JP2000319220A - ピロメリット酸の製造法 - Google Patents
ピロメリット酸の製造法Info
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Abstract
の酸化誘導体を液相酸化するに際して、高活性触媒を開
発し、ピロメリット酸を連続的に工業的に有利に製造す
る方法を提供する。 【解決手段】臭素、マンガンおよび鉄、もしくは更にジ
ルコニウムやセリウムを含む触媒の存在下、10〜90
重量%の含水低級脂肪族カルボン酸溶媒を用いて、2,
4,5−トリメチルベンズアルデヒドやその酸化誘導体
を180〜240℃の温度で液相酸化する。
Description
チルベンズアルデヒドまたはその酸化誘導体を酸化し
て、ピロメリット酸を製造する方法に関する。ピロメリ
ット酸はプラスチック工業において、樹脂、可塑剤を合
成するための中間体として使用される。ピロメリット酸
は脱水して無水ピロメリット酸に転換することが多い
が、特にポリイミド樹脂製造における原料として使用さ
れる。
キルベンゼンの酸化によって製造されており、プソイド
クメンからのトリメリット酸、メシチレンからのトリメ
シン酸、ジュレンからのピロメリット酸及びイソジュレ
ンからのメルファン酸等が知られている。これらのアル
キルベンゼン類の対応する芳香族ポリカルボン酸への酸
化は、全て同様な条件下で行いうるという訳ではなく、
メチル基の置換位置によって反応性が異なる。プソイド
クメン又はジュレン等の場合生成するトリメリット酸又
はピロメリット酸での二つのカルボキシル基がオルト位
構造のため重金属触媒の活性を低下させ、このような構
造をもたないポリメチルベンゼンの場合に比して酸化収
率が低下する。そのため触媒系に対する種々の改良法が
提案されており、たとえば特開平2−184652号に
は、ジュレンを液相酸化してピロメリット酸を製造する
方法において、コバルト、マンガン、臭素触媒存在下で
酸化するに際し、触媒を2段階添加し、回分式に反応さ
せることが記載されている。また芳香族ポリカルボン酸
の製造法としてポリアルキル芳香族アルデヒドを酸化す
る方法が知られており、特開昭57−38745号に
は、芳香族アルデヒドをコバルト、マンガンおよび臭素
存在下、酢酸溶媒で酸化してトリメリット酸又はピロメ
リット酸を製造する方法が示されている。特公平7−1
16097号には芳香族アルデヒドを鉄、マンガンおよ
び臭素存在下、水溶媒で酸化してピロメリット酸を製造
する方法が示されている。
う特開平2−184652号の方法は、触媒系に対する
改良により酸化収率が向上するものの、反応方式が複雑
である。該方法は生成したピロメリット酸が触媒活性を
低下させるので連続方式には適用できない。特開昭57
−38745号のコバルト、マンガン及び臭素触媒系は
反応速度及び収率に関し、改良の必要がある。特公平7
−116097号では臭素濃度が高く腐食の問題が生じ
る。本発明の目的は2,4,5−トリメチルベンズアル
デヒド及び/又はその酸化誘導体を液相酸化するに際し
て、従来のコバルト、マンガン及び臭素触媒系に代わる
高活性触媒を開発し、ピロメリット酸を連続的に工業的
に有利に製造する方法を提供することにある。
課題を有するピロメリット酸の製造方法について鋭意検
討した結果、2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド
及び/又はその酸化誘導体を液相酸化するに際して、マ
ンガン−鉄−ジルコニウム−セリウム−臭素触媒が、従
来のコバルト−マンガン−臭素系触媒よりも高活性であ
り、また水濃度を特定範囲に厳密にすることで連続酸化
が可能となることを見出し、本発明に到達した。即ち本
発明は、臭素、マンガンおよび鉄、もしくは更にジルコ
ニウム及び/又はセリウムを含む触媒の存在下、10〜
90重量%の酢酸溶媒を用いて、2,4,5−トリメチ
ルベンズアルデヒド及び/又はその酸化誘導体を180
〜240℃の温度で連続的に液相酸化することを特徴と
するピロメリット酸の製造法である。
2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド及び/又はそ
の酸化誘導体を使用する。該酸化誘導体としては2,
4,5−トリメチル安息香酸、1,2−カルボキシ−
4,5−フタリド、メチルトリメリット酸等が挙げられ
る。本発明において液相酸化の溶媒には含水酢酸が用い
られ、これにより液相酸化を連続的に行うことが出来
る。使用する溶媒の水含有量は10〜90重量%であ
り、好ましくは20〜70重量%である。水分濃度が該
範囲より低い場合にはピロメリット酸と触媒マンガンが
金属塩を形成して触媒活性を失い、反応中間体が残り易
い。また水分濃度が低い場合には結晶化する際に金属塩
がピロメリット酸結晶に混入するので触媒を循環使用す
ることができず、工業的に連続反応を行うことが困難と
なる。水分が高過ぎる場合は反応速度が低下し、収率も
低下する。このため水分が高いと臭素使用量を増加しな
ければならず、腐食性が増大することから、反応器にジ
ルコニウム等の高級材質を用いることが必要となる。溶
媒の使用量は2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド
及び/又はその酸化誘導体に対して、1〜25重量倍、
好ましくは3〜15重量倍である。
ンガン化合物及び臭素化合物に、ジルコニウム、セリウ
ム、鉄化合物を加えたものである。これらのマンガン、
ジルコニウム、セリウム、鉄化合物としては有機酸塩、
ハロゲン化物、炭酸塩等が例示され、特に酢酸塩、臭化
物が好ましい。臭素化合物としては反応系で溶解し、臭
素イオンを発生するものであれば、如何なるものでも良
く、臭化水素、臭化ナトリウム及び臭化コバルト等の無
機臭化物、テトラブロモエタン等の有機臭化物が例示さ
れるが、特に臭化水素、臭化コバルト、臭化マンガンが
好ましい。
を適量加えることで有機物の燃焼抑制が高まり、大幅に
収率向上し、溶媒の損失が抑えられる。またジルコニウ
ムやセリウムを加えることで収率が向上する。溶媒中の
臭素濃度は0.05〜2重量%、好ましくは0.1〜1
重量%の範囲である。臭素濃度が少な過ぎると反応が進
まなくなり、臭素濃度が多過ぎると腐食が激しくなる。
重金属触媒の臭素イオンに対する原子比は0.5〜1
5、好ましくは0.8〜8の範囲である。溶媒中のマン
ガン、ジルコニウム、セリウム、鉄化合物の全重金属濃
度は0.03〜2重量%、好ましくは0.05〜1重量
%である。全重金属濃度が低すぎると反応が進行せず、
触媒濃度が高すぎると反応に悪影響を与える。鉄濃度は
溶媒に対して1〜200ppm、ジルコニウム濃度は溶
媒に対して0〜500ppm、セリウム濃度は溶媒に対
して0〜500ppmが好ましい。マンガンにジルコニ
ウム、セリウム、鉄を添加した場合の重金属触媒の組成
比は、各金属の合計量に対して、ジルコニウム含量が
0.1〜15重量%、セリウム含量が0.1〜15重量
%、鉄含量が0.1〜15重量%、マンガン含量が55
〜99.7重量%の範囲が好ましい。
られる。酸素ガスや、酸素を窒素、アルゴン等の不活性
ガスと混合したガスが挙げられるが、空気が最も一般的
である。酸化反応器としては撹拌槽や気泡塔などが用い
られるが、反応器内の撹拌を充分に行なう為に撹拌槽が
好適である。反応の形式としては半回分式または連続式
が好適に用いられる。連続式では反応収率を高める為に
複数の反応器を直列に設けることが望ましい。複数の反
応器を直列に設けた場合の通算滞留時間は0.5〜10
時間の範囲である。液相酸化の温度は180〜240
℃、好ましくは190〜230℃である。この温度範囲
外では副生物を増加し、また収率を低下させる。酸化反
応では酸素含有ガスを反応器に連続的に供給し、反応後
のガスは圧力が5〜40kg/cm2 G 、好ましくは10
〜30kg/cm2 G となるように連続的に反応器から抜
き出される。反応器には還流冷却器を設け、排ガスに同
伴される多量の溶媒及び酸化反応で生成する水を凝縮さ
せる。凝縮した溶媒及び水は通常反応器に還流される
が、反応器内の水分濃度を調整するために、その一部を
反応系外に抜き出すことも行なわれる。反応器からの排
ガス中の酸素濃度は0.1〜8容量%、好ましくは1〜
5容量%である。
約120℃、好ましくは約20℃から約40℃の範囲と
し、得られた固体状酸化生成物を反応混合物から濾過ま
たは遠心分離により分離する。分離されたピロメリット
酸粗生成物は水あるいは含水酢酸で、リスラリー洗浄あ
るいはリンスされ、結晶に含有する有機不純物、金属等
が除去される。分離された反応母液は酸化反応系へ大部
分が循環使用される。反応母液の一部は反応生成水を除
くために蒸留し、溶媒として再使用される。
る。但し本発明はこれらの実施例により制限されるもの
ではない。なお、各実施例および比較例の結果を示す表
中のPMAはピロメリット酸である。またPMA収率は
原料の2,4,5−トリメチルベンズアルデヒドまたは
2,4,5−トリメチル安息香酸に対するピロメリット
酸の収率、中間体収率は原料の2,4,5−トリメチル
ベンズアルデヒドまたは2,4,5−トリメチル安息香
酸に対するメチルトリメリット酸と1,2−カルボキシ
−4,5−フタリドの収率を示す。
続送液ポンプ及び撹拌器を有する2Lのチタン製オート
クレーブに臭化第2鉄、酢酸マンガン4水塩、47重量
%臭化水素水溶液、氷酢酸、水を混合し、鉄濃度0.0
008重量%、マンガン濃度0.35重量%、臭素濃度
0.4重量%で、水分濃度50重量%、酢酸濃度49重
量%の触媒液を1000g仕込み、窒素雰囲気下、圧力
25kg/cm2 G、温度210℃に昇圧、昇温した。
2,4,5−トリメチルベンズアルデヒドを100g/
hおよび前記濃度の触媒液を800g/hで供給し、空
気を導入し、オフガスの酸素濃度が2容量%となるよう
に流量を調節し、反応を行った。液面が一定になるよう
に反応生成物を連続的に抜き出した。滞留時間は63分
である。反応を8時間継続し、原料、触媒液の供給を停
止し、酸素濃度が15容量%となるまで空気の吹き込み
を継続した。次に反応生成物を分析し、収率を求めた。
結果を表1に示す。
実施例1と同じ条件で反応を行った。結果を表1に示
す。鉄を微量添加することにより、収率および反応速度
が高くなることが分かる。
コバルト4水塩を入れて、マンガン濃度0.25重量
%、コバルト濃度0.10重量%、臭素濃度0.4重量
%で、水分濃度50重量%、酢酸濃度49重量%で、他
は実施例1と同じ条件で反応を行った。結果を表1に示
す。従来のコバルト−マンガン−臭素系触媒よりも本発
明の鉄−マンガン−臭素系触媒の方が、収率および反応
速度が高くなることが分かる。
セリウム、鉄を添加した場合の反応を行った。ジルコニ
ウム化合物には酢酸ジルコニウム、セリウム化合物には
臭化第一セリウム5水塩を用い、触媒液を1000g仕
込んだ。2,4,5−トリメチルベンズアルデヒドを4
0g/h及び触媒液を380g/hで供給した。触媒液
の水濃度は50重量%とした。圧力25kg/cm2 G、
温度210℃で、オフガスの酸素濃度が5容量%となる
ように空気を吹き込み、反応を行った。液面が一定にな
るように反応生成物を連続的に抜き出した。滞留時間は
約120分である。反応を8時間継続し、原料、触媒液
の供給を停止し、酸素濃度が15容量%となるまで空気
の吹き込みを継続した。反応生成物を分析し、収率を求
めた。触媒液の組成及び結果を表2に示す。
微量添加することで収率が向上する。 実施例3と実施例4の比較から、鉄とジルコニウムに
セリウムを微量添加することで収率が向上する。
反応を行った。触媒液を1000g仕込み、2,4,5
−トリメチルベンズアルデヒドを40g/h及び触媒液
を380g/hで供給した。圧力25kg/cm2 G 、温
度210℃で、オフガスの酸素濃度が5容量%となるよ
うに空気を吹き込んで反応を行い、液面が一定になるよ
うに反応生成物を連続的に抜き出した。滞留時間は約1
20分である。反応を8時間継続し、原料、触媒液の供
給を停止し、酸素濃度が15容量%となるまで空気の吹
き込みを継続した。反応生成物を分析し、収率を求め
た。触媒液の組成及び結果を表3に示す。これより水分
濃度が低すぎると触媒活性が落ちて収率が低下すること
が分かる。
アルデヒドの代わりに2,4,5−トリメチル安息香酸
を44g/hで供給し、他は実施例7と同じ条件で反応
を行った。その結果、ピロメリット酸の収率は76.5
mol%、中間体収率は3.8mol%であった。
発明によりマンガン−臭素触媒に鉄、ジルコニウム、セ
リウムを含む触媒と、特定範囲の水分を含む含水酢酸溶
媒を用いて、2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド
やその酸化誘導体を液相酸化することにより、ピロメリ
ット酸が連続的に高収率で得られる。本発明の触媒は活
性が高く、特定範囲の水分を含む含水酢酸溶媒を用いる
ことにより低臭素濃度で反応が行われることから腐食性
が低い。従って本発明により従来困難であったピロメリ
ット酸を、反応器にジルコニウム等の高級材質を用いず
に、連続的に高収率で得ることができるようになるの
で、本発明の工業的意義は大きい。
Claims (4)
- 【請求項1】臭素、マンガンおよび鉄、もしくは更にジ
ルコニウム及び/又はセリウムを含む触媒の存在下、1
0〜90重量%の酢酸溶媒を用いて、2,4,5−トリ
メチルベンズアルデヒド及び/又はその酸化誘導体を1
80〜240℃の温度で連続的に液相酸化することを特
徴とするピロメリット酸の製造法。 - 【請求項2】溶媒中の臭素イオン濃度が0.05〜2重
量%、溶媒中のマンガン、鉄、ジルコニウム、セリウム
の全重金属原子濃度が0.03〜2重量%、臭素イオン
に対する全重金属原子比が0.5〜15の範囲である請
求項1に記載のピロメリット酸の製造法。 - 【請求項3】マンガン、鉄、ジルコニウム、セリウムの
全重金属の合計量に対するマンガン含量が55〜99.
7重量%、鉄含量が0.1〜15重量%、ジルコニウム
含量が0.1〜15重量%、セリウム含量が0.1〜1
5重量%である請求項2に記載のピロメリット酸の製造
法。 - 【請求項4】溶媒中の鉄濃度が1〜200ppm、ジル
コニウム濃度が0〜500ppm、セリウム濃度が0〜
500ppmの範囲である請求項1に記載のピロメリッ
ト酸の製造法。
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---|---|---|---|
JP12860599A JP4352191B2 (ja) | 1999-05-10 | 1999-05-10 | ピロメリット酸の製造法 |
EP20000109153 EP1052239B1 (en) | 1999-05-10 | 2000-05-08 | Process for producing pyromellitic acid |
DE2000609785 DE60009785T2 (de) | 1999-05-10 | 2000-05-08 | Verfahren zur Herstellung von Pyromellitsäure |
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Publication Number | Publication Date |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004217586A (ja) * | 2003-01-16 | 2004-08-05 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | 芳香族ポリカルボン酸及び該酸無水物の製造方法 |
JP2005145954A (ja) * | 2003-10-20 | 2005-06-09 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | ピロメリット酸の製造方法 |
-
1999
- 1999-05-10 JP JP12860599A patent/JP4352191B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2004217586A (ja) * | 2003-01-16 | 2004-08-05 | Mitsubishi Gas Chem Co Inc | 芳香族ポリカルボン酸及び該酸無水物の製造方法 |
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JP4734877B2 (ja) * | 2003-10-20 | 2011-07-27 | 三菱瓦斯化学株式会社 | ピロメリット酸の製造方法 |
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JP4352191B2 (ja) | 2009-10-28 |
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