JP2000272971A - セラミックグリーンシート、セラミック基板及びセラミック多層基板の製造方法 - Google Patents

セラミックグリーンシート、セラミック基板及びセラミック多層基板の製造方法

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JP2000272971A
JP2000272971A JP11081541A JP8154199A JP2000272971A JP 2000272971 A JP2000272971 A JP 2000272971A JP 11081541 A JP11081541 A JP 11081541A JP 8154199 A JP8154199 A JP 8154199A JP 2000272971 A JP2000272971 A JP 2000272971A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 セラミックグリーンシート用スラリーのゲル
化を抑制して、均一かつ加工性の良いセラミックグリー
ンシートを作製すること。 【解決手段】 (A)カルボキシル基を備えた有機バイ
ンダ、(B)多価金属若しくはその酸化物を含むセラミ
ック粉末及び/又はガラス粉末、(C)ジプロピレング
リコールモノメチルエーテル等のモノオール化合物、を
混合したスラリーをシート状に成形してなるセラミック
グリーンシート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶縁性、誘電性、
磁性等を有するセラミックグリーンシート、このセラミ
ックグリーンシートを用いたセラミック基板、並びに、
セラミック多層基板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】高周波モジュール用基板やハイブリッド
IC用基板に代表されるセラミック多層基板をより多機
能化、高密度化、高性能化するためには、セラミック多
層基板内に高精度の受動部品を内蔵しながら、配線を高
密度に施すことが有効である。
【0003】例えば特開平9−92983号公報には、
インダクタやコンデンサ等の受動部品を内蔵したセラミ
ック多層基板を製造する方法として、絶縁性、誘電性、
磁性等の様々な特性を有するセラミックグリーンシート
を用いて、セラミック多層基板内部に部分的にインダク
タやコンデンサを形成する方法が開示されている。
【0004】また、セラミック多層基板の多機能化、高
密度化、高性能化のためには、前述した絶縁性、誘電
性、磁性等を有するセラミックグリーンシートに、必要
に応じて微細なバイアホールを形成しなければならな
い。セラミックグリーンシートにバイアホールを形成す
る方法としては、従来から金型プレスによって打ち抜く
方法が一般的である。しかしながら、この方法では、セ
ラミックグリーンシートに力学的負荷をかけて加工する
ために、直径100μm程度のバイアホールの形成が限
界である。
【0005】また、より微細なバイアホールを形成する
方法として、例えば、特開平10−279364号公報
には、フォトリソグラフィ法によるバイアホール形成法
が開示されている。この方法は、感光性樹脂とセラミッ
ク粉末とを混合してなるスラリーをシート状に成形して
感光性セラミックグリーンシートを作製し、これにフォ
トマスクを介して紫外光等の活性光線を用いて露光した
後に現像処理を施すといった工程を経て、微細なバイア
ホール用孔を形成するというものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記用
途で用いられる有機バインダ中の有機高分子化合物、特
に感光性有機バインダにおけるものは、その側鎖にカル
ボキシル基やヒドロキシル基等のプロトンを遊離する酸
性官能基を有している。酸性官能基を有する有機高分子
化合物にガラス粉末やセラミック粉末等の多価金属若し
くはその酸化物を含有する粉末を加えると、粉末から溶
出した多価金属イオンと有機高分子化合物のアニオンと
がイオン架橋し、3次元的なネットワークを形成するこ
とによってゲル化が発生することが判明した。
【0007】ゲル化が発生した不均一なスラリーは加工
性が低く、シート成形、さらにはバイアホール形成、導
体パターン形成等が困難である。また、不均一なスラリ
ーでセラミックグリーンシートを作製すると、その焼成
時にクラックが入る等で、結果として力学的に脆いセラ
ミック基板しか得られない。
【0008】本発明は、これらの問題点を解決するもの
であり、その目的は、酸性官能基を有する有機高分子化
合物と、多価金属若しくはその酸化物を含有したセラミ
ック粉末やガラス粉末とを混合してなるスラリーのゲル
化を抑制して、分散性及び加工性の良いセラミックグリ
ーンシートを提供することにある。
【0009】本発明の更に他の目的は、分散性の良いセ
ラミックグリーンシートを用いて、力学的に丈夫なセラ
ミック基板を提供すること、並びに、高密度に微細な導
体パターンを有し、信頼性の高いセラミック多層基板の
製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した課
題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、前記スラリ
ー中に、ただ1つのヒドロキシル基を有するモノオール
化合物を添加させることによって、前記スラリーのゲル
化を有効に抑制できることを見出した。
【0011】すなわち、本発明は、(A)酸性官能基を
有する有機高分子化合物を含む有機バインダ、(B)多
価金属を含有したセラミック粉末及び/又はガラス粉
末、(C)モノオール化合物、を混合したスラリーをシ
ート状に成形してなることを特徴とする、セラミックグ
リーンシートに係るものである。
【0012】また、本発明のセラミックグリーンシート
は、前記モノオール化合物として、沸点178℃以上の
モノオール化合物を用いることを特徴とする。
【0013】また、本発明のセラミックグリーンシート
は、前記スラリーの溶液部分に溶出する前記多価金属の
イオンのモル数に対して、前記モノオール化合物を2倍
モル数以上含有することを特徴とする。
【0014】また、本発明のセラミックグリーンシート
において、前記モノオール化合物の含有量は、前記スラ
リーび溶液部分全量に対して、5〜95重量%であるこ
とを特徴とする。
【0015】また、本発明のセラミックグリーンシート
において、前記セラミック粉末及び/又はガラス粉末
は、ホウ素、バリウム、マグネシウム、アルミニウム、
カルシウム、鉛、ビスマス、銅、亜鉛、ジルコニウム、
ニオブ、クロム、ストロンチウム及びチタンからなる群
より選ばれる少なくとも1種の多価金属若しくはその酸
化物を含有した粉末であることを特徴とする。
【0016】また、本発明のセラミックグリーンシート
において、前記スラリー中には、さらに感光性有機成分
が含まれていることを特徴とする。
【0017】また、本発明は、上述した本発明のセラミ
ックグリーンシートを焼成してなるセラミック層を備え
ることを特徴とするセラミック基板を提供するものであ
る。
【0018】また、本発明は、上述した本発明のセラミ
ックグリーンシートにバイアホールを形成し、前記バイ
アホールに接続する導体パターンを形成した後、このセ
ラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリー
ンシートを積層し、これを焼成することを特徴とするセ
ラミック多層基板の製造方法を提供するものである。
【0019】本発明のセラミックグリーンシートによれ
ば、(A)酸性官能基を備えた有機高分子化合物を含む
有機バインダ、(B)2以上の価数を有する多価金属を
含有したセラミック粉末及び/又はガラス粉末、を含む
スラリー中に、C)モノオール化合物を含有しているの
で、前記スラリーのゲル化が抑制されて、分散性及び加
工性に優れたセラミックグリーンシートを得ることがで
きる。
【0020】これは、モノオール化合物中のヒドロキシ
ル基は、前記有機バインダ中の有機高分子化合物の酸性
官能基(特にカルボキシル基)に比べて、セラミック粉
末やガラス粉末から溶出する多価金属イオンとの結合力
が際立って強く、モノオール化合物と多価金属イオンと
が先に反応して、有機高分子化合物と多価金属イオンと
のイオン架橋及び3次元ネットワークの形成を妨げるこ
とによるものである。また、モノオール化合物はただ1
つのヒドロキシル基を有するので、モノオール化合物と
多価金属イオンとが結合しても、イオン架橋による3次
元ネットワークを形成しない。
【0021】また、本発明のセラミック基板は、本発明
のセラミックグリーンシートを焼成してなるセラミック
層を備えたものであり、上述したように、本発明のセラ
ミックグリーンシートは、加工形状が良く分散性に優れ
たセラミックグリーンシートであるので、力学的に丈夫
なセラミック基板を得ることができる。
【0022】さらに、本発明のセラミック多層基板の製
造方法によれば、加工形状が良く分散性に優れた本発明
のセラミックグリーンシートを用いているので、バイア
ホール、導体パターンを高密度かつ微細に形成すること
ができ、さらに、力学的に丈夫で信頼性の高いセラミッ
ク多層基板を得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明のセラミックグリー
ンシートを更に詳細に説明する。
【0024】本発明のセラミックグリーンシートにおい
て、前記モノオール化合物は、ただ1つのヒドロキシル
基(−OH基)を有する任意の化合物を用いることがで
きる。また、前記モノオール化合物の形状は、液状、粉
末状のいずれであっても構わない。
【0025】但し、前記モノオール化合物は、沸点17
8℃以上のモノオール化合物であることが望ましい。こ
れは、セラミックグリーンシートの成形後に乾燥処理を
施すと、沸点の低いモノオール化合物は乾燥中に揮発し
てしまい、上述したようなゲル化抑制能を十分に発揮で
きないからである。これに対して、沸点が178℃以上
のモノオール化合物を用いると、モノオール化合物が乾
燥後の組成物中に有意に残存し、十分かつ安定したゲル
化抑制能を発揮できる。
【0026】なお、沸点が178℃以上のモノオール化
合物としては、例えば、1−オクチルアルコール、2−
オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコ
ール、1−メチルシクロヘキサノール、トリメチルシク
ロヘキセノール、エチレングリコールモノアセテート、
ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール
モノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレング
リコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソ
アミルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテ
ル、エチレングリコールベンジルエーテル、トリメチル
ヘキサノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ク
レゾール、乳酸ブチル、ベンジルアルコール、ヒドロキ
シエチルアクリレート、フェネチルアルコール、メルカ
プトブタノール、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒ
ドロキシエチルピペラジン、シクロヘキサノンオキシ
ム、ヒドロキシメトキシアリルベンゼン、ヒドロキシメ
トキシベンズアルデヒド、ヒドロキシメチルピペラジ
ン、ヒドロキシプロピオニトリル、ヒドロキシアセトナ
フトン、ヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシアセ
トフェノン、ヒドロキシベンゾイミダゾール、フェニル
フェノール、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシベンゾフ
ェノン、ベンゾイン、チモール、ヒドロキシメトキシ安
息香酸、ヒドロキシメチル安息香酸、ヒドロキシメチル
ピロン、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシナフトキノ
ン、ヒドロキシノルボルネンジカルボキシイミド、ヒド
ロキシフェニル酢酸、ヒドロキシフェニルグリシン、ヒ
ドロキシフタルイミド、ヒドロキシピバリン酸ネオペン
チルグリコールエステル、ヒドロキシプロピオフェノ
ン、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシこはく酸イミ
ド、ヒドロキシトルイル酸、ペンタエリスリトールジア
クリレートモノステアレート若しくはその混合物等が挙
げられる。
【0027】また、本発明のセラミックグリーンシート
において、前記スラリー中の前記モノオール化合物の含
有量は、前記スラリーの溶液部分に溶出する前記多価金
属のイオンのモル数に対して2倍モル数以上とすること
が望ましい。その含有量が2倍モル数未満であると、ゲ
ル化を十分に防ぐことは困難である。なお、溶出した多
価金属イオンのモル数は、遠心分離法や濾過法等によっ
て前記スラリーを固体部分と溶液部分とに分離した後、
従来よりよく知られている原子吸光法、ICP、ICP
−MS等の方法により測定できる。
【0028】また、前記モノオール化合物の含有量は、
前記スラリー中の溶液部分全量に対して、5〜95重量
%であることが望ましい。その含有量が5重量%未満で
はゲル化を十分に抑制することが困難である。また、9
5重量%以上であると、スラリーの粘度が極端に低下
し、その加工性が劣化することがある。
【0029】また、本発明のセラミックグリーンシート
において、前記セラミック粉末及び/又は前記ガラス粉
末は、ホウ素、バリウム、マグネシウム、アルミニウ
ム、カルシウム、鉛、ビスマス、銅、亜鉛、ジルコニウ
ム、ニオブ、クロム、ストロンチウム及びチタンからな
る群より選ばれる少なくとも1種の多価金属若しくはそ
の酸化物を含有した粉末であることが望ましい。
【0030】具体的には、前記ガラス粉末、前記セラミ
ック粉末として、SiO2−PbO系、SiO2−ZnO
系、SiO2−Bi23系、SiO2−K2O系、SiO2
−Na2O系、SiO2−PbO−B23系、SiO2
ZnO−B23系、SiO2−Bi23−B23系、S
iO2−K2O−B23系、SiO2−Na2O−B23
等の種々の粉末が用いられる。
【0031】特に、B、Ba、Mg、Al、Ca、P
b、Bi、Cu、Zn、Zr、Nb、Cr、Sr又はT
iの多価金属イオンがスラリー中に溶出すると、カルボ
キシル基等の酸性官能基を有する有機高分子化合物のア
ニオンと多価金属イオンとがイオン架橋してゲル化を生
じ易い。これに対して、前記スラリーにモノオール化合
物を含有させると、そのゲル化を有効に抑制できる。
【0032】なお、前記セラミックグリーンシート用ス
ラリーは、結晶化ガラス粉末、或いはガラス・セラミッ
ク粉末を含むものが望ましい。このようにしてセラミッ
クグリーンシートを低温焼結化することにより、比抵抗
の小さな銀、銅等の低融点金属からなる導体層と同時焼
結可能となる。
【0033】また、本発明のセラミックグリーンシート
は、(1)絶縁体セラミック粉末と有機バインダとガラ
ス粉末等の無機粉末を混合して得られたスラリーをシー
ト状に成形した絶縁体セラミックグリーンシート、
(2)磁性体セラミック粉末と有機バインダとガラス粉
末等の無機粉末を混合して得られたスラリーをシート状
に成形した磁性体セラミックグリーンシート、(3)誘
電体セラミック粉末と有機バインダとガラス粉末等の無
機粉末を混合して得られたスラリーをシート状に成形し
た誘電体セラミックグリーンシート等の各種特性を有す
るものであってよい。各種のセラミック粉末は、従来公
知のセラミックグリーンシート用セラミック材料を使用
できる。
【0034】なお、前記有機バインダは、酸性官能基を
有する有機高分子化合物を含む有機バインダであって、
さらに他の成分として、有機ポリマーや有機溶剤を含ん
でいてよい。前記有機ポリマーとしては、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステ
ル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エス
テル−メタクリル酸エステル共重合体等を使用できる。
【0035】また、本発明のセラミックグリーンシート
において、前記スラリー中には、さらに感光性有機成分
が含まれていてもよい。すなわち、(A)酸性官能基を
備えた有機高分子化合物を含む有機バインダ、(B)多
価金属若しくはその酸化物を含有したセラミック粉末及
び/又はガラス粉末、(C)モノオール化合物を混合し
てなるセラミックグリーンシート用スラリー中に、さら
に(D)感光性有機成分を加えることによって、感光性
セラミックグリーンシートを形成することができる。す
なわち、本発明による感光性セラミックグリーンシート
によれば、前記スラリーのゲル化を抑制して、分散性及
び加工性に優れたセラミックグリーンシートが得られる
と同時に、セラミックグリーンシート中にフォトリソグ
ラフィ法による微細かつ高精度のバイアホールを容易に
形成することができる。
【0036】前記感光性有機成分は、従来から公知の光
重合性若しくは光変性化合物の有機成分を使用すること
ができ、例えば、(1)不飽和基等の反応性官能基を有
するモノマーやオリゴマーと、芳香族カルボニル化合物
等の光ラジカル発生剤の混合物、(2)芳香族ビスアジ
ドとホルムアルデヒドの縮合体等のいわゆるジアゾ樹
脂、(3)エポキシ化合物等の付加重合性化合物とジア
リルヨウドニウム塩等の光酸発生剤の混合物、(4)ナ
フトキノンジアジド系化合物、等が挙げられる。このう
ち、特に好ましいのは、不飽和基等の反応性官能基を有
するモノマーやオリゴマーと、芳香族カルボニル化合物
等の光ラジカル発生剤の混合物である。
【0037】前記反応性官能基含有モノマー・オリゴマ
ーとしては、ヘキサンジオールトリアクリレート、トリ
プロピレングリコールトリアクリレート、トリメチロー
ルプロパントリアクリレート、ステアリルアクリレー
ト、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ラウリルア
クリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、イソ
デシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、トリ
デシルアクリレート、カプロラクトンアクリレート、エ
トキシ化ノニルフェノールアクリレート、1,3−ブタ
ンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジ
アクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレー
ト、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチ
レングリコールジアクリレート、トリエチレングリコー
ルジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアク
リレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアク
リレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
レートトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプ
ロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリア
クリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ
アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレー
ト、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリ
メチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリ
スリトールヒドロキシペンタアクリレート、エトキシ化
ペンタエリスリトールテトラアクリレート、テトラヒド
ロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリ
レート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリ
レート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エ
チレングリコールジメタクリレート、テトラエチレング
リコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジ
メタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジメタクリレート、1,3−ブチレ
ングリコールジメタクリレート、エトキシ化ビスフェノ
ールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ
メタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレー
ト、エトキシ化パラクミルフェノールアクリレート、エ
チルヘキシルカルビトールアクリレート、N−ビニル−
2−ピロリドン、イソボルニルアクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコ
ールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタア
クリレート、ジペンタエチスリトールヘキサアクリレー
ト等が挙げられる。
【0038】また、前記光ラジカル発生剤としては、ベ
ンジル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブ
チルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベン
ゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸
メチル、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサル
ファイド、ベンジルジメチルケタール、2−n−ブトキ
シ−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−クロロチオ
キサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4
−ジイソプロピルチオキサントン、イソプロピルチオキ
サントン、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート、p
−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ
安息香酸イソアミル、3,3'−ジメチル−4−メトキ
シベンゾフェノン、2,4−ジメチルチオキサントン、
1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−
メチルプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,
2−ジフェニルエタン−1−オン、ヒドロキシシクロヘ
キシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−
1−フェニルプロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒ
ドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2
−メチル−1−プロパン−1−オン、2−メチル−1−
[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプ
ロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォルメート、1
−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エト
キシカルボニル)オキシム、2−ベンジル−2−ジメチ
ルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブ
タノン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,
4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフ
ォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0039】また、本発明のセラミックグリーンシート
が感光性セラミックグリーンシートの場合、前記酸性官
能基を有する有機高分子化合物は、その側鎖にカルボキ
シル基を有するアクリル系共重合体であってよい。この
アクリル系共重合体は、例えば、不飽和カルボン酸とエ
チレン性不飽和化合物を共重合させることにより製造で
きる。このアクリル系共重合体はその側鎖にカルボキシ
ル基が存在するので、露光後のセラミックグリーンシー
ト中の有機成分が現像液に溶解し易くなって、感光性セ
ラミックグリーンシートの現像性が高まり、より微細な
バイアホールの形成を行うことができる。
【0040】なお、前記不飽和カルボン酸としては、ア
クリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ビニ
ル酢酸及びこれらの無水物等が挙げられる。一方、エチ
レン性不飽和化合物としては、アクリル酸メチル、アク
リル酸エチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸メ
チル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸エステル、
フマル酸モノエチル等のフマル酸エステル等が挙げられ
る。また、前記アクリル系共重合体は、以下のような形
態の不飽和結合を導入したものを使用してもよい。
【0041】(1)前記アクリル系共重合体の側鎖のカ
ルボキシル基に、これと反応可能な、例えばエポキシ基
等の官能基を有するアクリル系モノマーを付加したも
の。
【0042】(2)側鎖のカルボキシル基の代わりにエ
ポキシ基が導入されてなる前記アクリル系共重合体に、
不飽和モノカルボン酸を反応させた後、更に飽和又は不
飽和多価カルボン酸無水物を導入したもの。
【0043】また、前記感光性有機成分が添加された感
光性セラミックグリーンシートは、フォトマスクを介し
て紫外線、電子線、X線等の活性光線を照射し(露
光)、炭酸ナトリウム等のアルカリ性現像液等で未露光
部を溶解させることで(現像)、微細なバイアホール用
孔を形成することができる。そして、このバイアホール
用孔に導体材料を充填することによって、バイアホール
を形成できる。
【0044】また、前記セラミックグリーンシート用ス
ラリーには、必要に応じて、重合禁止剤等の保存安定
剤、酸化防止剤、染料、顔料、消泡剤、界面活性剤、可
塑剤等も、適宜、添加できる。
【0045】次に、本発明のセラミック基板及び本発明
のセラミック多層基板の製造方法を図1を参照に説明す
る。
【0046】図1に示すセラミック多層基板1は、絶縁
体層2a、2b、2c、2d、2e及び2fと、誘電体
層3a及び3bとを積層してなる多層回路基板である。
また、セラミック多層基板1の内部には、内部電極5及
びバイアホール6によって、コンデンサパターンC、コ
イルパターンL、ストリップライン等が形成されてい
る。さらに、セラミック多層基板1の一方主面上には、
チップコンデンサ等のチップ部品10、厚膜抵抗体1
1、半導体IC12等が設けられており、表層導体7や
内部電極5等にそれぞれ接続されている。
【0047】このセラミック多層基板1は例えば次のよ
うな手順で作製できる。
【0048】まず、ガラス粉末及びセラミック粉末、酸
性官能基を有する有機バインダを含む感光性有機バイン
ダ、並びに、モノオール化合物を混合して、感光性を付
与した絶縁体セラミックグリーンシート用スラリーを調
製する。また、同様にして、感光性を付与した誘電体セ
ラミックグリーンシート用スラリーを調製する。
【0049】次いで、得られた各スラリーをドクターブ
レード法等によってシート状に成形し、50〜150℃
の温度で乾燥させて、感光性の絶縁体セラミックグリー
ンシート及び感光性の誘電体セラミックグリーンシート
を作製する。そして、得られた各セラミックグリーンシ
ート上に、コンデンサパターンやコイルパターン等とな
る所定の導体パターンを作製する。
【0050】また、各グリーンシートには、必要に応じ
てバイアホールを作製する。このバイアホールは、ま
ず、フォトマスクを介して例えば直径50μmのバイア
ホール用パターンを露光し、次いで、アルカリ水溶液等
による現像処理を行って不要箇所を除去することによっ
てバイアホール用孔を作製した後、バイアホール用孔に
導体材料を充填することによって形成する。
【0051】次いで、導体パターン及びバイアホールが
形成されたセラミックグリーンシートを積み重ね、圧着
した後、所定温度にて焼成する。さらに、表層導体を形
成した後、チップ部品10、半導体IC12を搭載し、
厚膜抵抗体11を印刷することによってセラミック多層
基板1が作製される。
【0052】上述したセラミック多層基板の製造方法に
よれば、絶縁体層2a、2b、2c、2d、2e及び2
fが、本発明による感光性の絶縁体セラミックグリーン
シートで形成されているので、微細なバイアホールを有
するセラミックグリーンシートを加工形状良く、簡易に
形成できる。また、同様に、誘電体層3a及び3bが、
本発明による感光性の絶縁体セラミックグリーンシート
で形成されているので、微細なバイアホールを有するセ
ラミックグリーンシートを加工形状良く、簡易に形成で
きる。
【0053】すなわち、本発明による感光性セラミック
グリーンシートは、ゲル化による経時的な粘度変化が少
なく、加工性に優れているので、粘性劣化に起因する印
刷にじみ等を抑制して、直径150μm未満、特に直径
50μm以下の極めて微細なバイアホールを高精度に形
成できる。また、スラリーの構成成分が均一に分散され
ているので、焼結後には、緻密かつ高強度で基板特性の
優れたセラミック基板(特にセラミック多層基板)が得
られる。
【0054】なお、上述の製造方法においては、絶縁体
層2a、2b、2c、2d、2e及び2f、誘電体層3
a及び3bを作製するために、本発明による感光性セラ
ミックグリーンシートを用いたが、絶縁体層又は誘電体
層のいずれか一方を感光性セラミックグリーンシートと
し、他方は感光性を有しないセラミックグリーンシート
で形成してもよい。また、本発明による磁性体セラミッ
クグリーンシートにコイルパターンを形成し、高いイン
ダクタンスを持つインダクタ部分を構成することも可能
である。
【0055】但し、本発明のセラミック基板は、上述の
セラミック多層基板1に限定されるものではなく、チッ
プコンデンサ、チップLCフィルタ等の高周波回路用電
子部品用のセラミック多層基板の他、VCO(Voltage
Controlled Oscillator)やPLL(Phase Locked Loo
p)等の高周波モジュール用セラミック多層基板、圧電
素子等のセラミック素体等に適用できる。
【0056】
【実施例】まず、絶縁性、誘電性、磁性を有するセラミ
ックグリーンシートについて説明する。
【0057】実施例1(絶縁体セラミックグリーンシー
ト) ホウ珪酸系ガラス粉末37.3g、アルミナ粉末24.
9g、カルボキシル基含有アクリル系有機バインダ6.
2g、エタノール3.1g、及び、ジプロピレングリコ
ールモノメチルエーテル0.5gを混合して得たスラリ
ーを、ドクターブレード法によってシート状に成形し、
さらに100℃で乾燥させて、シート厚み30μmの絶
縁体セラミックグリーンシートを得た。
【0058】実施例2(誘電体セラミックグリーンシー
ト) ホウ珪酸系ガラス粉末6.2g、チタン酸バリウム5
6.0g、カルボキシル基含有アクリル系有機バインダ
6.2g、エタノール3.1g、及び、ジプロピレング
リコールモノメチルエーテル0.5gを混合して得たス
ラリーを、ドクターブレード法によってシート状に成形
し、さらに100℃で乾燥させて、シート厚み30μm
の誘電体セラミックグリーンシートを得た。
【0059】実施例3(磁性体セラミックグリーンシー
ト) ホウ珪酸系ガラス粉末6.2g、ニッケル亜鉛フェライ
ト56.0g、カルボキシル基含有アクリル系有機バイ
ンダー6.2g、エタノール3.1g、及び、ジプロピ
レングリコールモノメチルエーテル0.5gを混合して
得たスラリーを、ドクターブレード法によってシート状
に成形し、100℃で乾燥させて、シート厚み30μm
の磁性体セラミックグリーンシートを得た。
【0060】比較例1(絶縁体セラミックグリーンシー
ト) ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを混合しな
い以外は実施例1と同様のスラリーを、ドクターブレー
ド法によってシート状に成形し、さらに100℃で乾燥
させて、シート厚み30μmの絶縁体セラミックグリー
ンシートを得た。
【0061】比較例2(誘電体セラミックグリーンシー
ト) ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを混合しな
い以外は実施例2と同様のスラリーを、ドクターブレー
ド法によってシート状に成形し、さらに100℃で乾燥
させて、シート厚み30μmの誘電体セラミックグリー
ンシートを得た。
【0062】比較例3(磁性体セラミックグリーンシー
ト) ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを混合しな
い以外は実施例3と同様のスラリーを、ドクターブレー
ド法によってシート状に成形し、100℃で乾燥させ
て、シート厚み30μmの磁性体セラミックグリーンシ
ートを得た。
【0063】以上、実施例1〜3、比較例1〜3のセラ
ミックグリーンシートを脱脂した後、900℃、空気中
で焼成した。そして、得られた焼成後のセラミック基板
(焼結体)の抗折強度及び密度を測定した。その測定結
果を下記表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】表1から、本実施例による絶縁体セラミッ
クグリーンシート、誘電体セラミックグリーンシート、
磁性体セラミックグリーンシートは抗折強度と密度との
バランスに優れ、強度が大きく、基板特性に優れている
ことが分かる。
【0066】これに対して、比較例による各種セラミッ
クグリーンシートは、モノオール化合物であるジプロピ
レングリコールモノメチルエーテルを含んでいないの
で、抗折強度が小さいか、或いは、焼結基板の密度が小
さくなってしまった。これは、セラミックグリーンシー
ト用スラリーがゲル化によって不均一になったことを意
味する。
【0067】次に、感光性を付与した感光性セラミック
グリーンシートを説明する。
【0068】実施例4(感光性絶縁体セラミックグリー
ンシート) ホウ珪酸系ガラス粉末37.3g、アルミナ粉末24.
9g、カルボキシル基含有アクリル系有機バインダ6.
2g、エタノール3.1g、トリメチロールプロパント
リアクリレート3.0g、2−メチル−1−[4−(メ
チルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1
−オン1.2g、2,4−ジエチルチオキサントン0.
3g、及び、ジプロピレングリコールモノメチルエーテ
ル0.5gを混合して得たスラリーを、ドクターブレー
ド法によってシート状に成形し、さらに100℃で乾燥
させて、シート厚み30μmの感光性絶縁体セラミック
グリーンシートを得た。
【0069】実施例5(感光性誘電体セラミックグリー
ンシート) ホウ珪酸系ガラス粉末6.2g、チタン酸バリウム5
6.0g、カルボキシル基含有アクリル系有機バインダ
6.2g、エタノール3.1g、トリメチロールプロパ
ントリアクリレート3.0g、2−メチル−1−[4−
(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン
−1−オン1.2g、2,4−ジエチルチオキサントン
0.3g、及び、ジプロピレングリコールモノメチルエ
ーテル0.5gを混合して得たスラリーを、ドクターブ
レード法によってシート状に成形し、さらに100℃で
乾燥させて、シート厚み30μmの感光性誘電体セラミ
ックグリーンシートを得た。
【0070】実施例6(感光性磁性体セラミックグリー
ンシート) ホウ珪酸系ガラス粉末6.2g、ニッケル亜鉛フェライ
ト56.0g、カルボキシル基含有アクリル系有機バイ
ンダー6.2g、エタノール3.1g、トリメチロール
プロパントリアクリレート3.0g、2−メチル−1−
[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプ
ロパン−1−オン1.2g、2,4−ジエチルチオキサ
ントン0.3g、及び、ジプロピレングリコールモノメ
チルエーテル0.5gを混合して得たスラリーを、ドク
ターブレード法によってシート状に成形し、100℃で
乾燥させて、シート厚み30μmの感光性磁性体セラミ
ックグリーンシートを得た。
【0071】比較例4(感光性絶縁体セラミックグリー
ンシート) ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを混合しな
い以外は実施例1と同様のスラリーを、ドクターブレー
ド法によってシート状に成形し、さらに100℃で乾燥
させて、シート厚み30μmの感光性絶縁体セラミック
グリーンシートを得た。
【0072】比較例5(感光性誘電体セラミックグリー
ンシート) ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを混合しな
い以外は実施例2と同様のスラリーを、ドクターブレー
ド法によってシート状に成形し、さらに100℃で乾燥
させて、シート厚み30μmの感光性誘電体セラミック
グリーンシートを得た。
【0073】比較例6(感光性磁性体セラミックグリー
ンシート) ジプロピレングリコールモノメチルエーテルを混合しな
い以外は実施例3と同様のスラリーを、ドクターブレー
ド法によってシート状に成形し、100℃で乾燥させ
て、シート厚み30μmの感光性磁性体セラミックグリ
ーンシートを得た。
【0074】以上、実施例4〜6、比較例4〜6のセラ
ミックグリーンシートに、直径30μmのバイアホール
が描画されたマスクを通して、高圧水銀灯の光線を25
0mJ/cm2の露光量で照射した。引き続いて、炭酸
ナトリウム水溶液による現像を行うことにより、直径3
0μmのバイアホール用孔を作製した。そして、このバ
イアホール用孔に導体材料を充填し、脱脂した後、90
0℃、空気中で焼成した。得られた焼成後のセラミック
基板の抗折強度及び密度を測定した。その測定結果を下
記表2に示す。
【0075】
【表2】
【0076】表2から、本実施例による絶縁体セラミッ
クグリーンシート、誘電体セラミックグリーンシート、
磁性体セラミックグリーンシートはいずれも、抗折強度
と密度とのバランスに優れ、強度が大きく、基板特性に
優れていることが分かる。また、バイアホールの形状性
にも優れていた。
【0077】これに対して、比較例による各種セラミッ
クグリーンシートは、モノオール化合物であるジプロピ
レングリコールモノメチルエーテルを含んでいないの
で、抗折強度が小さいか、或いは、焼結基板の密度が小
さくなってしまった。さらに、バイアホールの形状が悪
かった。これは、セラミックグリーンシート用スラリー
がゲル化によって分散性が低下し、不均一になったこと
を意味する。
【0078】以上のように、セラミックグリーンシート
用スラリー中にモノオール化合物(特に沸点178℃以
上のモノオール化合物)を含有させることによって、ゲ
ル化が進行せず、均一なスラリーが得られるため、そう
したスラリーから作製されたセラミックグリーンシート
はバイアホールや導体パターンの加工性に優れ、さら
に、焼成後もクラックが発生せず、結果として力学的に
丈夫なセラミック基板を得ることができた。
【0079】
【発明の効果】本発明のセラミックグリーンシートによ
れば、酸性官能基を備えた有機高分子化合物を含む有機
バインダ、多価金属を含有したセラミック粉末及び/又
はガラス粉末を含むスラリー中に、モノオール化合物を
含有しているので、スラリーのゲル化が抑制されて、均
一かつ加工性に優れたセラミックグリーンシートが得ら
れる。
【0080】特に、感光性有機成分を含有した感光性セ
ラミックグリーンシートによれば、微細かつ高精度にバ
イアホールを形成することができ、導体パターンの微細
化に十分に対応可能なセラミックグリーンシートが得ら
れる。
【0081】また、本発明のセラミック基板は、本発明
のセラミックグリーンシートを焼成してなるセラミック
層を備えるものであり、上述したように本発明のセラミ
ックグリーンシートは、加工形状が良く均一なセラミッ
クグリーンシートであるので、強度が高くかつ緻密なセ
ラミック基板が得られる。
【0082】さらに、本発明のセラミック多層基板の製
造方法によれば、加工形状が良く分散性に優れた本発明
のセラミックグリーンシートを用いているので、バイア
ホール、導体パターンを高密度かつ微細に形成できると
同時に、力学的に丈夫で信頼性の高いセラミック多層基
板が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるセラミック多層基板の概略断面図
である。
【符号の説明】
1…セラミック多層基板 2a、2b、2c、2d、2e、2f…絶縁体層 3a、3b…誘電体層 5…内部電極 6…バイアホール 7…表層導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA07 AA08 AA09 AA10 AA16 AA17 AA20 AA22 AA31 AA32 AA35 AA36 AA40 AA43 AA67 BA01 BA09 BA12 CA08 PA22 5E346 AA43 CC08 CC16 CC41 EE08 EE29 GG08 GG09 GG28 HH31

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)酸性官能基を有する有機高分子化
    合物を含む有機バインダ、 (B)多価金属を含有したセラミック粉末及び/又はガ
    ラス粉末、 (C)モノオール化合物、 を混合したスラリーをシート状に成形してなることを特
    徴とする、セラミックグリーンシート。
  2. 【請求項2】 前記モノオール化合物として、沸点17
    8℃以上のモノオール化合物を用いることを特徴とす
    る、請求項1に記載のセラミックグリーンシート。
  3. 【請求項3】 前記スラリーの溶液部分に溶出する前記
    多価金属のイオンのモル数に対して、前記モノオール化
    合物を2倍モル数以上含有することを特徴とする、請求
    項1又は2に記載のセラミックグリーンシート。
  4. 【請求項4】 前記モノオール化合物の含有量は、前記
    スラリーの溶液部分全量に対して、5〜95重量%であ
    ることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載
    のセラミックグリーンシート。
  5. 【請求項5】 前記セラミック粉末及び/又はガラス粉
    末は、ホウ素、バリウム、マグネシウム、アルミニウ
    ム、カルシウム、鉛、ビスマス、銅、亜鉛、ジルコニウ
    ム、ニオブ、クロム、ストロンチウム及びチタンからな
    る群より選ばれる少なくとも1種の多価金属若しくはそ
    の酸化物を含有した粉末であることを特徴とする、請求
    項1乃至4のいずれかに記載のセラミックグリーンシー
    ト。
  6. 【請求項6】 前記スラリー中には、さらに感光性有機
    成分が含まれていることを特徴とする、請求項1乃至5
    のいずれかに記載のセラミックグリーンシート。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載のセラ
    ミックグリーンシートを焼成してなるセラミック層を備
    えることを特徴とする、セラミック基板。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至6のいずれかに記載のセラ
    ミックグリーンシートにバイアホールを形成し、前記バ
    イアホールに接続する導体パターンを形成した後、この
    セラミックグリーンシートを含む複数のセラミックグリ
    ーンシートを積層し、これを焼成することを特徴とす
    る、セラミック多層基板の製造方法。
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