキシトリクロロチ
タン、モノフェノキシトリクロロチタン、テトラフェノ
キシチタンなどを挙げることができる。
【0017】3価のチタン化合物としては、四塩化チタ
ン、四臭化チタンなどの四ハロゲン化チタンを水素、ア
ルミニウム、チタンあるいは周期律表I 〜III 族金属の
有機金属化合物により還元して得られる三ハロゲン化チ
タンが挙げられる。また一般式Ti(OR)m4-m
(ここでRは炭素数1〜20のアルキル基、アリ−ル基
またはアラルキル基を示し、Xはハロゲン原子を示し、
mは0≦m≦4の整数である)で示される4価のハロゲ
ン化アルコキシチタンを周期律表I 〜III 族金属の有機
金属化合物により還元して得られる3価のチタン化合物
が挙げられる。これらのチタン化合物のうち、4価のチ
タン化合物がとくに好ましい。
【0018】他の触媒系の例としては、固体触媒成分と
していわゆるグリニャール化合物などの有機マグネシウ
ムとチタン化合物との反応生成物を用いることができ
る。また他の触媒系の例としては、固体触媒成分として
SiO2 、Al23 などの無機酸化物と前記の少なく
ともマグネシウム及びチタンを含有する固体触媒を接触
させて得られる固体物質を用いることもできる。
【0019】上記した固体触媒成分と組み合わせるべき
有機アルミニウム化合物の具体的な例としては、一般式
3 Al、R2 AlX、RAlX2 、R2 AlOR、R
Al(OR)x およびR3 Al23 の有機アルミニウ
ム化合物(ここでRは炭素数1〜20のアルキル基、ア
リ−ル基またはアラルキル基を示し、Xはハロゲン原子
を示し、Rは同一でもまた異なってもよい)で示される
化合物が好ましく、トリエチルアルミニウム、トリイソ
ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリ
オクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリ
ド、ジエチルアルミニウムエトキシド、エチルアルミニ
ウムセスキクロリドおよびこれらの混合物などが挙げら
れる。
【0020】有機アルミニウム化合物の使用量は特に制
限されないが、通常チタン化合物に対して0.1〜1,
000モル倍使用することができる。
【0021】重合反応は通常のチグラー型触媒によるオ
レフィンの重合反応と同様にして行われる。すなわち反
応はすべて実質的に酸素、水などを絶った状態で、気相
または不活性溶媒の存在かもしくはモノマー自体を溶媒
とする液相で行われるが、その中でも気相法が好まし
い。オレフィンの重合反応は温度20〜300℃、好ま
しくは40〜200℃であり、圧力は常圧ないし70k
g/cm2 G、好ましくは2kg/cm2 Gないし60
kg/cm2 Gである。分子量の調節は重合温度、触媒
のモル比などの重合条件を変えることによってもある程
度可能であるが、重合系中に水素を添加することにより
効果的に行われる。
【0022】水素濃度、重合温度などの重合条件の異な
った2段階またはそれ以上の多段階の重合反応もなんら
支障なく用いて製造することもできる。
【0023】図1に、本発明に用いる (B)エチレン・
αーオレフィン共重合体であるVLDPE(2)、固体
触媒成分として従来のバナジウムを主体とする固体触媒
成分を使用して得られるエチレン・αーオレフィン共重
合体ゴム(EPR)(3)および従来のチタンを主体と
する固体触媒成分を使用して得られるエチレン・αーオ
レフィン共重合体(LLDPE)(1)のDSCによる
m の測定結果を示す(測定方法は実施例の項に記載の
方法による)。本発明に用いる (B)エチレン・αーオ
レフィン共重合体であるVLDPE(2)は、エチレン
・αーオレフィン共重合体ゴム(3)あるいはエチレン
・αーオレフィン共重合体(1)とはTm 値やそのピー
クの大きさなどにより明確に区別される。
【0024】これらは共重合体を構成するモノマーが同
一であり、かつ密度が同一であっても、DSCによるT
m はエチレン・αーオレフィン共重合体ゴム(3)より
本発明で用いる共重合体(2)の方が高く、また沸騰C
6 不溶分は本発明で用いる共重合体(2)が10重量%
以上であるのに対し、バナジウム含有触媒を使用して得
られるエチレン・αーオレフィン共重合体ゴム(3)は
同不溶分がほとんど存在せず、エチレン・αーオレフィ
ン共重合体(1)の場合は同可溶分が極めて少量であ
り、軟質部分がほとんどなく、柔軟性にかける。
【0025】以上のようにして合成された本発明に用い
る(B)エチレン・αーオレフィン共重合体は、密度が
0.860〜0.910g/cm3 であることが肝要で
あり、好ましくは0.880〜0.905g/cm3
ある。またDSCによる最大ピーク温度(Tm )は10
0℃以上、沸騰n−ヘキサン不溶分(C6 不溶分)は1
0重量%以上が必要であり、好ましくは20〜95重量
%である。MFRは0.1〜2.0g/10min.、好ましく
は0.3〜1.5g/10min.の範囲から選択するのがよ
い。
【0026】本発明に用いる(B)エチレン・αーオレ
フィン共重合体の配合量は5〜30重量%である。30
重量%より多いと耐熱性が劣り、5重量%より少ないと
引裂き性に欠けるので、この範囲から選択するのがよ
い。
【0027】本発明に使用する(C)成分のひとつであ
る高圧ラジカル法エチレン(共)重合体は、公知のエチ
レンの単独重合体、エチレンを主成分とする他のαーオ
レフィンとの共重合体またはエチレンとα,βー不飽和
カルボン酸またはそのエステルもしくは金属塩との共重
合体、およびエチレンー酢酸ビニル共重合体などのエチ
レンービニルエステル共重合体からなる群から選択され
た少なくとも1種である。
【0028】上記α,βー不飽和カルボン酸またはその
エステルおよびビニルエステルの具体例としては、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マ
レイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸類;ア
クリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタク
リル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル
酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸
n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸
シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラ
ウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリ
ル、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエ
チルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、フマル酸
モノメチルエステル、アクリル酸グリシジル、メタクリ
ル酸グリシジル等の不飽和カルボン酸エステル単量体;
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、
ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル
酢酸ビニル等のビニルエステル単量体を挙げることがで
きる。この中でも特に好ましいものとしては(メタ)ア
クリル酸アルキルエステルまたはビニルエステルである
が、更に好ましくはアクリル酸エチル、酢酸ビニルを挙
げることができる。該単量体は混合して使用することも
できる。
【0029】上記好ましい共重合体の具体例としては、
エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル
酸共重合体、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、エ
チレンーメタクリル酸エチル共重合体、エチレンー酢酸
ビニル共重合体などのエチレンービニルエステル共重合
体、エチレンーメタクリル酸グリシジル共重合体、エチ
レンーアクリル酸ーアクリル酸エチル共重合体、エチレ
ンー酢酸ビニルーアクリル酸エチル共重合体、エチレン
ーメタクリル酸グリシジルーアクリル酸エチル共重合体
などのエチレンー不飽和カルボン酸またはそのエステル
もしくは金属塩等が挙げられる。これらの共重合体は混
合して使用してもよい。上記共重合体のMFRは0.1
〜2.0 g/10min. 、好ましくは0.3〜1.5g/10mi
n . の範囲から選択するのが望ましい。
【0030】本発明におけるもうひとつの(C)成分で
ある変性されたポリオレフィン系樹脂、即ち、a:カル
ボン酸基、カルボン酸エステル基または酸無水基含有モ
ノマー、b:エポキシ基含有モノマー、c:ヒドロキシ
ル基含有モノマー、d:アミノ基含有モノマー、e:ア
ルケニル環状イミノエーテル誘導体、f:多官能モノマ
ーから選ばれた少なくとも1種のモノマーで変性された
ポリオレフィン系樹脂とは、ポリオレフィン系樹脂に該
モノマーの少なくとも1種をグラフト変性したグラフト
変性体、ポリオレフィン系樹脂に該モノマーの少なくと
も1種を含浸させた熱可塑性樹脂組成物を包含する。
【0031】上記官能基a:カルボン酸基、カルボン酸
エステル基または酸無水基含有モノマーとは、マレイン
酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,β-
不飽和ジカルボン酸,アクリル酸、メタクリル酸、フラ
ン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不飽和
モノカルボン酸,あるいはこれらα,β- 不飽和ジカル
ボン酸または不飽和モノカルボン酸のエステルまたは無
水物が挙げられる。
【0032】b:エポキシ基含有モノマーとしては、ア
クリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコ
ン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モ
ノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシ
ジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエ
ステルおよびα−クロロアリル、マレイン酸、クロトン
酸、フマ−ル酸等のグリシジルエステル類またはビニル
グリシジルエ−テル、アリルグリシジルエ−テル、グリ
シジルオキシエチルビニルエ−テル、スチレン−p−グ
リシジルエ−テルなどのグリシジルエ−テル類、p−グ
リシジルスチレンなどが挙げられるが、特に好ましいも
のとしてはメタクリル酸グリシジル、アリルグリシジル
エ−テルを挙げることができる。
【0033】c:ヒドロキシル基含有モノマーとして
は、1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。 d:アミノ基含有モノマーとしては、ジメチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アク
リレート等の3級アミノ基含有モノマーが挙げられる。 e:アルケニル環状イミノエーテル誘導体としては、以
下の構造式(化1)で表される物である。
【0034】
【化1】
【0035】ここでnは1、2及び3であり、好ましく
は2及び3、より好ましくは2である。またR1 ,R
2 ,R3 ,RはそれぞれC1 〜C12の不活性なアルキル
基及び/または水素を示し、アルキル基にはそれぞれ不
活性な置換基があってもよい。ここでいう不活性とはグ
ラフト反応やその生成物の機能に悪影響を及ぼさないこ
とを意味する。またRはすべて同一である必要はない。
好ましくは R1 =R2=H,R3 =HあるいはMe,
R=Hすなわち、2−ビニル及び/または2−イソプロ
ペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル及び/または2
−イソプロペニル−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−
オキサジンである。これらは単独でも混合物でもよい。
この中でも特に2−ビニル及び/または2−イソプロペ
ニル−2−オキサゾリンが好ましい。
【0036】f:多官能モノマーとしては、トリメチロ
ールプロパントリメタクリレート、エチレングリコール
ジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレ
ート等に代表される多官能性メタクリレートモノマー
類、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、
ジアリルフタレート、ビニルブチラート等に代表される
多官能性ビニルモノマー類、N,N'-m-フェニレンビスマ
レイミド、N,N'-エチレンビスマレイミドに代表される
ビスマレイミド類、P-キノンジオキシム等のジオキシム
類等が挙げられる。
【0037】上記モノマーの少なくとも1種をポリオレ
フィン系樹脂にグラフト変性するときには架橋剤の存在
下にて行うことが望ましい。該架橋剤としては、ヒドロ
ペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、ジアシルペル
オキシド、ペルオキシエステル、ケトンペルオキシド等
の有機過酸化物、ジヒドロ芳香族化合物、硫黄等の加硫
剤から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。変性され
るポリオレフィン系樹脂としては、特に限定されるもの
ではなく、軟質ポリオレフィン系樹脂または、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等の結晶性樹脂でもよいが、特に
密度0.91〜0.97g/cm3のエチレンーαーオレフ
ィン共重合体が好ましく使用される。上記モノマーの反
応量は、樹脂成分に対して0.01〜20重量%、好ま
しくは0.1〜15重量%の範囲で用いられる。上記変
性ポリオレフィン系樹脂としては、無水マレイン酸変性
ポリエチレンが最も好ましい。
【0038】本発明に用いる(C)高圧ラジカル法エチ
レン(共)重合体および/または変性されたポリオレフ
ィン系樹脂の配合量は5〜85重量%である。5重量%
よりすくないとマット性が悪くなると同時に耐衝撃性に
欠け、85重量%より多いと引張弾性率が劣るので、こ
の範囲から選択するのがよい。
【0039】本発明においては、(A)〜(C)成分か
らなる組成物に対して、(D)無機充填剤および(E)
難燃剤の少なくとも1種を配合して耐熱性、隠蔽性、難
燃性、難白化性等の特性を付与向上することができる。
本発明で用いられる(D)無機充填剤としては、粉粒
体、平板状、針状、球状または中空状および繊維状等が
挙げられ、具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム、硫酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、珪藻
土、タルク、アルミナ、珪砂、ガラス粉、酸化鉄、金属
粉、三酸化アンチモン、グラファィト、炭化珪素、窒化
珪素、シリカ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、カーボ
ンブラックなどの粉粒状充填剤、雲母、ガラス板、セリ
サイト、パイロフィライト、アルミフレークなどの箔状
充填剤、黒鉛などの平板状もしくは鱗片状充填剤、金属
バルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、軽石など
の中空状充填剤、ガラス繊維、炭素繊維、グラファィト
繊維、ウィスカー、金属繊維、シリコーンカーバイト繊
維、アスベスト、ウォラストナイトなどの鉱物繊維等の
例を挙げることができる。これらの添加量は(A)成分
10〜80重量部、(B)成分5〜30重量部、および
(C)成分の樹脂成分100重量部に対して、1〜15
0重量部適用される。上記添加量が150重量部を超え
るとマット性フィルムまたはシートの衝撃強度等の機械
的強度、柔軟性、難白化性などが低下するので好ましく
なく、1重量部以下ではマット性フィルムまたはシート
の引張弾性率(腰に関係がある)、難燃性、隠蔽性など
が低下するので好ましくない。
【0040】本発明で使用する(E)難燃剤としては、
一般に効果のあるとされる難燃剤を使用することがで
き、目的、用途によってハロゲン系難燃剤、リン系難燃
剤、無機系難燃剤などの群から少なくとも1種が選択さ
れる。例えば、ハロゲン系難燃剤等の有機難燃剤は、少
量の添加で優れた難燃性を付与することができ、水酸化
マグネシウム等の無機系難燃剤においては、ハロゲンフ
リーのフィルムを提供する際に好ましく使用される。
【0041】上記ハロゲン系難燃剤としては、例えば、
テトラブロモビスフェノールA(TBA)およびその誘
導体、ヘキサブロモベンセン、デカブロモジ フェニル
エーテル、テトラブロモエタン(TBE)、テトラブロ
モブタン(TBB)、ヘキサブロモシクロデカン(HB
CD)等の臭素系および塩素化パラフィン、塩化ジフェ
ニル、パークロロペンタシクロデカン、塩素化ナフタレ
ン等の塩素系難燃剤、ハロゲン化ジフェニルスルフィド
類などのハロゲン系難燃剤、臭素化ポリスチレン、臭素
化ポリ−α−メチルスチレンなどのハロゲン化ポリスチ
レンまたはその誘導体、臭素化ポリカーボネート等のハ
ロゲン化ポリカーボネート、ポリアルキレンテトラブロ
モテレフタレート、臭素化テレフタル酸系ポリエステル
などのハロゲン化ポリエステル、ハロゲン化ビスフェノ
ール系エポキシ樹脂などのハロゲン化エポキシ化合物、
ポリ(ジブロモフェニレンオキシド)などのハロゲン化
ポリフェニレンオキシド化合物、ハロゲン化ビスフェノ
ール類のシアヌル酸エステル化合物などの高分子型ハロ
ゲン含有重合体からなる難燃剤などが挙げられる。
【0042】また、リン系難燃剤としては、トリクレジ
ルホスフェート、トリ(β−クロロエチル)ホスフェー
ト、トリ(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリ(ジ
ブロモプロピル)ホスフェート、2,3−ジブロモプロ
ピル−2,3−クロロプロピルホスフェート等のリン酸
エステルもしくはハロゲン化リン酸エステル、ホスフィ
ン酸化合物、ホスフィン酸誘導体等が主に挙げられる。
その他の難燃剤としては、窒化グアニジンなどのグアニ
ジン化合物などが挙げられる。上記有機系難燃剤は単独
で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
【0043】有機系難燃剤は三酸化アンチモン、酸化ジ
ルコニウム、ホウ酸亜鉛等の難燃助剤と併用することに
よって、相乗効果を発揮せしめることができる。上記有
機系難燃剤の配合量は熱可塑性樹脂100重量部に対し
て5〜50重量部、好ましくは10〜45重量部の範囲
である。該難燃剤の量が5重量部未満では難燃効果が小
さく、50重量部以上の量を添加してもそれ以上の難燃
効果は望めず、機械的特性も低下し、且つコスト高にな
るので好ましくない。
【0044】無機系難燃剤の具体的例としては、水酸化
アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウ
ム、塩基性炭酸マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタ
ルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化ス
ズの水和物、硼砂などの無機金属化合物の水和物、ホウ
酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜
鉛、炭酸マグネシウム−カルシウム、炭酸カルシウム、
炭酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、酸
化ジルコニウム、酸化スズ、三酸化アンチモン、酸化ア
ンチモン、赤リン等が挙げられる。これらは1種でも2
種以上を併用しても良い。この中でも特に、水酸化マグ
ネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウ
ム、ドロマイト、ハイドロタルサイトからなる群から選
ばれた少なくとも1種が難燃効果が良く、経済的にも有
利である。
【0045】また、チャー(炭化層)を助成するために
水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機金属
水和物と赤リンまたはフェノール樹脂コーティング赤リ
ン、カ−ボンブラック、硼酸塩等の少なくとも1種と併
用することが好ましい。上記赤リン等のチャー形成助剤
の配合量は、無機系難燃剤に対して、0.5〜20重量
%位の範囲で添加することが望ましい。またこれら無機
系難燃剤の粒径は種類によって異なるが、水酸化マグネ
シウム、水酸化アルミニウム等においては平均粒径20
μm以下、好ましくは10μm以下である。上記無機系
難燃剤の配合量は樹脂成分100重量部に対して1〜1
00重量部、好ましくは2〜90重量部の範囲である。
該難燃剤の量が1重量部未満では難燃効果が小さく、1
00重量部を超えるとマット性フィルムまたはシートの
衝撃強度等の機械的強度、柔軟性、難白化性などが低下
するので好ましくない。
【0046】本発明において、前記無機充填剤(D)も
しくは無機系難燃剤等(E)を使用する場合、該難燃剤
や充填剤の表面をステアリン酸、オレイン酸、パルミチ
ン酸等の脂肪酸またはその金属塩、パラフィンワック
ス、ポリエチレンワックスまたはそれらの変性物、有機
シラン、有機ボラン、有機チタネート等で被覆するなど
の表面処理を施すのが好ましい。
【0047】上記不飽和シラン化合物としてはビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリアセチルシラン、ビニルトリクロロシランなどが挙
げられる。
【0048】不飽和チタネート化合物としてはテトライ
ソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネー
ト、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタネート、
チタンラクテートアンモニウム塩等が挙げられる。
【0049】本発明のマット性フィルムまたはシートが
優れたマット性を有する理由は次のように推測される
が、この考え方に限定されるものではない。通常、ポリ
プロピレンとエチレン−α−オレフィン共重合体および
高圧法エチレン共重合体などのような異なる3種のポリ
オレフィンは溶融混和性は比較的良いが、本来非相溶性
であり、3者を均一に溶融混合した後、冷却して得られ
る固体状態ではそれぞれの相に分かれて結晶化するが、
その結晶構造の間には結晶同志が交錯した幅広い界面成
長が起こる。このように3者の結晶同志が交錯した固体
構造中を光が通過すると、光の散乱が起こるので不透明
さを表す内部ヘイズ値が上昇してマット性が付与される
が、未だ十分ではない。若し3者の結晶同志が交錯せ
ず、両者が明確に分離したミクロ相分離構造をとるとす
れば、両結晶間の屈折率の差異が大きくなるので充分に
大きな内部ヘイズ値が得られるものと考えられる。
【0050】本発明においても、上記(A)、(B)お
よび(C)成分はいずれもポリオレフィン系ポリマーで
あり、溶融混和性は比較的良いが本来非相溶性であり、
3者を均一に溶融混合した後、冷却して得られる固体状
態ではそれぞれの相に分かれて結晶化する。然し、本発
明においては、(A)と(B)両成分のMFRの比(A
MFR)/(B MFR)を5〜20の範囲として、溶融体に
流動性の差を持たせること、および両成分の結晶化温度
を5℃以上差を持たせること、そして(C)成分は、好
ましくは極性基を含む上記高圧ラジカル法エチレン
(共)重合体および/または変性されたポリオレフィン
系樹脂であることにより、3者を均一に溶融混合した後
の冷却過程において、(A)成分、(B)成分および
(C)成分の結晶は明確に分離したミクロ相分離構造と
なる。
【0051】(C)成分についても、好ましくは(A)
と(C)両成分のMFRの比(AMFR)/(C MFR)=
5〜30の範囲として、溶融体に流動性の差を持たせ、
更に両成分の結晶化温度を5℃以上差を持たせると、3
者を均一に溶融混合した後の冷却過程において、(A)
成分、(B)成分および(C)成分の結晶は更に明確に
分離したミクロ相分離構造が得られる。このようなミク
ロ相分離構造においては、(A)成分、(B)成分およ
び(C)成分の内、配合量の多い成分が連続相になり、
配合量の少ない成分が分散相となり、連続相の中に適度
な大きさの粒径を持った分散相が介在する結晶の海・島
構造となっている。そして上記ミクロ相分離構造を有す
ることにより、各結晶間の屈折率の差異が大きくなるた
め優れたマット性を示すようになる。
【0052】この冷却過程における結晶化および上記ミ
クロ相分離構造の発生は、冷却を急速に行うことにより
一層促進されるので、内部ヘイズ値を上昇せしめマット
性改善効果を高めることができる。また、(C)成分の
うち変性されたポリオレフィン系樹脂を配合した組成物
からなるマット性フィルムまたはシートは、樹脂成分と
無機充填剤および/または難燃剤との結合が強化されフ
ィルムの機械的強度等が向上し、かつ極性基等が導入さ
れることにより、金属、プラスチック等の他の基材との
接着性も向上させることができる。
【0053】さらに、本発明においては上記(A)〜
(E)成分に対して、各成分を混合溶融し、成形する
際、必要に応じて帯電防止剤、防曇剤、有機フィラー、
酸化防止剤、滑剤、有機あるいはは無機系顔料、紫外線
防止剤、分散剤、可塑剤、核剤などの公知の添加剤をマ
ット性フィルムまたはシートの物性を阻害しない範囲で
添加することができる。
【0054】本発明のマット性フィルムまたはシートの
製造方法は、(A)〜(C)成分からなる樹脂組成物の
場合は、成形温度180℃〜280℃、好ましくは20
0℃〜250℃でフィルム化あるいはシート化した後、
50℃以下、好ましくは30℃以下の温度に冷却するこ
とによって製造することができる。また、(A)〜
(E)成分からなる組成物の場合は、成形温度180℃
〜280℃、好ましくは220℃〜270℃でフィルム
化あるいはシート化した後、50℃以下、好ましくは3
0℃以下の温度に冷却することによって製造することが
できる。該成形温度が280℃以上であるとマット性が
悪化するおそれがあり、180℃未満であると溶融ム
ラ、表面荒れなどの問題が生じる。また該冷却温度が5
0℃以上であるとグロス(60゜)が30%以上になる
ため好ましくない。グロスは20%以下が好ましい。
【0055】製造方法は特に限定されるものではない
が、カレンダー加工法、インフレ成形法、Tダイ法等の
公知の成形方法を用いることができる。これらの内で好
ましくは、Tダイ法により(A)〜(E)成分からなる
組成物を、成形温度180℃〜280℃でフィルムまた
はシート化した後、50℃以下に冷却したマットロール
またはタッチロールに接触させて製造することができ
る。マットロールはエンボスロールの一種であり、公知
のものを用いることができる。タッチロールも公知のも
のを用いることができるが、シリコンゴム、NBRなど
の合成ゴム製のものが好ましく、軟らかいものが良い
が、フィルムやシートが粘着したり、摩耗するのでショ
アA硬度で70〜90の範囲から選択することが望まし
い。
【0056】
【実施例】次に実施例により本発明を更に詳しく説明す
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。実施例および比較例において使用する(A)〜
(E)成分を以下に示す。
【0057】(A)成分: (a)ポリプロピレン [密度=0.905g/cm3 、MFR=8g/10min.、結晶
化温度=117℃ 商品名:日石ポリプロ J150G、日本石油化学
(株)製] (b)ポリプロピレン [密度=0.905g/cm3 、MFR=8g/10min.、結晶
化温度=110℃ 商品名:日石ポリプロ J350G、日本石油化学
(株)製] (c)ポリプロピレン [密度=0.905g/cm3 、MFR=2g/10min.、結晶
化温度=104℃ 商品名:日石ポリプロ J420G、日本石油化学
(株)製]
【0058】(B)成分: エチレン・α- オレフィン共重合体(VLDPE) 実質的に無水の塩化マグネシウム、1, 2- ジクロロエ
タンおよび四塩化チタンから得られた固体触媒とトリエ
チルアルミニウムとからなる触媒を用いて、エチレンと
1- ブテンとを気相法により共重合させてエチレン・1
- ブテン共重合体を得た。
【0059】(d)VLDPE [密度=0.900g/cm3 、MFR=0.5g/10min.、
結晶化温度=102℃、Tm =118℃、1- ブテン含
量=10モル%、沸騰C6 不溶分=60重量%] (C)成分: (e)高圧法低密度ポリエチレン [密度=0.922 g/cm3、MFR=1.0 g/10min.
結晶化温度=94℃ 商品名:日石レクスロン F2
2、日本石油化学(株)製] (f)高圧法エチレン共重合体(EVA) [密度=0.929 g/cm3、MFR=O.3 g/10min.
結晶化温度=94℃ 商品名:日石レクスロン V14
1、日本石油化学(株)製] (g)高圧法エチレン共重合体(EEA) [密度=0.929 g/cm3、MFR=0.3 g/10min.
結晶化温度=90℃ 商品名:日石レクスロン A10
40、日本石油化学(株)製] (h)無水マレイン酸変性エチレンー1ーブテン共重合
体(以下MAnLーLDPEと称する) [密度=0.92g/cm3、MFR=1.2 g/10min.無水
マレイン酸=0.2wt%、PO=0.05wt% 日本石
油化学(株)製]
【0060】(D)成分: (i)炭酸カルシウム (E)成分: (j)テトラブロモビスフェノールA(TBA)[商品
名:ファイヤーガード:帝人化成(株)製] (k)水酸化マグネシウム [商品名:キスマ5B 協
和化学(株)製]
【0061】VLDPEの結晶化温度Tm およびC6 不
溶分の測定方法: (DSCによるTm の測定法)熱プレス成形した厚さ1
00μmのフィルムから約5mgの試料を精秤し、これ
をDSC装置にセットし、170℃に昇温して同温度で
15min保持した後、降温速度2.5℃/minで0
℃まで冷却する。次にこの状態から昇温速度10℃/m
inで170℃まで昇温を行い、0℃から170℃まで
昇温する間に現われたピークのうち最大のものの頂点の
位置の温度をもってTm とする。
【0062】(沸騰nーC6 不溶分の測定法)熱プレス
を用いて厚さ200μmのシートを成形し、これから2
0mm×30mmのシートを3枚切り取り、それらにつ
いて二重管式ソックス レー抽出器を用い沸騰n−ヘキ
サンで5hr抽出を行う。n−ヘキサン不溶分を取り出
し、真空乾燥(7hr、50℃)後、次式によりC6 不
溶分(重量%)を算出する。 表1に示す配合の組成物を用いてフィルムを作りその性
能を測定して行った。フィルムの成形装置ならびに条件
および物性試験方法の詳細は下記のとおりである。
【0063】(成形装置および条件)押出機[田辺機械
製50mmφ押出機、スクリューL/D=22フルフラ
イトタイプ、ダイス=600mm巾コートハンガーダイ
(リップギャップ1.0mm)、冷却=ロール冷却法] 押出温度 230℃(シリンダー温度230℃、T
ダイ温度230℃) 金属マットロール タッチロール:シリコンラバーロール(硬度ショアA
80度) 冷却温度 20〜25℃(金属マットロール) 製膜速度 5m/min フィルム厚み 100μm
【0064】(物性試験方法) 密度 : JIS K6758 準拠 MFR : 〃 〃 結晶化温度 : JIS K7121 〃 ヘイズ : ASTM D1003 〃 グロス : JIS Z8741 〃 引張破壊強度: JIS K6758 〃 引張破壊伸び: 〃 〃 引裂強度 : ASTM D1922−61T 〃 引張弾性率 : 日石化学試験法 試験片 :350mm(L) ×20mm(W) 引張速度 :25mm/min. チャート速度 :1000mm/min. チャック間距離:250mm チャック間距離の1%変形時の荷重Pを試験片断面積で
除して引張弾性率とする。 実施例1〜10、比較例1〜3の試験結果を表1に示
す。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】本発明のポリオレフィン系マット性フィ
ルムまたはシートは、(A)プロピレン(共)重合体
(PP)、(B)特定のエチレン・α−オレフィン共重
合体(超低密度ポリエチレン:VLDPE)、(C)高
圧ラジカル法エチレン(共)重合体および/または変性
されたポリオレフィン系樹脂、(D)無機充填剤または
(E)難燃剤とを特定量配合した組成物を用いることに
より、高級感があり、マット性、引張弾性率、柔軟性、
耐衝撃性、耐熱性、貼合性、難白化性、耐傷付き性など
に優れており、このため粘着テープ基材、文具カバーや
ケース、ファッションバッグ、建築内装材、自動車内装
材、などのフィルムとして有効に利用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 DSCによるTm の測定結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1 LLDPE 2 本発明に用いる (B)エチレン・αーオレフィン共
重合体のVLDPE 3 EPR
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // B29C 47/00 B29C 47/00 (56)参考文献 特開 平4−91148(JP,A) 特開 平2−296846(JP,A) 特開 昭56−118825(JP,A) 特開 昭64−9235(JP,A) 特開 昭64−72831(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/00 - 23/36 C08J 5/00 - 5/24

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)プロピレン(共)重合体 10〜80重量%、 (B)エチレンと炭素数3〜12のαーオレフィンとを共重合させて得られる下 記(I )〜(III )の性状を満足するエチレン・αーオレフィン共重合体 5〜30重量%、 (I )密度0.860〜0.910g/cm3 (II)示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピーク
    温度(Tm )100℃以上 (III )沸騰nーヘキサン不溶分 10重量%以上 (C)高圧ラジカル法エチレン(共)重合体および/ま
    たは下記 a〜fから選択された1種のモノマーで変性
    されたポリオレフィン系樹脂 a:カルボン酸基、カルボン酸エステル基または酸無水基含有モノマー b:エポキシ基含有モノマー、 c:ヒドロキシル基含有モノマー、 d:アミノ基含有モノマー、 e:アルケニル環状イミノエーテル誘導体モノマー f:多官能モノマー 5〜85重量%(A)成分のメルトフローレートが1〜20g/10min.、
    (B)成分のメルトフローレートが0.1〜2.0g/10
    min.で、かつ、(A)(B)成分のメルトフローレート
    の比が(A)/(B)=5〜20および/または結晶化
    温度差が5℃以上であり 、 (A)プロピレン(共)重合体、(B)エチレン・αー
    オレフィン共重合体および(C)高圧ラジカル法エチレ
    ン(共)重合体および/または変性されたポリオレフィ
    ン系樹脂との組成物100重量部に対して、 (D)無機充填剤および/または(E)難燃剤 1〜150重量部 からなる組成物を含むグロス(60°)が30%以下で
    あるマット性フィルムまたはシート。
  2. 【請求項2】 (A)プロピレン(共)重合体 10〜80重量%、 (B)エチレンと炭素数3〜12のαーオレフィンとを共重合させて得られる下 記(I )〜(III )の性状を満足するエチレン・αーオレフィン共重合体 5〜30重量%、 (I )密度0.860〜0.910g/cm3 (II)示差走査熱量測定法(DSC)による最大ピーク
    温度(Tm )100℃以上 (III )沸騰nーヘキサン不溶分 10重量%以上 (C)高圧ラジカル法エチレン(共)重合体および/ま
    たは下記 a〜fから選択された1種のモノマーで変性
    されたポリオレフィン系樹脂 a:カルボン酸基、カルボン酸エステル基または酸無水基含有モノマー b:エポキシ基含有モノマー、 c:ヒドロキシル基含有モノマー、 d:アミノ基含有モノマー、 e:アルケニル環状イミノエーテル誘導体モノマー f:多官能モノマー 5〜85重量%(A)成分のメルトフローレートが1〜20g/10min.、
    (B)成分のメルトフローレートが0.1〜2.0g/10
    min.で、かつ、(A)(B)成分のメルトフローレート
    の比が(A)/(B)=5〜20および/または結晶化
    温度差が5℃以上であり 、 (A)プロピレン(共)重合体、(B)エチレン・αー
    オレフィン共重合体および(C)高圧ラジカル法エチレ
    ン(共)重合体および/または変性されたポリオレフィ
    ン系樹脂との組成物100重量部に対して、 (D)無機充填剤および/または(E)難燃剤 1〜150重量部 からなる組成物をTダイ法により、成形温度180℃〜
    280℃で押出し、マットロールおよび/またはタッチ
    ロールの表面温度を50℃以下に保ちながらグロス(6
    0°)が30%以下になるように成形することを特徴と
    するマット性フィルムまたはシートの製造方法。
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