JP2000309858A - 電磁鋼板及びその製造方法 - Google Patents

電磁鋼板及びその製造方法

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JP2000309858A
JP2000309858A JP11115073A JP11507399A JP2000309858A JP 2000309858 A JP2000309858 A JP 2000309858A JP 11115073 A JP11115073 A JP 11115073A JP 11507399 A JP11507399 A JP 11507399A JP 2000309858 A JP2000309858 A JP 2000309858A
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annealing
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less
rolled
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JP11115073A
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English (en)
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Ichiro Tanaka
一郎 田中
Hiroyoshi Yashiki
裕義 屋鋪
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の無方向性電磁鋼板よりもL方向の磁気
特性が優れ、従来の一方向性電磁鋼板よりもC方向の磁
気特性が優れる二方向性電磁鋼板とその効率的な製造方
法を提供する。 【解決手段】 C≦0.010%、Si≦4.0%、M
n≦4.0%、S≦0.01%、Al≦0.030%、
N≦0.010%、残部が実質的にFeからなり、厚さ
が0.15〜0.50mmで、板厚中心部の集合組織の
下記式で表されるTP値が0.25以上である電磁鋼
板。この電磁鋼板は上記化学組成を備えた鋼を熱間圧
延、冷間圧延して厚さが0.50mm以上の鋼板とし、
650〜1000℃での一次再結晶焼鈍と750〜10
50℃で4〜200時間保持する二次再結晶焼鈍を施
し、さらに50%以上冷間圧延して厚さが0.15〜
0.50mmの鋼板とし、650℃〜1000℃で再結
晶焼鈍して得られる。TP= [P(420) +P(310)]/
[P(211) +P(222) +P(332)]。ここで、P(hkl) は
板厚中心部における(hkl) 面のX線回折積分強度比を表
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板面内の圧延方
向と圧延直角方向の2方向に優れた磁気特性を有する電
磁鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在一般的に使用されている電磁鋼板
は、{110}<001>集合組織(いわゆるゴス方
位)を有する一方向性電磁鋼板と、ゴス方位を有さない
無方向性電磁鋼板に大別される。一方向性電磁鋼板は、
{110}面が板面に平行で結晶の磁化容易軸である<
001>軸が圧延方向(以下、単に「L方向」と記す)
に平行に集積している為にL方向の磁化特性は著しく優
れている。しかしながら磁化されにくい<011>軸が
圧延直角方向(以後「C方向」と記す)に平行になるた
め、C方向の磁化特性は良くない。従って一方向性電磁
鋼板は一方向に磁化される用途に好適で、主として変圧
器等の静止機用鉄心に使用されている。
【0003】無方向性電磁鋼板は、L方向の磁化特性は
一方向性電磁鋼板に比較すると劣るがC方向のそれは一
方向性電磁鋼板よりも優れており、鋼板板面内での磁気
特性の異方性が比較的小さいので、種々の方向に磁化さ
れるモーター等の回転機用鉄心を中心に使用されてい
る。
【0004】電磁機器の効率を高めるために電磁鋼板の
高磁束密度化、低鉄損化が求められているが、回転機用
鉄心のように種々の方向に磁化される用途に対しては、
L方向に加えて、C方向での磁気特性が優れた鋼板が求
められている。変圧器鉄心であってもこのような性能を
備えた電磁鋼板は有用である。このような鋼板として、
{100}が鋼板表面に平行で、<001>軸がL方向
とC方向とに集積した集合組織を備えた、いわゆる二方
向性電磁鋼板が好適と考えられている。
【0005】特開平1−139722号公報には、珪素
鋼板を交叉圧延して最終板厚とし、その後の仕上焼鈍過
程において二次再結晶させる二方向性電磁鋼板の製造方
法が開示されている。また、特開昭56−87627号
公報には、珪素鋼急冷薄帯を真空中で高温焼鈍し、{1
00}面の集積度を高める方法が開示されている。
【0006】特開平5−70833号公報には、重量%
でC:0.010〜0.10%、Si:4.0%を含有
し、Mn、Sおよび/またはSeを二次再結晶焼鈍時の
インヒビター形成元素として含有するスラブを熱間圧延
し、冷間圧延した後、脱炭焼鈍と、900〜1200℃
の温度範囲での連続焼鈍を施すことを特徴とする電磁鋼
板の製造方法が開示されている。これは磁気特性の異方
性のバランスが優れ大型回転機の素材として好適な電磁
鋼板の経済的な製造方法を提供することを目的としたも
のである。
【0007】特開平7−18334号公報には、重量%
でC:0.010%以下、Si:1.5〜4%、Mn:
1.0〜4.0%、S:0.01%以下、sol.A
l:0.003〜0.03%、N:0.001〜0.0
1%を含有するスラブを、熱間圧延し、冷間圧延した
後、連続焼鈍による一次再結晶焼鈍と水素雰囲気中で8
00〜1000℃の温度域に4〜100時間保持して二
次再結晶を起こさせることを特徴とする磁気特性のバラ
ンスに優れた電磁鋼板の製造方法が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】二方向性電磁鋼板の製
造方法として特開平1−139722号公報に開示され
ている方法では、交叉冷間圧延の生産性が極めて低くそ
の実施が容易ではない。特開昭58−87627号公報
に記載されている真空中で高温焼鈍する方法も、現実に
は熱処理条件の制御に高度な技術を要するため、本格的
な工業生産に至っていない。
【0009】特開平5−70833号公報に開示されて
いる方法は脱炭焼鈍した冷延鋼板またはさらに0.5〜
5.0%の軽度の冷間圧延を施した鋼板に短時間の連続
焼鈍を施すことにより所望の磁気特性を得ようとするも
のである。しかしながらこの方法では、得られる製品の
磁気特性が変動し易いという問題がある。
【0010】特開平7−18334号公報に開示されて
いる方法では二次再結晶焼鈍によって製品を仕上げてい
るためゴス方位の集積度が高く、磁気特性の異方性の改
善効果が十分ではない。
【0011】このように従来の電磁鋼板は性能的に不満
足であり、特に分割鉄心用素材としてはさらなる改善が
求められている。
【0012】本発明の目的はこれらの問題点を解決し、
従来の無方向性電磁鋼板よりもL方向の磁気特性が優
れ、従来の一方向性電磁鋼板よりもC方向の磁気特性が
優れる二方向性電磁鋼板およびその効率的な製造方法を
提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、電磁鋼板
の磁気特性を改善するための結晶集合組織に関して種々
研究を重ねた結果、以下に示すような新たな知見を得
た。
【0014】{110}<001>集合組織を有する鋼
板に特定の条件で冷間圧延と再結晶焼鈍を施すことによ
り、{110}面を圧延方向の<001>軸周りに鋼板
表面に対して20〜25°回転した{210}<001
>、{310}<001>などからなる集合組織が形成
される。
【0015】上記のような集合組織を備えた鋼板のC方
向には、<012>、<013>など、<001>方向
よりは劣るが、<011>方向に比較するとはるかに磁
化されやすい方向の結晶軸が鋼板の圧延直角方向に集積
する。従ってこの鋼板のC方向の磁気特性は一方向性電
磁鋼板のそれよりも良好である。また、<001>軸が
L方向に平行であるので、L方向の磁化特性は、一方向
性電磁鋼板に比較すると若干劣るが従来の無方向性電磁
鋼板に比較すると極めて良好である。
【0016】本発明者らが上記知見を確認するに至った
実験内容を以下に説明する。
【0017】重量%で、C:0.003%、Si:2.
3%、Mn:1.7%、S:0.007%、sol.A
l:0.012%、N:0.0020%を含有する厚さ
が2.3mmの熱延鋼板を用い、これを酸洗して種々の
厚さに冷間圧延し、930℃で30秒間保持する連続焼
鈍(一次再結晶焼鈍)し、焼鈍分離剤を塗布し、実質的
に水素ガスからなる雰囲気中で850℃の温度範囲で2
4時間保持する二次再結晶焼鈍を施し、焼鈍分離剤を除
去して中間材とした。その後、最終の冷間圧延と950
℃で30秒間保持する連続焼鈍(再結晶焼鈍)を施して
集合組織を制御した電磁鋼板を作製した。
【0018】比較として、同一の熱延鋼板を用い、二次
再結晶焼鈍を施さず、それ以外は上記と同様の条件で処
理した、通常の2回冷延法の製造工程による無方向性電
磁鋼板を作製した。鋼板の厚さはいずれも0.25mm
であった。
【0019】得られた鋼板のL方向とC方向の磁束密度
を公知のエプスタイン法で測定した。また、鋼板の板厚
中心部における結晶集合組織のX線回折積分強度をラン
ダム試料のX線回折積分強度に対する比(以下、「積分
強度比」、「P(hkl)」と記す)として求めた。X
線回折積分強度の測定は、(420)面および(31
0)、(211)、(222)、(332)面とした。
(420)面の積分強度は、消滅則により測定できない
(210)面に代わるものであり、(210)面の集積
強度を表すものである。(210)、(310)面は磁
化が最も容易な<001>軸をL方向に配し、C方向に
は<012>または<013>軸を配した面であるの
で、これらの面の集積度が高いほどL方向の磁化特性が
優れるうえ、C方向についても一方向性電磁鋼板に比較
して優れた磁化特性を有する。(211)、(22
2)、(332)は、面内に磁化容易軸である<001
>軸を含まないので、これらの面の集積度が低いほど磁
化特性が優れる。本発明では、このような集積度を表現
する尺度として下記式で表される両者の比「TP値」を
用いる。板厚表層部は圧延時に剪断変形を受けるため
{110}<001>方位が発達する傾向にあり、上記
の集合組織は板厚中央部において発達し易い。このた
め、TP値は板厚中心部の集合組織について定義する。
【0020】
【数2】
【0021】TP値が大きいほどL方向およびC方向の
磁気特性が良好な集合組織が形成されていることを意味
する。
【0022】図1は、上記実験で得られたTP値とL、
C2方向の磁束密度B50との関係を示すグラフである。
同図で○印は二次再結晶焼鈍を施した後最終冷間圧延と
再結晶焼鈍を施して集合組織を制御した電磁鋼板であ
り、●印および■印は二次再結晶焼鈍を施さずに作製し
た比較用の無方向性電磁鋼板である。
【0023】図1に示されているように、磁束密度はL
方向、C方向共にTP値と良好な相関関係があり、TP
値が0.25以上であれば従来の無方向性電磁鋼板より
も磁束密度がL方向で0.02T以上、C方向でも0.
01T以上高く、L、C2方向で磁束密度が向上してい
る。
【0024】ちなみにSiを3%含有する一般的な一方
向性電磁鋼板の磁束密度B50はL方向で1.95〜1.
99Tであるが、C方向では1.55T程度であり、極
めて低いものである。またSiを2.3%含有する一般
的な無方向性電磁鋼板の磁束密度B50はL方向で1.7
2〜1.73T、C方向では1.64T程度である。
【0025】上記のような集合組織を発達させるには、
二次再結晶した珪素鋼板を中間材として使用し、これに
高い圧下率での冷間圧延を施して最終板厚とし、再結晶
焼鈍して製造するのがよい。中間材を製造する素材とし
ては、経済性を損なう脱炭焼鈍を省略するためにC含有
量が低く、良好な二次再結晶をおこなわせるためにイン
ヒビターとして適量のAlとNを含有する鋼を用いるの
がよい。
【0026】本発明は、以上のような新たに得られた知
見に基づいて完成されたものであり、その要旨は下記
(1)に記載の電磁鋼板及び(2)に記載のその製造方
法にある。
【0027】(1)重量%で、C:0.010%以下、
Si:4.0%以下、Mn:4.0%以下、S:0.0
1%以下、sol.Al:0.030%以下、N:0.
010%以下を含有し、残部が実質的にFeからなり、
厚さが0.15〜0.50mmで、板厚中心部の集合組
織が、下式で表されるTP値で0.25以上であること
を特徴とする電磁鋼板。
【0028】
【数3】
【0029】ここで、P(hkl) は板厚中心部における(h
kl) 面のX線回折積分強度のランダム試料のそれに対す
る比を表す。
【0030】(2)重量%で、C:0.010%以下、
Si:4.0%以下、Mn:4.0%以下、S:0.0
1%以下、sol.Al:0.003〜0.030%、
N:0.001〜0.010%を含有し、残部が実質的
にFeからなる鋼を熱間圧延し、得られた熱間圧延鋼板
に1回もしくは中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を
施して厚さが0.50mm以上の鋼板とし、これに65
0〜1000℃での一次再結晶焼鈍および750〜10
50℃で4〜200時間保持する二次再結晶焼鈍を施
し、さらに50%以上の圧下率で冷間圧延して厚さが
0.15〜0.50mmの鋼板とし、650℃〜100
0℃で再結晶焼鈍を施すことを特徴とする上記(1)に
記載の電磁鋼板の製造方法。
【0031】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を詳細に述べ
る。なお、以下に示す%表示は重量%を意味する。
【0032】a.鋼の化学組成 C:Cが製品中に残存すると鉄損に悪影響を及ぼし磁気
時効が生じる原因ともなる。このためC含有量は少ない
ほどよい。特に磁気時効を抑制する観点から、C含有量
は0.010%以下とする。好ましくは0.005%以
下、さらに好ましくは0.003%以下がよい。
【0033】Si:Siは鋼の電気抵抗を増し、渦電流
損を減少させ鋼板の鉄損を低減する作用がある。このた
め、鉄損を低減したい場合にはSiを含有させるのがよ
い。特に鉄損低減が重視される場合には2%以上含有さ
せるのがよい。しかしながらSiを4%を超えて含有さ
せると鋼の加工性が劣化して冷間圧延が困難になる。こ
のためSi含有量は4.0%以下とする。
【0034】他方、Si含有量が増すと鋼板の飽和磁束
密度が低くなる。このため、例えば鉄心を小型化する場
合など磁束密度を重視する用途においてはSi含有量は
少なくするのがよい。従ってSi含有量の下限は定めな
い。Si含有量は4%以下の範囲で、所望の磁束密度や
鉄損のレベルに応じて決めればよい。
【0035】Mn:Mnは必須元素ではないが、鋼の電
気抵抗を増し、鉄損を低減する作用があるので鉄損を低
減したい場合には含有させてもよい。しかしながら過剰
に含有させると飽和磁束密度が低下するうえ、加工性が
劣化し冷間圧延に支障をきたすため、含有させる場合で
もその上限は4.0%とする。下限は定めないが、鋼の
熱間脆性を防止し熱間圧延性を確保するために0.05
%以上含有させるのがよい。製品の鉄損低減を重視する
場合にはMnを1.0〜4.0%含有させるのがよく、
磁束密度を重視する場合には1.0%以下にするのがよ
い。
【0036】S:S含有量が多いと多量の硫化物が生じ
て磁気特性の劣化をもたらすため、S含有量は少ない程
よい。従って、S含有量は0.01%以下とする。望ま
しくは0.005%以下である。
【0037】sol.Al:本発明では、厚さが0.5
0mm以上である中間材を二次再結晶させるために、イ
ンヒビターとしてAlNなどの窒化物を活用する。本発
明においてはsol.Alは二次再結晶焼鈍時にインヒ
ビターを形成する重要な元素であり、製品の{42
0}、{310}面のX線積分強度を高めるのに重要な
役割を果たす。
【0038】sol.Alの含有量が0.003%に満
たない場合にはインヒビター効果が不十分となるため、
sol.Alは素材では0.003%以上含有させる。
他方sol.Alの含有量が0.030%を超えるとイ
ンヒビター量が過剰となりその分散も不適切になるため
に安定した二次再結晶が得られない。このため二次再結
晶焼鈍を施す前の鋼板のsol.Al含有量は0.00
3〜0.030%とする。二次再結晶が終了した後はs
ol.Alは不要であるので、製品でのsol.Alの
下限値は特に規定しない。
【0039】N:中間材となる鋼板を二次再結晶させる
のに必要なインヒビターを形成する元素であり、二次再
結晶を完了させるまでは重要な元素である。このため二
次再結晶焼鈍を施す前の鋼板のN含有量は0.001%
以上とする。しかしながらN含有量が0.01%を超え
るとインヒビターとしての効果が飽和するため、N含有
量は0.01%以下とする。二次再結晶が終了した後の
窒化物は磁気特性を劣化させるので、製品でのN含有量
は少ないほど好ましい。
【0040】残部は実質的にFeおよび不可避的不純物
からなるが、Sb、Sn、Bは最終焼鈍時に結晶粒界か
らの{111}方位の結晶粒の発達を抑制する作用があ
り、鋼板の磁気特性を向上させる効果があるのでこれら
の元素を含有させてもよい。含有させる場合には単独ま
たは複合して0.3%以下とするのがよい。
【0041】b.製品板厚 製品板厚は渦電流損に大きく影響し、特に高周波域での
鉄損を低減するためには板厚を薄くするのが極めて効果
的である。しかしながら、厚さを0.15mm未満に薄
くするのは冷間圧延が困難なうえに、鉄心組立時の作業
効率も損ない製品のコストが高くなる。これを防止する
ために本発明の製品板厚は0.15mm以上とする。製
品板厚が0.50mmを超えると渦電流損が増大し、鉄
損が大幅に増加するのでその厚さは0.50mm以下と
する。特に200〜10000Hz程度の高周波域での
使用時の鉄損低減を考慮する場合には製品板厚を0.3
5mm以下とするのがよい。
【0042】c.集合組織 下式で表される板厚中心部での(211)、(22
2)、(332)面の積分強度比の和に対する(42
0)、(310)面の積分強度比の和の比であるTP値
が大きくなるほどL方向およびC方向の磁束密度が向上
する。特に鉄心の小型化やモータ効率改善効果を得るた
めに、TP値は0.25以上とする。好ましくは0.4
以上である。
【0043】
【数4】
【0044】d.製造方法 本発明の鋼板は、所定の化学組成を有する素材を熱間圧
延し、中間冷延し、一次再結晶焼鈍と二次再結晶焼鈍を
施して中間材とし、これに最終冷間圧延と再結晶焼鈍
(最終焼鈍)を施して製造される。
【0045】素材:素材は前記a項に記載した範囲内の
化学組成を持つスラブである。スラブは常法に従って、
転炉、電気炉等で溶製し、必要があれば真空脱ガス等の
処理を施した溶鋼を連続鋳造する方法や、鋼塊にして分
塊圧延する方法などで製造される。
【0046】熱間圧延:スラブは常法によって熱間圧延
され、脱スケールされて熱延板とされる。熱延条件は特
に規定しないが、スケールロスを抑制するためにスラブ
加熱温度は1270℃以下とするのが望ましい。脱スケ
ール前後に箱焼鈍法や連続焼鈍法により熱延板焼鈍を施
しても良い。この熱延板焼鈍は、析出物の分散状態の適
正化と熱延板の再結晶による結晶組織の均質化を促進
し、二次再結晶の発生を安定化するのに有効である。
【0047】中間冷延:熱延板は中間材の厚さまで冷間
圧延される。中間材を薄くしすぎると最終冷間圧延時に
十分な圧下率を確保できず、最終の再結晶焼鈍を施して
も所望の集合組織が得られない。従って中間材の厚さは
0.50mm以上とする。中間材の厚さの上限は特に規
定しないが、二次再結晶を安定して生じさせるために
1.0mm以下とするのが好ましい。
【0048】中間冷延は1回の冷間圧延でもよいし、焼
鈍をはさむ2回以上の冷間圧延でもよい。中間冷延を1
回の冷間圧延で行なう場合の圧下率は40%以上、90
%以下とするのがよい。圧下率が40%に満たない場合
には、一次再結晶焼鈍での再結晶粒が大きくなりすぎ
て、二次再結晶しにくくなるので好ましくない。60%
以上の圧下率とするのが好ましい。圧下率が90%を超
えると冷間圧延が困難になる。これらの冷延方法は公知
の方法によりおこなえば良い。
【0049】中間冷延を、焼鈍をはさむ2回以上の冷間
圧延で行う場合には、2回目の冷間圧延時の圧下率は5
5〜90%とするのが良い。2回目の冷間圧延圧下率が
40%に満たない場合には、1回冷延法で述べたのと同
様の理由で二次再結晶しにくい。90%を超えると冷間
圧延が困難になる。焼鈍は連続焼鈍でも箱焼鈍でもよ
く、その焼鈍温度は600〜1000℃とするのがよ
い。焼鈍温度が600℃に満たない場合には再結晶しに
くく、1000℃を超えると一次再結晶粒が大きくなり
すぎて二次再結晶が生じ難くなるので好ましくない。
【0050】一次再結晶焼鈍:後述する二次再結晶焼鈍
でゴス方位を形成させるために、一次再結晶焼鈍では急
速加熱するのがよい。従って一次再結晶焼鈍は連続焼鈍
法で行うのが望ましい。その加熱速度は1℃/秒以上、
焼鈍温度は650〜1000℃の範囲とするのがよい。
焼鈍温度が650℃に満たない場合には一次再結晶がお
こらず、1000℃を超えると結晶粒が過度に粗大化
し、次工程で二次再結晶が生じ難くなる。焼鈍時間は5
秒以上10分以下が望ましい。
【0051】二次再結晶焼鈍:二次再結晶焼鈍時の焼付
防止のために、二次再結晶焼鈍前の鋼板には焼鈍分離剤
を塗布するのがよい。焼鈍分離剤は焼鈍時の鋼板表面に
焼き付かないものを用いるのが望ましく、例えばマグネ
シア、アルミナ、シリカなどの無機物がよい。
【0052】二次再結晶焼鈍は、水素ガスを1容積%以
上含有する窒素−水素混合ガスあるいは100%水素ガ
ス雰囲気中で、750〜1050℃の温度域に4〜20
0時間保持しておこなう。焼鈍温度が750℃に満たな
い場合や、焼鈍時間が4時間に満たない場合には二次再
結晶は生じない。一方、焼鈍温度が1050℃を超える
場合にはインヒビター効果が弱くなりすぎてゴス方位に
集積した二次再結晶集合組織が生じにくい。また、10
50℃を超えるとγ相に変態する場合があるので好まし
くない。二次再結晶焼鈍時間が200時間を超えると磁
気特性改善効果が飽和するので、それ以上の焼鈍は経済
性を損い好ましくない。
【0053】焼鈍雰囲気を窒素−水素混合ガスとした場
合には、二次再結晶が完了後、引き続き、窒化物を除去
するための純化焼鈍を施しても良い。その雰囲気は、還
元性でかつ非窒化性の雰囲気とするのが好ましく、工業
的純度の100%水素ガス雰囲気とするのが良い。焼鈍
温度は900〜1050℃がよい。900℃に満たない
場合には窒化物除去効果が十分ではなく、焼鈍温度が1
050℃を超えると窒化物を除去する効果が飽和し、そ
れ以上の焼鈍は経済性に欠けるからである。
【0054】最終冷延:二次再結晶焼鈍を施した中間材
を製品板厚に最終冷間圧延する。二次再結晶焼鈍前に焼
鈍分離剤を塗布した場合は焼鈍分離剤を除去した後に最
終冷延する。最終冷間圧下率が高いほど所望の集合組織
が形成され易い。良好な磁気特性を得るため、最終冷延
圧下率は50%以上とする。好ましくは60%以上であ
る。過度に圧下率を高くすると圧延が困難となり経済性
を損なうので85%以下とするのがよい。
【0055】最終焼鈍:製品板厚に最終冷間圧延された
鋼板には、所望の集合組織を形成させるために最終焼鈍
が施される。この最終焼鈍は連続焼鈍法で施すのがよ
い。鋼板が薄いために箱焼鈍法では焼き付き不良が発生
しやすいうえ、再結晶温度が低い{111}方位が優先
的に発達し所望の集合組織が得にくいためである。
【0056】連続焼鈍時の加熱速度は1℃/秒以上であ
れば良く、焼鈍雰囲気は、通常用いられている非酸化性
雰囲気あるいは還元性雰囲気でよい。連続焼鈍温度は6
50〜1000℃の範囲が好ましい。650℃に満たな
い場合には再結晶が不完全となることがある。1000
℃を超える場合には再結晶粒が大きくなりすぎて鉄損が
悪くなるのでよくない。
【0057】上記の方法で得られた鋼板はそのまま種々
の鉄心に加工して使用できるが、鉄心への加工を容易に
するためや絶縁性を向上させるために、その表面に無機
質や有機質の公知の絶縁皮膜を備えさせるのがよい。
【0058】
【実施例】(実施例1)表1に示す化学組成からなる鋼
のスラブを1150℃に加熱し、800℃で仕上圧延し
て厚さ3.0mmの熱延板を得た。
【0059】
【表1】
【0060】これらの熱延板を常法により酸洗した。こ
れらの酸洗済み熱延板を1.0mmの厚さに中間冷延
し、一次焼鈍として930℃で30秒間保持する連続焼
鈍を施した。次に焼鈍分離剤を塗布し、実質的に水素ガ
スからなる雰囲気中で850℃で24時間保持する二次
再結晶焼鈍を施し、焼鈍分離剤を除去して中間材とし
た。これを0.25mmに最終冷間圧延し(最終冷間圧
下率75%)、950℃で30秒間保持する最終焼鈍を
連続焼鈍法で施した。その後、有機成分と無機成分を複
合して含有する厚さが0.4μmの絶縁皮膜を施して製
品とした。
【0061】これらの製品からL方向とC方向のエプス
タイン試験片を採取し、それぞれの方向の磁気特性を測
定した。一般的な無方向性電磁鋼板の磁束密度はB
50で、そのSi含有量が1.4%前後の場合にはL方向
で1.76T、C方向では1.66T、Si含有量が
1.8%前後の場合にはL方向で1.74T、C方向で
は1.66T、Si含有量が2.3%前後の場合にはL
方向で1.72〜1.73T、C方向では1.64T程
度である。従って本発明では、Si含有量に応じてB50
がL方向で0.02T、C方向で0.01T以上高い場
合を良好と判断した。
【0062】また、製品の片面を化学研磨して板厚中心
部を現出し、板厚中心部の(420)、(310)、
(211)、(222)、(332)面に関するX線回
折積分強度比を測定し、その後TP値を求めた。
【0063】表1にTP値と性能評価結果を示す。表1
からわかるように、TP値と磁束密度の異方性は良好な
対応を示しており、本発明の規定する化学組成を満足す
る鋼B、C、D、F、J、LおよびMはTP値が高く、
L方向C方向とも良好な磁束密度を有していた。so
l.AlまたはN含有量が本発明の規定する範囲外であ
った鋼A、G、E、HおよびKは中間材が二次再結晶し
なかったためにTP値が低く磁束密度が良くなかった。
なお、Si含有量が4.2%である以外は鋼Mと同様の
化学組成を有するスラブも圧延したが、この場合は最終
冷間圧延時に破断し製品を得ることができなかった。
【0064】(実施例2)表1に示す鋼Cのスラブを実
施例1に記載したのと同様の条件で熱間圧延して厚さ
3.0mmの熱延板を得た。この熱延板を常法により酸
洗し、一部の熱延板は700℃で10時間保持する熱延
板焼鈍を施した。これら熱延板を種々の厚さに中間冷延
し、種々の温度で一次焼鈍および二次再結晶焼鈍を施し
た。焼鈍保持時間は一次焼鈍では30秒、二次再結晶焼
鈍では24時間であった。その後種々の圧下率で最終冷
間圧延を行い、種々の温度で最終焼鈍を施した。焼鈍保
持時間は30秒であった。その後、実施例1と同様の厚
さが0.4μmの複合絶縁皮膜を施して製品とした。こ
れらの製品から実施例1に記載したのと同様の方法でL
方向とC方向の磁気特性および製品の板厚中心部におけ
るTP値を求めた。表2に、これらの製造条件および性
能評価結果を示す。
【0065】
【表2】
【0066】表2からわかるように、熱延板焼鈍を施し
たものはL方向の磁束密度が良好であった。一次焼鈍の
焼鈍温度が好ましい範囲でなかった試験番号9および1
0、二次再結晶焼鈍温度が好ましい範囲でなかった試験
番号11、12、中間材の厚さが0.5mmに満たなか
った試験番号13、最終冷間圧延圧下率が50%に満た
なかった試験番号14、最終焼鈍温度が好ましくなかっ
た試験番号15、16などはいずれもTP値が低く、磁
気特性が良くなかった。製品の厚さが0.5mmを超え
た試験番号17は渦電流損が増加し鉄損が良くなかっ
た。
【0067】
【発明の効果】本発明の鋼板は、従来の一方向性電磁鋼
板に比較するとC方向の磁化特性に優れ、従来の無方向
性電磁鋼板に比較するとL方向の磁化特性に優れる磁気
異方性の少ない電磁鋼板であるので、モータ−や発電機
等回転機や変圧器の鉄心用素材として好適である。特
に、分割型鉄心の様に2方向優れた磁気特性が望まれる
鉄心に用いれば顕著な効果をもたらし、回転機器の高効
率化、小型化に有用な素材である。
【図面の簡単な説明】
【図1】二次再結晶させた中間材を冷間圧延し焼鈍して
集合組織を制御した電磁鋼板と、通常のプロセスによる
無方向性電磁鋼板について、TP値と磁束密度B50との
関係示すグラフである。
【符号の説明】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、C:0.010%以下、S
    i:4.0%以下、Mn:4.0%以下、S:0.01
    %以下、sol.Al:0.030%以下、N:0.0
    10%以下を含有し、残部が実質的にFeからなり、厚
    さが0.15〜0.50mmで、板厚中心部の集合組織
    が、下式で表されるTP値で0.25以上であることを
    特徴とする電磁鋼板。 【数1】 ここで、P(hkl) は板厚中心部における(hkl) 面のX線
    回折積分強度のランダム試料のそれに対する比を表す。
  2. 【請求項2】 重量%で、C:0.010%以下、S
    i:4.0%以下、Mn:4.0%以下、S:0.01
    %以下、sol.Al:0.003〜0.030%、
    N:0.001〜0.010%を含有し、残部が実質的
    にFeからなる鋼を熱間圧延し、得られた熱間圧延鋼板
    に1回もしくは中間焼鈍をはさむ2回以上の冷間圧延を
    施して厚さが0.50mm以上の鋼板とし、これに65
    0〜1000℃での一次再結晶焼鈍および750〜10
    50℃で4〜200時間保持する二次再結晶焼鈍を施
    し、さらに50%以上の圧下率で冷間圧延して厚さが
    0.15〜0.50mmの鋼板とし、650℃〜100
    0℃で再結晶焼鈍を施すことを特徴とする請求項1に記
    載の電磁鋼板の製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007262519A (ja) * 2006-03-29 2007-10-11 Jfe Steel Kk 二方向性電磁鋼板の製造方法
JP2017222910A (ja) * 2016-06-16 2017-12-21 新日鐵住金株式会社 二方向性電磁鋼板及びその製造方法
JP2017222911A (ja) * 2016-06-16 2017-12-21 新日鐵住金株式会社 鉄心、再冷延鋼板、再冷延鋼板の製造方法、及び鉄心の製造方法
JP2018168412A (ja) * 2017-03-29 2018-11-01 新日鐵住金株式会社 無方向性電磁鋼板およびその製造方法、並びにモータコアおよびその製造方法

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