JP3633825B2 - 窒素酸化物センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は窒素酸化物センサ、更に詳しくは、測定ガス中の還元性成分を活性酸素ガスで予め酸化処理することにより還元性成分の影響を除き、それ故、測定ガス中のNOを簡便迅速且つ正確に測定することができ、また小型軽量で製造が容易である窒素酸化物センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
自動車のエンジンやボイラー等から発生する燃焼排気ガス中に含まれるNOの低減のために、NOセンサを用いたNO濃度モニタ及びその結果に基づく燃焼機器の燃焼状態の制御、 触媒浄化装置の制御等が検討されている。その際、NOを簡単且つ高精度に検知するために、高温の燃焼排気ガス中でも安定して作動する小型の窒素酸化物センサの開発が望まれている。従来、NOセンサとしては、酸化物半導体を用いた抵抗変化式、固体電解質を用いた電流式及び起電力式等の種々のNOセンサが提案され、また文献等に開示されている。
【0003】
以下、各NOセンサについて、検出原理と実用上の問題点を述べる。
抵抗変化式の窒素酸化物センサは、酸化物半導体表面にNOが吸着した場合に、前記酸化物半導体の電気抵抗が変化することを利用したセンサである。しかし、抵抗変化式の窒素酸化物センサは、一般に還元性ガスに対しても感度を有するため、ガス選択性に乏しい。このことは更にNO,NOのガス選択性に対しても同様であり、何れか一方を検知することができない。また、高温下で酸素の極めて少ない還元雰囲気に長時間さらされると、センサ材料である酸化物半導体そのものが還元され、センサの劣化が著しい等の問題点がある。
【0004】
前記抵抗変化式センサの欠点を解決すべく、例えば特開平5−157715号公報には、第1の空室に第1拡散律速部を通して測定ガスを供給する部位及び固体電解質の酸素ポンプ作用を利用して外部より酸素を供給する部位を設け、第1空室内で測定ガスと酸素を混合し、その混合ガスを触媒層を有する第2拡散律速部を通して第2空室に導き、第2空室内に設置した抵抗変化式センサでNOガスを検出する方法及び検出装置が提案されている。しかし、前記検出装置では触媒層での触媒の特性変化が直ちにNOセンサの信号に反映し、その結果、安定した信号が得られない欠点がある。更に、第1空室内で測定ガスと酸素が極めて良好に混合され得る構成ではないので、触媒層での反応が有効に行われない可能性がある。
【0005】
電流式の窒素酸化物センサは、ジルコニアのような酸素イオン導電体を用いてNOを電気化学的に分解し、電解質中をO2−として流れる際の電流値からNO量を検知する。しかし、排気ガス中に共存するOもO2−として電解質中を流れるので、NOとOを分離して検知することが困難である。その解決法として、二つの空室を持ったNOセンサが提案されている(特開平8−271476号公報)。このNOセンサにおいては、第1空室でOの分離とNOからNOへの変換を行い、第2空室でNOを分解する際に流れる電流の値からNOを検知する。それ故、原理的にはNOとOを分離して検知すること及び全NO濃度(=NO濃度+NO濃度)を検知することが可能であるが、NOを分解する際に流れる電流の値がガス濃度に比例するので、数百ppm以下のNOを検知しようとする場合、電流出力が極めて微小になるという欠点がある。しかも、排気ガス中に炭化水素ガス、一酸化炭素などの還元性ガスが含まれる場合には、第1空室内での前記還元性ガスとNO及びOとの反応が関与し、第2室に安定してNOを供給できなくなり、それ故、NO量を正確に検知することができない。
【0006】
起電力式の窒素酸化物センサは、 固体電解質を隔壁とした電気化学セル間に発生する起電力からNOを検知する方式のセンサである。この方式では、電極の一方に硝酸塩又は亜硝酸塩を塗布した固体素子型のセンサ素子を備えた窒素酸化物センサが主に検討され、多数公開されている(特開昭61−184450号公報)。前記方式のセンサは数百ppm以下の低濃度のNOに対しても数十〜数百mV以上の大きい起電力変化を示し、その起電力がネルンストの式に一致するという利点がある。
しかし、これらのセンサ素子は構成要素として水溶性且つ低融点の硝酸塩又は亜硝酸塩を含むため、その融点によって動作温度が制限される。すなわち、硝酸塩及び亜硝酸塩の中で最も融点が高いBa(NOでも融点が592℃であるため、前記窒素酸化物センサは600℃以上の高温では使用不可能である。
【0007】
また、起電力式の窒素酸化物センサにおける前記問題を解決するために、電極の一方に各種酸化物を用いる方式が提案されている。 これらのセンサの特性は酸化物材料に大きく依存することが知られており、良好な特性を示す電極材料として、NiF型及びペロブスカイト型酸化物(特開平7−198671号公報)、VIIa族又はVIII a族元素を含む酸化物(特開平8−247992号公報)等が開示されている。これらの酸化物電極は、融点や分解温度が硝酸塩より高いため耐熱性に優れている。しかし、NO検知機構が混成電位機構に基づくため、NOとNOに対して起電力の変化方向が原理的に逆向きになる。燃焼排ガス中のNOはNOを主成分として一部NOを含み、NOとNOが混合状態となっている。そのためNOとNOに対する起電力の変化方向が逆向きのセンサを排気ガス中で用いると、起電力の出力が互いに打ち消されて正確なNO濃度の測定をすることができなくなる。
【0008】
この問題を解決するために、我々はかつて高温の燃焼排気ガス中でも使用可能な安定性を有し、数百ppm以下の低濃度のNOを測定可能であり、且つNOとNOが共存する燃焼排気ガス雰囲気においても全NO濃度を測定可能な窒素酸化物センサを提案した。しかし、前記センサに用いた電極材料、すなわちMTiO(式中、MはFe,Co,Ni及びMnを表わす)で表される組成のイルメナイト型構造の酸化物においても、高温の還元性雰囲気に長時間さらされた場合には材料が還元され、その結果、センサの劣化を招く欠点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述の如く、従来の窒素酸化物センサは測定ガス中の共存ガス、特に還元性ガスの影響を受けることに加えて、以下の欠点:▲1▼高温の酸化雰囲気又は還元雰囲気中における耐久性が劣り、燃焼排気ガス中での使用ができない、▲2▼数百ppm以下の低濃度のNOを検知し得る感度を有しない、▲3▼全NO濃度(=NO濃度+NO濃度) を検知することができない、のうちの少なくとも一つ以上を有している。
それ故、共存ガスに影響されることなく、充分な耐久性を有し、且つ低濃度のNOや全NO濃度を効率良く且つ正確に検知及び/又は測定することができる窒素酸化物センサは現在まで知られていない。
【0010】
本発明は前記従来技術の問題点を解決するためのものであり、その目的とするところは、高温の測定ガス、例えば燃焼排気ガス、特に炭化水素を含む燃焼排気ガスなどの還元性雰囲気に長時間さらされてもセンサ材料の変質を伴うことなく、且つ測定ガス中のNO以外の共存ガスの影響を受けることなく、数百ppm以下、特に数十ppm以下の極低濃度のNOを充分な精度で測定可能な窒素酸化物センサを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明の第一の窒素酸化物センサは、NOx を含む測定ガスを導入し且つ前記測定ガスの導入量を制限する拡散律速部と、前記測定ガスを活性酸素ガスで酸化処理する酸化処理部とからなる前処理室(第1室)、並びに前記前処理室で酸化処理したガス中のNOx を検知及び/又は測定する検知部からなり、前記前処理室は、多孔質の固体電解質からなり、少なくとも一部が測定ガス雰囲気にさらされた状態にあり、測定ガス雰囲気に
さらされた面の一部に一方の電極を有し、且つ固体電解質の他方の面に他方の電極を有し、他方の電極は活性酸素ガスを発生し得る電極からなることを特徴とする。
また、本発明の第二の窒素酸化物センサは、NO x を含む測定ガスを導入し且つ前記測定ガスの導入量を制限する拡散律速部と、前記測定ガスを活性酸素ガスで酸化処理する酸化処理部とからなる前処理室(第1室)、並びに前記前処理室で酸化処理したガス中のNO x を検知及び/又は測定する検知部と、検知及び/又は測定後のガスを外部へ排出するガス排出部とからなる空室(第2室)を有し、前記前処理室は、多孔質の固体電解質からなり、少なくとも一部が測定ガス雰囲気にさらされた状態にあり、測定ガス雰囲気にさらされた面の一部に一方の電極を有し、且つ固体電解質の他方の面に他方の電極を有し、他方の電極は活性酸素ガスを発生し得る電極からなることを特徴とする。
本発明の窒素酸化物センサにおいて、活性酸素ガスの供給及びガス排出は、固体電解質を用いた酸素ポンプで行う。また、NOx の検知及び/又は測定は、好適な検知及び/又は測定手段、例えば抵抗変化式又は電流印加電圧検知式の検知部等で行ってよい。
特に前記第1室を多孔質の固体電解質を用いて形成し、更に第1室に貴金属、例えば白金の傾斜電極層又は多孔質電極層、多数の溝を有する電極層を設けた本発明の窒素酸化物センサは、導入された測定ガスと固体電解質を用いた酸素ポンプによって生成された活性酸素ガスとの接触が極めて良好に行われ、排気ガスの酸化処理を円滑に行うことができるので好ましい。
【0012】
<作用・作動原理>
以下に、本発明の窒素酸化物センサの作用及び作動原理を説明する。
前処理室(第1室)は多孔質の固体電解質からなり、少なくとも一部が燃焼排気ガス等の測定ガス雰囲気にさらされた状態にあり、測定ガス雰囲気にさらされた面の一部に一方の電極を有し、且つ固体電解質の他方の面に他方の電極を有し、他方の電極は活性酸素ガスを発生し得る電極、例えば固体電解質内に向けて電極材料の濃度を低くした傾斜電極層か又は多孔質電極層、多数の溝を有する電極層からなる構成とする。この構成において、測定ガス雰囲気にさらされた電極上で測定ガス雰囲気中の酸素、水蒸気などが分解されて酸素イオンを生成し、この酸素イオンは他方の電極に向けて固体電解質内を流れ、電極層内及びこれらの層表面(他方の電極の内層及び表面)において活性酸素ガスを発生する。一方、燃焼排気ガス等の測定ガス雰囲気にさらされた固体電解質の、電極が形成されていない部分からは、多孔質固体電解質の隙間を拡散して燃焼排気ガス等の測定ガスが固体電解質内に流入し、電極層内及びこれらの層表面(他方の電極の内層及び表面)において生成した活性酸素ガスと接触して燃焼排気ガス等が酸化処理され、その結果、測定ガス中の還元性ガス成分が酸化処理され、除去される。また、測定ガス中のNOについても、酸化されたNO2 の状態で空室(第2室)に供給することができる。
【0013】
第2室に設けるNOガス検知部は、NOガスを検知及び/又は測定し得るものであればその形態は特に限定されないが、例えば酸化物半導体からなる抵抗変化式NO検知部又は電流印加電圧検出式NO検知部等であってよい。第2室は、第1室で活性酸素ガスによって測定ガス中の還元性ガス成分が酸化・除去され且つNOがNOに酸化され、その結果、NO及び酸素ガスが存在する雰囲気下に置かれる。
【0014】
酸化物半導体からなる抵抗変化式NO検知部の場合は、この雰囲気下で酸化物半導体がNOを吸着すると、その電気抵抗が変化し、NO量に応じた出力変化を得ることができる。しかも、一般に抵抗変化式NO検知部に対して影響があるとされる還元性ガス成分は第1室で除去されるので、共存ガスの影響を受けず、またNOはNOに変換されるので全NO量を検知することができる。更にまた、抵抗変化式NO検知部は常に酸素ガスが存在する酸化性雰囲気にさらされ、還元状態にならないので、酸化物半導体材料が還元されて劣化することがない。
【0015】
また、好ましい電流印加電圧検出式NO検知部は、例えば、二つで一対となる電極が表面に形成された酸素イオン導電性固体電解質と、対をなす二つの電極間に電流を印加可能な電流源とから構成されたものであり、前記二つの電極のうち、少なくとも一方の電極が次式(I)
MTiO (I)
〔式中、MはFe,Co,Ni,Cr及びMnを表わす〕で表わされる組成のイルメナイト型構造の酸化物であり、前記電極間に電流を印加した時の電極間の電圧から雰囲気ガス中の全窒素酸化物濃度を検知するものである。この検知部の場合には、第1室でNOから変換されたNOが、再度熱力学的な平衡のためにNOに変換されてNOとNOが共存する状態になった場合においても、全NO濃度を測定できるものであり、以下に、より具体的に作用原理を説明する。
【0016】
すなわち、電極間に電流を印加しない状態の、酸化物電極を有する固体電解質セルの電極間の起電力から、NOを検知する窒素酸化物センサ(例えば、特開平7−198671号公報,特開平9−80014号公報記載の窒素酸化物センサ)では、酸化物電極上でNOに対して以下の(1),(2)の反応が起こっていると考えられる。
NO+2e→NO+O2− (1)
2−→1/2O+2e (2)
また、NOに対しては以下の(3),(4)の反応が起こっていると考えられる。
1/2O+2e→O2− (3)
NO+O2−→NO+2e (4)
すなわち、NOに対してはNOがNOに還元される反応(1)が、また、NOに対してはNOがNOに酸化される反応(4)が起こる。したがって、電極間に電流を印加せずに、電極間に発生する起電力からNOを検知しようとすると、原理的にNOとNOとで起電力の変化方向が逆になり、NOとNOとの総和を直接検知することができない。
【0017】
そこで、本NOガス検知部については、電流源を用いてMTiO電極(酸化物電極)が+となるように電極間に電流を印加する(すなわち、酸化物電極をアノード分極する)。この電流印加の極性は、前記従来の文献に多数開示されている電流式NOセンサと逆である。このように電流を印加(アノード分極)すると、Oが存在する雰囲気ではMTiO電極において(2)の反応が、もう一方の電極(例えば、貴金属電極)では(3)の反応が起こり、固体電解質中を酸素イオン(O2−)が貴金属電極側から酸化物電極側へ流れる。雰囲気にNOとNOが共存する場合、このO2−の流れにより(1)の反応が抑制され、(4)の反応が促進される。更に電流値を上げると、MTiO電極では電極触媒反応により、次式(5):
NO+O2−→NO+1/2O+2e (5)
で表されるNOの酸化的分解反応が生じるようになる。そのためNOとNO共に検知反応は酸化反応となり、電圧の変化方向を同一にすることができる。更に印加電流を適当に選ぶとNOに対する感度とNOに対する感度とを同一にすることができるので、その電流値を印加した場合の電圧変化をセンサ出力とすれば、NOとNOとを区別せずにNOとして検知することが可能となる。なお、NOに対する感度とNOに対する感度とを同一にすることができる印加電流の値は、電極として用いるMTiOの種類とセンサ温度に依存する。
【0018】
更に、第2室に供給されたガスは、抵抗変化式NO検知部又は電流印加電圧検出式NO検知部に作用した後ガス排出部を通して直ちに除去されるので、NO検知部へのガス供給を外部燃焼排気ガスに通じる第1室の拡散律速部側から常に強制的に行うので、NO検知部の応答性を格段に向上させることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の窒素酸化物センサにおける実際の構成材料等の実施形態を詳細に述べる。
本発明の窒素酸化物センサにおいて、前処理部( 第1室) は、例えば多孔質の固体電解質材料からなり酸素イオン導電性を示す材料を使用して形成することができる。具体的には、例えばジルコニウム系固体電解質(ZrO−M固溶体又はZrO−MO固溶体;M=Y,Yb,Gd,Ca,Mgなど)、セリア系固体電解質(CeO−M固溶体又はCeO−MO固溶体;M=Y,Smなど)、酸化ビスマス系固体電解質(Bi−WO固溶体など)を使用することができる。排気ガス中での安定性の観点から、ジルコニウム系固体電解質が好ましく、特に熱衝撃抵抗と酸素イオン導電率との兼ね合いで、5〜8mol%のYを固溶させたZrOが最も好ましい。
【0020】
空室( 第2室) 内に設けるNOガス検知部は、本発明の目的を達成し得る範囲内において特に検出原理を特定するものではないが、例えば抵抗変化式検知部とする場合は、その検知部材料として酸化物半導体を用いることができる。具体的には、SnO,WO,ZnO,Nb,TiO,ZnSnO,ZnSnO,Cr,NiOなどを用いることができるが、熱安定性、NO選択性及び感度の観点から、ルチル構造TiO,スピネル構造ZnSnO及びコランダム構造Crがより好ましい。この際、酸化物に導電性を持たせるため、TiOについてはNb又はTaを0.01〜25mol%添加したものが最も好ましく、ZnSnOについてはSbを0.01〜35mol%添加したものが最も好ましい。
【0021】
また例えば電流印加電圧検出式検知部を用いる場合は、そのセンサ素子材料に関して、例えば二つの電極のうち少なくとも一方の電極材料としてはMTiO〔式中、Mは式中、MはFe,Co,Ni,Cr及びMnを表わす〕で表される組成のイルメナイト型構造の酸化物を用いることが好ましい。前記酸化物からなる電極は、アノード分極時にNO,NOの電極反応〔前記(4),(5)の反応〕の活性が高く且つ排気ガス中での安定性が高い。また、前記電極にPt,Au,Pd等の貴金属材料も利用することができる。他方の電極の材料は特に限定されるものではないが、Oの電極反応〔前記(2),(3)の反応〕の活性が著しく高いものが好ましく、例えばLaMO〔M=Co,Mn,Cr〕系の電子電導性酸化物やPt,Pd等の貴金属材料を利用することができる。特にその電極材料としては、高温での耐久性に優れるPt, Pd及びそれらを主成分とする合金が最も好ましい。
【0022】
第1室に設ける一対の電極の材料はO電極反応の活性が著しく高いものが好ましく、例えばLaMO〔M=Co,Mn,Cr〕系の電子電導性酸化物やPt,Pd等の貴金属材料を利用することができる。特にその電極材料としては、高温での耐久性に優れるPt, Pd及びそれらを主成分とする合金が最も好ましい。更に、NO検知部で例えば抵抗変化式検知部を用いる場合には、その電極材料は特に限定されるものではないが、例えばNi,Cu,Au,Ptなどの電気電導性の良好な金属類が適当であり、特に熱及び耐久安定性に優れる白金を用いるのが最も好ましい。
【0023】
第2室に設置するガス排出部は第2室から強制的にガス排出を行うものであり、例えば、第2室側の壁の一部を固体電解質材料で形成し、その両面( 第2室の内外面) に電極を形成した構成とし、それぞれの材料は、第1室に設ける電極材料と同一の材料を用いたものが、耐久性及び構成上最も好ましい。
【0024】
本窒素酸化物センサの素子全体を加熱するヒータの材質,大きさ,形状等は、本発明の目的を達成し得る範囲内において特に限定されるものではないが、金属に電流を印加した際に発生する熱を利用するものが簡便であり、その材料としては、例えばNi,Cu,Au,Ptなどの金属類を用いることができるが、広い温度範囲にわたって抵抗温度係数が均一で且つ熱及び耐久安定性に優れる白金を用いるのが最も好ましい。また、この際のヒータ構成としては、単一のヒータとしてもよいし、又はセンサ内の各部を個別に加熱し得る複数のヒータからなる構成とすることもできる。
【0025】
窒素酸化物センサ全体を構成する前記以外の部分の材料については、耐久性、耐熱性などに優れ、雰囲気条件によって材料が変質せず、また特性に影響を及ぼさないものであれば何れの材料でもよいが、高温排気ガス中で用いることを考慮し、またセンサ製造の容易さを考慮すると、例えばAl又はZrOを用いることが好ましい。特に、第1室を構成する活性酸素ガス供給部、第2室に設置する酸素ガス排出部を考慮し、全体の製造を考慮すると活性酸素ガス供給部及び酸素ガス排出部と同様の材料、すなわち5〜8mol%のYを固溶させたZrOが最も好ましい。
【0026】
本発明の窒素酸化物センサを構成する各部分は、この分野における慣用の方法を用いて製造することができ、例えば、焼成法、印刷法、スパッタ法、CVD法、グリーンシートを用いた積層法などの既存の方法をすべて用いることができる。また、第1室を構成する拡散律速部と活性酸素ガス供給部及び第2室内に設置するNOガス検知部とガス排出部及びそれらに接続する電極等の大きさや形状は、窒素酸化物センサの大きさや形状に応じて適宜選択する。
【0027】
本発明の窒素酸化物センサにおいて、活性酸素ガスを生成し、窒素酸化物センサ全体を加熱し、NOガス検知部を制御し、ガス排出部を駆動する等の種々の働きをする電流源及び電圧源としては、好適な直流電流電源又は直流電圧電源を選択する。また、前記電流源及び電圧源を制御・管理し、NOガス検知部からの信号を処理するために、適する制御・管理装置、例えばパーソナルコンピュータなどの装置を使用することができる。
【0028】
【実施例】
以下の実施例により、本発明を更に詳細に説明する。なお、以下の実施例は基本的な実験例を含み、また本発明を具体的に示すものであるが、説明のためのみのものであり、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0029】
実施例1
図1に実施例1の本発明の窒素酸化物センサの概略構成図を示す。
実施例1の窒素酸化物センサにおいて、測定ガス1は先ず拡散律速部2に供給される。拡散律速部2は、ZrO多孔質固体電解質からなる前処理部(第1室)3の一部をなす。本実施例では測定ガス1はボイラー、エンジン等の燃焼器からの排気ガスを想定しており、一般的には窒素酸化物と共にCO、HC(炭化水素)、H等の還元性ガス、及び窒素等の不活性ガス、及び燃焼に伴い生成したCO、HO等が共存している。また、燃焼の条件によっては酸素が残存する場合もある。
第1室3は活性酸素ガス供給部4としても機能する。活性酸素ガス供給部4は、Pt電極(活性酸素ガス供給電極)10、拡散律速部2及びPt−ZrO傾斜電極(活性酸素ガス供給電極)11からなる。Pt−ZrO傾斜電極11は、ZrO多孔質固体電解質中にPtを濃度を変化させて(拡散律速部2側ほどPt濃度が低い)混入したものである。この活性酸素ガス供給部4において、第1室3外側の網目状に配置されたPt電極10により測定ガス1中にあるNO,HO,CO等を分解することができ、また測定ガス1中に酸素が含まれる場合には、その酸素を第1室3内部に供給することができる。
更には、例えば第1室3外側のPt電極10の一部分を測定ガスではなく大気にさらすことによって、大気中の酸素を活性酸素ガスとして第1室3内部に供給することもできる。
【0030】
以下に、第1室3内に活性酸素ガスを供給する活性酸素ガス供給部4について、ガスを分解して酸素を得る際の電極に印加する電圧、すなわち各ガスの分解電圧に関する実験例1を示す。
<実験例1>
図2に示すように、Al多孔質基板12の一面上に電極13、ZrO固体電解質14、電極15を順次積層して検知部を構成し、Al多孔質基板12の他面上にPtヒータ16を設けた限界電流式酸素ポンプを、電極材料を変えて作製した。電極材料としては、白金及びその合金を用いた。
電極材料の相違によって、酸素結合ガスの分解によって生じた酸素ガスに対する酸素ポンプ作用の始まる電圧、すなわち分解電圧がどのように変化するかを検討した。結果を図3に示す。この結果から、白金を主体とする電極を第1室3の外側に形成すると、例えば白金を電極材料に用いた場合、O,NO,NOは分解電圧0Vから分解が始まり、HOは分解電圧約0.7Vから分解が始まり、またCOは分解電圧約0.8Vから分解が始まるので、前記分解電圧以上の電圧を印加すれば第1室3内に活性酸素ガスを供給し得ることが判る。従って、これらの物質を分解して酸素を得るには0.8V以上の電圧を印加すればよいことが判った。
また、活性酸素ガス供給部4を通して第1室3に供給された酸素は非常に高活性であり、通電時の電極上での反応速度が数10〜100倍程度まで向上することが知られている。更に、通常の空気中酸素に比べて約7400倍もの活性を有しており〔(文献:石原達己,触媒,Vol39,No.5(1997)〕、測定ガス1と効率よく接触させることで、この酸素の活性を利用して還元性ガスCO,HC等をCO,CO等に酸化することができる。また、NOについてもNOに酸化することができる。
このようにして測定ガス1中の還元性ガスを除去し、またNOをNOに変換したガスは、次いで図1中の空室(第2室)5内に導かれる。なお、第1室3内の酸素ガス雰囲気は常に活性酸素ガス供給部4から供給される酸素で酸素過剰状態に保つ必要があるが、その過剰状態を確認するため、図4に示す如く、第2室5内に酸素濃度モニタ部6を設けてもよい。酸素濃度モニタ部6として用いることができるものとしては、例えば、酸素起電力に基づく酸素濃度検知素子などが考えられる。
第2室5内に導かれたガスは、第2室5内に設置したNO検知部7(本実施例では、酸化物半導体ZnSnOを用いた抵抗変化式NO検知部7)に接触し、表面に吸着して酸化物半導体の電気抵抗が変化する。この変化の様子は、酸化物半導体に接して設置した一対の電極間に定電圧源により一定電圧を印加した際の電流の変化を精密電流計で測定することにより、又は定電流源により一定電流を流した際の電圧の変化を精密電圧計で測定することにより、観察する。
【0031】
以下の実験例2において、NO検知部、すなわち抵抗変化式NO検知部の特性について詳細に述べる。
<実験例2>
本実験例では抵抗変化式NO検知部の一例の特性を述べるのみであり、それ故、本実験例によって、抵抗変化式NO検知部の材料、形状、処理方法などが特に限定されるものではない。
実験に用いた抵抗変化式NO検知部は図5に示す形状のものである。図5(a)は抵抗変化式NO検知部の表面図、図5(b)は抵抗変化式NO検知部の裏面図、図5(c)は抵抗変化式NO検知部の断面図である。すなわち、基板17表面上に電極18,19及び酸化物半導体膜20を形成し、また基板表面17の裏面には、検知部を加熱するためのヒータ21を形成した。なお、ここでは基板としてAl基板(大きさ:3.3mm×8mm×0.5mm)を用い、電極及びヒータの材料はそれぞれ白金(Pt)を用いた。また、電極18,19は線幅0.2mm、膜厚1μmとし、ヒータ21は線幅0.2mm、膜厚1.5μmとした。更に酸化物半導体膜20の材料はSbを0.55mol%添加したZnSnO(mol比:Zn/Sn=2.42)を用いた。電極18,19、酸化物半導体膜20、ヒータ21の何れも真空スパッタ法で形成した。更に、成膜後は1000℃×1時間、空気中で熱処理した。
前記構成において、実施例1の中では、基板17として素子構成材料の例えばZrOからなるZrO基板を用いることもでき、またヒータ21については、実施例1の中では、センサ素子全体を加熱するヒータで代替してもよい。
【0032】
このようにして得られたNO検知部を図6に示す測定系に設置し、モデルガス(ボンベガス等の組成が明確に判っているガス)を用いてセンサ特性を評価した。なお、モデルガスとしては基本的に下記表1の組成のものを用いた。表1にモデルガスの組成及び測定条件を示す。
表1:モデルガスの組成及び測定条件
Figure 0003633825
【0033】
まずNOに対する基本特性を調べるために、NO濃度を0〜300ppmまで変化させた場合のセンサ抵抗値を測定した。結果を図7(a)に示す。なお、この図7(a)は横軸のNO濃度を対数尺度とすることにより図7(b)に書き換えることができる。図7(b)ではセンサ抵抗値とNO濃度との間で良い直線関係が得られているので、良好な抵抗変化式検知素子として利用できることが確認された。
次にCOの影響について検討した。NO濃度を50ppm一定とし、CO濃度を0〜20%の範囲で変化させてセンサ抵抗値を測定した。結果を図8に示す。この結果から、センサ抵抗値は全く変化しないことを確認した。そもそも、COは電子的に中性なガスとして知られ、抵抗変化式検知素子ではほとんど感度を有しないといわれているが、そのことを実際に確認した。測定ガスが例えば燃焼排気ガスである場合には、燃焼排気ガス中には多量のCOが含まれるが、センサ抵抗値への影響は全くないことが判った。
次に還元性ガスの影響について検討した。還元性ガスとしてはCO及びHCを選択した。なお、HCとしてはi−C10(イソブタン)を代表として取り上げて検討した。この際もNO濃度を50ppm一定とし、CO濃度を0〜500ppmの範囲で変化させた。結果を図9に示す。またi−C10(イソブタン)についても0〜500ppmの濃度範囲で影響を検討した。結果を図10に示す。これらの結果から、還元性ガスの影響でセンサ抵抗値は若干低下することが確認できた。一般的には、CO及びHCは還元性ガスとして働き、抵抗変化式検知部では抵抗が低下する方向に作用するといわれているが、今回の実験でもそれが確認され、それ故、CO及びHCは事前に除去する必要があることが判った。
次にNOの影響について検討した。NO濃度を50ppm一定とし、NO濃度を0〜300ppmの範囲で変化させた場合の結果を図11に示す。NOについては比較的影響が大きく、センサ抵抗値が低下する方向に影響を与えることが判った。この結果は、検知及び測定に際してNOガスはNOガスとは逆の作用をし、NOの感度を低下させる方向に働くことを示しており、それ故、NOガスは事前に除去する必要があることが判った。
次にOの影響について検討した。空気過剰率λを変えた場合の燃焼排気ガス中でのセンサ抵抗値の変化の様子を図12に示す。この図から、理論空燃比(λ=1.0)近傍で急激にセンサ抵抗値が変化することが判る。しかし、λ=1.1以上ではほぼ一定のセンサ抵抗値を示すことが判った。NOガスを50ppm一定として、共存ガスとしての酸素ガスの濃度を変えて検討した結果を図13に示す。図13より、Oが2%以上ではセンサ抵抗値に変化が見られないことが判る。
次にセンサ温度及び測定ガス温度が変化した際の影響について検討した。 センサ温度は素子上に形成したヒータによって制御することができるが、そのヒータ温度(すなわちセンサ温度)を変化させた場合の結果を図14に示す。この結果から、センサ温度が変るとセンサ抵抗値も大きく変化し、影響が大きいことが判る。また、測定ガス温度の変化に対する影響を図15に示すが、センサ温度をヒータ側で制御しているので、この場合、ほとんど影響がないことが判る。これらのことから、ヒータ加熱によるセンサ温度の管理は精密に行う必要があることが判った。
【0034】
図14から明らかな如く、センサ温度が変化するとNO検知部、すなわち抵抗変化式NO検知部のガス濃度−感度特性が変化するため、ヒータによるセンサ素子全体の加熱が必要である。測定時にはセンサ素子の温度を常に燃焼排気ガス等の測定ガスの温度よりも高く保つ必要があり、また高温になるとNO検知部の酸化物半導体表面へのNO吸着が起こりにくくなり、NO検知部の感度が低下するため、ボイラー、エンジン等の燃焼排気ガスの温度を考慮して、センサ素子の温度は400〜600℃に保つ必要がある。この際、図1又は図4のPtヒータ8に電流を印加することにより発熱させる。また、Ptヒータ8の抵抗をモニターし一定に制御することにより、そのヒータ材料の抵抗温度係数を用いて温度を一定に保つことができる。なお、Ptヒータ8のヒータ材料としては各種金属を用いることができるが、耐久性及び抵抗温度係数が高温度範囲にわたって均一であることから白金を用いるのがよい。
次に、ガスの強制排出について検討した。 図1又は図4のNOガス検知部7で検知及び測定された後のガスはガス排出部9によって外部に強制排出される。この場合、ガス排出部9は酸素ポンプ作用を利用したものであり、第2室(空室)5内にあるNOを分解してOとして外部に強制的に排出するものである。この強制的な排出により第2室5内のNO濃度は実質的にゼロになり、それ故、第2室5内への測定ガスの供給が円滑に行われると考えられる。また、第2室5内に残存するNは相互拡散により拡散律速部2、ガス排出部9等を通って外部に排出される。ガス排出部9の電極間の印加電圧は、実験例1の結果をもとに0.8V以上とすることが好ましい。
【0035】
実施例2
実施例1のセンサにおけるNO検知部7(酸化物半導体ZnSnOを用いた抵抗変化式NO検知部7)の代わりにNO検知部22(電流印加電圧検出式NO検知部22)を用いること以外は実施例1のセンサと同一の構成として、実施例2の窒素酸化物センサを得た。その概略構成を図16に示す。ガス検知部に電流印加電圧検出式NO検知部22を用いた場合には、酸化処理部(第1室)3で全ての還元性ガスが除かれ、且つNOがNOに酸化されたガスを、熱力学的平衡のために一部NOからNOに逆変換(還元)された場合においても、全NO量として検知することができるという特徴を有している。以下、実験例3によってこの特徴を説明し、実施例1のセンサに対する実施例2のセンサの優位性を述べる。
【0036】
<実験例3>
図17は電流印加電圧検出式検知素子部分の一例の概略構成図である。固体電解質23は酸素イオン導電体であり、本実験例では6mol%Yで安定化したジルコニア(ZrO)を用いた。平板上の固体電解質23の対向する面には酸化物電極24及び貴金属電極25が設けられている。 酸化物電極24及び貴金属電極25はそれぞれNiTiO及びPtで形成されている。酸化物電極24(NiTiO電極)は市販のNiTiO粉末をテルピネオールに懸濁し、この懸濁液を固体電解質上に塗布し、乾燥後、大気中で1000℃で1時間の熱処理を行い焼き付けて形成した。貴金属電極25( Pt電極) はスパッタ法により形成した。それぞれの電極には集電用のPtメッシュ26,27を被せ、Ptリード線28,29を取り付け、定電流電源30及び電圧計31に接続した。測定ガス中のNOの測定に際しては、本センサのセンサ素子部を650℃に加熱し、貴金属電極25側に空気を、酸化物電極24側にNOを含む測定ガスを各々1リットル/分の流速で流した。
図18に、 酸化物電極24側を+とし、 測定ガスを5%O−N,500ppmNO−5%O−N,500ppmNO−5%O−Nとした時の電流(I)−電圧(V)特性を示す。図18を見ると、電圧がある値以上になると、NO又はNOが共存した場合の方がO−Nのみの場合よりも電流値が大きくなっていることが判る。また、500ppmNO−5%O−N,500ppmNO−5%O−Nに対するI−V曲線が交わるところがある( 図18のA点) 。すなわち、A点に相当する電流値(約0.5μA)を印加した場合の電圧変化をセンサ出力とすればNOとNOに同一の感度を持たせることができる。
図19より、同一素子を用いて0.5μAの定電流を印加した場合にはNO,NOの何れの変化に対してもそれぞれ電圧は減少する方向に変化しており、それらの値は完全に一致はしないものの同程度であることが判る。したがって、NOとNOとを区別せずにNOとして同時に検知することができる。
【0037】
実施例3
前記実施例1,2のセンサ素子は縦形の構成を持つが、横形の構成をとることもできる。図20にその構成を示す。実施例3のセンサにおいて、測定ガスと活性酸素ガスは実施例1,2の場合とは異なった方向から活性酸素ガス供給電極である電極層(拡散律速部2)に導入される。ここで、電極層の構造としては、その表面積が大きい構造が好ましい。具体的には、例えば、前記電極層を平歯車状の多数の溝状構造とすれば、測定ガスと活性酸素とを広い面積で接触させることができる。また、本実施例のセンサでは、NO検知部7(酸化物半導体ZnSnOを用いた抵抗変化式NO検知部7)は活性酸素ガス導入部(拡散律速部2)及びガス排出部9とは離れた位置に設置することが可能であり、Ptヒータ8で温度制御することにより活性酸素ガス導入部(拡散律速部2)とガス排出部9とは各々異なった温度に設定することができるという特徴を有している。すなわち、本実施例のセンサ素子においては、多孔質のZrO固体電解質33上に積層・形成された絶縁層32上の離れた位置に、拡散律速部2とNO検知部7とが形成されている。更には、ガス排出部9の位置を変えることにより、活性酸素ガス導入部(拡散律速部2)、NO検知部7及びガス排出部9を各々異なった温度に設定することもできる。本実施例において、測定ガス中のNOの濃度変化に対するNO検知部7の抵抗変化の応答時間は、ガス排出部9を作動させると、作動させない場合の約1/3の時間になり、ガス排出部9の効果が著しいことが判った。
【0038】
【発明の効果】
本発明の窒素酸化物センサは、測定ガス中の還元性成分を活性酸素ガスで予め酸化処理することにより、NO測定時の還元性成分の影響を除くことができ、それ故、測定ガス中のNOを簡便迅速且つ正確に測定することができる。また本センサは小型軽量で製造が容易である。
本センサの出力は従来の電流式のNOセンサよりも遥かに大きく、排気規制の対象である全NOを簡便に高感度で検知及び/又は測定することが可能であるため、燃焼排気ガス浄化触媒の状態監視,劣化検知や燃焼制御等の種々の分野に用いることができ、大きな威力を発揮する。
本センサは熱的及び化学的に安定な材料から構成し得るので燃焼排気ガス中での安定性に優れており、また700℃近い高温でも使用できるため、排気管などの高温排ガス雰囲気中に直接挿入することが可能であり、小型化や軽量化も容易である。
更に、本センサは耐久性及び信頼性が高く、高温の測定ガス、例えば燃焼排気ガス、特に炭化水素を含む燃焼排気ガスなどの還元雰囲気に長時間さらされてもセンサ材料の変質を伴うことなく、且つ測定ガス中のNO以外の共存ガスの影響を受けることなく、数百ppm以下、特に数十ppm以下の極低濃度のNOを充分な精度で長期間にわたって継続的に測定可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の本発明の窒素酸化物センサの概略構成図である。
【図2】電極材料の相違による各種酸素結合ガスの分解条件を比較検討するための素子の概略構成図である。
【図3】図2の素子を用いて得られた結果を示す図である。
【図4】実施例1の本発明の窒素酸化物センサの別の変形例を示す概略構成図である。
【図5】本発明のセンサに用いる抵抗変化式NO検知部の一例の概略構成図である。
【図6】図5の抵抗変化式NO検知部のセンサ特性を評価するための測定系の説明図である。
【図7】図5の抵抗変化式NO検知部のNO濃度とセンサ抵抗との関係を示す図である。
【図8】図5の抵抗変化式NO検知部の、NO50ppm存在下におけるCO濃度とセンサ抵抗との関係を示す図である。
【図9】図5の抵抗変化式NO検知部の、NO50ppm存在下におけるCO濃度とセンサ抵抗との関係を示す図である。
【図10】図5の抵抗変化式NO検知部の、NO50ppm存在下におけるi−C10濃度とセンサ抵抗との関係を示す図である。
【図11】図5の抵抗変化式NO検知部の、NO50ppm存在下におけるNO濃度とセンサ抵抗との関係を示す図である。
【図12】図5の抵抗変化式NO検知部の、空気過剰率λとセンサ抵抗との関係を示す図である。
【図13】図5の抵抗変化式NO検知部の、NO50ppm存在下における空気過剰率λとセンサ抵抗との関係を示す図である。
【図14】図5の抵抗変化式NO検知部の、NO50ppm存在下におけるセンサ温度とセンサ抵抗との関係を示す図である。
【図15】図5の抵抗変化式NO検知部の、NO50ppm存在下における測定ガス温度とセンサ抵抗との関係を示す図である。
【図16】実施例2の本発明の窒素酸化物センサの概略構成図である。
【図17】本発明のセンサに用いる電流印加電圧検出式検知素子部分の一例の概略構成図である。
【図18】図17の電流印加電圧検出式検知素子の電流(I)−電圧(V)特性を示す図である。
【図19】図17の電流印加電圧検出式検知素子の、0.5μAの定電流印加時における電圧の経時変化を示す図である。
【図20】実施例3の本発明の窒素酸化物センサの概略構成図である。
【符号の簡単な説明】
1:測定ガス 2:拡散律速部
3:前処理部(第1室) 4:活性酸素ガス供給部
5:空室(第2室) 6:酸素濃度モニタ部
7,22:NO検知部 8,16:Ptヒータ
9:ガス排出部 10:Pt電極
11:Pt−ZrO傾斜電極 12:Al多孔質基板
13,15,18,19:電極 14,33:ZrO固体電解質
17:基板 20:酸化物半導体膜
21:ヒータ 23:固体電解質
24:酸化物電極 25:貴金属電極
26,27:Ptメッシュ 28,29:Ptリード線
30:定電流電源 31:電圧計
32:絶縁層

Claims (2)

  1. NOx を含む測定ガスを導入し且つ前記測定ガスの導入量を制限する拡散律速部と、前記測定ガスを活性酸素ガスで酸化処理する酸化処理部とからなる前処理室、並びに
    前記前処理室で酸化処理したガス中のNOx を検知及び/又は測定する検知部からなり、
    前記前処理室は、多孔質の固体電解質からなり、少なくとも一部が測定ガス雰囲気にさらされた状態にあり、測定ガス雰囲気にさらされた面の一部に一方の電極を有し、且つ固体電解質の他方の面に他方の電極を有し、他方の電極は活性酸素ガスを発生し得る電極からなることを特徴とする窒素酸化物センサ。
  2. NO x を含む測定ガスを導入し且つ前記測定ガスの導入量を制限する拡散律速部と、前記測定ガスを活性酸素ガスで酸化処理する酸化処理部とからなる前処理室、並びに
    前記前処理室で酸化処理したガス中のNOx を検知及び/又は測定する検知部と、検知及び/又は測定後のガスを外部へ排出するガス排出部とからなる空室を有し、
    前記前処理室は、多孔質の固体電解質からなり、少なくとも一部が測定ガス雰囲気にさらされた状態にあり、測定ガス雰囲気にさらされた面の一部に一方の電極を有し、且つ固体電解質の他方の面に他方の電極を有し、他方の電極は活性酸素ガスを発生し得る電極からなることを特徴とする窒素酸化物センサ。
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