JP2000283235A - 振動減衰装置 - Google Patents

振動減衰装置

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JP2000283235A
JP2000283235A JP2000072571A JP2000072571A JP2000283235A JP 2000283235 A JP2000283235 A JP 2000283235A JP 2000072571 A JP2000072571 A JP 2000072571A JP 2000072571 A JP2000072571 A JP 2000072571A JP 2000283235 A JP2000283235 A JP 2000283235A
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deflection
vibration damping
mass
damping device
region
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Cora Carlson
カールソン コーラ
Bernd Peinemann
パイネマン ベルント
Juergen Weth
ヴェート ユルゲン
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Mannesmann Sachs AG
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16FSPRINGS; SHOCK-ABSORBERS; MEANS FOR DAMPING VIBRATION
    • F16F15/00Suppression of vibrations in systems; Means or arrangements for avoiding or reducing out-of-balance forces, e.g. due to motion
    • F16F15/10Suppression of vibrations in rotating systems by making use of members moving with the system
    • F16F15/12Suppression of vibrations in rotating systems by making use of members moving with the system using elastic members or friction-damping members, e.g. between a rotating shaft and a gyratory mass mounted thereon
    • F16F15/131Suppression of vibrations in rotating systems by making use of members moving with the system using elastic members or friction-damping members, e.g. between a rotating shaft and a gyratory mass mounted thereon the rotating system comprising two or more gyratory masses
    • F16F15/133Suppression of vibrations in rotating systems by making use of members moving with the system using elastic members or friction-damping members, e.g. between a rotating shaft and a gyratory mass mounted thereon the rotating system comprising two or more gyratory masses using springs as elastic members, e.g. metallic springs
    • F16F15/134Wound springs
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
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    • F16F15/14Suppression of vibrations in rotating systems by making use of members moving with the system using masses freely rotating with the system, i.e. uninvolved in transmitting driveline torque, e.g. rotative dynamic dampers

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 振動減衰装置を、別の振動励起に関して改善
された減衰機能を与え得るように構成する。 【解決手段】 回転軸心(A)のまわりで回転可能な基
体(64)に配設されていて少なくとも一つの偏位質量
体(50)と当該少なくとも一つの偏位質量体(50)
に対応配置された偏位軌道(52)とを備える偏位質量
体装置(50)であって前記回転軸心(A)のまわりで
の前記基体(64)の回転の際に偏位質量体(50)が
当該偏位軌道に沿って動き得る偏位質量体装置をもって
いる、特に動力車の駆動システムのための振動減衰装置
にして、その際前記偏位軌道(52)が頂点領域(5
4)と当該頂点領域(54)からそれぞれ正反対の方向
に出ている偏位領域(56、58)とを有する。その
際、前記偏位領域(56、58)が前記頂点領域(5
4)から本質的に軸方向にて正反対の方向(a、a)に
出ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸心のまわり
で回転可能な基体に配設されていて少なくとも一つの偏
位質量体と当該少なくとも一つの偏位質量体に割り当て
られた偏位軌道とを備えている偏位質量体装置であって
前記回転軸心のまわりでの前記基体の回転の際に前記偏
位軌道に沿って偏位質量体が運動可能である偏位質量体
装置をもっている振動減衰装置(振動緩衝装置、振動抑
制装置)、特に動力車(自動車等)の駆動システムのた
めの振動装置にして、その際、前記偏位軌道が一つの頂
点領域と当該頂点領域からそれぞれ逆の方向に出ている
複数の偏位領域とを有する振動減衰装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ドイツ特許出願公開第4426317A
1(DE 44 26 317 A1)により、以下のような振動減衰装
置が知られている。すなわち、この周知の振動減衰装置
の場合には、回転軸心のまわりに分散させられて、複数
の偏位軌道が基体に設けられている。それぞれ回転軸心
に向かって曲げられており且つ周方向に延在しているこ
れらの偏位軌道に沿って偏位質量体が動かされ得る。こ
のような偏位質量体をもっている自転するシステムの回
転動作中には、偏位質量体が、遠心力によって引き起こ
されて、それらの偏位軌道の、前記回転軸心から最も大
きい半径方向の距離を有するそれぞれの頂点領域に配置
されるだろう。回転速度(自転速度)における非一様性
が発生すると、例えば内燃機関式駆動装置の非一様回転
により引き起こされて発生すると、回転速度のこの非一
様性によって偏位質量体が頂点領域におけるそれらの静
止位置(定位置)から偏位(変位)させられ、振動する
(揺れ動く)ようにそれらの偏位軌道に沿って動く。こ
のようないわゆる回転数適応性のあるアブソーバー(Ti
lger)によって、特により高い調和次数(より高いハー
モニックオーダー)の振動励起がとりわけ有利に減衰さ
せられ得る。なぜならば、振動周波数に関して、従って
除去されるべき周波数(振動数)に関して、湾曲軌道の
曲率半径の選択ないしそれぞれの偏位質量体の質量及び
大きさの選択によって、同調が行なわれ得るからであ
る。
【0003】しかしながら、さらに別の振動励起(振動
刺激)、特に別の振動数あるいは別の種類の振動励起が
発生すると、問題が生じる。例えば、内燃機関のクラン
クシャフトとトランスミッション入力軸(クラッチシャ
フト、Getriebeeingangswelle)との間の動力車のパワー
トレイン(動力伝達系列、Antriebsstrang)での使用に
おいて軸ずれ(Achsversatz)ないし軸傾斜(Achsneigung)
が発生させられている可能性がある。それらは、クラッ
チの互いに連結される構成要素が揺動運動(ふらつき運
動、Taumelbewegung)を行わざるを得ないことを導く。
このような揺動運動も決められた振動数で発生し、且つ
駆動システムを損なう可能性がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
は、初めに述べた種類の振動減衰装置を、別の振動励起
に関して改善された減衰機能を与え得るように構成する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第一の観点で
は、この課題は、少なくとも一つの偏位質量体と当該少
なくとも一つの偏位質量体に対応配設された偏位軌道と
を備えていて回転軸心のまわりで回転可能な基体に配設
されている偏位質量体装置をもっている振動減衰装置、
特に動力車の駆動システムのための振動減衰装置にし
て、前記回転軸心に関しての前記基体の回転の際に前記
偏位軌道に沿って偏位質量体が運動することが可能であ
り、その際、前記偏位軌道が頂点領域と当該頂点領域か
らそれぞれ正反対の方向に出ている偏位領域を有する振
動減衰装置によって解決される。
【0006】そのとき、前記偏位領域が頂点領域から本
質的に軸方向における正反対の方向に出ていくことが考
慮に入れられている。従って、本発明のこの観点では、
偏位軌道は本質的に軸方向に延在する。その際、もちろ
ん回転軸心に向かっての湾曲も存在する。このことは、
偏位質量体が本質的に前記回転軸心を含む平面内におい
て運動し得ることを意味する。従来どおりの周知の偏位
質量体の運動方向に対してほぼ直交するこの運動方向
は、回転可能な基体の揺動励起を弱めるないし除去する
ことに有利に利用され得る。
【0007】このような配置の場合に、さらに、自転す
るシステムの回転数についての内燃機関のむらのある回
転に例えば由来するそれ自体周知の変動を補償(相殺)
することができるように、前記少なくとも一つの偏位質
量体に割り当てられた前記偏位軌道がさらに頂点からそ
れぞれ周方向における本質的に正反対の方向に出ていく
別の偏位領域を有することが提案される。
【0008】従ってこのような形態では、それぞれの偏
位質量体が、一方では回転軸心に沿っての方向におい
て、他方では周方向において運動することができる。そ
の際、これらの異なる運動の際に異なる軌道の湾曲によ
って、それぞれ、回転軸心に近づくことないし回転軸心
から遠ざかることが起こる。従って、好ましくは、前記
偏位領域と前記別の偏位領域とが、割り当てられた偏位
質量体のために回転軸心に向かって指しており且つ回転
軸心に向かって曲げられている偏位フィールドを形成す
ることが考慮に入れられている。それによって、前記少
なくとも一つの偏位物体が、三次元空間に曲げられて位
置する面上で運動することが可能である。
【0009】任意の方向における運動を可能な限り等し
く形成することができるように、前記少なくとも一つの
偏位質量体が本質的に球状の偏位物体を形成することが
提案される。
【0010】本発明の別の観点では、前述の課題が、回
転軸心のまわりで回転可能な基体に配設されていて複数
の偏位質量体を備えている偏位質量体装置をもっており
且つそれぞれの偏位質量体に対応配設されて一つの偏位
軌道をもっており、前記回転軸心のまわりでの前記基体
の回転の際に当該偏位軌道に沿って偏位質量体が動き得
る振動減衰装置、特に動力車の駆動システムのための振
動減衰装置によって解決される。
【0011】その際さらに、少なくとも二つの偏位質量
体が異なる質量を、あるいは異なる質量慣性モーメント
を、あるいは異なる質量と異なる質量慣性モーメントと
を有することが考慮に入れられている。
【0012】複数の偏位質量体に異なる質量ないし質量
慣性モーメントを与えることによって、これらのさまざ
まの偏位質量体が、それぞれ、別の固有振動数をもつ振
動子を形成することが配慮される。それによって、自転
するシステムにおいて発生するさまざまの刺激(励起)
が同時に減少させられ得る。
【0013】このことは、例えばあるいは付加的に、少
なくとも二つの偏位軌道が異なって形成されている、す
なわち例えば異なる湾曲の延在の仕方を有するあるいは
回転軸心に関して異なる半径方向のポジショニングを有
することによって達成されてもよい。
【0014】このような配置の場合には、場所の理由か
ら、これらのさまざまの偏位質量体ないし偏位軌道が周
方向に相前後して配置されている、あるいは軸方向に相
前後して配置されている、あるいは周方向に相前後して
配置されており且つ軸方向に相前後して配置されている
ことが考慮にいれられているとよい。
【0015】きわめてさまざまな振動数状況(Frequenz
verhaeltnisse)への適応のはじめに述べられた課題は、
本発明の別の観点により、少なくとも一つの偏位軌道が
少なくとも領域的に粘性のある減衰媒体内に延在するこ
とによって解決される。このようにしても、軌道に沿っ
て動く偏位質量体が前記媒体中において運動しなければ
ならない、従って高められた抵抗に抗して動かねばなら
ないという事実によって、そのようにつくられた振動子
の固有振動数に影響が及ぼされ得る。
【0016】このケースでは、周方向に相前後して位置
する複数の偏位軌道が設けられており、その際、当該偏
位軌道のそれぞれがそれぞれの減衰媒体室を画成するこ
と、及び、当該減衰媒体室のうちの少なくとも二つが減
衰媒体交換のための通路装置(ダクト装置)によって互
いに連通させられていることが考慮に入れられていると
よい。従って、このような配置の場合には、当該各減衰
媒体室の間で流動体が往復移動させられ得る。その際、
この往復移動も決められた固有振動数をもち、それによ
ってダンパの振動挙動に影響を与える。
【0017】その際、例えば、減衰媒体室を画成するそ
れぞれの偏位軌道に通路装置が開口していることが考慮
に入れられているとよい。さらに、前記少なくとも一つ
の偏位質量体に減衰媒体の流入ないし貫流のための通路
装置(ダクト装置)が設けられていることによって、各
振動子の振動挙動に影響が及ぼされてもよい。
【0018】前記粘性のある減衰媒体は、例えば、減衰
流動体(減衰液体)であってもよい;しかしながら原理
的には、ここで、容易に押しのけられ得る粉末状の材料
が使用されることも考えられる。
【0019】本発明の別の独立の観点では、はじめに述
べた課題が、このような減衰装置で摩擦装置が前記少な
くとも一つの偏位質量体の運動に対して反対に作用する
摩擦力を発生させるために設けられていることによって
解決される。
【0020】このことは、例えばすでに前に述べられた
流動体あるいは減衰媒体によって行なわれ得る。しかし
ながら、前記摩擦装置が、前記少なくとも一つの偏位質
量体を支え装置(アバットメント装置、支承装置、Wide
rlageranordnung)に向かって押しつけるプレストレス
装置であってもよい。
【0021】構造上の見地では、このことは、基体に第
一の壁領域及び第二の壁領域が設けられており、これら
の壁領域の間に前記少なくとも一つの偏位質量体が位置
づけられていること、及び前記プレストレス装置が前記
少なくとも一つの偏位質量体と前記壁領域のうちの一方
との間で作用するプレストレス弾性手段をもっているこ
とによって、とりわけ簡単に獲得され得る。
【0022】本発明の別の観点では、はじめに述べた課
題は、前記少なくとも一つの偏位質量体が支持軸受装置
をもっており、当該支持軸受装置によってこれが対応配
置された偏位軌道に支持されていることによって解決さ
れる。このようにして、限定的に、偏位質量体の主な質
量部分が偏位軌道上での転動(転がり)の際も回転(自
転)しないことがもたらされ得る。なぜならば、転動運
動が前記軸受装置において吸収されるからである。それ
によって、所定の方法で、それぞれの物体の運動に導入
されるエネルギーが影響を及ぼされる。なぜならば、軌
道に沿っての運動の運動エネルギーだけがそれぞれの物
体の運動に変えられるが、しかしながら本質的に回転エ
ネルギーはそれぞれの物体の運動に変えられないからで
ある。
【0023】例えば、前記支持軸受装置がすべり軸受装
置(Gleitlageranordnung)あるいはころ体軸受装置(Wae
lzkoerperlageranordnung)であることが考慮に入れられ
得る。
【0024】このような振動子の減衰挙動には、以下の
ことによっても影響が及ぼされ得る。すなわち、当該振
動する質量体が定められたポジショニングに強制的に保
持されること、すなわち、所定の運動だけは実行可能で
あるがしかしながら、他の方向においては安定させられ
ている(固定されている)、特に他の構成要素への望ま
れていない且つ定義されない摩擦接触を回避するために
も安定させられていることによってである。本発明の別
の観点では、このことは、前記少なくとも一つの偏位質
量体及び対応配置された偏位軌道が、前記少なくとも一
つの偏位質量体がそれの位置について本質的に前記偏位
軌道を含む平面内において安定させられているような相
互の接触プロフィールを有することによって獲得され得
る。
【0025】ここで、例えば、前記少なくとも一つの偏
位質量体がそれの外周領域においてほぼV字形状の表面
プロフィールを有して構成されていること、及び、前記
対応配置された偏位軌道がほぼ相補的にV字形状の軌道
プロフィールを有して構成されていることが考慮にいれ
られているとよい。
【0026】振動挙動には、さらに以下のことによって
も影響が及ぼされ得る。すなわち、前記少なくとも一つ
の偏位質量体が少なくとも一つの案内軸部を有し、当該
案内軸部が基体におけるあるいはそれと連結された構成
要素における案内軌道にて案内されていること、及び前
記少なくとも一つの案内軸部のための案内軌道が、割り
当てられた偏位質量体のための偏位軌道を少なくとも部
分的に形成することによってである。ここでは偏位質量
体から少なくとも一つの案内軸部が出ているので、対応
する軌道上でのこの案内軸部の転動の際に以下のような
回転運動が発生させられるだろう。すなわち、当該回転
運動は、設定された偏位速度、つまり軌道に沿っての物
体の運動速度で、物体の転動の際にそれの外周面におい
てそうであるだろうよりもはるかに大きい回転数で物体
が回転するだろうことを導く。なぜならば、偏位質量体
それ自体よりも小さい直径を案内軸部がもつだろうから
である。それによって、明示されたように回転エネルギ
ーにおける相当な割合が運動する偏位質量体に移され、
そのことが相応の減衰挙動あるいは除去挙動(Daempfun
gs-oder Tilgungsverhalten)を結果として伴うという効
果が達成される。
【0027】運動の際に偏位質量体を安定させるため
に、前記少なくとも一つの偏位質量体に二つの正反対に
配置された案内軸部が対応配置された案内軌道を備えて
設けられていることが提案される。
【0028】ここでは説明されない摩擦損失もできる限
り排除できるように、前記少なくとも一つの案内軸部が
対応する案内軌道にて支持装置(軸受装置)の介装(中
間支持)のもとで案内されていることが提案される。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、本発明を添付の図面を参照
して有利な実施形態をもとにして詳細に説明する。図1
〜4は、本発明に係るアブソーバーのさまざまなポジシ
ョニングコンフィギュレーションをもつ摩擦クラッチな
いし多質量体フライホイールのさまざまな実施形態を示
す。図5は、本発明に係る減衰装置の第一の実施形態の
軸方向に見た図を部分的に切り開いて示す。図6は、図
5における線VI−VIによる断面図を示す。図7は、図6
における注視方向VIIにおける図6の半径方向に見た図
を示しており、偏位質量体のための転動面の展開図(Ab
wicklung) を図式的に示す。図8は、本発明に係る減衰
装置の部分縦断面図を示す。図9は、図8の減衰装置の
軸方向に見た図式的な図を示しており、いくつかの偏位
質量体の転動挙動を示す。図10は、減衰装置の部分的
に断面で図示された平面図を示し、当該減衰装置では、
偏位質量体が少なくとも部分的に流動体内で動く。図1
1は、上側の部分及び下側の部分で図10の装置の異な
るコンフィギュレーションを縦断面で示す。図12〜1
5は、本発明に係る減衰装置のさまざまな実施形態の縦
断面図を示す。図16は、図15に示された減衰装置の
軸方向に見た図を示しており、カバープレートが部分的
に切り取られている。
【0030】以下で、図5〜16を参照して本発明に係
る減衰装置のさまざまな構成形態を詳細に説明する前
に、まず第一に、どのような領域にこのような減衰装置
が原理的に投入され得るかが図1〜4を参照して一般的
に示される。
【0031】図1は、フライホイール12を備える全体
として符号10を付されたクラッチ機構の断面図を示
す。前記フライホイールは、内燃機関のクランクシャフ
ト14と回転固定に(すなわち、相対回転不能に)結合
しており且つ半径方向外側で全体として符号18を付さ
れた押圧プレートサブアセンブリ(押圧板組立体)のハ
ウジング16を担持する。それ自体周知のように、押圧
プレートサブアセンブリに押しつけプレート20が含ま
れており、当該押しつけプレートがダイアフラムスプリ
ング22によって軸方向にフライホイール12の方へ押
され得る。その結果、押しつけプレート20とフライホ
イール12との間に全体として符号26を付されたクラ
ッチディスクの摩擦ライニング24がはさんで締めつけ
られ得る。クラッチディスク26は、ハブ28を介して
トランスミッション入力シャフトと回転固定に連結され
得る。
【0032】図1において、振動減衰装置30が図式的
に概略だけを示されているのがわかる。当該振動減衰装
置は、以下にさらに説明される複数の偏位質量体を周方
向に回転軸心Aのまわりに分散してもっている。振動減
衰装置30は、ここではフライホイール12の半径方向
外側の領域にポジショニングされており(位置づけられ
ており)、それによって、内燃機関の領域において発生
する回転振動(ねじり振動)を直接減衰させる(弱め
る)ことができる。選択可能なものとして、図2は、押
しつけプレート20の領域における振動減衰装置30の
ポジショニングを示す。ここでも、周方向に分散して複
数の偏位質量体が存在しているとよい。そのとき、これ
らの各偏位質量体の間にダイアフラムスプリング22に
よる押しつけプレート20の付勢のための支持領域32
が設けられている。図3では多質量体フライホイール4
0の部分縦断面が認識できる。これはクランクシャフト
14と回転固定に結合して一次フライホイール質量体
(主フライホイール質量体)42をもっている。当該一
次フライホイール質量体は、それ自体周知の弾性減衰機
構(ばね減衰機構)44を介して相対的に回転可能にハ
ブディスク46と連結させられている。他方また、当該
ハブディスクは、回転固定に(すなわち相対回転しない
ように)二次側のフライホイール質量体48と連結され
ている。さらに、ハブディスク46によって、遊星歯車
装置のように、一次フライホイール質量体42に装着さ
れた複数の遊星歯車49が回転のために駆動され得る。
その結果、回転振動の発生の際に一方では両方のフライ
ホイール質量体42、48が互いに対して弾性装置44
の弾性作用(ばね作用)に抗して回転可能であり且つ他
方ではこの相対回転運動の際に遊星歯車49が回転のた
めに駆動される。ここでは、振動減衰装置30が、最終
的にクラッチのためのフライホイールを形成する二次側
のフライホイール質量体48の領域にポジショニングさ
れていることがわかる。
【0033】図4では、振動減衰装置30が一次側のフ
ライホイール質量体42の領域にポジショニングされて
いる。多質量体フライホイールあるいは動力車クラッチ
(例えば自動車用クラッチ)の場合に減衰装置30が統
合され得るさまざまな領域の前述の簡潔な描写から、す
でにここで、このような減衰装置の具体的な形態に左右
されずに、減衰挙動へ影響が及ぼされ得ることがわか
る。なぜならば、ポジショニングする領域に応じて、励
起する(活発になる)振動と振動減衰装置との間の別の
作用関係が発生させられるからである。
【0034】次に、図5〜7を参照してこのような振動
減衰装置30の第一の実施形態を説明する。図5〜7に
は以下のような実施形態が示されている。すなわち、こ
の実施形態では、振動ダンパ30は、ねじり振動(ねじ
れ振動)の減衰、例えば内燃機関の点火爆発による一様
でない振動励起(振動刺激)によるねじり振動の減衰の
ためにも、揺動運動により励起される振動の減衰のため
にも使用され得る。この目的のために、図5に示される
ように、周囲にわたって分散して六つの個別の偏位質量
体50が設けられている。これらの偏位質量体は、ここ
では球の形状を有する。それぞれの偏位質量体50に、
一つの偏位軌道が割り当てられている。当該偏位軌道
は、この実施形態では、三次元的な曲げられた面であ
る。一方では、図6において、偏位物体50の偏位軌道
52が半径方向外側の領域に頂点領域54を有し、当該
頂点領域から正反対の方向に且つ回転軸心Aを含む平面
内にてそれぞれ偏位領域56、58が出ていることがわ
かる。これらの偏位領域は、曲げられており且つ頂点領
域54からの距離が増大するとともに(すなわち頂点領
域から離れるにつれて)回転軸心Aに近づく。偏位質量
体50に対して回転軸心Aの方向における振動励起を与
える揺動運動の発生の際には、従って、各偏位質量体が
それらのそれぞれの偏位軌道52に沿って回転軸心Aの
方向においていったりきたり往復振動することが可能で
ある。つまり、図7における方向aにおける偏位運動が
起こる。
【0035】しかしながら、図5において、頂点領域5
4から出発してさらに別の偏位領域60、62が設けら
れており、これらの偏位領域が頂点領域54から周方向
における異なる方向へ離れるように延在することがわか
る。それによって各偏位物体50が図7における方向
u、uにおいても、頂点領域54に対応したそれらの位
置から偏位運動させられ得る。それによって偏位軌道5
2としての偏位面が生じる。当該面は、三次元的に曲げ
られており、且つ頂点領域54から出発してどの方向に
おいても回転軸心Aに近づく。このような面が、図7に
平らな展開面として図解して具体的に説明されている。
これは、周方向における励起(刺激)を与える。どの回
転動作の際に発生するねじり振動も減衰させられ得るこ
とを意味する。つまり、図7における方向u、uないし
方向a、aにおける重なり合った励起が発生し、その結
果、それぞれの偏位質量体50が例えば近似的に円軌道
あるいは楕円軌道で頂点領域54のまわりを運動するだ
ろう。
【0036】このような偏位運動の際には、各偏位物体
50によって供給される振動子が偏位振幅に本質的に左
右されない固有振動数を有することに留意することが有
利である。このことは、円軌道としての各偏位軌道の供
給の際に、非常に小さい偏位角度についてだけ当てはま
るだろう。従って、偏位質量体の質量重心が外サイクロ
イド状(epizykloidenartig)の軌道上を動くような形状
を偏位軌道が有することが提案される。このような軌道
形態(従って当該軌道形態は軸心方向に延在する領域5
6、58についても周方向に延在する領域60、62に
ついても与えられ得る)の場合には、大きな偏位につい
ても振幅と固有振動数とが絶縁されている(関連しな
い)ことがもたらされる。
【0037】完全な偏位軌道52を収容できるように、
基体64から軸方向に離れるように延在する膨らみ領域
(Ausbauchungsbereich)66によって、十分に構造空間
がつくり出されているので、同時に半径方向内側に向か
っての閉鎖がつくり出され得る。その結果、各偏位質量
体50が所定の方法でそれらに対応配設された偏位軌道
52のところで保持される。特に、(ねじり励起に比較
しての)揺動運動の際の相対的に弱い振動励起に基づい
て、軸方向におけるそれぞれの偏位軌道あるいは偏位領
域56、58の長さが、ねじり振動の減衰のために設け
られた偏位領域62、60よりも短い。このことは軸方
向における構造空間状況に応じる。
【0038】ねじり振動の発生が予期され得ない自転す
るシステムの場合に全く同様に、偏位質量体50が軸方
向に頂点領域54から離れるように延在する偏位領域5
6、58に沿ってだけ動くことができて、周方向には動
くことができない偏位軌道52を準備すればよいことを
指摘しておく。さらに、偏位質量体が周方向に偏位させ
られ得る軌道、ないしは偏位質量体が周方向にも軸方向
にも偏位させられ得る軌道を任意に互いに組み合わせる
ことも同様に可能であることを指摘しておく。このよう
なさまざまに構成された偏位軌道が、例えば周方向に相
前後して及び交互に配置されていてもよい。その結果、
例えばそれぞれ軸方向における偏位を伴う軌道に周方向
における偏位を伴う軌道が、あるいは例えば軸方向及び
周方向における偏位を伴う軌道が続き、それから再び軸
方向における偏位を伴う軌道が続く。
【0039】さらに、図5〜7に示されているような振
動ダンパの実施形態が前に図1〜4に関連して示された
すべての形態で使用され得ることを指摘しておく。この
点では、図5及び図6において認識できる基体64は、
例えば前述されたフライホイール質量体部材のうちの一
つを表す。
【0040】図8及び図9は、本発明に係る振動ダンパ
の別の形態を示す。構造ないし機能に関して前に述べら
れた構成要素に相当する構成要素には、同一の符号が添
字「a」を添えて付されている。
【0041】この実施形態では、基体64aに周方向に
分散させて複数の偏位軌道装置74aが設けられてい
る。これらの偏位軌道装置は、それぞれ、軸方向に相前
後して位置する二つの偏位軌道52a、52a′をもっ
ている。これらの偏位軌道52a′及び52aは、段を
つけられた空所70a,72aにおいてつくられてい
る。その際、空所領域70aは、基体64aにおいて、
空所領域72aよりも深くに位置している。空所領域7
0aが、半径方向外側に偏位質量体50a′のための偏
位軌道52a′を形成し、それほど深くに位置しない領
域72aが半径方向外側に偏位質量体50aのための偏
位軌道52aを形成する。偏位質量体はほぼ円シリンダ
状に構成されている。図8及び図9において、両方の偏
位質量体50a,50a′が互いに異なって構成されて
いることがわかる。従って、偏位質量体50aが、より
小さい直径を有して、しかしながらより大きい軸方向の
幅を有して形成されている。他方、偏位質量体50a′
が、より大きい直径を有して、しかしながらより小さい
軸方向の幅を有して構成されている。異なって構成され
た偏位軌道52a及び52a′(それらのうちの軌道5
2a′が軌道52aより強い湾曲(曲率)を有する)と
協働して、ここで、二つの異なる振動子が作り出されて
いる。これらの振動子は、それぞれ異なった励起振動数
の減衰あるいは除去のために用いられる。ここで、パラ
メータ、すなわち質量、慣性モーメント、及び偏位軌道
の曲率、の適当な選択によって、振動子のそれぞれにつ
いて簡単な方法で減衰させられるべき(発振を制御され
るべき)指定された振動数への同調がつくりだされ得
る。その際、各振動子の偏位に依存しない固有振動数を
与えるために、好ましくは偏位軌道52a、52a′が
外サイクロイド状の形状を有する。
【0042】さらに、両方の空所領域70a、72aの
間に中間プレート68aが位置しており、当該中間プレ
ートが偏位質量体50a′をそれの空所領域70a内に
保持することがわかる。さらに、カバープレート76a
が設けられており、当該カバープレートによって偏位質
量体50aも割り当てられた空所領域72a内にとどま
ることがもたらされる。半径方向内側には、偏位質量体
50a′のために基体64aのハブ領域76aによって
ストッパが形成されている。当該ストッパが偏位質量体
50a′の運動を周方向において限定する。偏位質量体
50aのためには、この機能を引き受けるストッパリン
グ78aが設けられている。
【0043】さらになお、さまざまな励起エネルギーを
弱めることを得るために周方向に分散させられた偏位軌
道及びそれらの割り当てられた偏位質量体も異なって構
成されているとよいことを指摘しておく。例えば、図5
に示す実施形態では、それぞれの第二の軌道が別の曲率
半径を有し、且つ、それぞれの第二の偏位質量体が別の
質量ないし別の質量慣性モーメントを有するとよいだろ
う。このことは、付加的になお複数の偏位質量体の軸方
向の食い違い配置(段状配置、階層、Staffelung)の図
8に示されたコンフィギュレーションでは、多数の励起
振動数を弱めることができるために利用され得るだろ
う。
【0044】振動ダンパの別の選択可能な実施形態が図
10及び図11に示されている。構造ないし機能に関し
て前述された構成要素に相当する構成要素には、同一の
符号が添字「b」を添えて付されている。
【0045】ここで、回転軸心Aのまわりに周方向に相
前後して複数の偏位軌道52bが設けられていることが
わかる。当該偏位軌道によって半径方向外側に向かって
画成されている凹部空間80bは、部分的に、粘性のあ
る媒体、例えば流動体(液体)82bを詰められてい
る。回転作動中に、この流動体が半径方向外側の領域に
集まる。その結果、各偏位質量体50bが少なくとも部
分的にこの流動体に沈められており、それぞれの頂点領
域54bに対応したそれの位置からの偏位の際に少なく
とも部分的に流動体82b内で動かねばならない。それ
によって、ほぼ円シリンダ状の各偏位質量体50bにと
ってそれらの偏位軌道52bに沿っての運動が困難にさ
れる。このことは、最終的に各振動子の固有振動数の変
動を結果として伴う。ここで偏位に依存しない固有振動
数振動を与えることができるように、偏位軌道52bが
好ましくは外サイクロイド状の形状を有するとよい。さ
らに、好ましくは凹部空所80bが、偏位質量体50b
がそれぞれの偏位位置において完全に流動体に沈められ
ており且つそれによって常に同じように流動体の抵抗に
抗して動かねばならない程度に流動体で満たされてい
る。
【0046】各偏位軌道52bによって流動体室領域8
4bがつくられ、すぐ隣接した流動体室領域84bが流
動体路(流動体ダクト)86b、88bによって互いに
連通させられている。各偏位物体50bがそれらの偏位
軌道に沿って動くと、いまやそれらによって押しのけら
れる流動体が回転軸心Aに対する最小の間隔の領域90
bを経て隣接する流動体室領域84bへ押しのけられ得
るだけでなく、当該流動体が流動体路86b、88bを
通り抜けて動くことも可能である。この流れ運動によっ
て同様に固有振動数に影響が及ぼされ得る。なぜならば
各流動体路に入っている流動体柱(Fluidsaeulen)もそれ
ぞれの固有振動数を有するからである。
【0047】さらに、振動挙動を変えるために、各偏位
質量体50bに通路装置(ダクト装置)92bあるいは
94bを組み込むことが可能である。その際、図10に
おいてわかるように、通路装置92bは偏位物体50b
を星形に貫通する。他方、装置94bは、ほぼ平行に位
置している通路部分を有する。それぞれの偏位質量体5
0bの回転位置に依存しない運動特徴(運動特性曲線)
を得るためには、装置92bが有利である。なぜなら
ば、これは常にほとんど等しく流動体の貫流を可能にす
る。
【0048】この種のダンパ(Daempfer)あるいはアブ
ソーバー(Tilger)の場合には、従って、振動励起から
取り出されるエネルギーが再びシステムに返される偏位
質量体の純粋な運動エネルギーに変えられるだけでな
く、比較的粘性の強い流動体、例えば油脂あるいはオイ
ル、内での偏位質量体の運動により誘導される、発生さ
せられる摩擦エネルギーによってこの流動体の押しのけ
へのエネルギー搬出が発生させられる。
【0049】図11はこのような流動体室領域84bが
どんなふうに密閉され得るかを示す。この密閉は、とり
わけ簡単な方法で行なわれ得る。なぜならば、互いに対
して回転する部分が密封される必要がないからである。
図11において上側で認識できるように、凹部空間領域
80bが単純にリング状のカバープレート76bの封入
によって行われ得る。当該カバープレートは、半径方向
内側の縁部にて及び半径方向外側の縁部にて肩凹部領域
に位置し、そこで溶接してはめ込まれている(固定され
ている)。図11は下側に、以下のような配置を示す。
すなわち、当該配置では、カバープレート76bが複数
の周方向に分散させられた固定ピン(固定ボルト)96
b、例えばリベットピン(クリンチボルト、Nietbolze
n)96bによって固定されている。ここでは、基体6
4bにおけるカバープレート76bの密封するポジショ
ニングの獲得のために半径方向内側に及び半径方向外側
にパッキングリング(シールリング)98b、100b
が設けられている。
【0050】図12は、本発明に係る振動ダンパの別の
選択可能な実施形態を示す。前に述べた構成要素に構造
ないし機能に関して相当する構成要素には、同一の符号
が添字「c」を添えて付されている。
【0051】偏位質量体50cには、基体64cの方へ
向けられた側に凹部104cがポジショニングされてい
ることがわかる。当該凹部104cには、曲げられた
(たわめられた)弾性装置(ばね装置)、例えば皿ばね
(ディスクスプリング)102cの形での弾性装置が設
けられている。これは、基体64cにおける壁部107
cにおける対応する凹部106cに受け入れられている
摩擦面108cに対して押す。一様な運動を獲得するた
めに、好ましくは装置102c、104cがそれぞれの
偏位質量体50cの中心軸線に関して回転対称である。
そして、摩擦面108cはリング状に構成されており且
つ環あるいは環セグメントとして回転軸心Aのまわりに
延在する。摩擦面108cへの弾性体102cの摩擦す
る係合によって、一方ではこの領域にて、他方ではカバ
ープレート76cに向かってそれぞれの偏位質量体50
cにプレストレスを与えることによって所定の摩擦モー
メントが導入される。当該摩擦モーメントは、互いに摩
擦する面のないしは弾性体のプレストレス力の選択に応
じて各振動子の固有振動数の調整のために利用され得
る。従って、このようにして、弱められるべき振動数が
セットされ得る。
【0052】別の変形が図13に示されている。前に述
べた構成要素に構造ないし機能に関して相当する構成要
素には、同一の符号が添字「d」を添えて付されてい
る。ここでは、偏位質量体50dが支持装置(軸受装
置)110dによって取り囲まれていることがわかる。
これは、例えば、外側の支持リングとこれを質量体50
d上にて回転可能に支持するころ体とを備えるころ体軸
受装置であるとよい。しかしながらすべり軸受リングで
あってもよい。この支持装置110dとともに、それぞ
れの偏位質量体50dが対応配置された偏位軌道52d
上を動く。このようにして各偏位質量体50dの回転運
動からの転動運動の絶縁が発生させられ得るので、他方
また、振動特性(振動特性曲線)への所定の干渉が獲得
される。このことは、最終的に、質量体50dが確かに
偏位軌道に沿って動くが、しかしながら転動(ころが
り)はせずに、単に移動させられることを意味する。つ
まり、各偏位質量体50dの中心軸線のまわりでの回転
のための自転エネルギーに移されるエネルギーがないあ
るいはほとんどない。このことは、例えばすべり軸受の
使用によって各偏位質量体50dがそれらの偏位軌道5
2dに沿ってすべり且つその際同様にそれの縦軸線のま
わりで回転しないあるいはほとんど回転しない状況に相
当する。
【0053】図14は、本発明に係る振動ダンパの別の
実施形態を示す。前に述べた構成要素に構造ないし機能
に関して相当する構成要素には、同一の符号が添字
「e」を添えて付されている。
【0054】この実施形態では、偏位質量体50eがそ
れらの外周領域において二つの転動面112e、114
eを備えるV字形状のプロフィール(断面、輪郭)をも
って形成されていることがわかる。対応して、各転動軌
道52eが(縦断面で観察して)V字形に互いの方へ延
びている二つの面領域116e、118eを備えて構成
されている。その際、これらの両方の面領域の出会う領
域にリング溝状の領域120eがつくり出されている。
互いに当接する面領域112e及び116eないし11
4e及び118eによって、それぞれの偏位質量体50
eが平面E内にないしは平面Eに関して限定されて保持
される。当該平面は回転軸心Aに対して近似的に直交し
て位置する。その際、ここでは、より大きくされた接触
面あるいは線領域に基づいて、減少させられた押しつけ
圧力が発生させられる。それによって、偏位質量体50
eが回転軸心Aの方向において運動してその際基体64
eにあるいはカバープレート78eにぶつかることが十
分に回避され得る。このようにして、偏位軌道52eの
曲率によって及び偏位質量体50dの質量ないし慣性モ
ーメントによって定められる固有振動数が可能な限りわ
ずかな大きさでしか、定められない(限定されない)摩
擦あるいは打撃の導入によって損なわれないことがもた
らされ得る。そのことへの主要な寄与は、偏位質量体5
0eと割り当てられた偏位軌道52eとの間の非常にわ
ずかな軸方向のずれの際も頂点領域においてむりに押し
つけられる(傾くことによって挟まって動かなくなる、
Zwaengungen)ことを発生させないリング溝120eに
よっても提供される。ここでは、必ずしもV字形の軌道
輪郭が与えられていなければならないわけではないこと
を指摘しておく。軽く曲げられた表面領域も念頭におか
れ得るだろう。
【0055】本発明に係る振動ダンパの別の実施形態が
図15及び図16に示されている。前に述べた構成要素
に構造ないし機能に関して相当する構成要素には、同一
の符号が添字「f」を添えて付されている。
【0056】この実施形態の場合には、基体64fにお
いてつくりだされた凹部空間領域80fが他方またこの
空間80fを半径方向外側に向かって画成する曲げられ
て延在する壁領域120fによって画成されていること
がわかる。これらの壁領域120fは、ここではしかし
ながら偏位軌道を形成しない。むしろ各偏位質量体50
fがそれらの両方の軸方向側部に案内軸部あるいは案内
突出部122f、124fを有し、これらが例えば軸受
スリーブ126f、128fによってまわりを囲まれて
いるとよい。これらの案内軸部122f、124fのそ
れぞれに、基体64fにおいてあるいはカバープレート
76fにおいて対応配置されて、曲げられた延び方を有
する(すなわち曲げられて延在する)案内空所130f
ないし案内開口部132fが設けられている。特に図1
6においてわかるように、いまやこれらの空所ないし開
口部130f、132fがそれぞれの頂点領域54fと
偏位領域62f、60fとを備える偏位軌道52fを形
成する。そのとき、これらの偏位軌道に沿って、各案内
軸部あるいは案内突出部122f、124fが運動し、
その際、全体の偏位質量体50fを回転軸心に関して曲
げられた案内軌道ないし開口部130f、132fに沿
って案内する。その際偏位質量体50fがそれらの外周
領域136fによって基体64fに当接しないことがわ
かる。転動運動あるいはすべり運動は、案内軸部124
f、122fの領域においてだけ行なわれる。このこと
は、特定の偏位角度範囲における偏位が転動運動の実行
の際に、より小さい転動半径(回転半径、Rollradius)
に基づいて各偏位質量体の中心軸線のまわりで明らかに
より高い回転速度が発生するだろうということを結果と
してともなうことを意味する。このことは、エネルギー
のより高められた割合が各偏位質量体50fの回転に吸
収され得るという結果を伴う。このことを獲得するため
に、例えばスリーブ126f、128fの互いに接し合
って転動する表面領域の及び空所ないし開口部130
f、132fの適当な選択によって、すべりが十分に回
避されることがもたらされ得る。しかしながら単に各偏
位質量体の移動運動だけが起こるべきであるならば、こ
こで支持装置、例えばすべり軸受あるいはころ体軸受を
設けることによって、転動により発生させられる回転運
動が偏位質量体に全般に伝えられないことをもたらす必
要があるだろう。
【0057】以上では、偏位軌道に沿って運動する少な
くとも一つの偏位質量体を備える回転数適応性のあるア
ブソーバーの固有振動数を調整することができる個々の
可能性が記載された。前に述べられたすべての実施形態
が図1〜4に示されたさまざまな領域に適用され得るこ
とは、自明である。また、このような実施形態はもちろ
ん互いに組み合わされ得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るアブソーバーの一つのポジショニ
ングコンフィギュレーションをもつ摩擦クラッチの一つ
の実施形態を示す図である。
【図2】本発明に係るアブソーバーの別のポジショニン
グコンフィギュレーションをもつ摩擦クラッチの別の実
施形態を示す図である。
【図3】本発明に係るアブソーバーの一つのポジショニ
ングコンフィギュレーションをもつ多質量体フライホイ
ールの一つの実施形態を示す図である。
【図4】本発明に係るアブソーバーの別のポジショニン
グコンフィギュレーションをもつ多質量体フライホイー
ルの別の実施形態を示す図である。
【図5】本発明に係る減衰装置の第一の実施形態の軸方
向に見た図を部分的に切り開いて示す図である。
【図6】図5における線VI−VIによる断面図である。
【図7】図6における注視方向VIIにおける図6の半径
方向に見た図を示しており、偏位質量体のための転動面
の展開図を図式的に示している図である。
【図8】本発明に係る減衰装置の部分縦断面図である。
【図9】図8の減衰装置の軸方向に見た図式的な図であ
り、いくつかの偏位質量体の転動挙動を示す図である。
【図10】減衰装置の部分的に断面で図示された平面図
であり、当該減衰装置では、偏位質量体が少なくとも部
分的に流動体内で動く。
【図11】上側の部分及び下側の部分で図10の装置の
異なるコンフィギュレーションを縦断面で示す図であ
る。
【図12】本発明に係る減衰装置の一つの実施形態の縦
断面図である。
【図13】本発明に係る減衰装置の別の実施形態の縦断
面図である。
【図14】本発明に係る減衰装置の別の実施形態の縦断
面図である。
【図15】本発明に係る減衰装置の別の実施形態の縦断
面図である。
【図16】図15に示された減衰装置の軸方向に見た図
でり、カバープレートが部分的に切り取られている。
【符号の説明】
50;50a、50a′;50b;50c;50d;5
0e;50f 偏位質量体(偏位物体) 52;52a、52a′;52b;52d;52e;5
2f 偏位軌道 54 頂点領域 56 偏位領域 58 偏位領域 60 偏位領域 62 偏位領域 64;64a;64c;64f 基体 76c;76f カバープレート(支
え装置) 82b 減衰流動体(減衰媒
体) 84b 流動体室領域(減衰
媒体室) 86b 通路装置 88b 通路装置 92b 通路装置 94b 通路装置 102c 皿ばね(プレスト
レス装置) 107c 壁部 108c 摩擦面 110d 支持軸受装置 112e 転動面(表面プロ
フィール) 114e 転動面(表面プロ
フィール) 116e 面領域(軌道プロ
フィール) 118e 面領域(軌道プロ
フィール) 122f 案内軸部 124f 案内軸部 128f 軸受スリーブ(支
持装置) 130f 案内軌道 132f 案内軌道 A 回転軸心 E 平面
フロントページの続き (72)発明者 ベルント パイネマン ドイツ連邦共和国 デー・97464 ニーダ ーヴェルン アインシュタインシュトラー セ 5 (72)発明者 ユルゲン ヴェート ドイツ連邦共和国 デー・97464 ニーダ ーヴェルン フリートホフシュトラーセ 2

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸心(A)のまわりで回転可能な基
    体(64)に配設されていて少なくとも一つの偏位質量
    体(50)と当該少なくとも一つの偏位質量体(50)
    に対応配置された偏位軌道(52)とを備える偏位質量
    体装置(50)であって前記回転軸心(A)のまわりで
    の前記基体(64)の回転の際に偏位質量体(50)が
    当該偏位軌道に沿って動き得る偏位質量体装置をもって
    いる振動減衰装置、例えば動力車の駆動システムのため
    の振動減衰装置にして、前記偏位軌道(52)が頂点領
    域(54)と当該頂点領域(54)からそれぞれ正反対
    の方向に出ている偏位領域(56、58)とを有する振
    動減衰装置において、 前記偏位領域(56、58)が前記頂点領域(54)か
    ら本質的に軸方向にて正反対の方向(a、a)に出てい
    ることを特徴とする振動減衰装置。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも一つの偏位質量体(5
    0)に対応配置された偏位軌道(52)がさらに頂点領
    域(54)からそれぞれ周方向にて本質的に正反対の方
    向(u、u)に出ている別の偏位領域(60,62)を
    有することを特徴とする、請求項1に記載の振動減衰装
    置。
  3. 【請求項3】 前記偏位領域(56、58)と前記別の
    偏位領域(60、62)とが、対応配置された偏位質量
    体のための、前記回転軸心(A)に向かって指しており
    且つ前記回転軸心(A)に向かって曲げられている偏位
    フィールドを形成することを特徴とする、請求項2に記
    載の振動減衰装置。
  4. 【請求項4】 前記少なくとも一つの偏位質量体(5
    0)が本質的に球状の偏位物体(50)を形成すること
    を特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の振
    動減衰装置。
  5. 【請求項5】 回転軸心(A)のまわりで回転可能な基
    体(64a)に配設されていて複数の偏位質量体(50
    a、50a′)を備えている偏位質量体装置(50a、
    50a′)をもっており且つそれぞれの偏位質量体(5
    0a、50a′)に対応配置されて偏位軌道(52a、
    52a′)をもっており、前記回転軸心(A)のまわり
    での前記基体(64a)の回転の際に偏位質量体(50
    a、50a′)が当該偏位軌道に沿って運動し得る振動
    減衰装置、例えば動力車の駆動システムのための振動減
    衰装置にして、選択的に請求項1〜4の構成要件のうち
    の一つあるいは複数と結びつけられている振動減衰装置
    において、 前記少なくとも二つの偏位質量体(50a、50a′)
    が、異なる質量、あるいは異なる慣性モーメント、ある
    いは異なる質量及び異なる慣性モーメントを有すること
    を特徴とする振動減衰装置。
  6. 【請求項6】 少なくとも二つの偏位軌道(52a、5
    2a′)が異なって構成されていることを特徴とする、
    請求項5の上位概念部分に記載の、あるいは請求項5に
    記載の振動減衰装置。
  7. 【請求項7】 前記少なくとも二つの偏位軌道(52
    a、52a′)が異なる湾曲の延び方を有することを特
    徴とする、請求項6に記載の振動減衰装置。
  8. 【請求項8】 前記少なくとも二つの偏位軌道(52
    a、52a′)が前記回転軸心(A)に関して異なる半
    径方向ポジショニングを有することを特徴とする、請求
    項6または請求項7に記載の振動減衰装置。
  9. 【請求項9】 前記少なくとも二つの偏位質量体(50
    a、50a′)ないし偏位軌道(52a、52a′)が
    周方向に相前後して配置されていることを特徴とする、
    請求項5〜8のいずれか一項に記載の振動減衰装置。
  10. 【請求項10】 前記少なくとも二つの偏位質量体(5
    0a、50a′)ないし偏位軌道(52a、52a′)
    が軸方向に相前後して配置されていることを特徴とす
    る、請求項5〜9のいずれか一項に記載の振動減衰装
    置。
  11. 【請求項11】 少なくとも一つの偏位軌道(52b)
    が少なくとも領域的に粘性の減衰媒体(82b)内に延
    在することを特徴とする、請求項1の上位概念部分に記
    載の、あるいは請求項5の上位概念部分に記載の、ある
    いは請求項1〜10のいずれか一項に記載の振動減衰装
    置。
  12. 【請求項12】 周方向に相前後して位置する複数の偏
    位軌道(52b)が設けられており、当該偏位軌道(5
    2b)のそれぞれがそれぞれの減衰媒体室(84b)を
    画成すること、当該減衰媒体室(84b)のうちの少な
    くとも二つが減衰媒体交換のための通路装置(86b、
    88b)によって互いに連通させられていることを特徴
    とする、請求項11に記載の振動減衰装置。
  13. 【請求項13】 前記通路装置(86b、88b)が、
    前記減衰媒体室(84b)を画成するそれぞれの偏位軌
    道(52b)に開口することを特徴とする、請求項12
    に記載の振動減衰装置。
  14. 【請求項14】 前記少なくとも一つの偏位質量体(5
    0b)に減衰媒体が入るないし貫流するための通路装置
    (92b、94b)が設けられていることを特徴とす
    る、請求項11〜13のいずれか一項に記載の振動減衰
    装置。
  15. 【請求項15】 前記粘性の減衰媒体(82b)が減衰
    流動体(82b)であることを特徴とする、請求項11
    〜14のいずれか一項に記載の振動減衰装置。
  16. 【請求項16】 前記少なくとも一つの偏位質量体(5
    0b;50c)の運動に反対に働く摩擦力を発生させる
    ための摩擦装置(82b;102c、108c)が設け
    られていることを特徴とする、請求項1の上位概念部分
    に記載の、あるいは請求項5の上位概念部分に記載の、
    あるいは請求項1〜15のいずれか一項に記載の振動減
    衰装置。
  17. 【請求項17】 前記摩擦装置(102c、108c)
    がプレストレス装置(102c)をもっており、当該プ
    レストレス装置によって前記少なくとも一つの偏位質量
    体(50c)が支え装置(76c)に向かって押されて
    いることを特徴とする、請求項16に記載の振動減衰装
    置。
  18. 【請求項18】 基体(64c)に第一及び第二の壁領
    域(107c、76c)が設けられており、これらの壁
    領域の間に少なくとも一つの偏位質量体(50c)が位
    置づけられていること、及び、前記プレストレス装置
    (102c)が前記少なくとも一つの偏位質量体(50
    c)と前記壁領域(107c、76c)のうちの一方の
    壁領域(107c)との間で作用するプレストレス弾性
    手段(102c)をもっていることを特徴とする、請求
    項17に記載の振動減衰装置。
  19. 【請求項19】 前記少なくとも一つの偏位質量体(5
    0d)が支持軸受装置(110d)をもっており、当該
    支持軸受装置によってこれが対応配置された偏位軌道
    (52d)に支持されていることを特徴とする、請求項
    1の上位概念部分に記載の、あるいは請求項5の上位概
    念部分に記載の、あるいは請求項1〜14のいずれか一
    項に記載の振動減衰装置。
  20. 【請求項20】 前記支持軸受装置(110d)がすべ
    り軸受装置あるいはころ体軸受装置をもっていることを
    特徴とする、請求項19に記載の振動減衰装置。
  21. 【請求項21】 前記少なくとも一つの偏位質量体(5
    0e)と前記対応配置された偏位軌道(52e)とが、
    前記少なくとも一つの偏位質量体(50e)がそれの位
    置に関して本質的に前記偏位軌道(52e)を含む平面
    (E)内にて安定させられているような相関的な接触プ
    ロフィールを有することを特徴とする、請求項1の上位
    概念部分に記載の、あるいは請求項5の上位概念部分に
    記載の、あるいは請求項1〜20のいずれか一項に記載
    の振動減衰装置。
  22. 【請求項22】 前記少なくとも一つの偏位質量体(5
    0e)がそれらの外周領域について本質的にV字形状の
    表面プロフィール(112e、114e)を有して構成
    されていること、及び、前記対応配置された偏位軌道
    (52e)が本質的に相補的にV字形状の軌道プロフィ
    ール(116e、118e)を有して構成されているこ
    とを特徴とする、請求項21に記載の振動減衰装置。
  23. 【請求項23】 前記少なくとも一つの偏位質量体(5
    0f)が少なくとも一つの案内軸部(122f、124
    f)を有し、当該案内軸部が前記基体(64f)におけ
    るあるいはそれと連結されている構成要素(76f)に
    おける案内軌道(130f、132f)にて案内されて
    いること、及び前記少なくとも一つの案内軸部(122
    f、124f)のための当該案内軌道(130f、13
    2f)が付設された偏位質量体(50f)のための偏位
    軌道(52f)を少なくとも部分的に形成することを特
    徴とする、請求項1の上位概念部分に記載の、あるいは
    請求項5の上位概念部分に記載の、あるいは請求項1〜
    22のいずれか一項に記載の振動減衰装置。
  24. 【請求項24】 前記少なくとも一つの偏位質量体(5
    0f)に、正反対に配置された二つの案内軸部(122
    f、124f)が対応配置された案内軌道(130f、
    132f)を伴って設けられていることを特徴とする、
    請求項23に記載の振動減衰装置。
  25. 【請求項25】 前記少なくとも一つの案内軸部(12
    2f、124f)が前記対応配置された案内軌道(13
    0f、132f)にて支持装置(128f)の介装のも
    とで案内されていることを特徴とする、請求項23ある
    いは請求項24に記載の振動減衰装置。
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