JP2000283952A - 窒素酸化物センサ - Google Patents

窒素酸化物センサ

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JP2000283952A JP11088560A JP8856099A JP2000283952A JP 2000283952 A JP2000283952 A JP 2000283952A JP 11088560 A JP11088560 A JP 11088560A JP 8856099 A JP8856099 A JP 8856099A JP 2000283952 A JP2000283952 A JP 2000283952A
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Yasushi Yamada
靖 山田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温の測定ガスに長時間さらされてもセンサ
材料の変質を伴うことなく、且つ測定ガス中のNOx
外の共存ガスの影響を受けることなく、数十ppm以下
の極低濃度のNOx を充分な精度で測定可能な窒素酸化
物センサを提供する。 【解決手段】 NOx を含む測定ガスを導入し且つ前記
測定ガスの導入量を制限する拡散律速部と、前記測定ガ
スを活性酸素ガスで酸化処理する酸化処理部とからなる
前処理室、並びに前記前処理室で酸化処理したガス中の
NOx を検知及び/又は測定する検知部からなる窒素酸
化物センサ。本センサにおいて、前記検知と、検知及び
/又は測定後のガスを外部へ排出するガス排出部とから
なる空室を有するものが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は窒素酸化物センサ、
更に詳しくは、測定ガス中の還元性成分を活性酸素ガス
で予め酸化処理することにより還元性成分の影響を除
き、それ故、測定ガス中のNOx を簡便迅速且つ正確に
測定することができ、また小型軽量で製造が容易である
窒素酸化物センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車のエンジンやボイラー等から発生
する燃焼排気ガス中に含まれるNOxの低減のために、
NOx センサを用いたNOx 濃度モニタ及びその結果に
基づく燃焼機器の燃焼状態の制御、 触媒浄化装置の制御
等が検討されている。その際、NOx を簡単且つ高精度
に検知するために、高温の燃焼排気ガス中でも安定して
作動する小型の窒素酸化物センサの開発が望まれてい
る。従来、NOx センサとしては、酸化物半導体を用い
た抵抗変化式、固体電解質を用いた電流式及び起電力式
等の種々のNOx センサが提案され、また文献等に開示
されている。
【0003】以下、各NOx センサについて、検出原理
と実用上の問題点を述べる。抵抗変化式の窒素酸化物セ
ンサは、酸化物半導体表面にNOx が吸着した場合に、
前記酸化物半導体の電気抵抗が変化することを利用した
センサである。しかし、抵抗変化式の窒素酸化物センサ
は、一般に還元性ガスに対しても感度を有するため、ガ
ス選択性に乏しい。このことは更にNO,NO2 のガス
選択性に対しても同様であり、何れか一方を検知するこ
とができない。また、高温下で酸素の極めて少ない還元
雰囲気に長時間さらされると、センサ材料である酸化物
半導体そのものが還元され、センサの劣化が著しい等の
問題点がある。
【0004】前記抵抗変化式センサの欠点を解決すべ
く、例えば特開平5−157715号公報には、第1の
空室に第1拡散律速部を通して測定ガスを供給する部位
及び固体電解質の酸素ポンプ作用を利用して外部より酸
素を供給する部位を設け、第1空室内で測定ガスと酸素
を混合し、その混合ガスを触媒層を有する第2拡散律速
部を通して第2空室に導き、第2空室内に設置した抵抗
変化式センサでNO2 ガスを検出する方法及び検出装置
が提案されている。しかし、前記検出装置では触媒層で
の触媒の特性変化が直ちにNO2 センサの信号に反映
し、その結果、安定した信号が得られない欠点がある。
更に、第1空室内で測定ガスと酸素が極めて良好に混合
され得る構成ではないので、触媒層での反応が有効に行
われない可能性がある。
【0005】電流式の窒素酸化物センサは、ジルコニア
のような酸素イオン導電体を用いてNOx を電気化学的
に分解し、電解質中をO2-として流れる際の電流値から
NO x 量を検知する。しかし、排気ガス中に共存するO
2 もO2-として電解質中を流れるので、NOx とO2
分離して検知することが困難である。その解決法とし
て、二つの空室を持ったNOx センサが提案されている
(特開平8−271476号公報)。このNOx センサ
においては、第1空室でO2 の分離とNO2 からNOへ
の変換を行い、第2空室でNOを分解する際に流れる電
流の値からNOを検知する。それ故、原理的にはNOx
とO2 を分離して検知すること及び全NO x 濃度(=N
O濃度+NO2 濃度)を検知することが可能であるが、
NOを分解する際に流れる電流の値がガス濃度に比例す
るので、数百ppm以下のNOx を検知しようとする場
合、電流出力が極めて微小になるという欠点がある。し
かも、排気ガス中に炭化水素ガス、一酸化炭素などの還
元性ガスが含まれる場合には、第1空室内での前記還元
性ガスとNOx 及びO2 との反応が関与し、第2室に安
定してNOx を供給できなくなり、それ故、NOx 量を
正確に検知することができない。
【0006】起電力式の窒素酸化物センサは、 固体電解
質を隔壁とした電気化学セル間に発生する起電力からN
x を検知する方式のセンサである。この方式では、電
極の一方に硝酸塩又は亜硝酸塩を塗布した固体素子型の
センサ素子を備えた窒素酸化物センサが主に検討され、
多数公開されている(特開昭61−184450号公
報)。前記方式のセンサは数百ppm以下の低濃度のN
x に対しても数十〜数百mV以上の大きい起電力変化
を示し、その起電力がネルンストの式に一致するという
利点がある。しかし、これらのセンサ素子は構成要素と
して水溶性且つ低融点の硝酸塩又は亜硝酸塩を含むた
め、その融点によって動作温度が制限される。すなわ
ち、硝酸塩及び亜硝酸塩の中で最も融点が高いBa(N
3 2 でも融点が592℃であるため、前記窒素酸化
物センサは600℃以上の高温では使用不可能である。
【0007】また、起電力式の窒素酸化物センサにおけ
る前記問題を解決するために、電極の一方に各種酸化物
を用いる方式が提案されている。 これらのセンサの特性
は酸化物材料に大きく依存することが知られており、良
好な特性を示す電極材料として、NiF4 型及びペロブ
スカイト型酸化物(特開平7−198671号公報)、
VIIa族又はVIII a族元素を含む酸化物(特開平8−
247992号公報)等が開示されている。これらの酸
化物電極は、融点や分解温度が硝酸塩より高いため耐熱
性に優れている。しかし、NOx 検知機構が混成電位機
構に基づくため、NOとNO2 に対して起電力の変化方
向が原理的に逆向きになる。燃焼排ガス中のNOx はN
Oを主成分として一部NO2 を含み、NOとNO2 が混
合状態となっている。そのためNOとNO2 に対する起
電力の変化方向が逆向きのセンサを排気ガス中で用いる
と、起電力の出力が互いに打ち消されて正確なNOx
度の測定をすることができなくなる。
【0008】この問題を解決するために、我々はかつて
高温の燃焼排気ガス中でも使用可能な安定性を有し、数
百ppm以下の低濃度のNOx を測定可能であり、且つ
NOとNO2 が共存する燃焼排気ガス雰囲気においても
全NOx 濃度を測定可能な窒素酸化物センサを提案し
た。しかし、前記センサに用いた電極材料、すなわちM
TiO3 (式中、MはFe,Co,Ni及びMnを表わ
す)で表される組成のイルメナイト型構造の酸化物にお
いても、高温の還元性雰囲気に長時間さらされた場合に
は材料が還元され、その結果、センサの劣化を招く欠点
があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述の如く、従来の窒
素酸化物センサは測定ガス中の共存ガス、特に還元性ガ
スの影響を受けることに加えて、以下の欠点:高温の
酸化雰囲気又は還元雰囲気中における耐久性が劣り、燃
焼排気ガス中での使用ができない、数百ppm以下の
低濃度のNOx を検知し得る感度を有しない、全NO
x 濃度(=NO濃度+NO2 濃度) を検知することがで
きない、のうちの少なくとも一つ以上を有している。そ
れ故、共存ガスに影響されることなく、充分な耐久性を
有し、且つ低濃度のNOx や全NOx 濃度を効率良く且
つ正確に検知及び/又は測定することができる窒素酸化
物センサは現在まで知られていない。
【0010】本発明は前記従来技術の問題点を解決する
ためのものであり、その目的とするところは、高温の測
定ガス、例えば燃焼排気ガス、特に炭化水素を含む燃焼
排気ガスなどの還元性雰囲気に長時間さらされてもセン
サ材料の変質を伴うことなく、且つ測定ガス中のNOx
以外の共存ガスの影響を受けることなく、数百ppm以
下、特に数十ppm以下の極低濃度のNOx を充分な精
度で測定可能な窒素酸化物センサを提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明の窒素酸
化物センサは、NOx を含む測定ガスを導入し且つ前記
測定ガスの導入量を制限する拡散律速部と、前記測定ガ
スを活性酸素ガスで酸化処理する酸化処理部とからなる
前処理室(第1室)、並びに前記前処理室で酸化処理し
たガス中のNOx を検知及び/又は測定する検知部から
なることを特徴とする。また、本センサの構成におい
て、前記前処理室で酸化処理したガス中のNOx を検知
及び/又は測定する検知部と、検知及び/又は測定後の
ガスを外部へ排出するガス排出部とからなる空室(第2
室)を有するものが好ましい。本発明の窒素酸化物セン
サにおいて、活性酸素ガスの供給及びガス排出は、例え
ば固体電解質を用いた酸素ポンプで行ってよい。また、
NOx の検知及び/又は測定は、好適な検知及び/又は
測定手段、例えば抵抗変化式又は電流印加電圧検知式の
検知部等で行ってよい。特に前記第1室を多孔質の固体
電解質を用いて形成し、更に第1室に貴金属、例えば白
金の傾斜電極層又は多孔質電極層、多数の溝を有する電
極層を設けた本発明の窒素酸化物センサは、導入された
測定ガスと固体電解質を用いた酸素ポンプによって生成
された活性酸素ガスとの接触が極めて良好に行われ、排
気ガスの酸化処理を円滑に行うことができるので好まし
い。
【0012】<作用・作動原理>以下に、本発明の窒素
酸化物センサの作用及び作動原理を説明する。前処理室
(第1室)は、具体的には例えば多孔質の固体電解質か
らなり、少なくとも一部が燃焼排気ガス等の測定ガス雰
囲気にさらされた状態にあり、測定ガス雰囲気にさらさ
れた面の一部に一方の電極を有し、且つ固体電解質の他
方の面に他方の電極を有し、他方の電極は活性酸素ガス
を発生し得る電極、例えば固体電解質内に向けて電極材
料の濃度を低くした傾斜電極層か又は多孔質電極層、多
数の溝を有する電極層からなる構成とする。この構成に
おいて、測定ガス雰囲気にさらされた電極上で測定ガス
雰囲気中の酸素、水蒸気などが分解されて酸素イオンを
生成し、この酸素イオンは他方の電極に向けて固体電解
質内を流れ、電極層内及びこれらの層表面(他方の電極
の内層及び表面)において活性酸素ガスを発生する。一
方、燃焼排気ガス等の測定ガス雰囲気にさらされた固体
電解質の、電極が形成されていない部分からは、多孔質
固体電解質の隙間を拡散して燃焼排気ガス等の測定ガス
が固体電解質内に流入し、電極層内及びこれらの層表面
(他方の電極の内層及び表面)において生成した活性酸
素ガスと接触して燃焼排気ガス等が酸化処理され、その
結果、測定ガス中の還元性ガス成分が酸化処理され、除
去される。また、測定ガス中のNOについても、酸化さ
れたNO2 の状態で空室(第2室)に供給することがで
きる。
【0013】第2室に設けるNOx ガス検知部は、NO
x ガスを検知及び/又は測定し得るものであればその形
態は特に限定されないが、例えば酸化物半導体からなる
抵抗変化式NOx 検知部又は電流印加電圧検出式NOx
検知部等であってよい。第2室は、第1室で活性酸素ガ
スによって測定ガス中の還元性ガス成分が酸化・除去さ
れ且つNOがNO2 に酸化され、その結果、NO2 及び
酸素ガスが存在する雰囲気下に置かれる。
【0014】酸化物半導体からなる抵抗変化式NOx
知部の場合は、この雰囲気下で酸化物半導体がNO2
吸着すると、その電気抵抗が変化し、NO2 量に応じた
出力変化を得ることができる。しかも、一般に抵抗変化
式NOx 検知部に対して影響があるとされる還元性ガス
成分は第1室で除去されるので、共存ガスの影響を受け
ず、またNOはNO2 に変換されるので全NOx 量を検
知することができる。更にまた、抵抗変化式NOx 検知
部は常に酸素ガスが存在する酸化性雰囲気にさらされ、
還元状態にならないので、酸化物半導体材料が還元され
て劣化することがない。
【0015】また、好ましい電流印加電圧検出式NOx
検知部は、例えば、二つで一対となる電極が表面に形成
された酸素イオン導電性固体電解質と、対をなす二つの
電極間に電流を印加可能な電流源とから構成されたもの
であり、前記二つの電極のうち、少なくとも一方の電極
が次式(I) MTiO3 (I) 〔式中、MはFe,Co,Ni,Cr及びMnを表わ
す〕で表わされる組成のイルメナイト型構造の酸化物で
あり、前記電極間に電流を印加した時の電極間の電圧か
ら雰囲気ガス中の全窒素酸化物濃度を検知するものであ
る。この検知部の場合には、第1室でNOから変換され
たNO2 が、再度熱力学的な平衡のためにNOに変換さ
れてNOとNO2 が共存する状態になった場合において
も、全NOx濃度を測定できるものであり、以下に、よ
り具体的に作用原理を説明する。
【0016】すなわち、電極間に電流を印加しない状態
の、酸化物電極を有する固体電解質セルの電極間の起電
力から、NOx を検知する窒素酸化物センサ(例えば、
特開平7−198671号公報,特開平9−80014
号公報記載の窒素酸化物センサ)では、酸化物電極上で
NO2 に対して以下の(1),(2)の反応が起こって
いると考えられる。 NO2 +2e- →NO+O2- (1) O2-→1/2O2 +2e- (2) また、NOに対しては以下の(3),(4)の反応が起
こっていると考えられる。 1/2O2 +2e- →O2- (3) NO+O2-→NO2 +2e- (4) すなわち、NO2 に対してはNO2 がNOに還元される
反応(1)が、また、NOに対してはNOがNO2 に酸
化される反応(4)が起こる。したがって、電極間に電
流を印加せずに、電極間に発生する起電力からNOx
検知しようとすると、原理的にNOとNO2 とで起電力
の変化方向が逆になり、NOとNO2 との総和を直接検
知することができない。
【0017】そこで、本NOx ガス検知部については、
電流源を用いてMTiO3 電極(酸化物電極)が+とな
るように電極間に電流を印加する(すなわち、酸化物電
極をアノード分極する)。この電流印加の極性は、前記
従来の文献に多数開示されている電流式NOx センサと
逆である。このように電流を印加(アノード分極)する
と、O2 が存在する雰囲気ではMTiO3 電極において
(2)の反応が、もう一方の電極(例えば、貴金属電
極)では(3)の反応が起こり、固体電解質中を酸素イ
オン(O2-)が貴金属電極側から酸化物電極側へ流れ
る。雰囲気にNOとNO2 が共存する場合、このO2-
流れにより(1)の反応が抑制され、(4)の反応が促
進される。更に電流値を上げると、MTiO3 電極では
電極触媒反応により、次式(5): NO2 +O2-→NO+1/2O2 +2e- (5) で表されるNO2 の酸化的分解反応が生じるようにな
る。そのためNOとNO2共に検知反応は酸化反応とな
り、電圧の変化方向を同一にすることができる。更に印
加電流を適当に選ぶとNOに対する感度とNO2 に対す
る感度とを同一にすることができるので、その電流値を
印加した場合の電圧変化をセンサ出力とすれば、NOと
NO2 とを区別せずにNOx として検知することが可能
となる。なお、NOに対する感度とNO2 に対する感度
とを同一にすることができる印加電流の値は、電極とし
て用いるMTiO3 の種類とセンサ温度に依存する。
【0018】更に、第2室に供給されたガスは、抵抗変
化式NOx 検知部又は電流印加電圧検出式NOx 検知部
に作用した後ガス排出部を通して直ちに除去されるの
で、NOx 検知部へのガス供給を外部燃焼排気ガスに通
じる第1室の拡散律速部側から常に強制的に行うので、
NOx 検知部の応答性を格段に向上させることができ
る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の窒素酸化物セン
サにおける実際の構成材料等の実施形態を詳細に述べ
る。本発明の窒素酸化物センサにおいて、前処理部( 第
1室) は、例えば多孔質の固体電解質材料からなり酸素
イオン導電性を示す材料を使用して形成することができ
る。具体的には、例えばジルコニウム系固体電解質(Z
rO2 −M2 3 固溶体又はZrO2 −MO固溶体;M
=Y,Yb,Gd,Ca,Mgなど)、セリア系固体電
解質(CeO2 −M2 3 固溶体又はCeO2 −MO固
溶体;M=Y,Smなど)、酸化ビスマス系固体電解質
(Bi2 3 −WO3 固溶体など)を使用することがで
きる。排気ガス中での安定性の観点から、ジルコニウム
系固体電解質が好ましく、特に熱衝撃抵抗と酸素イオン
導電率との兼ね合いで、5〜8mol%のY2 3 を固
溶させたZrO2 が最も好ましい。
【0020】空室( 第2室) 内に設けるNOx ガス検知
部は、本発明の目的を達成し得る範囲内において特に検
出原理を特定するものではないが、例えば抵抗変化式検
知部とする場合は、その検知部材料として酸化物半導体
を用いることができる。具体的には、SnO2 ,W
3 ,ZnO,Nb2 3 ,TiO2 ,ZnSnO3
Zn2 SnO4 ,Cr2 3 ,NiOなどを用いること
ができるが、熱安定性、NOx 選択性及び感度の観点か
ら、ルチル構造TiO2 ,スピネル構造Zn2 SnO4
及びコランダム構造Cr2 3 がより好ましい。この
際、酸化物に導電性を持たせるため、TiO2 について
はNb又はTaを0.01〜25mol%添加したもの
が最も好ましく、Zn2 SnO4 についてはSbを0.
01〜35mol%添加したものが最も好ましい。
【0021】また例えば電流印加電圧検出式検知部を用
いる場合は、そのセンサ素子材料に関して、例えば二つ
の電極のうち少なくとも一方の電極材料としてはMTi
3〔式中、Mは式中、MはFe,Co,Ni,Cr及
びMnを表わす〕で表される組成のイルメナイト型構造
の酸化物を用いることが好ましい。前記酸化物からなる
電極は、アノード分極時にNO,NO2 の電極反応〔前
記(4),(5)の反応〕の活性が高く且つ排気ガス中
での安定性が高い。また、前記電極にPt,Au,Pd
等の貴金属材料も利用することができる。他方の電極の
材料は特に限定されるものではないが、O2 の電極反応
〔前記(2),(3)の反応〕の活性が著しく高いもの
が好ましく、例えばLaMO3 〔M=Co,Mn,C
r〕系の電子電導性酸化物やPt,Pd等の貴金属材料
を利用することができる。特にその電極材料としては、
高温での耐久性に優れるPt, Pd及びそれらを主成分
とする合金が最も好ましい。
【0022】第1室に設ける一対の電極の材料はO2
極反応の活性が著しく高いものが好ましく、例えばLa
MO3 〔M=Co,Mn,Cr〕系の電子電導性酸化物
やPt,Pd等の貴金属材料を利用することができる。
特にその電極材料としては、高温での耐久性に優れるP
t, Pd及びそれらを主成分とする合金が最も好まし
い。更に、NOx 検知部で例えば抵抗変化式検知部を用
いる場合には、その電極材料は特に限定されるものでは
ないが、例えばNi,Cu,Au,Ptなどの電気電導
性の良好な金属類が適当であり、特に熱及び耐久安定性
に優れる白金を用いるのが最も好ましい。
【0023】第2室に設置するガス排出部は第2室から
強制的にガス排出を行うものであり、例えば、第2室側
の壁の一部を固体電解質材料で形成し、その両面( 第2
室の内外面) に電極を形成した構成とし、それぞれの材
料は、第1室に設ける電極材料と同一の材料を用いたも
のが、耐久性及び構成上最も好ましい。
【0024】本窒素酸化物センサの素子全体を加熱する
ヒータの材質,大きさ,形状等は、本発明の目的を達成
し得る範囲内において特に限定されるものではないが、
金属に電流を印加した際に発生する熱を利用するものが
簡便であり、その材料としては、例えばNi,Cu,A
u,Ptなどの金属類を用いることができるが、広い温
度範囲にわたって抵抗温度係数が均一で且つ熱及び耐久
安定性に優れる白金を用いるのが最も好ましい。また、
この際のヒータ構成としては、単一のヒータとしてもよ
いし、又はセンサ内の各部を個別に加熱し得る複数のヒ
ータからなる構成とすることもできる。
【0025】窒素酸化物センサ全体を構成する前記以外
の部分の材料については、耐久性、耐熱性などに優れ、
雰囲気条件によって材料が変質せず、また特性に影響を
及ぼさないものであれば何れの材料でもよいが、高温排
気ガス中で用いることを考慮し、またセンサ製造の容易
さを考慮すると、例えばAl2 3 又はZrO2 を用い
ることが好ましい。特に、第1室を構成する活性酸素ガ
ス供給部、第2室に設置する酸素ガス排出部を考慮し、
全体の製造を考慮すると活性酸素ガス供給部及び酸素ガ
ス排出部と同様の材料、すなわち5〜8mol%のY2
3 を固溶させたZrO2 が最も好ましい。
【0026】本発明の窒素酸化物センサを構成する各部
分は、この分野における慣用の方法を用いて製造するこ
とができ、例えば、焼成法、印刷法、スパッタ法、CV
D法、グリーンシートを用いた積層法などの既存の方法
をすべて用いることができる。また、第1室を構成する
拡散律速部と活性酸素ガス供給部及び第2室内に設置す
るNOx ガス検知部とガス排出部及びそれらに接続する
電極等の大きさや形状は、窒素酸化物センサの大きさや
形状に応じて適宜選択する。
【0027】本発明の窒素酸化物センサにおいて、活性
酸素ガスを生成し、窒素酸化物センサ全体を加熱し、N
x ガス検知部を制御し、ガス排出部を駆動する等の種
々の働きをする電流源及び電圧源としては、好適な直流
電流電源又は直流電圧電源を選択する。また、前記電流
源及び電圧源を制御・管理し、NOx ガス検知部からの
信号を処理するために、適する制御・管理装置、例えば
パーソナルコンピュータなどの装置を使用することがで
きる。
【0028】
【実施例】以下の実施例により、本発明を更に詳細に説
明する。なお、以下の実施例は基本的な実験例を含み、
また本発明を具体的に示すものであるが、説明のための
みのものであり、本発明はこれらの実施例により何ら限
定されるものではない。
【0029】実施例1 図1に実施例1の本発明の窒素酸化物センサの概略構成
図を示す。実施例1の窒素酸化物センサにおいて、測定
ガス1は先ず拡散律速部2に供給される。拡散律速部2
は、ZrO2 多孔質固体電解質からなる前処理部(第1
室)3の一部をなす。本実施例では測定ガス1はボイラ
ー、エンジン等の燃焼器からの排気ガスを想定してお
り、一般的には窒素酸化物と共にCO、HC(炭化水
素)、H2 等の還元性ガス、及び窒素等の不活性ガス、
及び燃焼に伴い生成したCO2 、H2 O等が共存してい
る。また、燃焼の条件によっては酸素が残存する場合も
ある。第1室3は活性酸素ガス供給部4としても機能す
る。活性酸素ガス供給部4は、Pt電極(活性酸素ガス
供給電極)10、拡散律速部2及びPt−ZrO2 傾斜
電極(活性酸素ガス供給電極)11からなる。Pt−Z
rO2 傾斜電極11は、ZrO2 多孔質固体電解質中に
Ptを濃度を変化させて(拡散律速部2側ほどPt濃度
が低い)混入したものである。この活性酸素ガス供給部
4において、第1室3外側の網目状に配置されたPt電
極10により測定ガス1中にあるNO2,H2 O,CO
2 等を分解することができ、また測定ガス1中に酸素が
含まれる場合には、その酸素を第1室3内部に供給する
ことができる。更には、例えば第1室3外側のPt電極
10の一部分を測定ガスではなく大気にさらすことによ
って、大気中の酸素を活性酸素ガスとして第1室3内部
に供給することもできる。
【0030】以下に、第1室3内に活性酸素ガスを供給
する活性酸素ガス供給部4について、ガスを分解して酸
素を得る際の電極に印加する電圧、すなわち各ガスの分
解電圧に関する実験例1を示す。 <実験例1>図2に示すように、Al2 3 多孔質基板
12の一面上に電極13、ZrO2固体電解質14、電
極15を順次積層して検知部を構成し、Al2 3 多孔
質基板12の他面上にPtヒータ16を設けた限界電流
式酸素ポンプを、電極材料を変えて作製した。電極材料
としては、白金及びその合金を用いた。電極材料の相違
によって、酸素結合ガスの分解によって生じた酸素ガス
に対する酸素ポンプ作用の始まる電圧、すなわち分解電
圧がどのように変化するかを検討した。結果を図3に示
す。この結果から、白金を主体とする電極を第1室3の
外側に形成すると、例えば白金を電極材料に用いた場
合、O2 ,NO2 ,NOは分解電圧0Vから分解が始ま
り、H2 Oは分解電圧約0.7Vから分解が始まり、ま
たCO2 は分解電圧約0.8Vから分解が始まるので、
前記分解電圧以上の電圧を印加すれば第1室3内に活性
酸素ガスを供給し得ることが判る。従って、これらの物
質を分解して酸素を得るには0.8V以上の電圧を印加
すればよいことが判った。また、活性酸素ガス供給部4
を通して第1室3に供給された酸素は非常に高活性であ
り、通電時の電極上での反応速度が数10〜100倍程
度まで向上することが知られている。更に、通常の空気
中酸素に比べて約7400倍もの活性を有しており
〔(文献:石原達己,触媒,Vol39,No.5(1
997)〕、測定ガス1と効率よく接触させることで、
この酸素の活性を利用して還元性ガスCO,HC等をC
2 ,CO等に酸化することができる。また、NOにつ
いてもNO2 に酸化することができる。このようにして
測定ガス1中の還元性ガスを除去し、またNOをNO2
に変換したガスは、次いで図1中の空室(第2室)5内
に導かれる。なお、第1室3内の酸素ガス雰囲気は常に
活性酸素ガス供給部4から供給される酸素で酸素過剰状
態に保つ必要があるが、その過剰状態を確認するため、
図4に示す如く、第2室5内に酸素濃度モニタ部6を設
けてもよい。酸素濃度モニタ部6として用いることがで
きるものとしては、例えば、酸素起電力に基づく酸素濃
度検知素子などが考えられる。第2室5内に導かれたガ
スは、第2室5内に設置したNO2 検知部7(本実施例
では、酸化物半導体Zn2 SnO4 を用いた抵抗変化式
NO2 検知部7)に接触し、表面に吸着して酸化物半導
体の電気抵抗が変化する。この変化の様子は、酸化物半
導体に接して設置した一対の電極間に定電圧源により一
定電圧を印加した際の電流の変化を精密電流計で測定す
ることにより、又は定電流源により一定電流を流した際
の電圧の変化を精密電圧計で測定することにより、観察
する。
【0031】以下の実験例2において、NOx 検知部、
すなわち抵抗変化式NOx 検知部の特性について詳細に
述べる。 <実験例2>本実験例では抵抗変化式NOx 検知部の一
例の特性を述べるのみであり、それ故、本実験例によっ
て、抵抗変化式NOx 検知部の材料、形状、処理方法な
どが特に限定されるものではない。実験に用いた抵抗変
化式NOx 検知部は図5に示す形状のものである。図5
(a)は抵抗変化式NOx 検知部の表面図、図5(b)
は抵抗変化式NOx 検知部の裏面図、図5(c)は抵抗
変化式NOx 検知部の断面図である。すなわち、基板1
7表面上に電極18,19及び酸化物半導体膜20を形
成し、また基板表面17の裏面には、検知部を加熱する
ためのヒータ21を形成した。なお、ここでは基板とし
てAl2 3 基板(大きさ:3.3mm×8mm×0.
5mm)を用い、電極及びヒータの材料はそれぞれ白金
(Pt)を用いた。また、電極18,19は線幅0.2
mm、膜厚1μmとし、ヒータ21は線幅0.2mm、
膜厚1.5μmとした。更に酸化物半導体膜20の材料
はSb2 3 を0.55mol%添加したZn2 SnO
4 (mol比:Zn/Sn=2.42)を用いた。電極
18,19、酸化物半導体膜20、ヒータ21の何れも
真空スパッタ法で形成した。更に、成膜後は1000℃
×1時間、空気中で熱処理した。前記構成において、実
施例1の中では、基板17として素子構成材料の例えば
ZrO2 からなるZrO2 基板を用いることもでき、ま
たヒータ21については、実施例1の中では、センサ素
子全体を加熱するヒータで代替してもよい。
【0032】このようにして得られたNOx 検知部を図
6に示す測定系に設置し、モデルガス(ボンベガス等の
組成が明確に判っているガス)を用いてセンサ特性を評
価した。なお、モデルガスとしては基本的に下記表1の
組成のものを用いた。表1にモデルガスの組成及び測定
条件を示す。
【0033】まずNO2 に対する基本特性を調べるため
に、NO2 濃度を0〜300ppmまで変化させた場合
のセンサ抵抗値を測定した。結果を図7(a)に示す。
なお、この図7(a)は横軸のNO2 濃度を対数尺度と
することにより図7(b)に書き換えることができる。
図7(b)ではセンサ抵抗値とNO2 濃度との間で良い
直線関係が得られているので、良好な抵抗変化式検知素
子として利用できることが確認された。次にCO2 の影
響について検討した。NO2 濃度を50ppm一定と
し、CO 2 濃度を0〜20%の範囲で変化させてセンサ
抵抗値を測定した。結果を図8に示す。この結果から、
センサ抵抗値は全く変化しないことを確認した。そもそ
も、CO2 は電子的に中性なガスとして知られ、抵抗変
化式検知素子ではほとんど感度を有しないといわれてい
るが、そのことを実際に確認した。測定ガスが例えば燃
焼排気ガスである場合には、燃焼排気ガス中には多量の
CO2 が含まれるが、センサ抵抗値への影響は全くない
ことが判った。次に還元性ガスの影響について検討し
た。還元性ガスとしてはCO及びHCを選択した。な
お、HCとしてはi−C4 10(イソブタン)を代表と
して取り上げて検討した。この際もNO2 濃度を50p
pm一定とし、CO濃度を0〜500ppmの範囲で変
化させた。結果を図9に示す。またi−C4 10(イソ
ブタン)についても0〜500ppmの濃度範囲で影響
を検討した。結果を図10に示す。これらの結果から、
還元性ガスの影響でセンサ抵抗値は若干低下することが
確認できた。一般的には、CO及びHCは還元性ガスと
して働き、抵抗変化式検知部では抵抗が低下する方向に
作用するといわれているが、今回の実験でもそれが確認
され、それ故、CO及びHCは事前に除去する必要があ
ることが判った。次にNOの影響について検討した。N
2 濃度を50ppm一定とし、NO濃度を0〜300
ppmの範囲で変化させた場合の結果を図11に示す。
NOについては比較的影響が大きく、センサ抵抗値が低
下する方向に影響を与えることが判った。この結果は、
検知及び測定に際してNOガスはNO2 ガスとは逆の作
用をし、NO2 の感度を低下させる方向に働くことを示
しており、それ故、NOガスは事前に除去する必要があ
ることが判った。次にO2 の影響について検討した。空
気過剰率λを変えた場合の燃焼排気ガス中でのセンサ抵
抗値の変化の様子を図12に示す。この図から、理論空
燃比(λ=1.0)近傍で急激にセンサ抵抗値が変化す
ることが判る。しかし、λ=1.1以上ではほぼ一定の
センサ抵抗値を示すことが判った。NO2 ガスを50p
pm一定として、共存ガスとしての酸素ガスの濃度を変
えて検討した結果を図13に示す。図13より、O2
2%以上ではセンサ抵抗値に変化が見られないことが判
る。次にセンサ温度及び測定ガス温度が変化した際の影
響について検討した。 センサ温度は素子上に形成したヒ
ータによって制御することができるが、そのヒータ温度
(すなわちセンサ温度)を変化させた場合の結果を図1
4に示す。この結果から、センサ温度が変るとセンサ抵
抗値も大きく変化し、影響が大きいことが判る。また、
測定ガス温度の変化に対する影響を図15に示すが、セ
ンサ温度をヒータ側で制御しているので、この場合、ほ
とんど影響がないことが判る。これらのことから、ヒー
タ加熱によるセンサ温度の管理は精密に行う必要がある
ことが判った。
【0034】図14から明らかな如く、センサ温度が変
化するとNOx 検知部、すなわち抵抗変化式NOx 検知
部のガス濃度−感度特性が変化するため、ヒータによる
センサ素子全体の加熱が必要である。測定時にはセンサ
素子の温度を常に燃焼排気ガス等の測定ガスの温度より
も高く保つ必要があり、また高温になるとNOx 検知部
の酸化物半導体表面へのNO2 吸着が起こりにくくな
り、NOx 検知部の感度が低下するため、ボイラー、エ
ンジン等の燃焼排気ガスの温度を考慮して、センサ素子
の温度は400〜600℃に保つ必要がある。この際、
図1又は図4のPtヒータ8に電流を印加することによ
り発熱させる。また、Ptヒータ8の抵抗をモニターし
一定に制御することにより、そのヒータ材料の抵抗温度
係数を用いて温度を一定に保つことができる。なお、P
tヒータ8のヒータ材料としては各種金属を用いること
ができるが、耐久性及び抵抗温度係数が高温度範囲にわ
たって均一であることから白金を用いるのがよい。次
に、ガスの強制排出について検討した。 図1又は図4の
NO2 ガス検知部7で検知及び測定された後のガスはガ
ス排出部9によって外部に強制排出される。この場合、
ガス排出部9は酸素ポンプ作用を利用したものであり、
第2室(空室)5内にあるNO2 を分解してO2 として
外部に強制的に排出するものである。この強制的な排出
により第2室5内のNO2 濃度は実質的にゼロになり、
それ故、第2室5内への測定ガスの供給が円滑に行われ
ると考えられる。また、第2室5内に残存するN2 は相
互拡散により拡散律速部2、ガス排出部9等を通って外
部に排出される。ガス排出部9の電極間の印加電圧は、
実験例1の結果をもとに0.8V以上とすることが好ま
しい。
【0035】実施例2 実施例1のセンサにおけるNO2 検知部7(酸化物半導
体Zn2 SnO4 を用いた抵抗変化式NO2 検知部7)
の代わりにNO2 検知部22(電流印加電圧検出式NO
2 検知部22)を用いること以外は実施例1のセンサと
同一の構成として、実施例2の窒素酸化物センサを得
た。その概略構成を図16に示す。ガス検知部に電流印
加電圧検出式NO2 検知部22を用いた場合には、酸化
処理部(第1室)3で全ての還元性ガスが除かれ、且つ
NOがNO2 に酸化されたガスを、熱力学的平衡のため
に一部NO2 からNOに逆変換(還元)された場合にお
いても、全NOx 量として検知することができるという
特徴を有している。以下、実験例3によってこの特徴を
説明し、実施例1のセンサに対する実施例2のセンサの
優位性を述べる。
【0036】<実験例3>図17は電流印加電圧検出式
検知素子部分の一例の概略構成図である。固体電解質2
3は酸素イオン導電体であり、本実験例では6mol%
2 3 で安定化したジルコニア(ZrO2 )を用い
た。平板上の固体電解質23の対向する面には酸化物電
極24及び貴金属電極25が設けられている。 酸化物電
極24及び貴金属電極25はそれぞれNiTiO3 及び
Ptで形成されている。酸化物電極24(NiTiO3
電極)は市販のNiTiO3 粉末をテルピネオールに懸
濁し、この懸濁液を固体電解質上に塗布し、乾燥後、大
気中で1000℃で1時間の熱処理を行い焼き付けて形
成した。貴金属電極25( Pt電極) はスパッタ法によ
り形成した。それぞれの電極には集電用のPtメッシュ
26,27を被せ、Ptリード線28,29を取り付
け、定電流電源30及び電圧計31に接続した。測定ガ
ス中のNOx の測定に際しては、本センサのセンサ素子
部を650℃に加熱し、貴金属電極25側に空気を、酸
化物電極24側にNOx を含む測定ガスを各々1リット
ル/分の流速で流した。図18に、 酸化物電極24側を
+とし、 測定ガスを5%O2 −N2 ,500ppmNO
−5%O2 −N2 ,500ppmNO2 −5%O2 −N
2 とした時の電流(I)−電圧(V)特性を示す。図1
8を見ると、電圧がある値以上になると、NO又はNO
2 が共存した場合の方がO2 −N2 のみの場合よりも電
流値が大きくなっていることが判る。また、500pp
mNO2 −5%O2 −N2 ,500ppmNO−5%O
2 −N2 に対するI−V曲線が交わるところがある( 図
18のA点) 。すなわち、A点に相当する電流値(約
0.5μA)を印加した場合の電圧変化をセンサ出力と
すればNOとNO2 に同一の感度を持たせることができ
る。図19より、同一素子を用いて0.5μAの定電流
を印加した場合にはNO,NO2 の何れの変化に対して
もそれぞれ電圧は減少する方向に変化しており、それら
の値は完全に一致はしないものの同程度であることが判
る。したがって、NOとNO2 とを区別せずにNOx
して同時に検知することができる。
【0037】実施例3 前記実施例1,2のセンサ素子は縦形の構成を持つが、
横形の構成をとることもできる。図20にその構成を示
す。実施例3のセンサにおいて、測定ガスと活性酸素ガ
スは実施例1,2の場合とは異なった方向から活性酸素
ガス供給電極である電極層(拡散律速部2)に導入され
る。ここで、電極層の構造としては、その表面積が大き
い構造が好ましい。具体的には、例えば、前記電極層を
平歯車状の多数の溝状構造とすれば、測定ガスと活性酸
素とを広い面積で接触させることができる。また、本実
施例のセンサでは、NO2 検知部7(酸化物半導体Zn
2SnO4 を用いた抵抗変化式NO2 検知部7)は活性
酸素ガス導入部(拡散律速部2)及びガス排出部9とは
離れた位置に設置することが可能であり、Ptヒータ8
で温度制御することにより活性酸素ガス導入部(拡散律
速部2)とガス排出部9とは各々異なった温度に設定す
ることができるという特徴を有している。すなわち、本
実施例のセンサ素子においては、多孔質のZrO2 固体
電解質33上に積層・形成された絶縁層32上の離れた
位置に、拡散律速部2とNO2 検知部7とが形成されて
いる。更には、ガス排出部9の位置を変えることによ
り、活性酸素ガス導入部(拡散律速部2)、NO2 検知
部7及びガス排出部9を各々異なった温度に設定するこ
ともできる。本実施例において、測定ガス中のNOx
濃度変化に対するNO2 検知部7の抵抗変化の応答時間
は、ガス排出部9を作動させると、作動させない場合の
約1/3の時間になり、ガス排出部9の効果が著しいこ
とが判った。
【0038】
【発明の効果】本発明の窒素酸化物センサは、測定ガス
中の還元性成分を活性酸素ガスで予め酸化処理すること
により、NOx 測定時の還元性成分の影響を除くことが
でき、それ故、測定ガス中のNOx を簡便迅速且つ正確
に測定することができる。また本センサは小型軽量で製
造が容易である。本センサの出力は従来の電流式のNO
x センサよりも遥かに大きく、排気規制の対象である全
NOx を簡便に高感度で検知及び/又は測定することが
可能であるため、燃焼排気ガス浄化触媒の状態監視,劣
化検知や燃焼制御等の種々の分野に用いることができ、
大きな威力を発揮する。本センサは熱的及び化学的に安
定な材料から構成し得るので燃焼排気ガス中での安定性
に優れており、また700℃近い高温でも使用できるた
め、排気管などの高温排ガス雰囲気中に直接挿入するこ
とが可能であり、小型化や軽量化も容易である。更に、
本センサは耐久性及び信頼性が高く、高温の測定ガス、
例えば燃焼排気ガス、特に炭化水素を含む燃焼排気ガス
などの還元雰囲気に長時間さらされてもセンサ材料の変
質を伴うことなく、且つ測定ガス中のNOx 以外の共存
ガスの影響を受けることなく、数百ppm以下、特に数
十ppm以下の極低濃度のNOxを充分な精度で長期間
にわたって継続的に測定可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の本発明の窒素酸化物センサの概略構
成図である。
【図2】電極材料の相違による各種酸素結合ガスの分解
条件を比較検討するための素子の概略構成図である。
【図3】図2の素子を用いて得られた結果を示す図であ
る。
【図4】実施例1の本発明の窒素酸化物センサの別の変
形例を示す概略構成図である。
【図5】本発明のセンサに用いる抵抗変化式NOx 検知
部の一例の概略構成図である。
【図6】図5の抵抗変化式NOx 検知部のセンサ特性を
評価するための測定系の説明図である。
【図7】図5の抵抗変化式NOx 検知部のNO2 濃度と
センサ抵抗との関係を示す図である。
【図8】図5の抵抗変化式NOx 検知部の、NO2 50
ppm存在下におけるCO2 濃度とセンサ抵抗との関係
を示す図である。
【図9】図5の抵抗変化式NOx 検知部の、NO2 50
ppm存在下におけるCO濃度とセンサ抵抗との関係を
示す図である。
【図10】図5の抵抗変化式NOx 検知部の、NO2
0ppm存在下におけるi−C410濃度とセンサ抵抗
との関係を示す図である。
【図11】図5の抵抗変化式NOx 検知部の、NO2
0ppm存在下におけるNO濃度とセンサ抵抗との関係
を示す図である。
【図12】図5の抵抗変化式NOx 検知部の、空気過剰
率λとセンサ抵抗との関係を示す図である。
【図13】図5の抵抗変化式NOx 検知部の、NO2
0ppm存在下における空気過剰率λとセンサ抵抗との
関係を示す図である。
【図14】図5の抵抗変化式NOx 検知部の、NO2
0ppm存在下におけるセンサ温度とセンサ抵抗との関
係を示す図である。
【図15】図5の抵抗変化式NOx 検知部の、NO2
0ppm存在下における測定ガス温度とセンサ抵抗との
関係を示す図である。
【図16】実施例2の本発明の窒素酸化物センサの概略
構成図である。
【図17】本発明のセンサに用いる電流印加電圧検出式
検知素子部分の一例の概略構成図である。
【図18】図17の電流印加電圧検出式検知素子の電流
(I)−電圧(V)特性を示す図である。
【図19】図17の電流印加電圧検出式検知素子の、
0.5μAの定電流印加時における電圧の経時変化を示
す図である。
【図20】実施例3の本発明の窒素酸化物センサの概略
構成図である。
【符号の簡単な説明】
1:測定ガス 2:拡散律速
部 3:前処理部(第1室) 4:活性酸素
ガス供給部 5:空室(第2室) 6:酸素濃度
モニタ部 7,22:NO2 検知部 8,16:P
tヒータ 9:ガス排出部 10:Pt電
極 11:Pt−ZrO2 傾斜電極 12:Al2
3 多孔質基板 13,15,18,19:電極 14,33:
ZrO2 固体電解質 17:基板 20:酸化物
半導体膜 21:ヒータ 23:固体電
解質 24:酸化物電極 25:貴金属
電極 26,27:Ptメッシュ 28,29:
Ptリード線 30:定電流電源 31:電圧計 32:絶縁層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐治 啓市 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 稲葉 忠司 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 山田 靖 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 増岡 優美 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 中村 忠司 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 NOx を含む測定ガスを導入し且つ前記
    測定ガスの導入量を制限する拡散律速部と、前記測定ガ
    スを活性酸素ガスで酸化処理する酸化処理部とからなる
    前処理室、並びに前記前処理室で酸化処理したガス中の
    NOx を検知及び/又は測定する検知部からなることを
    特徴とする窒素酸化物センサ。
  2. 【請求項2】 前記前処理室で酸化処理したガス中のN
    x を検知及び/又は測定する検知部と、検知及び/又
    は測定後のガスを外部へ排出するガス排出部とからなる
    空室を有することを特徴とする請求項1記載の窒素酸化
    物センサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016050878A (ja) * 2014-09-01 2016-04-11 トヨタ自動車株式会社 ガス濃度検出装置

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