JP2000339661A - 磁気記録媒体 - Google Patents
磁気記録媒体Info
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- JP2000339661A JP2000339661A JP14965399A JP14965399A JP2000339661A JP 2000339661 A JP2000339661 A JP 2000339661A JP 14965399 A JP14965399 A JP 14965399A JP 14965399 A JP14965399 A JP 14965399A JP 2000339661 A JP2000339661 A JP 2000339661A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 優れた耐久性および走行性を有する信頼性の
高い磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 非磁性基板(1)の一方の面に強磁性金属
薄膜から成る磁性層(2)が形成され、もう一方の面に金
属薄膜から成るバックコート層(4)が形成されて成る磁
気記録媒体であって、バックコート層(4)の非磁性基板
(1)とは反対側の面に形成されている潤滑剤層(6a)中
に、潤滑剤として一般式(a): 【化1】 (式中、R1は脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニ
ル基を示し、R2はフルオロアルキル基、またはフルオ
ロエーテル基もしくはフルオロポリエーテル基を示し、
aは0または1であり、bは0から20の整数であ
る。)で示される含フッ素カルボン酸を少なくとも一種
含んでいることを特徴とする磁気記録媒体とする。
高い磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】 非磁性基板(1)の一方の面に強磁性金属
薄膜から成る磁性層(2)が形成され、もう一方の面に金
属薄膜から成るバックコート層(4)が形成されて成る磁
気記録媒体であって、バックコート層(4)の非磁性基板
(1)とは反対側の面に形成されている潤滑剤層(6a)中
に、潤滑剤として一般式(a): 【化1】 (式中、R1は脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニ
ル基を示し、R2はフルオロアルキル基、またはフルオ
ロエーテル基もしくはフルオロポリエーテル基を示し、
aは0または1であり、bは0から20の整数であ
る。)で示される含フッ素カルボン酸を少なくとも一種
含んでいることを特徴とする磁気記録媒体とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高密度磁気記録に
適した強磁性金属薄膜を磁性層とする磁気記録媒体に関
するものである。
適した強磁性金属薄膜を磁性層とする磁気記録媒体に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録分野においては、より多
くの情報を記録し得る、より小型の磁気記録媒体が要求
されている。
くの情報を記録し得る、より小型の磁気記録媒体が要求
されている。
【0003】この要求を満たす1つの方法として、強磁
性金属が蒸着されて成る金属薄膜で磁性層を構成し、磁
性層そのものを高密度記録に適したものにする方法があ
る。そのような磁気記録媒体は一般に高密度磁気記録媒
体と称されている。
性金属が蒸着されて成る金属薄膜で磁性層を構成し、磁
性層そのものを高密度記録に適したものにする方法があ
る。そのような磁気記録媒体は一般に高密度磁気記録媒
体と称されている。
【0004】また、前記要求を満たす別法として、磁気
記録媒体をより薄くし、所定寸法のパッケージに、より
多くの磁気記録媒体が収納されるようにする方法があ
る。この方法によれば、省資源および低コストといった
効果ももたらされる。
記録媒体をより薄くし、所定寸法のパッケージに、より
多くの磁気記録媒体が収納されるようにする方法があ
る。この方法によれば、省資源および低コストといった
効果ももたらされる。
【0005】磁気記録媒体を薄くする最も効果的な方法
は、磁気記録媒体の厚さの多くを占める非磁性基板の厚
さを薄くすることである。しかし、非磁性基板の厚さを
小さくすると、磁気記録媒体の剛性が小さくなり、実用
上問題が生じる場合がある。
は、磁気記録媒体の厚さの多くを占める非磁性基板の厚
さを薄くすることである。しかし、非磁性基板の厚さを
小さくすると、磁気記録媒体の剛性が小さくなり、実用
上問題が生じる場合がある。
【0006】そこで、例えば特開平7−37244号公
報、特開平7−85466号公報、特開平10−273
28号公報および特開平10−105941号公報等に
記載されているように、非磁性基板の磁性層が形成され
ている面と反対側の面に、金属の蒸着層がバックコート
層として形成され、このバックコート層によって剛性が
確保された磁気記録媒体が提案されている。
報、特開平7−85466号公報、特開平10−273
28号公報および特開平10−105941号公報等に
記載されているように、非磁性基板の磁性層が形成され
ている面と反対側の面に、金属の蒸着層がバックコート
層として形成され、このバックコート層によって剛性が
確保された磁気記録媒体が提案されている。
【0007】非磁性基板の一方の面に磁性層が、他方の
面にバックコート層が形成された高密度磁気記録媒体の
一例を、図3を参照して説明する。図3に示す高密度磁
気記録媒体は、非磁性基板(1)の上に、磁性層
(2)、保護膜層(3)および潤滑剤層(4)がこの順
に積層され、基板(1)の磁性層(2)が形成されてい
る面と反対側の面にバックコート層(4)および潤滑剤
層(5)がこの順に積層されたものである。
面にバックコート層が形成された高密度磁気記録媒体の
一例を、図3を参照して説明する。図3に示す高密度磁
気記録媒体は、非磁性基板(1)の上に、磁性層
(2)、保護膜層(3)および潤滑剤層(4)がこの順
に積層され、基板(1)の磁性層(2)が形成されてい
る面と反対側の面にバックコート層(4)および潤滑剤
層(5)がこの順に積層されたものである。
【0008】非磁性基板(1)はポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンナフタレート、ポリパラテトラア
ミド(以下、順にPET、PEN、PPTAと略する場
合がある)等の非磁性体から成る。これらの材料から成
る非磁性基板の磁性層と接する側の面には、SiO2、
ZnO等の無機物質から成る超微粒子やイミド等の有機
物質から成る超微粒子が分散・固着されている場合が多
い。また、非磁性基板(1)の厚さは一般に約2〜7μ
mである。
レート、ポリエチレンナフタレート、ポリパラテトラア
ミド(以下、順にPET、PEN、PPTAと略する場
合がある)等の非磁性体から成る。これらの材料から成
る非磁性基板の磁性層と接する側の面には、SiO2、
ZnO等の無機物質から成る超微粒子やイミド等の有機
物質から成る超微粒子が分散・固着されている場合が多
い。また、非磁性基板(1)の厚さは一般に約2〜7μ
mである。
【0009】磁性層(2)は、強磁性金属薄膜から成
る。磁性層(2)は、例えばCo−OまたはCo−Ni
−O等を主成分とする強磁性金属から成る層を単層また
は多層構造となるように、連続的に金属蒸気の入射角を
変化させる斜方蒸着法等によって形成することができ
る。また、磁性層(2)はCo−CrまたはCo−Oを
傾斜蒸着させて垂直磁化膜としてもよい。磁性層(2)
の厚さは一般に30〜300nmである。
る。磁性層(2)は、例えばCo−OまたはCo−Ni
−O等を主成分とする強磁性金属から成る層を単層また
は多層構造となるように、連続的に金属蒸気の入射角を
変化させる斜方蒸着法等によって形成することができ
る。また、磁性層(2)はCo−CrまたはCo−Oを
傾斜蒸着させて垂直磁化膜としてもよい。磁性層(2)
の厚さは一般に30〜300nmである。
【0010】保護膜層(3)は、磁性層(2)がダメー
ジを受けることを防止するために形成される。保護膜層
(3)を構成する材料は、例えばダイヤモンドライクカ
ーボンのような硬度の大きい物質である。また、保護膜
層(3)の厚さは一般に1〜50nmである。
ジを受けることを防止するために形成される。保護膜層
(3)を構成する材料は、例えばダイヤモンドライクカ
ーボンのような硬度の大きい物質である。また、保護膜
層(3)の厚さは一般に1〜50nmである。
【0011】バックコート層(4)は、適当な金属を例
えば蒸着させて形成した金属薄膜、または適当な金属を
酸素存在下で例えば蒸着させて形成した酸化金属薄膜、
あるいは炭素粒子を含むバインダーを塗布して形成した
炭素膜である。潤滑剤層(5)は、例えばフッ素系潤滑
剤等が塗布されて形成され、その厚さは一般に0.05
〜50nmである。
えば蒸着させて形成した金属薄膜、または適当な金属を
酸素存在下で例えば蒸着させて形成した酸化金属薄膜、
あるいは炭素粒子を含むバインダーを塗布して形成した
炭素膜である。潤滑剤層(5)は、例えばフッ素系潤滑
剤等が塗布されて形成され、その厚さは一般に0.05
〜50nmである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来か
ら、種々多様な磁気記録媒体が提案され、実用に供され
ている。しかし、磁気記録媒体は、これを磁気記録テー
プとして使用する場合、ビデオデッキやカッセトデッキ
等の走行系部材から大きな摩擦力を受けるため、磁気記
録媒体において金属薄膜からなるバックコート層は依然
として摩耗されやすいものである。そして、磁気記録媒
体の耐久性、走行性および耐食性等をより向上させるべ
く、バックコート層の非磁性基板とは反対側の面に形成
された潤滑剤層には、より一層の改善が望まれている。
ら、種々多様な磁気記録媒体が提案され、実用に供され
ている。しかし、磁気記録媒体は、これを磁気記録テー
プとして使用する場合、ビデオデッキやカッセトデッキ
等の走行系部材から大きな摩擦力を受けるため、磁気記
録媒体において金属薄膜からなるバックコート層は依然
として摩耗されやすいものである。そして、磁気記録媒
体の耐久性、走行性および耐食性等をより向上させるべ
く、バックコート層の非磁性基板とは反対側の面に形成
された潤滑剤層には、より一層の改善が望まれている。
【0013】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものであり、非磁性基板の一方の面に磁性層を、もう
一方の面にバックコート層を形成した高密度磁気記録媒
体を磁気記録テープとして使用する場合において、磁気
記録媒体の走行耐久性を向上させ、実用信頼性の高い高
密度磁気記録媒体を得ることを目的とする。
たものであり、非磁性基板の一方の面に磁性層を、もう
一方の面にバックコート層を形成した高密度磁気記録媒
体を磁気記録テープとして使用する場合において、磁気
記録媒体の走行耐久性を向上させ、実用信頼性の高い高
密度磁気記録媒体を得ることを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板の一方の面に強
磁性金属薄膜から成る磁性層が形成され、もう一方の面
に金属薄膜から成るバックコート層が形成されて成る磁
気記録媒体であって、バックコート層の非磁性基板とは
反対側の面に潤滑剤層が形成され、この潤滑剤層が潤滑
剤として一般式(a):
に本発明の磁気記録媒体は、非磁性基板の一方の面に強
磁性金属薄膜から成る磁性層が形成され、もう一方の面
に金属薄膜から成るバックコート層が形成されて成る磁
気記録媒体であって、バックコート層の非磁性基板とは
反対側の面に潤滑剤層が形成され、この潤滑剤層が潤滑
剤として一般式(a):
【化2】 (式中、R1は脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニ
ル基を示し、R2はフルオロアルキル基、またはフルオ
ロエーテル基もしくはフルオロポリエーテル基を示し、
aは0または1であり、bは0から20の整数であ
る。)で示される含フッ素カルボン酸を少なくとも1種
含んでいることを特徴とする。
ル基を示し、R2はフルオロアルキル基、またはフルオ
ロエーテル基もしくはフルオロポリエーテル基を示し、
aは0または1であり、bは0から20の整数であ
る。)で示される含フッ素カルボン酸を少なくとも1種
含んでいることを特徴とする。
【0015】本発明の磁気記録媒体は、金属薄膜である
バックコート層によってその剛性が確保されるととも
に、バックコート層の非磁性基板の反対側の面に形成さ
れる潤滑剤層(この潤滑剤層を「バックコート層側潤滑
剤層」と呼ぶ場合がある。)を構成する化合物の種類を
上記のように特定することで、厳しい環境下においても
優れた走行性及び耐久性を示すものとなる。
バックコート層によってその剛性が確保されるととも
に、バックコート層の非磁性基板の反対側の面に形成さ
れる潤滑剤層(この潤滑剤層を「バックコート層側潤滑
剤層」と呼ぶ場合がある。)を構成する化合物の種類を
上記のように特定することで、厳しい環境下においても
優れた走行性及び耐久性を示すものとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照しながら説明する。図1は本発明の磁気記録媒体
の一例の断面を模式的に示したものであり、図3に示す
磁気記録媒体と同様、非磁性基板(1)の上に、磁性層
(2)、保護膜層(3)および潤滑剤層(6b)がこの
順に積層され、基板(1)の磁性層(2)が形成されて
いる反対側の面にバックコート層(4)、潤滑剤層(6
a)がこの順に形成されている。
を参照しながら説明する。図1は本発明の磁気記録媒体
の一例の断面を模式的に示したものであり、図3に示す
磁気記録媒体と同様、非磁性基板(1)の上に、磁性層
(2)、保護膜層(3)および潤滑剤層(6b)がこの
順に積層され、基板(1)の磁性層(2)が形成されて
いる反対側の面にバックコート層(4)、潤滑剤層(6
a)がこの順に形成されている。
【0017】バックコート層側潤滑剤層(6a)は、潤
滑剤として上記一般式(a)で示される含フッ素カルボ
ン酸を含んで成るものである。一般式(a)で示される
含フッ素カルボン酸は、一分子内に、1)1個の含フッ
素末端基、すなわちフルオロアルキル基またはフルオロ
エーテル基もしくはフルオロポリエーテル末端基;2)
1個の脂肪族炭化水素末端基、すなわちアルキル末端基
またはアルケニル末端基;3)1個のカルボキシル基;
および4)1個のエステル結合を有する構造である。
滑剤として上記一般式(a)で示される含フッ素カルボ
ン酸を含んで成るものである。一般式(a)で示される
含フッ素カルボン酸は、一分子内に、1)1個の含フッ
素末端基、すなわちフルオロアルキル基またはフルオロ
エーテル基もしくはフルオロポリエーテル末端基;2)
1個の脂肪族炭化水素末端基、すなわちアルキル末端基
またはアルケニル末端基;3)1個のカルボキシル基;
および4)1個のエステル結合を有する構造である。
【0018】一般式(a)において、R1はアルキル基
またはアルケニル基であり、その炭素数は6〜30であ
ることが好ましく、10〜24であることがより好まし
い。炭素数が6未満である場合、または30を超える場
合には、当該化合物が呈する潤滑性能が低下することが
ある。
またはアルケニル基であり、その炭素数は6〜30であ
ることが好ましく、10〜24であることがより好まし
い。炭素数が6未満である場合、または30を超える場
合には、当該化合物が呈する潤滑性能が低下することが
ある。
【0019】一般式(a)において、R2はフルオロア
ルキル基またはフルオロエーテル基もしくはフルオロポ
リエーテル基である。R2がフルオロアルキル基である
場合、その炭素数は1〜12であることが好ましく、6
〜10であることがより好ましい。また、フルオロアル
キル基はパーフルオロアルキル基であることが好まし
い。
ルキル基またはフルオロエーテル基もしくはフルオロポ
リエーテル基である。R2がフルオロアルキル基である
場合、その炭素数は1〜12であることが好ましく、6
〜10であることがより好ましい。また、フルオロアル
キル基はパーフルオロアルキル基であることが好まし
い。
【0020】また、R2がフルオロエーテル基またはフ
ルオロポリエーテル基である場合、その分子量は約20
0〜約6000程度であることが好ましく、約300〜
約4000であることがより好ましい。分子量が200
未満である場合または6000を超える場合には、磁気
記録媒体の潤滑性及び信頼性が低下する場合がある。ま
た、フルオロエーテル基またはフルオロポリエーテル基
は、パーフルオロエーテル基またはパーフルオロポリエ
ーテル基であることが好ましい。
ルオロポリエーテル基である場合、その分子量は約20
0〜約6000程度であることが好ましく、約300〜
約4000であることがより好ましい。分子量が200
未満である場合または6000を超える場合には、磁気
記録媒体の潤滑性及び信頼性が低下する場合がある。ま
た、フルオロエーテル基またはフルオロポリエーテル基
は、パーフルオロエーテル基またはパーフルオロポリエ
ーテル基であることが好ましい。
【0021】一般式(a)において、aは0または1で
ある。bは0から20の整数であり、好ましくは0から
12が適している。
ある。bは0から20の整数であり、好ましくは0から
12が適している。
【0022】R2がフルオロポリエーテル基である場
合、R2は一般式(b)、(c)及び(d):
合、R2は一般式(b)、(c)及び(d):
【化3】 (式中、kは1以上の整数である。)
【化4】 (式中、p,qは1以上の整数である。)
【化5】 (式中、R3はフルオロアルキル基を示し、mは1から
6の整数であり、nは1から30の整数である。)のい
ずれかで示されるものであることが好ましい。
6の整数であり、nは1から30の整数である。)のい
ずれかで示されるものであることが好ましい。
【0023】一般式(b)におけるkは1以上の整数で
あり、好ましくは1〜8の整数である。一般式(c)に
おけるp及びqは1以上の整数であり、どちらも1〜3
0であることが好ましく、1〜8であることがより好ま
しい。一般式(d)におけるR3は、フルオロアルキル
基、好ましくはパーフルオロアルキル基であり、その炭
素数は1〜30、好ましくは1〜8が適している。mは
通常1〜6の整数であり、nは通常1〜30の整数であ
り、より好ましくは1〜8の整数である。
あり、好ましくは1〜8の整数である。一般式(c)に
おけるp及びqは1以上の整数であり、どちらも1〜3
0であることが好ましく、1〜8であることがより好ま
しい。一般式(d)におけるR3は、フルオロアルキル
基、好ましくはパーフルオロアルキル基であり、その炭
素数は1〜30、好ましくは1〜8が適している。mは
通常1〜6の整数であり、nは通常1〜30の整数であ
り、より好ましくは1〜8の整数である。
【0024】一般式(b)、(c)および(d)におけ
るk、pおよびqならびにmおよびnがこれらの範囲外
である場合、磁気記録媒体の潤滑性および保存信頼性が
低下することがある。
るk、pおよびqならびにmおよびnがこれらの範囲外
である場合、磁気記録媒体の潤滑性および保存信頼性が
低下することがある。
【0025】一般式(a)で示される含フッ素カルボン
酸は、アルキル無水コハク酸またはアルケニル無水コハ
ク酸(これらを総称して単に無水コハク酸という場合が
ある)と、一般式がR2(CH2)bOHで示されるアル
コール(式中、R2およびbは一般式(a)におけるR2
およびbに相当する。)とを適当な溶媒中で混合加熱撹
拌することにより生成できる。加熱は60〜100℃の
範囲内で実施することが好ましい。より好ましい加熱温
度の範囲は80〜90℃である。加熱温度が60℃未満
であると未反応物が残りやすく、100℃を超えると副
生成物が生成される傾向にある。
酸は、アルキル無水コハク酸またはアルケニル無水コハ
ク酸(これらを総称して単に無水コハク酸という場合が
ある)と、一般式がR2(CH2)bOHで示されるアル
コール(式中、R2およびbは一般式(a)におけるR2
およびbに相当する。)とを適当な溶媒中で混合加熱撹
拌することにより生成できる。加熱は60〜100℃の
範囲内で実施することが好ましい。より好ましい加熱温
度の範囲は80〜90℃である。加熱温度が60℃未満
であると未反応物が残りやすく、100℃を超えると副
生成物が生成される傾向にある。
【0026】無水コハク酸とアルコールとの反応は、溶
媒の存在下で加熱撹拌することにより有利に進行する。
溶媒としては、オクタン(n−C8H18)およびヘプタ
ン(n−C7H16)を例示できる。無水コハク酸とアル
コールの混合モル比は、1:1とすることが好ましい。
反応終了後、減圧蒸留により溶媒を除去し、更に未反応
の反応物を有機溶媒で抽出して除去することにより、目
的化合物である含フッ素カルボン酸を単離することがで
きる。この化合物は、赤外分光分析(IR)、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィ(GPC)および有機質
量分析(FD−MS)により同定することが可能であ
る。
媒の存在下で加熱撹拌することにより有利に進行する。
溶媒としては、オクタン(n−C8H18)およびヘプタ
ン(n−C7H16)を例示できる。無水コハク酸とアル
コールの混合モル比は、1:1とすることが好ましい。
反応終了後、減圧蒸留により溶媒を除去し、更に未反応
の反応物を有機溶媒で抽出して除去することにより、目
的化合物である含フッ素カルボン酸を単離することがで
きる。この化合物は、赤外分光分析(IR)、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィ(GPC)および有機質
量分析(FD−MS)により同定することが可能であ
る。
【0027】本発明において使用する含フッ素カルボン
酸の合成方法は、米国特許明細書第1902885号、
特開昭61−257226号公報および特願平10−1
84790号において詳細に記載されており、これらの
公報に記載された内容は、この引用により本発明の明細
書の一部を構成する。
酸の合成方法は、米国特許明細書第1902885号、
特開昭61−257226号公報および特願平10−1
84790号において詳細に記載されており、これらの
公報に記載された内容は、この引用により本発明の明細
書の一部を構成する。
【0028】本発明の磁気記録媒体において、バックコ
ート層側潤滑剤層(6a)は、上記一般式(a)で示さ
れる含フッ素カルボン酸のみで形成してもよく、あるい
は一般式(a)で示される含フッ素カルボン酸と他の潤
滑剤、防錆剤、極圧剤等とを混合したもので形成しても
よい。混合物を用いる場合には、一般式(a)で示され
る含フッ素カルボン酸が、混合物全量に対して40重量
%以上、好ましくは60重量%以上含まれることが好ま
しい。混合割合が40重量%未満であると本発明の効果
が得られ難い。また、一般式(a)で示される含フッ素
カルボン酸の量は、潤滑剤層の表面1m2当たり0.0
5〜100mg、好ましくは0.1〜50mgの範囲が
適している。
ート層側潤滑剤層(6a)は、上記一般式(a)で示さ
れる含フッ素カルボン酸のみで形成してもよく、あるい
は一般式(a)で示される含フッ素カルボン酸と他の潤
滑剤、防錆剤、極圧剤等とを混合したもので形成しても
よい。混合物を用いる場合には、一般式(a)で示され
る含フッ素カルボン酸が、混合物全量に対して40重量
%以上、好ましくは60重量%以上含まれることが好ま
しい。混合割合が40重量%未満であると本発明の効果
が得られ難い。また、一般式(a)で示される含フッ素
カルボン酸の量は、潤滑剤層の表面1m2当たり0.0
5〜100mg、好ましくは0.1〜50mgの範囲が
適している。
【0029】また、バックコート層側潤滑剤層(6a)
の厚さは、0.05〜50nmであることが好ましい。
0.05nm未満では、保護膜層(3)にダメージを与え
るおそれがあり、50nmを超えると走行不良を生じるた
め好ましくない。
の厚さは、0.05〜50nmであることが好ましい。
0.05nm未満では、保護膜層(3)にダメージを与え
るおそれがあり、50nmを超えると走行不良を生じるた
め好ましくない。
【0030】次に、バックコート層側潤滑剤層(6a)
の形成方法について説明する。バックコート層側潤滑剤
層(6a)の形成工程は、炭化水素系溶媒とアルコール
系溶媒との混合有機溶媒に潤滑剤を溶解して調製した塗
布液をバックコート層に塗布し、混合有機溶媒を乾燥さ
せる工程を含むことを特徴とする。最終的に混合溶媒が
蒸発することにより、金属薄膜あるいは保護膜上には溶
媒に溶解した潤滑剤が残って潤滑剤層を形成する。従っ
て、塗布液を厚く塗布しても、溶媒の蒸発により保護膜
上には均一で非常に薄い潤滑剤層、すなわち少量の潤滑
剤がバックコート層の非磁性基板とは反対側の面を均一
に被覆した潤滑剤層が形成される。
の形成方法について説明する。バックコート層側潤滑剤
層(6a)の形成工程は、炭化水素系溶媒とアルコール
系溶媒との混合有機溶媒に潤滑剤を溶解して調製した塗
布液をバックコート層に塗布し、混合有機溶媒を乾燥さ
せる工程を含むことを特徴とする。最終的に混合溶媒が
蒸発することにより、金属薄膜あるいは保護膜上には溶
媒に溶解した潤滑剤が残って潤滑剤層を形成する。従っ
て、塗布液を厚く塗布しても、溶媒の蒸発により保護膜
上には均一で非常に薄い潤滑剤層、すなわち少量の潤滑
剤がバックコート層の非磁性基板とは反対側の面を均一
に被覆した潤滑剤層が形成される。
【0031】本発明で使用できる炭化水素系溶媒は、例
えば、トルエン、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナ
ン、キシレン、ケトン等であり、本発明で使用できるア
ルコール系溶媒は、例えば、メチルアルコール、エチル
アルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ールおよびブチルアルコール等の低級アルコールであ
る。アルコール系溶媒の割合が大きすぎると塗布ムラが
生じやすく、一方、炭化水素系溶媒の割合が大きすぎる
と不経済であるため、両者は、混合割合が重量比で1:
9〜9:1の範囲、好ましくは3:7〜7:3の範囲と
なるように混合して使用することが好ましい。この混合
有機溶媒を用いることにより、金属薄膜あるいは保護膜
を均一に被覆する塗布ムラのない均一な厚さの潤滑剤層
が形成され、その結果、潤滑性能に優れた実用信頼性の
高い磁気記録媒体が得られる。
えば、トルエン、ヘキサン、へプタン、オクタン、ノナ
ン、キシレン、ケトン等であり、本発明で使用できるア
ルコール系溶媒は、例えば、メチルアルコール、エチル
アルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコ
ールおよびブチルアルコール等の低級アルコールであ
る。アルコール系溶媒の割合が大きすぎると塗布ムラが
生じやすく、一方、炭化水素系溶媒の割合が大きすぎる
と不経済であるため、両者は、混合割合が重量比で1:
9〜9:1の範囲、好ましくは3:7〜7:3の範囲と
なるように混合して使用することが好ましい。この混合
有機溶媒を用いることにより、金属薄膜あるいは保護膜
を均一に被覆する塗布ムラのない均一な厚さの潤滑剤層
が形成され、その結果、潤滑性能に優れた実用信頼性の
高い磁気記録媒体が得られる。
【0032】潤滑剤層を形成する方法としては、バーコ
ーティング法、グラビアコーティング法、リバースコー
ティング法、ダイコーティング法、ディッピング法およ
びスピンコート法等の湿式塗布法または有機蒸着法があ
り、いずれの方法を採用してもよい。
ーティング法、グラビアコーティング法、リバースコー
ティング法、ダイコーティング法、ディッピング法およ
びスピンコート法等の湿式塗布法または有機蒸着法があ
り、いずれの方法を採用してもよい。
【0033】以上、本発明の磁気記録媒体のバックコー
ト層側潤滑剤層について説明したが、上記一般式(a)
で示される含フッ素化合物は、非磁性基板(1)に形成
された磁性層(2)の上に保護膜層(3)を介して形成
される潤滑剤層(6b)(この潤滑剤層を「磁性層側潤
滑剤層」と呼ぶ場合がある。)にも含まれていてよい。
その場合、一般式(a)で示される含フッ素カルボン酸
の好ましい混合割合および含有量等ついては、バックコ
ート層側潤滑剤層(6a)と同様であるから、ここでは
その詳細な説明を省略する。また、磁性層側潤滑剤層
(6b)は、バックコート層側潤滑剤(6a)と同様の
方法で形成でき、その場合、塗布液は保護膜層(3)上
に塗布される。
ト層側潤滑剤層について説明したが、上記一般式(a)
で示される含フッ素化合物は、非磁性基板(1)に形成
された磁性層(2)の上に保護膜層(3)を介して形成
される潤滑剤層(6b)(この潤滑剤層を「磁性層側潤
滑剤層」と呼ぶ場合がある。)にも含まれていてよい。
その場合、一般式(a)で示される含フッ素カルボン酸
の好ましい混合割合および含有量等ついては、バックコ
ート層側潤滑剤層(6a)と同様であるから、ここでは
その詳細な説明を省略する。また、磁性層側潤滑剤層
(6b)は、バックコート層側潤滑剤(6a)と同様の
方法で形成でき、その場合、塗布液は保護膜層(3)上
に塗布される。
【0034】本発明の磁気記録媒体の別の形態を図2に
示す。図2においては、バックコート層側潤滑剤層(6
a)が保護膜層(7)を介して形成されている。保護膜
層(7)を介して潤滑剤層(6a)を形成することによ
り、保存性および走行性に優れた磁気記録媒体を得るこ
とができる。
示す。図2においては、バックコート層側潤滑剤層(6
a)が保護膜層(7)を介して形成されている。保護膜
層(7)を介して潤滑剤層(6a)を形成することによ
り、保存性および走行性に優れた磁気記録媒体を得るこ
とができる。
【0035】保護膜層(7)は、磁性層(2)上に保護
膜層(3)を形成するに際して常套的に用いられる材料
および方法によって、バックコート層(4)の非磁性基
板(1)とは反対側の面に形成することができる。保護
膜層(7)は、例えば、スパッタリングまたはプラズマ
CVD等の方法で得られる、アモルファス状、グラファ
イト状もしくはダイヤモンド状の炭素からなるカーボン
薄膜、あるいはそれらの炭素を混合および/または積層
して形成したカーボン薄膜を用いて形成することができ
る。
膜層(3)を形成するに際して常套的に用いられる材料
および方法によって、バックコート層(4)の非磁性基
板(1)とは反対側の面に形成することができる。保護
膜層(7)は、例えば、スパッタリングまたはプラズマ
CVD等の方法で得られる、アモルファス状、グラファ
イト状もしくはダイヤモンド状の炭素からなるカーボン
薄膜、あるいはそれらの炭素を混合および/または積層
して形成したカーボン薄膜を用いて形成することができ
る。
【0036】本発明では特にダイヤモンド状の炭素、す
なわちダイヤモンドライクカーボンで保護膜層(7)を
形成することが好ましい。ダイヤモンドライクカーボン
は適度な硬度を有するため、磁気記録媒体の損傷を抑制
するとともに磁気ヘッドの損傷をも抑制することができ
ることから、最も好ましい材料である。なお、いずれの
材料を用いて薄膜を形成する場合も、保護膜層(7)の
厚さは1〜50nmであることが好ましい。
なわちダイヤモンドライクカーボンで保護膜層(7)を
形成することが好ましい。ダイヤモンドライクカーボン
は適度な硬度を有するため、磁気記録媒体の損傷を抑制
するとともに磁気ヘッドの損傷をも抑制することができ
ることから、最も好ましい材料である。なお、いずれの
材料を用いて薄膜を形成する場合も、保護膜層(7)の
厚さは1〜50nmであることが好ましい。
【0037】保護膜層(7)を介してバックコート層側
潤滑剤層(6a)を形成する場合、前述した所定の混合
溶媒に潤滑剤を溶解して調製した塗布液は、保護膜層
(7)のバックコート層(4)とは反対側の面に塗布さ
れる。
潤滑剤層(6a)を形成する場合、前述した所定の混合
溶媒に潤滑剤を溶解して調製した塗布液は、保護膜層
(7)のバックコート層(4)とは反対側の面に塗布さ
れる。
【0038】本発明においては、バックコート層側潤滑
剤層(6a)以外の構成については特に限定されない。
よって、非磁性基板(1)、磁性層(2)、保護膜層
(3)およびバックコート層(4)は常套の材料および
方法で構成することができる。
剤層(6a)以外の構成については特に限定されない。
よって、非磁性基板(1)、磁性層(2)、保護膜層
(3)およびバックコート層(4)は常套の材料および
方法で構成することができる。
【0039】本発明において使用する非磁性基板(1)
は、その一方の面にバックコート層(4)を形成するこ
とにより、厚さを薄くすることが可能となる。非磁性基
板(1)の厚さは、2〜7μmであることが好ましい。
2μm未満であると表面に磁性層(2)を形成すること
が困難となり、7μmを超えると磁気記録媒体全体に占
める非磁性基板の割合が大きくなり高密度磁気記録媒体
としては不利である。
は、その一方の面にバックコート層(4)を形成するこ
とにより、厚さを薄くすることが可能となる。非磁性基
板(1)の厚さは、2〜7μmであることが好ましい。
2μm未満であると表面に磁性層(2)を形成すること
が困難となり、7μmを超えると磁気記録媒体全体に占
める非磁性基板の割合が大きくなり高密度磁気記録媒体
としては不利である。
【0040】非磁性基板(1)は、その厚さを薄くする
ことを除いては、その材料や構造が特に限定されること
はない。例えば、非磁性基板の材料は、PET、PEN
およびPPTA等から成るグループから選択できる。
ことを除いては、その材料や構造が特に限定されること
はない。例えば、非磁性基板の材料は、PET、PEN
およびPPTA等から成るグループから選択できる。
【0041】しかし、バックコート層(4)を蒸着によ
り形成する場合には、蒸着時の加熱により非磁性基板等
の熱負荷が大きくなるため、耐熱性に劣る非磁性基板を
用いると、基板が溶融あるいは変色するおそれがある。
熱負荷を軽減するためには、蒸着時の巻き取り張力を高
くして冷却を強化すればよいが、本発明では厚さの薄い
非磁性基板を用いるため、巻き取り張力を大きくすると
非磁性基板(1)に磁性層(2)が形成されている場合
に磁性層(2)にクラックが生じるおそれがある。そこ
で、バックコート層(4)を高温雰囲気下で形成する場
合には、非磁性基板(1)をPENおよびPPTAのよ
うな耐熱性材料で構成することが望ましい。
り形成する場合には、蒸着時の加熱により非磁性基板等
の熱負荷が大きくなるため、耐熱性に劣る非磁性基板を
用いると、基板が溶融あるいは変色するおそれがある。
熱負荷を軽減するためには、蒸着時の巻き取り張力を高
くして冷却を強化すればよいが、本発明では厚さの薄い
非磁性基板を用いるため、巻き取り張力を大きくすると
非磁性基板(1)に磁性層(2)が形成されている場合
に磁性層(2)にクラックが生じるおそれがある。そこ
で、バックコート層(4)を高温雰囲気下で形成する場
合には、非磁性基板(1)をPENおよびPPTAのよ
うな耐熱性材料で構成することが望ましい。
【0042】非磁性基板(1)の磁性層(2)に接する
側の面には、磁気記録媒体の走行性を向上させるために
直径5〜50nmのSiO2、ZnO等の無機物質から成
る超微粒子またはイミド等の有機物質から成る超微粒子
が、1μm2につき3〜150個、分散・固着している
ことが望ましい。また、超微粒子は、非磁性基板(1)
のバックコート層(4)に接する側の面にも分散・固着
されていてもよい。
側の面には、磁気記録媒体の走行性を向上させるために
直径5〜50nmのSiO2、ZnO等の無機物質から成
る超微粒子またはイミド等の有機物質から成る超微粒子
が、1μm2につき3〜150個、分散・固着している
ことが望ましい。また、超微粒子は、非磁性基板(1)
のバックコート層(4)に接する側の面にも分散・固着
されていてもよい。
【0043】本発明の磁気記録媒体を構成する磁性層
(2)は、Fe、CoおよびNi等の強磁性金属、なら
びにFe系金属またはCo系金属、例えば、Fe−C
o、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Co
−Cu、Co−Au、Co−Pt、Mn−Bi、Mn−
Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−C
o−Cr、Co−Ni−CrおよびFe−Co−Ni−
Cr等の強磁性合金から選択される1または複数の材料
から成る金属薄膜である。磁性層は、単層膜の形態であ
ってもよく、あるいは多層膜の形態であっても良い。
(2)は、Fe、CoおよびNi等の強磁性金属、なら
びにFe系金属またはCo系金属、例えば、Fe−C
o、Co−Ni、Fe−Co−Ni、Fe−Cu、Co
−Cu、Co−Au、Co−Pt、Mn−Bi、Mn−
Al、Fe−Cr、Co−Cr、Ni−Cr、Fe−C
o−Cr、Co−Ni−CrおよびFe−Co−Ni−
Cr等の強磁性合金から選択される1または複数の材料
から成る金属薄膜である。磁性層は、単層膜の形態であ
ってもよく、あるいは多層膜の形態であっても良い。
【0044】磁性層の一般的な形成方法としては、酸素
雰囲気下で、CoまたはCo−Ni合金等の強磁性金属
に所定範囲の入射角で電子ビームを照射して金属を蒸発
させ、これを、キャン状回転体等の冷却回転支持体に沿
って移動する非磁性基板上に蒸着させる方法がある。そ
れ以外の方法としては、例えば、抵抗加熱法または外熱
るつぼ法等で加熱して実施する蒸着、イオンプレーティ
ングまたはスパッタリングがある。
雰囲気下で、CoまたはCo−Ni合金等の強磁性金属
に所定範囲の入射角で電子ビームを照射して金属を蒸発
させ、これを、キャン状回転体等の冷却回転支持体に沿
って移動する非磁性基板上に蒸着させる方法がある。そ
れ以外の方法としては、例えば、抵抗加熱法または外熱
るつぼ法等で加熱して実施する蒸着、イオンプレーティ
ングまたはスパッタリングがある。
【0045】本発明では、磁性層の形成(または成膜)
速度の観点から、非磁性基板(1)に、強磁性金属また
は合金を斜方から蒸着させる斜方蒸着法によって磁性層
(2)形成することが好ましい。この場合、非磁性基板
(1)の冷却回転支持体は、キャン状回転体またはベル
ト状支持体であってよいが、生産効率の点からは、蒸着
領域の広いベルト状支持体を用いることが望ましい。
速度の観点から、非磁性基板(1)に、強磁性金属また
は合金を斜方から蒸着させる斜方蒸着法によって磁性層
(2)形成することが好ましい。この場合、非磁性基板
(1)の冷却回転支持体は、キャン状回転体またはベル
ト状支持体であってよいが、生産効率の点からは、蒸着
領域の広いベルト状支持体を用いることが望ましい。
【0046】保護膜層(3)は、保護膜層(7)と同様
の材料および方法で形成することができ、ここではその
詳細な説明を省略する。また、保護膜層(3)の好まし
い厚さは、保護膜層(7)の厚さと同様、1〜50nmで
ある。
の材料および方法で形成することができ、ここではその
詳細な説明を省略する。また、保護膜層(3)の好まし
い厚さは、保護膜層(7)の厚さと同様、1〜50nmで
ある。
【0047】バックコート層(4)は、磁性層の磁性に
悪影響を及ぼさないよう、非磁性体の金属から成るもの
であることが好ましい。バックコート層(4)は、例え
ば、Ti、Cr、Mn、Fe、Al、Cu、Zn、S
n、Ni、Ag、およびCoならびにこれらの合金等か
ら成るグループから選択される1または複数の金属材料
を用いて形成することができる。なお、Fe、Niおよ
びCoは磁性体であるから、これらを使用する場合に
は、酸化させることにより非磁性体にすることが好まし
い。
悪影響を及ぼさないよう、非磁性体の金属から成るもの
であることが好ましい。バックコート層(4)は、例え
ば、Ti、Cr、Mn、Fe、Al、Cu、Zn、S
n、Ni、Ag、およびCoならびにこれらの合金等か
ら成るグループから選択される1または複数の金属材料
を用いて形成することができる。なお、Fe、Niおよ
びCoは磁性体であるから、これらを使用する場合に
は、酸化させることにより非磁性体にすることが好まし
い。
【0048】コスト、付着速度、およびバックコート層
を形成する金属が酸化された場合の酸化後の安定性を考
慮すれば、Cu、Alおよびこれらの合金が最適であ
る。特にAlまたはAl系合金は、低融点であることか
ら、蒸着でバックコート層を形成する場合には、基板等
に与えるダメージが小さくてすむことからも好都合であ
る。また、Al系合金およびその他の合金への添加物
は、Cu、Mn、Fe、Si、MgおよびZn等、一般
的に使用されているものであればいずれでもよい。
を形成する金属が酸化された場合の酸化後の安定性を考
慮すれば、Cu、Alおよびこれらの合金が最適であ
る。特にAlまたはAl系合金は、低融点であることか
ら、蒸着でバックコート層を形成する場合には、基板等
に与えるダメージが小さくてすむことからも好都合であ
る。また、Al系合金およびその他の合金への添加物
は、Cu、Mn、Fe、Si、MgおよびZn等、一般
的に使用されているものであればいずれでもよい。
【0049】バックコート層(4)は、スパッタ法、真
空蒸着法、イオンプレーティング法またはプラズマCV
D法等によって、非磁性基板(1)の磁性層(2)が位
置する面と反対側の面に形成される。いずれの方法を用
いる場合も、バックコート層は酸素雰囲気中で形成し、
酸化金属を含むように形成することが好ましい。酸化金
属を含むバックコート層(4)は、優れた耐食性を有す
る。
空蒸着法、イオンプレーティング法またはプラズマCV
D法等によって、非磁性基板(1)の磁性層(2)が位
置する面と反対側の面に形成される。いずれの方法を用
いる場合も、バックコート層は酸素雰囲気中で形成し、
酸化金属を含むように形成することが好ましい。酸化金
属を含むバックコート層(4)は、優れた耐食性を有す
る。
【0050】バックコート層(4)は、非磁性基板
(1)に磁性層(2)が形成された後に形成してもよい
が、その場合、輻射熱を小さくし、磁性層(2)を含む
非磁性基板(1)の熱負荷を抑えるために、バックコー
ト層(4)を形成する金属の融点は低いものであること
が望ましく、具体的には、先に例示したAlまたはAl
系合金の使用が好ましい。
(1)に磁性層(2)が形成された後に形成してもよい
が、その場合、輻射熱を小さくし、磁性層(2)を含む
非磁性基板(1)の熱負荷を抑えるために、バックコー
ト層(4)を形成する金属の融点は低いものであること
が望ましく、具体的には、先に例示したAlまたはAl
系合金の使用が好ましい。
【0051】本発明の磁気記録媒体においては、保護膜
層への潤滑剤の化学吸着力を向上させるために、その表
層部を含窒素プラズマ重合膜にすることが好ましい。こ
こで、「保護膜層の表層部」とは、保護層の潤滑剤層と
接する側の面を意味する。含窒素プラズマ重合膜を形成
する保護膜層は、磁性層に隣接して形成された保護膜層
およびバックコート層に隣接して形成された保護膜層の
いずれか一方であってよく、または両方であってもよ
い。
層への潤滑剤の化学吸着力を向上させるために、その表
層部を含窒素プラズマ重合膜にすることが好ましい。こ
こで、「保護膜層の表層部」とは、保護層の潤滑剤層と
接する側の面を意味する。含窒素プラズマ重合膜を形成
する保護膜層は、磁性層に隣接して形成された保護膜層
およびバックコート層に隣接して形成された保護膜層の
いずれか一方であってよく、または両方であってもよ
い。
【0052】含窒素プラズマ重合膜は、保護膜層を形成
したものを真空容器中に入れ、真空容器中にプロピルア
ミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジ
アミンまたはテトラメチレンジアミン等のアミン化合物
をガス化して導入して、保護膜層の表面をアミン化合物
のガスに曝し、容器内の圧力を0.001〜1Torrに保
った状態で、真空容器内部に高周波放電させて形成す
る。なお、炭素膜(保護層膜)の表層部に含窒素プラズ
マ重合膜を形成する方法は、米国特許第5540957
号および第5637393号に開示されており、この引
用によりこれらの特許に開示された内容は本明細書の一
部を構成する。
したものを真空容器中に入れ、真空容器中にプロピルア
ミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジ
アミンまたはテトラメチレンジアミン等のアミン化合物
をガス化して導入して、保護膜層の表面をアミン化合物
のガスに曝し、容器内の圧力を0.001〜1Torrに保
った状態で、真空容器内部に高周波放電させて形成す
る。なお、炭素膜(保護層膜)の表層部に含窒素プラズ
マ重合膜を形成する方法は、米国特許第5540957
号および第5637393号に開示されており、この引
用によりこれらの特許に開示された内容は本明細書の一
部を構成する。
【0053】含窒素プラズマ重合膜の厚さは0.3〜3
nmであることが好ましい。0.3nm以下の場合には、当
該膜が奏する効果、即ち、潤滑剤成分の化学吸着力の向
上効果を十分に得ることができず、3nm以上の場合に
は、保護膜層自体の保護膜効果が低下する。
nmであることが好ましい。0.3nm以下の場合には、当
該膜が奏する効果、即ち、潤滑剤成分の化学吸着力の向
上効果を十分に得ることができず、3nm以上の場合に
は、保護膜層自体の保護膜効果が低下する。
【0054】このように構成される本発明の磁気記録媒
体は、バックコート側潤滑剤層に特定の含フッ素カルボ
ン酸が少なくとも1種含まれることによって、優れた走
行性および耐久性を示す。
体は、バックコート側潤滑剤層に特定の含フッ素カルボ
ン酸が少なくとも1種含まれることによって、優れた走
行性および耐久性を示す。
【0055】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 (実施例1)図1に示す態様の磁気記録媒体を以下の手
順で作製した。まず、磁気記録媒体の非磁性基板(1)
として、厚さ4.8μm、幅150mm、長さ2000mm
のPENフィルムを用意した。このフィルムの片面に
は、直径20nmのSiO2製微粒子が1μm2当り100
個分散・固着していた。
る。 (実施例1)図1に示す態様の磁気記録媒体を以下の手
順で作製した。まず、磁気記録媒体の非磁性基板(1)
として、厚さ4.8μm、幅150mm、長さ2000mm
のPENフィルムを用意した。このフィルムの片面に
は、直径20nmのSiO2製微粒子が1μm2当り100
個分散・固着していた。
【0056】このPENフィルム(1)を冷却回転支持
体であるベルト状支持体上で冷却し走行させながら、C
oを用いて斜方蒸着法により厚さ200nmの強磁性金属
薄膜を、PENフィルムの微粒子が存在する側の面に磁
性層(2)として形成した。
体であるベルト状支持体上で冷却し走行させながら、C
oを用いて斜方蒸着法により厚さ200nmの強磁性金属
薄膜を、PENフィルムの微粒子が存在する側の面に磁
性層(2)として形成した。
【0057】次に、磁性層が形成された面と反対側の非
磁性基板の面に,Alを用いて蒸着法により約300nm
のバックコート層(4)を形成した。耐食性を向上させ
るため、蒸着中に酸素を非磁性基板(1)に向けて供給
し、キャン状冷却回転支持体により行った。
磁性基板の面に,Alを用いて蒸着法により約300nm
のバックコート層(4)を形成した。耐食性を向上させ
るため、蒸着中に酸素を非磁性基板(1)に向けて供給
し、キャン状冷却回転支持体により行った。
【0058】続いて、磁性層(2)の上に、ダイヤモン
ドライクカーボンから成る厚さ10nmの保護膜層(3)
をメタンをイオン化するプラズマCVD法により形成し
た。保護膜層(3)は、具体的には、真空容器中にメタ
ンガスとアルゴンガスとを4:1の比(圧力比)で混合
したガスを導入し、トータルガス圧を0.1Torrに保ち
ながら、放電管内の電極に電流を印加することにより形
成した。
ドライクカーボンから成る厚さ10nmの保護膜層(3)
をメタンをイオン化するプラズマCVD法により形成し
た。保護膜層(3)は、具体的には、真空容器中にメタ
ンガスとアルゴンガスとを4:1の比(圧力比)で混合
したガスを導入し、トータルガス圧を0.1Torrに保ち
ながら、放電管内の電極に電流を印加することにより形
成した。
【0059】次に、イソプロピルアルコールとトルエン
とを重量比1:1となるように混合した混合有機溶媒
に、化学式(a1)で示される含フッ素カルボン酸を潤
滑剤として、その濃度が2000ppmとなるように溶
解して塗布液を作った。そして、この塗布液をリバース
ロールコータを用いて湿式塗布法により、約80μmの
厚さとなるように塗布した後、乾燥させた。最終的に、
バックコート層の非磁性基板とは反対側の面には、1m
2あたり5mgの潤滑剤が含まれる厚さ5nmの潤滑剤層
(6a)が形成された。更に、バックコート層側潤滑剤
層(6a)と同様の方法で、保護膜層(3)上に磁性層
側潤滑剤層(6b)を形成した。
とを重量比1:1となるように混合した混合有機溶媒
に、化学式(a1)で示される含フッ素カルボン酸を潤
滑剤として、その濃度が2000ppmとなるように溶
解して塗布液を作った。そして、この塗布液をリバース
ロールコータを用いて湿式塗布法により、約80μmの
厚さとなるように塗布した後、乾燥させた。最終的に、
バックコート層の非磁性基板とは反対側の面には、1m
2あたり5mgの潤滑剤が含まれる厚さ5nmの潤滑剤層
(6a)が形成された。更に、バックコート層側潤滑剤
層(6a)と同様の方法で、保護膜層(3)上に磁性層
側潤滑剤層(6b)を形成した。
【化6】
【0060】以上のようにして作製した試料を8mm幅
にスリットしてテープ状の磁気記録媒体を得た。
にスリットしてテープ状の磁気記録媒体を得た。
【0061】(実施例2)バックコート層(4)に、保
護膜層(7)を介して潤滑剤層(6a)を形成させたこ
と以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製し
た。保護膜層(7)は、真空容器中にメタンガスとアル
ゴンガスとを4:1の比(圧力比)で混合したガスを導
入し、トータルガス圧を0.1Torrに保ちながら、電流
を放電管内の電極に印加することにより形成した。
護膜層(7)を介して潤滑剤層(6a)を形成させたこ
と以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製し
た。保護膜層(7)は、真空容器中にメタンガスとアル
ゴンガスとを4:1の比(圧力比)で混合したガスを導
入し、トータルガス圧を0.1Torrに保ちながら、電流
を放電管内の電極に印加することにより形成した。
【0062】(実施例3)バックコート層(4)に保護
膜層(7)を形成した後、その表層部に含窒素プラズマ
重合膜(図示せず)を形成し、含窒素プラズマ重合膜に
接するようにバックコート層側潤滑剤層(6a)を形成
したことを除いては、実施例1と同様にして磁気記録媒
体を作製した。窒素プラズマ重合膜は、真空容器中にプ
ロピルアミンガスを導入して高周波プラズマ処理を行っ
て保護膜層(7)の表層部に形成し、その厚さは2.5
nmであった。
膜層(7)を形成した後、その表層部に含窒素プラズマ
重合膜(図示せず)を形成し、含窒素プラズマ重合膜に
接するようにバックコート層側潤滑剤層(6a)を形成
したことを除いては、実施例1と同様にして磁気記録媒
体を作製した。窒素プラズマ重合膜は、真空容器中にプ
ロピルアミンガスを導入して高周波プラズマ処理を行っ
て保護膜層(7)の表層部に形成し、その厚さは2.5
nmであった。
【0063】(比較例1)バックコート層側潤滑剤層を
形成しなかったことを除いては、実施例1と同様にして
磁気記録媒体を作製した。
形成しなかったことを除いては、実施例1と同様にして
磁気記録媒体を作製した。
【0064】(比較例2)磁性層側およびバックコート
層側潤滑剤層(6b)(6a)を、それぞれ市販のパー
フルオロポリエーテル系潤滑剤であるFomblin AM2001
(Ausimont社製)を塗布して形成したことを除いては、
実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
層側潤滑剤層(6b)(6a)を、それぞれ市販のパー
フルオロポリエーテル系潤滑剤であるFomblin AM2001
(Ausimont社製)を塗布して形成したことを除いては、
実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。
【0065】(比較例3)磁性層側およびバックコート
層側潤滑剤層(6b)(6a)を、それぞれ化学式(x
1)で示されるエステル系潤滑剤を塗布して形成したこ
とを除いては、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作
製した。
層側潤滑剤層(6b)(6a)を、それぞれ化学式(x
1)で示されるエステル系潤滑剤を塗布して形成したこ
とを除いては、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作
製した。
【化7】
【0066】(比較例4)潤滑剤を溶解する有機溶媒と
して、イソプロピルアルコールおよびトルエンからなる
混合有機溶媒に代えてイソプロピルアルコールのみを用
いたこと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープを
作製した。
して、イソプロピルアルコールおよびトルエンからなる
混合有機溶媒に代えてイソプロピルアルコールのみを用
いたこと以外は、実施例1と同様の方法で磁気テープを
作製した。
【0067】以下、実施例1〜実施例3及び比較例1〜
比較例4で得られた8mm幅の磁気テープ状の試料につ
いて、下記の評価試験(a)、(b)を行った。得られ
た試験結果を表1に示す。
比較例4で得られた8mm幅の磁気テープ状の試料につ
いて、下記の評価試験(a)、(b)を行った。得られ
た試験結果を表1に示す。
【0068】(a)耐久性試験 RF(高周波)出力測定用に改造した市販8mmVTR
(ソニー(株)製、EV−S900)を用い、各8mm
幅テープ試料を5℃、80%RHの環境下で300パ
ス、300時間繰り返し再生を行った後のRF出力変化
を測定した。試験前に対する試験後の変化をデシベル表
示で示した。テープダメージは、試料を目視観察及び微
分干渉顕微鏡で状態観察し、5段階で評価した。評価基
準は次のとおりである。 5:実用上全く問題ない。 4:実用上問題ない。 3:実用可能であるが、改善が必要である。 2:テープダメージがひどく、実用性は殆どない。 1:テープダメージがあまりにもひどく、実用性が全く
ない。
(ソニー(株)製、EV−S900)を用い、各8mm
幅テープ試料を5℃、80%RHの環境下で300パ
ス、300時間繰り返し再生を行った後のRF出力変化
を測定した。試験前に対する試験後の変化をデシベル表
示で示した。テープダメージは、試料を目視観察及び微
分干渉顕微鏡で状態観察し、5段階で評価した。評価基
準は次のとおりである。 5:実用上全く問題ない。 4:実用上問題ない。 3:実用可能であるが、改善が必要である。 2:テープダメージがひどく、実用性は殆どない。 1:テープダメージがあまりにもひどく、実用性が全く
ない。
【0069】(b)走行性試験 バックコート層側表面の動摩擦係数μkを測定した。各
試料を、摩擦部材(ステンレス製(SUS420J2、
表面粗さ0.2S)、外径6mm)への巻き付け角90
°で摩擦部材に巻き付け、テンション20gfの条件で
試料を巻き出し、巻き取り側においてテンションを測定
して、巻き出し側のテンションとの比からオイラーの式
より計算して求めた。各試験の評価結果を表1に示す。
試料を、摩擦部材(ステンレス製(SUS420J2、
表面粗さ0.2S)、外径6mm)への巻き付け角90
°で摩擦部材に巻き付け、テンション20gfの条件で
試料を巻き出し、巻き取り側においてテンションを測定
して、巻き出し側のテンションとの比からオイラーの式
より計算して求めた。各試験の評価結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
【0071】表1から明らかなように、比較例1〜4と
の比較において、実施例1〜3の出力低下は小さく、且
つ動摩擦係数μkは0.25以下であり走行性も良好で
あった。
の比較において、実施例1〜3の出力低下は小さく、且
つ動摩擦係数μkは0.25以下であり走行性も良好で
あった。
【0072】バックコート層の表面に、化学式(a1)
で示される含フッ素カルボン酸を含む潤滑剤層を有する
実施例1〜3の磁気記録媒体は、バックコート層に潤滑
剤層が存在しない、あるいは従来の潤滑剤を潤滑剤層に
含む比較例1〜3の磁気記録媒体と比較して、いずれも
優れた耐久性及び走行性を示した。
で示される含フッ素カルボン酸を含む潤滑剤層を有する
実施例1〜3の磁気記録媒体は、バックコート層に潤滑
剤層が存在しない、あるいは従来の潤滑剤を潤滑剤層に
含む比較例1〜3の磁気記録媒体と比較して、いずれも
優れた耐久性及び走行性を示した。
【0073】保護膜層を介して潤滑剤層がバックコート
層に形成された実施例2および3の磁気記録媒体におい
ては、実施例1と比較して耐久試験後のテープダメージ
が大幅に改善された。更に、保護膜層の表層部に窒素プ
ラズマ重合膜を形成した実施例3においては、窒素プラ
ズマ重合膜の存在しない実施例2と比較して、出力低下
と動摩擦係数μkに関して、より良好な結果を得ること
ができた。
層に形成された実施例2および3の磁気記録媒体におい
ては、実施例1と比較して耐久試験後のテープダメージ
が大幅に改善された。更に、保護膜層の表層部に窒素プ
ラズマ重合膜を形成した実施例3においては、窒素プラ
ズマ重合膜の存在しない実施例2と比較して、出力低下
と動摩擦係数μkに関して、より良好な結果を得ること
ができた。
【0074】また、実施例1および比較例4から、炭化
水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合有機溶媒に潤滑
剤を溶解して調製した塗布液をバックコート層に塗布し
てバックコート層側潤滑剤層を形成することにより、耐
久性および走行性の点で優れた磁気テープ試料を安定し
て作製できることが判る。
水素系溶媒とアルコール系溶媒との混合有機溶媒に潤滑
剤を溶解して調製した塗布液をバックコート層に塗布し
てバックコート層側潤滑剤層を形成することにより、耐
久性および走行性の点で優れた磁気テープ試料を安定し
て作製できることが判る。
【0075】なお、実施例では化学式(a1)で示され
る化合物を潤滑剤として用いたが、これ例外の化合物、
例えば、化学式(a2)、(a3)、(a4)、(a
5)および(a6)で示される化合物を潤滑剤として用
いた磁気記録媒体、ならびに化学式(a1)〜(a6)
で示される化合物から選択される化合物と公知の潤滑剤
および/または防錆剤との混合物を潤滑剤として用いた
磁気記録媒体についても、上記実施例と同様の効果が認
められた。
る化合物を潤滑剤として用いたが、これ例外の化合物、
例えば、化学式(a2)、(a3)、(a4)、(a
5)および(a6)で示される化合物を潤滑剤として用
いた磁気記録媒体、ならびに化学式(a1)〜(a6)
で示される化合物から選択される化合物と公知の潤滑剤
および/または防錆剤との混合物を潤滑剤として用いた
磁気記録媒体についても、上記実施例と同様の効果が認
められた。
【0076】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【0077】
【発明の効果】以上のように本発明の磁気記録媒体にお
いては、非磁性基板の一方の面に強磁性金属薄膜から成
る磁性層が形成され、もう一方の面に金属薄膜から成る
バックコート層が形成されて成る磁気記録媒体であっ
て、バックコート層の非磁性基板とは反対側の面に、潤
滑剤として、一般式(a)で示される含フッ素カルボン
酸を少なくとも1種含んでいることを特徴とする。この
特徴により、本発明の磁気記録媒体は、厳しい環境下に
おいても優れた耐久性及び走行性を示す、信頼性の高い
ものとなる。
いては、非磁性基板の一方の面に強磁性金属薄膜から成
る磁性層が形成され、もう一方の面に金属薄膜から成る
バックコート層が形成されて成る磁気記録媒体であっ
て、バックコート層の非磁性基板とは反対側の面に、潤
滑剤として、一般式(a)で示される含フッ素カルボン
酸を少なくとも1種含んでいることを特徴とする。この
特徴により、本発明の磁気記録媒体は、厳しい環境下に
おいても優れた耐久性及び走行性を示す、信頼性の高い
ものとなる。
【0078】更に、バックコート層の非磁性基板とは反
対側の面に、保護膜層を介して、または保護膜層および
保護膜層の表層部に形成された含窒素プラズマ重合膜を
介して潤滑剤層を形成することにより、耐久性および走
行性がより優れた磁気記録媒体が得られる。従って、本
発明の磁気記録媒体は、例えばテープとして使用される
場合には、ビデオデッキ等の再生・録画装置の走行系部
材から加えられる大きな摩擦力に十分に耐えることがで
き、繰り返しの使用に適している。
対側の面に、保護膜層を介して、または保護膜層および
保護膜層の表層部に形成された含窒素プラズマ重合膜を
介して潤滑剤層を形成することにより、耐久性および走
行性がより優れた磁気記録媒体が得られる。従って、本
発明の磁気記録媒体は、例えばテープとして使用される
場合には、ビデオデッキ等の再生・録画装置の走行系部
材から加えられる大きな摩擦力に十分に耐えることがで
き、繰り返しの使用に適している。
【図1】 本発明の磁気記録媒体の略断面図である。
【図2】 本発明の磁気記録媒体の略断面図である。
【図3】 従来の磁気記録媒体の略断面図である。
1 非磁性基板 2 磁性層(強磁性金属薄膜) 3 保護膜層 4 バックコート層 5 潤滑剤層 6a 潤滑剤層 6b 潤滑剤層 7 保護膜層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H104 BD07A LA20 PA16 5D006 AA01 AA02 AA06 BB01 BB05 CB01 CC01 CC04 EA03 FA02 FA05
Claims (12)
- 【請求項1】 非磁性基板の一方の面に強磁性金属薄膜
から成る磁性層が形成され、もう一方の面に金属薄膜か
ら成るバックコート層が形成されて成る磁気記録媒体で
あって、バックコート層の非磁性基板とは反対側の面に
潤滑剤層が形成され、この潤滑剤層が潤滑剤として一般
式(a): 【化1】 (式中、R1は脂肪族アルキル基または脂肪族アルケニ
ル基を示し、R2はフルオロアルキル基、またはフルオ
ロエーテル基もしくはフルオロポリエーテル基を示し、
aは0または1であり、bは0から20の整数であ
る。)で示される含フッ素カルボン酸を少なくとも一種
含んでいることを特徴とする磁気記録媒体。 - 【請求項2】 潤滑剤層が、保護膜層を介してバックコ
ート層の非磁性基板とは反対側の面に形成されているこ
とを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項3】 磁性層の上に保護膜層を介して潤滑剤層
が形成され、この潤滑剤層が潤滑剤として上記一般式
(a)で示される含フッ素カルボン酸を少なくとも一種
含んでいることを特徴とする請求項1または請求項2に
記載の磁気記録媒体。 - 【請求項4】 少なくとも1つの保護膜層がダイヤモン
ドライクカーボンで形成されていることを特徴とする請
求項2または請求項3に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項5】 少なくとも1つの保護膜層の表層部が含
窒素プラズマ重合膜であり、潤滑剤層が保護膜層の含窒
素プラズマ重合膜と接するように形成されていることを
特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の磁気記
録媒体。 - 【請求項6】 バックコート層を構成する金属が、Al
またはAl系合金であることを特徴とする請求項1〜5
のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項7】 バックコート層を構成する金属が、非磁
性体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1
項に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項8】 バックコート層が蒸着法によって形成さ
れたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
か1項に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項9】 バックコート層が、酸素雰囲気中で形成
されたものであることを特徴とする請求項1〜8のいず
れか1項に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項10】 非磁性基板が、ポリエチレンナフタレ
ート又はポリパラテトラアミドであることを特徴とする
請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項11】 磁性層が、Co系金属またはFe系金
属から成る強磁性金属薄膜であることを特徴とする請求
項1〜10のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。 - 【請求項12】 磁性層が、キャン状回転体またはベル
ト状支持体上で支持された非磁性基板上に金属が斜方蒸
着されて形成されたものであることを特徴とする請求項
1〜11のいずれか1項に記載の磁気記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14965399A JP2000339661A (ja) | 1999-05-28 | 1999-05-28 | 磁気記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14965399A JP2000339661A (ja) | 1999-05-28 | 1999-05-28 | 磁気記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000339661A true JP2000339661A (ja) | 2000-12-08 |
Family
ID=15479934
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14965399A Pending JP2000339661A (ja) | 1999-05-28 | 1999-05-28 | 磁気記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000339661A (ja) |
-
1999
- 1999-05-28 JP JP14965399A patent/JP2000339661A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20050412 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |