JP2000323311A - フェライト複合型プラスチック磁石およびその製造方法 - Google Patents

フェライト複合型プラスチック磁石およびその製造方法

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JP2000323311A JP11129935A JP12993599A JP2000323311A JP 2000323311 A JP2000323311 A JP 2000323311A JP 11129935 A JP11129935 A JP 11129935A JP 12993599 A JP12993599 A JP 12993599A JP 2000323311 A JP2000323311 A JP 2000323311A
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plastic magnet
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molding
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Toshiharu Suzuki
俊治 鈴木
Takatsugu Hagino
貴継 萩埜
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Minebea Co Ltd
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    • H01F1/11Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites, e.g. [(Ba,Sr)O(Fe2O3)6] ferrites with hexagonal structure in the form of particles
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】フェライト複合型プラスチック磁石およびその
製造方法を提供する。 【解決手段】Aを2価のアルカリ土類金属イオン好まし
くはBa、Sr、Ca或いはPbのうちの1又は2以上
とし、Bを2価の金属イオン好ましくはFe、Co、N
i、Mn、Mg、Cr、Cu、Znのうちに1又は2以
上としたとき、組成式AO・n(BO)・m(Fe2O
3)で表され、係数nが1.1以上2.5以下の値を有
し、かつ係数mが7.2以上8.8以下の値を有するフ
ェライト系粉末材料において、一般式AO・2(BO)
・8(Fe2O3)で表されるW型フェライト相に、一
般式AO・6Fe2O3で表されるM型フェライト相と
組成式Fe3O4表されるマグネタイト相の一種または
二種を混合させた磁性混合粉末材料を、熱可塑性合成樹
脂と混練成形したフェライト複合型プラスチック磁石に
おいて、W型フェライト相のモル比が70mol%以上と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高い磁気特性を有
するW型フェライト相に、M型フェライト相またはマグ
ネタイト相を複合させて成る、従来のM型フェライトよ
り優れた磁気特性をもつ、フェライト複合型プラスチッ
ク磁石およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、省エネルギーや環境保護の面から
各種電気機器等の小型化が求められ、それに伴なってそ
れらの機器に使用される磁石の小型化および高性能化が
益々求められている。そのような状況下において、従来
から基本組成式SrO・6Fe2O3で表されるマグネ
トプランバイト型六方晶の結晶構造をもつ、いわゆるM
型フェライト磁石が安価な焼結磁石、ゴム磁石あるいは
プラスチック磁石として様々な分野で多用されている。
しかし、このM型フェライト磁石は飽和磁化が小さく現
状以上の高性能化、例えば焼結磁石では38kJ/m3
(4.8MGOe)以上、プラスチック磁石では17.
6kJ/m3(2.2MGOe)以上の最大磁気エネル
ギー積を得ることが困難である。
【0003】飽和磁化の大きい代表的なフェライト材料
として、例えば主成分がBaO−FeO−Fe2O3の
三元系から成る、4種類の六方晶結晶構造のフェライト
(W型、X型、Y型、Z型)が知られている。その内、
W型フェライトは従来のM型と類似の構造をもち、M型
に対して10%大きい飽和磁化をもっている。
【0004】例えば、”Journal of Applied Physics.
51 (1980) 5913”には、BaO・2(FeO)・8Fe
2O3で表されるW型フェライトが開示されている。し
かし、このW型フェライトの作成方法は複雑な焼成雰囲
気の制御が必要である。また、その最大磁気エネルギー
積は34.4kJ/m3(4.3MGOe)であって従
来のM型フェライトの特性に留まっている。
【0005】また、特開平9−260124号公報に
は、還元剤としてのカーボン添加と非酸化性雰囲気中で
の焼成によって作成された、SrO・2(FeO)・n
Fe2O3組成のW型フェライトが開示されている。そ
のW型フェライトの最大磁気エネルギー積は42.4k
J/m3(5.3MGOe)と優れたものである。しか
し、保磁力は200kA/m(2.5kOe)であり従
来のM型フェライトの一般的値である240〜320k
A/m(3〜4kOe)より低く、また飽和磁化は0.
5TでありM型フェライトより大きいものの未だ不十分
である。したがって、従来のM型フェライト単体あるい
はW型フェライト単体からなる磁石では、今後さらに求
められる磁石の小型化、高性能化に十分に対応すること
が困難である。
【0006】また、プラスチックフェライト磁石やゴム
フェライト磁石において、優れた磁気特性を得るため
に、通常、磁石成形体中の磁粉率を増やすか、或いは磁
粉の配向度を上げることが行われる。しかし、磁粉の占
積率を増やすと磁石強度や生産性が低下したり、また配
向度が下がるために、加える磁粉量に制限がある。従っ
て、射出成形法によるプラスチックフェライト磁石の現
状水準である、およそ18kJ/m3(2.2MGO
e)を超える最大磁気エネルギー積を得るためには、高
性能な磁粉を得ることが不可欠となっている。しかし、
現在のところ、W型フェライトの焼結磁石の知見はある
が、実際に優れた磁気特性を有するW型フェライトを用
いたプラスチックフェライト磁石やゴムフェライト磁石
およびそれらの具体的な製造方法についての報告例はほ
とんどみられない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上述の如き事
情に鑑みなされたもので、従来のM型フェライトあるい
はW型フェライトよりも優れた磁気特性をもつ、フェラ
イト複合型プラスチック磁石およびその製造方法を提供
することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の如き本発明の目的
を達成するために、本願の請求項1に係る発明では、A
を2価のアルカリ土類金属イオン好ましくはBa、S
r、Ca或いはPbのうちの1又は2以上とし、Bを2
価の金属イオン好ましくはFe、Co、Ni、Mn、M
g、Cr、Cu、Znのうちの1又は2以上としたと
き、組成式AO・n(BO)・m(Fe2O3)で表さ
れ、係数nが1.1以上2.5以下の値を有し、かつ係
数mが7.2以上8.8以下の値を有するフェライト系
粉末材料において、一般式AO・2(BO)・8(Fe
2O3)で表されるW型フェライト相に、一般式AO・
6Fe2O3で表されるM型フェライト相と組成式Fe
3O4で表されるマグネタイト相の一種または二種が複
合して存在する粉末材料を、熱可塑性合成樹脂と混練成
形したフェライト複合型プラスチック磁石において、該
磁性混合粉末材料の中で、上記W型フェライト相のモル
比が70mol%以上であることを特徴とするフェライト
複合型プラスチック磁石が提供される。
【0009】本願の請求項2に係る発明では、請求項1
に係る発明に加えて、上記フェライト系粉末材料の平均
粒径が0.3〜3ミクロンの範囲にあることを特徴とす
る、フェライト複合型プラスチック磁石が提供される。
本願の請求項3に係る発明では、請求項2に係る発明に
加えて、Aを2価のアルカリ土類金属イオン好ましくは
Ba、Sr、Ca或いはPbのうちの1又は2以上と
し、Bを2価の金属イオン好ましくはFe、Co、N
i、Mn、Mg、Cr、Cu、Znのうちの1又は2以
上としたとき、組成式AO・n(BO)・m(Fe2O
3)で表され、係数nが1.1以上2.5以下の値を有
し、かつ係数mが7.2以上8.8以下の値を有するフ
ェライト系粉末材料において、一般式AO・2(BO)
・8(Fe2O3)で表されるW型フェライト相に、一
般式AO・6Fe2O3で表されるM型フェライト相と
組成式Fe3O4で表されるマグネタイト相の一種また
は二種が複合して存在する粉末材料の製造方法であっ
て、原料粉末材料を混合する工程と、混合した原料粉末
材料を仮焼する工程と、仮焼物を粉砕する工程と、保磁
力を向上するために温度400〜1100℃で熱処理す
る工程を含むことを特徴とする、請求項1記載のフェラ
イト複合型プラスチック磁石の製造方法が提供される。
本願の請求項4に係る発明では、上記フェライト複合型
プラスチック磁石の成形体質量に対して6〜25%の質
量範囲にある熱可塑性合成樹脂を、フェライト粉末材料
に混練せしめたことを特徴とする、請求項1記載のフェ
ライト複合型プラスチック磁石が提供される。本願の請
求項5に係る発明では、前記フェライト粉末材料と熱可
塑性合成樹脂とを混練してフェライト複合型プラスチッ
ク磁石を成形する際に、外部から磁界を作用させ、磁気
的な異方性を磁石に付与せしめることを特徴とする請求
項1記載のフェライト複合型プラスチック磁石の製造方
法が提供される。本願の請求項6に係る発明では、前記
フェライト粉末材料と熱可塑性合成樹脂とを混練してフ
ェライト複合型プラスチック磁石を成形する際に、該フ
ェライト粉末材料と熱可塑性合成樹脂との混練物に機械
的な応力を加えて磁気的な異方性を磁石に付与せしめる
ことを特徴とする、請求項1記載のフェライト複合型プ
ラスチック磁石の製造方法が提供される。本願の請求項
7に係る発明では、上記成形する工程が、射出成形、押
し出し成形、圧延成形またはカレンダーロール成形から
選択されるいずれか一の成形方法によって成形されるこ
とを特徴とする請求項1に係るフェライト複合型プラス
チック磁石の製造方法が提供される。
【0010】
【発明の実施の形態】 つぎに本発明の実施の形態につ
いて、図1乃至図5を用いて詳細に説明する。まず、組
成式AO・n(BO)・mFe2O3において、W型フ
ェライト相を得るためには、或いは組成式AO・6Fe
2O3において、M型フェライト相を得るためには、い
ずれの場合もAを1または2以上の2価アルカリ土類金
属イオン、好ましくはBa、Sr、Caの2価アルカリ
土類金属イオンあるいはPbとし、またBを1または2
以上の2価金属イオン、好ましくはFe、Co、Ni、
Mn、Mg、Cr、Cu、Znの2価金属イオンとする
必要がある。すなわち、これらのイオン以外ではW型フ
ェライト相を得ることは困難である。このことは、W型
と類似の結晶構造を持つ従来のM型フェライトの従前の
研究実績から推察される。
【0011】また、W型フェライト相とM型フェライト
相若しくはマグネタイト相それぞれの混合比率(mol
%)は、各物質固有の飽和磁化と保磁力の値に従って決
めることができる。例えばSr系のW型フェライト、M
型フェライトおよびマグネタイの飽和磁化と保磁力は、
以下のように見積もることができる。 飽和磁化(T) 保磁力(kA/m) Sr系W型フェライト: 0.52 160〜280 Sr系M型フェライト: 0.47 240〜320 マグネタイト : 0.60 100k以下
【0012】したがって、例えばW型フェライト相に保
磁力の大きいM型フェライト相を複合させることによ
り、より大きな保磁力を得ることができる。また、W型
フェライト相に飽和磁化の大きいマグネタイト相を複合
させることにより、より大きな飽和磁化を得ることがで
きる。このように、W型フェライト相に混在するM型フ
ェライト相あるいはマグネタイト相の混合比率を変える
ことによって磁気特性を調整することができる。
【0013】また、本発明の複合粉末材料が、従来のM
型フェライト粉末材料よりも優れた磁気特性を有するた
めには、W型フェライト相のモル比を適正に定める必要
がある。図1(a)(b)に、Sr系フェライト粉末材
料におけるW型フェライト相とM型フェライト相のモル
比と磁気特性との関係を示す。また、図2(a)(b)
にSr系W型フェライト相とマグネタイト相のモル比と
磁気特性との関係を示す。後述するように、W型フェラ
イト相と他の各相の生成比率は仮焼温度と仮焼雰囲気中
の酸素濃度によって変化する。
【0014】試料は、SrCO3とFe2O3を1:1
0のモル比で混合した原料粉末材料を、酸素濃度400
ppmの窒素ガス中で温度1150〜1275℃で2時
間仮焼し、得られた仮焼物を0.7μmに粉砕した後、
600℃で2時間熱処理を行って生成した。なお、磁気
特性は振動試料型磁力計を用いて測定し、W型フェライ
ト相のモル比はX線回折強度から算定して求めた。図1
(b)および図2(b)から明らかなように、いずれの
場合にもW型フェライト相が70mol%以上であると
き、最大磁気エネルギー積(BHmax)が38kJ/
m3以上の優れた磁気特性が得られた。
【0015】さらに、本発明の複合粉末材料を、ゴム磁
石またはプラスチック磁石用磁粉として使用するために
は充分な保磁力(HcJ)を有することが必要である。
フェライト磁石は単磁区粒子型の保磁力発生機構をもつ
ため、一般的には単磁区粒子径に相当する1μm前後に
粉砕して用いられる。図3(a)(b)に、Sr系W型
フェライトの平均粉末粒径と、磁気特性の関係を示す。
なお、試料は図1で製作した粉末材料において粉砕粒径
を変化させて得た。図3(b)から、保磁力(HcJ)
は粉末材料粒径の減少に従って増加し、3μm以下の場
合に実用的に最小限必要とされる160kA/mが、さ
らに2μm以下では実用的に充分とされる200kA/
mの値が得られた。また、図3(a)から、最大磁気エ
ネルギー積(BHmax)は粒径の減少に従って増加す
るが、過度に粉砕すると歪みの影響などによって残留磁
化が低下するために、約0.5μmを境にして大きく減
少に転ずる。従って、38kJ/m3以上の優れた磁気
特性を得るには、粉末材料粒径を0.3〜3μmの範囲
に設定することが望ましい。
【0016】プラスチック磁石を構成する主成分であ
る、上記の複合フェライト粉末と熱可塑性樹脂との混合
比率は、得られる磁気特性と生産性の面から決まり、ま
た射出や押し出し等の成形方式や、ナイロンやPPS
(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂の種類にも依
存する。混合比率について実験的に確認するために、試
料として、88質量%Sr系W型フェライト−12質量
%マグネタイトの1.1μm粒径の混合粉末に、少量の
シランカップリング剤と4〜30質量%の12ナイロン
を混合混練してペレットとした後、温度290℃、電磁
コイルによる発生磁界640kA/mの元で射出成形し
て、直径25mm/長さ20mmの軸方向異方性磁石を
製作した。
【0017】製作したW型フェライト系プラスチック磁
石のナイロン量と磁気特性との関係を下記に示す。 ナイロン量(質量%) BHmax(kJ/m3) 成形外観 4 17.3 角部の一部欠け 6 18.1 表面ツヤなし 9 20.5 良好 12 19.1 良好 18 16.8 良好 24 13.5 良好 30 9.7 良好
【0018】上記実験データより、例えばナイロン量が
4質量%では混練物の流れ性が悪くなり完全な形状の成
形体を得ることができず、30質量%では押し出し成形
は容易にできるが、磁粉の体積率が減少して良好な磁気
特性が得られないことが判る。したがって、成形体に対
する樹脂の適正比率は6〜25質量%とすることが望ま
しい。
【0019】ここで、本発明におけるフェライト複合粉
末材料の代表的な製法を、Sr系W型フェライトを例と
して以下に説明する。まず、SrCO3とFe2O3原
料粉末材料を、仮焼後に主相がSrO・2(FeO)・
8Fe2O3(W型フェライト)、副相がSrO・6F
e2O3(M型フェライト)若しくはFe3O4(マグ
ネタイト)となるように、所定の比率で混合する。この
場合に、SrCO3とFe2O3粉末材料のモル比はお
よそ1:10前後である。
【0020】次に、上記混合粉末材料を1100〜13
50℃で仮焼する。W型フェライト相は、既に知られて
いるようにM型フェライト相と異なり大気中では容易に
生成されないので、その生成のためには酸素濃度を低く
抑える必要がある。したがって、窒素ガスやアルゴンガ
スなどの非酸化性雰囲気中か真空中、若しくは水素やア
ンモニアガスなどの還元性雰囲気中で仮焼を行う必要が
ある。また、生成相の種類と温度と酸素濃度の関係につ
いては、温度が高く酸素濃度が低いとマグネタイト相が
多く生成し、一方温度が低く酸素濃度が高いとM型フェ
ライト相とヘマタイト相(Fe2O3)が多く生成し、
W型フェライト相はその中間領域で生成することが知ら
れている。
【0021】図4に、Sr系W型フェライトの仮焼にお
ける雰囲気中の酸素濃度と磁気特性の関係を示す。試料
は、SrCO3とFe2O3をモル比で1:9.5に配
合した原料粉末材料を、温度1250℃で2時間、窒素
ガスを流しながら酸素濃度50ppm〜3%の範囲で仮
焼し、得られた仮焼物をアトライタ粉砕によって0.8
μmの粉末材料試料を得た。図4から明らかなように、
最大磁気エネルギー積(BHmax)は、焼成雰囲気中
の酸素濃度の減少に従って向上し、およそ2%以下の範
囲で38kJ/m3以上の優れた磁気特性が得られた。
この理由は、低酸素濃度においてM型フェライト相とマ
グネタイト相に対する、W型フェライト相の生産比率が
高まったためと考えられる。
【0022】仮焼物を破砕し粉砕する手段としては、ア
トライタやボールミル、或いはジェットミルなどが湿式
乾式問わずに採用できる。粉末材料粒径は、0.3〜3
μm、好ましくは0.5〜2μmとすることにより所望
の磁気特性を得ることが容易になる。なお、これまでの
記述においてはSrCO3とFe2O3の混合原料を仮
焼反応させたときに、W型とM型フェライトおよびマグ
ネタイト各相が混相となって存在しており、微粉砕によ
って各相単独の粉末材料粒子が分離抽出されて得られる
場合を記した。本発明においては、上記方法によらずM
型フェライト粉末材料若しくはマグネタイト粉末材料を
それぞれ別個に製作し、後で混合しても差し支えない。
【0023】次に、粉砕歪みの除去およびフェライト粒
子の表面改質のために、高温度で熱処理を行うことが、
磁気特性の改善にとって有効である。図5に、平均粒径
0.7μmのSr系W型フェライト粉末材料を、酸素濃
度200ppmの窒素雰囲気中で、温度400〜100
0℃で2時間熱処理を行った場合の、熱処理温度と保磁
力の関係を示す。図5から、粉砕後の熱処理が保磁力の
向上に効果あることが明らかになった。
【0024】最後に、得られた磁粉に、所定比率のナイ
ロンと少量のシランカップリング剤を添加混合し、混合
物を混練しペレット状に破砕した後、磁界中で射出成形
してプラスチック磁石を製作する。ナイロン以外の熱可
塑性樹脂としてはPPSやPBT、PVC等が用いら
れ、カップリング剤としてはチタン系薬品が、また磁粉
の表面改質や強度の改良のために他の添加剤が用いられ
る。射出成形では、ペレットを250〜300℃に加熱
溶融させ、電磁コイルや磁石によって発生させた500
〜1000kA/mの磁界中で、ノズルから溶融物を金
型内に射出して磁粉を所定の方向に配向させたプラスチ
ック磁石を得る。その他、押し出し成形や圧延成形、カ
レンダロール成形などいずれの成形方式を用いても所望
の磁石を得ることができる。
【0025】
【実施例】<実施例1>SrCO3とFe2O3を1:
10.3のモル比で混合した原料粉末を、酸素濃度0.
1%の窒素雰囲気中、1300℃で2時間仮焼し、アト
ライタによって湿式粉砕して平均粒径1.1μmの粉末
を得た。この粉末を200℃で乾燥後、上記窒素雰囲気
中で、700℃で2時間熱処理を行った。得られた粉末
における各相のX線分析によるモル比は、W型フェライ
トが92mol%、マグネタイトが7mol%、その他の不純
物が1mol%であった。また、振動試料型磁力計による
磁気測定結果は以下のようになった。 最大磁気エネルギー積(BHmax): 40.6kJ/m3 飽和磁化(Br) : 0.50T 保磁力(HcJ) : 232kA/m
【0026】得られた粉末に、11質量%の12ナイロ
ンと0.1質量%のシランカップリング剤を添加混合
し、2軸混練機と破砕機を用いてペレットを製作した、
続いて、ペレットを280℃に加熱溶融させ、24個の
永久磁石を外周側に配置した金型内に射出して、外径2
8mm/内径24mm/高さ8mmの極配向をした円筒
状磁石を得た。この磁石の一部を切断して磁気測定をし
た結果以下のようになり、従来のM型フェライトプラス
チック磁石より優れた磁気特性を示している。 最大磁気エネルギー積(BHmax): 19.5kJ/m3 飽和磁化(Br) : 0.35T 保磁力(HcJ) : 218kA/m
【0027】<実施例2>BaCO3とFe2O3を
1:9.8のモル比で混合した原料粉末を、仮焼、粉砕
して平均粒径1.0μmの粉末とし、700℃で2時間
熱処理を行って粉末試料を得た。得られた粉末における
各相のモル比は、W型フェライト88mol%とM型フェ
ライト12mol%であり、その磁気特性は以下のように
なった。 最大磁気エネルギー積(BHmax): 40.3kJ/m3 飽和磁化(Br) : 0.48T 保磁力(HcJ) : 267kA/m
【0028】この粉末に、9質量%の12ナイロンと
0.1質量%のシランカップリング剤を添加混合し、ペ
レット製作後に、280℃に加熱溶融させ、580kA
/mの磁界中で射出成形し、厚さ方向に異方性のある長
さ30mm、厚さ3mmの円弧状磁石を得た。この磁石
の磁気特性は以下のようになった。 最大磁気エネルギー積(BHmax): 19.2kJ/m3 飽和磁化(Br) : 0.35T 保磁力(HcJ) : 254kA/m また、ガウスメーターを用いて測定した表面磁束密度は
2200Gであった。
【0029】<実施例3>実施例2で得た粉末に、11
質量%のPBT(ポリブチレンテレフタレート)と0.
1質量%のシランカップリング剤を混合し、押出し機を
使用して、外径42mm/内径37mm/高さ12mm
のラジアル配向をした円筒状磁石を得た。この磁石の磁
気特性は以下のようになった。 最大磁気エネルギー積(BHmax): 19.4kJ/m3 飽和磁化(Br) : 0.35T 保磁力(HcJ) : 247kA/m
【0030】<実施例4>実施例2で得た粉末に、17
質量%の12ナイロンと0.2質量%のチタンカップリ
ング剤を混合し、ロール圧延機を使用して250℃の温
度で厚さ0.2mmのシートを製作して、外径28/内
径/高さ320mmのラジアル配向をした円筒磁石を得
た。この磁石の磁気特性は以下のようになった。 最大磁気エネルギー積(BHmax): 13.4kJ/m3 飽和磁化(Br) : 0.26T 保磁力(HcJ) : 220kA/m
【0031】以上、本発明を上述の実施の形態により説
明したが、本発明の主旨の範囲内で種々の変形や応用が
可能であり、これらの変形や応用を本発明の範囲から排
除するものではない。
【0032】
【発明の効果】本願の請求項1,2,4に係る本発明に
よれば、従来のM型フェライトでは得られなかった高い
磁気特性を有する磁性混合粉末材料を熱可塑性合成樹脂
と混練成形したフェライト複合型プラスチック磁石を得
ることができる。さらに本願の請求項3,5,6に係る
発明によれば、従来のM型フェライトでは得られなかっ
た高い磁気特性を有する磁性混合粉末材料を熱可塑性合
成樹脂と混練成形したフェライト複合型プラスチック磁
石を簡単且つ安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のSr系フェライト粉末材料に
おけるW型フェライト相とM型フェライト相のモル比と
磁気特性との関係を示す特性図である。
【図2】図2は、本発明のSr系W型フェライト相とマ
グネタイト相のモル比と磁気特性との関係を示す特性図
である。
【図3】図3は、本発明のSr系W型フェライトの平均
粉末材料粒径と磁気特性の関係を示す特性図である。
【図4】図4は、本発明のSr系W型フェライトの仮焼
における雰囲気中の酸素濃度と磁気特性の関係を示す特
性図である。
【図5】図5は、本発明のSr系W型フェライト粉末材
料の熱処理温度と保磁力の関係を示す特性図である。
フロントページの続き Fターム(参考) 5E040 AB02 AB04 AB09 AC05 BB04 CA01 HB00 HB01 HB06 HB07 HB11 HB15 NN02 NN04 NN06 5E062 CC02 CD02 CE01 CE02 CE03 CE05 CF02 CF07 CG01 CG02 CG03

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Aを2価のアルカリ土類金属イオン好まし
    くはBa、Sr、Ca或いはPbのうちの1又は2以上
    とし、Bを2価の金属イオン好ましくはFe、Co、N
    i、Mn、Mg、Cr、Cu、Znのうちの1又は2以
    上としたとき、組成式AO・n(BO)・m(Fe2O
    3)で表され、係数nが1.1以上2.5以下の値を有
    し、かつ係数mが7.2以上8.8以下の値を有するフ
    ェライト系粉末材料において、一般式AO・2(BO)
    ・8(Fe2O3)で表されるW型フェライト相に、一
    般式AO・6Fe2O3で表されるM型フェライト相と
    組成式Fe3O4で表されるマグネタイト相の一種また
    は二種が複合して存在する粉末材料を、熱可塑性合成樹
    脂と混練成形したフェライト複合型プラスチック磁石に
    おいて、該磁性混合粉末材料の中で、上記W型フェライ
    ト相のモル比が70mol%以上であることを特徴とする
    フェライト複合型プラスチック磁石。
  2. 【請求項2】上記フェライト系粉末材料の平均粒径が
    0.3〜3ミクロンの範囲にあることを特徴とする請求
    項1記載のフェライト複合型プラスチック磁石。
  3. 【請求項3】Aを2価のアルカリ土類金属イオン好まし
    くはBa、Sr、Ca或いはPbのうちの1又は2以上
    とし、Bを2価の金属イオン好ましくはFe、Co、N
    i、Mn、Mg、Cr、Cu、Znのうちの1又は2以
    上としたとき、組成式AO・n(BO)・m(Fe2O
    3)で表され、係数nが1.1以上2.5以下の値を有
    し、かつ係数mが7.2以上8.8以下の値を有するフ
    ェライト系粉末材料において、一般式AO・2(BO)
    ・8(Fe2O3)で表されるW型フェライト相に、一
    般式AO・6Fe2O3で表されるM型フェライト相と
    組成式Fe3O4で表されるマグネタイト相の一種また
    は二種が複合して存在する粉末材料の製造方法であっ
    て、原料粉末材料を混合する工程と、混合した原料粉末
    材料を仮焼きする工程と、仮焼物を粉砕する工程と、保
    磁力を向上するために温度400〜1100℃で熱処理
    する工程を含むことを特徴とする、請求項1記載のフェ
    ライト複合型プラスチック磁石の製造方法。
  4. 【請求項4】上記フェライト複合型プラスチック磁石の
    成形体質量に対して6〜25%の質量範囲にある熱可塑
    性合成樹脂を、フェライト粉末材料に混練せしめたこと
    を特徴とする、請求項1記載のフェライト複合型プラス
    チック磁石。
  5. 【請求項5】前記フェライト粉末材料と熱可塑性合成樹
    脂とを混練してフェライト複合型プラスチック磁石を成
    形する際に、外部から磁界を作用させ、磁気的な異方性
    を磁石に付与せしめることを特徴とする請求項1記載の
    フェライト複合型プラスチック磁石の製造方法。
  6. 【請求項6】前記フェライト粉末材料と熱可塑性合成樹
    脂とを混練してフェライト複合型プラスチック磁石を成
    形する際に、該フェライト粉末材料と熱可塑性合成樹脂
    との混練物に機械的な応力を加えて磁気的な異方性を磁
    石に付与せしめることを特徴とする、請求項1記載のフ
    ェライト複合型プラスチック磁石の製造方法。
  7. 【請求項7】上記成形する工程が、射出成形、押し出し
    成形、圧延成形、またはカレンダーロール成形から選択
    されるいずれか一の成形方法によって成形されることを
    特徴とする、請求項1記載のフェライト複合型プラスチ
    ック磁石の製造方法。
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