【発明の詳細な説明】
現場ポリエチレンブレンドの製造方法
技術分野
この発明は、少数のゲル(即ち、フィッシュアイ)を有するか又は全く有しない
フィルムに変換することのできる現場ポリエチレンブレンドの製造方法に関係す
る。
背景の情報
種々の密度のポリエチレンが製造され、優れた引っ張り強さ、高い極限伸び、
優れた衝撃強さ及び優れた耐破壊性により特性表示されるフィルムに変換されて
きた。これらの特性は、ポリエチレンが高分子量である場合、靱性と共に増大す
る。しかしながら、ポリエチレンの分子量が増大するにつれて、樹脂の加工性は
、通常、減少する。高分子量及び低分子量のポリマーのブレンドを供給すること
により、高分子量の樹脂に特徴的な特性を保持し且つ、加工性、特に押出適性(
一層低分子量の成分の特徴)を改善することができる。
これらのポリマーの混合は、米国特許第5,047,468号及び第5,14
9,738号に記載されたものに類似の段階的反応器プロセスにおいて上首尾に
達成される。簡単にいえば、このプロセスは、ポリマーの現場混合のためのもの
であり、該プロセスにおいては、高分子量エチレンコポリマーを一の反応器中で
調製し且つ低分子量エチレンコポリマーを他の反応器中で調製する。このプロセ
スは、典型的には、エチレンと一種以上のアルファ−オレフィンとの混合物を、
一繋がりの2つの気相流動床反応器中の触媒システムと、重合条件下で、連続的
に接触させることを含み、該触媒システムは:(i)支持されたマグネシウム/チ
タニウムベースの触媒前駆物質;(ii)一種以上のアルミニウム含有アクチベータ
一化合物;及び(iii)ヒドロカルビルアルミニウム助触媒を含む。
上記のように調製した現場ブレンド及びそれから製造したフィルムは、これま
で言及された有利な特徴を有することが見出されているが、これらの粒状の広い
分子量分布のポリマーの高品質フィルム応用への商業適用は、得られるゲルのレ
ベルによって、しばしば制限される。粒度分布及び流れ特性の研究は、約400
〜600ミクロンの平均粒度(APS)を有する気相樹脂が有意の組成的、分子的
及びレオロジー的な不均一性を示すということを示す。かかる粒状樹脂を例えば
慣用の配合装置を用いてシングルパスで混ぜ合わせ、その結果生成したペレット
をフィルムに加工した場合、このフィルムは、サイズにおいて約100〜500
ミクロンに及ぶ高レベルのゲルを示す。これらのゲルは、美的外観、押出適性及
び製品の物理的特性に悪影響を及ぼす。フィルム製品のゲル特性は、通常、マイ
ナス50(非常に劣悪;これらのフィルムは、大きいゲルを多数有する)からプラ
ス50(非常に優秀;これらのフィルムは、少量のゲルしか有さず又は本質的に
ゲルを有しない)に及ぶフィルム外観格付け(FAR)の主観的尺度により示され
る。前述のシングルパスフィルム製品のFARは、一般に、マイナス50より遙
かに悪い。商業的に許容されるためには、FARは、プラス20以上であるべき
である。
発明の開示
それ故、この発明の目的は、商業的に許容し得るFARを有するフィルムに押
し出すことのできる現場ブレンドの製造方法を提供することである。他の目的及
び利点は、以下に明らかとなろう。
本発明により、かかるプロセスが発見された。このプロセスは、エチレン及び
一種又は二種のアルファ−オレフィンコモノマー(各々3〜8炭素原子を有する)
を、2つの一繋がりの流動床反応器の各々において、気相中で、重合条件下で、
ヒドロカルビルアルミニウム助触媒を含む遷移金属触媒システムと接触させるこ
とを含み、但し:
(a)エチレンコポリマーマトリクスと活性触媒との混合物(一繋がりの最初の
反応器において形成)を一繋がりの第二の反応器に移し;
(b)(a)において言及された活性触媒以外には、何らの更なる触媒をも第二の
反応器に導入せず;
(c)第一の反応器においては、低密度コポリマーが生成されるが、該反応器に
おいては:
(1)アルファ−オレフィンは、エチレン1モル当たり約0.04〜1.48
モルの割合で存在し;
(2)適宜、水素が、エチレン1モル当たり約0.01〜0.7モルの割合で
存在し;そして
(d)第二の反応器においては、高密度コポリマーが生成されるが、該反応器に
おいては:
(1)アルファ−オレフィンは、エチレン1モル当たり約0.005〜0.8
モルの割合で存在し;
(2)水素は、エチレン1モル当たり約0.01〜2.51モルの割合で存在
し;そして
(e)更なる助触媒を第二の反応器に、第一の反応器から移った触媒の活性のレ
ベルを第一の反応器における活性の初期のレベル位まで回復するのに十分な量で
導入し
ここに、第一の反応器で形成されたコポリマーは、約0.1〜75g/10分
の範囲内のフローインデックス及び0.865〜0.930g/立方センチメー
トルの範囲内の密度を有し、第二の反応器で形成されたコポリマーは、約0.2
〜100g/10分の範囲内のメルトインデックス及び約0.900〜0.96
5g/立方センチメートルの範囲内の密度を有し、第一の反応器のコポリマーの
第二の反応器のコポリマーに対する重量比は、約70:30〜30:70であり
、この現場ブレンドは、約5〜100g/10分の範囲内のフローインデックス
;約10〜100の範囲内のメルトフローレシオ;0.880〜0.960g/
立方センチメートルの範囲内の密度;及び約2〜20の範囲内のMw/Mn比を
有し;そして
ここに、第一の反応器におけるメルトインデックス補正密度と第二の反応器に
おけるメルトインデックス補正密度との間の差異は、0.025g/立方センチ
メートル以下である。
好適具体例の説明
フィルムを、押出により形成する。押出機は、所望のゲージを与えるであろう
ダイを用いる慣用のものである。ここで関心のあるフィルムのゲージは、約0.
3〜2.5ミルの範囲内であってよく、好ましくは約0.75〜2ミルの範囲内
であってよい。
このフィルムの形成に用いることのできる種々の押出機の例は、インフレート
フィルム押出ダイ及びエアリング及び連続引取装置で改変した一軸スクリュー型
である。典型的な一軸スクリュー型押出機は、その上流端にホッパーを及び下流
端にダイを有するものとして記載することができる。このホッパーは、スクリュ
ーを有するバレルに供給する。下流端(スクリューの末端とダイとの間)には、ス
クリーンパックとブレーカープレートが存在する。この押出機のスクリュー部分
は、3つの区画(供給区画、圧縮区画及び計量区画)と多数の加熱域(後部加熱域
〜前部加熱域)に分割されると考えられ、これらの多くの区画と域は上流から下
流へ走っている。1つより多くのバレルを有する場合は、それらのバレルは、一
繋がりに繋がれている。各バレルの長さ対直径は、約16:1〜30:1の範囲
内にある。押出は、約160〜270℃の範囲の温度で起こり得るが、好ましく
は、約180〜240℃の範囲内の温度で行う。
このブレンドを、繋がれた2段階反応器にて生成する(樹脂と活性触媒の混合
物を第一の反応器から他のコポリマーを製造する第2の反応器へ移し、その場で
第一の反応器からのコポリマーと混合する)。用語「2・・・反応器」は、2つの独
立の反応器又は1つの反応器における2つの段階を意味し得る。この第一の反応
器は低密度反応器であり、第二の反応器は高密度反応器である。反応器は、その
反応器で生成されるポリマーの相対的密度により命名される。
これらの反応器の各々において生成されるコポリマーは、エチレンと一種又は
二種のアルファ−オレフィンコモノマー(各々、3〜8炭素原子を有する、例え
ば、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン及び1
−オクテンであってよい)とのコポリマーである。用語コポリマーがターポリマ
ーを包含することは、理解されよう。これらのコモノマーが各反応器において同
じであることは、好ましいが、所望であれば、異なるコモノマーを各反応器で用
いることができる。好適なコモノマーは、1−ブテン及び1−ヘキセンである。
段階反応器システムに関して、低密度成分と高密度成分の割合は、各反応器に
おける相対的生産速度により制御される。各反応器における相対的生産速度は、
更に、これらの反応器における生産速度をモニターする(熱収支により測定する)
コンピューターアプリケーションプログラムにより制御することができ、次いで
、その生産速度、生産速度分離及び触媒生産性要求を満たすために各反応器にお
けるエチレン分圧及び触媒供給速度を操作することができる。
種々の遷移金属触媒システムを用いて、これらの反応器中で行われる重合を達
成することができる。主題の発明の現場ポリエチレンブレンドは、好ましくは、
種々の低圧プロセスにより、気相中で生成する。このブレンドは又、溶液又はス
ラリー中の液相中で、やはり低圧で、慣用技術によって生成することもできる。
低圧プロセスは、典型的には、1000psi未満の圧力で行い、高圧プロセス
は、典型的には、15,000psiより高い圧力で行う。現場ブレンドの製造
に用いることのできる典型的な遷移金属触媒システムは、マグネシウム/チタニ
ウムベースの触媒システム(それらは、米国特許第4,302,565号に記載
された触媒システムにより例示され得る);米国特許第4,508,842号;5
,332,793号;5,342,907号;及び5,410,003号に記載
されたもの等のバナジウムベースの触媒システム;米国特許第4,101,44
5号に記載されたようなクロムベースの触媒;及びメタロセンベースの触媒シス
テム(米国特許第4,937,299号;5,317,036号;及び5,52
7,752号に記載されたもの等のアルミノキサン助触媒を含む)である。これ
らの触媒システムの多くは、しばしば、チーグラー・ナッタ触媒システムとして
言及される。シリカ−アルミナ支持体上のクロム又はモリブデン酸化物を利用す
る触媒システムも又、有用である。現場ポリエチレンブレンドを調製する典型的
な方法は、米国特許第5,371,145号及び5,405,901号に記載さ
れている。この発明の現場ブレンドを調製するための好適な触媒システムは、マ
グネシウム/チタニウム触媒システム及びメタロセン触媒システムである。
マグネシウム/チタニウムベースの触媒システムは、現場プロセス例えば米国
特許第4,302,565号に記載された触媒システム(たとえ、前駆物質が好
ましくは支持されていなくても)及び他の触媒システム(前駆物質が噴霧乾燥によ
り形成されてスラリー形態で使用される)を例示するために用いられよう。かか
る触媒前駆物質には、例えば、チタニウム、マグネシウム、電子供与体及び適宜
アルミニウムハリドが含まれる。この前駆物質を、次いで、鉱油等の炭化水素媒
質中に導入してスラリー形態とする。この触媒システムは、米国特許第5,29
0,745号に記載されている。
この電子供与体は、この触媒前駆物質において用いるならば、有機ルイス塩基
であり、約0〜200℃の範囲の温度において液体であり、マグネシウム及びチ
タニウム化合物が可溶性である。この電子供与体は、脂肪族又は芳香族カルボン
酸のアルキルエステル、脂肪族ケトン、脂肪族アミン、脂肪族アルコール、アル
キル若しくはシクロアルキルエーテル又はこれらの混合物であってよい(各電子
供与体は、2〜20炭素原子を有する)。これらの電子供与体のうちで、好適な
ものは、2〜20炭素原子を有するアルキル及びシクロアルキルエーテル;3〜
20炭素原子を有するジアルキル、ジアリール及びアルキルアリールケトン;並
びに2〜20炭素原子を有するアルキル及びアリールカルボン酸のアルキル、ア
ルコキシ及びアルキルアルコキシエステルである。最も好適な電子供与体は、テ
トラヒドロフランである。適当な電子供与体の他の例は、蟻酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、エチルエーテル、ジオキサン、ジ−n−プロピルエーテル、ジ
ブチルエーテル、蟻酸エチル、酢酸メチル、アニス酸エチル、炭酸エチレン、テ
トラヒドロピラン及びプロピオン酸エチルである。
最初に過剰の電子供与体を用いてチタニウム化合物と電子供与体の反応生成物
を与えても、この反応生成物は、最終的に、チタニウム化合物1モル当たり、約
1〜20モルの好ましくは約1〜10モルの電予供与体を含む。
一般に何れかのチタニウムベースの触媒前駆物質と共に用いるアクチベーター
化合物は、式AlRaXbHc(式中、各Xは、独立に、塩素、臭素、ヨウ素又はO
R’であり;各R及びR’は、独立に、1〜14炭素原子を有する飽和脂肪族炭
化水素基であり;bは、0〜1.5であり;cは、0又は1であり;そしてa+
b+c=3である)を有し得る。好適なアクチベーターには、アルキルアルミニ
ウムモノ及びジクロリド(各アルキル基は、1〜6炭素原子を有する)及びトリア
ルキルアルミニウムが含まれる。例は、ジエチルアルミニウムクロリド及びトリ
−n−ヘキシルアルミニウムである。電子供与体1モル当たり約0.10〜10
モル(好ましくは、約0.15〜2.5モル)のアクチベーターを用いる。アクチ
ベーターのチタニウムに対するモル比は、約1:1〜10:1の範囲内であり、
好ましくは、約2:1〜5:1の範囲内である。
ヒドロカルビルアルミニウム触媒は、式R3Al又はR2AlX(式中、各Rは
、独立に、アルキル、シクロアルキル、アリール又は水素であり;少なくとも1
のRは、ヒドロカルビルであり;そして2又は3個のR基は、繋がってヘテロ環
構造を形成することができる)により表され得る。ヒドロカルビル基である各R
は、1〜20炭素原子(好ましくは、1〜10炭素原子)を有することができる。
Xは、ハロゲン(好ましくは、塩素、臭素又はヨウ素)である。ヒドロカルビルア
ルミニウム化合物の例は、次の通りである:
トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム、ジ−イソブチ
ル−アルミニウム水素化物、ジヘキシルアルミニウム水素化物、ジ−イソブチル
−ヘキシルアルミニウム、イソブチルジヘキシルアルミニウム、トリメチルアル
ミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロ
ピルアルミニウム、トリ−n−ブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム
、トリデシルアルミニウム、トリドデシルアルミニウム、トリベンジルアルミニ
ウム、トリフェニルアルミニウム、トリナフチルアルミニウム、トリトリルアル
ミニウム、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、及
びエチルアルミニウムセスキクロリド。助触媒化合物は又、アクチベーター及び
改質剤としても作用し得る。
上記のように、支持体を用いないのが好ましい。しかしながら、前駆物質を支
持するのが望ましい場合には、シリカが好適な支持体である。他の適当な支持体
は、無機酸化物例えばアルミニウムホスフェート、アルミナ、シリカ/アルミナ
混合物、有機アルミニウム化合物例えばトリエチルアルミニウムで改質されたシ
リカ、及びジエチル亜鉛で改質されたシリカである。典型的な支持体は、本質的
に重合に対して不活性な固体、微粒子、多孔性材料である。それは、平均粒度約
10〜250ミクロン(好ましくは、約30〜100ミクロン);表面積少なくと
も200m2/g(好ましくは、少なくとも約250m2/g);及び気孔径少なく
とも約100Å(好ましくは、少なくとも約200Å)を有する乾燥粉末として用
いられる。一般に、用いる支持体の量は、支持体1g当たり約0.1〜1.0ミ
リモル(好ましくは、約0.4〜0.9ミリモル)のチタニウムを与えるものであ
る。上記の触媒前駆物質のシリカ支持体中への含浸は、その前駆物質とシリカゲ
ルを電子供与体溶媒又は他の溶媒中で混合し、その後、減圧下で溶媒を除去する
ことにより達成することができる。支持体が望ましくない場合には、触媒前駆物
質を、液体形態で用いることができる。
アクチベーターは、重合の前及び/又は重合中に、前駆物質に加えることがで
きる。一の手順において、前駆物質は、重合前に、完全に活性化される。他の手
順においては、前駆物質は、重合前に、部分的に活性化され、活性化は、反応器
中で完了する。アクチベーターの代わりに改質剤を用いる場合には、それらの改
質剤を、通常、有機溶媒例えばイソペンタンに溶解させ、支持体を用いる場合に
は、チタニウム化合物又は鉗体の含浸に続いて支持体中に含浸させ、その後、支
持された触媒前駆物質を乾燥させる。さもなければ、改質剤溶液を、単独で、直
接、反応器に加える。改質剤は、化学構造及び機能において、助触媒であるアク
チベーターと類似している。変型としては、例えば、米国特許第5,106,9
26号を参照されたい。助触媒は、好ましくは、別個にストレートに又は不活性
溶媒例えばイソペンタン中の溶液として、エチレンの流れの開始と同時に重合反
応器に加える。
米国特許第5,106,926号は、下記を含むマグネシウム/チタニウムベ
ースの触媒システムの他の例を与える:
(a)式MgdTi(OR)eXf(ED)gを有する触媒前駆物質{式中、Rは、1〜
14炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素又はCOR’(R’は、1〜1
4炭素原子を有する脂肪族又は芳香族炭化水素基)であり;各OR基は、同一で
あるか又は異なり;Xは、独立に、塩素、臭素又はヨウ素であり;EDは、電子
供与体であり;dは、0.5〜56であり;eは、0.1又は2であり;fは、
2〜116であり;そしてgは、1.5d+2である};
(b)少なくとも一種の式BX3又はAlR(3-e)Xeを有する改質剤(式中、各R
は、アルキル又はアリールであり、同一であるか又は異なり、そしてXは、成分
(a)
で規定した通りである)
(これらの成分(a)及び(b)は、無機支持体中に含浸される);及び
(c)ヒドロカルビルアルミニウム助触媒。
前駆物質は、チタニウム化合物、マグネシウム化合物及び電子供与体から調製
する。これらの前駆物質の調製に有用なチタニウム化合物は、式Ti(OR)eXh
(式中、R、X及びeは、成分(a)について規定した通りであり;hは、1〜4
の整数であり;e+hは、3又は4である)を有する。チタニウム化合物の例は
、TiCl3、TiCl4、Ti(OC2H5)2Br2、Ti(OC6H5)Cl3、Ti(
OCOCH3)Cl3及びTi(OCOC6H5)Cl3である。マグネシウム化合物は
、マグネシウムハリド例えばMgCl2、MgBr2及びMgl2を包含する。無
水MgCl2は、好適な化合物である。チタニウム化合物1モル当たり約0.5
〜56モル(好ましくは、約1〜10モル)のマグネシウム化合物を用いる。
電子供与体、支持体及び助触媒は、上記のものと同じである。上記のように、
改質剤は、化学構造においてアルミニウム含有アクチベーターに類似してよい。
改質剤は、式BX3又はAIR(3-e)Xe(各Rは、独立に、1〜14炭素原予を有
するアルキルであり;各Xは、独立に、塩素、臭素又はヨウ素であり;そしてe
は、1又は2である)を有する。一種以上の改質剤を用いることができる。好適
な改質剤は、アルキルアルミニウムモノ及びジクロリド(各アルキル基は、1〜
6炭素原子を有する);三塩化ホウ素;及びトリアルキルアルミニウムを包含す
る。電子供与体1モル当たり約0.1〜10モル(好ましくは、約0.2〜2.
5モル)の改質剤を用いる。改質剤のチタニウムに対するモル比は、約1:1〜
10:1の範囲(好ましくは、約2:1〜5:1の範囲内)であってよい。
前駆物質又は活性化された前駆物質及び助触媒を含む完全な触媒システムを第
一の反応器に加える。この触媒を第一の反応器中で生成されたコポリマーと混合
し、その混合物を第二の反応器に移す。触媒に関係するかぎり、助触媒のみを外
部起源から第二の反応器に加える。
各反応器における重合は、好ましくは、気相において、連続的流動プロセスを
用いて行う。典型的な流動床反応器は、米国特許第4,482,687号に記載
されている。
比較的低密度のコポリマーは第一の反応器において調製し、比較的高密度のコ
ポリマーは第二の反応器において調製する。
最終生成物の一部分しか第一の反応器では作られないので、第一の反応器は、
一般に、第二の反応器よりも寸法が小さい。ポリマーと活性触媒の混合物を、通
常、第一の反応器から第二の反応器へ、連結装置により、窒素又は第二の反応器
のリサイクルガスを移送媒質として用いて移す。
低密度反応器においては:
フローインデックスは、約0.1〜75g/10分の範囲内(好ましくは、約
1〜30g/10分の範囲内)であってよい。このポリマーの分子量は、一般に
、約89,000〜490,000の範囲内にある。このコポリマーの密度は、
0.865〜0.930g/立方センチメートルの範囲内(好ましくは、0.8
80〜0.920g/立方センチメートルの範囲内)であってよい。このポリマ
ーのメルトフローレシオは、約10〜50(好ましくは、約12〜40)の範囲内
であってよい。
メルトインデックスは、ASTMD−1238コンディションEの下で測定す
る。それを、190℃で、2.16キログラムで測定し、10分当たりのグラム
として報告する。フローインデックスは、ASTMD−1238コンディション
Fの下で測定する。それを、190℃で、メルトインデックスの測定で用いたも
のの10倍の重量で測定し、10分当たりのグラムとして報告する。メルトフロ
ーレシオは、フローインデックスのメルトインデックスに対する比である。
高密度反応器においては:
比較的高密度のコポリマーを、この反応器において調製する。メルトインデッ
クスは約0.2〜100g/10分の範囲内(好ましくは、約0.4〜90g/
10分の範囲内)であってよい。高密度コポリマーの分子量は、一般に、約31
,000〜164,000の範囲内である。この反応器内で調製されたコポリマ
ーの密度は、0.900〜0.965g/立方センチメートルの範囲内(好まし
くは、0.910〜0.960g/立方センチメートルの範囲内)であってよい
。このコポリマーのメルトフローレシオは、約10〜40(好ましくは、約12
〜35)の範囲内であってよい。
このブレンド又は最終生成物は、第二の反応器から取り出したときに、約5〜
100g/10分の範囲内のフローインデックスを有し得る(好ましくは、約7
〜80g/10分の範囲内のフローインデックスを有する)。最終生成物の分子
量は、一般に、約150,000〜350,000の範囲内にある。このブレン
ドの密度は、0.880〜0.960g/立方センチメートルの範囲内(好まし
くは、0.900〜0.955g/立方センチメートルの範囲内)にあってよい
。このブレンドのメルトフローレシオは、約10〜100の範囲内(好ましくは
、約12〜70の範囲内)にあってよい。
低密度(第一の)反応器及び高密度(第二の)反応器における密度が関係している
かぎりにおいて、それらは、各反応器で調製されたコポリマー間のメルトインデ
ックス補正密度の差異が0.025g/立方センチメートル以下である(好まし
くは、0.022g/立方センチメートル以下である)という点で制限される。
メルトインデックス補正密度は、以下に定義する。
このブレンドは、約2対20のMw/Mn比を有し得る(好ましくは、約3対
15のMw/Mn比を有する)。Mwは、重量平均分子量であり;Mnは、数平
均分子量であり;そしてMw/Mn比は、多分散性インデックスとして言及され
得るものであり、これは、分子量分布の幅の尺度である。用語「分子量」を単独
で用いる場合には、それは、重量平均分子量を意味する。
低密度反応器で調製したコポリマーの高密度反応器で調製したコポリマーに対
する重量比は、約70:30〜30:70の範囲内であってよい。
触媒システム、エチレン、アルファ−オレフィン及び随意水素を連続的に第一
の反応器中に供給し;ポリマー/触媒混合物を第一の反応器から第二の反応器に
連続的に移し;エチレン、アルファ−オレフィン及び水素並びに助触媒を連続的
に第二の反応器中に供給する。最終生成物を、第二の反応器から連続的に取り出
す。
低密度反応器においては:
アルファ−オレフィンのエチレンに対するモル比は、約0.04:1〜1.4
8:1の範囲内(好ましくは、約0.09:1〜1.04:1の範囲内)であって
よい。水素(用いる場合)のエチレンに対するモル比は、約0.01:1〜0.7
:1の範囲内であってよく、好ましくは、約0.01:1〜0.5:1の範囲内
である。操作温度は、一般に、約60〜100℃の範囲内にある。好適な操作温
度は、所望の密度に依って変わる(即ち、一層低い密度には一層低い温度を、一
層高い密度には一層高い温度を用いる)。
高密度反応器においては:
アルファ−オレフィンのエチレンに対するモル比は、約0.005:1〜0.
8:1の範囲内であってよく、好ましくは、約0.005:1〜0.6:1の範
囲内である。水素のエチレンに対するモル比は、約0.01:1〜2.51:1
の範囲内であってよく、好ましくは、約0.01:1〜2.41:1の範囲内で
ある。操作温度は、一般に、約70〜100℃の範囲内である。上記のように、
この温度は、好ましくは、所望の密度によって変わる。
圧力は、一般に、第一の反応器と第二の反応器の両者において同じである。こ
の圧力は、約200〜450psigの範囲内であってよく、好ましくは、約2
80〜350psigの範囲内である。
典型的な流動床反応器は、下記のように記載することができる:
床は、通常、反応器中で生成されるべき同じ粒状樹脂により作られている。従
って、重合過程の間に、この床は、形成されたポリマー粒子、成長中のポリマー
粒子及び触媒粒子を含む(これらの粒子は、これらの粒子を分離して液体として
作用させるのに十分な流量又は速度で導入された重合用及び改質用ガス成分によ
り流動化されている)。流動化ガスは、最初の供給、補給及び循環(リサイクル)
ガス(即ち、コモノマー及び所望であれば改質剤及び/又は不活性キャリアーガ
ス)により作られる。
この反応システムの本質的部分は、容器、床、ガス分配プレート、入口及び出
口配管、コンプレッサー、循環ガス冷却器及び生成物吐出システムである。容器
においては、床より上には速度減少域があり、床には反応域がある。両者は、ガ
ス分配プレートより上にある。
ブレンドに導入することのできる慣用の添加剤の例は、抗酸化剤、紫外線吸収
剤、静電気防止剤、顔料、染料、核剤、充填剤、スリップ剤、防火材料、可塑剤
、加工助剤、潤滑剤、安定剤、防煙剤、粘度調節剤、架橋剤、触媒及び増強剤、
粘
着性付与剤、及び粘着防止剤である。充填剤の他に、これらの添加剤は、ポリマ
ーブレンドの各100重量部につき約0.1〜10重量部の量でブレンド中に存
在してよい。充填剤は、ブレンドの各100重量部につき最大で200重量部ま
で又はそれ以上の量で加えることができる。
この発明の現場ブレンドから製造したフィルムの利点は、高い又は低い剪断配
合条件下での、少なくともプラス30のFARである。
この明細書中で言及されている特許を、参考として本明細書中に援用する。
この発明を、下記の実施例により説明する。
実施例1及び2
実施例1は、狭い密度差と一層高いFARを示すこの発明の具体例であり、実
施例2は、一層大きい密度差と一層低いFARを示す比較例である。
好適な触媒システムは、前駆物質が噴霧乾燥により形成され、スラリー形態で
使用されるものである。かかる触媒前駆物質には、例えば、チタニウム、マグネ
シウム、アルミニウムハリド及び電子供与体が含まれる。この前駆物質を、次い
で、炭化水素媒質例えば鉱油中に導入してスラリー形態を与える。米国特許第5
,290,745号(’745)を参照されたい。この触媒組成物及びこの実施例
で用いる該触媒の製造方法は、’745の実施例1の組成物及び製造方法と同じ
であるが、但し、テトラヒドロフラン1モル当たり0.5モルでなくて0.45
モルのジエチルアルミニウムクロリドを用いる。
ポリエチレンを、下記の標準的手順を用いて生成する。
エチレンを、各反応器において、1−ヘキセンと共重合させる。トリメチルア
ルミニウム(TMA)助触媒を、重合中に、イソペンタン中の2重量パーセント溶
液(第一の反応器)及びイソペンタン中の1重量パーセント溶液(第二の反応器)と
して、各反応器に加える。第一の反応器における温度は70℃であり、第二の反
応器における温度は80℃である。各反応器中の圧力は、300ポンド/平方イ
ンチ(絶対圧)(psia)である。各重合は、平衡に達した後は、ここ又は表I及
びIIに示した条件下で連続的に行う。
上記の触媒前駆物質及び助触媒を、ポリエチレン粒子の流動床に、エチレン、
1−ヘキセン及び水素と共に連続的に供給することにより、第一の反応器におい
て重合を開始する。その結果生成した活性触媒と混合されたコポリマーを、第一
の反応器から取り出し、窒素を移送媒質として用いて第二の反応器に移す。第二
の反応器も又、ポリエチレン粒子の流動床を有している。再び、エチレン、1−
ヘキセン及び水素を第二の反応器に導入し、そこで、それらは、第一の反応器か
らのコポリマー及び触媒と接触する。追加の助触媒も又、導入する。生成物ブレ
ンドを連続的に取り出す。それを、バンバリー(商標)ミキサー中で、毎分100
回転で、90秒間、20メッシュスクリーンを用いて配合する。
実施例1についての変化し得る重合条件、樹脂特性、フィルム押出し条件及び
フィルム特性を、表Iに、比較例2については、表IIに示す。
この明細書におけるすべての分子量は、別途示さないかぎり重量平均分子量で
ある。 上記の表の注:
1.第二の反応器の樹脂特性:これらは、第二の反応器のコポリマーが独立に
生成されるという仮定に基づく理論値である。
2.これらのフィルムは、24:1の長さ対直径比;直線状低密度ポリエチレ
ンスクリュー;3インチダイ;及び70ミルのダイギャップを有する1.5イン
チオールドスターリング(商標)インフレートチューブ押出機にて押出成形する。
3.FARは次のように測定する:78インチ×12インチのフィルム切片を
、ゲル(フィッシュアイ)について、その大きさと存在する数を考慮して、視覚的
に分析する。これを、マイナス50からプラス50までの10ユニットインクリ
メントで評価する内標準と比較する。次いで、実際のフィルム切片に最も近い標
準を、そのフィルムに与えられた評価とする。
4.密度は、ASTMD−1928、手順Cに従ってプラックを生成し、次い
で、ASTMD−1505により試験することにより測定する。
5.メルトフローレシオは、フローインデックスのメルトインデックスに対す
る比である。
6.分子量及び分子量分布(多分散性)は、ウォーターズ(商標)150CGPC
装置を用い、140℃で、1,2,4−トリクロロベンゼンを溶媒として用いる
1ミリリットル/分の流量でのサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により測
定する。このカラムセットの気孔径範囲は、200〜10,000,000ダル
トンをカバーする分子量分離を与える。National Institute of Standards Tech
nologyのポリエチレン標準NBS1475を広域標準校正物質として用いて分子
量分布を得る。
7.ダイ速度を、ダイ円周のポンド/時/インチとして規定する。
8.フロストラインの高さは、ダイの基部からの距離である(その間で、ポリ
マーは、粘性液体から固体への相転移を受ける)。
9.ブローアップ比は、泡直径のダイ直径に対する比である。
10.メルトインデックス補正密度は、次のように定義される:それは、反応
器中のポリマーに関して、コモノマー取込みの同じ重量パーセント、同じコモノ
マー及び1.0グラム/10分のメルトインデックスを有するポリマーの密度で
ある。反応器中のポリマーのメルト補正密度は、下記の方程式を用いて決定され
る:
メルトインデックス補正密度(g/cc)=密度(g/cc)−0.002×
メルトインデックス(g/10分)の自然対数。
例えば、1.0グラム/10分のフローインデックス;0.036グラム/10
分のメルトインデックス;及び0.900グラム/立方センチメートルの密度を
有するポリマーは、0.9067グラム/立方センチメートルのメルトインデッ
クス補正密度を有する。
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(72)発明者 イーラー,ジョージ エドワード
アメリカ合衆国 08889 ニュージャージ
ー,ホワイトハウス ステイション,レイ
ク ドライブ 10
(72)発明者 ティルストン,マイケル ウィリアム
アメリカ合衆国 25177 ウエスト バー
ジニア,セントオールバンズ,サウス ウ
オールナット ドライブ 2285