JP2000273175A - ポリアリーレンスルフィド系樹脂の精製方法 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィド系樹脂の精製方法

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JP2000273175A
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aprotic organic
polyarylene sulfide
washing
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Masaya Okamoto
正哉 岡本
Minoru Chiga
実 千賀
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Japan Petroleum Energy Center JPEC
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Petroleum Energy Center PEC
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリアリーレンスルフィド系樹脂の分解
がほとんどなく、該樹脂から効果的にアルカリ金属ハロ
ゲン化物を除去することができる精製方法を提供するこ
と。 【解決手段】 ポリアリーレンスルフィド系樹脂を軟化
ないし溶融状態で、非プロトン性有機溶媒と水との混合
溶媒で、かつラインミキサーを使用して洗浄するポリア
リーレンスルフィド系樹脂の精製方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリアリーレンスル
フィド系樹脂の精製方法に関し、さらに詳しくはポリア
リーレンスルフィド系樹脂中に存在するハロゲン化アル
カリ金属化合物等の不純物を効率よく除去することがで
きるポリアリーレンスルフィド系樹脂の精製方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンスルフィド(以下、PA
Sということがある)系樹脂、中でも特にポリフェニレ
ンスルフィド(以下、PPSということがある)樹脂
は、機械的強度,耐熱性,難燃性,耐溶剤性等に優れる
と共に、良好な電気的特性や高い剛性を有するエンジニ
アリングプラスチックとして知られており、電子・電気
機器部品の素材等の各種材料として広く用いられてい
る。これらの樹脂の製造には、従来、N−メチル−2−
ピロリドン(以下、NMPということがある。)等の非
プロトン性有機溶媒中でp−ジクロロベンゼン等のジハ
ロゲン化芳香族化合物と硫化ナトリウム等のナトリウム
塩とを反応させるという方法が一般に用いられてきた。
しかしながら、この方法においてはハロゲン化ナトリウ
ムが副生し、このハロゲン化ナトリウムはNMP等の溶
媒に不溶であるため樹脂中に取り込まれてしまい、重合
後、多量の水でPAS樹脂を洗浄しても、PAS樹脂中
のハロゲン化ナトリウムを十分に取り除くことはできな
かった。
【0003】そこで、ナトリウム塩に代えてリチウム塩
を用いて重合を行うことが注目されてきた。重合中に副
生するハロゲン化リチウムはNMP等の多くの非プロト
ン性有機溶媒(重合用溶媒)に可溶であるので、樹脂中
のリチウム濃度を比較的容易に低減することが可能とな
る。しかしながら、副生したハロゲン化リチウム等が不
純物として、PAS樹脂中に残存し、重合後、多量の水
で洗浄しても十分に取り除くことはできなかった。ポリ
アリーレンスルフィド系樹脂の製造において副生するア
ルカリ金属ハロゲン化物を効果的に取り除く方法とし
て、軟化ないし溶状態のポリフェニレンスルフィド樹脂
を有機アミド−水混合溶媒で洗浄する方法が提案されて
いる(特開昭61−228023号公報)。しかしなが
ら、この洗浄方法では、アルカリ金属ハロゲン化物を効
果的に除去することはできるが、熱抽出に10分〜10
時間程度の時間を要するため、ポリフェニレンスルフィ
ド樹脂を高温下に長時間曝すことになり、ポリフェニレ
ンスルフィド樹脂の熱劣化が生じるという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題に鑑
みなされたものであり、ポリアリーレンスルフィド系樹
脂がほとんど分解することなく、短時間で該樹脂から効
果的にアルカリ金属ハロゲン化物を除去することができ
るポリアリーレンスルフィド系樹脂の精製方法を提供す
ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、非プロトン性
有機溶媒と水との混合溶媒で、かつラインミキサーを使
用してポリアリーレンスルフィド樹脂を洗浄することに
より、上記課題を効果的に達成できることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。す
なわち、本発明は、ポリアリーレンスルフィド系樹脂を
軟化ないし溶融状態で、かつラインミキサーを使用して
非プロトン性有機溶媒と水との混合溶媒で洗浄すること
を特徴とするポリアリーレンスルフィド系樹脂の精製方
法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の精製方法においては、P
AS系樹脂を軟化ないし溶融状態で洗浄するが、固化状
態のPAS系樹脂の洗浄を行うと、アルカリ金属ハロゲ
ン化物等の不純物の除去が充分に行われないという不都
合がある。本発明の精製方法を適用し得るPAS系樹脂
に特に制限はなく、例えばp−ジクロロベンゼンと、硫
黄源とを有機極性溶媒中でそれ自体公知の方法により重
縮合反応させることにより得られるポリフェニレンスル
フィド樹脂などが挙げられる。PAS系樹脂は一般にそ
の製造法により実質上線状で分岐、架橋構造を有しない
分子構造のものと、分岐や架橋構造を有する構造のもの
が知られているが本発明においてはそのいずれのタイプ
のものについても有効である。PAS系樹脂としては、
繰り返し単位としてパラフェニレンスルフィド単位を7
0モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上含有す
るホモポリマーまたはコポリマーが挙げられる。共重合
構成単位としては、例えばメタフェニレンスルフィド単
位、オルソフェニレンスルフィド単位、p,p’−ジフ
ェニレンケトンスルフィド単位、p,p’−ジフェニレ
ンスルホンスルフィド単位、p,p’−ビフェニレンス
ルフィド単位、p,p’−ジフェニレンエーテルスルフ
ィド単位、p,p’−ジフェニレンメチレンスルフィド
単位、p,p’−ジフェニレンクメニルスルフィド単
位、ナフチルスルフィド単位などが挙げられる。また、
本発明のポリアリーレンスルフィドとしては、前記の実
質上線状ポリマーの他に、モノマーの一部分として3個
以上の官能基を有するモノマーを少量混合使用して重合
した分岐または架橋ポリアリーレンスルフィドや、ま
た、これを前記の線状ポリマーにブレンドした配合ポリ
マーも本発明の対象とすることができる。
【0007】本発明に用いられる非プロトン性有機溶媒
としては、一般に、非プロトン性の極性有機化合物(た
とえば、アミド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,
有機イオウ化合物,環式有機リン化合物等)を、単独溶
媒として又は混合溶媒として好適に使用することができ
る。これらの非プロトン性の極性有機化合物のうち、上
記アミド化合物としては、たとえば、N,N−ジメチル
ホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N
−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミ
ド、N,N−ジプロピルアセトアミド、N,N−ジメチ
ル安息香酸アミドなとを挙げることができる。
【0008】また、上記ラクタム化合物としては、たと
えば、カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、N
−エチルカプロラクタム、N−イソプロピルカプロラク
タム、N−イソブチルカプロラクタム、N−ノルマルプ
ロピルカプロラクタム、N−ノルマルブチルカプロラク
タム、N−シクロヘキシルカプロラクタム等のN−アル
キルカプロラクタム類、N−メチル−2−ピロリドン
(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン、N−イソプ
ロピル−2−ピロリドン、N−イソブチル−2−ピロリ
ドン、N−ノルマルプロピル−2−ピロリドン、N−ノ
ルマルブチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−
2−ピロリドン、N−メチル−3−メチル−2−ピロリ
ドン、N−エチル−3−メチル−2−ピロリドン、N−
メチル−3,4,5−トリメチル−2−ピロリドン、N
−メチル−2−ピペリドン、N−エチル−2−ピペリド
ン、N−イソプロピル−2−ピペリドン、N−メチル−
6−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−3−エチル
−2−ピペリドンなどを挙げることができる。
【0009】また、前記尿素化合物としては、たとえ
ば、テトラメチル尿素、N,N’−ジメチルエチレン尿
素、N,N’−ジメチルプロピレン尿素などを挙げるこ
とができる。さらに、前記有機イオウ化合物としては、
たとえば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシ
ド、ジフェニルスルホン、1−メチル−1−オキソスル
ホラン、1−エチル−1−オキソスルホラン、1−フェ
ニル−1−オキソスルホランなどを、また、前記環式有
機リン化合物としては、たとえば、1−メチル−1−オ
キソホスホラン、1−ノルマルプロピル−1−オキソホ
スホラン、1−フェニル−1−オキソホスホランなどを
挙げることができる。これら各種の非プロトン性極性有
機化合物は、それぞれ一種単独で又は二種以上を混合し
て、さらには、本発明の目的に支障のない他の溶媒成分
と混合して、前記非プロトン性有機溶媒として使用する
ことができる。前記各種の非プロトン性有機溶媒の中で
も、好ましいのはN−アルキルカプロラクタム及びN−
アルキルピロリドンであり、特に好ましいのはN−メチ
ル−2−ピロリドンである。
【0010】非プロトン性有機溶媒と混合して用いる水
には特に制限はないが、蒸留水が好ましい。非プロトン
性有機溶媒と水との混合比は重量比(非プロトン性有機
溶媒/水)で55/45〜95/5とすることが好まし
く、65/35〜90/10が特に好ましく、70/3
0〜85/10がさらに好ましい。水の混合比率が45
重量%を超えると、PAS系樹脂が軟化ないし溶融状態
になりにくく、PAS系樹脂が固化する可能性がある。
また、水の混合比率が5重量%未満では、PAS系樹脂
が全て溶解して均一な溶液となるため、洗浄することが
できない。
【0011】PAS系樹脂の洗浄濃度は、非プロトン性
有機溶媒1リットルに対し、洗浄されるPAS系樹脂を
10〜400gとすることが好ましく、特に好ましくは
50〜300g、さらに好ましくは100〜250gで
ある。PAS系樹脂の洗浄量が400gを超えると洗浄
効率が低下する傾向にあり、また、10g未満では経済
性に劣るものとなる。なお、洗浄用の非プロトン性有機
溶媒には、PAS系樹脂が溶解可能な範囲で飽和溶解し
ていてもよい。
【0012】洗浄温度は、220〜320℃が好まし
く、特に230〜290℃が好ましく、さらに240〜
280℃が好ましい。洗浄温度が320℃を超えるとP
AS系樹脂が分解し、220℃未満ではPAS系樹脂が
軟化ないし溶融しない。洗浄時間(ラインミキサー中の
滞留時間)は3分未満が好ましい。ラインミキサーを用
いず、洗浄時間が10分以上であると、ポリアリーレン
スルフィド系樹脂が熱劣化する可能性がある。
【0013】本発明において、ラインミキサーとは、管
路中に設けた邪魔板機械的攪拌機によって流体を流しな
がら混合する方法をいう。ラインミキサーとしては、液
体を混合し得るものであれば特に制限はなく、縦型でも
横型でもよく、動的ミキサーであっても静的ミキサーで
あってもよい。動的ミキサーとして具体的には、例えば
マルチラインミキサー(佐竹化学工業株式会社製)、コ
マツスルーザーディスインテグラー(小松ゼオン株式会
社製)、パイプラインホモミクサー(特殊機化工業株式
会社製)などが挙げられる。また、、静的ミキサーとし
て具体的には、例えば、ケニックス式スタティックミキ
サー、スルーザー式スタティックミキサー、東レ式スタ
ティックミキサーなどが挙げられる。
【0014】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定され
るものではない。 実施例1 600リットルの攪拌機付き反応器に硫化リチウムNM
Pスラリー(硫化リチウム23.0kg(500モル),
NMP210リットル)、p−ジクロロベンゼン73.5
kg(500モル)、水酸化リチウム一水和物1.05k
g(25モル)及び水4.5kg(250モル)を入れ、
260℃で3時間反応させた。反応終了後、塩化アンモ
ニウム水溶液(塩化アンモニウム2.14kg,水30.4
kg)及びNMP60リットルを加え、260℃で10
分間攪拌し、攪拌終了後250℃に降温し、ポリマー相
の一部をサンプリングした。反応器のボトムから、溶融
したポリマー相を1.91g/secの速度で抜き出し、
ライン中でNMP−水混合溶媒(NMP:80重量%,
水:12重量%)を4.47g/secの速度で混合し、
スタティックミキサーに導入した。使用したスタテック
ミキサーは、スルーザー式のSMX8エレメント(内
径:15mm,長さ:365mm)であった。スタティ
ックミキサーは内温が270〜275℃となるように調
整した。スタティックミキサー中における上記混合物の
滞留時間は10秒程度であった。スタティックミキサー
から送出された混合物を上記とは別の600リットルの
槽に攪拌することなく収納した。この槽の内温は240
℃とした。ポリマー相の一部をサンプリングし、残りの
ポリマー相を上記スタティックミキサーに導入し、上記
と同様の洗浄を行った。このような、スタティックミキ
サーにおける洗浄操作を計4回行った。洗浄終了後、精
製されたケーキ状のポリフェニレンスルフィド樹脂を得
た。このポリフェニレンスルフィド樹脂を粉砕し、真空
乾燥することにより、残存するNMPを除去した。ポリ
フェニレンスルフィド樹脂中に残存するリチウム量は1
0ppm以下であった。各洗浄終了後にサンプリングし
たポリマーの固有粘度ηinh を第1表に示す。なお、固
有粘度は、粒状のポリアリーレンスルフィド系樹脂をα
−クロルナフタレンに0.4デシリットル/gの濃度にな
るように溶解し、206℃の温度でウベローデ粘度計を
使用して測定された値である。 比較例1 実施例1において、スタティックミキサーの代わりに、
容積23リットルの攪拌機付き反応器を用い、満液状態
で実施例1と同様の洗浄を行った。攪拌機の回転数は3
00rpm、反応器におけるポリマー相の滞留時間は、
1回の洗浄につき1時間程度であった。ポリフェニレン
スルフィド樹脂中に残存するリチウム量は10ppm以
下であった。各洗浄終了後にサンプリングしたポリマー
の固有粘度ηinh を第1表に示す。
【0015】
【表1】
【0016】第1表に示す結果から、比較例1ではポリ
マーの分子量が低下していることが認められ、ポリマー
が分解していることがわかる。また、洗浄時間を比較す
ると、1回の洗浄時間が、実施例1が10秒であるのに
対し、比較例1では1時間であり、この相違は、同程度
に精製されたPASを得るための洗浄時間に顕著な相違
があることを示すものである。
【0017】
【発明の効果】本発明の精製方法によれば、ポリアリー
レンスルフィド系樹脂の分解がほとんどなく、該樹脂か
ら効果的にアルカリ金属ハロゲン化物を除去することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J030 BA03 BA09 BA48 BA49 BB29 BB31 BC01 BC08 BC09 BD22 BF06 BF09 BF13 BF15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアリーレンスルフィド系樹脂を軟化
    ないし溶融状態で、非プロトン性有機溶媒と水との混合
    溶媒で、かつラインミキサーを使用して洗浄することを
    特徴とするポリアリーレンスルフィド系樹脂の精製方
    法。
  2. 【請求項2】 非プロトン性有機溶媒と水との混合比率
    が重量比で55/45〜95/5である請求項1記載の
    ポリアリーレンスルフィド系樹脂の精製方法。
  3. 【請求項3】 洗浄濃度が、非プロトン性有機溶媒1リ
    ットルに対し、洗浄されるポリアリーレンスルフィド系
    樹脂が10〜400gであり、洗浄温度が220〜30
    0℃である請求項1又は2記載のポリアリーレンスルフ
    ィド系樹脂の精製方法。
  4. 【請求項4】 非プロトン性有機溶媒が、N−メチル−
    2−ピロリドンである請求項1〜3のいずれかに記載の
    ポリアリーレンスルフィド系樹脂の精製方法。
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