JPH06184319A - 熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの製造方法 - Google Patents

熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの製造方法

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JPH06184319A
JPH06184319A JP35543892A JP35543892A JPH06184319A JP H06184319 A JPH06184319 A JP H06184319A JP 35543892 A JP35543892 A JP 35543892A JP 35543892 A JP35543892 A JP 35543892A JP H06184319 A JPH06184319 A JP H06184319A
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thermoplastic resin
weight
extrusion
masterbatch
parts
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JP35543892A
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English (en)
Inventor
Shinichi Yagi
信一 八木
Yoshihiro Goshi
義広 合志
Saburo Matsubara
三郎 松原
Shigetoshi Miyama
重敏 三山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
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Miyama Kasei Co Ltd
Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
Miyama Kasei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 ドライブレンド時のブロッキングや、ホッパ
ー内でのブリッジングがなく、しかも長時間の貯蔵にお
いてもブリード現象を生じないような優れた性状のペレ
ットとして、長時間安定して生産できる構造の押出成形
機を用いた熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの製造方
法を提供する。 【構成】 (1)前記押出成形機の押出ダイの押出孔が
環状に配置され、押出ヘッドから押出孔に至るバレルチ
ャンバー部の溶融樹脂の誘導路内壁が20度以下の角度
で広がり、該誘導路内部に底面が押出ダイとつながるコ
ーンが設置され、コーンの長さ1とコーン底面の直径d
の比1/dの値が0.7以上、および/または(2)前
記押出成形機の押出ダイの押出孔が環状に配置され、押
出ヘッドから押出孔に至るバレルチャンバー部の空隙率
が20〜45%、である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はベタツキが少なく、作業
性の良好な熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの製造方
法に関する。
【0002】詳しくは、液状改質剤を含む熱可塑性樹
脂、あるいは、さらに他の熱可塑性樹脂を含むマスター
バッチの製造方法に関するものであり、特に液状改質剤
によるベタツキが少なく、長期間の貯蔵においてもブリ
ードの発生がなく、ブロッキング、ブリッジング等の欠
点のない作業性の良好な熱可塑性樹脂改質用マスターバ
ッチを提供するものである。
【0003】
【従来の技術】熱可塑性樹脂を射出成形、押出成形、ブ
ロー成形、インフレーション成形等の方法で成形するこ
とにより、各種の成形体、シート、フィルム等が製造さ
れている。一般に、そのような熱可塑性樹脂には、それ
ぞれの用途に要求される特性を付与するために、液状ま
たは固体粉末状等の各種改質剤、例えば可塑剤、粘着付
与剤、充填材、染料、顔料、滑剤、酸化防止剤等が配合
されている。これらの改質剤は、予め熱可塑性樹脂に配
合しペレット化して使用するか、あるいは予め改質剤の
含有量を多くしたマスターバッチペレットを製造し、成
形時にベース樹脂にドライブレンドして使用される。特
に、改質剤が液状であるときは、予めマスターバッチペ
レットを製造し、ドライブレンドして使用する方法が広
く採用されている。
【0004】上記改質剤として液状の改質剤を大量に配
合する場合は、製造直後あるいは数日後にはペレット表
面に改質剤がブリードする結果、ベタツキが多くなり、
ペレット同士のブロッキングやドライブレンド時にホッ
パー内でブリッジングを起こし、所定量配合できなかっ
たり、不均一なものとなってしまう等の作業性が著しく
困難になる等の問題がある。
【0005】例えば、液状改質剤としてポリブテンを用
いる場合は、ポリブテンの含有量の多いマスターバッチ
ペレットを製造する必要がある。しかしながら、ポリブ
テンは、他のポリオレフィン系樹脂、例えばポリエチレ
ン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体等との相溶
性がよくないので、上記のような問題が特に大きかっ
た。
【0006】これらの問題点を解決するポリブテン含有
マスターバッチの製造方法として、例えば、特開平1−
201346号公報は、特定の物性を有するエチレン・
α−オレフィン共重合体と特定の分子量範囲のポリブテ
ンからなる2成分系の組成物およびこれらの成分を特定
の温度範囲で混練し押出してペレットを製造する方法を
提案している。また、特開平2−11637号公報は、
上記の成分を150〜250℃の温度範囲で溶融混練し
押出す方法を提案している。密度が0.910g/cm
3を越えるものに対して、特開平2−11638号公報
は、エチレン・α−オレフィン共重合体の示差走査熱量
測定法(DSC)による最大ピーク温度(Tm)より若
干低い特定の温度範囲で混練し押出すことを提案してい
る。
【0007】これらの方法は、いずれも基本的には結晶
性を有する熱可塑性樹脂の融点以下において、軟化状態
の樹脂中にポリブテン等の液状改質剤を強制的、機械的
に該軟化樹脂中に練り込むことによりマスターバッチを
製造している。しかし、これらの方法は、マスターバッ
チペレットを成形するための押出成形機の構造に関して
は言及していない。また、従来の方法では限界があり、
マスターバッチに要求される液状改質剤の大量充填を達
成できず、また混練操作の安定性にも欠けている。
【0008】上記の方法は、特定の物性を有するエチレ
ン・α−オレフィン共重合体と特定の分子量範囲のポリ
ブテンに限定したマスターバッチの製造方法であり、必
ずしも熱可塑性樹脂一般に適用できる方法ではない。ま
た、エチレン・α−オレフィン共重合体の溶融温度また
はこれを下回る特定の極く狭い温度範囲で溶融し混練す
るため、押出成形機の温度の変動に敏感であり、長時間
安定したマスターバッチを製造するためには押出成形機
の温度制御に細心の注意を払う必要があった。また、安
定したマスターバッチを製造するための押出成形機の構
造に関しても配慮がなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
課題を解決するもので、熱可塑性樹脂に液状の改質剤を
高濃度で含有するマスターバッチを、液状の改質剤のブ
リードによるベタツキが少なく、ドライブレンド時のブ
ロッキングや、ホッパー内でのブリッジングがなく、し
かも長時間の貯蔵においてもブリード現象を生じないよ
うな優れた性状のペレットとして、長時間安定して生産
できる構造の押出成形機を用いた熱可塑性樹脂改質用マ
スターバッチの製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、これらの
課題を解決するために鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂
の多孔質顆粒と液状改質剤を、特定の温度範囲で混練し
押出しペレットに成形する際に、特定の構造の押出ダイ
を備えた押出成形機を用いることにより、液状改質剤の
ブリードによるバタツキが少なく、ドライブレンド時の
ブロッキングや、ホッパー内でのブリッジング等の作業
性が著しく改良され、長時間の貯蔵においてもブリード
現象が認められないマスターバッチを連続的に安定して
製造する方法を見出し、本発明に到達したものである。
【0011】すなわち本発明の第1発明は、(a)熱可
塑性樹脂Aの多孔質顆粒30〜95重量部および(b)
該熱可塑性樹脂Aと相溶性の無い液状改質剤5〜70重
量部の合計100重量部を、該熱可塑性樹脂Aの示差走
査熱量測定法(DSC)による最大ピーク温度(Tm)
ないし(Tm−45)℃の温度範囲で押出成形機により
混練、押出してペレットとする熱可塑性樹脂改質用マス
ターバッチの製造方法において、前記押出成形機の押出
ダイの押出孔が環状に配置され、押出ヘッドから押出孔
に至るバレルチャンバー部の溶融樹脂の誘導路内壁が2
0度以下の角度で広がり、該誘導路内部に底面が押出ダ
イとつながるコーンが設置され、コーンの長さ1とコー
ン底面の直径dの比1/dの値が0.7以上であること
を特徴とする熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの製造
方法である。
【0012】また、本発明の第2発明は、前記した熱可
塑性樹脂改質用マスターバッチの製造方法において、前
記押出成形機の押出ダイの押出孔が環状に配置され、押
出ヘッドから押出孔に至るバレルチャンバー部の空隙率
が20〜45%であることを特徴とする熱可塑性樹脂改
質用マスターバッチの製造方法である。
【0013】以下、本発明をさらに詳述する。本発明に
おいて使用する熱可塑性樹脂Aの多孔質顆粒は、粒子中
に外部に通じる気孔を多数保有した顆粒である。顆粒の
気孔率は特に限定するものではないが、35〜70容量
%の範囲にある場合が最も安定してマスターバッチを製
造することができるので好ましい。気孔率が35容量%
未満でも十分製造可能であるが、35容量%以上の場合
がマスターバッチから液状改質剤のブリード防止がより
確実になる。また、気孔率が70容量%を越えても十分
製造可能であるが、顆粒の強度が不足して混練時に気泡
が潰れ易いため取扱いにやや注意を要することの他、得
られたマスターバッチの見かけ比重が小さくなるため、
ドライブレンド時に均一に混合するよう注意が必要とな
る。
【0014】ここで言う気孔率は、後記の実施例におい
て詳述するが、20mmの減圧下で含浸したエチルアル
コールの量より求めた値である。それ故、該気孔率で測
定される気孔は連続気泡(open cell)であ
り、表面に開孔している気孔であって、減圧下でエチル
アルコールを吸引しないところの表面に開孔していない
不連続気泡はたとえ顆粒中に存在しても含まれない。
【0015】また、上記熱可塑性樹脂Aの多孔質顆粒
は、比較的粗い粉末で、ペレット状の大きさのものから
小さい粒子径のもの迄を含み、樹脂の種類または製造方
法については、特に限定されるものではない。例えば、
予め適当な気孔率になるように発泡させた熱可塑性樹脂
の発泡粒子を用いてもよく、あるいは固体触媒上で重合
したままの未混練顆粒状ポリマーを用いてもよい。
【0016】上記発泡樹脂の製造方法としては、公知の
方法、例えば発泡剤を用いて気泡をつくる方法を用いる
ことができ、気孔率は発泡剤および発泡方法により調整
することができる。また、固体触媒上で重合した未混練
顆粒ポリマーの気孔率は、重合時の触媒の種類、重合度
調整剤の種類または量、あるいは重合条件等により調整
することができる。
【0017】上述のように本発明で使用する熱可塑性樹
脂Aの多孔質顆粒(以下、単に「熱可塑性樹脂A」とい
うことがある)の製造方法は限定されるものではない
が、特に固体触媒上で重合したままの顆粒ポリマーは、
その製法の特徴として、気孔率が大きいにも拘らず、粒
子強度に優れ、また本質的に添加剤を含まないので添加
剤同士の好ましくない相互作用等を考慮する必要がない
等の点からマスターバッチ用としては最適である。すな
わち、気相重合により製造された樹脂粒子をそのまま使
用したり、あるいはスラリ−重合において溶剤中に沈澱
した樹脂粒子から溶剤を乾燥除去して使用することがで
きる。
【0018】例えば、少なくともマグネシウムおよびチ
タンを含有する固体触媒成分および有機金属化合物から
なる触媒の存在下に、気相重合法または液相重合法、好
ましくは気相重合法でエチレン、プロピレンまたはエチ
レンとα−オレフィンを重合あるいは共重合して得られ
る未混練顆粒ポリマーを用いるのがよい。α−オレフィ
ンとしては、例えばプロピレン、ブテン−1、4−メチ
ルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン
−1、ドデセン−1等が挙げられるが、これらのうち特
に好ましいものは、炭素数が3〜6であるプロピレン、
ブテン−1、4−メチルベンテン−1およびヘキセン−
1である。また、本発明の目的を逸脱しない限りコモノ
マーとしてジエン類、例えばブタジエン、1,4−ヘキ
サジエン等を併用することもできる。エチレン・α−オ
レフィン共重合体中のα−オレフィン含有量は2〜10
モル%であることが好ましい。
【0019】このような方法で製造されたポリマーは、
固体触媒上の活性点からポリマーが成長する結果、成長
鎖相互の間に空隙があり、ポリマー粒子がある程度の気
孔率を有する。また、粒径も適当であって、そのまま混
練することができる。
【0020】使用する触媒系は、上記の通り、少なくと
もマグネシウムとチタンとを含有する固体触媒成分に、
有機金属化合物を組み合わせたものであり、固体触媒成
分としては、例えば(1)ケイ素酸化物、アルミニウム
酸化物もしくはこれらの混合物、(2)ハロゲン化マグ
ネシウムと一般式Me(OR)ng-n(ここで、Meは
周期律表I〜IV族の元素、gは元素Meの原子価、nは
0<n≦g、Xはハロゲン原子、Rは炭素数1〜20の
炭化水素残基を示す)で示されるMg(OC252
Mg(OC25)Cl、Al(OCH33等の化合物と
の反応生成物および、(3)チタン化合物、バナジウム
化合物もしくはこれらの混合物の各成分を相互に接触さ
せて得られる物質である。
【0021】有機金属化合物としては、例えばトリエチ
ルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、ジエ
チルアルミニウムクロリド等の有機アルミニウム化合
物、ジエチル亜鉛等の有機亜鉛化合物、あるいはこれら
の有機金属化合物と有機酸エステルとの混合物もしくは
付加化合物等が挙げられる。有機金属使用量は特に制限
されないが、通常チタン化合物に対して0.1〜100
0モル倍使用することができる。
【0022】重合反応は通常のチーグラー型触媒による
オレフィンの重合反応と同様にして行われる。すなわち
反応は全て実質的に酸素、水等を絶った状態で、気相、
または不活性溶媒の存在下、またはモノマー自体を溶媒
として行われ、好ましくは気相で行われる。
【0023】重合条件は、温度が20〜300℃、好ま
しくは40〜200℃であり、圧力は常圧ないし70k
g/cm2・G、好ましくは2〜60kg/cm2・Gで
ある。
【0024】これらの熱可塑性樹脂Aの中でも、(I)
メルトフローレート(MFR)0.01〜100g/1
0min、(II)密度0.90〜0.96g/cm3
(III)DSCによるTmが100℃以上、および(I
V)沸騰n−ヘキサン不溶分が10重量%以上、の性状
を有するポリエチレンまたはエチレンと炭素数3〜12
のα−オレフィンの共重合体が特に好ましい。
【0025】すなわち、このポリエチレンまたはエチレ
ン・α−オレフィン共重合体は、例えば上述した方法で
製造され、メルトフローレート(MFR)(JIS K
6760準拠、190℃、2.16kg荷重)は、
0.01〜100g/10min、好ましくは0.1〜
50g/10min、さらに好ましくは0.1〜20g
/10minである。密度(JIS K 6760によ
る)は0.90〜0.96g/cm3であり、好ましく
は0.91〜0.94g/cm3、さらに好ましくは
0.915〜0.935g/cm3の範囲である。DS
CによるTmは100℃以上、好ましくは110〜13
0℃、さらに好ましくは115〜125℃である。沸騰
n−ヘキサン不溶分は10重量%以上、好ましくは20
〜95重量%、さらに好ましくは20〜90重量%であ
る。
【0026】上記のMFRが0.01g/10min未
満では、流動性に劣りペレットの成形性が悪くなる。ま
た、100g/10minを越えるとマスターバッチが
軟質になり過ぎ、ペレットの表面にベタツキが発生しや
すい。
【0027】密度が0.90g/cm3未満では、同様
にペレット表面のベタツキが発生し、密度が0.96g
/cm3を越えると、ストランド状に押出成形すること
が困難になる等のペレットの成形性が低下し、また押出
成形できたとしても長時間の貯蔵中にブリードが発生し
不安定なものとなり易い。
【0028】Tmが100℃未満では、マスターバッチ
表面にベタツキが発生しやすい。なお、DSCによる最
大ピーク温度が複数あるときは、最も低い温度に相当す
るものをTmとする。
【0029】沸騰n−ヘキサン不溶分が10重量%より
も少ないと、やはり得られたマスターバッチの表面にベ
タツキが生じて好ましくない。
【0030】本発明に用いる液状改質剤は、可塑剤、粘
着付与剤、充填材、染料、顔料、滑剤、酸化防止剤等の
改質剤で常温で液状のものである。例えば、ジメチルフ
タレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート
またはジイソデシルフタレート等の液状可塑剤あるいは
ポリブテン等の液状粘着付与剤等を挙げることができ
る。これらの中でポリブテンは、僅かなブリード量があ
ってもマスターバッチペレットのベタツキが激しくなる
ため、本発明の製造方法が特に有効であるものの一つで
ある。
【0031】本発明に用いるポリブテンは、その用途に
よって広い範囲から選択でき、例えば、工業的に通常ナ
フサクラッキングの際に得られるC4留分からブタジエ
ンを除いたブタンーブテン留分を、塩化アルミニウム、
シルカアルミナ、陽イオン交換樹脂のような酸性触媒、
特にフリーデルクラフツ型触媒の存在下で重合して得ら
れる粘稠ポリマーが挙げられる。これらのポリブテンは
通常、数平均分子量が300〜4000、好ましくは4
00〜3000のものが使用される。数平均分子量がこ
の範囲より小さいものは、引火点が低くなり好ましくな
い。また長時間貯蔵した場合、一部揮散する恐れがあ
る。数平均分子量がこの範囲より大きいものは、粘度が
高すぎて取扱いが困難となる。
【0032】本発明で用いる熱可塑性樹脂Aおよび液状
改質剤の配合割合は、両者の合計量100重量部に対
し、熱可塑性樹脂Aが30〜95重量部、好ましくは4
0〜90重量部、さらに好ましくは45〜90重量部で
あり、液状改質剤が5〜70重量部、好ましくは10〜
60重量部、さらに好ましくは10〜55重量部であ
る。液状改質剤の量が5重量部より少ない場合は、熱可
塑性樹脂の成形加工時にマスターバッチの使用量が多く
なり過ぎ効率が悪くなる。また液状改質剤の配合量が7
0重量部よりも多い場合はマスターバッチ表面のベタツ
キが発生して好ましくない。
【0033】本発明では、これら熱可塑性樹脂Aおよび
液状改質剤に加えて、熱可塑性樹脂Aと相溶性を有し、
かつDSCによるTmが熱可塑性樹脂AのTmより5℃
以上低い熱可塑性樹脂Bをさらに加えることができる。
これら熱可塑性樹脂Bは、上記熱可塑性樹脂Aと相溶性
を有するポリオレフィンの中から選ばれ、例えば、熱可
塑性樹脂Aがポリエチレンまたはエチレンと炭素数3〜
12のα−オレフィン共重合体の場合、熱可塑性樹脂B
は炭素数2〜6のオレフィンを気相あるいは不活性溶媒
の存在下でラジカル発生剤またはチーグラー型触媒等の
重合用触媒を用いて重合または共重合させて得られたポ
リオレフィンから選ぶことができる。コモノマーである
オレフィンは、必ずしも炭化水素のみである必要はな
く、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン系
化合物との共重合体であっても差し支えない。また、熱
可塑性樹脂Bは、無水マレイン酸等の極性基を導入した
ものでも差し支えない。
【0034】これら熱可塑性樹脂Bとしては、例えば、
エチレンを高圧下の気相で酸素または有機過酸化物を用
いてラジカル重合させて得られるポリマー、すなわち、
通常高圧法ポリエチレンと呼ばれる低密度ポリエチレン
(以下、LDPEと略すことがある)が挙げられる。
【0035】また、熱可塑性樹脂BのTmは、熱可塑性
樹脂AのTmより5℃以上低いことが必要である。熱可
塑性樹脂Bと相溶性を有するものであっても、Tmが熱
可塑性樹脂AのTmよりも高いか、あるいは低くてもそ
の差が5℃未満である樹脂を用いると、押出し時に長時
間安定した運転ができない等のペレットの成形性が悪く
なり好ましくない。ここでDSCによる最大ピーク温度
が複数あるときは、最も高い温度に相当するものをTm
とする。
【0036】これらの熱可塑性樹脂Bの中でも低密度ポ
リエチレンが最も好ましい。この低密度ポリエチレン
は、MFRが0.1〜100g/10min、Tmが上
記熱可塑性樹脂AのTmよりも5℃以上、好ましくは1
0℃以上低いものである。MFRが0.1g/10mi
n未満では、MFRが小さすぎて押出成形性が悪くな
り、ペレット成形性が劣る。MFRが100g/10m
inを越えると、ストランド状に押出成形した際、スト
ランドの表面が粘着性を帯び好ましくない。
【0037】さらに好ましい低密度ポリエチレンとして
は、沸騰n−ヘキサン不溶分が10重量%以上のもので
ある。沸騰−ヘキサン不溶分が10重量%より少ない
と、得られたマスターバッチの表面にベタツキが生じ易
くなり好ましくない。
【0038】この熱可塑性樹脂Bの配合量は、上記熱可
塑性樹脂Aおよび液状改質剤の合計量100重量部に対
して1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、さら
に好ましくは5〜30重量部である。
【0039】熱可塑性樹脂Bの配合量が1重量部よりも
少ないと配合効果が認められない。また50重量部より
も多いと、相対的に液状改質剤の含有量が少なくなるた
め、熱可塑性樹脂の成形加工時にマスターバッチの使用
量が多くなり効率が悪くなる。
【0040】本発明に用いる押出成形機の押出機は特に
限定されることなく、熱可塑性樹脂の混練および押出し
に通常用いられる単軸または多軸の押出機等が使用でき
る。
【0041】本発明に用いられる押出ダイの一例を示す
概略縦断面図を図1に示す。同図において、1は押出ダ
イ、2は押出孔、3はコーン、4は押出ヘッド、5はバ
レルチャンバー部をそれぞれ示す。なお、ここでいうバ
レルチャンバー部5とは、押出ダイ1を押出機に取り付
けるためのアダプターの役目もしており、圧縮作用が行
われるところからコンプレッションアダプターとも称さ
れる。押出機により単にストランドを押し出し、カット
するいわゆるペレタイザーには通常設置されているもの
である。
【0042】図1に示されるように、押出ダイ1の押出
孔2が環状に配置され、押出機の押出ヘッド4から押出
孔2に至るバレルチャンバー部5の溶融樹脂の誘導路内
壁が20度以下の角度αで広がり、誘導路内部に底面が
押出ダイ1とつながるコーン3が設置されて溶融樹脂を
環状の流れとする。押出ダイの先にはカッターが備えら
れ、押出孔から押出されたストランドを細断してペレッ
トとする。角度αが20度を超えると、マスターバッチ
ペレットの表面にベタツキが生じ易い。コーンの長さ1
とコーン底面の直径dの比1/dの値は好ましくは0.
7以上、さらに好ましくは1.0以上である。1/dの
値が0.7未満では、やはりマスターバッチペレットの
表面にベタツキを生じ易い。これらの原因は定かでない
が、溶融樹脂誘導路の内容積が必要以上に大きくなり、
かつ誘導路内壁とコーンで形成される環状の横断面積が
次第に縮小される結果、溶融樹脂が必要以上に圧縮され
る結果と思われる。
【0043】比較のために、従来より用いられていた押
出ダイの概略縦断面図を図2に示す。同図において、図
1と同一の符号は同様のものを示す。この図2では、コ
ーン3の長さが短く1/dの値は0.7未満であり、横
断面面積が大きく、かつ横断面面積の縮小率が大きい。
【0044】また、本発明で用いる押出機の押出ヘッド
4から押出孔2に至るバレルチャンバー部5の空隙率が
20〜45%であることが望ましい。空隙率が45%を
越えるとマスターバッチペレットの表面にベタツキを生
じ易く、20%未満では圧力損失が生じ、押出が困難と
なる。
【0045】ここでいうバレルチャンバー部5の空隙率
とは、長さはバレルチャンバー部の長さであり、円柱の
一端の直径はブレーカープレートとし、もう一端の直径
は複数の押出孔の最大離間距離とする仮想円柱体を想定
し、これに対して樹脂が占めることのできる空間の容積
割合を意味する。
【0046】このように本発明では、下記〜のいず
れかの要件を少なくとも満たすことが必要である。 押出ヘッドから押出孔に至るバレルチャンバー部の
溶融樹脂の誘導路内壁が20度以下の角度で広がり、コ
ーンの長さ1とコーン底面の直径dの比1/dの値が
0.7以上である。 押出ヘッドから押出孔に至るバレルチャンバー部の
空隙率が20〜45%である。
【0047】本発明における熱可塑性樹脂改質用マスタ
ーバッチは、上記の熱可塑性樹脂Aおよび液状改質剤、
場合により熱可塑性樹脂Bをさらに加え、上記の押出ダ
イを備えた押出成形機を用いて所定の配合割合になるよ
う均一に混練した後、押出して得られる。
【0048】すなわち、スクリュー(図示せず)から押
し出された上記配合物は、スクリュー先端のブレーカー
プレートを経て、バレルチャンバー部5に入る。なお、
ブレーカープレートには、スクリュー側に、異物除去の
ための金網(図示せず)が装着されている。バレルチャ
ンバー部5で、配合物はコーン3の作用等により圧縮さ
れ、押出ダイ1の複数の押出孔2を経て押し出される。
押出ダイ1は、配合物をストランド状に押し出すための
ものである。押出孔2は、通常は円弧状に配列されてい
る。押し出されたストランドは、適宜カッターで切断さ
れ、ペレット化される。
【0049】得られるマスターバッチの形状は特に限定
するものではないが、通常はペレット状であることが扱
い易く好ましい。混練、押出温度は、前記熱可塑性樹脂
AのDSCによる最大ピーク温度(Tm)ないし(Tm
−45)℃の温度範囲、好ましくは(Tm−5)℃ない
し(Tm−40)℃、さらに好ましくは、(Tm−10
℃)ないし(Tm−30)℃の温度範囲である。押出機
の溶融混練部および押出出口部(ダイス)における温度
が、いずれも上述した温度範囲にあることが必要であ
る。混練、押出温度が熱可塑性樹脂AのTmより高い
と、得られるペレットの表面にブリードが発生し、ベタ
ツキも多くなり好ましくない。また、混練、押出温度が
(Tm−45)℃より低いと、ペレット自身の強度が低
下してしまうか、あるいはストランド状に押出すことが
できず、ペレット化することが困難である。また、熱可
塑性樹脂A、液状改質剤および熱可塑性樹脂Bは、混練
前に予め機械的に混合しておいてもよく、また混練時に
同時にあるいはそれぞれ別々に加えてもよい。
【0050】熱可塑性樹脂Aについては、上述のように
そのDSCによるTmよりも低い温度において混練、押
出すことが肝要であるが、熱可塑性樹脂Bについては、
その軟化点(JIS K 6760ビカット法)または
軟化点よりも高い温度、あるいは軟化点より低くてもそ
の差が10℃以下の範囲の温度で混練、押出すことが必
要である。
【0051】混練、押出し後のペレット化工程は任意の
公知技術が使用できる。代表的な例としては、コールド
カット法、すなわち、上記条件で押出された樹脂を水冷
あるいは空冷等により冷却した後、ペレタイザにより切
断する方法、あるいはホットカット法等が挙げられる。
【0052】本発明の製造方法においては、従来公知の
可塑剤、充填剤、染料、顔料、滑剤、酸化防止剤等のほ
か、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石
油樹脂、テルペン樹脂、ロジンおよびその誘導体等の粘
着付与樹脂類を加えて行うことができる。これらは、予
めマスターバッチの各成分に配合しておいてもよく、ま
たマスターバッチ製造時に配合してもよい。
【0053】本発明の上記製造方法により得られる熱可
塑性樹脂改質用マスターバッチ組成物は、前述したよう
な優れた性質を有していることから、応用範囲は極めて
広い。例えば、(イ)各種包装用フィルム類(ラップフ
ィルム、ストレッチフィルム、農業用フィルム等)、
(ロ)各種シート、(ハ)被覆用材料、(ニ)遮音材
料、制振材、シール材、防水材、(ホ)履物類、(ヘ)
ホース、パッキン材等の各種の分野で使用される熱可塑
性樹脂の改質剤等への用途が挙げられる。
【0054】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらによって限定されるものではな
い。最初に、前述の気孔率、DSC、沸騰n−ヘキサン
不溶分ならびに実施例で使われる各種物性の測定方法お
よび顆粒状熱可塑性樹脂Aの製造例について説明する。
【0055】[物性の測定方法] (1)気孔率の測定方法 熱可塑性樹脂A約2gを精秤した後、100mlのビー
カーに入れ、エチルアルコール約40mlを注ぎ入れ、
樹脂Aを浸析する。これをベルジャーに入れ、20mm
の減圧下に1時間放置する。その後、予め精秤した20
0メッシュ金網で濾過し、金網に付着した余剰のエチル
アルコールを布等で金網の外側より拭き取る。この重量
を精秤し、次の式で気孔率を求める。 気孔率(容量%)=[(A1/A2)/(B1/B2+A1
/A2)]×100 但し、A1は、熱可塑性樹脂Aに含浸したエチルアルコ
ールの重量、A2は、エチルアルコールの比重、B1は、
熱可塑性樹脂Aの重量、B2は、熱可塑性樹脂Aの比重
をそれぞれ示す。
【0056】(2)示差走査熱量測定法(DSC) 熱プレス成形した厚さ100μmのフィルムを試料と
し、170℃に昇温してその温度で15min保持した
後、降温速度25℃/minで0℃まで冷却する。次
に、この状態から昇温速度10℃/minで170℃ま
で昇温して測定を行う。0℃から170℃に昇温する間
に現われたピークの最大ピークの頂点の位置をもって最
大ピーク温度(Tm)とする。
【0057】(3)沸騰n−ヘキサン不溶分の測定方法 熱プレスを用いて、厚さ200μmのシートを成形し、
そこから縦横それぞれ20mm×30mmのシートを3
枚切取り、二重管式ソックスレー抽出器を用いて、沸騰
n−ヘキサンで5時間抽出を行う。ヘキサン不溶分を取
り出し、真空乾燥(7時間、真空下、50℃)後、次式
により沸騰n−ヘキサン不溶分を算出する。 沸騰n−ヘキサン不溶分(重量%)=(抽出済シート重
量/未抽出シート重量)×100
【0058】(4)ペレットのベタツキ評価法 長さ50mm程度のストランドを2枚の透明なポリエス
テルフィルム(38μm)の間に挟み、指先で軽く押
え、ポリエステルフィルム上に残ったストランドの跡を
次の基準でベタツキの程度を判定した。 ◎;ベタツキなし(全く跡が残らない) ○;ほとんどなし(僅かに跡が残る) △;ややあり(かなり跡が残る) ×;あり(全面に跡が残る)
【0059】(5)ペレットの成形性評価法 ストランドをホットカット装置によりベレット化すると
きの安定性を下記の基準で判定した。 ◎;ストランドカットが安定してできる ○;ストランドカットが比較的安定してできる △;ストランド表面が荒く、時々切断する ×;ペレット化が困難
【0060】(6)ストランド出具合いの評価方法 ストランドの出具合いを下記の基準で判定した。 ◎;ダイの押出孔全部からむらなく均一に押出される ○;ダイの押出孔全部から比較的安定して押出される △;ときどき脈流が発生する ×;脈流が激しい
【0061】[熱可塑性樹脂Aの製造例] (1)触媒の調製 無水塩化マグネシウム10g、アルミニウムトリエトキ
シド4.2gを窒素雰囲気下でボールミルで粉砕、混合
し反応生成物を得た。この反応生成物5gおよび600
℃で焼成したSiO25gにテトラヒドロフラン100
mlを加えて、60℃で2時間反応させた後、テトラヒ
ドロフランを減圧除去した。次に、ヘキサン50mlを
加えて撹拌した後、四塩化チタンを1.1ml加えてヘ
キサン還流下で2時間反応させて固体触媒成分を得た。
【0062】(2)重合 ステンレス製オートクレーブを用い、ブロアー、流量調
節器および乾式サイクロンでループをつくり、オートク
レーブはジャケットに温水を流すことにより温度を調節
した。
【0063】80℃前後の所定温度に調節したオートク
レーブに、固体触媒成分を250mg/hr、およびト
リエチルアルミニウムを50mmol/hrの速度で供
給し、また、各々のガス(エチレンおよびブテン−1)
を供給し、さらに水素を所定圧で供給し、かつブロアー
により系内のガスを循環させて気相重合を行った。得ら
れたポリマーの形態は顆粒状で、重合温度と水素圧を調
整した結果、表1に示す2種類のエチレン・ブテン−1
共重合体の多孔質顆粒からなる共重合体1および共重合
体2が得られた。
【0064】
【表1】
【0065】*1:メルトフローレート(g/10mi
n) *2:DSCによる最大ピーク温度 [押出成形機]
【0066】神戸製鋼(株)製77mmφの2軸押出機
(KTX−77型)に、図1の概略構造の押出ダイを取
り付けた。この押出ダイには径約3mmの円形の押出孔
が環状に配置されている。コーンの低面直径dは126
mm、押出ダイと押出ヘッドの間の距離が193mm、
内壁角αは20度である。コーンは1/d比の異なる下
記3種類のコーンを用いた。
【0067】 コーンA:長さ1が160mm、1/
d比は1.27、この結果、バレルチャンバー部の空隙
率は33%。
【0068】 コーンB:長さ1が116mm、1/
d比は0.92、この結果、バレルチャンバー部の空隙
率は39%。
【0069】 コーンC:長さ1が84mm、1/d
比は0.67、この結果、バレルチャンバー部の空隙率
は53%。
【0070】実施例1 押出ダイにコーンA(1=160mm、1/d=1.2
7、バレルチャンバー部の空隙率33%)をつけた上述
の押出成形機を用いた。製造例で製造した顆粒状のエチ
レン・ブテン−1共重合体1およびポリブテン(数平均
分子量1350、商品名;日石ポリブテンHV−30
0、日本石油化学(株)製)を、それぞれ押出機に連続
的に供給した。ポリブテンの量は、共重合体/ポリブテ
ンの重量比が表2に記載した70/30、60/40お
よび50/50になるように変化させて3回の実験を行
った。混練、押出し温度110℃、押出量200kg/
hの条件で混練、押出し、ダイスの出口部分に取り付け
たホットカット装置にて押出されたストランドを連続的
に切断してペレット化した。この際のストランドの押出
状態、ペレットの成形性および1ケ月間貯蔵後のペレッ
トのベタツキを評価した。結果を表2に示したが、共重
合体/ポリブテン重量比に関係なく、順調な押出がで
き、しかも1ケ月後においてもペレット表面にベタツキ
を生じなかった。
【0071】実施例2 実施例1の押出量を70kg/hに下げて同様の操作を
繰り返した。結果を表2に示したが、この押出量におい
ても共重合体/ポリブテン配合重量比に関係なく、順調
な押出ができ、しかも1ケ月後においてもペレット表面
にベタツキを生じなかった。
【0072】実施例3 製造例で製造した共重合体2を用い、温度を115℃と
して実施例1の操作を繰り返した。結果を表2に示した
が、共重合体/ポリブテン配合重量比に関係なく、順調
な押出ができ、しかも1ケ月後においてもペレット表面
にベタツキを生じなかった。
【0073】実施例4 実施例3の押出量を100kg/hに下げて同様の操作
を繰り返した。結果を表2に示したが、この押出量にお
いても共重合体/ポリブテン配重量合比に関係なく、順
調な押出ができ、しかも1ケ月後においてもペレット表
面にベタツキを生じなかった。
【0074】実施例5 実施例1の押出ダイのコーンをコーンB(1=116m
m,1/d=0.92、バレルチャンバー部の空隙率3
9%)に変えて同じ操作を繰り返した。結果を表2に示
したが、共重合体/ポリブテン重量比が60/40(ポ
リブテン含有量40重量%)迄は順調に押出でき、成形
性、ベタツキも良好であった。しかし、共重合体/ポリ
ブテン重量比が50/50(ポリブテン含有量50重量
%)では押出ストランドにムラが発生し、1ケ月後のペ
レットにはややベタツキが生じていた。
【0075】実施例6 実施例5の押出量を100kg/hに下げて同様の操作
を繰り返した。結果を表2に示したが、ポリブテン含有
量30重量%迄は順調に押出でき、成形性、ベタツキも
良好であった。しかし、ポリブテン含有量が40重量%
になると押出ストランドにムラが発生した。また、50
重量%では実施例6の場合よりもムラは激しいものであ
った。
【0076】実施例7 実施例5の押出量を70kg/hに下げて同様な操作を
繰り返した。結果を表2に示したが、ポリブテン含有量
30重量%迄は順調に押出できたものの、40重量%で
は押出ストランドにムラが発生し、50重量%ではスト
ランドにならなかった。
【0077】実施例8 製造例で製造した共重合体2を用い、押出温度を115
℃として実施例5と同様な操作を繰り返した。結果を表
2に示したが、ポリブテン含有量40重量%迄は順調に
押出でき、成形性、ベタツキも良好であった。しかし、
ポリブテン含有量50重量%では押出ストランドにムラ
が発生し、1ケ月後のペレットにはややベタツキが生じ
ていた。
【0078】実施例9 実施例8の押出量を100kg/hに下げて同様な操作
を繰り返した。結果を表2に示したが、ポリブテン含有
量30重量%迄は順調に押出でき、成形性、ベタツキも
良好であった。しかし、ポリブテン含有量が40重量%
になると押出ストランドにムラが発生した。また、50
重量%では実施例6の場合よりもムラは激しいものであ
った。
【0079】実施例10 実施例8の押出量を70kg/hに下げて同様な操作を
繰り返した。結果を表2に示したが、ポリブテン含有量
30重量%迄は順調に押出できたが、40重量%では押
出ストランドにムラが発生し、50重量%ではストラン
ドにはならなかった。
【0080】比較例1 実施例1の押出ダイのコーンをコーンC(1=84m
m、1/d=0.67、バレルチャンバー部の空隙率5
3%)に変えて同じ操作を繰り返した。結果を表2に示
したが、ポリブテン含有量が30重量%の場合はなんと
かストランド状に押出できたものの、40重量%以上で
はストランドが得られなかった。
【0081】比較例2 比較例1の押出温度を115℃に上げ、押出量を100
kg/hに下げて同様な操作を繰り返した。結果を表2
に示したが、ポリブテン含有量が比較的低い30重量%
の場合でも、ストランド状のものが得られなかった。
【0082】比較例3 製造例で製造した共重合体2を用いて比較例1の操作を
繰り返した。結果を表2に示したが、ポリブテン含有量
が30重量%の場合はなんとかストランド状に押出でき
たものの、40重量%以上ではストランドが得られなか
った
【0083】比較例4 比較例3の押出温度を115℃に上げ、押出量を100
kg/hに下げて同様な操作を繰り返した。結果を表2
に示したが、ポリブテン含有量が30重量%の場合はな
んとかストランド状に押出できたものの、40重量%以
上ではストランドが得られなかった。
【0084】
【表2】
【0085】実施例11 押出ダイにコーンA(1=160mm、1/d=1.2
7、バレルチャンバー部の空隙率33%)をつけた上述
の押出成形機を使用し、製造例1で製造した共重合体1
に粉末状の低密度ポリエチレン(略称LDPE、MFR
5g/10min、Tm107℃、軟化点94℃、10
〜80メッシュ;商品名;日石レクスロンJ40、日本
石油化学(株)製)を添加し、実施例1と同様のポリブ
テンと共に連続的に供給した。低密度ポリエチレンの添
加量は、共重合体1とポリブテンの合計量100重量部
に対して10重量部とした。ポリブテンの量は、共重合
体/ポリブテンの重量比が表3に記載した70/30、
60/40および50/50になるように変化させて3
回の実験を行った。混練、押出し温度110℃、押出量
200kg/hの条件で混練、押出し、ダイスの出口部
分に取り付けたホットカット装置にて押出されたストラ
ンドを連続的に切断してペレット化した。この際のスト
ランドの押出状態、ペレットの成形性および1ケ月間貯
蔵後のペレットのベタツキを評価した。結果を表3に示
したが、共重合体/ポリブテン配合重量比に関係なく、
順調な押出ができ、しかも1ケ月後においてもペレット
表面にベタツキを生じなかった。
【0086】実施例12 実施例11のLDPEの添加量を20重量部に上げて同
様な操作を繰り返した。結果を表3に示したが、共重合
体/ポリブテン配合重量比に関係なく、順調な押出がで
き、しかも1ケ月後においてもペレット表面にベタツキ
を生じなかった。
【0087】実施例13 実施例11の共重合体を共重合体2に変えて同様な操作
を繰り返した。結果を表3に示したが、共重合体を変え
ても共重合体/ポリブテン配合重量比に関係なく、順調
な押出ができ、しかも1ケ月後においてもペレット表面
にベタツキを生じなかった。
【0088】実施例14 実施例11の共重合体を共重合体2に変えると共に、押
出量を100kg/hに下げて同様な操作を繰り返し
た。結果を表3に示したが、押出量を下げても共重合体
/ポリブテン配合重量比に関係なく、順調な押出がで
き、しかも1ケ月後においてもペレット表面にベタツキ
を生じなかった。
【0089】実施例15 実施例13の押出ダイのコーンをコーンBに変えると共
に、押出温度を115℃に上げて同様な操作を繰り返し
た。結果を表3に示したが、共重合体/ポリブテン重量
比が60/40迄は順調に押出でき、成形性、ベタツキ
も良好であった。しかし、共重合体/ポリブテン重量比
が50/50では押出ストランドにムラが発生し、1ケ
月後のペレットにはベタツキが生じていた。
【0090】比較例5 実施例11の押出ダイのコーンをコーンCに変えて同じ
操作を繰り返した。結果を表3に示したが、コーンをC
に変えた結果ポリブテン含有量30重量%の場合はなん
とかストランド状に押出できたものの、40重量%以上
ではストランドが得られなかった。
【0091】比較例6 比較例5の共重合体を共重合体2に変えると共に押出量
を100kg/hに下げて同様な操作を繰り返した。結
果を表3に示したが、コーンCを使用しているため、他
の条件を変えても比較例5と同様な結果しか得られなか
った。
【0092】
【表3】
【0093】*3:共重合体およびポリブテンの合計量
100重量部に対する量
【0094】
【発明の効果】以上説明したように、熱可塑性樹脂Aと
大量の液状改質剤を、特定の温度範囲と特定の押出成形
機を用いて混練、成形する本発明の熱可塑性樹脂改質用
マスターバッチの製造方法により、特定性状の樹脂に限
定することなく、(イ)液状改質剤が表面にブリードせ
ず、従って(ロ)ペレット表面のベタツキが少なく、
(ハ)ペレット同士のブロッキングが少ないためドライ
ブレンド時の均一分散性が良いマスターバッチペレット
を製造できるようになった。また、Tmが若干低い他の
熱可塑性樹脂を併用することにより、上記マスターバッ
チペレットがさらに安定して製造できるようになった。
これらの熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの製造方法
は、ポリエチレンまたはエチレン・α−オレフィン共重
合体にポリブテンを高温度で含有したマスターバッチの
製造に特に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に用いられる押出ダイの概略縦断面
図。
【図2】 従来より用いられている押出ダイの概略縦断
面図。
【符号の説明】
1:押出ダイ、2:押出孔、3:コーン、4:押出ヘッ
ド、5:バレルチャンバー部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三山 重敏 大阪府大阪市平野区加美北5丁目3番32号

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)熱可塑性樹脂Aの多孔質顆粒30
    〜95重量部および(b)該熱可塑性樹脂Aと相溶性の
    無い液状改質剤5〜70重量部の合計100重量部を、
    該熱可塑性樹脂Aの示差走査熱量測定法(DSC)によ
    る最大ピーク温度(Tm)ないし(Tm−45)℃の温
    度範囲で押出成形機により混練、押出してペレットとす
    る熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの製造方法におい
    て、 前記押出成形機の押出ダイの押出孔が環状に配置され、
    押出ヘッドから押出孔に至るバレルチャンバー部の溶融
    樹脂の誘導路内壁が20度以下の角度で広がり、該誘導
    路内部に底面が押出ダイとつながるコーンが設置され、
    コーンの長さ1とコーン底面の直径dの比1/dの値が
    0.7以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂改質用
    マスターバッチの製造方法。
  2. 【請求項2】 (a)熱可塑性樹脂Aの多孔質顆粒30
    〜95重量部および(b)該熱可塑性樹脂Aと相溶性の
    無い液状改質剤5〜70重量部の合計100重量部を、
    該熱可塑性樹脂Aの示差走査熱量測定法(DSC)によ
    る最大ピーク温度(Tm)ないし(Tm−45)℃の温
    度範囲で押出成形機により混練、押出してペレットとす
    る熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの製造方法におい
    て、 前記押出成形機の押出ダイの押出孔が環状に配置され、
    押出ヘッドから押出孔に至るバレルチャンバー部の空隙
    率が20〜45%であることを特徴とする熱可塑性樹脂
    改質用マスターバッチの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記熱可塑性樹脂Aの多孔質顆粒および
    液状改質剤の合計100重量部に、該熱可塑性樹脂Aと
    相溶性を有し、かつDSCによるTmが該熱可塑性樹脂
    AのTmより5℃以上低い熱可塑性樹脂B1〜50重量
    部をさらに加える請求項1または2に記載の熱可塑性樹
    脂改質用マスターバッチの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記熱可塑性樹脂Aが、 (I)メルトフローレート(MFR)0.01〜100
    g/10min、 (II)密度0.90〜0.96g/cm3、 (III)DSCによるTmが100℃以上、および (IV)沸騰n−ヘキサン不溶分が10重量%以上、の性
    状を有するポリエチレンまたはエチレンと炭素数3〜1
    2のα−オレフィンの共重合体である請求項1、2また
    は3に記載の記載の熱可塑性樹脂改質用マスターバッチ
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記液状改質剤が、数平均分子量300
    〜4000のポリブテンである請求項1、2または3に
    記載の熱可塑性樹脂改質用マスターバッチの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記熱可塑性樹脂Bが、低密度ポリエチ
    レンである請求項1、2または3に記載の記載の熱可塑
    性樹脂改質用マスターバッチの製造方法。
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