JP2002308989A - ポリアリーレンスルフィドの製造方法および製造装置 - Google Patents

ポリアリーレンスルフィドの製造方法および製造装置

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JP2002308989A
JP2002308989A JP2001111115A JP2001111115A JP2002308989A JP 2002308989 A JP2002308989 A JP 2002308989A JP 2001111115 A JP2001111115 A JP 2001111115A JP 2001111115 A JP2001111115 A JP 2001111115A JP 2002308989 A JP2002308989 A JP 2002308989A
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stirring blade
tip
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polyarylene sulfide
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JP2001111115A
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Yoshinari Koyama
義成 小山
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Japan Petroleum Energy Center JPEC
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Petroleum Energy Center PEC
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 PAS重合槽においてポリマー相の均一な分
散状態を形成させることのでき、高分子量のPASを製
造する方法、及び該方法に使用することのできるPAS
製造装置を提供する。 【解決手段】 攪拌翼を有する重合槽を用いてポリアリ
ーレンスルフィドを製造する方法において、上記攪拌翼
として、その先端部付近に切欠き部を有しないものを用
い、かつ攪拌翼の先端部を、これと重合槽底部及び/又
は鏡部との距離がその先端部全体にわたり実質等しくな
るような隙間を形成させるような形状として重合を行う
ことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方
法、及び攪拌翼を具備した重合槽を有するポリアリーレ
ンスルフィドの製造装置において、上記攪拌翼が、その
先端部付近に切欠き部を有しないものであり、かつその
先端部と重合槽底部及び/又は鏡部との距離がその先端
部全体にわたり実質等しくなるような隙間を形成させる
ような形状を有することを特徴とするポリアリーレンス
ルフィドの製造装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリアリーレンスルフィ
ドの製造方法及びその製造装置に関するものであり、更
に詳しくは、ポリアリーレンスルフィドの製造において
ポリマー相と溶媒相とに分離する際に、ポリマー相の均
一な分散状態を形成させることができ、かつ高分子量の
ポリアリーレンスルフィドを製造することのできる方法
及び該方法に用いる製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアリーレンスルフィド(以下、PA
Sということがある)、中でもポリフェニレンスルフィ
ドは、機械的強度,耐熱性等に優れると共に、良好な電
気的特性や高い剛性を有するエンジニアリングプラステ
ィックとして知られており、電子・電気機器部品の素材
等の各種材料として広く用いられている。近年、分子量
の高いポリアリーレンスルフィドを製造する方法とし
て、相分離剤を用いて重合を行う方法が多く提案されて
いる。このような方法においては、重合反応後に重合槽
中でポリマー相と溶媒相とが分離された状態となり、そ
の際、攪拌による剪断力の及びにくい槽底部では、ポリ
マー相が比重差により沈降し、その位置によりポリマー
と溶媒の著しい組成分布が生じることがあった。上述の
ように、分子量の高いPASを得るためには、通常、重
合槽におけるポリマーと溶媒の組成比を一定に保つ必要
がある。そのため、1つの方法として、槽内において上
記組成比を均一とするような条件で攪拌しながら重合す
ることが考えられる。一方で、特開2000−2903
75号公報には、特定の形状をした攪拌翼を用いた重合
方法を開示している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような方法においても、ポリマー相の分散状態の均一性
は未だ不十分であり、また、高分子量のものを得ようと
した場合、十分な攪拌状態が得られない場合があり、分
散状態を更に均一化し、高分子量のPASを得ることの
できる方法が望まれていた。本発明は、上述課題に鑑み
てなされたものであり、PAS重合槽においてポリマー
相の均一な分散状態を形成させることができ、高分子量
のPASを製造することのできる方法、及び該方法に使
用することのできるPAS製造装置を提供することにあ
る。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、重合槽においてポリア
リーレンスルフィドを重合する際、特定形状、特定配置
を有する攪拌翼を具備した重合槽を用いることにより、
本発明の上記目的を達成しうることを見出した。本発明
はかかる知見に基づいて完成したものである。すなわ
ち、本発明は、攪拌翼を有する重合槽を用いてポリアリ
ーレンスルフィドを製造する方法において、上記攪拌翼
として、その先端部付近に切欠き部を有しないものを用
い、かつ攪拌翼の先端部を、これと重合槽底部及び/又
は鏡部との距離がその先端部全体にわたり実質等しくな
るような隙間を形成させるような形状として重合を行う
ことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方
法、及び攪拌翼を具備した重合槽を有するポリアリーレ
ンスルフィドの製造装置において、上記攪拌翼が、その
先端部付近に切欠き部を有しないものであり、かつその
先端部と重合槽底部及び/又は鏡部との距離がその先端
部全体にわたり実質等しくなるような隙間を形成させる
ような形状を有することを特徴とするポリアリーレンス
ルフィドの製造装置を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明のポリアリーレンスルフィドの製造は、有機
極性溶媒中で、硫黄源とジハロゲン化芳香族化合物とを
必要に応じ相分離剤の存在下に重縮合させて行う。本発
明の製造方法で用いる上記硫黄源としては、アルカリ金
属硫化物、アルカリ金属水硫化物及び硫化水素などが挙
げられる。アルカリ金属硫化物としては、具体的には、
硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ル
ビジウム及び硫化セシウムなどが挙げられる。これらの
中で、硫化リチウム、硫化ナトリウムが好ましく、特に
硫化リチウムが好ましい。これらは一種を単独で用いて
も二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、前記ア
ルカリ金属硫化物は、アルカリ金属水硫化物と塩基との
反応により得られるものを用いてもよい。あるいは、ア
ルカリ金属硫化物と共に、アルカリ金属水硫化物と塩基
とを用いることもできる。さらに、硫黄源として硫化水
素と塩基とを併用することもでき、また、アルカリ金属
硫化物及び/又はアルカリ金属水硫化物と共に、硫化水
素と塩基とを併用することもできる。アルカリ金属水硫
化物としては、水硫化リチウム,水硫化ナトリウム,水
硫化ルビジウム,水硫化カリウム及び水硫化セシウムな
どが挙げられる。これらの中で、水硫化リチウム,水硫
化ナトリウムが好ましく、特に水硫化リチウムが好まし
い。これらは一種を単独で用いても二種以上を組み合わ
せて用いてもよい。
【0006】塩基としては、前記アルカリ金属水硫化物
を前記アルカリ金属硫化物に転化できるもの、前記硫化
水素を前記アルカリ金属水硫化物に転化できるもの、あ
るいは前記アルカリ金属水硫化物又は前記硫化水素とを
後述するジハロゲン化芳香族化合物との縮合によって生
じ得るハロゲン化水素を効率良く中和もしくは受容する
ことができるとともに、本発明の目的を阻害しない酸受
容体であれば、無機化合物であっても有機化合物であっ
てもよく、各種の塩基を使用することができるが、通
常、アルカリ金属水酸化物等が好適に使用される。アル
カリ金属水酸化物としては具体的には、水酸化リチウ
ム,水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化ルビジ
ウム、水酸化セシウムなどが挙げられる。これらの中で
水酸化リチウム及び水酸化ナトリウムが好ましく、特に
水酸化リチウムが好ましい。また、有機化合物の塩とし
ては、ω−ヒドロキシカルボン酸の金属塩及びアミノカ
ルボン酸金属塩などを好適に使用することができる。こ
れらの塩基は一種を単独で使用しても二種以上を併用し
てもよい。また、前記塩基の使用割合は、前記アルカリ
金属水硫化物と前記硫化水素との合計の水素原子1モル
当り、通常、0.80〜1.2モル程度で十分である。ま
た、前記アルカリ金属硫化物及びアルカリ金属水硫化物
としては、その1モルに対して2.6〜9モルの水和水を
有する工業製品を予め脱水して用いてもよく、そのまま
用いてもよい。
【0007】本発明の方法で用いるジハロゲン化芳香族
化合物としては、ポリアリーレンスルフィドの製造に用
いられる公知の化合物が挙げられる。例えば、p−ジハ
ロベンゼン,m−ジハロベンゼン等のジハロベンゼン
類;2,3−ジハロトルエン,2,5−ジハロトルエ
ン,2,6−ジハロトルエン,3,4−ジハロトルエ
ン,2,5 −ジハロキシレン,1−エチル−2,5−ジ
ハロベンゼン,1,2,4,5−テトラメチル−3,6
−ジハロベンゼン,1−ノルマルヘキシル−2,5−ジ
ハロベンゼン,1−シクロヘキシル−2,5−ジハロベ
ンゼンなどのアルキル置換ジハロベンゼン類又はシクロ
アルキル置換ジハロベンゼン類;1−フェニル−2,5
−ジハロベンゼン,1−ベンジル−2,5−ジハロベン
ゼン,1−p−トレイル−2,5−ジハロベンゼン等の
アリール置換ジハロベンゼン類;4,4’−ジハロビフ
ェニル等のジハロビフェニル類;1,4−ジハロナフタ
レン,1,5−ジハロナフタレン,2,6−ジハロナフ
タレン等のジハロナフタレン類などが挙げられる。
【0008】ジハロゲン化芳香族化合物の使用量は、後
述する分岐剤を使用しない場合には、前記硫黄源中の硫
黄原子1モルに対し、通常0.90〜1.30モルであり、
好ましくは0.95〜1.20モルである。分岐剤を使用す
る場合、前記硫黄源中の硫黄原子1モルに対し、ジハロ
ゲン化芳香族化合物と分岐剤との合計モル数が、通常0.
90〜1.30モルであり、好ましくは0.95〜1.20モ
ルである。本発明で用いる相分離剤としては、塩化リチ
ウム、フッ化リチウム等のハロゲン化リチウム;酢酸リ
チウム及び酢酸ナトリウム等のアルカリ金属酢酸塩;ス
ルホン酸リチウム、スルホン酸ナトリウム等のアルカリ
金属スルホン酸塩及び水などが挙げられる。この中でハ
ロゲン化リチウム、アルカリ金属酢酸塩及び水が好まし
い。相分離剤の使用量は、ポリマー相が生成する量であ
ればよく、特に制限はないが、前記硫黄源中の硫黄原子
1モルに対し、通常0.05〜3.0モルであり、好ましく
は0.2〜2.5モルである。相分離剤の使用量が0.05未
満であると、相分離剤を添加する効果が充分ではなく、
反応速度が遅くなったり、得られるPASの高分子量化
や高純度化が充分に進まないことがある。一方相分離剤
の使用量が3.0モルを超えても、使用量に見合った効果
が得られるものでもなく、製造コストが高くなり、経済
的ではない。
【0009】本発明においては、前記相分離剤と共に、
必要に応じて、活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物、
1中に3個以上のハロゲン原子を有するポリハロゲン化
芳香族化合物及びハロゲン化芳香族ニトロ化合物などの
分岐剤を適当に選択して反応系に添加使用することもで
きる。活性水素含有ハロゲン化芳香族化合物としては、
例えばアミノ基,チオール基,ヒドロキシル基などの活
性水素を持つ官能基を有するハロゲン化芳香族化合物を
挙げることができ、さらに具体的には、2,6−ジクロ
ロアニリン,2,5−ジクロロアニリン,2,4−ジク
ロロアニリン,2,3−ジクロロアニリン等のジハロア
ニリン類;2,3,4−トリクロロアニリン,2,3,
5,−トリクロロアニリン,2,4,6−トリクロロア
ニリン,3,4,5−トリクロロアニリン等のトリハロ
アニリン類;2,2’−ジアミノ−4,4’−ジクロロ
ジフェニルエーテル,2,4’−ジアミノ−2',4−ジ
クロロジフェニルエーテル等のジハロアミノジフェニル
エーテル類及びこれらの化合物においてアミノ基がチオ
ール基やヒドロキシル基に置き換えられた化合物などが
挙げられる。また、これらの活性水素含有ハロゲン化芳
香族化合物の中の芳香族環を形成する炭素原子に結合し
た水素原子が他の不活性基、例えばアルキル基などの炭
化水素基に置換している活性水素含有ハロゲン化芳香族
化合物も使用することができる。これらの各種活性水素
含有ハロゲン化芳香族化合物の中でも、好ましいのは活
性水素含有ジハロゲン化芳香族化合物であり、特に好ま
しいのはジクロロアニリンである。
【0010】前記1分子中に3個以上のハロゲン原子を
有するポリハロゲン化芳香族化合物としては、例えば
1,2,4−トリクロロベンゼン,1,3,5−トリク
ロロベンゼン,1,4,6−トリクロロナフタレン等が
挙げられる。前記ハロゲン化芳香族ニトロ化合物として
は、例えば2,4−ジニトロクロロベンゼン等のモノハ
ロニトロベンゼン類;2,5−ジクロロニトロベンゼン
等のジハロニトロベンゼン類;2−ニトロ−4,4’−
ジクロロジフェニルエーテル等のジハロニトロジフェニ
ルエーテル類;3,3’−ジニトロ−4,4’−ジクロ
ロジフェニルスルホン等のジハロニトロジフェニルスル
ホン類;2−クロロ−3,5−ジニトロピリジン等のモ
ノハロニトロピリジン類;2,5−ジクロロ−3−ニト
ロピリジン等のジハロニトロピリジン類及び各種ジハロ
ニトロナフタレン類などが挙げられる。これらの活性水
素含有ハロゲン化芳香族化合物,ポリハロゲン化芳香族
化合物及びハロゲン化芳香族ニトロ化合物などを使用す
ることによって、生成する重合体の分岐度を増加させた
り、分子量をさらに増加させたり、溶融流動性の低下し
たゲル形成性重合体を生成したりして、この発明の方法
により生成する重合体の該特性をさらに改善することが
できる。本発明の方法において、これらの分岐剤は、一
種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用
いてもよい。分岐剤の使用量は、前記硫黄源中の硫黄原
子1モルに対し、通常0.0005〜0.05モルであり、
好ましくは0.001〜0.02モルである。
【0011】本発明に用いられる有機極性溶媒として
は、非プロトン性の極性有機化合物(例えば、アミド化
合物,ラクタム化合物,尿素化合物,有機硫黄化合物,
環式有機リン化合物等)を、単独溶媒として又は混合溶
媒として好適に使用することができる。これらの非プロ
トン性の極性有機化合物のうち、前記アミド化合物とし
ては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N
−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジプロピ
ルアセトアミド、N,N−ジメチル安息香酸アミドなと
を挙げることができる。
【0012】また、前記ラクタム化合物としては、例え
ば、カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、N−
エチルカプロラクタム、N−イソプロピルカプロラクタ
ム、N−イソブチルカプロラクタム、N−ノルマルプロ
ピルカプロラクタム、N−ノルマルブチルカプロラクタ
ム、N−シクロヘキシルカプロラクタム等のN−アルキ
ルカプロラクタム類、N−メチル−2−ピロリドン(N
MP)、N−エチル−2−ピロリドン、N−イソプロピ
ル−2−ピロリドン、N−イソブチル−2−ピロリド
ン、N−ノルマルプロピル−2−ピロリドン、N−ノル
マルブチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2
−ピロリドン、N−メチル−3−メチル−2−ピロリド
ン、N−エチル−3−メチル−2−ピロリドン、N−メ
チル−3,4,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−
メチル−2−ピペリドン、N−エチル−2−ピペリド
ン、N−イソプロピル−2−ピペリドン、N−メチル−
6−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−3−エチル
−2−ピペリドンなどを挙げることができる。
【0013】また、前記尿素化合物としては、例えば、
テトラメチル尿素、N,N’−ジメチルエチレン尿素、
N,N’−ジメチルプロピレン尿素などを挙げることが
できる。さらに、前記有機硫黄化合物としては、例え
ば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、ジ
フェニルスルホン、1−メチル−1−オキソスルホラ
ン、1−エチル−1−オキソスルホラン、1−フェニル
−1−オキソスルホランなどを、また、前記環式有機リ
ン化合物としては、例えば、1−メチル−1−オキソホ
スホラン、1−ノルマルプロピル−1−オキソホスホラ
ン、1−フェニル−1−オキソホスホランなどを挙げる
ことができる。これら各種の非プロトン性極性有機化合
物は、それぞれ一種を単独で又は二種以上を混合して、
さらには、本発明の目的に支障のない他の溶媒成分と混
合して、有機極性溶媒として使用することができる。前
記各種の非プロトン性有機溶媒の中でも、好ましいのは
N−アルキルカプロラクタム及びN−アルキルピロリド
ンであり、特に好ましいのはN−メチル−2−ピロリド
ンである。有機極性溶媒の使用量は、前記硫黄源中の硫
黄原子1モルに対し、通常1〜30モルであり、好まし
くは3〜15モルである。
【0014】PASの重合反応は、230〜290℃、
好ましくは240〜280℃、より好ましくは250〜
270℃における一段反応で行ってもよいが、重縮合の
前に、180〜230℃、好ましくは190〜220
℃、より好ましくは195〜215℃で予備重合を行う
ことが好ましい。重縮合の反応時間は、0.5〜10時
間、好ましくは1.0〜10時間、より好ましくは1.5〜
10時間である。本発明の製造方法は、攪拌翼を有する
重合槽を用いてポリアリーレンスルフィドを製造する
際、上記攪拌翼として、その先端部付近に切欠き部を有
しないものを用い、かつ攪拌翼の先端部を、これと重合
槽底部及び/又は鏡部との距離がその先端部全体にわた
り実質等しくなるような隙間を形成させるような形状と
して重合を行うことを特徴としている。
【0015】従来、PASの重合においては、攪拌翼を
用いる場合、通常、その下部中央部付近に切欠き部を有
するものを用い、これにより重合槽の底部に沈降したポ
リマー相を巻き上げ、攪拌を行う。しかしながら、この
ような場合、巻き上げられたポリマー相が上記切欠き部
に滞留し、十分な攪拌状態が得られず、高分子量のPA
Sが得られないことがある。従って、本発明において
は、先端部付近に切欠き部を有しない攪拌翼を用いて重
合反応を行う。ここで、先端部付近に切欠き部を有しな
い攪拌翼としては、先端部あるいはその付近に切欠き部
がないものであればその形状は特に制限されないが、通
常ポリマーの重合反応に使用される攪拌翼で切欠き部を
有しないものがいずれも使用できる。このような攪拌翼
としては、例えば、切欠き部を有しない大型攪拌翼、特
に、一軸大型平板翼と呼ばれるアンカー翼、スクリュー
翼、マックスブレンド翼、大型パドル翼、フルゾーン翼
などで切欠き部を有しないものが好ましく用いられ、特
に本発明の目的の点からフルゾーン翼が好ましく用いら
れる。
【0016】本発明においては、上記攪拌翼を用い、か
つ攪拌翼の先端部を、これと重合槽底部及び/又は鏡部
との距離がその先端部全体にわたり実質等しくなるよう
な隙間を形成させるような形状として重合を行うもので
ある。ここで鏡部とは、重合槽において胴部の端を構成
する皿板などの板部をいう。また、攪拌翼の先端部と
は、攪拌翼の先端あるいは下端縁部のうち上記鏡部及び
/又は重合槽底部に対面する部分をいい、本発明におい
ては、その縁部と鏡部及び/又は重合槽底部との距離が
その縁部全体にわたって実質同一、すなわち等距離にあ
るような形状の攪拌翼を設置することが好ましい。本発
明において、上記攪拌翼の先端部と重合槽底部及び/又
は鏡部との間の距離はその規模により適宜選定され、特
に制限はないが、例えば、槽径に対して10%以下、特
に2〜5%の範囲であることが攪拌状態を良好に保つう
えで好ましい。また、本発明において「実質等しい距
離」とは、攪拌翼の先端部と重合槽底部及び/又は鏡部
との間の平均距離に対して、攪拌翼先端部の各位置によ
り槽径の±1%程度の変動を含むことを意味する。
【0017】本発明のPAS製造に用いられる重合槽に
おいては、その攪拌動力Pvは0.025〜0.3kW/m
3 程度であることが好ましい。この範囲で、本発明の攪
拌翼を使用すると、ポリマー相の良好な分散状態を得る
ことができる。本発明においては、重合槽にバッフルを
設けることが好ましく、用いられるバッフルとしては特
に制限はないが、例えば、重合槽に非対称に配置された
バッフル及び/又は丸棒状形状を有するバッフルを用い
ることが好ましい。重合槽に非対称に配置されたバッフ
ルとしては、重合槽の中心軸あるいは該軸を含む平面に
対し非対称な位置に設置されたバッフル、あるいは対称
位置にあっても形状あるいは大きさが非対称であるバッ
フルをいずれも包含する。特に、その各々が重合槽壁面
に沿って等間隔に配置されないもの、等間隔に配置され
ているがそのうち少なくとも1のバッフルを設けないも
のが好ましく挙げられる。また、対称位置にあっても形
状あるいは大きさが非対称であるバッフルとしては、対
称位置にある双方のバッフルの長さ及び/又は幅が異な
るものを用いることができる。本発明に用いられる丸棒
状形状を有するバッフルとしては、その径が重合槽内径
の10%以下、更に3〜7%であることが好ましい。
【0018】図1及び図2はそれぞれ本発明のPAS製
造装置の一例を示す概略断面図である。すなわち、図
1、図2は、いずれも本発明の重合装置のうち、その先
端部付近に切欠き部を有しない攪拌翼を具備し、かつそ
の先端部と重合槽底部及び/又は鏡部との距離がその先
端部全体にわたり実質等しくなるような隙間を形成させ
るような形状を有するポリアリーレンスルフィドの製造
装置であり、図1はフルゾーン翼で切欠き部のないも
の、図2はマックスブレンド翼で切欠き部のないものを
用いた各々の例である。図1、図2の各々によれば、切
欠き部のない攪拌翼2及びバッフル3を具備する重合槽
1において、底部鏡板4に抜出し部5が設けられてい
る。本発明においては、本発明の特定の攪拌翼2を具備
した重合槽1において、有機極性溶媒中で、硫黄源とジ
ハロゲン芳香族化合物とを必要に応じ相分離剤の存在下
に、攪拌下重縮合させ、分離した溶媒相とポリマー相の
うち比重差によって下部に沈降するポリマー相を、重合
槽底部鏡板4に設けられた抜出し部5から抜き出し、沈
降するポリマー相の塊状化を防止するものである。
【0019】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて更に具体的
に説明する。 実施例1予備重合 攪拌機のついた1m3 チタン製原料合成槽にN−メチル
−2−ピロリドン(NMP)554kg及び水酸化リチ
ウム(LiOH・H2 O)100kg(2.38キロモ
ル)を仕込み、昇温し140℃に保ち、原料水酸化リチ
ウム中に含まれる水を回分蒸留し除去した。次いで、温
度を130℃に保ったまま、気体状の硫化水素を65N
キロリットル吹き込み水硫化リチウムを合成した。その
後、硫化水素の吹き込みを停止し、重合槽を再び205
℃まで昇温した。昇温に伴い、硫化水素を吹き込んだ際
に副生する水を回分蒸留により除去するとともに、水硫
化リチウムから硫化リチウムを生成した。反応終了後、
反応物中には硫化リチウムが1.08キロモル及びN−
メチル酪酸リチウムが0.214キロモル含まれてい
た。これにパラジクロロベンゼン(PDCB)を16
5.1kg(1.123キロモル)を投入し、更に、純
水583kg(0.32キロモル)を投入し、210℃
にて3時間反応させた。反応液を60℃以下になるまで
冷却し、反応器から反応混合物を20L容器に抜き出し
た。PDCBの転化率は85%であった。
【0020】連続本重合 図1に示す重合槽を用いて本重合を行った。すなわち、
鏡板の底部中央に内径4mmの抜出しラインを、壁面に
直径12mmで液面から鏡板まで300mmの丸棒バッ
フル4本が等間隔に対座するように、また、液面計を設
け、攪拌翼として切欠きを有しないフルゾーン翼をフル
ゾーン翼先端と底部とのクリアランスを10mmとなる
ように装着した10リットルオートクレーブに、相分離
剤として塩化リチウム855g、NMP5145gを仕
込み、260℃迄昇温し、前記予備重合において得られ
たプレポリマーを60℃に保持し、ギヤポンプを用いて
45g/分の速度で連続的に供給した。攪拌翼の回転数
は165rpm、攪拌動力0.2kW/m3 であった。一
方、液面計と抜出しラインに設けたバルブの制御によ
り、液面が一定になるように底部中央の抜出しラインか
らポリマー相を連続的に抜き出した。液深の中央に位置
するサンプルラインから抜き取った液(ポリマー相と溶
媒相とが分散したもの)について、冷却後、顕微鏡でポ
リマー相の分散状態を観察したところ、球状のポリマー
が観察され、重合槽中での分散状態が良好であることが
わかった。また、それを多量の熱水で洗浄し、乾燥させ
た後、α−クロロナフタレンに0.4dl/gの濃度にな
るように溶解させ、206℃の温度でウベロード粘度計
を使用して固有粘度を測定したところ、その値は0.30
と高く、高分子量のPPSが得られたことがわかった。
【0021】比較例1 連続重合槽として図3に示すものを用いたこと、すなわ
ち、実施例1で用いた攪拌翼に代えて、幅16mm、深
さ24mmの切欠きを有するほかは同一の攪拌翼を使用
した以外は実施例1と同様に操作を行った。同様にポリ
マー相の分散状態を観察したところ、固有粘度が0.30
であり、所望の高分子量のPPSが得られているもの
の、不定形のポリマーが観察され、重合槽中での分散状
態が不良であることがわかった。
【0022】実施例2 連続重合槽として図2に示すものを用いたこと、すなわ
ち、実施例1で用いた攪拌翼に代えて、切欠きを有しな
いマックスブレンド翼を用い、供給速度を39g/分と
した以外は実施例1と同様に操作を行った。同様にポリ
マー相の分散状態を観察したところ、球状のポリマーが
観察され、重合槽中での分散状態が良好であることがわ
かった。また、固有粘度は0.29と高く、高分子量のP
PSが得られていることがわかった。
【0023】比較例2 連続重合槽として図4に示すものを用いたこと、すなわ
ち、実施例2で用いた攪拌翼に代えて、下端幅22m
m、上端幅16mm、深さ10mmの切欠きを有するほ
かは同一の攪拌翼を使用した以外は実施例2と同様に操
作を行った。同様にポリマー相の分散状態を観察したと
ころ、固有粘度が0.29であり、所望の高分子量のPP
Sが得られているものの、不定形のポリマーが観察さ
れ、重合槽中での分散状態が不良であることがわかっ
た。
【0024】
【発明の効果】本発明の製造方法及び装置によれば、P
AS重合槽においてポリマー相の均一な分散状態を形成
させることができ、高分子量のPASを製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造装置の一例を示す概略断面図であ
る。
【図2】本発明の製造装置の一例を示す概略断面図であ
る。
【図3】本発明外の製造装置の一例を示す概略断面図で
ある。
【図4】本発明外の製造装置の一例を示す概略断面図で
ある。
【符号の説明】
1: 重合槽 2: 攪拌翼 3: バッフル 4: 鏡板 5: 抜出し部
フロントページの続き Fターム(参考) 4J030 BA03 BB21 BC02 BD21 BF09 BF13 BF15 BG04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 攪拌翼を有する重合槽を用いてポリアリ
    ーレンスルフィドを製造する方法において、上記攪拌翼
    として、その先端部付近に切欠き部を有しないものを用
    い、かつ攪拌翼の先端部を、これと重合槽底部及び/又
    は鏡部との距離がその先端部全体にわたり実質等しくな
    るような隙間を形成させるような形状として重合を行う
    ことを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 攪拌翼が、アンカー翼、スクリュー翼、
    マックスブレンド翼、大型パドル翼及びフルゾーン翼か
    ら選ばれるものであり、かつ切欠き部を有しないものこ
    とを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 攪拌翼を具備した重合槽を有するポリア
    リーレンスルフィドの製造装置において、上記攪拌翼
    が、その先端部付近に切欠き部を有しないものであり、
    かつその先端部と重合槽底部及び/又は鏡部との距離が
    その先端部全体にわたり実質等しくなるような隙間を形
    成させるような形状を有することを特徴とするポリアリ
    ーレンスルフィドの製造装置。
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