JP2000303351A - 改質ポリウレタン弾性糸の製造法 - Google Patents

改質ポリウレタン弾性糸の製造法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリウレタン弾性糸の破断強伸度,応力等と
いった基本糸物性を損なうことなく、優れた吸湿性,生
分解性を具備した改質ポリウレタン弾性糸の製造方法を
提供する。 【解決手段】 ウレタンプレポリマー溶液と鎖伸長剤お
よび末端停止剤の溶液を混合して反応させるに際し、該
反応と同時に又は該反応の後に両反応溶液溶媒と同じ溶
媒に溶解させたブチリルキチン溶液を添加し、均一に混
合して紡糸原液とし、該紡糸原液を紡糸した後、得られ
たブチリルキチン含有ポリウレタン弾性糸をアルカリ処
理して改質ポリウレタン弾性糸を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は吸湿性と生分解性に
優れた改質ポリウレタン弾性糸の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリウレタン成形体に吸湿性・吸
水性を付与するには、吸湿性・吸水性を有する粉粒体を
ポリウレタン溶液に添加する方法が知られており、例え
ば特開昭63−215768号公報にはウレタンプレポ
リマーに、界面活性能を有するコハク酸エステル化合物
と、酢酸ビニルーアクリル酸エステル共重合体ケン化物
やポリアクリル酸、デンプン−アクリル酸共重合体等の
高吸水性樹脂を混合する方法が記載され、特開平8−1
13827号公報にはポリエステルとポリアルキレンエ
ーテルまたは脂肪族ポリエステルの一方または両者と、
調湿性を有する微細粒状シリカゲルとを含む混合組成物
を溶融紡糸する方法が記載されている。
【0003】しかしこれらの方法では、添加する粉粒体
の添加量を多くしないと、吸湿性・吸水性が発現しにく
く、この技術をポリウレタン弾性糸の製造に用いると、
ノズル詰まりが起き易く、更に、添加量を多くするに伴
い紡調が悪化し、得られたポリウレタン弾性糸の破断強
伸度、応力等といった基本糸物性も低下するという欠点
があった。
【0004】また別の方法として、ポリマージオール成
分の一部にポリエチレングリコールを用いる等、ポリウ
レタンを構成する成分に親水性の高いものを用い、吸湿
性を有するセグメントをポリウレタン分子鎖中に導入す
る方法も知られており、例えば特開昭62−29071
4号公報には平均分子量200〜600のポリエチレン
グリコールと有機ジカルボン酸又は有機ジカルボン酸と
ε−カプロラクトン及び/または短鎖ポリオールを反応
させてポリオキシエチレン含有率17〜70%、平均分
子量500〜3000のポリエーテルエステルポリオー
ルとなし、これを鎖伸長剤の存在下、有機ポリイソシア
ネートと反応させポリエチレングリコール含有量15〜
62重量%のポリウレタン重合体とする方法が記載され
ている。しかしこの方法では、吸湿性を有するセグメン
トを分子鎖中に導入するため、この技術を繊維に適用し
た場合には、得られたポリウレタン弾性糸の耐加水分解
性,耐熱性が劣ったり、破断強伸度,応力等といった基
本糸物性も低下するという欠点があった。また、特開平
10−251371号公報にはポリオール成分,イソシ
アネート成分にリグニンと浸透剤を均一分散させて成形
し、吸水性と生分解性を有するポリウレタンフォームを
得る方法が記載されているが、リグニンをポリウレタン
分子鎖中に導入するため、この方法を繊維に適用した場
合においても、得られたポリウレタン弾性糸の耐加水分
解性,耐熱性が劣ったり、破断強伸度,応力等といった
基本糸物性も低下するという欠点があった。
【0005】一方、ポリウレタン成形体に生分解性を付
与するには、前述の吸湿性・吸水性を有する粉粒体をポ
リウレタン溶液に添加する方法において、吸湿性・吸水
性を有する粉粒体が生分解性を兼ね備えるものを用いる
方法がある。また、ポリマージオール成分の一部に生体
由来のものを用い、生分解性を有するセグメントを分子
鎖中に導入する方法として、例えば特開平6−1283
48号公報にはヒドロキシル基を含有する植物質微粉末
及び/または短繊維を糖蜜と2価または3価のアルコー
ルとの混合液中に添加分散させ、得られた分散液にポリ
イソシアネートを添加し反応させる方法が記載されてい
る。しかしこのような方法をポリウレタン繊維に適用し
た場合には、上述の吸湿性を付与する場合と同様に破断
強伸度,応力等といった基本糸物性が低下するという欠
点があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の欠点
を克服し、簡単な方法で、紡調を悪化させることなく紡
糸することができ、得られるポリウレタン弾性糸の破断
強伸度,応力等といった基本糸物性を損なうことなく、
優れた吸湿性,生分解性を具備した改質ポリウレタン弾
性糸の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記欠点を克
服するために鋭意検討を重ねた結果、キチン誘導体であ
るブチリルキチンがポリウレタン溶液の溶媒と同じ溶媒
に溶解し、しかも、アルカリ処理により容易にキチンに
再生可能であることに着目し、ブチリルキチンを液状に
てポリウレタン紡糸原液に含有させ、これを紡糸した後
にアルカリ処理して脱ブチリル化を行うことにより、得
られたポリウレタン弾性糸がキチンの有する水酸基に由
来する吸湿性,生分解性を発現することを見い出し、本
発明に至った。
【0008】即ち本発明は、下記(A)成分の溶液と
(B)成分の溶液を混合して反応させるに際し、反応と
同時に又は反応の後に、両反応溶液の溶媒と同じ溶媒に
5〜40重量%の濃度で溶解させたブチリルキチン溶液
を添加し、均一に混合して紡糸原液とし、該紡糸原液を
紡糸した後、得られたブチリルキチン含有ポリウレタン
弾性糸をアルカリ処理する改質ポリウレタン弾性糸の製
造方法であり、ブチリルキチンの添加量が得られたポリ
ウレタン弾性糸の全体に対して3〜15重量%であり、
ポリウレタン弾性糸の紡糸法が乾式紡糸法である改質ポ
リウレタン弾性糸の製造方法である。 (A)数平均分子量1000〜2500のポリマージオ
ールと、そのジオールに対して110〜210モル%の
有機ジイソシアネートを反応して得られる末端にイソシ
アネート基を2個有するウレタンプレポリマー。 (B)イソシアネート基と反応しうる活性水素基を2個
有する鎖伸長剤およびイソシアネート基と反応しうる活
性水素基を1個有する末端停止剤。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に用いられるポリマージオ
ールとしては、ポリオキシエチレングリコール,ポリオ
キシプロピレングリコール,ポリオキシテトラメチレン
グリコール,ポリオキシペンタメチレングリコール,ポ
リオキシヘキサメチレングリコール,ポリオキシプロピ
レンテトラメチレングリコール等のポリエーテルジオー
ルと、アジピン酸,セバシン酸,マレイン酸等のジカル
ボン酸の1種または2種以上とから構成されるポリエス
テルジオール,ポリエーテルポリエステルジオール,ポ
リラクトンジオール,ポリカーボネートジオール,ポリ
エステルポリカーボネートジオール等から選ばれる1種
または2種以上の数平均分子量1000〜2500のポ
リマージオールが80重量%以上含まれているものであ
れば、特に限定されるものではないが、本発明では紡糸
後にアルカリ処理をすることが必要であるため、耐アル
カリ性を考慮して選定することが好ましい。
【0010】なお、ポリマージオール中にエチレングリ
コール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロ
ピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−
ブタンジオール等の低分子ジオールが混在しているもの
であっても良いが、数平均分子量1000〜2500の
ポリマージオールがジオール成分全体の80重量%に満
たないと、十分な鎖伸長ができなくなる為、好ましくな
い。
【0011】本発明に用いられる有機ジイソシアネート
としては、例えば4,4´−ジフェニルメタンジイソシ
アネート、3,3´−ジクロロ−4,4´−ジフェニル
メタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネ
ート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−ト
リレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート等の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0012】本発明は、先ず上記ジオール成分と上記有
機ジイソシアネート成分を、夫々が固化しない温度にて
混合し、90℃以下にて30分〜2時間反応を行い、末
端にイソシアネート基を2個有するウレタンプレポリマ
ーを得る。このとき、ジオール成分に対する有機ジイソ
シアネート成分の量は110〜210モル%の範囲、好
ましくは150〜190モル%の範囲とする。ジオール
成分に対する有機ジイソシアネートの量が110モル%
未満の場合、得られるポリウレタン弾性糸の強度が十分
でなく、紡調も悪化するため好ましくなく、また210
モル%を越えると、重合体中に未反応の有機ジイソシア
ネートが多く残留するため、鎖伸長反応を行っても低分
子鎖の発生が多くなり好ましくない。
【0013】次にこのようにして得られた末端にイソシ
アネート基を2個有するウレタンプレポリマーに、イソ
シアネート基と反応しうる活性水素基を2個以上有する
鎖伸長剤、及びイソシアネート基と反応しうる活性水素
基を1個有する末端停止剤を反応させて、ポリウレタン
重合体溶液を得る。このときの反応方法は特に限定され
るものではなく、バッチ式、紡糸ノズルに直結して連続
的に供給する方法等が採用できる。またこのときの反応
時間は特に限定されないが、例えばバッチ式の場合は、
通常30分〜90分で良い。反応温度は、0〜70℃に
て行うのが好ましく、反応温度が低すぎると反応に長時
間を要し、効率が悪くなり、逆に高すぎると副反応が促
進されるため好ましくない。
【0014】本発明に用いられるイソシアネート基と反
応しうる活性水素基を2個有する鎖伸長剤としては、エ
チレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3
−プロピレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−
キシリレンジアミン、4,4´−ジフェニルメタンジア
ミン、シクロヘキシレンジアミン、2,4−トリレンジ
アミン、2,6−トリレンジアミン、ヘキサメチレンジ
アミン、ヒドラジン、エチレングリコール、1,4−ブ
タンジオール等の1種または2種以上の組み合わせが挙
げられる。また、イソシアネート基と反応しうる活性水
素基を1個有する末端停止剤としては、ジメチルアミ
ン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチル−n
−プロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、ジイソ
プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ヘキ
シルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
【0015】本発明では、上述のポリウレタン重合体溶
液を得る反応と同時にまたはこの反応の後に、反応溶媒
と同じ溶媒に5〜40重量%溶解させたブチリルキチン
溶液を、ブチリルキチンが全固形分の3〜15重量%に
なるように添加し、均一に混合して紡糸原液とする。得
られた紡糸原液中のポリウレタンとブチリルキチンの合
計の固形分濃度は、特に限定されるものではないが、紡
糸可能な粘度の範囲から考慮すると、通常20〜40重
量%とすることが好ましい。
【0016】本発明に用いられるブチリルキチンは、特
に限定されるものではなくモノブチリルキチン,ジブチ
リルキチン或いはこれらの混合物のいずれであってもよ
い。例えば蟹や海老,昆虫類の外骨格を塩酸等の有機酸
により脱カルシウム処理し、更に水酸化ナトリウム等の
アルカリ溶液により脱タンパク質処理して得たキチン質
を、無水酪酸と過塩素酸の存在下にて20〜30℃に冷
却しながら2時間程度反応させることにより得られる。
ブチリルキチンの置換度は、溶媒への溶解性の面から、
置換度1.5〜2.5のジブチリルキチンを用いるのが
好ましい。
【0017】本発明に用いられる反応溶媒は、上述した
ウレタンプレポリマー、鎖伸長剤、末端停止剤、ブチリ
ルキチンを溶解することができ、通常用いられる条件に
て実質的に上記物質および反応生成物に対し不活性な極
性溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えば
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0018】また、上述の紡糸原液中に必要に応じて耐
光剤,紫外線吸収剤,ガス変色防止剤,染料,活性剤,
艶消剤、油剤等を含有させても良い。
【0019】続いて上述の如く得られた紡糸原液を、ノ
ズルより高温雰囲気中に吐出してブチリルキチン含有ポ
リウレタン弾性糸を乾式紡糸法により紡糸するが、その
紡糸条件は特に限定されるものではなく、通常の方法で
行えばよい。また、湿式紡糸法にも適用できることはも
ちろんである。
【0020】次いで、上述のようにして得られたブチリ
ルキチン含有ポリウレタン弾性糸をアルカリ処理する
が、該アルカリ処理に用いられるアルカリとしては、水
酸化カリウム,水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水
酸化物,水酸化カルシウム,水酸化マグネシウム等のア
ルカリ土類金属の水酸化物等が挙げられる。該アルカリ
処理の方法はポリウレタン弾性糸中のブチリルキチンが
十分脱ブチリル化する条件であれば特に限定されるもの
ではなく、例えば、40〜100℃の3〜20%水酸化
ナトリウム水溶液の浴中で20〜180分処理する方法
で良い。次に得られたポリウレタン弾性糸を十分に水洗
し、乾燥して、本発明の改質ポリウレタン弾性糸を得
る。
【0021】上述した本発明の方法により、ポリウレタ
ン弾性糸中にキチンが一様に混在し、優れた吸湿性、生
分解性を具備した改質ポリウレタン弾性糸を得ることが
できる。
【0022】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこの範囲に限定されるものではない。な
お、部はすべて重量部を示し、糸切数,弾性回復率,吸
湿率,放湿率,生分解性能,強伸度,モジュラスは以下
の方法により測定した。
【0023】〈糸切数〉紡糸した際の糸切数を計数し、
1錘が24時間で切れる回数として算出した。
【0024】〈弾性回復率〉日本化学繊維協会発行の
「ポリウレタンフィラメント糸試験方法」(昭和53年
10月)に準じて、300%伸長時における瞬間伸長回
復率を求めた。
【0025】〈吸湿率・放湿率〉予め105℃にて60
分間乾燥しシリカゲルの入ったデシケータ中で30分間
冷却した後、重量を測定しておいた秤量瓶に試料を約1
gずつ入れ、蓋を開いた状態で105℃にて60分乾燥
し、シリカゲル入りデシケータ中にて30分間放置して
冷却し、重量(W)を測定した。次いで湿度60%の
デシケータ中に一晩放置した後、35℃、90%に調湿
した恒温恒湿器内に秤量瓶の蓋を開けて入れ、60分後
に秤量瓶を取り出し、重量(W)を測定した。更に2
5℃、53%に調湿した恒温恒湿器内に蓋を開けて秤量
瓶を入れ、60分後に秤量瓶を取り出し、重量(W
を測定した。これらの結果から、吸湿率・放湿率は次式
により求めた。 吸湿率(%)=(W−W)÷W×100 放湿率(%)=(W−W)÷W×100
【0026】〈生分解性能〉ポリウレタン弾性糸を糸巻
き器にて300回転巻き、三重に束ねて両端をタコ糸で
結び、これを試料として地面より8cm下の土壌内に埋
設し、2ケ月後に引張り強さT(g/d)を測定し
て、次式により強度保持率を算出した。強度保持率が低
いほど生分解性能が高いと判定する。 強度保持率(%)=T/T×100 但し、Tは土壌内に埋設する前の引張り強さ(g/
d)
【0027】〈強伸度〉日本化学繊維協会発行の「ポリ
ウレタンフィラメント糸試験方法」(昭和53年10
月)に準じて、破断時の引張り強さ(g/d)及びその
ときの伸度(%)を測定した。
【0028】〈モジュラス〉日本化学繊維協会発行の
「ポリウレタンフィラメント糸試験方法」(昭和53年
10月)に準じて、300%伸長時における繊維の引張
抵抗度(g/d)を測定した。
【0029】〔実施例1〕数平均分子量1818のポリ
オキシテトラメチレングリコール2869部、4,4´
−ジフェニルメタンジイソシアネート631部を45℃
にて混合した後、75℃にて80分間反応させて、ウレ
タンプレポリマー3500部を得た。このときのイソシ
アネート基含有量はウレタンプレポリマー100g中
2.290gであった。
【0030】これとは別に、鎖伸長剤としてエチレンジ
アミン56.4部と末端停止剤としてジエチルアミン
2.1部を、0℃に冷やしたN,N−ジメチルアセトア
ミド136.4部に加えて良く攪拌し、鎖伸長剤と末端
停止剤の混合溶液を得た。
【0031】次に、先に得たウレタンプレポリマー34
00部を、0℃に冷やしたN,N−ジメチルアセトアミ
ド7933部に加え、良く攪拌した後、ウレタンプレポ
リマーのイソシアネート基に対して、鎖伸長剤と末端停
止剤の活性水素基が等モルとなるように鎖伸長剤と末端
停止剤の混合溶液を添加し反応させてポリウレタン重合
体溶液とし、得られたポリウレタン重合体溶液を7等分
した。これとは別に、ジブチリルキチンをN,N−ジメ
チルアセトアミドに溶解させて、濃度10%のブチリル
キチン溶液を得た。
【0032】次いで、先に得たポリウレタン重合体溶液
にブチリルキチン溶液を添加するが、添加したブチリル
キチンが全固形分に対して1,3,5,10,15,2
0%の添加率となるように添加混合して、全固形分濃度
が30%である6種類の紡糸原液を得た。得られた各紡
糸原液を直径0.2mmのオリフィスを3個有する紡糸
ノズルを用いて乾式紡糸し、500m/分の速度で、2
5%伸長して捲取り、繊度40デニールのブチリルキチ
ン含有ポリウレタン弾性糸の6種類を得た。
【0033】続いて、各ブチリルキチン含有ポリウレタ
ン弾性糸を10%水酸化ナトリウム水溶液に80℃にて
60分浸漬処理した後、十分水洗し、乾燥して、試料N
o.1〜No.6の改質ポリウレタン弾性糸を得た。ま
た、ブチリルキチン溶液を添加しない以外は全く同様に
して、比較試料No.1のポリウレタン弾性糸を得た。
得られた各試料の糸切数,繊度,強度,伸度,モジュラ
ス,弾性回復率,吸湿率,放湿率,強度保持率を測定
し、結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】表1から明らかな如く、比較試料No.1
はブチリルキチンを添加していないため、吸湿率,放湿
率が低く、生分解性能も認められない。また、試料N
o.1はブチリルキチンの添加率が低いため吸湿率,放
湿率,生分解性能に十分な効果が認められず、試料N
o.6はブチリルキチンの添加率が高すぎるために糸切
数が多く、基本糸物性である強度,伸度,モジュラス,
弾性回復率の低下も顕著である。これに対して、ブチリ
ルキチンの添加率が3〜15重量%である本発明の試料
No.2〜No.5は、優れた吸湿率,放湿率,生分解
性能が得られ、且つ、強度,伸度,モジュラス,弾性回
復率の基本糸物性の低下も認められない。更には、糸切
数の結果から紡糸時の紡調も良好であることが明らかで
ある。
【0036】〔実施例2〕数平均分子量1512のポリ
オキシテトラメチレングリコール2673部、1,4−
ブタンジオール22部、4,4´−ジフェニルメタンジ
イソシアネート805部を45℃にて混合した後、85
℃にて60分間反応させて、ウレタンプレボリマー35
00部を得た。このときのイソシアネート基含有量はウ
レタンプレポリマー100g中2.823gであった。
【0037】これとは別に鎖伸長剤としてエチレンジア
ミン46.4部、1,2−プロピレンジアミン28.6
部と末端停止剤としてジエチルアミン2.5部を、0℃
に冷やしたN,N−ジメチルアセトアミド180.8部
に加えて良く攪拌し、鎖伸長剤と末端停止剤の混合液を
得た。更に、これとは別に、ブチリルキチンをN,N−
ジメチルアセトアミドに溶解させて、濃度10%のブチ
リルキチン溶液を得た。
【0038】次に、先に得たウレタンプレポリマーを7
つのステンレス容器に340部ずつ採り、夫々に0℃に
冷やしたN,N−ジメチルアセトアミド793部を加
え、良く攪拌した後に、7つの各ウレタンプレポリマー
にウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対して鎖
伸長剤と末端停止剤の活性水素基が等モルとなるように
鎖伸長剤と末端停止剤の混合溶液を添加し、更にブチリ
ルキチン溶液を、添加したブチリルキチンが全固形分に
対して、1,3,5,10,15,20%の添加率とな
るように添加混合して反応させて、全固形分濃度が30
%である6種類の紡糸原液を得た。
【0039】各紡糸原液を、直径0.2mmのオリフィ
スを3個有する紡糸ノズルを用いて乾式紡糸し、600
m/分の速度で、120%伸長して捲取り、繊度40デ
ニールのブチリルキチン含有ポリウレタン弾性糸の6種
類を得た。続いて、得られた6種類のブチリルキチン含
有ポリウレタン弾性糸を10%水酸化ナトリウム溶液に
80℃にて60分浸漬処理した後、十分水洗し、乾燥し
て、試料No.7〜No.12の改質ポリウレタン弾性
糸を得た。
【0040】また、ブチリルキチン溶液を添加しない以
外は全く同様にして、比較試料No.2のポリウレタン
弾性糸を得た。各試料の糸切数,繊度,強度,伸度,モ
ジュラス,弾性回復率,吸湿率,放湿率,強度保持率を
測定し、結果を表2に示した。
【0041】
【表2】
【0042】表2から明らかな如く、比較試料No.2
はブチリルキチンを添加していないため、吸湿率,放湿
率が低く、生分解性も認められない。また、試料No.
7はブチリルキチンの添加率が低いため、吸湿率,放湿
率,生分解性能について十分な結果が得られず、試料N
o.12はブチリルキチンの添加率が高すぎるため、糸
切数が多く、基本糸物性の低下も顕著である。これに対
して、ブチリルキチンの添加率が3〜15重量%である
本発明の試料No.8〜No.11は、基本糸物性であ
る強度,伸度,モジュラス,弾性回復率を損うことな
く、優れた吸湿率,放湿率,生分解性能を示し、更に
は、糸切数の結果から紡糸時の紡調が良好であることが
明らかである。
【0043】
【発明の効果】このように本発明は、吸湿性と生分解性
を有するキチンをブチリルキチンとして、通常のポリウ
レタン弾性糸の乾式紡糸法に使用される溶媒に溶解し、
液状にして紡糸原液に含有させるため、添加率を高めて
も紡調を悪化させにくく、さらに得られたブチリルキチ
ン含有ポリウレタン弾性糸をアルカリ処理し、ブチリル
キチンを脱ブチリル化してキチンに再生させることによ
り、ポリウレタン弾性糸内にキチンが一様に混在し、破
断強伸度,応力等の基本糸物性を損うことなく、優れた
吸湿性と生分解性を具備した改質ポリウレタン弾性糸を
得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L031 AA22 AB21 BA11 CA01 DA00 DA08 DA11 4L035 BB02 BB06 BB91 CC20 DD14 EE05 EE08 EE20 GG04 HH01 JJ17 KK05 MH02 MH09 MH13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(A)成分の溶液と(B)成分の溶
    液を混合して反応させるに際し、該反応と同時に又は該
    反応の後に、両反応溶液の溶媒と同じ溶媒に5〜40重
    量%の濃度で溶解させたブチリルキチン溶液を添加し、
    均一に混合して紡糸原液とし、該紡糸原液を紡糸した
    後、得られたブチリルキチン含有ポリウレタン弾性糸を
    アルカリ処理することを特徴とする改質ポリウレタン弾
    性糸の製造方法。 (A)数平均分子量1000〜2500のポリマージオ
    ールと、該ジオールに対して110〜210モル%の有
    機ジイソシアネートを反応して得られる末端にイソシア
    ネート基を2個有するウレタンプレポリマー。 (B)イソシアネート基と反応しうる活性水素基を2個
    有する鎖伸長剤およびイソシアネート基と反応しうる活
    性水素基を1個有する末端停止剤。
  2. 【請求項2】 ブチリルキチンの添加量が、得られたブ
    チリルキチン含有ポリウレタン弾性糸の全体に対して3
    〜15重量%であることを特徴とする請求項1に記載の
    改質ポリウレタン弾性糸の製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリウレタン弾性糸の紡糸法が乾式紡糸
    法であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載
    の改質ポリウレタン弾性糸の製造方法。
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