JP2000314363A - スクータ型車両のキック始動装置 - Google Patents

スクータ型車両のキック始動装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 メインスタンドを格納した状態であっても、
キックアームのキック作動角を大きくできるようにし
て、エンジンの始動操作を容易にすること。 【解決手段】 スクータ型車両は、エンジン22の動力
を後輪に伝達するための伝動機構23を収納するスイン
グ式伝動ケース91に、エンジン始動用のキックアーム
92を取付けたものである。メインスタンド112を格
納した状態でキックアーム92のキック作動角を大きく
するために、キックアーム92のスイング中心P1を伝
動ケース91の高さ中心より上方へオフセットさせた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスクータ型車両のキ
ック始動装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】スクータ型車両のキック始動装置に関す
る技術は、例えば、特開平5−180127号公報「ス
クータ型車両のキック始動装置」(従来の技術)があ
る。上記従来の技術は、その公報の図1によれば、スイ
ング式エンジンユニットケース2a(番号は公報に記載
されたものを引用した。以下同じ。)の側面にキックレ
バー13を備えるとともに、車体にセンタースタンド8
を備え、格納された状態のセンタースタンド8が、キッ
クレバー13のストッパの役割を果たすようにしたとい
うものである。センタースタンド8を起立させたときだ
け、キックレバー13をキック操作することができる。
【0003】さらに、従来の技術は、キックレバー13
のキック軸14の中心を、エンジン6のクランク軸10
の中心と、後輪に動力を伝達するミッションドライブ軸
11の中心と、を結ぶ線12よりも下方へ配置したもの
である。今まで線12の上に配置していたキック軸14
の中心を、下方へオフセットさせ、さらに、キック軸1
4から後上方へキックレバー13を延すことにより、キ
ックレバー13のキック作動角を大きくすることができ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、スクータ型
車両を走行させるときには、センタースタンド8(メイ
ンスタンドに相当)を格納した状態で、エンジン6を始
動させることがある。上記従来の技術では、このような
ときにキックレバー13(キックアームに相当)をキッ
ク操作すると、キックレバー13がセンタースタンド8
に当るので、始動操作ができない。センタースタンド8
がキックレバー13に干渉しないようにするには、一方
を車幅方向へ突出させることが考えられる。しかし、こ
れでは車幅方向へ突出するので、スクータ型車両の外観
性を良好に保つことが容易でない。
【0005】そこで本発明の目的は、メインスタンドを
格納した状態であっても、キックアームのキック作動角
を大きくできるようにして、エンジンの始動操作を容易
にした技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1は、エンジンの動力を後輪に伝達するための
伝動機構を収納するスイング式伝動ケースに、エンジン
始動用のキックアームを取付けたスクータ型車両におい
て、メインスタンドを格納した状態でキックアームのキ
ック作動角を大きくするために、キックアームのスイン
グ中心を伝動ケースの高さ中心より上方へオフセットさ
せたことを特徴とする。
【0007】キックアームのスイング中心を伝動ケース
の高さ中心より上方へオフセットさせた分だけ、キック
アームはメインスタンドから離れる。メインスタンド又
はキックアームを車幅方向へ突出させなくても、メイン
スタンドを格納した状態でキックアームをキック操作し
たときに、キックアームのキック作動角を大きくするこ
とができる。従って、エンジンの始動操作は容易であ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図面に
基づいて以下に説明する。なお、「前」、「後」、
「左」、「右」、「上」、「下」は作業者から見た方向
に従い、Frは前側、Rrは後側、Lは左側、Rは右
側、CLは車体中央(車幅中心)を示す。また、図面は
符号の向きに見るものとする。
【0009】図1は本発明に係るスクータ型車両の左側
面図である。スクータ型車両10は、車体フレーム11
と、車体フレーム11のヘッドパイプ12に取付けたフ
ロントフォーク13と、フロントフォーク13に取付け
た前輪14並びにフロントフェンダ15と、フロントフ
ォーク13に連結したハンドル16と、ハンドル16周
りを覆うハンドルカバー17と、車体フレーム11の中
央低部(低床部分)に取付けた補機収納ボックス18
と、車体フレーム11の後上部に取付けたスイング式パ
ワーユニット21(前部のエンジン22と後部の伝動機
構23の組合せ構造)と、パワーユニット21の後部に
取付けた後輪24と、車体フレーム11の後部上部にパ
ワーユニット21を懸架するリヤサスペンション25
と、車体フレーム11の後部上部に取付けた収納ボック
ス26と、収納ボックス26の上部に取付けたシート2
7と、収納ボックス26の後方で車体フレーム11の後
部上部に取付けた燃料タンク28と、車体フレーム11
を覆うボディカバー30とを主要構成とした自動二輪車
である。
【0010】ボディカバー30は、ヘッドパイプ12の
前部を覆うフロントカバー31と、運転者の脚部を覆う
ためのレッグシールド32と、運転者の足載せのための
ステップフロア33と、ステップフロア33の下方に配
置して車体フレーム11の下部を覆うアンダカバー34
と、車体フレーム11の後半部を覆うリヤカバー35と
からなる。図中、16aはグリップ、41はフロントサ
スペンション、42はヘッドランプ、43はメインスタ
ンド、44はエンジン始動用のキックアーム、45はテ
イルランプ、46はリヤフェンダ、47はリヤグリッ
プ、48はエアクリーナ、49はキャブレータである。
【0011】図2は本発明に係るスクータ型車両の平面
図であり、スクータ型車両10にメータ51、左右のミ
ラー52,52、ラジエータ53、マフラ54を備えた
ことを示す。ラジエータ53は、パワーユニット21の
右側に一体に設けたものである。
【0012】図3は本発明に係る車体フレームの分解斜
視図である。車体フレーム11は、ステップフロア33
(図1参照)の下方で、前フレーム11Fと後フレーム
11Rとサブフレーム81とに前後三分割した分割フレ
ームである。前フレーム11Fは、ヘッドパイプ12
と、ヘッドパイプ12から下方へ延びるヘッドパイプポ
スト61と、ヘッドパイプポスト61の下端から後方へ
二股状に延びる左右一対のメインフレーム62,62
と、左右のメインフレーム62,62の後端間に掛け渡
した後部クロスメンバ63とからなり、平面視略ロ字状
枠の一体鋳造フレーム、例えば、アルミニウム合金の鋳
造品である。平面視ロ字状枠であるから、中央に空間部
S1を有することになる。
【0013】このように、左右のメインフレーム62,
62は、ヘッドパイプ12から後方へ延びる部材であ
り、その後端下部に、後上方へ傾斜した傾斜面を形成
し、この傾斜面を前部結合面64,64としたものであ
る。後部クロスメンバ63は、正面視上開放コ字状部材
であり、その車幅中央部の高さをメインフレーム62,
62よりも下位に設定したものである。
【0014】後フレーム11Rは、左右一対のメインフ
レーム71,71と、左右のメインフレーム71,71
の前後方向の中間部間に掛け渡した前部クロスメンバ7
2と、左右のメインフレーム71,71の後端間に掛け
渡した後部クロスメンバ73とからなる、一体鋳造フレ
ーム、例えば、アルミニウム合金の鋳造品である。左右
のメインフレーム71,71は、前端下部に、後下方へ
傾斜した傾斜面を形成し、この傾斜面を後部結合面7
4,74としたものである。これらのメインフレーム7
1,71は、さらに後方へ延び、その後端から上方へ延
び、その上端からさらに後上方へ延びた、側面視略逆Z
状の部材である。
【0015】車体フレーム11は、前部結合面64,6
4に後部結合面74,74を重ね合わせて、ボルト・ナ
ット75・・・(・・・は複数を示す。以下同じ。)にて結合
することにより、前フレーム11Fに後フレーム11R
を一体的に結合したものである。後フレーム11Rは後
端部にサブフレーム81を、ボルト・ナット85・・・に
て結合したものである。サブフレーム81は、左右の起
立した収納ボックス用ポスト82,82と、収納ボック
ス用ポスト82,82間を繋いだ連結ステー83とから
なる。サブフレーム81の結合部分、すなわち、ボルト
・ナット85・・・にて結合する部分は、リヤサスペンシ
ョン取付部77の前後に設けられており、補強を兼ねて
いる。76はハンガピボット部である。
【0016】図4は本発明に係る後フレーム、パワーユ
ニット並びにメインスタンド周りの左側面図である。パ
ワーユニット21は、側面から見たときに概ね水平向き
に配置したものであり、エンジン22の動力を後輪24
(図1参照)に伝達するための、伝動機構(変速機構を
含む。)23を収納するスイング式伝動ケース91に、
エンジン始動用のキックアーム92を取付けたものであ
る。エンジン22は、OHC型4サイクル単気筒水冷式
エンジンであり、ヘッドカバー101を前向きに配置
し、ヘッドカバー101に点火コイル102を備えると
ともに、シリンダヘッド103に点火プラグ104を備
え、これらの点火コイル102と点火プラグ104とを
高電圧コード105にて接続したものである。さらにこ
の図は、後フレーム11Rにブラケット111を介して
メインスタンド112を上下スイング可能に取付けたこ
とを示す。
【0017】本発明は、メインスタンド112を格納し
た状態でキックアーム92のキック作動角を大きくする
ために、キックアーム92のスイング中心P1を伝動ケ
ース91の高さ中心より上方へオフセットさせたことを
特徴とする具体的には、エンジン22のクランク軸10
6の中心P2と、後輪24に動力を伝達するドライブ軸
107の中心P3と、を結ぶ線をXとする。この線X
は、側面から見たときに概ね水平な線であり、伝動ケー
ス91の高さ中心を通る。以下、線Xのことを伝動ケー
ス91の高さ中心と言う。
【0018】キックアーム92のスイング中心P1、す
なわち、キック軸93の中心は、伝動ケース91の高さ
中心Xより上方へ所定の距離(オフセット量)Yだけオ
フセットするとともに、クランク軸106の中心P2よ
りも後方へ配置したものである。キックアーム92は、
キック軸93から後方へ延びるとともに、その先端にキ
ックペダル94を取付けたものである。キックペダル9
4は、図に示す格納位置から紙面手前側へ倒して、使用
することになる。
【0019】さらにキックアーム92は、側面から見た
ときに、メインスタンド112の先端を迂回するように
概ね「へ」字状に形成したものである。ところで、キッ
クアーム92並びにメインスタンド112は、リヤカバ
ー35(図2参照)の幅内にほとんど収る範囲に、配置
したものである。このため、キックアーム92並びにメ
インスタンド112が車幅方向へ突出することはない。
図中、96は伝動ケース用カバーである。
【0020】図5は本発明に係るパワーユニット取付構
造の要部を断面した左側面図であり、後フレーム11R
にハンガ機構120を介してパワーユニット21(図4
参照)を上下スイング可能に取付けたことを示す。
【0021】図6は図5の6−6線断面図である。ハン
ガ機構120は、後フレーム11Rの左右のメインフレ
ーム71,71に緩衝部材121,121を介して取付
けた左右一対の第1ピボット軸122,122と、これ
らのピボット軸122,122に上下スイング可能に取
付けた左右のリンクプレート123,123と、これら
のリンクプレート123,123の前端部間に掛け渡し
た連結ロッド124と、左右のリンクプレート123,
123の後端部間に掛け渡した第2ピボット軸125
と、第2ピボット軸125に緩衝部材126,126を
介して上下スイング可能に取付けた左右のハンガプレー
ト127,127とからなる。
【0022】左右の第1ピボット軸122,122は、
車幅方向に延びる同一軸心上に配置したボルト・ナット
である。左右のリンクプレート123,123は、第1
ピボット軸122,122と直交する方向に延びた板材
である。第2ピボット軸125は、第1ピボット軸12
2,122に並行に配置したボルト・ナットである。左
右のハンガプレート127,127は、伝動ケース91
(図4参照)から延びた吊下げ部材である。左又は右の
リンクプレート123は、前端部に前部スイング規制部
128を備えるとともに、後端部に後部スイング規制部
129を備える。前・後部スイング規制部128,12
9は、緩衝材である。
【0023】一旦図5に戻って説明を続けると、前部ス
イング規制部128の上端面はメインフレーム71の第
1ストッパ面78に接し、後部スイング規制部129の
上端面はメインフレーム71の第2ストッパ面79に接
するように配置したものである。従って、リンクプレー
ト123のスイング運動は、第1・第2ストッパ面7
8,79によって規制される。この結果、リンクプレー
ト123のスイング量が少ないので、パワーユニット2
1(図4参照)は主に第2ピボット軸125を中心にス
イングする。第2ピボット軸125の高さは、第1ピボ
ット軸122よりも低い。パワーユニット21に衝撃力
が作用したときには、前・後部スイング規制部712
8,129が弾性変形することによって、後フレーム1
1Rに伝わる衝撃力を緩和する。
【0024】図7は本発明に係るキックアームとメイン
スタンドの関係を示す作用図である。メインスタンド1
12は、実線にて示す格納位置から想像線にて示す起立
位置へ、スイング可能である。キックアーム92は、実
線にて示す中立位置Aから時計回り方向へスイング可能
であり、キック操作力がないと、元の中立位置Aに自動
復帰する。中立位置Aにおいて、キックペダル94を倒
してキック操作をしたときに、位置Bまで角度θaだけ
キックアーム92をスイングさせることにより、クラン
ク軸106を回してエンジン22を始動させることがで
きる。上記角度θaは、エンジン22を始動させるのに
最低限必要なキックアーム92のスイング角、すなわ
ち、キックアーム92の必要始動スイング角である。
【0025】メインスタンド112を格納した状態にお
いては、メインスタンド112の先端113にキックア
ーム92が当るまで、キックアーム92をスイングさせ
ることができる。当ったときのキックアーム92の位置
はCである。キックアーム92が中立位置Aから位置C
までスイングする最大スイング角、すなわち、キック作
動角はθbである。キック作動角θbは、必要始動スイ
ング角θaよりも十分に大きい。従って、キックアーム
92のキック操作により、エンジン22を容易に始動さ
せることができる。
【0026】このように、キックアーム92のスイング
中心P1を、伝動ケース91の高さ中心Xより上方へオ
フセットさせたので、オフセットさせた分だけ、キック
アーム92をメインスタンド112から離すことができ
る。このため、キックアーム92又はメインスタンド1
12を車幅方向へ突出させなくても、メインスタンド1
12を格納した状態でキックアーム92をキック操作し
たときに、キックアーム92のキック作動角θbを大き
くすることができる。従って、エンジン22を容易に始
動操作することができる。しかも、キックアーム92や
メインスタンド112が車幅方向へ突出しないので、ス
クータ型車両の外観性を良好に保つことができる。
【0027】なお、上記本発明の実施の形態において、
キックアーム92のスイング中心P1は、クランク軸1
06の中心P2より前方へ配置してもよい。また、キッ
クアーム92の形状は、「へ」字状に形成したものに限
定されるものではなく、例えば、ストレート形状であっ
てもよい。
【0028】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1は、メインスタンドを格納した状態でキ
ックアームのキック作動角を大きくするために、キック
アームのスイング中心を伝動ケースの高さ中心より上方
へオフセットさせたので、オフセットさせた分だけ、キ
ックアームをメインスタンドから離すことができる。こ
のため、メインスタンド又はキックアームを車幅方向へ
突出させなくても、メインスタンドを格納した状態でキ
ックアームをキック操作したときに、キックアームのキ
ック作動角を大きくすることができる。従って、エンジ
ンを容易に始動操作することができ、しかも、スクータ
型車両の外観性を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るスクータ型車両の左側面図
【図2】本発明に係るスクータ型車両の平面図
【図3】本発明に係る車体フレームの分解斜視図
【図4】本発明に係る後フレーム、パワーユニット並び
にメインスタンド周りの左側面図
【図5】本発明に係るパワーユニット取付構造の要部を
断面した左側面図
【図6】図5の6−6線断面図
【図7】本発明に係るキックアームとメインスタンドの
関係を示す作用図
【符号の説明】
10…スクータ型車両、11…車体フレーム、21…パ
ワーユニット、22…エンジン、23…伝動機構、24
…後輪、91…スイング式伝動ケース、92…キックア
ーム、93…キック軸、94…キックペダル、106…
クランク軸、107…ドライブ軸、112…メインスタ
ンド、P1…キックアームのスイング中心(キック軸の
中心)、P2…クランク軸の中心、P3…ドライブ軸の
中心、X…伝動ケースの高さ中心、Y…オフセット量、
θa…必要始動スイング角、θb…キック作動角。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンの動力を後輪に伝達するための
    伝動機構を収納するスイング式伝動ケースに、エンジン
    始動用のキックアームを取付けたスクータ型車両におい
    て、メインスタンドを格納した状態で前記キックアーム
    のキック作動角を大きくするために、キックアームのス
    イング中心を前記伝動ケースの高さ中心より上方へオフ
    セットさせたことを特徴とするスクータ型車両のキック
    始動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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