JP2000311809A - W型フェライト焼結磁石 - Google Patents
W型フェライト焼結磁石Info
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Abstract
り、従来のM型フェライトでは得られなかった優れた磁
気特性をもつ、W型フェライト焼結磁石の提供。 【構成】組成式がAO・n(BO)・mFe2O3で表さ
れるW型フェライト相から成り、且つその平均結晶粒径
が0.3〜4ミクロンであり、特定方向の磁気的異方性
を有することを特徴とする、W型フェライト焼結磁石。
但し、AはBa、Sr、Ca、Pbの一種又は2種以
上、BはFe、Co、Ni、Mn、Mg、Cr、Cu、
Znの一種又は2種以上、 7.4≦m≦8.8 1.2≦n≦2.5 (8.8≦(m+n)≦10.8)
Description
るW型フェライト相から成り、優れた磁気特性をもつ、
W型フェライト焼結磁石に関する。
で、マグネトプランバイト型六方晶の結晶構造をもつ、
いわゆるM型フェライトは、安価な焼結磁石や、プラス
チック磁石、或いはゴム磁石として現在様々な分野に多
用されている。近年、省エネルギーや環境保護の面にお
いて各種機器の小型化が求められており、従ってそれら
に使用される磁石の高性能化も益々必要となっている。
しかし、上記M型フェライトでは飽和磁化が小さく現状
以上の高性能化、例えば焼結磁石では38kJ/m3
(4.8MGOe)以上の最大磁気エネルギー積を得る
ことが困難であった。
表的なフェライト材料として、例えば主成分がBaO−
FeO−Fe2O3の三元系から成る、4種類の六方晶
結晶構造のフェライト(W型、X型、Y型、Z型)が知
られている。その内、W型フェライトは従来のM型と類
似の構造をもち、M型に対して10%大きい飽和磁化を
もっているが、実用化に至っていない。
(1980) 5913)は、BaO・2(FeO)・8Fe2O
3で表されるW型フェライトを提案した。しかし、複雑
な焼成雰囲気の制御が必要とし、その最大磁気エネルギ
ー積は34.4kJ/m3(4.3MGOe)であり、
従来のM型フェライトの特性に留まっている。また、豊
田(特開平9−260124号公報参照)は、還元剤と
してのカーボン添加と非酸化性雰囲気中焼成によって、
SrO・2(FeO)・nFe2O3組成のW型フェラ
イト焼結磁石を製作した。その最大磁気エネルギー積は
42.4kJ/m3(5.3MGOe)と優れたもので
あったが、保磁力は200kA/m(2.5kOe)で
従来のM型フェライトの一般的水準である240〜32
0kA/m(3〜4kOe)より低いものであった。
円弧状のモーター用磁石や円盤状のスピーカ用磁石を実
際に製作した例が見られない。
ライト相から成り、従来のM型フェライトでは得られな
かった優れた磁気特性をもつ、W型フェライト焼結磁石
の提供を目的とする。
めに、組成式がAO・n(BO)・mFe2O3で表され
るW型フェライト相から成り、且つその平均結晶粒径が
0.3〜4ミクロンであり、特定方向の磁気的異方性を
有することを特徴とする、W型フェライト焼結磁石を提
供する。但し、AはBa、Sr、Ca、Pbの一種又は
2種以上、BはFe、Co、Ni、Mn、Mg、Cr、
Cu、Znの一種又は2種以上、 7.4≦m≦8.8 1.2≦n≦2.5 (8.8≦(m+n)≦10.8) また、形態が円筒形状を成し、且つ円筒面に対して複数
極、若しくは放射状の磁気的異方性をもつ、或いはさら
に、円弧形状を成し、且つ円弧面の上下方向に磁気的異
方性をもつW型フェライト焼結磁石を提供する。
石の成分組成と結晶粒径について以下に説明する。組成
式AO・n(BO)・mFe2O3においてW型フェラ
イト結晶を得るためには、AをBa、Sr、Caの2価
アルカリ土類金属イオン、或いはPbとし、BをFe、
Co、Ni、Mn、Mg、Cr、Cu、Znの2価金属
イオンとする必要があり、他のイオン種ではW型結晶を
得ることが極めてむつかしい。このことは、W型と類似
の結晶構造をもつ従来のM型フェライトの従前の研究実
績から推察されている。
のM型フェライト結晶と異なり2価の金属イオンの存在
が必須であり、従って適正なn値が必要とされる。実験
的には、1.2≦n≦2.5の範囲において良好なW型
フェライト相を得ることができ、n<1.2の場合、M
型フェライト相、n>2.5の場合B3O4の様な(B=F
eの場合、マグネタイト) Bの一部が2価である酸化物な
どが安定生成してしまう。また、所望の磁気特性を得る
ためのM値の適正範囲は7.4≦m≦8.8であり、m
<7.4ではM型フェライト相が過剰に生成し、8.8
<mではヘマタイト相が過剰に生成して、磁気特性が低
下することが実験的に判明した。
n)≦10.8であり、(m+n)<8.8でM型フェライト
相、(m+n)>10.8でヘマタイトおよびB元素の
酸化物が不純物として生成し、所望の磁気特性を得るこ
とができない。焼結磁石が高い磁気特性を有するには、
飽和磁化と共に充分な保磁力を備えていることが必要で
ある。一般的に、フェライト磁石は単磁区粒子型の保磁
力発生機構をもつため、焼結体の結晶粒径を単磁区粒子
径に近い1(m前後に調整して用いられる。図1に、S
r系W型フェライト焼結磁石の平均結晶粒径と磁気特性
の関係を示す。使用した試料はSrCO3とFe2O3
を、モル比で1:9で配合した原料粉末を窒素ガス中1
250℃で3時間仮焼し、CaCO3とSiO2をそれ
ぞれ0.75質量%と0.3質量%添加して、アトライ
タにより約0.2μmに粉砕した。この粉末を800k
A/mの磁界中で湿式成形し、窒素ガスを流しながら酸
素濃度を0.01〜1%の範囲で変化させ、1050〜
1275℃の範囲で各一時間焼成して、径47mm/高
さ10mmの円盤状試料を作製した。
ら、保磁力は結晶粒径の減少に従って増加し、4(m以
下の場合に実用的に必要最小限な160kA/mが、さ
らに2(m以下では充分とされる200kA/mの値が
得られた。しかし、0.3(m未満では保磁力のそれ以
上の向上は見られず、結晶粒の配向の乱れなどによって
最大磁気エネルギー積が低下する。従って、38kJ/
m3以上の優れた磁気特性を得るには結晶粒径を0.3
〜4(mとする必要がある。
代表的な製法を以下に説明する。まず、SrCO3とF
e2O3原料粉末を、モル比で1:8.0〜1:9.5
となるように秤量、混合する。
℃で仮焼する。W型フェライトは、既に知られているよ
うにM型フェライトと異なり大気中では容易に生成され
ず、従って酸素濃度を低く抑える必要がある。従って、
窒素ガスやアルゴンガスなどの非酸化性雰囲気中か真空
中、若しくは水素やアンモニアガスなどの還元性雰囲気
中で仮焼を行う。生成相と、これら温度と酸素濃度の関
係については、温度が高く酸素濃度が低いとマグネタイ
ト相が多く生成し、一方温度が低く酸素濃度が高いとM
型フェライト相とヘマタイト(Fe2O3)相が多く生
成し、W型フェライト相はその中間領域で生成する。
いはさらにAl2O3やCr2O3等の粉末を、保磁力
の向上や結晶粒径の調整のために添加し、アトライタや
ボールミル、或いはジェットミルなどによって、湿式或
いは乾式粉砕して1(m以下、好ましくは0.3〜0.
8(mに微粉砕する。なお添加剤として、上記以外に還
元効果のあるCやSiの粉末を同時に用いることによっ
て、焼成におけるW型フェライトの生成範囲を調整する
こともできる。
合、従来のM型フェライトにおけると同様な手法を用い
ることができ、例えばスラリーを湿式成形する、或いは
乾燥した粉末(造粒してあっても差し支えない)を乾式
成形する。異方性の付与については、電磁コイルや磁石
によって発生する磁界を成形物に作用させる、或いは高
濃度のスラリーを圧延や押し出しによって粉末粒子を特
定の方向に整列させることによって、実施することがで
きる。
は還元性雰囲気中で焼成する。基本的には、仮焼と同様
の温度と酸素濃度下でW型フェライトを得ることができ
る。図2に得られた試料の粉末X線回折図を示す。試料
は、SrCO3とFe2O3をモル比で1:9で配合し
た原料粉末を窒素ガス中1250℃で3時間仮焼し、C
aCO3とSiO2をそれぞれ0.75質量%と0.3
質量%添加して、アトライタにより約0.6(mに粉砕
した。この粉末を800kA/mの磁界中で成形し、1
50ppm酸素濃度の下、1175℃で1時間焼成して
X線回折用の粉末試料を得た。図中すべての回折ピーク
はW型フェライト結晶の指数付けが出来、本試料はW型フ
ェライト結晶構造を持つことが明らかとなった。
9のモル比で混合した原料粉末を、酸素濃度150pp
mの窒素雰囲気中、1275℃で3時間仮焼し、CaC
O3とSiO2をそれぞれ0.75質量%と0.3質量
%添加して、アトライタにより約0.6(mに粉砕し
た。この粉末を800kA/mの磁界中で成形し、酸素
濃度150ppmの下、1175℃で1時間焼成して、
径25mm高さ15mmの軸方向異方性磁石を得た。試
料の磁気特性は磁束計により求めた。Br=0.48
T、Hci=198kA/m BHmax=42.2kJ/m3であった。
粉末に、0.5質量%のPVA(ポリビニルアルコー
ル)と0.3質量%のグリセリンを添加してスラリーと
し、スプレードライヤーによって約0.3mmの造粒粉
を製作した。この造粒粉を円筒形状金型内に供給した
後、金型上下に設置した電磁コイルに対向磁界を発生さ
せ、放射状方向に400kA/mの磁界を作用させ、5
0MPaの圧力で成形した。続いて、酸素濃度200p
pmの窒素雰囲気中、1200℃で1時間焼成して、外
形16mm、内径13mm、高さ8mmの放射状異方性
磁石を製作した。また、0.3(m粒径のSrO・5.
9Fe2O3組成のM型フェライト粉末に上記と同じ添
加剤を入れてスラリーとなし、造粒粉を得た後に同様の
成形を行って大気中1225℃で1時間焼成して比較例
試料を製作した。両者磁石試料を外周12極着磁して、
表面磁束密度をガウスメーターによって測定した結果、
本発明によるW型フェライト磁石は240mT、一方比
較例のM型フェライト磁石は214mTであり、約12
%の向上が認められた。
M型フェライト造粒粉を、内周部に24極の磁界発生用
ポールを設置した円筒形状金型内に供給し、800kA
/mのパルス磁界を間欠的に加えながら50MPaの圧
力で成形した。続いて、W型フェライト成形品は、酸素
濃度200ppmの窒素雰囲気中、1200℃で1時
間、一方M型フェライト成形品は、大気中1225℃で
1時間焼成して、外形33mm、内径28mm、高さ1
2mmの極異方性磁石を製作した。両者磁石試料を内周
24極着磁して、表面磁束密度をガウスメーターによっ
て測定した結果、本発明によるW型フェライト磁石は2
52mT、一方比較例のM型フェライト磁石は220m
Tであり、約15%の向上が認められた。
1:9.5のモル比で混合した原料粉末を、酸素濃度4
00ppmの窒素雰囲気中、1225℃で2時間仮焼
し、CaCO3とSiO2をそれぞれ0.5質量%と
0.3質量%添加して、湿式アトライタにより約0.6
(mに粉砕した。得られたスラリーをポンプで金型内に
供給し、400kA/mの磁界中、80MPaの圧力で
成形した後、酸素濃度400ppm、1175℃で1時
間焼成して、厚さ3mm、外周幅28mm、長さ30m
mの円弧状(瓦状)異方性磁石を製作した。また、同じ
く0.3(mに粉砕したBaO・6Fe2O3組成のM
型フェライト粉末に上記と同じ添加剤を入れてスラリー
となし、同様の成形を行って大気中1175℃で1時間
焼成して比較例試料を製作した。厚さ方向に着磁した磁
石の表面磁束密度は、本発明によるW型フェライト磁石
が221mT、一方比較例のM型フェライト磁石が19
6mTであった。
は、従来のM型フェライト焼結磁石では得られなかった
高い磁気特性を有するため、高性能で且つ安価な磁石と
して広く産業界に受け入れられるものである。
平均結晶粒径と磁気特性の関係図である。
X線回折図形である。
Claims (3)
- 【請求項1】組成式がAO・n(BO)・mFe2O3で
表されるW型フェライト相から成り、且つその平均結晶
粒径が0.3〜4ミクロンであり、特定方向の磁気的異
方性を有することを特徴とするW型フェライト焼結磁
石。但し、AはBa、Sr、Ca、Pbの一種又は2種
以上、 BはFe、Co、Ni、Mn、Mg、Cr、Cu、Zn
の一種又は2種以上、 7.4≦m≦8.8 1.2≦n≦2.5 (8.8≦(m+n)≦10.8) - 【請求項2】形態が円筒形状を成し、且つ円筒面に対し
て複数極、若しくは放射状の磁気的異方性をもつことを
特徴とする請求項1に記載のW型フェライト焼結磁石。 - 【請求項3】形態が円弧形状を成し、且つ円弧面の上下
方向に磁気的異方性をもつことを特徴とする請求項1に
記載のW型フェライト焼結磁石。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11119046A JP2000311809A (ja) | 1999-04-27 | 1999-04-27 | W型フェライト焼結磁石 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11119046A JP2000311809A (ja) | 1999-04-27 | 1999-04-27 | W型フェライト焼結磁石 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000311809A true JP2000311809A (ja) | 2000-11-07 |
Family
ID=14751592
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11119046A Pending JP2000311809A (ja) | 1999-04-27 | 1999-04-27 | W型フェライト焼結磁石 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000311809A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007031204A (ja) * | 2005-07-27 | 2007-02-08 | Tdk Corp | W型フェライト磁石 |
JP2009280498A (ja) * | 2003-12-09 | 2009-12-03 | Tdk Corp | フェライト磁性材料 |
-
1999
- 1999-04-27 JP JP11119046A patent/JP2000311809A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009280498A (ja) * | 2003-12-09 | 2009-12-03 | Tdk Corp | フェライト磁性材料 |
JP2007031204A (ja) * | 2005-07-27 | 2007-02-08 | Tdk Corp | W型フェライト磁石 |
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