JP2000277112A - リチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
物質を改良して、充放電サイクル特性に優れたリチウム
二次電池が得られるようにする。 【解決手段】 正極1と負極2と非水電解質とを備えた
リチウム二次電池において、上記の正極又は負極の活物
質に、MX W1-X OY (式中、Mは、Cu,V,Cr,
Mn,Fe,Co及びNiから選択される少なくとも1
種の金属元素からなり、0<X<0.46,2.5≦Y
≦3.5の条件を満たす。)の組成式で表される単斜晶
系の結晶構造を有する複合酸化物又はこれにLiを含有
させたものを用いるようにした。
Description
水電解質とを備えたリチウム二次電池に係り、特に、こ
の正極又は負極に用いられる活物質を改良し、リチウム
二次電池における充放電サイクル特性を向上させた点に
特徴を有するものである
二次電池が利用されるようになり、特に、高出力,高エ
ネルギー密度の新型電池として、リチウム二次電池が注
目されており、このリチウム二次電池について従来より
様々な開発が行われている。
ける充放電サイクル特性を向上させるため、特開平8−
241707号公報に示されるように、負極の活物質
に、あらかじめリチウム化した三酸化タングステン等の
酸化物を用いるようにしたものが提案されている。
J.Guo,Y.J.Li andM.S.Whitt
ingham,J.Power.Sources.,5
4,461(1995)に示されているように、その結
晶構造の安定性が低く、このような三酸化タングステン
をリチウム二次電池における負極の活物質に用いた場
合、この三酸化タングステンの結晶構造が変化してリチ
ウムを吸蔵・放出する能力が低下し、依然としてリチウ
ム二次電池における充放電サイクル特性を十分に向上さ
せることができないという問題があった。
極と非水電解質とを備えたリチウム二次電池における上
記のような問題を解決することを課題とするものであ
り、この正極又は負極に用いる活物質を改良して、充放
電サイクル特性に優れたリチウム二次電池が得られるよ
うにすることを課題とするものである。
けるリチウム二次電池においては、上記のような課題を
解決するために、正極と負極と非水電解質とを備えたリ
チウム二次電池において、上記の正極又は負極の活物質
に、MX W1-X OY (式中、Mは、Cu,V,Cr,M
n,Fe,Co及びNiから選択される少なくとも1種
の金属元素からなり、0<X<0.46,2.5≦Y≦
3.5の条件を満たす。)の組成式で表される単斜晶系
の結晶構造を有する複合酸化物又はこれにLiを含有さ
せたものを用いるようにしたのである。
に含まれるCu,V,Cr,Mn,Fe,Co及びNi
から選択される金属元素Mは、何れも酸素原子Oと分解
温度が1000℃以上の安定な化合物を形成すること
が、文献(Binary Alloy Phase D
iagrams,(1986),American S
ociety for MetalsのM−O二元状態
図)において示されている。
ングステンに加えて、上記の請求項1に示す組成式の複
合酸化物を得ると、この複合酸化物が三酸化タングステ
ンと同様の単斜晶系の結晶構造を有すると共に、上記の
金属元素Mが三酸化タングステンの結晶格子の一部を占
有して酸素原子Oと比較的強く化学結合し、この複合酸
化物の結晶構造が安定する。
組成式に示す複合酸化物をリチウム二次電池の正極や負
極の活物質に使用した場合、この複合酸化物の結晶構造
が変化してリチウムを吸蔵・放出する能力が低下するの
が抑制され、充放電サイクル特性に優れたリチウム二次
電池が得られるようになる。
OY (式中、Mは、Cu,V,Cr,Mn,Fe,Co
及びNiから選択される少なくとも1種の金属元素から
なり、0.02≦X≦0.45,2.5≦Y≦3.5の
条件を満たす。)の組成式で表される単斜晶系の結晶構
造を有する複合酸化物を正極や負極の活物質に使用する
と、複合酸化物の結晶構造がさらに安定になって、さら
に優れた充放電サイクル特性を有するリチウム二次電池
が得られるようになる。
高い化合物を形成する他の元素、例えば、Cd,La,
Ce,Sm,Mo等を前記の複合酸化物中における金属
元素Mとして用いた場合においても、リチウム二次電池
における充放電サイクル特性を向上させる効果が期待で
きる。
池において、前記の組成式で表される複合酸化物を正極
の活物質に用いた場合、負極の活物質としては、リチウ
ム二次電池において一般に使用されている材料を用いる
ことができ、例えば、Liを電気化学的に吸蔵放出でき
る天然黒鉛,人造黒鉛,コークス,有機物焼成体等の炭
素材料や、Li−Al合金,Li−Mg合金,Li−I
n合金,Li−Al−Mn合金等のLi合金や、Li金
属を使用することができる。しかし、負極の活物質にL
i合金やLi金属を用いた場合、充放電に伴って樹枝状
のデンドライト結晶が成長して、電池内部でショートす
るおそれが生じるため、請求項3に示すように、負極の
活物質に炭素材料を用いることが好ましい。
において、前記の組成式で表される複合酸化物を負極の
活物質に用いた場合、正極の活物質としては、リチウム
二次電池において一般に使用されている材料を用いるこ
とができ、この正極の活物質として、請求項4に示すよ
うに、LiCoO2 ,LiNiO2 ,LiMn2 O4,
LiMnO2 ,LiCo0.5 Ni0.5 O2 ,LiNi
0.7 Co0.2 Mn0.1 O 2 ,LiCo0.9 Ti
0.1 O2 ,LiCo0.5 Ni0.4 Zr0.1 O2 等のLi
含有遷移金属複合酸化物を用いると、充電電圧が約1.
9V、放電電圧が約1.1Vのリチウム二次電池が得ら
れる。
物を正極の活物質に用いる場合と、負極の活物質に用い
る場合とを比較すると、前記の組成式で表される複合酸
化物を正極の活物質に用いた場合、充電電圧が高くなっ
て非水電解質の分解が生じやすくなるため、リチウム二
次電池における負極の活物質に前記の組成式で表される
複合酸化物を用いることが好ましい。
において、その正極や負極の活物質に用いる前記の組成
式で表される複合酸化物は、この複合酸化物を構成する
元素の単体や、その元素を含む化合物や、これらの混合
物を焼成することにより合成することができる。
℃未満では上記の金属元素Mが三酸化タングステンの結
晶格子中に十分に拡散しないおそれがある一方、140
0℃を超えた高温では、前記の文献(Binary A
lloy Phase Diagrams,Vol.
2,p1798(1986),American So
ciety for Metals)におけるW−O二
元状態図に示されるように、焼成体が融解してしまい、
これを室温まで冷却すると、この複合酸化物の組成が不
均一な状態になり、このような複合酸化物をリチウム二
次電池における正極や負極の活物質に用いた場合、リチ
ウム二次電池の充放電サイクル特性を十分に向上させる
ことが困難になる。このため、請求項5に示すように、
400℃以上,1400℃以下の温度で焼成させて得た
上記の組成式に示される複合酸化物を用いることが好ま
しく、さらに請求項6に示すように、600℃以上,1
200℃以下の温度で焼成させて得た上記の組成式に示
される複合酸化物を用いることがより好ましい。
は、前記の組成式で表される複合酸化物を正極や負極の
活物質に用いることを特徴とするものであり、このリチ
ウム二次電池に使用する非水電解質については特に限定
されず、リチウム二次電池において一般に使用されてい
る公知のものを用いることができる。
有機溶媒に溶質を溶解させた非水電解液や固体電解質を
用いることができる。
ては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカー
ボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネー
ト等の環状炭酸エステルや、ジメチルカーボネート、ジ
エチルカーボネート、メチルエチルカーボート等の鎖状
炭酸エステルや、スルホラン、テトラヒドロフラン、
1,3−ジオキソラン、1,2−ジエトキシエタン、
1,2−ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン等
の溶媒を単独若しくは2種以上混合させて用いることが
できる。
しては、例えば、LiPF6 ,LiBF4 ,LiCF3
SO3 ,LiN(CF3 SO2 )2 ,LiN(C2 F5
SO 2 )2 ,LiN(CF3 SO2 )(C4 F9 S
O2 ),LiC(CF3 SO2 ) 3 ,LiC(C2 F5
SO2 )3 等のリチウム化合物を用いることができる。
オキシド,ポリアクリロニトリル等のポリマーに上記の
溶質を含有させたポリマー電解質や、上記のポリマーに
上記の非水電解液を含浸させたゲル状のポリマー電解質
や、LiI,Li3 N等の無機固体電解質を用いること
ができる。
いて実施例を挙げて具体的に説明すると共に、この実施
例におけるリチウム二次電池においては、正極や負極に
おける活物質の安定性が高まって充放電サイクル特性が
向上することを、比較例を挙げて明らかにする。なお、
この発明に係るリチウム二次電池は、下記の実施例に示
したものに限定されるものではなく、その要旨を変更し
ない範囲において適宜変更して実施できるものである。
と負極とを下記のようにして作製すると共に、非水電解
液を下記のようにして調製し、図1に示すような扁平型
のリチウム二次電池を作製した。
は、それぞれ純度が99.9%以上になったCuCO3
とWとWO3 の各試薬を用い、Cu:W:Oの原子比が
0.2:0.8:3になるように秤量した後、これらを
乳鉢で混合し、この混合物を直径17mmの金型を用い
て115kg/cm2 の圧力で圧縮して成形し、これを
酸素ガスと窒素ガスとを体積比2:3の割合で混合した
混合ガス雰囲気下において、1000℃の温度で10時
間焼成してCu0.2 W0.8 O3 の焼成体を得た。次い
で、このCu0.2 W0.8 O3 の焼成体を乳鉢で粉砕して
平均粒径10μmになったCu0. 2 W0.8 O3 の粉末を
正極活物質として用いるようにした。なお、このように
して得たCu0.2 W0.8 O3 の粉末をX線回折により分
析したところ、三酸化タングステンと同様の単斜晶系の
結晶構造を有していた。
と、導電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのポリフ
ッ化ビニリデン粉末とを85:10:5の重量比になる
ように混合し、この混合物にN−メチル−2−ピロリド
ン(以下、NMPと略す。)を加えてスラリー化させ、
このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔からなる
正極集電体の片面にドクターブレード法により塗布し、
これを150℃で乾燥させた後、これを打ち抜いて直径
が17mm、厚みが1.0mmの円板状になった正極を
得た。
カーボネートとを1:1の体積比で混合した混合溶媒に
ヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF6 を1mol/
lの割合で溶解させた電解液中において、上記のように
して作製した正極とLi金属とをポリプロピレン製の微
多孔膜を介して配置させ、この状態で100μAの定電
流で1.6V(vs.Li/Li+ )まで電解させて、
上記の正極中にLiを挿入させた。
は、負極活物質に天然黒鉛粉末を用い、この天然黒鉛粉
末と結着剤としてのポリフッ化ビニリデンとを95:5
の重量比になるように混合させ、この混合物にNMP溶
液を加えてスラリー化させ、このスラリーを厚さ20μ
mの銅箔からなる負極集電体の片面にドクターブレード
法により塗布し、これを150℃で乾燥させた後、これ
を打ち抜いて直径が17mm、厚みが1.0mmの円板
状になった負極を作製した。
るにあたっては、エチレンカーボネートとジエチルカー
ボネートとを1:1の体積比で混合させた混合溶媒に、
溶質としてヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF6 を
1mol/lの割合で溶解させて非水電解液を調製し
た。
は、図1に示すように、上記のようにして作製した正極
1と負極2との間に、セパレータ3としてポリプロピレ
ン製の微多孔膜に上記の非水電解液を含浸させたものを
介在させ、これらを正極缶4aと負極缶4bとで形成さ
れる電池ケース4内に収容させ、正極集電体5を介して
正極1を正極缶4aに接続させる一方、負極集電体6を
介して負極2を負極缶4bに接続させ、この正極缶4a
と負極缶4bとをポリプロピレン製の絶縁パッキン7に
よって電気的に絶縁させてリチウム二次電池を得た。
は、上記の実施例1における正極の作製において使用し
た正極活物質の種類だけを変更させ、下記の表1に示す
ように、正極活物質として、実施例2においてはV0.2
W0.8 O3 の粉末を、実施例3においてはCr0. 2 W
0.8 O3 の粉末を、実施例4においてはMn0.2 W0.8
O3 の粉末を、実施例5においてはFe0.2 W0.8 O3
の粉末を、実施例6においてはCo0.2 W0. 8 O3 の粉
末を、実施例7においてはNi0.2 W0.8 O3 の粉末を
用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にし
て、各リチウム二次電池を作製した。なお、上記の各正
極活物質の粉末をX線回折により分析したところ、上記
のCu0. 2 W0.8 O3 の粉末と同様に、三酸化タングス
テンと同様の単斜晶系の結晶構造を有していた。
実施例1における正極の作製において使用した正極活物
質の種類だけを変更させ、下記の表1に示すように、正
極活物質としてWO3 を用い、それ以外は、上記の実施
例1の場合と同様にしてリチウム二次電池を作製した。
〜7及び比較例1の各リチウム二次電池を、それぞれ2
5℃の温度雰囲気下において、充電電流100μAの定
電流で充電終止電圧2.4Vまで充電した後、放電電流
100μAの定電流で放電終止電圧1.2Vまで放電
し、これを1サイクルとして、50サイクルの充放電試
験を行い、1サイクル目と50サイクル目とにおける放
電容量を測定し、容量維持率(%)として、1サイクル
目の放電容量Q1に対する50サイクル目の放電容量Q
50の比率[(Q1/Q50)×100]を求め、その結果
を下記の表1に合わせて示した。なお、実施例1〜7及
び比較例1の各リチウム二次電池においては、放電終止
電圧迄の電圧の積分値を時間で割った平均放電電圧が約
1.6Vであった。
として、M0.2 W0.8 O3 (MはCu,V,Cr,M
n,Fe,Co,Ni)を用いた実施例1〜7の各リチ
ウム二次電池は、正極活物質としてWO3 を用いた比較
例1のリチウム二次電池に比べて、容量維持率が遥かに
高くなっており、充放電サイクル特性が著しく向上して
いた。
〜13及び比較例2においては、正極活物質として、C
uX W1-x O 2 で表されるCuとWとの複合酸化物にお
けるCuとWとのモル比を変更させたものを用いるよう
にし、下記の表2に示すように、実施例8においてはC
u0.02W0.98O3 を、実施例9においてはCu0.05W
0.95O3 を、実施例10においてはCu0.1 W0.9 O3
を、実施例11おいてはCu0.3 W0.7 O3 を、実施例
12においてはCu0.4 W0.6 O3 を、実施例13にお
いてはCu0.45W0.55O3を用いる一方、比較例2にお
いてはCu0.47W0.5 O3 を用い、それ以外について
は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例8〜1
3及び比較例2の各アルカリ二次電池を作製した。
例2の各リチウム二次電池についても、上記の実施例1
〜7の場合と同様にして、1サイクル目と50サイクル
目とにおける放電容量を測定して、各リチウム二次電池
における容量維持率(%)を求め、その結果を、上記の
実施例1の結果と合わせて下記の表2及び図2に示し
た。また、実施例8〜13及び比較例2の各リチウム二
次電池においても、放電終止電圧迄の電圧の積分値を時
間で割った平均放電電圧はそれぞれ約1.6Vであっ
た。
に用いるCuとWとの複合酸化物中におけるCuのモル
比(X)を0.45以下の範囲にした実施例1,8〜1
3の各リチウム二次電池は、CuとWとの複合酸化物中
におけるCuのモル比(X)が0.47になった正極活
物質を用いた比較例2のリチウム二次電池に比べ、容量
維持率が高くなって、充放電サイクル特性が向上してい
た。特に、CuとWとの複合酸化物中におけるCuのモ
ル比(X)が0.05〜0.4の範囲になった正極活物
質を用いた実施例1,9〜12の各リチウム二次電池に
おいては、さらに容量維持率が高くなって、充放電サイ
クル特性が著しく向上していた。
用いた場合について示したが、Wと他のV,Cr,M
n,Fe,Co,Niとの複合酸化物についても同様の
結果が得られる。
おいては、正極活物質として、上記の実施例1の場合と
同じCu0.2 W0.8 O3 を使用して正極を作製する一
方、この正極中にLiを挿入させないようにした。
は、Li金属のシートをアルゴン雰囲気中で直径17m
m,厚さ1.0mmの円板状に打ち抜いたものを、実施
例15においては、Liが20.6重量%になったLi
−Al合金のシートをアルゴン雰囲気中で直径17m
m,厚さ1.0mmの円板状に打ち抜いたものを用いる
ようにした。
例1の場合と同様にして、実施例14,15の各リチウ
ム二次電池を作製した。
4,15の各リチウム二次電池を、25℃の温度雰囲気
下において放電電流100μAの定電流で1.2Vまで
放電させた。その後、これらの各リチウム二次電池をそ
れぞれ充電電流100μAの定電流で充電終止電圧2.
4Vまで充電させた後、放電電流100μAの定電流で
放電終止電圧1.2Vまで放電させ、これを1サイクル
として、50サイクルの充放電試験を行い、1サイクル
目と50サイクル目とにおける放電容量を測定し、容量
維持率(%)として、1サイクル目の放電容量Q1に対
する50サイクル目の放電容量Q50の比率[(Q1/Q
50)×100]を求め、その結果を下記の表3に示し
た。なお、放電終止電圧迄の電圧の積分値を時間で割っ
た平均放電電圧は、上記の実施例8のリチウム二次電池
においては約1.6V、実施例9のリチウム二次電池に
おいては約1.4Vであった。
にLi金属やLi−Al合金を用いた場合においても、
正極活物質にCu0.2 W0.8 O3 を用いた実施例14,
15の各リチウム二次電池は、上記の比較例1,2の各
リチウム二次電池に比べ、容量維持率が高くなって、充
放電サイクル特性が向上していた。
電池と同じ正極活物質Cu0.2 W0. 8 O3 を用いた実施
例1のリチウム二次電池とを比較すると、負極活物質に
天然黒鉛粉末を用いた実施例1のリチウム二次電池の方
が容量維持率が高くなっていた。これは、負極活物質に
天然黒鉛粉末のような炭素材料を用いた場合、Li金属
及びLi合金のように充放電によって樹枝状のデンドラ
イト結晶が成長して、電池内部においてショートするこ
とがないためであると考えられる。
施例16〜20及び比較例3〜5においては、正極活物
質として、Cu0.2W0.8 OY で表されるCuとWとの
複合酸化物に含有させる酸素原子Oのモル比(Y)だけ
を変更させたものを用いるようにし、下記の表4に示す
ように、実施例16においてはCu0.2 W0.8 O
2.5 を、実施例17においてはCu0.2 W0. 8 O
2.6 を、実施例18においてはCu0.2 W0.8 O
2.8 を、実施例19においてはCu0.2 W0.8 O
3.2 を、実施例20においてはCu0.2 W0.8 O3.5 を
用いる一方、比較例3においてはCu0.2 W0.8 O2.3
を、比較例4においてはCu0.2 W0.8 O2.4 を用い、
比較例5においてはCu0.2 W0.8 O3.6 を用いるよう
にし、それ以外については、上記の実施例1の場合と同
様にして、実施例16〜20及び比較例3〜5の各リチ
ウム二次電池を作製した。
較例3〜5における各リチウム二次電池についても、上
記の実施例1〜7の場合と同様にして、1サイクル目と
50サイクル目とにおける放電容量を測定して、各リチ
ウム二次電池における容量維持率(%)を求め、その結
果を上記の実施例1の結果と合わせて下記の表4及び図
3に示した。なお、実施例16〜20及び比較例3〜5
の各リチウム二次電池においても、放電終止電圧迄の電
圧の積分値を時間で割った平均放電電圧はそれぞれ約
1.6Vであった。
に用いるCuとWとの複合酸化物中における酸素原子O
のモル比(Y)を2.5〜3.5の範囲にした実施例
1,16〜20の各リチウム二次電池は、CuとWとの
複合酸化物中における酸素原子Oのモル比(Y)が上記
の範囲外になった正極活物質を用いた比較例3〜5の各
リチウム二次電池に比べ、容量維持率が高くなって、充
放電サイクル特性が向上していた。特に、CuとWとの
複合酸化物中における酸素原子Oのモル比(Y)が2.
8〜3.2の範囲になった正極活物質を用いた実施例
1,18,19の各リチウム二次電池においては、さら
に容量維持率が高くなって、充放電サイクル特性が著し
く向上していた。
用いた場合について示したが、Wと他のV,Cr,M
n,Fe,Co,Niとの複合酸化物についても同様の
結果が得られる。
〜28においては、上記の実施例1における正極の作製
において、Cu0.2 W0.8 O3.0 からなる正極活物質を
得るにあたり、その焼成温度だけを変更させ、下記の表
5に示すように、その焼成温度を、実施例21において
は300℃に、実施例22においては400℃に、実施
例23においては600℃に、実施例24においては8
00℃に、実施例25においては1200℃に、実施例
26においては1400℃に、実施例27においては1
500℃に、実施例28においては1600℃にし、そ
れ以外については、上記の実施例1の場合と同様にし
て、実施例21〜28の各リチウム二次電池を作製し
た。
る各リチウム二次電池についても、上記の実施例1〜7
の場合と同様にして、1サイクル目と50サイクル目と
における放電容量を測定して、各リチウム二次電池にお
ける容量維持率(%)を求め、その結果を上記の実施例
1の結果と合わせて下記の表5及び図4に示した。な
お、これらの実施例21〜28の各リチウム二次電池に
おいても、放電終止電圧迄の電圧の積分値を時間で割っ
た平均放電電圧はそれぞれ約1.6Vであった。
次電池の正極活物質に用いるCu0. 2 W0.8 O3.0 を得
るにあたり、その焼成温度を400〜1400℃の範囲
にして得たCu0.2 W0.8 O3.0 を用いた実施例1,2
2〜26の各リチウム二次電池は、その焼成温度を30
0℃にして得たCu0.2 W0.8 O3.0 を用いた実施例2
1のリチウム二次電池や、その焼成温度を1500℃以
上にして得たCu0.2W0.8 O3.0 を用いた実施例2
7,28の各リチウム二次電池に比べ、容量維持率が高
くなって、充放電サイクル特性が向上していた。特に、
焼成温度を600〜1200℃の範囲にして得たCu
0.2 W0.8 O3.0 を用いた実施例1,23〜25の各リ
チウム二次電池においては、容量維持率がさらに高くな
って、充放電サイクル特性が著しく向上していた。
おいては、正極を作製するにあたり、下記の表6に示す
ように、正極活物質として、実施例29においては平均
粒径が10μmになったLiCoO2 粉末を、実施例3
0においては平均粒径が10μmになったLiNiO2
粉末を、実施例31においては平均粒径が10μmにな
ったLiMn2 O4粉末を用いるようにした。
電剤としての炭素粉末と、結着剤としてのポリフッ化ビ
ニリデン粉末とをそれぞれ85:10:5の重量比にな
るように混合し、これらの混合物にNMP溶液を加えて
スラリー化させ、このスラリーを厚さ20μmのアルミ
ニウム箔からなる正極集電体の片面にドクターブレード
法により塗布し、これを150℃で乾燥させた後、これ
を打ち抜いて直径が17mm、厚みが1.0mmの円板
状になった各正極を得た。なお、このようにして作製し
た各正極に対してはLiを挿入させないようにした。
活物質として、上記の実施例1において正極活物質とし
て用いたCu0.2 W0.8 O3 の粉末を使用し、このCu
0.2W0.8 O3 粉末と、導電剤としての炭素粉末と、結
着剤としてのポリフッ化ビニリデン粉末とを85:1
0:5の重量比になるように混合し、この混合物にNM
P溶液を加えてスラリー化させ、このスラリーを厚さ2
0μmの銅箔からなる負極集電体の片面にドクターブレ
ード法により塗布し、これを150℃で乾燥させた後、
これを打ち抜いて直径が17mm、厚みが1.0mmの
円板状になった負極を作製した。
と負極とを使用し、それ以外については、上記の実施例
1の場合と同様にして、実施例29〜31の各リチウム
二次電池を作製した。
実施例20の場合と同様に、平均粒径が10μmになっ
たLiCoO2 粉末を正極活物質に使用して作製した正
極を用いる一方、その負極としては、負極活物質にWO
3 を使用して作製したものを用いるようにした。
は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例6のリ
チウム二次電池を作製した。
は、上記の実施例29〜31の場合と同じ正極を用いる
ようにし、下記の表6に示すように、比較例7において
は、上記の実施例29の場合と同様に平均粒径が10μ
mになったLiCoO2 粉末を正極活物質に使用して作
製した正極を、比較例8においては、上記の実施例30
の場合と同様に平均粒径が10μmになったLiNiO
2 粉末を正極活物質に使用して作製した正極を、比較例
9においては、上記の実施例31の場合と同様に平均粒
径が10μmになったLiMn2 O4 粉末を正極活物質
に使用して作製した正極を用いるようにした。
質として、WO3 に対して電気化学的にLiを添加させ
たリチウム・タングステン複合酸化物(Li・W複合酸
化物)を用いるようにした。ここで、WO3 に対して電
気化学的にLiを添加させるにあたっては、エチレンカ
ーボネートとジエチルカーボネートとを1:1の体積比
で混合した混合溶媒にヘキサフルオロリン酸リチウムL
iPF6 を1mol/lの割合で溶解させた電解液中に
おいて、上記のWO3 とLi金属とをポリプロピレン製
の微多孔膜を介して配置させ、この状態で100μAの
定電流で電解させて、LiとWとのモル比がLi:W=
1.2:1になるようにした。
は、上記の実施例1の場合と同様にして、比較例7〜9
の各リチウム二次電池を作製した。
9〜31及び比較例6〜9の各リチウム二次電池を、そ
れぞれ25℃の温度雰囲気下において、充電電流100
μAの定電流で充電終止電圧2.3Vまで充電した後、
放電電流100μAの定電流で放電終止電圧0.7Vま
で放電し、これを1サイクルとして、50サイクルの充
放電試験を行い、1サイクル目と50サイクル目とにお
ける放電容量を測定し、容量維持率(%)として、1サ
イクル目の放電容量Q1に対する50サイクル目の放電
容量Q50の比率[(Q1/Q50)×100]を求め、そ
の結果を下記の表6に合わせて示した。なお、放電終止
電圧迄の電圧の積分値を時間で割った平均放電電圧は、
実施例29〜31及び比較例6,7の各リチウム二次電
池においてはそれぞれ約1.1V、比較例8のリチウム
二次電池においては約1.0V、比較例9のリチウム二
次電池においては1.2Vであった。
にLi含有遷移金属酸化物であるLiCoO2 ,LiN
iO2 及びLiMn2 O4 を用いる一方、負極活物質に
Cu 0.2 W0.8 O3 を用いた実施例29〜31の各リチ
ウム二次電池は、負極活物質にWO3 やLi・W複合酸
化物を用いた比較例6〜9の各リチウム二次電池に比べ
て容量維持率が高くなっており、充放電サイクル特性が
向上していた。
電池と同じCu0.2 W0.8 O3 を正極活物質に使用した
実施例1のリチウム二次電池を比較すると、負極活物質
にCu0.2 W0.8 O3 を用いた実施例29〜31の各リ
チウム二次電池の方が容量維持率が高くなっていた。こ
れは、負極活物質にCu0.2 W0.8 O3 を用いた実施例
29〜31の各リチウム二次電池の場合、その平均放電
電圧が約1.1Vと正極活物質にCu0.2 W0.8 O3 を
用いた実施例1のリチウム二次電池に比べて低くなって
おり、非水電解液の分解が抑制されたためであると考え
られる。
リチウム二次電池においては、正極又は負極の活物質
に、MX W1-X OY (式中、Mは、Cu,V,Cr,M
n,Fe,Co及びNiから選択される少なくとも1種
の金属元素からなり、0<X<0.46,2.5≦Y≦
3.5の条件を満たす。)の組成式で表される単斜晶系
の結晶構造を有する複合酸化物又はこれにLiを含有さ
せたものを用いるようにしたため、このような活物質を
用いた正極や負極においてリチウムを吸蔵・放出する能
力が向上すると共に、活物質における結晶構造の変化が
少なくなり、充放電サイクル特性に優れたリチウム二次
電池が得られるようになった。
リチウム二次電池の内部構造を示した断面説明図であ
る。
Cuのモル比(X)と得られたリチウム二次電池におけ
る容量維持率との関係を示した図である。
る酸素のモル比(Y)と得られたリチウム二次電池にお
ける容量維持率との関係を示した図である。
る場合における焼成温度と得られたリチウム二次電池に
おける容量維持率との関係を示した図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 正極と負極と非水電解質とを備えたリチ
ウム二次電池において、上記の正極又は負極の活物質
に、MX W1-X OY (式中、Mは、Cu,V,Cr,M
n,Fe,Co及びNiから選択される少なくとも1種
の金属元素からなり、0<X<0.46,2.5≦Y≦
3.5の条件を満たす。)の組成式で表される単斜晶系
の結晶構造を有する複合酸化物又はこれにLiを含有さ
せたものを用いたことを特徴とするリチウム二次電池。 - 【請求項2】 請求項1に記載したリチウム二次電池に
おいて、上記の正極又は負極の活物質に、MX W1-X O
Y (式中、Mは、Cu,V,Cr,Mn,Fe,Co及
びNiから選択される少なくとも1種の金属元素からな
り、0.02≦X≦0.45,2.5≦Y≦3.5の条
件を満たす。)の組成式で表される単斜晶系の結晶構造
を有する複合酸化物又はこれにLiを含有させたものを
用いたことを特徴とするリチウム二次電池。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載したリチウム二次
電池において、正極の活物質に上記の組成式に示される
複合酸化物又はこれにLiを含有させたものを用いる一
方、負極の活物質に炭素材料又はこれにLiを含有させ
たものを用いたことを特徴とするリチウム二次電池。 - 【請求項4】 請求項1又は2に記載したリチウム二次
電池において、負極の活物質に上記の組成式に示される
複合酸化物又はこれにLiを含有させたものを用いる一
方、正極の活物質にLi含有遷移金属酸化物を用いたこ
とを特徴とするリチウム二次電池。 - 【請求項5】 請求項1〜4の何れか1項に記載したリ
チウム二次電池において、正極又は負極の活物質に、4
00℃以上,1400℃以下の温度で焼成させて得た上
記の組成式に示される複合酸化物又はこれにLiを含有
させたものを用いたことを特徴とするリチウム二次電
池。 - 【請求項6】 請求項5に記載したリチウム二次電池に
おいて、正極又は負極の活物質に、600℃以上,12
00℃以下の温度で焼成させて得た上記の組成式に示さ
れる複合酸化物又はこれにLiを含有させたものを用い
たことを特徴とするリチウム二次電池。
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