JP2000277302A - セラミック素子ユニット及びその製造方法 - Google Patents

セラミック素子ユニット及びその製造方法

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JP2000277302A
JP2000277302A JP11086582A JP8658299A JP2000277302A JP 2000277302 A JP2000277302 A JP 2000277302A JP 11086582 A JP11086582 A JP 11086582A JP 8658299 A JP8658299 A JP 8658299A JP 2000277302 A JP2000277302 A JP 2000277302A
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element unit
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resistor
bonding
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JP11086582A
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English (en)
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Hironori Suzuki
洋典 鈴木
Yoshiyasu Ito
義康 伊藤
Takahiko Shindou
尊彦 新藤
Hideyasu Ando
秀泰 安藤
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電力用機能性セラミックス機器の小型化を可
能としたセラミック素子ユニット及びその製造方法を提
供する。 【解決手段】 主成分であるAl2 3 に、炭素及び粘
土を所定量秤量して原料とし、この原料を有機バインダ
ーとともに混合し、この混合物をスプレードライヤーで
所定の粒径に噴霧造粒する。この造粒粉を金型に入れて
加圧し、所定の形状に成形し、空気中において所定温度
で焼成して焼結体1を得る。この焼結体1の側面に絶縁
物を塗布した後、焼成して高抵抗層を形成し、抵抗体5
を得る。抵抗体5の両端面に、銀ペーストを用いて電極
皮膜2を形成し、さらに、接合材3として同様の銀ペー
ストを電極皮膜2の上に塗布し、この抵抗体5を所定個
数重ねて積層体を形成し、さらにこの積層体の両端面に
銀ペーストを塗布して、所定形状の電極端子4を重ね
る。この積層体を電気炉の中に入れて銀ペーストを固化
し、抵抗体セラミック素子ユニット6を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電力用機能性セラ
ミックスに係り、特に、Al2 3 を主成分とする抵抗
体、TiO2 、SrTiO3 を主成分とするコンデン
サ、及びZnOを主成分とする非直線抵抗体等の機能性
セラミックスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、電力系統機器には、Al2 3
を主成分とする抵抗体、TiO2 、SrTiO3 を主成
分とするコンデンサ、及びZnOを主成分とする非直線
抵抗体など、機能性セラミックスが用いられている。こ
れらの機能性セラミックスの製造方法は、概略以下の通
りである。例えば、Al2 3 を主成分とする抵抗体で
は、主成分であるAl2 3 と炭素などの原料を、水及
び有機バインダーとともに十分混合した後、スプレード
ライヤーなどで造粒し、成形及び焼結する。その後、沿
面閃絡を防止するため、焼結体の側面に高抵抗物質を塗
布し、再焼成して高抵抗層を形成する。そして、必要に
応じて、焼結体の両端面を研磨し、電極皮膜を取付ける
ことにより、抵抗体が製造される。また、TiO2 、S
rTiO3 を主成分とするコンデンサや、ZnOを主成
分とする非直線抵抗体の製造方法も、上記の製造方法と
概略同様であり、原料粉を混合し、乾燥して造粒した
後、成形、焼成し、必要形状に加工して、電極を形成
し、電力用セラミックスとする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これらの機
能性セラミックスの設置方法は、セラミック素子単体、
または複数のセラミック素子を積層し、これに絶縁物を
介して電極端子を圧接し、この電極端子を電気的に接続
することにより行っている。しかしながら、近年、電力
系統では、送電コストを低減するために機器構造の小型
化が進められており、従来から用いられている絶縁物を
介して電極端子を圧接する構造では、この小型化の要求
に十分応えることができなかった。
【0004】本発明は、上述したような従来技術の問題
点を解消するために提案されたもので、その目的は、電
力用機能性セラミックス機器の小型化を可能としたセラ
ミック素子ユニット及びその製造方法を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
ような従来技術の問題点に鑑み、電力用機能性セラミッ
クス機器の小型化を実現するためには、セラミック素子
単体、またはセラミック素子を積層して接合した接合体
に、電極端子を取り付けたセラミック素子ユニットとす
ることが有効であると考え、本発明を完成するに至った
ものである。
【0006】すなわち、請求項1に記載のセラミック素
子ユニットは、原料を成形、焼結して機能性を示す焼結
体とし、前記焼結体の両側面に電極皮膜層を形成した機
能性セラミック素子を、1個または複数個積層、接合
し、その両端面に電極端子を接合して成ることを特徴と
する。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
のセラミック素子ユニットにおいて、機能性セラミック
素子間の接合、または機能性セラミックと電極端子との
接合に、銀ペーストを用いたことを特徴とする。請求項
3に記載の発明は、請求項2に記載のセラミック素子ユ
ニットにおいて、銀ペーストは、銀粉末とガラスフリッ
トからなり、銀粉末とガラスフリットとの重量割合が、
95/5<銀粉末/ガラスフリット<50/50である
ことを特徴とする。
【0008】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
のセラミック素子ユニットにおいて、機能性セラミック
素子間の接合、または機能性セラミックと電極端子との
接合に、低融点金属を用いたことを特徴とする。請求項
5に記載の発明は、請求項4に記載のセラミック素子ユ
ニットにおいて、低融点金属は、少なくともSn、Ag
を含み、Pbを含まないことを特徴とする。請求項6に
記載の発明は、請求項4または請求項5に記載のセラミ
ック素子ユニットにおいて、低融点金属は、少なくとも
Sn、Agを含み、これに加えてZn、Cu、またはT
iを少なくとも一つ含み、Snを70〜99.8%、A
gを0.2〜10%、Znを0〜10%、Cuを0〜1
0%、Tiを0〜10%含むことを特徴とする。
【0009】請求項7に記載の発明は、請求項4乃至請
求項6のいずれか一に記載のセラミック素子ユニットに
おいて、低融点金属は、厚さ0.01〜1.0mmの金
属箔であることを特徴とする。請求項8に記載の発明
は、請求項4乃至請求項6のいずれか一に記載のセラミ
ック素子ユニットにおいて、低融点金属は、ペースト状
であり、素子間または素子と電極端子間に、厚さ0.0
1〜1.0mmで塗布した後、加熱し、接合したことを
特徴とする。
【0010】請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請
求項8のいずれか一に記載のセラミック素子ユニットに
おいて、焼結体に形成する電極皮膜は、銀ペースト、A
l、Al合金、CuまたはCu合金のいずれかによって
構成されていることを特徴とする。請求項10に記載の
発明は、請求項4乃至請求項9のいずれか一に記載のセ
ラミック素子ユニットにおいて、焼結体に形成する電極
皮膜は、複数の層からなり、焼結体との接合面側には、
AlまたはAl合金からなる第1の電極皮膜を形成し、
低融点金属との接合面側には、CuまたはCu合金から
なる第2の電極皮膜を形成したことを特徴とする。
【0011】請求項11に記載の発明は、請求項1乃至
請求項10のいずれか一に記載のセラミック素子ユニッ
トにおいて、電極皮膜の厚さは、200μm以下である
ことを特徴とする。請求項12に記載の発明は、請求項
4乃至請求項11のいずれか一に記載のセラミック素子
ユニットにおいて、低融点金属からなる層の厚さは、2
00μm以下であることを特徴とする。
【0012】請求項13に記載の発明は、請求項1乃至
請求項12のいずれか一に記載のセラミック素子ユニッ
トにおいて、前記電極皮膜の気孔率は、15%以下であ
ることを特徴とする。請求項14に記載の発明は、請求
項4乃至請求項13のいずれか一に記載のセラミック素
子ユニットにおいて、低融点金属からなる層の気孔率
は、15%以下であることを特徴とする。
【0013】請求項15に記載の発明は、請求項4乃至
請求項13のいずれか一に記載のセラミック素子ユニッ
トにおいて、前記電極皮膜に含まれる酸化物量は、13
%以下であることを特徴とする。請求項16に記載の発
明は、請求項4乃至請求項15のいずれか一に記載のセ
ラミック素子ユニットにおいて、低融点金属からなる層
に含まれる酸化物の量は、13%以下であることを特徴
とする。請求項17に記載の発明は、請求項1乃至請求
項16のいずれか一に記載のセラミック素子ユニットに
おいて、機能性セラミック素子は、Al2 3 、TiO
2 、SrTiO3 、またはZnOを主成分とすることを
特徴とする。
【0014】上記のような構成を有する請求項1乃至請
求項17に記載のセラミック素子ユニットによれば、セ
ラミック素子と電極端子を強固に接合し、ユニット化す
ることができるため、従来用いられていた絶縁構造部材
が不要となるため、電力機器を小型化することができ
る。
【0015】請求項18に記載のセラミック素子ユニッ
トの製造方法は、原料を成形、焼結して機能性を示す焼
結体とし、前記焼結体の両側面に電極皮膜層を形成して
機能性セラミック素子を形成し、この機能性セラミック
素子を、接合材を介して、1個または複数個、積層、接
合し、その両端面に電極端子を接合すること特徴とす
る。
【0016】請求項19に記載の発明は、請求項18に
記載のセラミック素子ユニットの製造方法において、機
能性セラミック素子間の接合、または機能性セラミック
素子と電極端子との接合処理における加熱温度を、33
0℃以下とすることを特徴とする。
【0017】請求項20に記載の発明は、請求項18ま
たは請求項19に記載のセラミック素子ユニットの製造
方法において、機能性セラミック素子間の接合、または
機能性セラミック素子と電極端子との接合は、誘導加
熱、または集光加熱により行うことを特徴とする。
【0018】上記のような構成を有する請求項18乃至
請求項20のセラミック素子ユニットの製造方法によれ
ば、セラミック素子同士、また、セラミック素子と電極
端子を強固に接合し、ユニット化することができ、従来
必要であった絶縁構造部材が不要となるため、電力機器
を小型化することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以
下、実施形態という)について、図面を参照して具体的
に説明する。
【0020】[1.第1実施形態]本実施形態は、機能
性セラミックスとしてAl2 3 を主成分としたセラミ
ック抵抗体に本発明を適用したものである。すなわち、
主成分であるAl2 3 に、副成分である炭素及び粘土
を所定量秤量して原料とする。次いで、この原料を水及
び分散剤などの有機バインダーとともに混合装置に入れ
て混合し、この混合物を、例えばスプレードライヤーで
所定の粒径、例えば100μmに噴霧造粒する。そし
て、この造粒粉を金型に入れ加圧し、円板等の所定の形
状に成形することにより成形体とする。さらに、このよ
うして得られた成形体を、空気中で例えば500℃で焼
成することにより、添加した有機バインダー類を除去
し、さらに空気中1250℃で2時間焼成することによ
り、図1に示したような焼結体(セラミック素子)1を
得ることができる。
【0021】続いて、前記焼結体1の側面に、焼成する
と高抵抗となる絶縁物を塗布した後、焼成して、高抵抗
層を形成する。その後、焼結体1の両端面を研磨し、抵
抗体5を得ることができる。この抵抗体5の両端面に、
予め所定の配合で調製しておいた銀ペーストを用いて電
極皮膜2を形成し、さらに、抵抗体同士を接合する接合
材3として、同様の銀ペーストを前記電極皮膜2の上に
塗布し、この抵抗体5を所定個数、例えば3個重ねて積
層体を形成し、さらにこの積層体の両端面に、積層体と
電極端子を接合する接合材3として銀ペーストを塗布し
て、所定形状の電極端子4を重ねる。そして、この積層
体を330℃に加熱した電気炉の中に入れ、例えば30
分保持する。なお、この時、荷重を加えることが好まし
い。このようにして、銀ペーストを固化することによ
り、図1に示すような、抵抗体セラミック素子ユニット
6を得ることができる。
【0022】なお、本実施形態においては、接合材とし
て用いる銀ペーストを構成する銀粉とガラスフリットの
最適な配合比を得るために、両者の配合を変えて抵抗体
セラミック素子ユニットを作製した。すなわち、銀粉と
ガラスフリットとの配合比を、銀粉99対ガラスフリッ
ト1から銀粉40対ガラスフリット60まで変えて混合
して銀ペーストを調製し、上記の方法にしたがって抵抗
体セラミック素子ユニットを作製した。
【0023】以上のようにして得られた抵抗体セラミッ
ク素子ユニットの電気特性を調べたところ、抵抗体を従
来通り3個積層し、絶縁物を介して設置した場合と同じ
特性が得られることを確認した。次に、抵抗体セラミッ
ク素子ユニットの接合強度を調べるために、銀粉とガラ
スフリットの配合比の異なる銀ペーストを用いて作製し
た抵抗体セラミック素子ユニットのそれぞれについて、
引張り試験を行った。具体的には、電極に設けたタップ
に治具を取り付け、引張り強度を測定した。図2はその
結果を示したものである。なお、図2においては、横軸
に配合比、縦軸に接合強度を示し、配合比は重量比で示
した。
【0024】図2から明らかなように、銀粉とガラスフ
リットとの配合比を、銀粉95対ガラスフリット5から
銀粉50対50とした場合に、引張り強度が0.5MP
a以上と高く、良好な結果が得られた。
【0025】このように、本実施形態の製造方法によれ
ば、機能性セラミックスを確実に接合することができ、
変電機器のコンパクト化に貢献できるセラミック素子ユ
ニットを提供することができる。
【0026】[2.第2実施形態]本実施形態は、接合
材として低融点金属を用いたものである。すなわち、本
実施形態においても、上記第1実施形態と同様の方法に
より、Al2 3 を主成分とする焼結体を得る。さら
に、両研磨面にシンチュウを溶射することにより電極皮
膜を形成し、抵抗体を得る。そして、この抵抗体の両端
面に、接合材として予め調製しておいた低融点金属をは
さみ、この抵抗体を所定個数、例えば3個重ねて積層体
を形成し、さらにこの積層体の両端面に同様に低融点金
属を挟んで、所定形状の電極端子を重ねる。この積層体
を330℃に加熱した電気炉の中に入れ、例えば30分
保持する。この時、荷重を加えることが好ましい。この
ようにして、低融点金属を溶融させた後、冷却して、抵
抗体を接合することにより、抵抗体セラミック素子ユニ
ットを得ることができる。
【0027】なお、本実施形態においては、接合材とし
て用いる低融点金属の最適な成分を得るために、Sn、
Ag、Zn、Cu及びTiから選んだ低融点金属を、表
1に示した割合で調製した。また、Sn及びAgのみか
ら構成した低融点金属を用いた抵抗体セラミック素子ユ
ニットを“Aグループ”、Sn、Ag及びTiから構成
した低融点金属を用いた抵抗体セラミック素子ユニット
を“Bグループ”、Sn、Ag及びZnから構成した低
融点金属を用いた抵抗体セラミック素子ユニットを“C
グループ”、Sn、Ag及びCuから構成した低融点金
属を用いた抵抗体セラミック素子ユニットを“Dグルー
プ”、Sn、Ag、Ti、Zn及びCuから構成した低
融点金属を用いた抵抗体セラミック素子ユニットを“E
グループ”とした。さらに、比較のために、一般的な低
融点金属であるSn60%−Pb40%からなる低融点
金属を用いて、同様の方法で抵抗体セラミック素子ユニ
ットを作製し、比較例とした。
【0028】以上のようにして得られた抵抗体セラミッ
ク素子ユニットの電気特性を調べたところ、抵抗体を従
来通り3個積層し、絶縁物で保持した場合と同じ特性が
得られることを確認した。次に、抵抗体セラミック素子
ユニットの接合強度の測定と安定性試験を行った。な
お、引張り試験は、上記第1実施形態と同様の条件で行
った。また、安定性試験については、25kAのインパ
ルス電流を100回繰り返し通電し、その後の接合強度
を評価した。以上の試験結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】表1から明らかなように、低融点金属をS
n及びAgのみから構成した“Aグループ”において
は、Agが0.1%の場合(試料1)又は20%の場合
(試料8)、接合強度はそれぞれ“0.22”、“0.
25”となり、また、安定性はそれぞれ“0.12”、
“0.20”となり、好ましいものではなかった。一
方、Agが0.2〜10%の場合(試料2〜7)、接合
強度は“0.52〜0.65”、安定性は“0.50〜
0.60”となり、優れた強度特性及び安定性が得られ
ることが分かった。
【0031】また、低融点金属をSn、Ag及びTiか
ら構成し、Agを5.0%添加した“Bグループ”にお
いては、Tiが20%の場合(試料16)、接合強度は
“0.30”、安定性は“0.28”となり、好ましい
ものではなかった。一方、Tiが0.1〜10%の場合
(試料9〜15)、接合強度は“0.55〜0.6
1”、安定性は“0.53〜0.60”と良好な結果が
得られた。
【0032】次に、低融点金属をSn、Ag及びZnか
ら構成し、Agを5.0%添加した“Cグループ”にお
いて、Znが20%の場合(試料24)、接合強度は
“0.28”、安定性は“0.22”となり、好ましい
ものではなかった。一方、Znが0.1〜10%の場合
(試料17〜23)、接合強度は“0.53〜0.6
2”、安定性は“0.51〜0.58”と良好な結果が
得られた。
【0033】次に、低融点金属をSn、Ag及びCuか
ら構成し、Agを5.0%添加した“Dグループ”にお
いて、Cuが20%の場合(試料32)、接合強度は
“0.24”、安定性は“0.22”となり、好ましい
ものではなかった。一方、Cuが0.1〜10%の場合
(試料25〜31)、接合強度は“0.52〜0.5
8”、安定性は“0.51〜0.55”と良好な結果が
得られた。
【0034】次に、低融点金属をSn、Ag、Ti、Z
n及びCuから構成した“Eグループ”において、A
g、Ti、Zn及びCuをそれぞれ2.5〜7.5%同
量添加した場合(試料33〜35)、接合強度は“0.
54〜0.55”、安定性は“0.51〜0.52”と
なり、良好な結果が得られた。一方、Ag、Ti、Zn
及びCuをそれぞれ10.0%ずつ同量添加した場合
(試料36)、接合強度は“0.40”、安定性は
“0.38”となり、接合強度及び安定性は若干低くな
った。
【0035】これに対し、一般的な低融点金属であるS
n60%−Pb40%からなる低融点金属を用いて、同
様の方法で抵抗体セラミック素子ユニットを作製した比
較例(試料37)においては、接合強度は“0.3
9”、安定性は“0.18”と低い値を示した。
【0036】以上の結果より、Agを0.2から10%
含み、残部をSnとし、Pbを含まない低融点金属を用
いた抵抗体セラミック素子ユニットでは、接合強度が
0.5MPaと強度特性に優れ、安定性にも優れてい
た。また、SnとAgに加えて、Zn、Cu、またはT
iを少なくとも一つ含み、その添加量がそれぞれ10%
以下である低融点金属を用いた抵抗体セラミック素子ユ
ニットも、強度特性に優れ、さらに安定性にも優れてい
た。このことから、少なくともSn、Agを含み、これ
に加えてZn、Cu、またはTiを少なくとも一つ含
み、Pbを含まず、Snを70〜99.8%、Agを
0.2〜10%、Znを0〜10%、Cuを0〜10
%、Tiを0〜10%添加することにより、強度特性及
び安定性に優れたセラミック素子ユニットを提供するこ
とができることが判明した。
【0037】続いて、本実施形態において良好な結果が
得られた低融点金属、すなわち、表1に示した試料2〜
7、9〜15、17〜23、25〜31、33〜35の
それぞれを用いて、以下に示す各条件について検討し
た。
【0038】[2−1.低融点金属箔の厚さ]続いて、
接合材として用いる低融点金属箔の厚さの最適値につい
て検討した。すなわち、上記第2実施形態と同様の方法
により、Al2 3 を主成分とする抵抗体を得る。そし
て、この抵抗体の両端面に、接合材として予め調製して
おいた低融点金属箔をその厚さを変えて挟み、この抵抗
体を所定個数、例えば3個重ねて積層体を形成し、さら
にこの積層体の両端面に同様に低融点金属箔を挟んで、
所定形状の電極端子を重ね、抵抗体セラミック素子ユニ
ットを製造した。
【0039】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。図3はその結果を示したものであ
る。なお、図3においては、横軸に低融点金属箔の厚
さ、縦軸に接合強度を示した。図3から明らかなよう
に、低融点金属箔の厚さの範囲が0.01〜1.0mm
のとき、接合強度は、0.5MPa以上となることが分
かった。この範囲以外で良好な特性が得られない理由
は、以下の通りであると考えられる。すなわち、低融点
金属箔の厚さが0.01mm未満のときは、低融点金属
の量が少なく、接合面を覆うことができなかったため、
十分な強度を得ることができないと考えられる。また、
低融点金属箔の厚さが1.0mmを超えた場合には、接
合強度が低融点金属そのものの強度となるためと考えら
れる。以上のように、強度特性に優れたセラミック素子
ユニットを得るためには、低融点金属箔の厚さを、0.
01〜1.0mmの範囲とすることが望ましいことが判
明した。
【0040】[2−2.低融点金属ペーストの厚さ]続
いて、接合材として用いる低融点金属ペーストの厚さの
最適値について検討した。すなわち、上記第2実施形態
と同様の方法により、Al2 3 を主成分とする抵抗体
を得る。そして、この抵抗体の両端面に、接合材として
予め調製しておいた低融点金属をペースト状にして、そ
の厚さを変えて塗布した後、この抵抗体を所定個数、例
えば3個重ねて積層体を形成し、さらにこの積層体の両
端面に同様に低融点金属ペーストを塗布して、所定形状
の電極端子を重ね、抵抗体セラミック素子ユニットを製
造した。
【0041】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。図4はその結果を示したものであ
る。なお、図4においては、横軸に塗布した低融点金属
ペーストの厚さ、縦軸に接合強度を示した。図4から明
らかなように、低融点金属ペーストの厚さの範囲が0.
01〜1.0mmのとき、接合強度は約0.58MPa
となることが分かった。以上のように、強度特性に優れ
たセラミック素子ユニットを得るためには、低融点金属
ペーストの厚さを、0.01〜1.0mmの範囲とする
ことが望ましいことが判明した。
【0042】[2−3.電極皮膜の成分]続いて、電極
皮膜の成分について検討した。すなわち、上記第2実施
形態と同様の方法により、Al2 3 を主成分とする焼
結体を得る。そして、焼結体の両研磨面に、表2に示し
たように、銀ペースト、Al、Al合金、Cu、Cu合
金、シンチュウを溶射することにより電極皮膜を形成
し、抵抗体を得る。そして、この抵抗体の両端面に、接
合材として銀ペーストあるいは低融点金属を配し、この
抵抗体を所定個数、例えば3個重ねて積層体を形成し、
さらにこの積層体の両端面に所定形状の電極端子を重
ね、抵抗体セラミック素子ユニットを製造した。
【0043】なお、本例においては、表2に示したよう
に、抵抗体の接合方法として、各電極皮膜に対してそれ
ぞれ銀ペースト接合法あるいは低融点金属接合法を用い
た。また、銀ペーストとしては、上記第1実施形態にお
いて良好な結果が得られた銀ペースト、すなわち、銀粉
末とガラスフリットとの重量割合が、95/5<銀粉末
/ガラスフリット<50/50の範囲内にある種々の銀
ペーストを用いた。
【0044】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。表2はその結果を示したものであ
る。
【表2】
【0045】表2から明らかなように、電極皮膜を銀ペ
ースト、Al、Al合金、Cu、またはCu合金、シン
チュウのいずれを用いて形成した場合でも、接合強度は
0.5MPa以上となり、優れた接合強度が得られた。
特に、電極皮膜としてシンチュウを用い、低融点金属接
合法を用いた場合に、接合強度は0.70MPaとな
り、特に優れた接合強度が得られた。以上のように、強
度特性に優れたセラミック素子ユニットを得るために
は、電極皮膜を銀ペースト、Al、Al合金、Cu、ま
たはCu合金のいずれかを用いて形成することが望まし
いことが判明した。
【0046】[2−4.電極皮膜の層数]続いて、電極
皮膜の層数について検討した。すなわち、上記第2実施
形態と同様の方法により、Al2 3 を主成分とする焼
結体を得る。そして、焼結体の両研磨面に、アルミニウ
ム(AA1050)又はアルミニウム合金(AA201
1)を用いて、溶射により第1の電極皮膜を形成し、次
に、銅(JIS C1020)、銅合金(JIS C5
212)又はシンチュウ(JIS C2680)を用い
て、同様に溶射により第2の電極皮膜を形成する。この
ようにして得られたセラミック抵抗体を用いて、第2実
施形態と同様にして抵抗体セラミック素子ユニットを製
造した。なお、第1の電極皮膜と第2の電極皮膜の組合
せは、表3の通りである。
【0047】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。表3はその結果を示したものであ
る。
【表3】
【0048】表3から明らかなように、試料1〜6のい
ずれにおいても、接合強度は0.68MPa以上とな
り、良好な結果が得られた。以上のように、強度特性に
優れたセラミック素子ユニットを得るためには、焼結体
との接合面には、アルミニウム又はアルミニウム合金か
らなる電極皮膜を形成し、電極端子との接合面側には、
銅又は銅合金からなる電極皮膜を形成することが望まし
いことが判明した。なお、本発明者等は、電極皮膜とし
て表3に示した以外のアルミニウム、アルミニウム合
金、銅、銅合金を用いても同様の効果が得られることを
確認している。
【0049】[2−5.電極皮膜の厚さ]続いて、電極
皮膜の厚さについて検討した。すなわち、上記第2実施
形態と同様の方法により、Al2 3 を主成分とする焼
結体を得る。そして、焼結体の両研磨面に形成する電極
皮膜の厚さを変えて抵抗体を作製した。具体的には、シ
ンチュウの溶射時間を変え、電極皮膜の厚さを調整し
た。このようにして得られた抵抗体を用いて、第2実施
形態と同様に抵抗体を積層し、セラミック素子ユニット
を製造した。
【0050】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。図5はその結果を示したものであ
る。なお、図5においては、横軸に電極皮膜の厚さ、縦
軸に接合強度を示した。図5から明らかなように、電極
皮膜の厚さが200μm以下のとき、接合強度は約0.
5MPa以上となることが分かった。以上のように、強
度特性に優れたセラミック素子ユニットを得るために
は、電極皮膜の厚さを200μm以下とすることが望ま
しいことが判明した。
【0051】[2−6.低融点金属層の厚さ]続いて、
低融点金属層の厚さについて検討した。すなわち、上記
第2実施形態と同様の方法により、Al2 3 を主成分
とする抵抗体を得た後、低融点金属層の厚さを変え、抵
抗体セラミック素子ユニットを作製した。具体的には、
低融点金属箔の厚さと加熱時の荷重を調整し、低融点金
属層の厚さを調整した。
【0052】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。図6はその結果を示したものであ
る。なお、図6においては、横軸に低融点金属層の厚
さ、縦軸に接合強度を示した。図6から明らかなよう
に、低融点金属層の厚さが200μm以下のとき、接合
強度は0.5MPa以上となることが分かった。以上の
ように、強度特性に優れたセラミック素子ユニットを得
るためには、低融点金属層の厚さを200μm以下とす
ることが望ましいことが判明した。
【0053】[2−7.電極皮膜の気孔率]続いて、電
極皮膜の気孔率について検討した。すなわち、上記第2
実施形態と同様の方法により、Al2 3 を主成分とす
る焼結体を得た後、電極皮膜の気孔率を変えて抵抗体を
作製した。具体的には、シンチュウ溶射の出力を変え、
電極皮膜の気孔率を調整した。確認のため、できた電極
皮膜について微細構造を調査し、気孔率を確認した。こ
のようにして得られた抵抗体を用いて、第2実施形態と
同様の方法で、抵抗体セラミック素子ユニットを作製し
た。
【0054】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。図7はその結果を示したものであ
る。なお、図7においては、横軸に電極皮膜の気孔率、
縦軸に接合強度を示した。図7から明らかなように、電
極皮膜の気孔率が15%以下のとき、接合強度は0.5
MPa以上となることが分かった。以上のように、強度
特性に優れたセラミック素子ユニットを得るためには、
電極皮膜の気孔率を15%以下とすることが望ましいこ
とが判明した。
【0055】[2−8.低融点金属層の気孔率]続い
て、低融点金属層の気孔率について検討した。すなわ
ち、上記第2実施形態と同様の方法により、Al2 3
を主成分とする抵抗体を得た後、低融点金属層の気孔率
を変えて、抵抗体セラミック素子ユニットを作製した。
具体的には、低融点金属の量と荷重を調整し、低融点金
属層の気孔率を調整した。確認のため、できた低融点金
属層について微細構造を調査し、気孔率を確認した。こ
のようにして得られた抵抗体を用いて、第2実施形態と
同様の方法で、抵抗体セラミック素子ユニットを作製し
た。
【0056】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。図8はその結果を示したものであ
る。なお、図8においては、横軸に低融点金属層の気孔
率、縦軸に接合強度を示した。図8から明らかなよう
に、低融点金属層の気孔率が15%以下のとき、接合強
度は0.5MPa以上となることが分かった。以上のよ
うに、強度特性に優れたセラミック素子ユニットを得る
ためには、低融点金属層の気孔率を15%以下とするこ
とが望ましいことが判明した。
【0057】[2−9.電極皮膜に含まれる酸化物量]
続いて、電極皮膜に含まれる酸化物量について検討し
た。すなわち、上記第2実施形態と同様の方法により、
Al2 3 を主成分とする焼結体を得た後、金属電極皮
膜に含まれる酸化物量を変えて抵抗体を作製した。具体
的には、シンチュウ溶射の出力と雰囲気を変え、電極皮
膜に含まれる酸化物量を調整した。確認のため、できた
電極皮膜を分析し、酸化物量を確認した。このようにし
て得られた抵抗体を用いて、第2実施形態と同様の方法
で、抵抗体セラミック素子ユニットを作製した。
【0058】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。図9はその結果を示したものであ
る。なお、図9においては、横軸に電極皮膜中に含まれ
る酸化物量、縦軸に接合強度を示した。図9から明らか
なように、電極皮膜中に含まれる酸化物量が13%以下
のとき、接合強度は0.5MPa以上となることが分か
った。以上のように、強度特性に優れたセラミック素子
ユニットを得るためには、電極皮膜中に含まれる酸化物
量を13%以下とすることが望ましいことが判明した。
【0059】[2−10.低融点金属層に含まれる酸化
物量]続いて、低融点金属層に含まれる酸化物量につい
て検討した。すなわち、上記第2実施形態と同様の方法
により、Al2 3 を主成分とする抵抗体を得た後、低
融点金属層に含まれる酸化物量を変えて、抵抗体セラミ
ック素子ユニットを作製した。具体的には、低融点金属
の量と加熱温度を調整し、低融点金属層に含まれる酸化
物量を調整した。確認のため、できた低融点金属層につ
いて分析し、酸化物量を確認した。このようにして得ら
れた抵抗体を用いて、第2実施形態と同様の方法で、抵
抗体セラミック素子ユニットを作製した。
【0060】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。図10はその結果を示したものであ
る。なお、図10においては、横軸に低融点金属層中に
含まれる酸化物量、縦軸に接合強度を示した。図10か
ら明らかなように、低融点金属層中に含まれる酸化物量
が13%以下のとき、接合強度は0.5MPa以上とな
ることが分かった。以上のように、強度特性に優れたセ
ラミック素子ユニットを得るためには、低融点金属層中
に含まれる酸化物量を13%以下とすることが望ましい
ことが判明した。
【0061】[2−11.電極端子の材質]続いて、電
極端子の材質について検討した。すなわち、上記第2実
施形態と同様の方法により、Al2 3 を主成分とする
抵抗体を得た後、電極端子の材質を変えて、抵抗体セラ
ミック素子ユニットを作製した。この電極端子の材質
は、表4に示したように、アルミニウム、アルミニウム
合金、銅、または銅合金とした。
【0062】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。表4はその結果を示したものであ
る。
【表4】
【0063】表4から明らかなように、アルミニウム、
アルミニウム合金、銅、または銅合金を用いた電極端子
を接合したとき、接合強度は0.5MPa以上となり、
接合強度が高く、優れたセラミック素子ユニットを提供
できることが判明した。また、本発明者等は、表4に示
した以外のアルミニウム、アルミニウム合金、銅、また
は銅合金でも同様の効果を得ることができることを確認
している。
【0064】[2−12.電極端子のメッキ処理]続い
て、電極端子のメッキ処理について検討した。すなわ
ち、上記第2実施形態と同様の方法により、Al2 3
を主成分とする抵抗体を得た後、電極端子にメッキ処理
を行い、抵抗体セラミック素子ユニットを作製した。す
なわち、銅合金(JIS C5212)から成る電極端
子に、Ni、Sn、またはZnメッキを行った後、抵抗
体セラミック素子ユニットを作製した。
【0065】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。表5はその結果を示したものであ
る。
【表5】
【0066】表5から明らかなように、銅合金から成る
電極端子にNi、Sn、またはZnメッキを行うことに
より、接合強度はいずれも0.6MPa以上となり、目
標値である0.5MPaに対して20%以上向上してい
ることが判明した。このことから、銅合金から成る電極
端子にメッキ処理を施すことにより、接合強度が高く、
優れたセラミック素子ユニットを提供することができる
ことが判明した。なお、本発明者等は、表5に示した銅
合金だけでなく、アルミニウム、アルミニウム合金、銅
または銅合金でも同様の効果を得ることができることを
確認している。
【0067】[2−13.電極端子の接合面の面積とセ
ラミックス素子の接合面の面積との比率]続いて、電極
端子の接合面の面積とセラミックス素子の接合面の面積
との比率について検討した。すなわち、上記第2実施形
態と同様の方法により、Al2 3 を主成分とする抵抗
体を得た後、電極端子面積の抵抗体面に対する割合を変
えて、抵抗体セラミック素子ユニットを作製した。すな
わち、電極端子の接合面積を変え、抵抗体セラミック素
子ユニットを作製した。
【0068】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。図11はその結果を示したものであ
る。なお、図11においては、横軸に電極端子の接合面
の面積がセラミック素子に占める割合、縦軸に接合強度
を示した。図11から明らかなように、電極端子の接合
面積を抵抗体の接合面の面積の20%〜90%とするこ
とにより、接合強度は0.5MPa以上となり、接合強
度が高く、優れたセラミック素子ユニットを提供するこ
とができることが判明した。以上のように、強度特性に
優れたセラミック素子ユニットを得るためには、電極端
子の接合面積を抵抗体の接合面の面積の20%〜90%
とすることが望ましいことが判明した。
【0069】[2−14.電極端子の接合面周囲の加
工]続いて、電極端子の接合面周囲の加工について検討
した。すなわち、上記第2実施形態と同様の方法によ
り、Al2 3 を主成分とする抵抗体を得た後、電極端
子の接合面周囲をC加工したもの、またはR加工したも
のを用いて、抵抗体セラミック素子ユニットを作製し
た。
【0070】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。表6はその結果を示したものであ
る。
【表6】
【0071】表6から明らかなように、電極端子の接合
面周囲をC加工、またはR加工したことにより、接合強
度は0.5MPa以上となり、接合強度が高く、優れた
セラミック素子ユニットを提供することができることが
判明した。
【0072】[2−15.電極端子の接合部の最小の厚
さ]続いて、電極端子の接合部の最小の厚さについて検
討した。すなわち、上記第2実施形態と同様の方法によ
り、Al2 3 を主成分とする抵抗体を得た後、電極端
子の接合部分の厚さを変えて、抵抗体セラミック素子ユ
ニットを作製した。具体的には、取り付け部分のネジ穴
部分を除いた部分の厚さを変え、抵抗体セラミック素子
ユニットを作製した。
【0073】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。図12はその結果を示したものであ
る。なお、図12においては、横軸に電極端子の接合部
分の最小の厚さ、縦軸に接合強度を示した。図12から
明らかなように、電極端子の接合部分の最小の厚さを2
mm以上とすることにより、接合強度は0.5MPa以
上となり、接合強度が高く、優れたセラミック素子ユニ
ットを提供することができることが判明した。以上のよ
うに、強度特性に優れたセラミック素子ユニットを得る
ためには、電極端子の接合部分の最小の厚さを2mm以
上とすることが望ましいことが判明した。
【0074】[2−16.接合処理における加熱温度]
続いて、接合処理における加熱温度について検討した。
すなわち、上記第2実施形態と同様の方法により、Al
2 3 を主成分とする抵抗体を得た後、低融点金属を用
いて電極端子を積み重ねた後、加熱温度を変えて、抵抗
体セラミック素子ユニットを作製した。
【0075】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。図13はその結果を示したものであ
る。なお、図13においては、横軸に接合時の熱処理温
度、縦軸に通電試験後の接合強度を示した。図13から
明らかなように、接合温度を350℃以下とすることに
より、接合強度は0.5MPa以上となり、接合強度が
高く、優れたセラミック素子ユニットを提供することが
できることが判明した。以上のように、強度特性に優れ
たセラミック素子ユニットを得るためには、接合処理に
おける加熱温度を350℃以下とすることが望ましいこ
とが判明した。
【0076】[2−17.加熱方法]続いて、接合処理
における加熱方法について検討した。すなわち、上記第
2実施形態と同様の方法により、Al2 3 を主成分と
する抵抗体を得た後、低融点金属を用いて電極端子を積
み重ねた後、加熱方法を変えて、抵抗体セラミック素子
ユニットを作製した。具体的には、誘導加熱法を用い、
電極端子周囲にコイルを配し、高周波電流を流すことに
よって電極端子を加熱し、熱伝導で抵抗体と電極端子を
接合することにより、抵抗体セラミック素子ユニットを
作製した。また、集光加熱法を用いて抵抗体セラミック
素子ユニットを作製した。具体的には、抵抗体と電極端
子とを積み重ねた後、ハロゲンランプを用いて電極端子
を加熱し、熱伝導で抵抗体と電極端子を接合することに
より、抵抗体セラミック素子ユニットを作製した。
【0077】以上のようにして製造した抵抗体セラミッ
ク素子ユニットについて、第2実施形態と同様にして接
合強度を調査した。表7はその結果を示したものであ
る。
【表7】
【0078】表7から明らかなように、誘導加熱法、ま
たは集光加熱法を用いて接合したセラミック素子ユニッ
トでは、接合強度は共に0.60MPaとなり、接合強
度が高く、優れたセラミック素子ユニットを提供するこ
とができることが判明した。
【0079】[3.他の実施形態]本発明は上述した実
施形態に限定されるものではなく、以下のような変形例
が考えられる。すなわち、本発明を適用することができ
る機能性セラミックスについて検討したところ、上記実
施形態に示したAl2 3 を主成分とする抵抗体だけで
なく、TiO2 を主成分とするコンデンサ、SrTiO
3 を主成分とするコンデンサ、または、ZnOを主成分
とする抵抗体等、コンデンサや非直線抵抗体にも適用可
能であることを確認した。
【0080】また、上記の実施形態と同様にして作製し
たセラミック素子ユニットについて、エポキシ、または
ゴムを用いて絶縁被覆を行った。これらのセラミック素
子ユニットの接合強度を調査したところ、この絶縁被覆
は、強度特性を劣化させることはなく、同等の特性を得
ることができることが分かった。さらに、上記の実施形
態では、積層したセラミック素子の個数は3個であった
が、1個または複数個でも同様の効果を得ることができ
た。
【0081】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
原料を成形、焼結して機能性を示す焼結体とし、この焼
結体の両側面に電極皮膜層を形成した機能性セラミック
素子を1個または複数個積層、接合し、その両端面に電
極端子を接合することにより、保持構造を省略すること
ができ、コンパクトで低コストのセラミック素子ユニッ
トを提供することができ、このようなセラミック素子ユ
ニットを変電機器に組込むことで、機器のコンパクト化
に貢献することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る抵抗体セラミック
素子ユニットの構成を示す断面図
【図2】本発明の第1実施形態に係る抵抗体セラミック
素子ユニットにおいて、銀ペーストを構成する銀粉とガ
ラスフリットの配合比と接合強度の関係を示すグラフ
【図3】本発明の第2実施形態に係る抵抗体セラミック
素子ユニットにおいて、低融点金属箔の厚さと接合強度
の関係を示すグラフ
【図4】本発明の第2実施形態に係る抵抗体セラミック
素子ユニットにおいて、低融点金属ペーストの厚さと接
合強度との関係を示すグラフ
【図5】本発明の第2実施形態に係る抵抗体セラミック
素子ユニットにおいて、電極皮膜の厚さと接合強度との
関係を示すグラフ
【図6】本発明の第2実施形態に係る抵抗体セラミック
素子ユニットにおいて、低融点金属層の厚さと接合強度
との関係を示すグラフ
【図7】本発明の第2実施形態に係る抵抗体セラミック
素子ユニットにおいて、電極皮膜の気孔率と接合強度と
の関係を示すグラフ
【図8】本発明の第2実施形態に係る抵抗体セラミック
素子ユニットにおいて、低融点金属層の気孔率と接合強
度との関係を示すグラフ
【図9】本発明の第2実施形態に係る抵抗体セラミック
素子ユニットにおいて、電極皮膜の酸化物量と接合強度
との関係を示すグラフ
【図10】本発明の第2実施形態に係る抵抗体セラミッ
ク素子ユニットにおいて、低融点金属層の酸化物量と接
合強度の関係を示すグラフ
【図11】本発明の第2実施形態に係る抵抗体セラミッ
ク素子ユニットにおいて、電極端子の接合面の面積がセ
ラミックス素子の接合面の面積に占める割合と接合強度
の関係を示すグラフ
【図12】本発明の第2実施形態に係る抵抗体セラミッ
ク素子ユニットにおいて、電極端子の接合部分の厚さと
接合強度の関係を示すグラフ
【図13】本発明の第2実施形態に係る抵抗体セラミッ
ク素子ユニットにおいて、接合処理時の加熱温度と接合
強度の関係を示すグラフ
【符号の説明】 1…焼結体 2…電極皮膜 3…接合材 4…電極端子 5…抵抗体 6…抵抗体セラミック素子ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新藤 尊彦 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 安藤 秀泰 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 Fターム(参考) 5E028 AA10 BA21 BB01 BB11 CA12 JA12 JA13 JB03 JC01 JC02 5E033 AA43 AA45 BD13 BG03 5E034 CB01 CC02 DA03 DA07 DC06 DC09 DD01 DE07 DE08

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原料を成形、焼結して機能性を示す焼結
    体とし、前記焼結体の両側面に電極皮膜層を形成した機
    能性セラミック素子を、1個または複数個積層、接合
    し、その両端面に電極端子を接合して成ることを特徴と
    するセラミック素子ユニット。
  2. 【請求項2】 前記機能性セラミック素子間の接合、ま
    たは機能性セラミックと電極端子との接合に、銀ペース
    トを用いたことを特徴とする請求項1記載のセラミック
    素子ユニット。
  3. 【請求項3】 前記銀ペーストは、銀粉末とガラスフリ
    ットからなり、銀粉末とガラスフリットとの重量割合
    が、95/5<銀粉末/ガラスフリット<50/50で
    あることを特徴とする請求項2記載のセラミック素子ユ
    ニット。
  4. 【請求項4】 前記機能性セラミック素子間の接合、ま
    たは機能性セラミックと電極端子との接合に、低融点金
    属を用いたことを特徴とする請求項1記載のセラミック
    素子ユニット。
  5. 【請求項5】 前記低融点金属は、少なくともSn、A
    gを含み、Pbを含まないことを特徴とする請求項4記
    載のセラミック素子ユニット。
  6. 【請求項6】 前記低融点金属は、少なくともSn、A
    gを含み、これに加えてZn、Cu、またはTiを少な
    くとも一つ含み、Snを70〜99.8%、Agを0.
    2〜10%、Znを0〜10%、Cuを0〜10%、T
    iを0〜10%含むことを特徴とする請求項4または請
    求項5記載のセラミック素子ユニット。
  7. 【請求項7】 前記低融点金属は、厚さ0.01〜1.
    0mmの金属箔であることを特徴とする請求項4乃至請
    求項6のいずれか一に記載のセラミック素子ユニット。
  8. 【請求項8】 前記低融点金属は、ペースト状であり、
    素子間または素子と電極端子間に、厚さ0.01〜1.
    0mmで塗布した後、加熱し、接合したことを特徴とす
    る請求項4乃至請求項6のいずれか一に記載のセラミッ
    ク素子ユニット。
  9. 【請求項9】 前記焼結体に形成する電極皮膜は、銀ペ
    ースト、Al、Al合金、CuまたはCu合金のいずれ
    かによって構成されていることを特徴とする請求項1乃
    至請求項8のいずれか一に記載のセラミック素子ユニッ
    ト。
  10. 【請求項10】 前記焼結体に形成する電極皮膜は、複
    数の層からなり、焼結体との接合面側には、Alまたは
    Al合金からなる第1の電極皮膜を形成し、低融点金属
    との接合面側には、CuまたはCu合金からなる第2の
    電極皮膜を形成したことを特徴とする請求項4乃至請求
    項9のいずれか一に記載のセラミック素子ユニット。
  11. 【請求項11】 前記電極皮膜の厚さは、200μm以
    下であることを特徴とする請求項1乃至請求項10のい
    ずれか一に記載のセラミック素子ユニット。
  12. 【請求項12】 前記低融点金属からなる層の厚さは、
    200μm以下であることを特徴とする請求項4乃至請
    求項11のいずれか一に記載のセラミック素子ユニッ
    ト。
  13. 【請求項13】 前記電極皮膜の気孔率は、15%以下
    であることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいず
    れか一に記載のセラミック素子ユニット。
  14. 【請求項14】 前記低融点金属からなる層の気孔率
    は、15%以下であることを特徴とする請求項4乃至請
    求項13のいずれか一に記載のセラミック素子ユニッ
    ト。
  15. 【請求項15】 前記電極皮膜に含まれる酸化物量は、
    13%以下であることを特徴とする請求項1、または請
    求項4乃至請求項13のいずれか一に記載のセラミック
    素子ユニット。
  16. 【請求項16】 前記低融点金属からなる層に含まれる
    酸化物の量は、13%以下であることを特徴とする請求
    項4乃至請求項15のいずれか一に記載のセラミック素
    子ユニット。
  17. 【請求項17】 前記機能性セラミック素子は、Al2
    3 、TiO2 、SrTiO3 、またはZnOを主成分
    とすることを特徴とする請求項1乃至請求項16のいず
    れか一に記載のセラミック素子ユニット。
  18. 【請求項18】 原料を成形、焼結して機能性を示す焼
    結体とし、前記焼結体の両側面に電極皮膜層を形成して
    機能性セラミック素子を形成し、この機能性セラミック
    素子を、接合材を介して、1個または複数個、積層、接
    合し、その両端面に電極端子を接合すること特徴とする
    セラミック素子ユニットの製造方法。
  19. 【請求項19】 前記機能性セラミック素子間の接合、
    または機能性セラミック素子と電極端子との接合処理に
    おける加熱温度は、330℃以下とすることを特徴とす
    る請求項18に記載のセラミック素子ユニットの製造方
    法。
  20. 【請求項20】 前記機能性セラミック素子間の接合、
    または機能性セラミック素子と電極端子との接合は、誘
    導加熱、または集光加熱により行うことを特徴とする請
    求項18又は請求項19に記載のセラミック素子ユニッ
    トの製造方法。
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