JP3540583B2 - ポリアリーレンスルフィド及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はポリアリーレンスルフィド及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、アミノ基を末端に有するポリアリーレンスルフィドを含み、かつ特定の分岐指数を示すポリアリーレンスルフィド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアリーレンスルフィド(以下、PASということがある)樹脂は、機械的強度,耐熱性,耐薬品性等に優れるエンジニアリングプラスティックとして知られ、その成形品は様々な用途に用いられている。
しかしながら、ポリアリーレンスルフィドの成形においては、バリが発生するという欠点があることが指摘されてきた。
【0003】
かかるバリ量の低減方法として、様々な方法が提案されている。例えば、熱架橋により分岐を多く導入する方法があるが、この場合、バリ量は低減するものの機械的物性が低下し、分解ガスが派生したりするおそれがあった(特開昭64−9266号公報)。また、ポリカルボジイミド化合物を添加する方法(特開昭61−14251号公報)、有機リン酸アルカリ金属化合物を添加する方法(特開平1−54066号公報)、有機アルミニウムを添加する方法(特開平2−191666号公報)や炭素系物質を添加する方法(特開平9−100412号公報)等が提案されているが、いずれもバリ量の低減については十分ではなかった。
【0004】
さらには、他の樹脂と複合化したり(特開平4−213357号公報等)、共重合させたり(特開平8−134352号公報等)、ポリアリーレンスルフィドを変性させたり(特開平5−170908号公報等)する技術も提案されているが、これらによってもバリ量の低減は十分とは言えなかった。
あるいは、バリ量は低減できても、その結果機械的強度が低下することがあり、バリ量低減と機械的強度の両方を十分に満足する技術は未だ得られていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、引張強度や曲げ強度、耐衝撃性等の機械的強度に優れる上に、成形時にバリ発生量が極めて少なく、流動成形性に優れることから種々の成形が可能なポリアリーレンスルフィド及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、アミノ基を末端に有するポリアリーレンスルフィドを含み、かつ特定の分岐指数を示すポリアリーレンスルフィドにより、上記目的を達成しうることを見出した。本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のポリアリーレンスルフィド及びその製造方法を提供するものである。
(1)アミノ基を末端に有するポリアリーレンスルフィドを含むポリアリーレンスルフィドであって、該末端アミノ基とベンゼン環のモル比が、0.001〜0.1/0.9〜0.999であり、かつ分岐指数N値が、1.05〜1.50であるポリアリーレンスルフィド。ここで分岐指数N値とは、樹脂の溶融粘度η及び剪断速度γに関し、logηをlogγの関数としてlogη=f(logγ)で表したとき、下記(1)式で表される値である。
【0008】
【数2】
【0009】
(式中、ηL は直鎖ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度、ηB は分岐指数N値を求めようとしている分岐ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度を表す。∂logη/∂logγ|γ=200とは、logγによるlogηの偏微分∂logη/∂logγにおいて、γ=200(sec-1)における偏微分値を表す。)
(2)ポリアリーレンスルフィドオリゴマーを合成し、ついで、アミノ化剤及び分岐剤を加えてさらに重合反応を行なうことを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
1.アミノ基を末端に有するポリアリーレンスルフィドを含むポリアリーレンスルフィドであって、該末端アミノ基とベンゼン環のモル比が、0.001〜0.1/0.9〜0.999であり、かつ後述する分岐指数N値が、1.05〜1.50であるポリアリーレンスルフィド
(1)アミノ基を末端に有するポリアリーレンスルフィドを含むポリアリーレンスルフィド
本発明にかかる「アミノ基を末端に有するポリアリーレンスルフィドを含むポリアリーレンスルフィド」とは、アミノ基を末端に有するポリアリーレンスルフィドのみからなるものでもよく、アミノ基を末端に有するポリアリーレンスルフィドとアミノ基を末端に有さないポリアリーレンスルフィドとの混合物でもよい。
【0011】
▲1▼ポリアリーレンスルフィドとは、具体的には、構造式−Ar−S−(ただしArはアリーレン基)で示される繰り返し単位を70モル%以上含有する重合体である。その代表的なものは、下記構造式(I)
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、R1は炭素数6以下のアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、カルボン酸/金属塩、アミノ基、ニトロ基、フッ素,塩素,臭素等のハロゲン原子から選ばれる置換基であり、mは0〜4の整数である。また、nは平均重合度を示し1.3〜30の範囲である)で示される繰り返し単位を70モル%以上有するポリフェニレンスルフィドである。
【0014】
PASとしては、繰り返し単位としてパラフェニレンスルフィド単位を70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上含有するホモポリマーまたはコポリマー(以下PPSと略称)が挙げられる。共重合構成単位としては、例えばメタフェニレンスルフィド単位、オルソフェニレンスルフィド単位、p,p’−ジフェニレンケトンスルフィド単位、p,p’−ジフェニレンスルホンスルフィド単位、p,p’−ビフェニレンスルフィド単位、p,p’−ジフェニレンエーテルスルフィド単位、p,p’−ジフェニレンメチレンスルフィド単位、p,p’−ジフェニレンクメニルスルフィド単位、ナフチルスルフィド単位などが挙げられる。PASの好適例としては、例えば下記構造式(II)で示されるポリフェニレンスルフィド(以下、PPSと称することがある。)を挙げることができる。
【0015】
【化2】
【0016】
▲2▼アミノ基を末端に有するポリアリーレンスルフィドとは、上記ポリアリーレンスルフィドにおいて、そのポリマー鎖の両末端又は片末端が−SHではなく、−NH2 等のアミノ基であるものをいう。
(2)本発明にかかるポリアリーレンスルフィドが、アミノ基を末端に有するポリアリーレンスルフィドとアミノ基を有さないポリアリーレンスルフィドとの混合物の場合においては、末端アミノ基とベンゼン環のモル比とは、末端アミノ基と全ベンゼン環のモル比をいう。全ベンゼン環とは、アミノ基を末端に有するポリアリーレンスルフィド及びアミノ基を末端に有さないポリアリーレンスルフィドにおけるベンゼン環の合計をいう。かかる末端アミノ基とベンゼン環のモル比が、0.001〜0.1/0.9〜0.999、好ましくは0.005〜0.05/0.95〜0.995である。末端アミノ基とベンゼン環のモル比が、0.1/0.9を超える場合、ポリアリーレンスルフィドとして分子量が低くなってしまうおそれがある。0.001/0.999未満の場合、機械的強度が低下するおそれがある。
(3)本発明にかかるポリアリーレンスルフィドにおいては、下記の分岐指数N値が、1.05〜1.50、好ましくは1.10〜1.30である。1.50を超えると機械的強度、特に靱性が低下するおそれがあり、1.05未満だと成形時のバリの低減が達成できないおそれがある。ここで分岐指数N値とは、樹脂の溶融粘度η及び剪断速度γに関し、logηをlogγの関数としてlogη=f(logγ)で表したとき、下記(1)式で表される値である。
【0017】
【数3】
【0018】
(式中、ηL は直鎖ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度、ηB は分岐指数N値を求めようとしている分岐ポリアリーレンスルフィドの溶融粘度を表す。∂logη/∂logγ|γ=200とは、logγによるlogηの偏微分∂logη/∂logγにおいて、γ=200(sec-1)における偏微分値を表す。)
ところで、溶融粘度η及び剪断速度γに関し、logηをlogγの関数としてlogη=f(logγ)で表すにあたっては、以下の関係式からある剪断速度における溶融粘度値を数点求め、その数点について、最小自乗法等の数学的処理をすることにより関数化することができる。
【0019】
即ち、剪断速度及び剪断応力は、一定のシリンダー及びオリフィスを有するキャピラリーレオメーターを用いることにより、試料をある一定の押出速度で押し出すのに要する荷重から以下の計算式に基づいて得られる値である。
・剪断速度(sec-1)
={4・(SR)2 ・押出速度(mm/分)}/(10×60×R3 )
・剪断応力(dyne/cm2 )
={荷重(kg)・980・103 }/{π・(SR)・2・L}
これらにおいて、
SR: シリンダー半径
R : オリフィス半径
L : オリフィス長さ
この時、溶融粘度は、次式により求められる。
【0020】
・溶融粘度(poise)
=剪断応力(dyne/cm2 )/剪断速度(sec-1)
さらに、上記(1)式において、直鎖ポリアリーレンスルフィドとは、分岐指数Nを求めようとしている分岐ポリアリーレンスルフィドと同じ繰り返し単位からなり、さらに共重合体の場合は同じ構成モノマー比率であり、対数粘度〔η〕ihn =0.15〜0.30デシリットル/gである直鎖ポリアリーレンスルフィドを指している。即ち、例えば、上記分岐ポリアリーレンスルフィドを製造する方法において、分岐剤を添加せず、かつ架橋もさせない条件下で製造して得たポリアリーレンスルフィド等が該当する。
2.本発明にかかるポリアリーレンスルフィドの製造方法
本発明にかかるポリアリーレンスルフィドの製造方法については、特に制限はないが、好ましくは、ポリアリーレンスルフィドオリゴマーをまず合成し、ついで、アミノ化剤及び分岐剤を加えてさらに重合反応を行なう方法である。
【0021】
以下に該製造方法について詳述する。
(1)ポリアリーレンスルフィドオリゴマーの合成
ジハロ芳香族化合物と、硫黄源とを有機極性溶媒中で重縮合反応させるという公知の方法により製造することができる。具体的には、水酸化リチウムを含有する非プロトン性溶媒中に、液体又は気体状のイオウ化合物を投入させることにより、水酸化リチウムとイオウ化合物を直接反応させ、その反応液中にジハロゲン化芳香族化合物を投入して重縮合させる方法が好ましく挙げられる。水酸化リチウムとイオウ化合物との反応が、Li/S=2以上(モル比)の条件下で行われたものが好ましい。
【0022】
用いられる非プロトン性有機溶媒としては、一般に、非プロトン性の極性有機化合物(たとえば、アミド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,有機イオウ化合物,環式有機リン化合物等)を、単独溶媒として、または、混合溶媒として、好適に使用することができる。
これらの非プロトン性の極性有機化合物のうち、アミド化合物としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジエチルホルムアミド,N,N−ジメチルアセトアミド,N,N−ジエチルアセトアミド,N,N−ジプロピルアセトアミド,N,N−ジメチル安息香酸アミド等を挙げられ、ラクタム化合物としては、例えば、カプロラクタム,N−メチルカプロラクタム,N−エチルカプロラクタム,N−イソプロピルカプロラクタム,N−イソブチルカプロラクタム,N−ノルマルプロピルカプロラクタム,N−ノルマルブチルカプロラクタム,N−シクロヘキシルカプロラクタム等のN−アルキルカプロラクタム類,N−メチル−2−ピロリドン(NMP),N−エチル−2−ピロリドン,N−イソプロピル−2−ピロリドン,N−イソブチル−2−ピロリドン,N−ノルマルプロピル−2−ピロリドン,N−ノルマルブチル−2−ピロリドン,N−シクロヘキシル−2−ピロリドン,N−メチル−3−メチル 2−ピロリドン,N−エチル−3−メチル−2−ピロリドン,N−メチル−3 4,5−トリメチル−2−ピロリドン,N−メチル−2−ピペリドン,N−エチル−2−ピペリドン,N−イソプロピル−2−ピペリドン,N−メチル−6−メチル−2−ピペリドン,N−メチル−3−エチル−2−ピペリドンなどを挙げることができる。
【0023】
また、尿素化合物としては、例えば、テトラメチル尿素,N,N’−ジメチルエチレン尿素,N,N’−ジメチルプロピレン尿素などが挙げられ、有機イオウ化合物としては、たとえば、ジメチルスルホキシド,ジエチルスルホキシド,ジフェニルスルホン,1−メチル−1−オキソスルホラン,1−エチル−1−オキソスルホラン,1−フェニル−1−オキソスルホランなど、また、前記環式有機リン化合物としては、たとえば、1−メチル−1−オキソホスホラン,1−ノルマルプロピル−1−オキソホスホラン,1−フェニル−1−オキソホスホランなどを挙げることができる。
【0024】
これら各種の非プロトン性極性有機化合物は、それぞれ一種単独で、または二種以上を混合して、さらには、本発明の目的に支障のない他の溶媒成分と混合して使用することができる。
前記各種の非プロトン性有機溶媒の中でも、好ましいのはN−アルキルカプロラクタム及びN−アルキルピロリドンであり、特に好ましいのはN−メチル−2−ピロリドンである。 (2)本発明にかかるポリアリーレンスルフィドの合成
上記のポリアリーレンスルフィドオリゴマーを含む反応液に、アミノ化剤及び分岐剤、さらには必要に応じて水酸化リチウム及び水を添加し、昇温して反応をおこさせることにより得ることができる。
【0025】
▲1▼末端アミノ基とベンゼン環のモル比は、アミノ化剤の投入量によって制御することが可能である。アミノ化剤としては、特に制限はないが、例えば、(i)アミノ基とチオール基、(ii)アミノ基とチオール基とアルカリ性化合物との組合せ、(iii)アミノ基とチオラート基(−SM;Mは、アルカリ又はアルカリ土類金属)を有する化合物を挙げることができ、なお、(i) 〜(iii)を適宜組み合わせてもよい。(i) としては、パラアミノチオフェノール、オルソアミノチオフェノール、アミノアルキルメルカプタン等を挙げることができ、パラアミノチオフェノール、オルトアミノチオフェノールが好ましい。(ii)のアルカリ性化合物としては、原理的には、(i) の化合物のチオール基をチオラート基に変換できるものであればよく、具体的には、アルカリ金属もしくは土類金属の水酸化物または炭酸塩を挙げることができ、水酸化物と炭酸塩との混合物であってもよい。(iii)としては、パラアミノチオフェノール,オルソアミノチオフェノール,アミノアルキルメルカプタン等の金属塩を挙げることができる。
【0026】
本発明においては、オルソアミノチオフェノールが好ましく用いられる。
▲2▼分岐剤としては、特に制限はないが、例えば、1,2,4−トリクロロベンゼンのように、1分子あたり3個以上のハロゲンを有するポリハロゲン芳香族化合物が好ましい。
▲3▼反応条件
非プロトン性有機溶媒中でのPASオリゴマーとアミノ化剤及び分岐剤との反応については、特に制限はないが、以下の条件が好ましい。
【0027】
(i) 反応濃度,配合割合
ポリアリーレンスルフィドの反応濃度は、非プロトン性有機溶媒1リットルに対し50〜500gが好ましく、100〜400gがさらに好ましい。50g未満であると、生産性が低下することがあり、500gを超えると反応率の低下および副反応が起こることがある。
【0028】
アミノ化剤の配合割合は、ポリアリーレンスルフィド1基本モルに対して0.2〜10モル%が好ましく、0.5〜5モル%がさらに好ましい。0.2モル%未満であると、生成PAS中の末端アミノ化PASの割合が小さくなり、機械的強度の低下を招くおそれがある。また、10モル%を超えると生成PAS全体の分子量が低下するおそれがある。
【0029】
また、分岐剤の配合割合は、ポリアリーレンスルフィド1基本モルに対して、0.05〜5モル%が好ましく、0.2〜2モル%がさらに好ましい。0.05モル%未満であると、分岐構造の導入量が少なくなり、発生するバリの量が多くなるおそれがある。また、5モル%を超えると、分岐数が多くなりすぎ、重合中にゲル化したり、生成ポリマーの強度がさがってしまうおそれがある。
(ii)アミノ化剤及び分岐剤の添加時期
特に問わないが、ポリアリーレンスルフィドオリゴマーを含む反応液にアミノ化剤及び分岐剤を最初から添加しておく方法や、反応中に添加する方法も行なわれる。プロセス上の有利さから好ましくは最初から添加しておく方法が行なわれる。
(iii)反応温度
反応温度は、180℃〜300℃が好ましく、200〜280℃がさらに好ましい。180℃未満であるとアミノ化が十分進行しないことがあり、300℃を超えるとPASが劣化してしまうことがある。
(iv) 反応時間
反応時間は、一概には規定できないが、通常30分〜30時間が好ましく、1〜15時間がさらに好ましい。30分未満であると反応が不十分となるおそれがあり、30時間を超えると副反応が起こると共に末端アミノ化PASの分子量が低下することがある。
【0030】
▲4▼ポリマー回収及び後処理
上記により得られたポリアリーレンスルフィドの回収及び後処理方法については特に問わないが、ろ過後、まず塩除去のための水洗浄を行い、ついでオリゴマー除去のための有機溶媒(アセトン,アルコール)による加熱,加圧洗浄、アルカリ中和のための酸洗浄、さらには溶媒及び塩除去のための水洗浄を行なう等の方法が好ましく行なわれる。
【0031】
洗浄後、100℃以上での熱風乾燥又は真空乾燥を5時間以上行なうことがさらに好ましい。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
尚、評価は次の方法で行なった。
(1) 溶液粘度(ηinh )
ウベローデ粘度計を用い、0.4g/デシリットルの濃度、温度235℃のα−クロロナフタレン溶液に試料を30分保持して溶解させた後、206℃で測定した。
(2) 溶融粘度(ηm )
キャピラリーレオメーター(東洋精機社製、キャピログラフIC相当)を用いて、樹脂温度300℃、オリフィス半径1mm,オリフィス長さ20mmの条件下で前述の算出方法により求めた。
(3) 分岐指数N値
ある剪断速度における溶融粘度の値を5点以上求め、各々のlog値について最小自乗法によりlogηをlogγの関数としてlogη=f(logγ)を求め、前述の方法により分岐指数N値を算出した。
(4) 末端アミノ基量(mol%)
FT−IR(BIO−LAD社製、FTS−165)により、NH伸縮振動(N−H,3370cm-1)と芳香族水素伸縮振動(ベンゼン−H,3066cm-1)との吸光度比より算出した。
(5) バリ量
バリ測定用カセット金型で成形した試験片のバリ量を投影機により目視で観察し平均のところを求めた。
[実施例1]
攪拌翼のついた攪拌機付きステンレス製10リットルオートクレーブに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)4.5リットル、パラジクロロベンゼン(PDCB)1323.0g及び硫化リチウム(Li2S)413.5gを仕込み、窒素雰囲気下、200℃まで昇温し、5時間反応させ、ポリアリーレンスルフィドオリゴマーを合成した。
【0032】
次にこの反応液を一旦室温に戻し、この中に、1,2,4−トリクロロベンゼン8.2g,オルトアミノチオフェノール22.6g,水酸化リチウム4.3g,純水83.0gを添加し、窒素雰囲気下、260℃で3時間反応させた。
反応収量後、内温を60℃まで下げ、内容物を取り出しろ過した。次いで10リットルのイオン交換水で3回、20ミリリットルの酢酸を含んだ温度150℃のNMP5リットルで1回、さらに10リットルのイオン交換水で4回洗浄し、副生物の塩化リチウム及びオリゴマー等を除去した。
【0033】
このようにして得たポリマーを100℃にて減圧乾燥し、白色,粒状のポリフェニレンスルフィドポリマーを得た。このポリマーの溶液粘度(ηinh )は0.20デシリットル/g、溶融粘度(ηm )は100Pa・s、分岐指数(N)は1.15、アミノ基の全ベンゼン環量に対するモル比は0.80%であった。
また、評価用サンプルは次のようにして作製した。
【0034】
上記ポリフェニレンスルフィド顆粒600gにカップリング剤(東レシリコーン社製,商品名SH6040)をディスポーザブルシリンジで均一にふりかけ、ポリプロピレン製の袋に入れてドライブレンドした。その後、ガラスファイバー(旭ガラス社製、商品名 JAFT591)400gを該袋の中に入れ、ガラスファイバーが折れないようにゆっくりとドライブレンドを行なった。これを20mmφの単軸押出機によりペレタイズした。
【0035】
このようにして得たペレットを用いて、50t射出成形機(金型温度135℃,保持圧20%)によりバリ評価用サンプルを作製した。また、30t射出成形機(金型温度135℃,射出圧49%)によりその他の評価用サンプルを作製した。
結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
[実施例2]
実施例1において、純水83.0gを添加するかわりに、純水49.7gにした以外は実施例1と同様に行なった。得られたポリマーの溶液粘度(ηinh )は0.22デシリットル/g、溶融粘度(ηm )は250Pa・s、分岐指数(N)は1.32、アミノ基の全ベンゼン環量に対するモル比は0.81%であった。
【0038】
結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、オルトアミノチオフェノール22.6g,純水83.0gを添加するかわりに、オルトアミノチオフェノール33.9g,純水33.2gにした以外は実施例1と同様に行なった。得られたポリマーの溶液粘度(ηinh )は0.25デシリットル/g、溶融粘度(ηm )は160Pa・s、分岐指数(N)は1.39、アミノ基の全ベンゼン環量に対するモル比は1.20%であった。
【0039】
結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、オルトアミノチオフェノール22.6g,純水83.0gを添加するかわりに、オルトアミノチオフェノール56.6g,純水0gにした以外は実施例1と同様に行なった。得られたポリマーの溶液粘度(ηinh )は0.23デシリットル/g、溶融粘度(ηm )は280Pa・s、分岐指数(N)は1.10、アミノ基の全ベンゼン環量に対するモル比は2.00%であった。
【0040】
結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、1,2,4−トリクロロベンゼン8.2g,オルトアミノチオフェノール22.6g,水酸化リチウム4.3g,純水83.0gを添加するかわりに、1,2,4−トリクロロベンゼン32.8g,オルトアミノチオフェノール11.3g,水酸化リチウム2.2g,純水165.8gにした以外は実施例1と同様に行なった。得られたポリマーの溶液粘度(ηinh )は0.25デシリットル/g、溶融粘度(ηm )は260Pa・s、分岐指数(N)は1.45、アミノ基の全ベンゼン環量に対するモル比は0.50%であった。
【0041】
結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、1,2,4−トリクロロベンゼン8.2g,オルトアミノチオフェノール22.6g,水酸化リチウム4.3g,純水83.0gを添加するかわりに、1,2,4−トリクロロベンゼン0g,オルトアミノチオフェノール0g,水酸化リチウム0g,純水82.9gにした以外は実施例1と同様に行なった。得られたポリマーの溶液粘度(ηinh )は0.23デシリットル/g、溶融粘度(ηm )は185Pa・s、分岐指数(N)は1.01、アミノ基の全ベンゼン環量に対するモル比は0%であった。
【0042】
結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1において、1,2,4−トリクロロベンゼン8.2g,オルトアミノチオフェノール22.6g,水酸化リチウム4.3g,純水83.0gを添加するかわりに、1,2,4−トリクロロベンゼン16.4g,オルトアミノチオフェノール0g,水酸化リチウム0g,純水165.8gにした以外は実施例1と同様に行なった。得られたポリマーの溶液粘度(ηinh )は0.24デシリットル/g、溶融粘度(ηm )は135Pa・s、分岐指数(N)は1.30、アミノ基の全ベンゼン環量に対するモル比は0%であった。
【0043】
結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、1,2,4−トリクロロベンゼン8.2g,オルトアミノチオフェノール22.6g,水酸化リチウム4.3g,純水83.0gを添加するかわりに、1,2,4−トリクロロベンゼン0g,オルトアミノチオフェノール33.9g,水酸化リチウム4.3g,純水49.7gにした以外は実施例1と同様に行なった。得られたポリマーの溶液粘度(ηinh )は0.25デシリットル/g、溶融粘度(ηm )は200Pa・s、分岐指数(N)は1.00、アミノ基の全ベンゼン環量に対するモル比は1.20%であった。
【0044】
結果を表1に示す。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によって、引張強度や曲げ強度、耐衝撃性等の機械的強度に優れる上に、成形時にバリ発生量が極めて少なく、流動成形性に優れることから種々の成形が可能なポリアリーレンスルフィドを得ることができる。
Claims (2)
- アミノ基を末端に有するポリアリーレンスルフィドを含むポリアリーレンスルフィドであって、該末端アミノ基とベンゼン環のモル比が、0.001〜0.1/0.9〜0.999であり、かつ分岐指数N値が、1.05〜1.50であるポリアリーレンスルフィド。ここで分岐指数N値とは、樹脂の溶融粘度η及び剪断速度γに関し、logηをlogγの関数としてlogη=f(logγ)で表したとき、下記(1)式で表される値である。
- ポリアリーレンスルフィドオリゴマーを合成し、ついで、アミノ化剤及び分岐剤を加えてさらに重合反応を行なうことを特徴とする請求項1に記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。
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