JP2000300192A - 液状食品に含まれる具材の品質改良剤及び食品の製造方法 - Google Patents

液状食品に含まれる具材の品質改良剤及び食品の製造方法

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JP2000300192A
JP2000300192A JP11114568A JP11456899A JP2000300192A JP 2000300192 A JP2000300192 A JP 2000300192A JP 11114568 A JP11114568 A JP 11114568A JP 11456899 A JP11456899 A JP 11456899A JP 2000300192 A JP2000300192 A JP 2000300192A
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Takaaki Ito
隆章 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 調味液やスープ類などの液状食品に含まれる
具材の加熱による煮崩れや固化を防止して、具材の食感
の維持又は改善を図る液状食品に含まれる具材の品質改
良剤及び食品の製造方法を提供すること。 【解決手段】 カードランのアルカリ液又はその中和液
であって、具材の食感を改良する液状食品に含まれる具
材の品質改良剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、調味液やスープ類
などの液状食品に含まれる具材の品質改良剤及び具材を
含む液状食品の製造方法に関するものである。
【0002】従来、調味液やスープ類などの液状食品に
含まれる具材は、調味液やスープ類などを加熱して温め
たり煮込むことにより、具材が柔らかくなりすぎて煮崩
れしたり、逆に、固くなりすぎて具材の重量や体積が小
さくなり、食感が低下することがしばしば起こってい
る。このような、具材の煮崩れや固化を防止する方法と
して、有機酸塩や糖類を添加する方法がある。
【0003】また、特開平10−155452号公報に
は、カードランのアルカリ液をソース、たれ類に使用す
ることにより、濃厚感があり、糸曳性のないソース類を
製造できることが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、有機酸
塩や糖類を添加すると、食品にとって重要な要素である
食品本来の味が変化してしまうという欠点がある。ま
た、味にはあまり影響がないと考えられる増粘多糖類の
多くは、添加した調味液やスープに粘りけが生じるの
で、具材も含めた口当りが悪く、食感が低下してしま
う。カードランのアルカリ液をソース、たれ類に使用す
るのは、液状食品の糸曳性がなく濃厚感を有する品質を
狙ったものであり、具材などの固形食品の品質、特に具
材の煮崩れや固化を防止するものではない。
【0005】従って、本発明の目的は、調味液やスープ
類などの液状食品に含まれる具材の加熱による煮崩れや
固化を防止して、具材の食感の維持又は改善を図る液状
食品に含まれる具材の品質改良剤及び食品の製造方法を
提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者らは鋭意検討を行った結果、増粘多糖類であっ
て、加熱凝固性を有するカードランをアルカリ液又はそ
の中和液として調製したものを具材を含む調味液やスー
プ類などの液状食品に添加すれば、加熱による具材の煮
崩れや固化を防止して、具材の食感を高めることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、カードランのアルカ
リ液又はその中和液であって、具材の食感を改良するこ
とを特徴とする液状食品に含まれる具材の品質改良剤を
提供することにある。
【0008】また、本発明は、具材を含む液状食品にカ
ードランのアルカリ液又はその中和液を添加して製造す
ることを特徴とする食品の製造方法を提供するものであ
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明で使用されるカードラン
は、β−1,3−グルコシドを主体とする加熱凝固性を
有する又は加熱凝固性が付与された多糖類であり、微生
物、動物又は植物などから得られ、その起源は制限され
ない。例えば、アルカリゲネス属又はアグロバクテリウ
ス属の菌が生産する多糖類が挙げられ、具体的には、ア
リカリゲネス・フェカリス・バール・ミクソゲネス菌株
10C3Kより生産する多糖類〔アグリカルチュラル・
バイオロジカル・ケミストリー(Agricultural Biologi
cal Chemistry)30,196 (1966)]、アリカリゲネス・フェ
カリス・ミクソゲネス菌株10C3Kの変異株NTK−
U(IFO 13140)により生産される多糖類(特
公昭48−32673号公報)、アグロバクテリウム・
ラジオバクター(IFO 13127)及びその変異株
U−19(IFO13126)により生産される多糖類
(特公昭48−32674号公報)などがある。
【0010】また、微生物により生産される多糖類であ
るパラミロンも使用できる。パラミロンは、例えば、ユ
ーグレナ属の微生物によって生産されるもので、具体的
にはユーグレナ・グラシリス クレブス(Euglena graci
lis Klebs)NIES−47、ユーグレナ・グラシリス
クレブスNIES−48又はユーグレナ・グラシリス・
バラエティ・バチラリス・プリンシエイン(Euglena gra
cilis var.bacillarispringsheim)NIES−49によ
り生産される多糖類が挙げられる。これらの菌株は、
(財)地球人環境フォーラムに保管されている公知株で
ある。また、ポリオ・コカス(Poria cocas)の菌核グル
カンであるパキマンも使用できる。
【0011】本発明の液状食品に含まれる具材の品質改
良剤は、カードランのアルカリ液又は中和液である。カ
ードランのアルカリ液は、例えば、アルカリを溶解した
水にカードランを加えるか、カードランを分散させた水
にアルカリを加えて攪拌することにより得られる。カー
ドランがアルカリ水溶液に溶解しないときは、カードラ
ンが熱凝固しないような40℃程度の温度までに加熱す
ればよい。
【0012】また、本発明の品質改良剤は、予め、粉末
のカードランと粉末のアルカリを適宜な割合、例えば、
50:50〜99.6:0.4の割合で混合しておき、
必要に応じて、水に溶解又は膨潤させて使用してもよ
い。
【0013】カードランのアルカリ液の液形態として
は、アルカリ水溶液又は膨潤液である。カードランは通
常粉末状であり、それ単独では水に溶解しないため、直
接添加しても分散が不十分でカードランの効果を発揮で
きない。また、強力分散するには高速カッターミキサ等
の装置を使用する必要があるが、アルカリ液とすること
により、カードランの均一液又は膨潤液が得られハンド
リングが容易となると共にカードランの効果を十分に発
揮できる。また、カードランのアルカリ液は生菌の発生
を防止するため衛生的である。
【0014】アルカリ剤としては、特に制限されない
が、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸三
ナトリウム、リン酸三カリウム、水酸化ナトリウムが挙
げられる。また、複数のアルカリを使用して調製されて
いるかんすいも使用できる。これらのアルカリ剤は、1
種又は2種以上を組み合わせて使用される。
【0015】カードランのアルカリ液のアルカリ濃度と
しては、特に制限されず、例えば、0.04〜6重量%
であればよい。また、アルカリ液に溶解又は膨潤させる
カードランの濃度も特に制限されず、例えば、1〜4重
量%であればよい。
【0016】カードランのアルカリ液を食品に添加する
場合、カードランのアルカリ液を酸で中和してから添加
してもよい。中和に使用する酸としては、例えば、乳
酸、クエン酸、酢酸などの有機酸、塩酸、硫酸などの鉱
酸、酸性を示す醤油、酢などが挙げられる。また、かか
る品質改良剤には、必要に応じて、キサンタンガム、カ
ラギーナンなどの増粘多糖類、デンプン類、ゼラチンな
どが配合されてもよい。
【0017】カードランのアルカリ液又はそれを酸で中
和した中和液を食品に添加する場合、加温して添加して
もよい。すなわち、カードランのアルカリ液又は中和液
を加温してから食品に添加する方法、カードランのアル
カリ液又は中和液を食品に添加してから加温する方法の
いずれであってもよい。加温温度としては、40℃以
上、好ましくは50〜80℃である。
【0018】本発明の品質改良剤は、液状食品に対し
て、カードラン濃度として、0.005重量%以上、好
ましくは0.01〜0.1重量%の範囲で使用すること
が好ましい。0.005重量%未満ではあまり効果が認
められず、0.1重量%を越えて添加しても粘度が増加
し、調味液やスープ類の食感を損なう恐れがある。
【0019】本発明において、カードランのアルカリ液
又はその中和液を具材を含む液状食品に添加することに
より、加熱による具材の煮崩れ又は固化を防止して具材
の食感が改善される。また、具材の外観の劣化を防止す
ると共に、具材の歩留りの低下を防止する。具材として
は、特に制限されないが、半固形物を含む固形状物であ
り、例えば、獣鳥鯨肉類、油脂類、魚介類、野菜類、種
実類、豆類、穀類、果実類、チーズ類、きのこ類、卵類
及びこれらの加工品が挙げられる。
【0020】また、具材を含む液状食品としては、特に
制限されないが、一般的に知られている調味液及びスー
プ、つゆ、汁などのスープ類が挙げられ、これらは無味
のもの又は味の付いたもののいずれであってもよい。具
体的には、砂糖、甘味料、塩、酢、ソース、味噌、酒
類、デンプン類、獣鳥鯨肉類、油脂類、藻類、魚介類、
野菜類、種実類、豆類穀類、果実類、チーズ類、きのこ
類及び卵類で味付けしたもの、又はこれらからの出汁又
はエキスなどで味付けしたものである。
【0021】カードランのアルカリ液又はその中和液を
具材を含む液状食品に添加する方法としては、特に制限
されず、カードランのアルカリ液又はその中和液を具材
を含まない液状食品に添加し、その後に具材を添加し、
加熱して煮込む方法、カードランのアルカリ液又はその
中和液に具材を添加し、その後に液状食品に添加し、加
熱して煮込む方法などが挙げられる。
【0022】本発明において、最終的に調理される食品
としては、特に制限されないが、例えば、おでん、なべ
もの、しゃぶしゃぶ、すきやき、煮物、調味液漬け、調
味液で煮詰めた佃煮類、ロールキャベツ、ワンタンスー
プ、トムヤンクンなどが挙げられる。
【0023】本発明において、カードランのアルカリ液
又はその中和液を具材を含む液状食品に添加すると、カ
ードランが具材の中にしみ込み、具材中の水分を適度に
保つ保水性が発揮される。このため、加熱による具材の
煮崩れを防止して外観の劣化を防止し保形性を保つ。ま
た、具材の固化を防止して具材の食感を改善すると共
に、具材の歩留りの低下を防止する。また、本発明方法
で製造した具材を含む液状食品をレトルト処理しても、
それを使用する場合、加熱調理による具材の煮崩れ又は
固化が防止され具材の食感が改善される。
【0024】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に
説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限す
るものではない。
【0025】参考例1(カードランのアルカリ液の調
製) 水98重量%にカードラン(「カードランN」武田薬品
工業社製)1.5重量%を分散し、リン酸三カリウム
0.5重量%添加し、よく攪拌した後、溶液を40℃ま
で加温してカードランのアルカリ液を得た。
【0026】参考例2(調味液の調製) 表1の配合に従い、濃口醤油(塩分約15%)、調味料及
び水を混ぜ合わせて50℃以上に温めたものに、参考例
1で調製したカードランのアルカリ液(表中、「A
液」)を添加して調味液A、B、Cを調製した。また、
カードランのアルカリ液無添加を調味液D、カードラン
のアルカリ液無添加でリン酸三カリウム又は60%乳酸
ナトリウムを添加したものをそれぞれ調味液E及び調味
液Fとした。
【0027】
【表1】
【0028】実施例1〜3、比較例1〜3 参考例2で調製した各調味液400mlに、市販の板蒲鉾
を厚さ2.5cmに切り、4切れを入れ、80℃で5時間
温めた。その後、蒲鉾を取り出し、蒲鉾の物性を下記の
測定条件で測定した。結果を表2に示す。各調味液A〜
Fの順で、実施例1〜3、比較例1〜3となる。
【0029】(蒲鉾の物性測定条件) ・装置:レオメーターCR−200D(サン科学) ・プランジャー:球形で径5mm、圧縮速度:60mm/ 分 ・試料温度:20℃ ・測定:1試料に対して2点測定(3試料の計6点の平
均値を算出)
【0030】
【表2】
【0031】表2から明らかなように、カードランアル
カリ水溶液を添加した調味液(つゆ)で蒲鉾を温める
(煮る)ことにより、蒲鉾の固さや弾力の低下を抑える
効果が発揮された。
【0032】実施例4〜実施例6、比較例4〜比較例6 市販の板蒲鉾の厚さ2.5cm、4切れに代えて、市販の
板蒲鉾を厚さ1cmに切り、8切れを入れた以外は、実施
例1〜実施例3、比較例1〜比較例3と同様の方法で行
った。この場合、煮込み後の蒲鉾の食感評価は年齢24
〜34歳の男性5人、女性5人の計10名のパネラーに
よる食感テストにより行った。結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】表3から明らかなように、カードランのア
ルカリ液を添加した調味液(つゆ)で蒲鉾を温める(煮
る)ことにより、蒲鉾の固さや弾力の低下を抑え、また
蒲鉾表面を乾きにくくする効果が発揮された。また、調
味液(つゆ)の食感はいずれも同じであった。しかし、
比較例3のつゆの味は他に比べて少し美味しさに欠けた
ものであった。
【0035】参考例3(調味液の調製) 表4の配合に従い、濃口醤油(塩分約15%)及びグラニ
ュー糖を混ぜ合わせて80℃以上に温めたものに、参考
例1で調製したカードランのアルカリ液(表中、「A
液」)あるいは無水クエン酸を添加した後、室温まで冷
やして調味液G、H、Iを調製した。また、カードラン
のアルカリ液無添加のものを調味液Jとし、カードラン
のアルカリ液の代わりに、粉末カードランを添加したも
のを調味液Kとした。粉末カードランの添加は、ホモジ
ナイザーで10,000rpm 、30秒間攪拌して行った。配合
量は重量部である。
【0036】
【表4】
【0037】実施例7〜9、比較例7、8 参考例3で調製した各調味液400gに、蒸した貝を約
150g入れ、1晩漬込み後、加熱し沸騰し始めてから
約98℃の温度で、20分間又は60分間煮込み、貝を
取り出して貝の重量を測定し、漬込み前と加熱後の貝の
重量から歩留りを計算した。結果を表5及び表6に示
す。各調味液G〜Iの順で実施例7〜9、各調味液J、
Kの順で比較例7、8となる。表中、及びの重量は
「g」を示す。
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】表5及び表6から明らかなように、カード
ランのアルカリ液を調味液に添加することで、貝の歩留
りが向上する。比較例8の粉末カードランも歩留りは向
上するが、実施例8のカードランアルカリ液に比べると
劣る。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、カードランのアルカリ
液又はその中和液を用いて具材を含む液状食品を製造す
ることにより、カードランが具材の中にしみ込み、具材
中の水分を適度に保つ保水性が発揮される。また、加熱
による具材の煮崩れを防止して保形性を保つ。また、具
材の固化を防止して食感を改善すると共に、具材の歩留
りの低下を防止する。また、本発明方法で製造した具材
を含む液状食品をレトルト処理しても、それを使用する
場合、加熱調理による具材の煮崩れ又は固化が同様に防
止できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カードランのアルカリ液又はその中和液
    であって、具材の食感を改良することを特徴とする液状
    食品に含まれる具材の品質改良剤。
  2. 【請求項2】 具材を含む液状食品にカードランのアル
    カリ液又はその中和液を添加して製造することを特徴と
    する食品の製造方法。
JP11114568A 1999-04-22 1999-04-22 液状食品に含まれる具材の品質改良剤及び食品の製造方法 Pending JP2000300192A (ja)

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