JP2006151775A - 低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法、低温焼成酸化物セラミック材料、低温焼成酸化物セラミック電子部品及びその製造方法 - Google Patents

低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法、低温焼成酸化物セラミック材料、低温焼成酸化物セラミック電子部品及びその製造方法 Download PDF

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交市 茂野
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博司 加賀田
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Abstract

【課題】本発明は、相対密度、絶縁抵抗及び熱伝導率の要件を満たした低温焼成酸化物セラミック材料を提供することを目的とする。
【解決手段】酸化アルミニウムからなる主成分と、少なくとも酸化ニオブ、酸化チタン、酸化銅および酸化銀からなる副成分を所定量秤量する工程と、前記工程後主成分と副成分を混合する工程と、この工程後のスラリーをシート状に成型する工程と、この工程後の成型体を加工する工程と、焼成する工程を有する低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法において、CuKα線を用いたX線回折測定法で、結晶相による2θ=33.9±0.10°の回折ピーク強度と酸化アルミニウムのコランダム結晶相による(104)面の回折ピーク強度の比が0.05〜0.40であって、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物を生成するように860℃〜880℃で焼成することを特徴とした低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、高密度実装技術を実現するためのアルミナ(Al)を主成分とした低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法、低温焼成酸化物セラミック材料、低温焼成酸化物セラミック電子部品及びその製造方法に関するものである。
従来、半導体IC等を実装する多層配線基板には大きく分けてガラスエポキシ等の有機材料が主体となる有機系多層配線基板と、アルミナ等のセラミックやガラスが主体となる無機系多層配線基板がある。
このうち、無機系多層配線基板はセラミック多層基板と呼ばれ、一般に耐熱性が高く、高熱伝導、低熱膨張、低誘電損失および高信頼性といった特徴を有し高密度実装が要求される小型電子機器に用いるモジュール部品などに幅広く用いられている。
また、無機系多層基板(以後セラミック多層基板と呼ぶ)は大きくHTCC(High Temperature Co−fired Ceramics)系とLTCC(Low Temperature Co−fired Ceramics)系に分類できる。HTCCは基材として、AlやAlN、BeO、SiC−BeOなどを用いたものである。これらのセラミック材料は粉末状の原料を成形した後、1500℃以上の高温で焼成することによって製造される。このためセラミック多層基板の内部に形成される配線用の導体材料としては融点の高いMoやWが用いられる。このMoやWは導体としては抵抗率が高いという欠点があるが、抵抗率の低いAgやCuは融点が低く、高温での焼成では融解してしまい内層用の配線導体として用いることができない。
そこで、アルミナ等のセラミック原料をAgやCuの溶融しない低温で焼結可能としたものがLTCCである。このLTCCはセラミック原料に低融点のガラス原料を混合することによって、低温での焼成を可能としたものであり、例えば、ホウケイ酸鉛ガラス+アルミナや、ホウケイ酸ガラス+コージエライト系およびその他各種の組成系がある。
これらの組成を有する材料は大体1000℃以下の温度で焼成可能であることから低抵抗のAgやCuを内部導体として用いることができる。このため、セラミック多層基板としてはHTCCよりもこのLTCCが現在主流になりつつある。
しかしながら、これらのガラスを用いたLTCC材料では熱伝導率の比較的低いガラスを多量に含むためにアルミナ等のセラミック本来の高熱伝導率という特徴は失われてしまう。このセラミック多層基板の熱伝導率が低下するとパワーアンプのような発熱性のある半導体素子を実装した場合、放熱性が低いことから温度上昇が著しく、実装上使用できなくなる。特に、この傾向は小型化が強く要求される携帯型の電子機器等において顕著となる。
そこで、LTCC基板の実装した半導体素子の下部に当たる部分に金属導体による放熱用のビア、いわゆるサーマルビアを形成する方法が用いられている。しかしながら、小型化の進展により実装密度が向上してくるとサーマルビアを設けることで設計自由度が低下し、小型化への妨げとなってしまい、かつ製造工程が煩雑になるため、結果的にコスト面でも不利になってしまうという問題点があった。
上記問題点の対応策としては、酸化ニオブ、酸化銅、酸化チタン及び酸化銀を主成分として含む熱伝導率の高い酸化物セラミック材料(例えば特許文献1参照)が開示されている。
特開2004−256384号公報
ここで、引用文献1では15W/m・k以上の高伝導性を得るためには900℃〜950℃まで加熱保持する必要があることが示されている。しかしながら、900℃〜950℃の温度領域で加熱保持することは、高熱伝導性を有する材料を得ることができると同時に酸化ニオブ、酸化銅及び酸化チタンにより構成される複合酸化物の粗大化を招く。前記複合酸化物の粗大化は、絶縁抵抗の低下を引き起こす原因となるので、低温焼成酸化物セラミック材料の性質として好ましくないものである。これに対し、上記複合酸化物の粗大化を抑えるため、焼結温度を低下しすぎると逆に焼結が進行せず相対密度が確保できないという課題があった。
故に、複合酸化物の粗大化は進行しないが焼結が十分進行する条件での低温焼成酸化物セラミック材料が望まれていた。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、相対密度(80%以上)、絶縁抵抗(E+09以上)及び熱伝導率(15W/m・k以上)の要件を満たした低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、酸化アルミニウムからなる主成分と、少なくとも酸化ニオブ、酸化チタン、酸化銅および酸化銀からなる副成分を所定量秤量する工程と、前記工程により秤量された主成分と副成分を混合する工程と、前記工程により得られたスラリーをシート状に成型する工程と、前記工程により得られた成型体を所望の形状に加工する工程と、焼成する工程を有する低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法において、CuKα線を用いたX線回折測定法で、結晶相による2θ=33.9±0.10°の回折ピーク強度と酸化アルミニウムのコランダム結晶相による(104)面の回折ピーク強度の比が0.05〜0.40であって、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物を生成するように860℃〜880℃で焼成することを特徴とした低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法である。
以上のように、本発明の低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法により、860℃〜880℃の低温領域においても、相対密度(80%以上)、絶縁抵抗(E+09以上)及び熱伝導率(15W/m・k以上)の要件を満たした低温焼成酸化物セラミック材料の製造が可能となる。併せて、焼成温度を低温にすることにより、エネルギーコストや使用する炉の制限も緩くするという効果も奏する。
本発明の第一の発明は、酸化アルミニウムからなる主成分と、少なくとも酸化ニオブ、酸化チタン、酸化銅および酸化銀からなる副成分を所定量秤量する工程と、前記工程により秤量された主成分と副成分を混合する工程と、前記工程により得られたスラリーをシート状に成型する工程と、前記工程により得られた成型体を所望の形状に加工する工程と、焼成する工程を有する低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法において、CuKα線を用いたX線回折測定法で、結晶相による2θ=33.9±0.10°の回折ピーク強度と酸化アルミニウムのコランダム結晶相による(104)面の回折ピーク強度の比が0.05〜0.40であって、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物を生成するように860℃〜880℃で焼成することを特徴とした低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法である。
上記方法により、従来の焼結温度よりも低温である860℃〜880℃の温度領域における焼結工程でも相対密度(80%以上)、絶縁抵抗(E+09以上)及び熱伝導率(15W/m・k以上)の要件を満たした低温焼成酸化物セラミック材料の製造が可能となる。併せて、焼成温度を低温にすることにより、エネルギーコストや使用する炉の制限も緩くするという効果も奏する。
本発明の第二の発明は、焼成する工程における焼成温度保持過程中に、保持温度よりも20〜80℃高い温度まで一時的に昇温し、複合酸化物の結晶径を10μm以下にし、点在させる工程を含むことを特徴とする低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法である。
上記方法により、絶縁抵抗の低下の要因と推定される複合酸化物粗大化及び/又は連続化を抑えることが可能となり、低温焼成酸化物セラミック材料の特性を向上させることができる。
本発明の第三の発明は、酸化アルミニウムを主成分として含み、副成分として少なくとも酸化ニオブ、酸化チタン、酸化銅および酸化銀を含む低温焼成酸化物セラミック材料において、CuKα線を用いたX線回折測定法で、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物の結晶相による2θ=33.9±0.10°の回折ピーク強度と酸化アルミニウムのコランダム結晶相による(104)面の回折ピーク強度の比が0.05〜0.40であり、相対密度が80%以上であることを特徴とする請求項1記載の低温焼成酸化物セラミック材料である。
上記構成により、従来の焼結温度よりも低温である860℃〜880℃の温度領域における焼結工程でも相対密度(80%以上)、絶縁抵抗(E+09以上)及び熱伝導率(15W/m・k以上)の要件を満たした低温焼成酸化物セラミック材料の適用が可能となる。
本発明の第四の発明は、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物の結晶径が10μm以下であることを特徴とする低温焼成酸化物セラミック材料である。
上記構成により、絶縁抵抗の低下の要因と推定される複合酸化物の影響を抑え低温焼成酸化物セラミック材料の特性を向上させることができる。
本発明の第五の発明は、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物が連続して接することなく点在することを特徴とする低温焼成酸化物セラミック材料である。
上記構成により、絶縁抵抗の低下の要因と推定される複合酸化物の連続化による影響を抑え低温焼成酸化物セラミック材料の特性を向上させることが可能となる。
本発明の第六の発明は、酸化アルミニウムを主成分として含み、少なくとも酸化ニオブ、酸化チタン、酸化銅および酸化銀を副成分として含み、CuKα線を用いたX線回折測定法で、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物の結晶相による2θ=33.9±0.10°の回折ピーク強度と酸化アルミニウムのコランダム結晶相による(104)面の回折ピーク強度の比が0.05〜0.40である低温焼成酸化物セラミック材料からなる誘電体層と、導体を少なくともその内層に有した低温焼成酸化物セラミック電子部品である。
上記構成により、従来の焼結温度よりも低温である860℃〜880℃の温度領域における焼結工程でも相対密度(80%以上)、絶縁抵抗(E+09以上)及び熱伝導率(15W/m・k以上)の要件を満たした低温焼成酸化物セラミック電子部品の適用が可能となる。さらに、電子部品における導体としてAg等の低融点の導体を用いた低温焼成酸化物セラミック電子部品の適用が可能となるという効果も奏する。
本発明の第七の発明は、Agを主成分とする導体を少なくともその内層に有したことを特徴とする低温焼成酸化物セラミック電子部品である。
上記構成により、従来の焼結温度よりも低温である860℃〜880℃の温度領域における焼結工程でも相対密度(80%以上)、絶縁抵抗(E+09以上)及び熱伝導率(15W/m・k以上)の要件を満たしており、Agを主成分とする導体を少なくともその内層に有した低温焼成酸化物セラミック電子部品の適用が可能となる。
本発明の第八の発明は、酸化アルミニウムからなる主成分と、少なくとも酸化ニオブ、酸化チタン、酸化銅および酸化銀からなる副成分を所定量秤量する工程と、前記工程により秤量された主成分と副成分を混合する工程と、前記工程により得られたスラリーをシート状に成型する工程と、前記工程により得られた成型体を所望の形状に加工する工程と、前記成型体に導体を形成する工程と、焼成する工程を有する低温焼成酸化物セラミック電子部品の製造方法において、CuKα線を用いたX線回折測定法で、結晶相による2θ=33.9±0.10°の回折ピーク強度と酸化アルミニウムのコランダム結晶相による(104)面の回折ピーク強度の比が0.05〜0.40であって、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物を生成するように860℃〜880℃で焼成することを特徴とした低温焼成酸化物セラミック電子部品の製造方法である。
上記方法により、従来の焼結温度よりも低温である860℃〜880℃の温度領域における焼結工程でも相対密度(80%以上)、絶縁抵抗(E+09以上)及び熱伝導率(15W/m・k以上)の要件を満たした低温焼成酸化物セラミック電子部品の製造が可能となる。併せて、焼成温度を低温にすることにより、エネルギーコストや使用する炉の制限も緩くするという効果も奏する。さらに、電子部品における導体としてAg等の低融点の導体を用いた低温焼成酸化物セラミック電子部品の製造が可能となるという効果も奏する。
本発明の第九の発明は、焼成する工程における焼成温度保持過程中に、保持温度よりも20〜80℃高い温度まで一時的に昇温し、複合酸化物の結晶径を10μm以下にし、点在させる工程を含むことを特徴とする低温焼成酸化物セラミック電子部品の製造方法である。
上記方法により、絶縁抵抗の低下の要因と推定される複合酸化物粗大化及び/又は連続化を抑えることが可能となり、低温焼成酸化物セラミック電子部品の特性を向上させることができる。
以下、実施の形態により、本発明を具体的に説明する。
(実施の形態1)
主成分、副成分の出発原料には高純度(99%以上)の酸化アルミニウム(Al)、酸化ニオブ(Nb)、酸化銅(CuO)、酸化チタン(TiO)、酸化銀(AgO)、酸化マンガン(Mn)を用いた。出発原料を純度補正後、所定の組成になるように秤量し、高純度アルミナ製玉石および水とともにボールミルで18時間混合した。混合したスラリーをボールミルから取り出して乾燥した。得られた粉末にバインダとして濃度6%のポリビニールアルコール溶液を10重量%添加して均質に混合し、32メッシュのふるいを通して整粒した。整粒粉体は金型と油圧プレスを用い、成形圧力130MPaで直径13mm、厚さ約0.5mmの円板に成形した。この成形体をアルミナさや鉢の中に入れ、空気中で600℃の温度で1時間保持して脱バインダを行った後、空気中において860℃〜880℃の温度で8〜24時間保持して焼成し、低温焼成酸化物セラミック焼結体を得た。また、比較のため、900℃において24時間及び920℃で2時間の条件についても酸化物セラミック焼結体を得た。
本実施の形態1において、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物の結晶相は、CuKα線を用いたX線回折測定法で、2θ=33.98±0.10°にメインの回折ピークを有し、2θ=60.7±0.10°に第二の回折ピークを有し、48.76±0.10°に第三の回折ピークを有するが、添加物の配合組成により回折角が微少に変化する。また、図1に示すように比較的容易にピークを検出することが可能な場合以外に、第二、第三ピークの相対強度が非常に弱く検出が困難な場合がある。
故に、本実施の形態1における生成相の同定は2θ=33.98±0.10°にて回折ピーク強度比の測定を行った。また、X線回折測定の条件は以下に示した通りである。
装置名称 リガク製X線回折装置
出力 40KV 40mA
ステップ幅 0.04°
密度についてはアルキメデス法より密度を測定し、理論密度を4.00/cm3として相対密度を算出した。絶縁抵抗については、両面にAuスパッタリングで電極を形成した円板より、DC50Vで算出した。酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物の結晶径は走査型電子顕微鏡により観察し、任意選択した30個の結晶の平均値を結晶系とした。さらに相対密度80%以上の焼結体に関しては、レーザーフラッシュ法にて、熱伝導率を測定した。結果は(表1)に示した。
Figure 2006151775
(表1)は酸化アルミニウム重量比、焼成条件としての温度及び保持時間、焼成後の相対密度、複合酸化物とAl23の回折ピーク強度比、絶縁抵抗及び熱伝導率の関係を示したものである。
No1〜4は焼成温度860℃×16hrで酸化アルミニウムの重量比を変化させた結果、No5〜8は焼成温度860℃×24hrで酸化アルミニウムの重量比を変化させた結果、No9〜12は焼成温度880℃×8hrで酸化アルミニウムの重量比を変化させた結果、No13〜16は焼成温度880℃×16hrで酸化アルミニウムの重量比を変化させた結果、No17〜20は焼成温度860℃×16hrで酸化アルミニウムの重量比を変化させた結果である。また、No21、22は焼成温度900℃×24hrで酸化アルミニウムの重量比を変化させた結果で、No23、24は焼成温度920℃×2hrで酸化アルミニウムの重量比を変化させた結果である。
(表1)に示したように、温度上昇及び保持時間の長時間化により、相対密度及び熱伝導度が上昇していることがわかる(No1〜24)。上記条件により、焼結が進行したと考えられるからである。
しかしながら、900℃を超えるような温度領域になると絶縁抵抗は低下する傾向が見られた(No21〜24)。上記要因としては、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物の結晶相の粗大化に起因すると推定される。(表1)における酸化物結晶粒径が10μmを超えていることからも示唆される(No21〜24)。
一方、アルミニウム重量比と相対密度の関係では、アルミニウム重量比の増加に伴い、相対密度が低下する傾向が見られた(No1〜20)。
また、回折ピーク強度比とその他の値の関係においては、回折ピーク強度が0.04以下の時は焼結が十分進行しておらず、相対密度が80%未満であり、0.41以上になると複合酸化物結晶の粗大化に起因すると推定される絶縁抵抗の低下が見られた(No2、10、21〜24)。
以上の結果から、回折ピーク強度比を0.05〜0.40にするように製造を行うことにより焼結の促進及び複合酸化物の粗大化抑制を図ることが可能となる。その結果として、相対密度(80%以上)、絶縁抵抗(E+09以上)及び熱伝導率(15W/m・k以上)の要件を満たした低温焼成酸化物セラミック材料を得ることができる(No1、5,69、13,14、17〜19)。併せて、焼成温度を低温にすることにより、エネルギーコストや使用する炉の制限も緩くするという効果も奏する。なお、上記製造方法における効果は、導体にAg等の低融点材料を用いた低温焼成酸化物セラミック電子部品にも同様に適用することが可能である。
(実施の形態2)
主成分、副成分の出発原料には高純度(99%以上)の酸化アルミニウム(Al)、酸化ニオブ(Nb)、酸化銅(CuO)、酸化チタン(TiO)、酸化銀(AgO)、酸化マンガン(Mn)を用いた。出発原料を純度補正後、所定の組成になるように秤量し、高純度アルミナ製玉石および水とともにボールミルで18時間混合した。混合したスラリーをボールミルから取り出して乾燥し、引き続きセラミックグリーンシートに成形した。成形の方法は粉砕乾燥済み粉体100gに酢酸ブチル80g、ポリビニルブチラール樹脂15g、ジブチルフタレート8gとともにボールミルで48時間混合し、得られたセラミックスラリーを用いてドクターブレード法により厚さ25μmの酸化物セラミックグリーンシートを作製した。以上のように作製した各種セラミックグリーンシートを多数個取りのサイズである70mm×70mmに裁断した。
その後、図2に示す内部構造の評価用コンデンサを作製するため、ビア導体を形成する各種セラミックグリーンシートには機械的にビア孔を貫通させた後、スクリーン印刷法で銀95wt%、白金5wt%のペーストを充填、導体層や表層の導体層を形成する各セラミックグリーンシート上には同様の方法で銀95wt%、白金5wt%のペーストをパターン印刷した。図2において、低温焼成酸化物セラミック材料1は内部導体2、ビア導体3,表層導体4からなる。これらのセラミックグリーンシートを図2の積層体構成となるように40℃−100kg/cm2の熱プレス条件で加圧しながら積層し積層体とした。このようにして作製された積層体は500℃で4時間熱処理することによりバインダ、可塑剤成分を焼去した後、860℃〜880℃、8〜24時間保持の条件で焼成した。
この際、保持過程の最初、中間、最後に保持温度よりも20〜80℃高い温度まで昇温する工程を導入した。昇温速度は300℃/hr、昇温後は0.5hr保持して降温速度300℃/hrで元の保持温度に戻した。比較例として、途中昇温工程を導入しない、つまり通常のプロファイルで焼成したコンデンサも作製した。このような工程を経ることによって、多数個取りのセラミック多層基板を得た。焼成されたセラミック多層基板は所望の形状になるように機械的に切断した。コンデンサの評価は、1kV、1MHzでの比誘電率の測定とDC50Vでの絶縁抵抗の測定を行った。また、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物の結晶径は走査型電子顕微鏡により観察し、任意選択した30個の結晶の平均値を結晶系とした。結果を(表2)に示す。
Figure 2006151775
(表2)は焼成条件としての焼成温度、焼成時間、途中温度昇温、及び酸化物結晶径の関係を示したものである。No31〜34は焼成温度860℃×16hrで途中昇温温度を変化させた結果、No35〜38は焼成温度860℃×24hrで途中昇温温度を変化させた結果、No39〜42は焼成温度880℃×8hrで途中昇温温度を変化させた結果、No43〜46は焼成温度880℃×16hrで途中昇温温度を変化させた結果、No47〜50は焼成温度880℃×24hrで途中昇温温度を変化させた結果である。
(表2)に示したように、焼成温度の上昇及び焼成保持時間の長時間化により、複合酸化物結晶径の粗大化が観察された(No31〜50)。また、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物の結晶径は、一時昇温を行うことにより粗大化が抑制されることが観察された(No32、33、36、37、39、40、43、44、47、48)。しかしながら、一時昇温を960℃まで上昇させた場合については、いずれの焼成温度においてもAgダメージが大きく測定が不可能であった(No31、35、39)。
以上の結果から、960℃未満で焼成温度保持過程中に焼成保持温度よりも20〜80℃高い温度まで一時的に昇温することにより、絶縁抵抗の原因と推定される複合酸化物結晶径の粗大化を抑制し、結晶径を10μm以下に保持することが可能となる。
また、一時昇温後の組織の走査型電子顕微鏡観察から、複合酸化物を点在させた状態が維持されているのも観察されている。複合酸化物の連続化は粗大化と同様に、絶縁抵抗の低下を引き起こすと考えられるので、複合酸化物を点在させることによっても、上記低温焼成酸化物セラミック電子部品を得ることが可能となる。なお、前記一時昇温を含む製造方法及び前記製造方法による酸化物の粗大化抑制及び点在化の効果は低温焼成酸化物セラミック材料においても適用が可能である。
本発明にかかる製造方法により、相対密度(80%以上)、絶縁抵抗(E+09以上)及び熱伝導率(15W/m・k以上)の要件を満たした低温焼成酸化物セラミック材料を得ることができる。
実施の形態1における低温焼成セラミック材料のX線回折チャート 実施の形態2におけるコンデンサの断面図
符号の説明
1 低温焼成酸化物セラミック材料
2 内部導体
3 ビア導体
4 表面導体

Claims (9)

  1. 酸化アルミニウムからなる主成分と、少なくとも酸化ニオブ、酸化チタン、酸化銅および酸化銀からなる副成分を所定量秤量する工程と、前記工程により秤量された主成分と副成分を混合する工程と、前記工程により得られたスラリーをシート状に成型する工程と、前記工程により得られた成型体を所望の形状に加工する工程と、焼成する工程を有する低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法において、CuKα線を用いたX線回折測定法で、結晶相による2θ=33.9±0.10°の回折ピーク強度と酸化アルミニウムのコランダム結晶相による(104)面の回折ピーク強度の比が0.05〜0.40であって、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物を生成するように860℃〜880℃で焼成することを特徴とした低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法。
  2. 焼成する工程における焼成温度保持過程中に、保持温度よりも20〜80℃高い温度まで一時的に昇温し、複合酸化物の結晶径を10μm以下にし、点在させる工程を含むことを特徴とする請求項1記載の低温焼成酸化物セラミック材料の製造方法。
  3. 酸化アルミニウムを主成分として含み、副成分として少なくとも酸化ニオブ、酸化チタン、酸化銅および酸化銀を含む低温焼成酸化物セラミック材料において、CuKα線を用いたX線回折測定法で、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物の結晶相による2θ=33.9±0.10°の回折ピーク強度と酸化アルミニウムのコランダム結晶相による(104)面の回折ピーク強度の比が0.05〜0.40であり、相対密度が80%以上であることを特徴とする低温焼成酸化物セラミック材料。
  4. 酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物の結晶径が10μm以下であることを特徴とする請求項3記載の低温焼成酸化物セラミック材料。
  5. 酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物が連続して接することなく点在することを特徴とする請求項3記載の低温焼成酸化物セラミック材料。
  6. 酸化アルミニウムを主成分として含み、少なくとも酸化ニオブ、酸化チタン、酸化銅および酸化銀を副成分として含み、CuKα線を用いたX線回折測定法で、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物の結晶相による2θ=33.9±0.10°の回折ピーク強度と酸化アルミニウムのコランダム結晶相による(104)面の回折ピーク強度の比が0.05〜0.40である低温焼成酸化物セラミック材料からなる誘電体層と、導体を少なくともその内層に有した低温焼成酸化物セラミック電子部品。
  7. Agを主成分とする導体を少なくともその内層に有したことを特徴とする請求項6記載の低温焼成酸化物セラミック電子部品。
  8. 酸化アルミニウムからなる主成分と、少なくとも酸化ニオブ、酸化チタン、酸化銅および酸化銀からなる副成分を所定量秤量する工程と、前記工程により秤量された主成分と副成分を混合する工程と、前記工程により得られたスラリーをシート状に成型する工程と、前記工程により得られた成型体を所望の形状に加工する工程と、前記成型体に導体を形成する工程と、焼成する工程を有する低温焼成酸化物セラミック電子部品の製造方法において、CuKα線を用いたX線回折測定法で、結晶相による2θ=33.9±0.10°の回折ピーク強度と酸化アルミニウムのコランダム結晶相による(104)面の回折ピーク強度の比が0.05〜0.40であって、酸化ニオブと酸化チタンと酸化銅から構成される複合酸化物を生成するように860℃〜880℃で焼成することを特徴とした低温焼成酸化物セラミック電子部品の製造方法。
  9. 焼成する工程における焼成温度保持過程中に、保持温度よりも20〜80℃高い温度まで一時的に昇温し、複合酸化物の結晶径を10μm以下にし、点在させる工程を含むことを特徴とする請求項8記載の低温焼成酸化物セラミック電子部品の製造方法。
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