JP2000222940A - 感光性誘電ペ―スト - Google Patents

感光性誘電ペ―スト

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JP2000222940A
JP2000222940A JP2000032962A JP2000032962A JP2000222940A JP 2000222940 A JP2000222940 A JP 2000222940A JP 2000032962 A JP2000032962 A JP 2000032962A JP 2000032962 A JP2000032962 A JP 2000032962A JP 2000222940 A JP2000222940 A JP 2000222940A
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dielectric
paste
lead
acrylate
compound
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Application number
JP2000032962A
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English (en)
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Yoshiki Masaki
孝樹 正木
Akiko Yoshimura
亜紀子 芳村
Keiji Iwanaga
慶二 岩永
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は、特定の誘電体粉末、アクリル系共重
合体、光反応性化合物および光重合開始剤を含有するこ
とを特徴とする感光性誘電ペーストに関する。 【効果】本発明は上述の構成を有するため、ヴィアホー
ルやスルホールの形成が極めて容易にかつ精度よくで
き、しかも微細な孔を確実に安価に形成できる利点があ
る。また、この発明の誘電体層により形成したコンデン
サを内蔵したセラミックス多層基板は性能的に優れてい
るうえ、微細なパターン形成ができ、かつスルホールや
ヴィアホールが飛躍的に小型化されるので、高信頼性、
高性能化、高密度化などを達成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セラミックス多層
基板、コンデンサなどに用いられる感光性誘電ペースト
に関するものであり、特に厚膜用感光性誘電ペーストに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】電子機器をより高密度化、小型化、多機
能化、高速化などのためにセラミックス多層基板の表面
に実装する積層型のチップ・コンデンサの小型化やコン
デンサ、抵抗などをを内蔵した多層セラミックス基板が
要求されている。
【0003】セラミックス基板上にコンデンサを多数個
搭載するために積層チップコンデンサが用いられている
が、このコンデンサの小型化や高密度化の要求に対して
コンデンサは(1)グリーンシート化してまとめて積層す
るグリーンシート多層法と(2)ペーストをスクリーン印
刷により順々に積層する印刷多層法によって製造されて
いる。
【0004】前者のグリーンシート多層法は、ドクター
ブレード法で作製した誘電体のグリーンシート上に内部
電極を印刷した後、所定の大きさに打ち抜き、このシー
トを積み重ね、圧着する。圧着後切断し、焼成してコン
デンサを作製する。しかしながら、この方法で作製した
チップコンデンサは切断を超硬などの刃で切断を行うた
め小型化には限界があり、0.5mm角以下のサイズの
コンデンサは製作できないのが現状であった。またチッ
プコンデンサをセラミックス基板上に直付けするいわゆ
るフリップチップ実装するにもサイズが小型化すると技
術的に困難であったり、非常に時間がかかるなどして限
界があった。
【0005】また直付けするのに半田を用いて行われる
が、特にコンデンサが小さくなりフラックスガスの排除
が良好に行われないと半田付不良が生じ、歩留まりの低
下などの問題があった。
【0006】後者の印刷多層法は誘電体ペーストを所定
の厚みにスクリーン印刷後、乾燥して内部電極を印刷す
る工程を繰り返して積層したシートにする。次にこのシ
ートを切断後、焼成してチップコンデンサを作製する。
しかしながらこの方法においてもチップを切断して作製
するためグリーンシート多層法と同じく小型化には限界
があった。
【0007】一方、電子機器の小型化に対して多層セラ
ミックス基板の中でコンデンサを内蔵した多層セラミッ
クス基板が開発されているが、コンデンサを内蔵する方
法には、厚膜印刷法とグリーンシート積層法とがある。
【0008】グリーンシート積層法は誘電体のグリーン
シートと絶縁体のグリーンシートを交互に積層するもの
で多層化には有利である。厚膜印刷法は絶縁体のグリー
ンシート上に導電ペーストで導体を形成し、ビアホール
に導体を埋め込んだ後、コンデンサ形成部分に誘電体ペ
ーストを印刷後、その上に対抗電極を印刷する。必要に
応じてさらに導電体ペーストと誘電体ペーストの印刷を
繰り返し、多層化し、一回で焼成を完了してコンデンサ
を内蔵した多層のセラミックス基板を作製するものであ
る。
【0009】コンデンサを内蔵したセラミックス多層基
板においてグリーンシート積層法あるいは印刷積層法に
おいても誘電層間の層間接続をなすためにヴィアホール
の形成が必要である。従来、ヴィアホールの形成印刷積
層法においてはヴィアホールの形成のために予めパター
ン化されたスクリーンを用いて誘電体ペーストを、第1
層配線層が形成されているセラミックス基板上に印刷
し、乾燥、焼成してヴィアホールを形成するものであ
る。この方法は工程が比較的簡単であるが、パターン形
成をスクリーンによって行うためヴィアホールの形成に
は限界があり、100μm以下のものの形成は非常に難
しく、また150μm以下のものは品質のバラツキが大
きくなって歩留まりが低下し、基板コストが増加するな
ど大きな問題であった。
【0010】一方、特開昭63−120499号公報で
は光硬化性絶縁ペーストを露光、現像することにより従
来のスクリーン印刷法では得られない微小ヴィアホール
を形成させる方法が提案されているが、これは絶縁ペー
ストについてフォトリソグラフィと呼ぶ写真製版技術で
ヴィアホールを形成した技術である。誘電体ペーストに
ついてフォトリソグラフィ法で微細なヴィアホールやパ
ターンの形成を目的とした技術はこれまでなかった。
【0011】特公昭54−45799公報では光重合性
ポリマを使用した厚膜用誘電体ペーストが提案されてお
り、特開昭63−312617公報ではコンデンサ内蔵
積層セラミックス基板の製造のため、誘電体ペーストを
用いる方法が提案されているが、両者とも微細パターン
やヴィアホールの形成を意図したものでなかった。
【0012】通常、非感光性の誘電体ペーストは、特開
昭63−312617公報に記載のごとく、誘電体粉
末、有機バインダー、有機溶剤および必要に応じて可塑
剤などを適宜配合した後、混練することにより作製され
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、コン
デンサをセラミックス基板上に実装、あるいはセラミッ
クス基板内に内蔵する上で、従来の誘電体ペーストでは
達成しえなかったフォトリソグラフィ法による微細なヴ
ィアホール形成や微細なパターン加工を行うことがで
き、積層チップコンデンサの小型化、半田付不良の解
消、歩留まりの向上などを可能とする感光性誘電ペース
トを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタン酸ストロン
チウム(SrTiO3)、ジルコン酸カルシウム(Ca
ZrO3)、チタン酸カルシウム(CaTiO3)、チタ
ン酸鉛(PbTiO3)、タングステン酸鉛(PbW
3)、亜鉛酸鉛(PbZnO3)、鉄酸鉛(PbFeO
3)、マグネシウム酸鉛(PbMgO3)、ニオブ酸鉛
(PbNbO3)、ニッケル酸鉛(PbNiO 3)、ジル
コン酸鉛(PbZrO3)、複合ペロブスカイト系誘電
体、および酸化チタン(TiO2)の群から選ばれた少
なくとも一種の誘電体化合物からなる誘電体粉末、アク
リル系共重合体、光反応性化合物および光重合開始剤を
含有することを特徴とする感光性誘電ペーストにより達
成される。
【0015】すなわち、本発明は誘電ペーストに感光性
を付与したものであり、これを使用すると、フォトリソ
グラフィ技術を用いてヴィアホールやパターンが容易に
精度よく、かつ微細な孔を安価に効率良く形成できるも
のである。
【0016】感光性誘電ペーストは、通常、誘電体粉
末、感光性ポリマー(バインダーとも云う)、モノマ
ー、光重合開始剤、ガラス・フリットおよび溶媒から成
るスラリーで構成されている。所定の組成となるように
調合したスラリーは3本ローラや混練機で均質に混合分
散してペーストを作製する。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明において使用される誘電体
粉末としては、チタン酸バリウム(BaTiO3)、チ
タン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ジルコン酸カ
ルシウム(CaZrO3)、チタン酸カルシウム(Ca
TiO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、タングステン
酸鉛(PbWO3)、亜鉛酸鉛(PbZnO3)、鉄酸鉛
(PbFeO3)、マグネシウム酸鉛(PbMgO3)、
ニオブ酸鉛(PbNbO3)、ニッケル酸鉛(PbNi
3)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、複合ペロブスカ
イト系誘電体、および酸化チタン(TiO2)の群から
選ばれた少なくとも一種の誘電体化合物からなるものを
用いる。
【0018】誘電体粉末の粒子径は、作製しようとする
誘電層の厚みや焼成後の収縮率を考慮して適宜選択され
る。焼成後の誘電体層の厚みとしては、7〜150μm
が好ましく、収縮率は20%以下であることが好まし
い。この範囲にあるとグリーンシートや焼成基板と誘電
層との反応による拡散の影響が減少し、高容量のコンデ
ンサが得られ、容量の制御が容易になる。このことから
粉末の粒子径としては0.3〜4μmの範囲にあること
が好ましく、より好ましくは0.5〜2μmの範囲であ
る。また、比表面積は粉末の真比重によって異なるが、
2〜30m2/gの範囲が好ましく、より好ましくは2
〜20m2/gの範囲である。この範囲にあると紫外線
露光時に、光が十分透過し、上下の孔径差のない均一な
ヴィアホールが得られる。粉末粒子径が0.3μm以下
の場合、あるいは比表面積が30m 2/gを越える場
合、焼成後の収縮率が大きくなり緻密な誘電体層が得ら
れない。また、誘電体粉末の形状としては、フレーク
(板、円錐、棒)上や球状のものが使用できるが、球状
であることが好ましい。球状であると、紫外線露光時に
散乱の影響を低く抑制することができる。
【0019】本発明において使用されるアクリル系共重
合体は、ポリマーバインダー成分(感光性ポリマー)で
あり、不飽和カルボン酸とエチレン性不飽和化合物を共
重合させて製造することができる。
【0020】不飽和カルボン酸の具体的な例としては、
アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン
酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、これらの酸無
水物などがあげられる。一方、エチレン性不飽和化合物
の具体的な例としては、メチルアクリラート、メチルメ
タアクリラート、エチルアクリラート、エチルメタクリ
ラート、n−プロピルアクリラート、イソプロピルアク
リラート、n−ブチルアクリラート、n−ブチルメタク
リラート、sec−ブチルアクリラート、sec−ブチ
ルメタクリラート、イソ−ブチルアクリラート、イソブ
チルメタクリラート、tert−ブチルアクリラート、
tert−ブチルメタクリラート、n−ペンチルアクリ
ラート、n−ペンチルメタクリラート、スチレン、p−
メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチ
レンなどが挙げられるが、これらに限定されない。これ
らのアクリル系主鎖ポリマの主重合成分として前記のエ
チレン性不飽和化合物の中から少なくともメタクリル酸
メチルを含むことによって熱分解性の良好な共重合体を
得ることができる。
【0021】また、エチレン性不飽和基を側鎖に付加さ
せることもできる。側鎖のエチレン不飽和基としてはビ
ニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基のような
ものがある。このような側鎖をアクリル系共重合体に付
加させる方法としては、アクリル系共重合体中のカルボ
キシル基にグリシジル基を有するエチレン性不飽和化合
物やクロライドアクリレート化合物を付加反応させて作
る方法がある。
【0022】グリシジル基を有するエチレン性不飽和化
合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメ
タクリレート、アリルグリシジルエーテル、α−グリシ
ジルエチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテ
ル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グ
リシジルエーテルなどがあげられる。また、クロライド
アクリラート化合物としては、クロライドアクリラー
ト、クロライドメタアクリラート、アリルクロライドな
どが挙げられる。これらのエチレン性不飽和化合物ある
いはクロライドアクリラート化合物の付加量としては、
アクリル系共重合体中のカルボキシル基に対して0.0
5〜0.8モル当量が好ましく、さらに好ましくは0.
1〜0.6モル当量である。付加量が0.05モル当量
未満では現像許容幅が狭いうえ、パターンエッジの切れ
が悪くなりやすく、また付加量が0.8モル当量より大
きい場合は、未露光部の現像液溶解性が低下したり、塗
布膜の硬度が低くなる。
【0023】本発明における感光性誘電ペースト中に
は、ポリマーバインダー成分として上記のアクリル系共
重合体以外の感光性ポリマーや非感光性のポリマーを含
有することができる。
【0024】感光性ポリマーとしては、光不溶化型のも
のと光可溶化型のものがあり、光不溶化型のものとし
て、1分子に不飽和基などを1つ以上有する官能性のモ
ノマーやオリゴマーを適当なポリマーバインダーと混合
したもの、芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、
有機ハロゲン化合物などの感光性化合物を適当なポリマ
ーバインダーと混合したもの、既存の高分子に感光性の
基をペンダントさせることにより得られる感光性高分子
あるいはそれを改質したもの、ジゾゾ系アミンとホルム
アルデヒドとの縮合物などいわゆるジアゾ樹脂といわれ
るものなど、光可溶化型のものとして、ジアゾ化合物の
無機塩や有機酸とのコンプレックス、キノンジアジド類
などを適当なポリマーバインダーと混合したもの、キノ
ンジアゾ類を適当なポリマーバインダーと結合させた、
例えばフェノール、ノボラック樹脂のナフトキノン−
1,2−ジアジド−5−スルフォン酸エステルなどがあ
げられる。感光性ポリマーバインダー成分中に含まれる
上記のアクリル系共重合体の割合は少なくとも5重量%
以上が好ましく、さらに好ましくは20重量%以上であ
る。該アクリル系共重合体の含有量が5重量%未満では
現像許容幅の拡大効果が小さいうえ、現像性が低下しや
すくエッジ部の尖鋭なパターンを作り難いため好ましく
ない。
【0025】非感光性ポリマーとしては、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステ
ル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エス
テル−メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチ
レン重合体、ブチルメタクリレート樹脂などがあげられ
る。
【0026】本発明で使用される光反応性化合物として
は、光反応性を有する炭素−炭素不飽和結合を含有する
化合物を用いることができ、その具体的な例としてアリ
ルアクリラート、ベンジルアクリラート、ブトキシエチ
ルアクリラート、ブトキシトリエチレングリコールアク
リラート、シクロヘキシルアクリラート、ジシクロペン
タニルアクリラート、ジシクロペンテニルアクリラー
ト、2−エチルヘキシルアクリラート、グリセロールア
クリラート、グリシジルアクリラート、ヘプタデカフロ
ロデシルアクリラート、2−ヒドロキシエチルアクリラ
ート、イソボニルアクリラート、2−ヒドロキシプロピ
ルアクリラート、イソデキシルアクリラート、イソオク
チルアクリラート、ラウリルアクリラート、2−メトキ
シエチルアクリラート、メトキシエチレングリコールア
クリラート、メトキシジエチレングリコールアクリラー
ト、オクタフロロペンチルアクリラート、フェノキシエ
チルアクリラート、ステアリルアクリラート、トリフロ
ロエチルアクリラート、アリル化シクロヘキシルジアク
リラート、ビスフェノールAジアクリラート、1、4−
ブタンジオールジアクリラート、1、3−ブチレングリ
コールジアクリラート、エチレングリコールジアクリラ
ート、ジエチレングリコールジアクリラート、トリエチ
レングリコールジアクリラート、ポリエチレングリコー
ルジアクリラート、ジペンタエリスリトールヘキサアク
リラート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペン
タアクリラート、ジトリメチロールプロパンテトラアク
リラート、グリセロールジアクリラート、メトキシシク
ロヘキシルジアクリラート、ネオペンチルグリコールジ
アクリラート、プロピレングリコールジアクリラート、
ポリプロピレングリコールジアクリラート、トリグリセ
ロールジアクリラート、トリメチロールプロパントリア
クリラートおよび上記のアクリラートをメタクリラート
に変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキ
シシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられ
る。本発明ではこれらの光反応性化合物を1種または2
種以上の混合物として、またはその他の化合物との混合
物として使用することができる。
【0027】アクリル系共重合体は、光反応性化合物に
対して、重量比で0.1〜10倍量の範囲で用いること
が好ましい。より好ましくは0.1〜5倍量である。該
アクリル系共重合体の量が少なすぎると、スラリーの粘
度が小さくなり、スラリ−中での分散の均一性が低下す
るおそれがある。一方、アクリル系共重合体の量が多す
ぎれば、未露光部の現像液への溶解性が不良となる。
【0028】本発明で使用される光重合開始剤の具体的
な例として、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸
メチル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノ
ン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、
α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾ
フェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケト
ン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエト
キシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニ
ル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2
−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロア
セトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサン
トン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチ
オキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベ
ンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルア
セタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベ
ンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブ
チルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−
クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロ
ン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジ
ドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジド
ベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−
アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、
2−フェニル−1、2−ブダジオン−2−(o−メトキ
シカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオ
ン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1、3
−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシ
カルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−
プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、
ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フ
ェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタ
レンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロラ
イド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビス
イソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズ
チアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カ
ンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルス
ルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー
などの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノー
ルアミンなどの還元剤の組合せなどが挙げられる。本発
明ではこれらの光重合開始剤を1種または2種以上使用
することができる。
【0029】光重合開始剤は、アクリル系共重合体と光
反応性化合物の和に対し、通常0.1〜50重量%、よ
り好ましくは、2〜30重量%用いられる。光重合開始
剤の量が少なすぎると、光感度が不良となり、光重合開
始剤の量が多すぎれば、解像度が低下するおそれがあ
る。
【0030】本発明において、誘電体粉末に含まれるP
b,Bi,Fe,Ni,Mn,Co,Mgなどの金属お
よびそれらの酸化物が、感光性誘電ペースト中に含まれ
る感光性ポリマーのカルボキシル基と反応するために、
ペーストが短時間でゲル化し塊となり、ペーストとして
印刷できなくなる。これは感光性ポリマーと上記の金属
や酸化物粉末とのイオン架橋反応と考えられるが、この
ような架橋反応を防止するために感光性ポリマーには勿
論のこと、光反応性化合物、光重合開始剤あるいは可塑
剤などに悪い影響を与えない化合物(安定化剤)を添加
し、ゲル化を防止することが好ましい。すなわち、ゲル
化反応を引き起こす金属や酸化物粉末との錯体化、ある
いは酸官能基との塩形成などの効果がある化合物で粉末
を表面処理し、感光性誘電ペーストを安定化させなけれ
ばならない。
【0031】上記の要件を満たす安定化剤としてトリア
ゾール化合物が好ましく使用できる。トリアゾール化合
物の中でも、特にベンゾトリアゾールが有効に作用す
る。また、ヘキサメチレンテトラミンまたはナフテン酸
リチウム(Li)などもゲル化抑制に効果がある。
【0032】ベンゾトリアゾールを用いて金属や酸化物
粉末の表面処理(安定化処理)をする方法は、以下の通
りである。すなわち、所定の量のベンゾトリアゾール
を、酢酸メチル、酢酸エチル、エチルアルコール、メチ
ルアルコールなどの有機溶媒に溶解し、金属および酸化
物の粉末を該溶媒中に浸漬する。これらの粉末が十分に
浸ることができるように1〜24時間浸漬することが好
ましい。浸漬後、好ましくは20〜30℃下で自然乾燥
して溶媒を蒸発させることにより、トリアゾール処理を
行った粉末が得られる。
【0033】本発明において使用される安定化剤の使用
量としては、上記表面処理を施す金属および酸化物粉末
に対して0.2〜4重量%が好ましく、さらに好ましく
は0.4〜3重量%である。0.2重量%未満ではポリ
マーの架橋反応を防止する効果がなく、短時間でゲル化
する。また、4重量%を越えると安定化剤の量が多くな
り過ぎて非酸化性雰囲気中での誘電体層の焼成時におい
てポリマーバインダー、光反応性化合物および安定化剤
などの脱バインダーが困難となり、誘電体層の特性が低
下する。
【0034】本発明の感光性誘電ペーストにおいて、十
分な高解像度を得るために、紫外線(UV)吸収の高い
紫外線吸光剤を添加することが好ましい。すなわち、誘
電体粉末によって散乱された紫外光が吸収されてあるい
は弱められて露光マスクによる遮光部分にまでまわり込
み、余計な部分まで光硬化し、解像度が低下する場合が
起こる。紫外線吸光剤を添加することによって散乱光の
まわり込みがほぼ回避されるのでマスク部分の感光性樹
脂の硬化を防ぎ、露光マスクに相当したパターンが形成
されると推定されるからである。
【0035】紫外線吸光剤としては350〜450nm
の波長範囲で高UV吸収係数を有する無機粉末あるいは
有機顔料などが好ましく用いられる。無機粉末として
は、酸化コバルトCo23,CoO、酸化鉄Fe23
酸化クロムCr23、酸化マンガンMnO2、酸化銅C
2O,CuO、酸化チタンTiO2などの酸化物、炭化
チタンTiC、炭化タングステンWC,炭化ジルコンZ
rC,炭化珪素SiC、炭化ニオブNbCなどの炭化
物、チタニウム・ボライドTiB2、ジルコニウム・ボ
ライドZrB2などの硼化物、窒化チタンTiN,窒化
ジルコンZrN、窒化タンタルTaNなどの窒化物、炭
素(C)がある。この中で好ましい無機粉末は炭素およ
び炭化物で、パターンがにじみなく鋭く形成でき、しか
もヴィアホールを上下の孔径差がなく微細に形成でき
る。
【0036】これらの無機粉末は酸化物と窒化物、炭化
物との2種あるいは3種類以上の複合粉末としても用い
ることができるが、高誘電率、誘電損失、誘電正接など
の誘電体特性を低下させない範囲で選択することが好ま
しい。無機粉末の添加量としては、0.1〜5重量%が
好ましい。0.1重量%未満では紫外線吸光剤の添加効
果が減少し、5重量%を越えると誘電体特性が低下する
ので好ましくない。より好ましくは0.25〜1重量%
である。
【0037】本発明において感光性誘電ペースト中に、
増感剤、熱重合禁止剤、可塑剤、酸化防止剤、焼結助
剤、分散剤、有機あるいは無機の沈殿防止剤などを添加
することも好ましく行われる。
【0038】増感剤としては、例えば、2,3−ビス
(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、
2,6−ビス(4−ジメチルアミニベンザル)シクロヘ
キサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザ
ル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、
4、4、−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、
4、4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビ
ス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシ
ンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリ
デンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビ
ニレン)−イソナフトチアゾ−ル、1、3−ビス(4−
ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニ
ル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、
3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリ
ン)、N−フェニル−N−エチルエタノ−ルアミン、N
−フェニルエタノ−ルアミン、N−トリルジエタノ−ル
アミン、N−フェニルエタノ−ルアミン、ジメチルアミ
ノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソア
ミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオ−テトラゾ−
ラゾ−ル、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオ
−テトラゾ−ルなどが挙げられる。本発明ではこれらを
1種または2種以上使用することができる。なお、増感
剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがあ
る。増感剤を本発明の感光性誘電ペーストに添加する場
合、その添加量はアクリル系共重合体と光反応性化合物
の和に対して通常0.1〜30重量%、より好ましくは
0.5〜15重量%である。増感剤の量が少なすぎれば
光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多
すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがあ
る。
【0039】熱重合禁止剤は、保存時の熱安定性を向上
させるために添加される。熱重合禁止剤の具体的な例と
しては、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミ
ン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコ−ル、N−
フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p
−メチルフェノ−ル、クロラニ−ル、ピロガロ−ルなど
が挙げられる。熱重合禁止剤を添加する場合、その添加
量は、アクリル系共重合体と光反応性重合性化合物の和
に対し、通常、0.01〜20重量%、より好ましく
は、0.05〜10重量%である。熱重合禁止剤の量が
少なすぎれば、保存時の熱的な安定性を向上させる効果
が発揮されず、熱重合禁止剤の量が多すぎれば、露光部
の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0040】可塑剤としては、例えばジブチルフタレー
ト、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール、
グリセリンなどが用いられる。
【0041】酸化防止剤は、保存時におけるアクリル系
共重合体の酸化を防ぐために添加される。酸化防止剤の
具体的な例として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ
−ル、ブチル化ヒドロキシアニソ−ル、2、6−ジ−t
−4−エチルフェノ−ル、2,2−メチレン−ビス−
(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2−
メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノ
−ル)、4,4−チビス−(3−メチル−6−t−ブチ
ルフェノ−ル)、1,1,3−トリス−(2−メチル−
6−t−ブチルフェノ−ル)、1,1,3−トリス−
(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)
ブタン、ビス[3,3−ビス−(4−ヒドロキシ−3−
t−ブチルフェニル)ブチリックアッシッド]グリコ−
ルエステル、ジラウリルチオジプロピオナ−ト、トリフ
ェニルホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤を添
加する場合、その添加量は通常、誘電体粉末、アクリル
系共重合体、光反応重合性化合物、ガラスフリットおよ
び光重合開始剤の総和に対して0.01〜5重量%、よ
り好ましくは0.1〜1重量%である。酸化防止剤の量
が少なければ保存時のアクリル系共同重合体の酸化を防
ぐ効果が得られず、酸化防止剤の量が多すぎれば露光部
の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0042】焼結助剤は、誘電体層の緻密化を促進する
ために添加される。使用量としては、誘電体粉末とアク
リル系共重合体と光反応性化合物の和に対して、1〜5
重量%の範囲で添加することが好ましい。焼結助剤とし
て具体的には、600〜950℃で焼結できる硅酸塩ガ
ラスなどのガラスあるいは結晶化ガラス(ガラス・フリ
ット)を用いることができるが、感光性ポリマと反応し
てゲル化の恐れのあるPb,Bi,Mg,Cd,Cu,
Fe,Ni,Coなどの金属あるいは酸化物を含まない
ガラス・フリットが好ましい。
【0043】感光性誘電ペーストの組成としては、次の
範囲で選択するのが良い。
【0044】 (a)誘電体粉末 ;75〜90重量% (b)アクリル系共重合体と光反応性化合物;25〜10重量% (c)光重合開始剤 ;(b)に対して2〜30重量% 上記において好ましくは、(a)と(b)の組成が、そ
れぞれ75〜90重量%、25〜10重量%で、より好
ましくは78〜87重量%、22〜13重量%である。
この範囲にあると露光時において紫外線が良く透過し、
光硬化の機能が十分発揮され、ヴィアホールの精度が向
上する。また誘電体層が緻密になり、誘電特性が向上す
る。
【0045】本発明の感光性誘電ペーストは、アクリル
系共重合体と光重合開始剤を光反応性化合物に溶解し、
この溶液に誘電体粉末および必要に応じて紫外線吸光剤
を分散させることによって製造することができる。アク
リル系共重合体と光重合開始剤が光反応性化合物に溶解
しない場合、あるいは溶液の粘度を調整したい場合には
該アクリル系共重合体、光重合開始剤及び光反応性化合
物の混合溶液が溶解可能である有機溶媒を加えてもよ
い。このとき使用される有機溶媒としては、たとえばメ
チルセルソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソル
ブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シク
ロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコ−
ル、イソプロピルアルコ−ル、テトラヒドロフラン、ジ
メチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトンなどやこれ
らのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いら
れる。
【0046】紫外線吸光剤の添加方法としては、誘電体
粉末と無機粉末とを水溶液中で湿式混合後、乾燥する方
法があげられる。より好ましい添加方法は所定の添加量
となるように無機塩の水溶液中に誘電体粉末を均質に混
合・分散後、乾燥、焼成して混合粉末を作製する方法で
ある。この方法によって誘電体粉末の個々の粉末表面に
無機の膜あるいは微細な粉末をコートしたいわゆるカプ
セル状の粉末が作製できる。例えば酸化鉄や酸化コバル
トの場合、塩化鉄や塩化コバルトの水溶液中に誘電体粉
末を分散させた後、攪拌しながら乾燥させ、400〜8
00゜Cで熱処理を行うことによって誘電体粉末の表面
に酸化鉄や酸化コバルトの被膜を作製することができ
る。
【0047】さらに必要に応じて有機溶媒、増感剤、熱
重合禁止剤、可塑剤、酸化防止剤、、焼結助剤、分散剤
および有機あるいは無機の沈殿防止剤などを添加し、混
合物のスラリーとする。所定の組成となるように調合さ
れたスラリーを3本ローラや混練機で均質に分散し、ペ
ーストを作製する。
【0048】本発明で使用する誘電体ペーストの粘度は
誘電体粉末、有機溶媒、ガラスフリットの組成、可塑
剤、沈殿防止剤などの添加割合によって適宜調整される
が、2000〜20万cps(センチ・ポイズ)の範囲
にあることが好ましい。例えば塗布膜の形成をディッピ
ング法で行う場合は、2000〜5000cpsが好ま
しい。また、スクリーン印刷法で行う場合は、2万〜2
5万cpsの粘度に調整することによって、1回の印刷
で20〜50μmの厚膜が形成できるので好ましい。
【0049】次に、感光性誘電ペーストを用いてパター
ンを形成する方法について説明する。
【0050】まず、感光性誘電ペーストを、配線導体層
を形成した焼結後のアルミナ、窒化アルミあるいはガラ
ス・セラミックスなどからなる低温多層基板上あるいは
セラミックスグリーンシート上にスクリーン印刷法で塗
布する。また、必要な層数に応じて導体形成プロセスと
誘電層形成プロセスを繰り返して誘電体層を内蔵した多
層基板が形成される。このガラス・セラミックスからな
る低温多層基板は低温焼成用の無機粉末を使用して作製
できる。このとき、配線導体層は配線パターンの精度に
応じて、スパッタリング、メッキあるいはスクリーン印
刷などの方法によって形成される。また導体金属として
は、Cu,Au,Ag,Pd,Ag−Pd,W,Moな
どが適宜選択される。
【0051】塗布厚みは、塗布回数、スクリーンのメッ
シュ、ペーストの粘度などにより適宜調整できるが、通
常、10〜180μmである。10μm未満では緻密な
膜を均質に作製し、かつ優れた誘電特性を保持すること
が難しい。また180μmを越えると露光時において紫
外線透過が難しくなるのでヴィアホールの形成ができに
くくなる。
【0052】但し、本発明の誘電体ペーストを用いてセ
ラミックス多層基板の内層に誘電体層(コンデンサ層)
を形成する場合、誘電体層のヴィアホールの形成におい
て上下の孔径差がなく微細にでき、しかも誘電体層が緻
密にできる好ましい厚みの範囲は30〜100μmであ
る。またヴィアホールの解像度は誘電層の厚みによって
異なるが、紫外線の透過を十分に行うためにはアスペク
ト比(シート厚み/ヴィアホール径)は1以下であるの
が好ましい。すなわち、40μm厚みの場合は40μm
径のヴィアホールの形成ができる。
【0053】なお、感光性誘電ペーストを塗布する場合
に、基板と塗布膜との密着性を高めるために、基板の表
面処理を行うとよい。表面処理は、表面処理液をスピナ
ーなどで基板上に均一に塗布した後に80〜140℃で
10〜60分間乾燥することによって容易に行うことが
できる。表面処理液としては、ビニルトリクロロシラ
ン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、トリス−(2−メトキシエトキシ)ビニルシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、γ
(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤、あ
るいは有機チタン、有機アルミニウム、有機ジルコニウ
ムなどの有機金属が使用できる。シランカップリング剤
あるいは有機金属を、エチレングリコ−ルモノメチルエ
ーテル、エチレングリコ−ルモノエチルエーテル、メチ
ルアルコ−ル、エチルアルコ−ル、プロピルアルコ−
ル、ブチルアルコ−ルなどの有機溶媒で0.1〜5%の
濃度に希釈したものを用いることができる。
【0054】次に、基板上に塗布したペーストの膜を乾
燥する。通常、70〜120℃で数分から1時間加熱し
て溶媒類を蒸発させることにより行う。
【0055】乾燥後、フォトリソグラフィ法により、所
定のヴィアホールに対応したフォトマスクを用いて紫外
線を照射して露光し、感光性誘電ペーストを硬化する。
露光条件は誘電体層の厚みなどによって異なるが、通
常、5〜100mW/cm2の出力の超高圧水銀灯を用
いて10秒〜30分行う。この際使用される活性光源と
しては、たとえば紫外線、電子線、X線などが挙げられ
るが、これらの中で紫外線が好ましく、その光源として
はたとえば低圧水銀灯、高圧水銀灯、ハロゲンランプ、
殺菌灯などが使用できる。これらの中でも超高圧水銀灯
が好適である。
【0056】次に、現像液を用いて前記露光によって硬
化していない部分を除去し、いわゆるネガ型のパターン
を形成し、誘電体層にヴィアホールを形成する。現像は
浸漬法やスプレー法で行なう。現像液としては前記のア
クリル系共重合体、光反応性化合物及び光重合開始剤の
混合物が溶解可能である有機溶媒を使用できる。また該
有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加して
もよい。またアクリル系共重合体の側鎖にカルボキシル
基が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アル
カリ水溶液として水酸化ナトリウムや水酸化カルシウム
水溶液などのような金属アルカリ水溶液を使用できる
が、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ
成分を除去しやすいので好ましい。有機アルカリ水溶液
の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキ
サイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイ
ド、モノエタノ−ルアミン、ジエタノ−ルアミンなどが
挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.01〜2
0重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。
アルカリ濃度が低すぎれば未露光部が除去されずに、ア
ルカリ濃度が高すぎれば、露光部を腐食させるおそれが
あり好ましくない。
【0057】本発明の感光性誘電ペーストの調合、印
刷、露光、現像工程は紫外線を遮断できるところで行う
必要がある。紫外線を遮断しない場合、ペーストや塗布
膜が紫外線によって光硬化してしまい、本発明の効果を
有する誘電体層が得られないためである。
【0058】次に、ヴィアホール(あるいはスルホー
ル)部の電源層に導体ペーストを用いて導体を埋め込
む。埋め込みは、配線パターン形成に用いるものと同じ
ものあるいは別の銅、銀、銀−パラジウム、タングステ
ン、モリブデン、金導体ペーストを用いてスクリーン印
刷、スキージ、ディスペンサあるいはローラなどの方法
により行う。この誘電体層のヴィアホールに対する導体
ペーストの埋め込みは層数ごとに繰り返し行う。
【0059】次に、焼成炉にて焼成を行ってヴィアホー
ルに導体が形成された多層の誘電体層が形成される。焼
成雰囲気や温度は、セラミックス基板や導体の種類によ
って異なるが、焼成時に感光性誘電ペースト中に含まれ
るアクリル系共重合体、光反応重合性化合物、安定化
剤、あるいは溶媒などの有機物の酸化、蒸発を可能にす
る雰囲気であればよく、通常、300〜550℃で10
分〜数時間保持した後、600〜1600℃の温度で数
時間保持してから誘電体層を焼結させる。具体的には、
ガラス・セラミックスからなる低温多層基板の場合は8
50〜1000℃の温度で数時間保持して誘電体層を焼
成する。アルミナや窒化アルミ基板の場合は、1600
℃の温度で数時間かけて焼成する。Cu,W,Mo,W
−Moなどの導体の場合は、酸素を3〜50ppm含有
し、残部が窒素あるいはアルゴンなどの中性ガスまたは
水蒸気で制御した還元雰囲気中で焼成できる。
【0060】焼成後の誘電体層中に残存する炭素量は2
50ppm以下であることが好ましい。より好ましくは
100ppm以下、さらに好ましくは50ppm如何で
ある。残存する炭素量が多いと、誘電体層の気孔率の低
下、強度低下、誘電特性の低下などの問題を生ずる。
【0061】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれに限定されない。なお、下記の実施
例では濃度や使用量はすべて重量で表す。
【0062】実施例1〜5 A.誘電体粉末 (1)BaTiO3粉末;平均粒子径2.0μmの球状粉
末。
【0063】(2)Pb(Fe1/2 Nb1/2)O3−Pb
(Fe2/31/3)O3;平均粒子径;1.8μmの球状
粉末。 B.アクリル系共重合体 (以下、ポリマバインダーという)40%のメタアクリ
ル酸、30%のメチルメタアクリレートおよび30%の
スチレンに対して0.4当量(40%に相当する)のグ
リシジルアクリレートを付加反応させたポリマ C.光反応性化合物 トリメチロ−ル・プロパン・トリアクリラート D.溶媒 γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコ−ル、メチル
アルコ−ルおよびα−テレピネオ−ルの混合溶媒 E.光重合開始剤 α−アミノ・アセトフェノン F.感光性誘電ペーストの製造 a.有機ビヒクルの作製 溶媒およびポリマバインダーを混合し、攪拌しながら8
0℃まで加熱しすべてのポリマバインダーを均質に溶解
させた。ついで溶液を室温まで冷却し、光重合開始剤を
加えて溶解させた。その後溶液を400メッシュのフィ
ルターを用いて濾過した。このときの溶媒の量として
は、得られるペーストの粘度が50000〜60000
cpsの範囲になるようにした。 b.ペースト調製 上記の有機ビヒクルに誘電体粉末および光反応性化合物
を所定の組成となるように添加し、3本ローラで混合・
分散して調製した。調製した組成を表1に示す。
【0064】
【表1】
【0065】c.電極用導体の形成 配線用およびヴィアホール用導体としてAg−Pd(8
5−15重量%)の市販のペーストを使用し、950℃
で焼結できるコーディライト系グリーンシートのヴィア
ホールに印刷を行い、さらにグランド電極層を形成し
た。このグリーンシートの厚みは150μmで、適宜1
50μm角のヴィアホールが形成されているものであ
る。 e.誘電体ペーストの印刷 上記のcでグランド電極層を形成したグリーンシート上
に250メッシュのスクリーンを用いて誘電体ペースト
をスクリーン印刷した。印刷はピンホールなどの影響を
防ぐため数回繰り返し印刷する。その後80℃で30分
乾燥した。乾燥後の膜厚は約50μmであった。印刷は
紫外線を遮断した室内で行った。 f.露光、現像 上記のeで作製した誘電体ぺーストの膜上に50μm角
のヴィアホールを有するクロムマスクを用いて、上面か
ら50mW/cm2の出力の超高圧水銀灯で紫外線露光
した。次に25℃に保持したモノエタノールアミンの1
重量%の水溶液に浸漬して現像し、その後スピンスプレ
ーを用いて光硬化していないヴィアホールを水洗浄し
た。 g.導体の埋め込み 上記のfで形成したヴィアホール部分にcの導体ペース
トをスクリーン印刷法で埋め込んだ。 h.積層と焼成 上記のgでヴィアホールに導体を埋めこんだ誘電体膜上
にコンデンサ形成用のグリーンシートを用いて積層す
る。このグリーンシートは上記cと同じものを使用し、
適宜設計に応じてヴィアホールに導体印刷が施されてい
る。積層は80℃,350kg/cm2で熱圧着するこ
とにより行い、積層後、500℃で30分脱バインダー
後、900℃で15分焼成し、コンデンサを内蔵したセ
ラミックス積層基板を得た。 i.評価 焼成後のコンデンサ内蔵のセラミックス積層基板につい
て、コンデンサ容量、誘電率、誘電損失を測定したとこ
ろ、ほぼ設計通りの値が得られた。また本発明による誘
電体ペーストを使用した積層基板はグリーンシートおよ
び誘電体ペーストとを一体として焼成するので焼成後の
基板の湾曲を著しく低減できる効果があるのでハンダリ
フローの際、ハンダの接着不良をなくすることが可能と
なり、収率を向上させることができた。 比較例1 上記の誘電体粉末のうち(1)のBaTiO3を使用し、粉
末組成55%、アクリレート樹脂12%、トルエン24
%、イソプロピルアルコ−ル8%およびジブチルフタレ
ート5%を3本ローラで混合・分散し誘電体ペーストを
調整した。次に誘電体層のヴィアホールの形成以外は上
記と同じ方法で、コンデンサ内蔵のセラミックス積層基
板を作製した。ヴィアホールの形成は250メッシュの
スクリーンを用いて印刷法で、サイズ45μm角を作製
した。焼成は上記のhと同じ条件で行った。
【0066】得られた積層基板についてコンデンサ容
量、誘電率を測定したが、正常な値が得られなかった。
内部の誘電体層を調べたところ、ヴィアホールの周りに
は導体層のにじみが多く観察された。
【0067】
【発明の効果】本発明は上述の構成を有するため、ヴィ
アホールやスルホールの形成が極めて容易にかつ精度よ
くでき、しかも微細な孔を確実に安価に形成できる利点
がある。また、この発明の誘電体層により形成したコン
デンサを内蔵したセラミックス多層基板は性能的に優れ
ているうえ、微細なパターン形成ができ、かつスルホー
ルやヴィアホールが飛躍的に小型化されるので、高信頼
性、高性能化、高密度化などを達成することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】チタン酸バリウム(BaTiO3)、チタ
    ン酸ストロンチウム(SrTiO3)、ジルコン酸カル
    シウム(CaZrO3)、チタン酸カルシウム(CaT
    iO3)、チタン酸鉛(PbTiO3)、タングステン酸
    鉛(PbWO3)、亜鉛酸鉛(PbZnO3)、鉄酸鉛
    (PbFeO3)、マグネシウム酸鉛(PbMgO3)、
    ニオブ酸鉛(PbNbO3)、ニッケル酸鉛(PbNi
    3)、ジルコン酸鉛(PbZrO3)、複合ペロブスカ
    イト系誘電体、および酸化チタン(TiO2)の群から
    選ばれた少なくとも一種の誘電体化合物からなる誘電体
    粉末、アクリル系共重合体、光反応性化合物および光重
    合開始剤を含有することを特徴とする感光性誘電ペース
    ト。
  2. 【請求項2】安定化剤を含有することを特徴とする請求
    項1に記載の感光性誘電ペースト。
  3. 【請求項3】紫外線吸光剤を含有することを特徴とする
    請求項1または2に記載の感光性誘電ペースト。
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