JP3738347B2 - ポリウレタン弾性繊維の製造方法 - Google Patents

ポリウレタン弾性繊維の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は乾式紡糸法によるポリウレタン弾性繊維の製造方法に関するものであり、より詳しくは、回復特性の優れたポリウレタン弾性繊維を製造するに際し、その紡糸時の糸切れを抑え、安定的に生産することができる上、得られたポリウレタン弾性繊維の耐熱性が向上すると共に、回復特性の改善も達成しうるポリウレタン弾性繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリウレタン弾性繊維を乾式紡糸法により得る際、弾性特性に優れたポリウレタン弾性繊維を得るには、紡糸原液を200℃以上の高温雰囲気下にて脱溶媒する必要があり、特に紡糸速度の高速化が進むにつれ、脱溶媒時の温度が更に高くなりつつある。しかし、紡糸条件がこのような高温域にシフトするにつれ、紡糸時にポリウレタンの劣化等による糸切れが増加してしまうという欠点が生じていた。中でも回復特性である300%伸長後の回復率の向上や、その伸長時と回復時の応力差に相当するヒステリシスロスの低減を計った紡糸原液は、耐熱性が低下しやすいことから、比較的低温雰囲気下にて、低速の紡糸しかできないという欠点があった。更に、近年パンティーストッキングやインナーウエア等を中心に、吸放湿性能を具備したポリウレタン弾性繊維の要望が高まっているが、この対策としてポリエチレングリコールをポリマージオールの一部に使用した場合も、その紡糸時に糸切れの発生が増加しやすいという欠点があった。
【0003】
このような欠点を解決する方法として、例えば特公昭63−53288号公報にはポリウレタン弾性繊維を溶融紡糸法により得る際の紡糸原液に微粉末シリカを0.3〜3.0%添加すると、得られたポリウレタン弾性繊維の熱的挙動が向上することが開示されている。しかしこの方法を乾式紡糸法に適用すると、確かに糸切れがやや改善できるものの、微粉末シリカの配合率を上げるとかえって糸切れが増加するため十分な効果は得られない。
【0004】
他方、ポリウレタン系樹脂分野においては、例えば特開平11−315264号公報にはポリウレタン系接着用組成物に加水分解性アルコキシシランを含有させることが開示されている。しかし、この接着用組成物は、硬化して基材と基材を接着させるためのものであって、ポリウレタン弾性繊維に使用することは知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の欠点を克服し、乾式紡糸法において簡単な方法により糸切れを減少させるとともに、得られるポリウレタン弾性繊維の破断強伸度、応力等といった基本糸物性を低下させることなく、更に吸放湿性等の付加機能も損なうことなく、優れた弾性回復特性と耐熱性を付与できるポリウレタン弾性繊維を製造する方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決する手段】
本発明は、下記(A)成分と(B)成分を溶媒中にて反応させるとき、または反応させた後に、加水分解性アルコキシシランをポリウレタン重合体溶液に含まれる全固形分の3重量%以上となるように添加し、これを紡糸原液として乾式紡糸法により紡糸することを特徴とするポリウレタン弾性繊維の製造方法であり、加水分解性アルコキシシランとしてテトラアルコキシシラン部分縮合物を用いることが出来る
(A)数平均分子量1000〜8000のポリマージオールと、該ジオールに対して110〜210モル%の有機ジイソシアネートを反応して得られる末端にイソシアネート基を2個有するウレタンプレポリマー。
(B)イソシアネート基と反応しうる活性水素基を2個有する鎖伸長剤およびイソシアネート基と反応しうる活性水素基を1個有する末端停止剤。
そして、(A)成分を構成する数平均分子量1000〜8000のポリマージオールは、吸放湿性能を具備させるため、ポリオキシエチレングリコールを20重量%以上含有させることが出来る。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるポリマージオール成分は、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、部分メチル化ポリオキシテトラメチレングリコール(テトラヒドロフランと3−メチルテトラヒドロフランとの共重合物等)、ポリオキシペンタメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシプロピレンテトラメチレングリコール等のポリエーテルジオール、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸等のジカルボン酸の1種または2種以上とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール等のグリコールの1種または2種以上とからなるポリエステルジオール、ポリエーテルポリエステルジオール、ポリラクトンジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエステルポリカーボネートジオール等の1種または2種以上からなる数平均分子量1000〜8000のポリマージオールが80重量%以上含まれているものであれば、特に限定されるものではないが、吸放湿性能等を具備したポリウレタン弾性繊維を得る場合には、ポリオキシエチレングリコールがポリマージオール中に20重量%以上含まれていることが好ましい。なおエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール等の低分子ジオールが混在しているものであっても良いが、数平均分子量1000〜8000のポリマージオールがジオール成分中80重量%に満たないと、十分な鎖伸長ができなくなるため好ましくない。
【0008】
本発明に用いられる有機ジイソシアネートとしては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ―4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0009】
本発明は、先ず上記ポリマージオール成分と、上記有機ジイソシアネートを、夫々が固化しない温度条件にて混合し、90℃以下にて30〜120分間反応を行い、末端にイソシアネート基を2個有するウレタンプレポリマーを得る。このとき、ポリマージオール成分に対する有機ジイソシアネートの量は110〜210モル%の範囲、特に弾性回復特性に優れたポリウレタン弾性繊維を得るには120〜180モル%の範囲とすることが好ましい。ポリマージオール成分に対する有機ジイソシアネートの量が110モル%未満だと、得られるポリウレタン弾性繊維の強度が十分でなく、紡調も悪化する傾向にあり、また210モル%を超えると、重合体中に未反応の有機ジイソシアネートが多く残留し、鎖伸長反応を行っても、低分子鎖が多く発生するため好ましくない。
【0010】
次に、このようにして得られた末端にイソシアネート基を2個有するウレタンプレポリマーと、イソシアネート基と反応しうる活性水素基を2個以上有する鎖伸長剤及びイソシアネート基と反応しうる活性水素基を1個有す末端停止剤を溶媒中で反応させて、ポリウレタン重合体溶液を得る。反応方法は特に限定されるものではなく、バッチ式で行っても、紡糸ノズルに直結したかたちで連続的に供給する方法で行っても良い。また反応時間は、特に限定されるものではなく、バッチ式の場合では、通常30〜90分反応させればよい。反応温度は、低すぎると反応に多大なる時間を要し、高すぎると副反応が促進されるため、0〜70℃にて行うことが好ましい。
【0011】
本発明に用いられるイソシアネート基と反応しうる活性水素基を2個有する鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヒドラジン、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール等の1種または2種以上の組み合わせが挙げられる。
【0012】
また本発明に用いられるイソシアネート基と反応しうる活性水素基を1個有する末端停止剤としては、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、メチル−n−プロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−n−ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
【0013】
本発明ではこの反応のとき、または反応させた後に、加水分解性アルコキシシランをポリウレタン重合体溶液に含まれる全固形分の3重量%以上となるように添加し紡糸原液とする。ポリウレタン重合体溶液には、必要により耐光剤、紫外線吸収剤、ガス変色防止剤等の添加剤を添加混合して紡糸原液とすることがあるが、この場合の全固形分とは添加したこれらの添加剤も含めた固形分の総量を示す。加水分解性アルコキシシランの添加量が3重量%に満たないと、所望の効果が得られない。また加水分解性アルコキシシランの添加量が多すぎると、得られるポリウレタン弾性繊維の基本物性が低下する恐れがあることから、加水分解性アルコキシシランの添加量は通常5〜20重量%とするこが好ましい。
【0014】
本発明に用いられる加水分解性アルコキシシランは、特に限定されるものではないが、具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランまたはこれらの部分縮合物等が挙げられるが、特にテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランまたはこれらの部分縮合物を用いるのが好ましい。
【0015】
本発明に用いられる溶媒は、ウレタンプレポリマー、鎖伸長剤、末端停止剤、加水分解性アルコキシシランと相溶性があり、通常用いられる条件にて実質的に上記物質および反応生成物に対し不活性な極性溶媒であれば特に限定されるものではなく、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0016】
本発明では、紡糸原液に含有された加水分解性アルコキシシランを加水分解し縮合させることにより,その効果が発揮される。この加水分解に必要な水分は、通常、溶媒中または空気中に含まれる微量の水分が利用できるが、加水分解に必要な水分を積極的に添加してもよく、また、加水分解、縮合を促進する触媒を添加してもよい。
【0017】
次に、このようにして得られた紡糸原液を、ノズルより高温雰囲気中に吐出してポリウレタン弾性繊維を乾式紡糸する。この際の紡糸条件は、特に限定されるものではない。
本発明によるポリウレタン弾性繊維は、その中に耐光剤、紫外線吸収剤、ガス変色防止剤、染料、活性剤、艶消剤、油剤等を適宜含有していても良い。
【0018】
上述したように本発明は、液状の加水分解性アルコキシシランを用いることにより、微粉末シリカよりも高い固形分濃度にて紡糸原液に含有させることができるため、紡糸するときの糸切れを防止する効果が顕著に現れ、更に添加率を高めても紡調を悪化させにくく、基本糸物性の劣化も起こりにくくすることができる。そして、得られるポリウレタン弾性繊維の弾性回復特性は向上し、優れた耐熱性を発現する。また、ポリオキシエチレングリコールをポリマージオールの一部に使用して吸放湿性能を付与する等の場合にも上述の効果が得られ、その上、従来の紡糸設備をそのまま利用して簡便に目的を達成できることから、当該利用分野において極めて有望な技術である。
なお、本発明方法における乾式紡糸法については上述したとおりであるが、本発明が湿式紡糸法についても応用可能であることはもちろんである。
【0019】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこの範囲に限定されるものではない。なお、部はすべて重量部を示し、強度および伸度は、破断時の繊維の強度(cN/dtex=センチニュートン/デシテックス)及び伸度(%)であり、モジュラスは300%伸長時における繊維の抗張力(cN/dtex=センチニュートン/デシテックス)である。また、糸切数、弾性回復率、耐熱性、吸湿率・放湿率は以下の方法により求めた。
【0020】
<糸切数>
紡糸した際の糸切数を計数し、1錘について24時間で切れる回数として算出した。
【0021】
<弾性回復率>
弾性回復率は20℃、相対湿度65%の条件で次式より求めた。
弾性回復率(%)= L1/L0×100
但し、L0は、繊維長40mmを1000%/分の速度で300%迄伸長したときの繊維長(cm)、L1は、繊維長40mmを1000%/分の速度で300%迄伸長後、直ちに同速で戻し、その応力が0になった時の繊維長(cm)である。
【0022】
<耐熱性>
試料を100%伸長した状態で、170℃乾熱雰囲気に曝し、糸が切れるまでの時間(秒)を測定した。
【0023】
<吸湿率・放湿率>
予め105℃にて60分間乾燥し、シリカゲルの入ったデシケータ中で30分間冷却した後、重量を測定しておいた秤量瓶に試料を約1gずつ入れ、蓋を開いた状態で、105℃にて60分乾燥し、シリカゲル入りデシケータ中にて30分間放置、冷却し、重量(W0g)を測定した。次いで湿度60%のデシケータ中に一晩放置した後、35℃、90%に調湿した恒温恒湿器内に秤量瓶の蓋を開けて入れ、60分後に秤量瓶を取り出し重量(W1g)を測定した。更に25℃、53%に調湿した恒温恒湿器内に蓋を開けて秤量瓶を入れ、60分後に秤量瓶を取り出し、重量(W2g)を測定した。これらの結果から、吸湿率・放湿率は次式により求めた。
吸湿率(%)=(W1−W0)÷W0×100
放湿率(%)=(W1−W2)÷W2×100
【0024】
[実施例1]
数平均分子量1945のポリオキシテトラメチレングリコール18600部、数平均分子量2000のポリオキシエチレングリコール8204部、1,4−ブタンジオール123部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート6388部を65℃にて混合した後、80℃にて80分間反応させて、ウレタンプレポリマー33315部を得た。このときイソシアネート基含有量はウレタンプレポリマー100g中2.598gであった。
これとは別に鎖伸長剤のエチレンジアミン553部と末端停止剤のジエチルアミン63部を、0℃に冷やしたN,N−ジメチルアセトアミド1252部に加えて良く撹拌し、鎖伸長剤と末端停止剤の混合溶液を得た。
【0025】
次に、先に得たウレタンプレポリマー3400部を、0℃に冷やしたN,N−ジメチルアセトアミド67464部に加え、良く撹拌した後、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対して、鎖伸長剤と末端停止剤の活性水素基が等モルとなるように鎖伸長剤と末端停止剤の混合溶液を添加し反応させてポリウレタン重合体溶液を得た。
【0026】
ここで得たポリウレタン重合体溶液を7等分し、テトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、商品名:MS−56)が全固形分に対して表1の添加率になるように夫々添加混合して紡糸原液とし、得られた各紡糸原液を直径0.2mmのオリフィスを2個有する紡糸ノズルを用いて乾式紡糸し、600m/分の速度で、20%伸長して捲取り、目標繊度22デシテックスのポリウレタン弾性繊維を得た。このときテトラメトキシシラン部分縮合物の添加率が30%のものは紡糸することができなかった。得られた6種類のポリウレタン弾性繊維試料をそれぞれ試料No.1〜No.6とした。得られた各試料の糸切数、繊度、強度、伸度、モジュラス、弾性回復率、耐熱性、吸湿性、放湿性を測定し、結果を表1に示した。
【0027】
【表1】
Figure 0003738347
【0028】
表1から明らかな如く、加水分解性アルコキシシランを含まない試料No.1と、加水分解性アルコキシシランの添加率が低い試料No.2は、糸切れが多く、弾性回復率や耐熱性が低い。これに対して本発明による試料No.3〜No.6は、糸切数が顕著に少ない上、強伸度、モジュラスといった基本糸物性や、吸湿率、放湿率といった付加機能にも悪影響を与えず、弾性回復率と耐熱性が向上していることが明らかである。
【0029】
[実施例2]
数平均分子量1945のポリオキシテトラメチレングリコール19202部、数平均分子量2000のポリオキシエチレングリコール8462部、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート5640部を65℃にて混合した後、85℃にて60分間反応させて、ウレタンプレポリマー33304部を得た。このときのイソシアネート基含有量はウレタンプレポリマー100g中2.124gであった。これとは別に鎖伸長剤としてエチレンジアミン452部と末端停止剤としてジエチルアミン52部を、0℃に冷やしたN,N−ジメチルアセトアミド1023部に加えて良く撹拌し、鎖伸長剤と末端停止剤の混合溶液を得た。
【0030】
次に、先に得たウレタンプレポリマーを4つのステンレス容器に8000部ずつ採り、夫々に0℃に冷やしたN,N−ジメチルアセトアミド16242部を加え、良く撹拌した後、夫々ウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対して、鎖伸長剤と末端停止剤の活性水素基が等モルとなるように鎖伸長剤と末端停止剤の混合溶液と、更にテトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、商品名:MS−51)が全固形分に対して表2の添加率となるように夫々添加混合し反応させてポリウレタン重合体溶液4水準を得た。
【0031】
ここで得たポリウレタン重合体溶液を紡糸原液とし、直径0.2mmのオリフィスを4個有する紡糸ノズルを用いて乾式紡糸し、500m/分の速度で、8%伸長して捲取り、目標繊度44デシテックスのポリウレタン弾性繊維4種を得た。それぞれ試料No.7〜No.10とした。得られた各試料の糸切数、繊度、強度、伸度、モジュラス、弾性回復率、耐熱性、吸湿性、放湿性を測定し、結果を表2に示した。
【0032】
【表2】
Figure 0003738347
【0033】
表2から明らかな如く、加水分解性アルコキシシランを含まない試料No.7と、加水分解性アルコキシシランの添加率が低い試料No.8は、糸切れが多く、弾性回復率や耐熱性が低い。これに対して本発明の試料No.9〜No.10は、糸切数が顕著に少ない上、強伸度、モジュラスといった基本糸物性や、吸湿率、放湿率といった付加機能にも悪影響を与えず、弾性回復率と耐熱性が向上していることが明らかである。
【0034】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明は、液状の加水分解性アルコキシシランを用いることにより、微粉末シリカよりも高い固形分濃度にて紡糸原液に含有させることができるため、乾式紡糸するときの糸切れを防止する効果が顕著に現れ、更に添加率を高めても紡調を悪化させにくく、基本糸物性の劣化も起こりにくくすることができるポリウレタン弾性繊維の製造方法である。更にはポリウレタン弾性繊維に吸放湿性等の機能を附加した場合も、吸放湿性等の付加機能を損なうことなく、優れた弾性回復特性と耐熱を発現できるポリウレタン弾性繊維を製造する方法である。

Claims (3)

  1. 下記(A)成分と(B)成分を溶媒中にて反応させるとき、または反応させた後に、加水分解性アルコキシシランをポリウレタン重合体溶液に含まれる全固形分の3重量%以上となるように添加し、これを紡糸原液として乾式紡糸法により紡糸することを特徴とするポリウレタン弾性繊維の製造方法。
    (A)数平均分子量1000〜8000のポリマージオールと、該ジオールに対して110〜210モル%の有機ジイソシアネートを反応して得られる末端にイソシアネート基を2個有するウレタンプレポリマー。
    (B)イソシアネート基と反応しうる活性水素基を2個有する鎖伸長剤およびイソシアネート基と反応しうる活性水素基を1個有する末端停止剤。
  2. 加水分解性アルコキシシランがテトラアルコキシシラン部分縮合物である請求項1記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
  3. (A)成分を構成する数平均分子量1000〜8000のポリマージオール中に、ポリオキシエチレングリコールが20重量%以上含まれている請求項1または請求項2に記載のポリウレタン弾性繊維の製造方法。
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