JP2000328482A - 製紙用サイズ剤及び当該サイズ剤を用いた抄造紙 - Google Patents

製紙用サイズ剤及び当該サイズ剤を用いた抄造紙

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JP2000328482A JP14085299A JP14085299A JP2000328482A JP 2000328482 A JP2000328482 A JP 2000328482A JP 14085299 A JP14085299 A JP 14085299A JP 14085299 A JP14085299 A JP 14085299A JP 2000328482 A JP2000328482 A JP 2000328482A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硫酸バンドの存在の影響を受けず、実用度の
高い中性抄造用のロジン系サイズ剤を開発する。 【解決手段】 ロジン類に脱カルボキシル化反応を施し
た脱カルボキシル化ロジン類と、α,β−不飽和カルボ
ン酸類とを反応させてなる強化脱カルボキシル化ロジン
類を有効樹脂成分とする製紙用サイズ剤である。また、
当該強化脱カルボキシル化ロジン類と、強化ロジン類、
ロジンエステル類及び強化ロジンエステル類からなる群
より選ばれた公知のロジン系樹脂の少なくとも一種との
混合物を有効樹脂成分とする製紙用サイズ剤である。上
記強化脱カルボキシル化ロジン類を有効樹脂成分として
含有するエマルション型サイズ剤は、硫酸バンドの存在
しない中性抄造条件でも、優れたサイズ効果を発揮す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脱カルボキシル化
ロジン類を反応物とする製紙用サイズ剤、並びに当該サ
イズ剤を用いて抄造した紙に関し、特に、硫酸アルミニ
ウム(硫酸バンド)を使用しない中性抄造条件でも良好な
サイズ効果を発揮できる新規のロジン系サイズ剤を提供
する。
【0002】
【発明の背景】紙へのサイジングとしては、従来からロ
ジン系サイズ剤が汎用されているが、この方式は基本的
に硫酸バンドを定着剤とした酸性抄造サイジング法であ
る。しかし、酸性抄造サイジング方式では、紙が黄ばん
だり、保存性に問題があるうえ、安価な填料である炭酸
カルシウムが使用できなかったり、或は、紙原料に炭酸
カルシウムを含んだ古紙、損紙が混ざる場合にも問題が
発生することから、抄造条件の中性化が進んだ。そのた
め、酸性物質である硫酸バンドの使用量が制限され、ま
た、定着剤としての効果も中性領域では薄れることか
ら、従来のロジン系サイズ剤では対応が難しくなってい
る。そこで、カチオン性高分子系サイズ剤や、アルキル
ケテンダイマー(AKD)系、アルケニルコハク酸無水物
(ASA)系のような反応性サイズが中性抄造では使用さ
れるようになった。しかし、これらの反応性サイズ剤
は、分散状態での安定性が悪くて抄造機械を汚損した
り、AKDにいたってはサイジングのコントロールが難
しく、紙への滑りが生じて、操業性、製品の品質面など
に問題がある。
【0003】そのため、これらの問題点を解消し、中性
抄造条件でも使用できるサイズ剤として、各種ロジンエ
ステルを用いたロジン系中性サイズ剤が開発されてい
る。
【0004】
【従来の技術】中性抄造を目的としたロジン系サイズ剤
の従来技術を列挙すると、次の通りである。 (1)従来技術1(米国特許第3044890号公報) サイズ剤として、ロジン類をグリセロール、プロピレン
グリコール、或はペンタエリスリトールなどの多価アル
コール類でエステル化した強化ロジン分散液が開示され
ている。 (2)従来技術2(英国特許第859787号公報) サイズ剤として、強化ロジンとロジンのアミノアルコー
ルエステルとの混合物が開示されている。
【0005】(3)従来技術3(特公平2−36629号公
報) フマル酸、無水マレイン酸などのα,β−不飽和ジカル
ボン酸で強化され、トリエタノールアミン、トリイソプ
ロパノールアミンなどの第三級アミノアルコールでエス
テル化された強化ロジンエステルを含む水性分散液が、
サイズ剤として有効であることが開示されている。 (4)従来技術4(特公平6−4954号公報) ロジン類に、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸な
どのα,β−不飽和カルボン酸誘導体と、グリセリン、
トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの
多価アルコールとを反応させた強化ロジンエステルを含
む水性分散液が、サイズ剤として有効であることが開示
されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術4の強化
ロジンエステルの水性分散液は中性抄造サイジングに有
効であることが記載されているが、実際には、7以上の
pH領域ではサイズ効果の低下が大きく、中性抄造用サ
イズ剤として充分な実用度を具備していないという問題
がある(後述の試験例中の比較例4参照)。
【0007】また、上記従来技術3の強化ロジンエステ
ルでは、ロジンの部分アミノアルコールエステルをα,
β−不飽和ジカルボン酸で変性することにより、中性付
近のサイジングを良好に改善できることが述べられてい
る。ちなみに、前記従来技術2のサイズ剤は強化ロジン
とロジンのアミノアルコールエステルとの混合物であ
り、このサイズ剤においては、強化ロジンだけがサイズ
性に寄与し、ロジンのアミノアルコールエステルはサイ
ズ性に寄与していないのであるが、上記従来技術3で
は、ロジンアミノアルコールエステル中にα,β−不飽
和ジカルボン酸を導入することがサイズ効果の発現に寄
与するものと理解される。しかしながら、この従来技術
3のサイズ剤は、前記従来技術4に比べると中性付近の
サイズ性に優れる反面、実施例に示されたサイズ剤の各
種具体例では良好な乳化物を実際に得ることができず、
やはり充分なサイズ剤とは言えない。また、上記従来技
術1〜4のロジン系サイズ剤は、共に硫酸バンドを使用
することを基本前提として開発されているため、硫酸バ
ンドの使用が最小限に制限されたり、効果が落ちる中性
条件での抄造では、期待以上に性能を発揮し得ないのが
実情である。
【0008】本発明は、上記問題点を解決すべく、硫酸
バンドの存在の影響を受けず、実用度の高い中性抄造用
のロジン系サイズ剤を新規に開発することを技術的課題
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】例えば、米国特許第36
63523号公報には、脱カルボキシル化ロジンと無水
マレイン酸又はフマル酸とを反応させた生成物をグリー
ス、印刷インキなどに利用することが開示されている。
また、特公平3−39555号公報には、ジフェニルス
ルフィド、硫化ナトリウムなどの特定の脱カルボキシル
化促進剤を使用して天然ロジン、樹脂酸を脱カルボキシ
ル化して、ゴム配合に適したサーマルオイルを得ること
が開示され、特公平5−17929号公報には、天然ゴ
ム又は共役ジオレフィン系重合体ゴムに、加工助剤とし
て脱カルボキシル化ロジン酸を配合することが開示され
ている。
【0010】本発明者らは、ロジン類に脱カルボキシル
化反応を施した上記脱カルボキシル化ロジン類に着目
し、当該脱カルボキシル化ロジン類をα,β−不飽和カ
ルボン酸で強化した場合には、従来の強化ロジン類など
に比べてロジン環にカルボキシル基が存在しないことに
由来して特異な立体効果などが類推されることから、硫
酸バンドを使用しない中性抄造条件でも、優れたサイズ
効果を発現することを見い出して、本発明を完成した。
【0011】即ち、本発明1は、(A)ロジン類に脱カル
ボキシル化反応を施した脱カルボキシル化ロジン類、
(B)α,β−不飽和カルボン酸類を反応させてなる強化
脱カルボキシル化ロジン類を有効樹脂成分とする製紙用
サイズ剤である。
【0012】本発明2は、上記本発明1の強化脱カルボ
キシル化ロジン類と、ロジン類に多価アルコール類を反
応させたロジンエステル類、ロジン類にα,β−不飽和
カルボン酸類を反応させた強化ロジン類、及び、ロジン
類に多価アルコール類とα,β−不飽和カルボン酸類を
反応させた強化ロジンエステル類からなる群より選ばれ
たロジン系樹脂の少なくとも一種との混合物を有効樹脂
成分とする製紙用サイズ剤である。
【0013】本発明3は、上記本発明2において、強化
脱カルボキシル化ロジン類とロジンエステル類との混合
物を有効樹脂成分とする製紙用サイズ剤である。
【0014】本発明4は、上記本発明2において、強化
脱カルボキシル化ロジン類と強化ロジン類との混合物を
有効樹脂成分とする製紙用サイズ剤である。
【0015】本発明5は、上記本発明2において、強化
脱カルボキシル化ロジン類と強化ロジンエステル類との
混合物を有効樹脂成分とする製紙用サイズ剤である。
【0016】本発明6は、上記本発明1〜5のいずれか
の製紙用サイズ剤が、有効樹脂成分を水中に分散させた
水性エマルションから成ることを特徴とする製紙用エマ
ルション型サイズ剤である。
【0017】本発明7は、上記本発明1〜6のいずれか
の製紙用サイズ剤の存在下で、パルプスラリーを湿式抄
造して得られる紙である。
【0018】本発明8は、上記本発明6の製紙用エマル
ション型サイズ剤の存在下で、硫酸アルミニウムを含有
させないで、パルプスラリーを湿式中性抄造して得られ
る中性紙である。
【0019】
【発明の実施の形態】上記ロジン類は、トール油ロジ
ン、ガムロジン、ウッドロジンを単用又は併用できる。
上記ロジン類の脱カルボキシル化反応は、ロジン類に触
媒を用いて120〜280℃の蒸留、乾留等で製造する
方式を初め、任意の公知の方式で実施されるが、反応の
生成物中にはカルボキシル基を有するロジン環が一部に
残存しても差し支えない。上記脱カルボキシル化反応の
触媒としては、リン酸、水酸化石灰、生石灰、炭酸石
灰、塩化カルシウム、鉄粉、酸化鉄、珪素タングステン
酸、ほう酸、パラトルエンスルホン酸、塩化亜鉛、塩化
鉄、木炭などが挙げられる。また、各種の酸性白土、そ
の他のルイス酸が奏効する。例えば、米国特許第185
2244号公報には、白土触媒の存在下にロジンを加熱
することで脱カルボキシル化ロジンであるロジン油を製
造する方法が開示されている。また、仏特許第5725
3号、仏特許第980300号公報、或は米国特許第2
517690号公報には、連続的に脱カルボキシル化ロ
ジンを得る方法が開示されている。他に、特開平5-5
1487号公報、特開平5-59216号公報、特開平
6-192479号公報などにも、脱カルボキシル化ロ
ジンの事例が開示されている。
【0020】上記α,β−不飽和カルボン酸類は、α,β
−不飽和カルボン酸又はその酸無水物などであり、フマ
ル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、(無水)シトラコ
ン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。ま
た、上記脱カルボキシル化ロジン類とα,β−不飽和カ
ルボン酸類との強化反応は既知の方式により行われる。
例えば、この場合の反応温度は150〜300℃程度、
反応時間は1〜24時間程度である。α,β−不飽和カ
ルボン酸類の仕込み量は、ロジン類1モル部に対しα,
β−不飽和カルボン酸類1モル部程度以下である。
【0021】上記本発明1が強化脱カルボキシル化ロジ
ン類を単独の有効樹脂成分とするサイズ剤であるのに対
して、本発明2は、この強化脱カルボキシル化ロジン類
と、ロジンエステル類、強化ロジン類、及び強化ロジン
エステル類からなる群より選ばれた公知のロジン系樹脂
(ロジン系サイズ成分)の少なくとも一種とを併用したサ
イズ剤であり、本発明3〜5は、この本発明2に包含さ
れるサイズ剤のうち、強化脱カルボキシル化ロジン類と
公知のロジン系樹脂の一種との2成分系の混合物を有効
樹脂成分として限定したサイズ剤である。従って、本発
明2のサイズ剤には、この外に、強化脱カルボキシル化
ロジン類と強化ロジン類とロジンエステル類、強化脱カ
ルボキシル化ロジン類と強化ロジン類と強化ロジンエス
テル類、強化脱カルボキシル化ロジン類とロジンエステ
ル類と強化ロジンエステル類などの3成分系の混合物、
或は、強化脱カルボキシル化ロジン類と強化ロジン類と
ロジンエステル類と強化ロジンエステル類よりなる4成
分系の混合物を有効樹脂成分とするサイズ剤も包含され
る。上記混合割合は、強化脱カルボキシル化ロジン類の
100重量部に対して、ロジンエステル類、強化ロジン
類、或は強化ロジンエステル類は10〜100重量部が
好ましい。本発明2〜5では、強化ロジン類などの公知
のロジン系サイズ成分に本発明1の強化脱カルボキシル
化ロジン類を混合することにより、硫酸バンドの必要量
を緩和した(弱酸性領域、又はこれに近い領域での)酸性
抄造サイジングが可能になる。また、硫酸バンドの使用
を最小限に抑制し、或は全く使用しない中性抄造サイジ
ングも当然ながら可能である。この意味で、強化ロジン
類などの公知のロジン系サイズ成分の混合割合が100
部を越えると、サイズ効果は低減する。
【0022】上記ロジンエステル類は、ロジン類と多価
アルコールを公知のエステル化法により製造したものを
いう。エステル化反応の条件としては、ロジンと多価ア
ルコールの仕込み比率はロジンのカルボキシル基当量に
対してアルコールの水酸基当量比換算でCOOH/OH
=1/0.2〜1.2程度、反応温度は150〜300℃
程度、反応時間は2〜30時間程度が夫々適当である。
上記多価アルコールとしては、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメ
チレングリコール、テトラメチレングリコール、1,3
−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等の2価
アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ト
リメチロールエタン、トリエチロールエタン等の3価ア
ルコール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリト
ール等の4価アルコール、或は、トリエタノールアミ
ン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールア
ミン、N−イソブチルジエタノールアミン、N−ノルマ
ルブチルジエタノールアミン等のアミノアルコールなど
を単用又は併用できる。
【0023】上記強化ロジン類は、既知の方法によりロ
ジン類にα,β−不飽和カルボン酸類を反応させること
により得られる。使用するα,β−不飽和カルボン酸
類、仕込量、反応条件などは前記本発明1の場合と同様
である。
【0024】上記強化ロジンエステル類は、ロジン類に
多価アルコール類とα,β−不飽和カルボン酸類を順
次、又は同時に反応させることにより得られる。順次反
応させる場合は、最初にロジン類と多価アルコール、次
にα,β−不飽和カルボン酸類を反応させるか、ロジン
にα,β−不飽和カルボン酸類を反応させ、次に多価ア
ルコールを反応させる。多価アルコールとのエステル化
反応、α,β−不飽和カルボン酸類との変性反応は前記
本発明1及び3と同様な条件で行えば良い。
【0025】本発明の製紙用サイズ剤は、本発明1〜5
の各種有効樹脂成分を分散剤を用いて水中に分散させた
エマルション型サイズ剤を初め、従来の強化ロジン系サ
イズ剤のように、アルカリ金属のケン化剤などでケン化
したケン化型サイズ剤などの様々な形態を含む広義の概
念であるが、本発明6のエマルション型サイズ剤とする
のが好ましい。
【0026】サイズ剤をエマルション化する際に用いる
分散剤としては、基本的には疎水性基、非イオン性親水
基及び/又はイオン性親水基を持つ合成高分子系、或
は、一般の天然高分子系の乳化剤が使用できる。上記合
成高分子系乳化物としては、スチレンメタクリル酸系モ
ノマーの共重合体部分ケン化物又は完全ケン化物が挙げ
られ、天然高分子系乳化剤としてはカゼイン、カチオン
澱粉などが挙げられる。
【0027】上記エマルション型サイズ剤は任意の方式
で製造され、特に限定はされない。例えば、本発明1〜
5に示すサイズ剤の各種ロジン系有効樹脂成分と乳化剤
を充分に混練した後、撹拌しながら徐々に水を加えて、
油中水型エマルションを水中油型エマルションに相反転
させる転相乳化方式、或は、溶融した各種ロジン系有効
樹脂成分と乳化剤と水を予備混合し、粗い粒子の水性エ
マルションを調製した後、各種ミキサー、ホモジナイザ
ー、高圧乳化機などを用いて微細分散させる無溶剤型乳
化方式などにより製造される。また、各種ロジン系有効
樹脂成分をメチレンクロライド、トルエン、ベンゼンな
どの有機溶剤に溶解させ、乳化剤と水を予備混合して粗
い粒子の水性エマルションを調製した後に、各種乳化機
を用いて同様に微細乳化し、上記有機溶剤を除去する溶
剤型乳化方式などで製造しても差し支えない。
【0028】さらに、本発明の製紙用サイズ剤は、公知
の(製品としての)サイズ剤、例えば、ロジンエマルショ
ンサイズ剤、ロジン系中性サイズ剤などの従来のロジン
系サイズ剤、或は、アルキルケテンダイマー(AKD)系
サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物(ASA)系サイズ
剤、カチオン性高分子系サイズ剤などと併用できること
はいうまでもない。
【0029】本発明7〜8は、上記本発明1〜6の各種
製紙用サイズ剤を各種のパルプスラリーに添加し、湿式
抄造して得られる紙である。紙は、印刷・筆記・図画用
紙、包装用紙、薄葉紙、新聞巻取紙、雑種紙などの各種
品種、或は板紙などを含む広い概念である。本発明7〜
8では、強化脱カルボキシル化ロジン類をサイズ成分と
して単用し又は強化ロジン類などの公知のサイズ成分と
併用するため、pH6以上の弱酸性領域〜中性領域での
中性抄造サイジング、或は酸性抄造サイジングの両方が
可能となる。特に、本発明6のエマルション型サイズ剤
は、硫酸バンドを使用しない中性抄造サイジングに好適
であり、本発明8の中性紙を製造する場合にも、良好な
サイズ効果を発現できる。また、本発明のサイズ剤は、
製紙工程においてウエットエンドに添加される内添サイ
ズ剤を基本としているが、予め抄造された紙に浸漬、塗
布、噴霧などにより塗工される表面サイズ剤としても適
用できる。
【0030】
【作用】本発明の強化脱カルボキシル化ロジン類は、ロ
ジン環にカルボキシル基を具備しないことから、付加し
た不飽和カルボン酸とロジン環との両方にカルボキシル
基を有する従来の強化ロジン類などとは、紙の繊維に対
する立体効果が異なる。従って、この特異な立体構造に
よって、詳細はなお明らかではないが、例えば、強化脱
カルボキシル化ロジン類における不飽和カルボン酸の付
加部分が、公知のASA系サイズ剤に類するように、セ
ルロースのOH基に接近し易くなってなんらかの反応性
を示し、もって硫酸バンドの存在しない中性抄造サイジ
ングに際しても、繊維に細かく均一に定着が進行するも
のと一応推測することができる。
【0031】
【発明の効果】(1)後述の試験例に示すように、本発明
の製紙用サイズ剤は、脱カルボキシル化ロジン類を反応
物とする強化脱カルボキシル化ロジン類を有効成分とす
るために、硫酸バンドを用いる酸性抄造サイジング方式
に限定される従来の強化ロジン系サイズ剤などとは異な
り、pH6以上の弱酸性領域〜中性領域でも優れたサイ
ズ効果を発揮し、硫酸バンドを用いない中性抄造サイジ
ングが可能となる。従って、紙の黄ばみや保存性の問題
が解消できるうえ、安価な填料である炭酸カルシウムが
使用でき、また、紙原料に炭酸カルシウムを含んだ古
紙、損紙などが混ざっても円滑に抄造できる。但し、本
発明の製紙用サイズ剤は、前述したように、酸性抄造サ
イジングを排除するものではない。
【0032】(2)上記(1)に示すように、本発明では、強
化脱カルボキシル化ロジン類を有効樹脂成分として単用
する場合に限らず、この強化脱カルボキシル化ロジン類
を強化ロジン類、ロジンエステル類、或は強化ロジンエ
ステル類などの公知のロジン系サイズ成分の少なくとも
一種と併用しても、硫酸バンドの必要量を低減した酸性
抄造サイジングが可能となり、或は、硫酸バンドの使用
量を最小限に抑制し、又は全く使用しない中性抄造サイ
ジングが可能になる。これにより、従来の酸性抄造サイ
ジングの各種問題点を円滑に解消でき、又は軽減でき
る。また、本発明の脱カルボキシル化ロジン系サイズ剤
は、製品としてのロジンエマルションサイズ剤、ロジン
中性サイズ剤などのロジン系サイズ剤、或は、AKD、
ASA、高分子系サイズ剤などの中性抄造用の反応性サ
イズ剤などの公知のサイズ剤とも共用が可能である。
【0033】
【実施例】以下、脱カルボキシル化ロジン類の製造実施
例、当該脱カルボキシル化ロジン類を用いた強化脱カル
ボキシル化ロジン類などの製造実施例、エマルション型
サイズ剤の製造実施例、並びに当該サイズ剤を用いて中
性抄造した場合のサイズ試験例などを順次説明する。ま
た、以下の実施例、試験例などの「部」、「%」は特に
指定しない限り「重量部」、「重量%」を夫々示す。
尚、本発明は下記の製造例、実施例、或は試験例に拘束
されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任
意の変形をなし得ることは勿論である。
【0034】《脱カルボキシル化ロジン類の製造例》 (1)製造例1A 撹拌機、温度計を具備した3000ml四つ口フラスコ
に、トール油ロジン(酸価170)2500部を160℃
に加熱溶融する。この温度にて85%リン酸50部を仕
込む。仕込み終了後、ポンプにて40mmHgまで吸引
減圧し、6時間かけて280℃まで昇温、蒸留し、留分
を集めた。この蒸留により、酸価1で1550部の脱カ
ルボキシル化ロジンを得た。
【0035】(2)製造例1B 上記製造例1と同様の条件で、原料仕込み終了後、ポン
プにて40mmHgまで吸引減圧し、6時間かけて26
0℃まで昇温、蒸留し、留分を集めた。この蒸留によ
り、酸価1で1500部の脱カルボキシル化ロジンを得
た。
【0036】《強化脱カルボキシル化ロジン類、強化ロ
ジン類などの製造例》本製造例にあっては、上記脱カル
ボキシル化ロジンとα,β−不飽和カルボン酸を反応さ
せて強化脱カルボキシル化ロジンを合成する場合を製造
例2A〜2Bとし、公知のロジン系サイズ成分である強
化ロジン類、ロジンエステル類、強化ロジンエステル類
を合成する場合を製造例3A〜3Eとして、製造グルー
プの番号(即ち、製造例のグループ2と3)で区別した。
【0037】(1)無水マレイン酸強化脱カルボキシル化
ロジンの製造例2A 前記脱カルボキシル化ロジンの製造例1Aと同じ器具を
具備した3000ml四つ口フラスコに、上記製造例1
Aで得られた脱カルボキシル化ロジン1550部を仕込
み160℃まで昇温した。その後、無水マレイン酸29
5部を仕込み、200℃まで1時間かけて昇温し、その
温度で2時間保持した。そして、1時間かけて275℃
に昇温、2時間保持して反応させた。次いで、反応物の
精製のため、200℃まで温度を下げ、40mmHgに
減圧し、再び1時間半かけて260℃まで昇温、未反応
の無水マレイン酸、脱カルボキシル化ロジンを蒸留除去
した。得られた樹脂のケン化価は195、粘度41,0
00mPa・s(25℃)であった。
【0038】(2)無水マレイン酸強化脱カルボキシル化
ロジンの製造例2B 前記製造例1Aと同じ器具を具備した3000ml四つ
口フラスコに、前記製造例1Bで得られた脱カルボキシ
ル化ロジン1500部を仕込み160℃まで昇温した。
その後、無水マレイン酸285部を仕込み、200℃ま
で1時間かけて昇温し、その温度で2時間保持した。そ
して、1時間かけて275℃に昇温、2時間保持して反
応させた。次いで、反応物の精製のため、200℃まで
温度を下げ、40mmHgに減圧し、再び1時間半かけ
て260℃まで昇温、未反応の無水マレイン酸、脱カル
ボキシル化ロジンを蒸留除去した。得られた樹脂のケン
化価は254、粘度47,000mPa・s(70℃)で
あった。当該製造例2Bで得られた強化脱カルボキシル
化ロジンは、前記製造例2Aの生成物に比べてケン化価
が大きく、純度が高いことに注目すべきである。このこ
とは、脱カルボキシル化ロジンの製造例1Aと製造例1
Bにおいて、原料を仕込み、減圧した後の昇温温度の条
件の差別化が、大きく寄与しているものと思われる。
【0039】(3)無水マレイン酸強化ロジンの製造例3
A 撹拌機、温度計、分水器、冷却管及び窒素ガス導入管を
具備した1000ml用四つ口フラスコに、窒素ガス導
入下でトール油ロジン(酸価170)600部を160℃
に加熱溶融した。次に、無水マレイン酸115部を仕込
み、30分かけ200℃まで昇温し、2時間保持して反
応させた。得られた樹脂のケン化価は320、軟化点1
05℃であった。
【0040】(4)グリセリンロジンエステルの製造例3
B 撹拌機、温度計、分水器、冷却管及び窒素ガス導入管を
具備した1000ml用四つ口フラスコに、窒素ガス導
入下でトール油ロジン(酸価170)600部を160℃
に加熱溶融した。次に、グリセリン62部を仕込み(C
OOH:OH=0.9:1)、2時間かけて250℃まで
昇温し、5時間反応させて酸価30、軟化点90℃の樹
脂を得た。
【0041】(5)無水マレイン酸強化ロジンエステルの
製造例3C 撹拌機、温度計、分水器、冷却管及び窒素ガス導入管を
具備した1000ml用四つ口フラスコに仕込み、窒素
ガス導入下で上記製造例3Bで得られたグリセリンロジ
ンエステル500部を160℃に加熱溶融した。次に、
無水マレイン酸40部を仕込み、30分かけて200℃
まで昇温し、2時間保持して反応させた。得られた樹脂
のケン化価は110、軟化点107℃であった。
【0042】(6)無水マレイン酸強化ロジンの製造例3
D 撹拌機、温度計、分水器、冷却管及び窒素ガス導入管を
具備した1000ml用四つ口フラスコに、窒素ガス導
入下でトール油ロジン(酸価170)600部を160℃
に加熱溶融した。次に、無水マレイン酸60部を仕込
み、30分かけて200℃まで昇温し、2時間保持して
反応させた。得られた樹脂のケン化価は255、軟化点
94℃であった。尚、本製造例3Dは無水マレイン酸の
仕込み量を少なくした点以外は、前記製造例3Aと同様
の条件で製造した。後述するように、本製造例3Dの強
化ロジンはサイズ剤の比較例中で単用するサイズ成分で
あるのに対して、前記製造例3Aの強化ロジンはサイズ
剤の実施例中で本発明の強化脱カルボキシル化ロジンと
併用するサイズ成分であるため、本製造例3Dでは、サ
イズ剤のエマルションをより安定にする目的で、製造例
3Aよりマレイン酸量を低減したものである。
【0043】《エマルション型サイズ剤の製造実施例》
下記の実施例1〜3及び7は強化脱カルボキシル化ロジ
ン類を単用した例、実施例4〜6はこの強化脱カルボキ
シル化ロジン類と、公知の強化ロジン類、ロジンエステ
ル類、或は強化ロジンエステル類とを夫々併用した例で
ある。具体的には、実施例1及び2はアニオン性高分子
乳化剤を使用し、ミキサーによる無溶剤型の乳化方式で
製造した例、実施例3は乳化剤の種類を変え、転相乳化
方式で製造した例、実施例7はやはり乳化剤の種類を変
え、ホモジナイザーによる乳化方式で製造した例であ
る。一方、比較例1〜4は、公知の中性抄造用のロジン
系サイズ剤、或は、冒述の従来技術1〜4に類した例で
ある。具体的には、比較例1及び3は強化ロジンとロジ
ンエステルの混合物を有効サイズ成分とする公知の中性
抄造用のエマルション型ロジン系サイズ剤の例であり、
このエマルション型サイズ剤は本来、硫酸バンドの使用
を前提とするものである。比較例2は公知の強化ロジン
を単独サイズ成分としたエマルション型サイズ剤の例で
あり、本発明の強化脱カルボキシル化ロジン類との対比
において、ロジン環にカルボキシル基が存在する場合の
サイズ効果の変化を明確にするための例である。また、
比較例4は、強化ロジンエステルを単独サイズ成分とし
たもので、特に、冒述の従来技術4に類した例である。
【0044】(1)実施例1 前記製造例2Aの樹脂25部とアニオン性高分子乳化剤
(スチレンメタクリル酸系の共重合物のナトリウム塩)1
5部(有効成分3部)を室温で充分に混練し、水100部
にミキサーで撹拌しながら樹脂乳化剤混合物を分散さ
せ、水性エマルションを得た。得られた乳化物は、固形
分20%を有していた。
【0045】(2)実施例2 前記製造例2Aの樹脂を製造例2Bの樹脂に代替し、そ
れ以外は上記実施例1と同様の条件にて乳化物を得た。
樹脂は70℃に保ち乳化剤と充分に混練した。得られた
乳化物は、固形分20%を有していた。
【0046】(3)実施例3 前記製造例2Bの樹脂50部を70℃に保ち、界面活性
剤(スルホコハク酸モノエステル)4.4部(有効成分1.
5部)を撹拌しながらゆっくり加え、次いで10%カゼ
イン溶液(カゼイン2部、25%アンモニア水1部、水
で全量35部に希釈)35部を徐々に滴下した。追加の
温水(40℃)20部を徐々に滴下し、O/W型のエマル
ションに反転させた。その後65部の水を加えて水性エ
マルションを得た。得られた乳化物は、固形分31%を
有していた。
【0047】(4)実施例4 前記製造例2Aの樹脂35部、製造例3Aの樹脂15部
を140℃で溶融し、その後冷却して70℃に保ったも
のを用いた以外は、上記実施例3と同様の条件に設定し
て水性エマルションを得た。得られた乳化物は、固形分
30%を有していた。
【0048】(5)実施例5 前記製造例2Aの樹脂25部と製造例3Bの樹脂25部
を160℃にて溶融混合し、その後冷却して85℃に保
ったものを用いた以外は、上記実施例4と同様の条件に
設定して水性エマルションを得た。得られた乳化物は3
2%を有していた。
【0049】(6)実施例6 前記製造例2Aの樹脂25部と製造例3Cの樹脂25部
を160℃にて溶融混合し、その後冷却して85℃に保
ったものを用いた以外は、上記実施例4と同様の条件に
設定して水性エマルションを得た。得られた乳化物は3
0%を有していた。
【0050】(7)実施例7 70℃に保った前記製造例2Bの樹脂25部を、同じく
70℃に保ったカチオン澱粉水溶液200部(このう
ち、乳化剤としての有効成分は10部、残部は水)中で
ホモジナイザーにて30秒分散させて水性エマルション
を得た。得られた乳化物は、固形分15.5%を有して
いた。
【0051】(8)比較例1 前記製造例3Aの樹脂100部と前記製造例3Bの樹脂
100部をトルエン200部に溶融し、前記実施例1で
使用したアニオン性ポリマー乳化剤50部(有効成分1
0部)、水350部を添加し、40℃にてホモミキサー
で混合した。続いてこの分散物をピストン型高圧乳化機
(200kg/cm2)に1回通して、微細分散物を得た。
その後、減圧蒸留によりトルエン及び若干の水を溜去し
て、水性エマルションを得た。得られた乳化物は固形分
37%を有していた。
【0052】(9)比較例2 前記製造例3Dの樹脂50部を160℃にて溶融混合、
冷却して100℃に設定したものを用いた以外は、上記
実施例3と同様の条件に設定して水性エマルションを得
た。得られた乳化物は、固形分30%を有していた。
【0053】(10)比較例3 前記製造例3Aの樹脂25部と製造例3Bの樹脂25部
を混合したものを用いた以外は、上記実施例3と同様の
条件に設定して水性エマルションを得た。得られた乳化
物は、固形分32%部を有していた。
【0054】(11)比較例4 前記製造例3Cの樹脂50部を用いた以外は、上記実施
例3と同様にして水性エマルションを得た。得られた乳
化物は固形分32%を有していた。
【0055】そこで、上記実施例及び比較例で得られた
各エマルション型サイズ剤を硫酸バンドの存在しない中
性抄造条件で使用して、得られた抄造紙のサイズ度を試
験した。 《エマルション型サイズ剤の試験例》 パルプ:LBKP CSF420ml 上記パルプの2.5%分散スラリーに、対パルプ10%
になるように軽質炭酸カルシウムを所定量加えて撹拌し
た。撹拌下で両性澱粉を加え、2分後に前記実施例1〜
7並びに比較例1〜4で得られた各エマルション型サイ
ズ剤を添加量0.4%、0.6%の割合で夫々添加した。
次いで、パルプスラリーpHが7.3付近になっている
ことを確認した後、30秒してポリアクリルアマイド系
歩留まり剤を添加した。その30秒後に、定法に従い、
手抄き試験機を用いて手抄紙(坪量63〜67g/m2)
を調製した。その際、パルプスラリーpHは7.5に調
整された。得られた手抄紙は、温度20℃、湿度65%
の恒温・恒湿室にて1日放置後、ステキヒト法(JIS P81
22)により、サイズ剤の各添加量ごとにサイズ度(秒)を
測定した。
【0056】図1はその結果を示す。硫酸バンドの存在
しないpH7.5付近の中性抄造条件において、実施例
1〜7の各サイズ剤は、共に優れたサイズ効果を発揮し
た。強化脱カルボキシル化ロジンを単用した実施例1〜
3及び7では、無溶剤型乳化法、転相乳化法などの製
法、或は乳化剤の種類を問わず、得られたエマルション
型サイズ剤の効果は良好であった。また、強化脱カルボ
キシル化ロジンと、強化ロジン、ロジンエステル、或は
強化ロジンエステルとを併用した実施例4〜6であって
も、中性抄造サイジングが可能であることが確認でき
た。ちなみに、実施例1〜7の各サイズ剤は0.4%の
使用量で明確なサイズ効果を示したが、0.6%の増量
例の併記は、より鮮明なサイズ効果を確認するためであ
る。通常、サイズ度は紙の品種によってその要求値が異
なり、例えば、筆記を主目的とした上質紙などでは概ね
10以上のサイズ度が要求されるが、筆記を主目的とし
ない加工紙などでは、低いサイズ度でも充分に対応でき
る。従って、0.4%の使用量にあっては、強化脱カル
ボキシル化ロジンを単用した実施例2〜3では上質紙な
どに適用可能であるうえ、公知のロジン系サイズ成分を
併用した他の実施例においても加工紙などへの適用には
充分である。また、使用量を0.6%に増量すると、強
化脱カルボキシル化ロジンを単用した実施例2〜3及び
7では際立ったサイズ度を示したほか、各実施例共に上
質紙などに充分に適用できる。
【0057】これに対して、強化脱カルボキシル化ロジ
ン類を使用しなかった比較例1〜4では、各比較例共に
サイズ効果は実施例より劣り、特に、比較例2〜4では
中性抄造サイジングへの適用は明らかに不可であった。
即ち、比較例1は強化ロジンとロジンエステルを併用し
た通常の中性ロジン系サイズ剤であるため、若干のサイ
ズ効果を発現したが、このタイプは硫酸バンドの使用を
前提とするため、本試験例のように硫酸バンドの存在し
ない中性抄造条件では、やはり実用的なサイジングには
不充分であり、同タイプの別例である比較例3では、サ
イズ効果は発現しなかった。また、比較例2は、カルボ
キシル基を有する通常のロジンと無水マレイン酸を反応
させた強化ロジンを単用したサイズ剤であるが、サイズ
効果は全く発現しなかった。ちなみに、無水マレイン酸
強化脱カルボキシル化ロジンを単用した実施例1〜3が
顕著なサイズ効果を発現していることに鑑みれば、ロジ
ン環のカルボキシル基の有無が強化ロジン系サイズ剤の
サイズ効果に大きく影響し、硫酸バンドが存在しない中
性抄造条件では、脱カルボキシル化処理したロジンを用
いることの重要性が確認できた。さらに、比較例4は、
前述したように、冒述の従来技術4に類した例である
が、硫酸バンドが存在しない中性抄造条件では、サイズ
剤の使用量を0.6%に増量しても、サイズ効果は発現
しなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】各エマルション型サイズ剤を用いて中性抄造し
た際のサイズ試験結果を示す図表である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ロジン類に脱カルボキシル化反応を
    施した脱カルボキシル化ロジン類、 (B)α,β−不飽和カルボン酸類を反応させてなる強化
    脱カルボキシル化ロジン類を有効樹脂成分とする製紙用
    サイズ剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の強化脱カルボキシル化
    ロジン類と、 ロジン類に多価アルコール類を反応させたロジンエステ
    ル類、ロジン類にα,β−不飽和カルボン酸類を反応さ
    せた強化ロジン類、及び、ロジン類に多価アルコール類
    とα,β−不飽和カルボン酸類を反応させた強化ロジン
    エステル類からなる群より選ばれたロジン系樹脂の少な
    くとも一種との混合物を有効樹脂成分とする製紙用サイ
    ズ剤。
  3. 【請求項3】 強化脱カルボキシル化ロジン類とロジン
    エステル類との混合物を有効樹脂成分とする請求項2に
    記載の製紙用サイズ剤。
  4. 【請求項4】 強化脱カルボキシル化ロジン類と強化ロ
    ジン類との混合物を有効樹脂成分とする請求項2に記載
    の製紙用サイズ剤。
  5. 【請求項5】 強化脱カルボキシル化ロジン類と強化ロ
    ジンエステル類との混合物を有効樹脂成分とする請求項
    2に記載の製紙用サイズ剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製
    紙用サイズ剤が、有効樹脂成分を水中に分散させた水性
    エマルションから成ることを特徴とする製紙用エマルシ
    ョン型サイズ剤。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製
    紙用サイズ剤の存在下で、パルプスラリーを湿式抄造し
    て得られる紙。
  8. 【請求項8】 請求項6に記載の製紙用エマルション型
    サイズ剤の存在下で、硫酸アルミニウムを含有させない
    で、パルプスラリーを湿式中性抄造して得られる中性
    紙。
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