JP2000344520A - 薄片状チタン酸塩の製造方法 - Google Patents
薄片状チタン酸塩の製造方法Info
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Abstract
酸塩を製造する。 【解決手段】 一般式Ax My □z Ti2-(y+z) O
4 (式中、A及びMは互いに異なる価数1〜3の金属を
示し、□はTiの欠陥部位を示し、x、y、及びxは、
それぞれ0<x<1.0、0<y+z<1.0を満たす
正の数値である。)で示される薄片状チタン酸塩を製造
する方法であり、金属A、M、及びTiの酸化物または
加熱により該酸化物となる化合物を原料とし、アルカリ
金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物もしくは硫
酸塩をフラックスとして、フラックス/原料の重量比が
0.1〜2.0となるように混合した混合物を700〜
1200℃で加熱焼成することを特徴としている。
Description
充填剤、陽イオン交換体、イオン伝導体、触媒、摺動剤
等として用いることができる薄片状チタン酸塩の製造方
法に関するものである。
短小化が求められている近年の複合材料においては、耐
熱性及び機械的強度の向上を目的として、無機繊維、ウ
ィスカー、マイカ等の板状フィラー等を、樹脂充填剤、
塗料充填剤等として使用する試みが提案されている。し
かしながら、繊維状物は、その形状の特異性から異方性
の発現が大きく、例えば樹脂複合材として使用した場
合、熱収縮及び熱膨張において大きな異方性が発現され
るという問題がある。また板状物の場合、上記繊維状物
のような極端な異方性の問題は発現しないが、一般に原
料が天然鉱物であるので、含有不純物量、形状及び粒度
のばらつき等において問題があった。
は、特開平5−221795号公報において、モリブデ
ン酸アルカリ金属塩をフラックスとして用い、このフラ
ックス中で原料化合物を加熱溶融した後、徐冷すること
により板状の単結晶を析出させる製造方法が開示されて
いる。この方法によれば、徐冷することが結晶成長の必
須要件であるので、製造に長時間を要するという問題が
あった。また、該公報に記載された実施例からも明らか
なように、この製造方法により得られる板状単結晶は数
mmオーダーの比較的大きな板状物である。
は、層状チタン酸の層間にシリカなどの酸化物を柱とし
てインターカーレートした層状金属酸化物が開示されて
いるが、ここで合成されるチタン酸化合物は、該チタン
酸化合物を構成する金属元素の酸化物、炭酸塩、または
硝酸塩を共に融解することにより、固相反応で多結晶体
とし、これを粉砕することにより製造されている。従っ
て、その形状及び粒度においてばらつき等を有するもの
であった。
が少ない薄片状チタン酸塩を、簡易な製造工程で経済的
に製造することができる製造方法を提供することにあ
る。
y □z Ti2-(y+z) O4 (式中、A及びMは互いに異な
る価数1〜3の金属を示し、□はTiの欠陥部位を示
し、x、y、及びzは、それぞれ0<x<1.0、0<
y+z<1.0を満たす正の数値である。)で示される
薄片状チタン酸塩を製造する方法であり、金属A、M及
びTiの酸化物または加熱により該酸化物となる化合物
を原料とし、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハ
ロゲン化物もしくは硫酸塩をフラックスとして、フラッ
クス/原料の重量比が0.2〜1.3となるように混合
した混合物を700〜1200℃で加熱焼成することを
特徴としている。
属であり、好ましくは、K、Rb、及びCsから選ばれ
る少なくとも1種である。上記一般式におけるMは、金
属Aと異なる価数1〜3の金属であり、好ましくは、L
i、Zn、Cu、Fe、Al、Ga、Mn、及びNiか
ら選ばれる少なくとも1種である。
を示し、0<x<1.0を満足する数値である。上記一
般式におけるy及びzは、金属Mの組成比及び欠陥部位
を示す□の組成比を示し、0<y+z<1.0を満足す
る正の値である。
は、TiO6 八面体の結晶構造中のTiの一部と置換す
る。また、TiO6 八面体の結晶構造中のTiの一部が
空サイトとなり、欠陥部位となる。本発明において製造
されるチタン酸は、このように金属Mまたは□がTiの
原子位置に存在することによって、TiO6 八面体ブロ
ックの連鎖がより長くなり、広い平面の酸化物層を形成
するため、得られる結晶形体が薄片状になると考えられ
る。
薄片状チタン酸塩を製造するための原料として、金属
A、M、及びTiの酸化物または加熱により該酸化物と
なる化合物を用いる。金属A及びMの原料としては、そ
の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、その他加熱して
酸化物となる化合物が用いられる。また、これらの複合
酸化物であってもよい。Tiの原料としては、酸化チタ
ンの他、水酸化チタン、有機チタン化合物、チタン酸塩
化合物から調製されたチタン酸等のように加熱により酸
化チタンとなるものを用いることができる。
とを混合し、これを加熱焼成することにより薄片状チタ
ン酸塩を製造する。フラックスとしては、アルカリ金属
またはアルカリ土類金属のハロゲン化物もしくは硫酸塩
が用いられる。アルカリ金属及びアルカリ土類金属とし
て、具体的には、K、Na、Li、Cs、Rb、Mg、
Ba、Sr、Caが挙げられる。フラックスと原料の混
合物は700〜1200℃で加熱焼成されるので、フラ
ックスとしては、1200℃以下の融点を有するものが
用いられる。生成結晶の粒度制御及びコストの面から
は、特にKClが好ましく使用できる。
クス/原料の重量比で、0.1〜2.0である。フラッ
クス成分が多すぎると、生産効率が悪くなり経済的でな
い。また原料が多すぎる場合には、得られる薄片状結晶
の厚みが増し、形状も歪み、粒度も不揃いとなり、結晶
同士の融着凝集が生じる傾向にある。さらに好ましい配
合割合は、0.2〜1.5である。
混合できる方法であればよく、湿式及び乾式の何れの方
法も採用することができる。湿式混合方法としては、例
えば原料及びフラックスを所定の組成比で水系または有
機系溶媒中に分散した後、スプレードライ等の方法で、
原料とフラックスの混合物の状態で調製する方法が挙げ
られる。また、乾式混合方法としては、乳鉢、ボールミ
ル、ミキサー、ピンミル(自由粉砕機)などで混合する
方法が挙げられる。
200℃の範囲内の温度で加熱焼成される。焼成温度が
700℃未満であると、目的とする薄片状チタン酸塩を
生成する反応が起こらず、1200℃を超えると、フラ
ックスの蒸散が激しくなり、得られる結晶の形状が均一
でなくなる。反応終了後徐冷してもよいが、本発明の製
造方法では、このような徐冷は薄片状チタン酸塩を得る
ための必須要件ではない。より好ましい焼成温度は80
0〜1050℃の範囲内である。
詳細については明らかでないが、以下のように推測され
る。すなわち、反応生成物である結晶成分がフラックス
中に溶解し、フラックスの蒸散により生じる過飽和状態
によって結晶成分が析出し成長するものと考えられる。
従って、フラックスの蒸散速度と過飽和による結晶析出
速度のバランスが良好な温度条件において、薄片状チタ
ン酸塩を製造することができると考えられる。
を、水または酸やアルカリ水溶液に浸し、フラックス成
分を溶解させる。必要に応じて、この際に加温してもよ
い。次に、濾別により結晶を分離し、水洗し乾燥した
後、上記一般式で示される組成の薄片状チタン酸塩を得
ることができる。
得られた結晶中の金属カチオンAと、プロトンH+ また
はオキソニウムH3 O+ イオンとの交換反応が生じる場
合がある。さらに、同時に金属MがTiO6 八面体ブロ
ックの結晶構造から抽出される場合がある。このような
場合には、TiO6 八面体ブロックの連鎖においてTi
原子の欠陥部位が生じると考えられる。
造することができる。得られる薄片状チタン酸塩の一般
的な粒子形状としては、平均長径1〜100μm、平均
短径0.5〜100μm、平均厚み0.1〜10μmが
挙げられる。これらの寸法は、走査型電子顕微鏡による
観察で測定することができる。また、レーザー回折式粒
度分布計により測定される平均粒径と、走査型電子顕微
鏡により測定される平均厚みとの比(平均粒径/平均厚
み)としては5〜100の値が挙げられる。
レピドクロサイト類似構造を有するものである。
2 を、K:0.8、Li:0.27、Ti:1.73、
O:4の化学量論比(モル比)となるような配合割合で
混合して原料とし、さらに、フラックスとしてのKCl
を、重量比(フラックス/原料)が0.7となるように
配合して混合物とし、この混合物をアルミナ乳鉢にて十
分に混合した。この混合粉末を白金ルツボ中に充填し、
電気炉内において、3時間かけて室温から焼成温度であ
る1000℃まで昇温し、1000℃で6時間保持し焼
成した。次に、炉内で1時間で500℃に、さらに1時
間で300℃以下に冷却した後、電気炉から取り出し、
自然放冷した。得られた生成物を水に浸漬し、フラック
スを溶解させ、結晶を濾別分離し、水洗後に乾燥し、光
沢のある結晶粉末を得た。
り観察したところ、平均長径30μm、平均短径15μ
m、平均厚み2μmの薄片状結晶であった。化学分析の
結果、原料の仕込みモル比に相当する化学組成の化合物
であった。
ル比、フラックス及び原料との重量比、焼成温度及び時
間を、表1に示す通りとし、その他は実施例1と同様に
してチタン酸塩を得た。得られたチタン酸塩粉末の平均
長径、平均短径、平均厚み及び組成を表1に示す。
粉末のレーザー回折式粒度分布計による粒度分布チャー
トを図1〜図3に示す。実施例1〜3のメジアン径は、
それぞれ27μm、8μm、36μmであった。また、
走査型電子顕微鏡により測定した実施例1〜3の平均厚
みは、それぞれ0.5μm、0.3μm、0.7μmで
あった。
酸塩粉末のX線回折チャートである。このX線回折チャ
ートから、得られたチタン酸塩結晶がレピドクロサイト
類似構造を有することがわかる。
状チタン酸塩粉末の電子顕微鏡写真である。これらの写
真から明らかなように、本発明により得られたチタン酸
塩粉末は、粒度の揃った薄片状チタン酸塩粉末である。
スのKClを加えないこと以外は、実施例1と同様にし
て白色粉末を得た。
写真である。図8から明らかなように、得られた粉末は
薄片状ではなく、直径が10〜100μmの塊状粒子で
あった。
った数μmオーダーの薄片状チタン酸塩を簡易な製造工
程で経済的にかつ効率良く製造することができる。
度分布チャート。
度分布チャート。
度分布チャート。
線回折チャート。
査型電子顕微鏡写真。
査型電子顕微鏡写真。
査型電子顕微鏡写真。
査型電子顕微鏡写真。
属であり、好ましくは、K、Rb、及びCsから選ばれ
る少なくとも1種である。上記一般式におけるMは、金
属Aと異なる価数1〜3の金属であり、好ましくは、L
i、Mg、Zn、Cu、Fe、Al、Ga、Mn、及び
Niから選ばれる少なくとも1種である。
Claims (1)
- 【請求項1】 一般式Ax My □z Ti2-(y+z) O
4 (式中、A及びMは互いに異なる価数1〜3の金属を
示し、□はTiの欠陥部位を示し、x、y、及びzは、
それぞれ0<x<1.0、0<y+z<1.0を満たす
正の数値である。)で示される薄片状チタン酸塩を製造
する方法であって、 金属A、M、及びTiの酸化物または加熱により該酸化
物となる化合物を原料とし、アルカリ金属またはアルカ
リ土類金属のハロゲン化物もしくは硫酸塩をフラックス
として、フラックス/原料の重量比が0.1〜2.0と
なるように混合した混合物を700〜1200℃で加熱
焼成することを特徴とする薄片状チタン酸塩の製造方
法。
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