JP2000257120A - 建設機械におけるトラックサイドフレームのウエイト構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 車体の重心の位置を下げると共に車体の安定
性を図るために、地上面と上部履帯との丁度中間位置に
ある走行体のトラックサイドフレームにウエイトを取付
けるとともに、この取付けたウエイトの上面を滑り止め
の付いた昇降用のステップとして兼用することのできる
ウエイト兼用ステップの提供。 【解決手段】 建設機械の走行体のトラックサイドフレ
ームの外側にウエイト兼用ステップを、車幅の範囲内に
収まるように取付けると共に、ウエイト兼用ステップの
上面に滑り止め部を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、クローラ式の高所
作業車、クレーン作業車、ショベル系掘削作業機などの
クローラ式の建設機械におけるクローラ式走行体に取付
けるウエイト兼用ステップの取付け構造に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】クローラ式の建設機械は、移動のための
履帯を備えた走行体と、種々の作業を行うためのフロン
トアタッチメントを備えた旋回体とからなっている。そ
して、この旋回体には、各種の動力駆動装置、これらの
装置の操作制御装置等の上部構造体と、及びこれら動力
駆動装置や操作制御装置によって操作駆動されて種々の
作業を行うための作業用フロントアタッチメントが装備
されている。一方、走行体は、上述の旋回体と旋回装置
を介して旋回可能に連結される走行体本体と、走行体本
体の左右位置にそれぞれ設けられるクローラ装置とから
なっている。ここで、クローラ装置とは、トラックフレ
ーム、駆動輪、遊動輪、上下のローラ、シューなどを含
む総称である。

【０００３】ここで、クローラ式の高所作業車は、移動
走行のための走行体と、その上に旋回可能に装架された
旋回体とからなる作業車両本体と、この作業車両本体の
旋回体に起伏自在に設けられた伸縮ブームと、この伸縮
ブームの先端に設けられた作業篭とからなり、この作業
篭に作業員が乗って作業篭を適宜の位置に操作すること
により高所での種々の作業を行っている。

【０００４】このようなクローラ式の高所作業車におい
て、ブームの先端に設けられた作業篭への搭載荷重は、
走行体および旋回体からなる高所作業車本体の重量と、
ブームの角度（作業半径）とで決定されている。そし
て、高所作業車において、時には作業半径の限度ギリギ
リのところでの作業を行わざるを得ない作業もあり、こ
のため、同じ車体を使用しながら、作業範囲を増大させ
て車体の安定性を向上させるため、吊旋回体の後部にカ
ウンターウエイトと称するウエイトを積み増して高所作
業車本体の総重量の増加を図ったり、または、走行体を
構成するトラックサイドフレームの外面にウエイトを取
付けることで高所作業車本体の総重量の増加させると共
に車体の重心位置を下げて車体の安定性を図っている。

【０００５】一方、クローラ式のクレーン作業車は、移
動走行のための走行体と、その上に旋回可能に装架され
た旋回体とからなる作業車両本体と、この作業車両本体
の旋回体に起伏自在に設けられた作業用ジブとからなっ
ており、この作業用ジブの先端に設けられたシーブを経
て吊下げロープにより吊りフックを下ろし、旋回体に設
けられたウインチにより前記ロープを巻上げ・巻下ろし
により、吊りフックに吊下げられた吊荷を吊上げ・吊下
ろし作業をしている。

【０００６】このようなクローラ式のクレーン作業車に
おいて、クレーンによって吊上げ可能な制限荷重は、走
行体および旋回体からなるクレーン作業車本体の重量
と、作業用ジブの角度（作業半径）とから決定されてい
る。しかしながら、時には作業半径の限度ギリギリのと
ころでの作業を行わざるを得ない作業もあり、このよう
な状態でクレーン作業を行うと作業範囲の制限の限度一
杯であることから車体にふらつきを生じ、車体の安定性
の上から好ましいものではない。

【０００７】このため、同じ車体を使用しながら、吊上
げ荷重や作業範囲を増大させると共に車体の安定性を向
上させるため、旋回体の後部にカウンターウエイトと称
するウエイトを積み増してクレーン作業車本体の総重量
の増加を図ったり、または、走行体を構成するトラック
サイドフレームの外面にウエイトを取付けることでクレ
ーン作業車本体の総重量の増加と車体の重心位置を下げ
て車体の安定性を図っている。なお、従来例として、走
行体を構成するトラックサイドフレーム４に設けたブラ
ケット１４にウエイト１６をロッド１５によって引っ掛
けて支承するようにした例を図５に示している。

【０００８】また、クローラ式の高所作業車、クレーン
作業車、ショベル系掘削作業機などのクローラ式の建設
機械は、要請される作業内容に対応して大型化してきて
おり、走行体の上に装架された旋回体の点検補修のため
に、走行体の上に上がる必要があるが、走行体の上側の
履帯まで足を上げるのは高さの関係で大変である。この
ために、クローラ式の建設機械の走行体のトラックサイ
ドフレームには、旋回体に上るための昇降用ステップと
して標準ステップが取付けられている。しかしながら、
この標準ステップは、単につま先を乗せることのできる
程度のものであり、簡単な点検修理作業のため、手に工
具類を持った状態でこの標準ステップを使って旋回体に
上がるのはなかなか大変である。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
公知であるクローラ式の建設機械において、旋回体の後
部のカウンターウエイトにウエイトを積み増して車体の
総重量の増加を図ると共に、走行体のトラックサイドフ
レームに追加のウエイトを取付けて車体の重心をより低
くする必要があるが、該走行体のトラックサイドフレー
ムには、標準ステップが既に取付けられており、更にそ
の外側に追加ウエイトを取付けるとなると、標準ステッ
プの取付けで既に車幅の制限一杯であるので、車幅制限
の限度幅を越えてしまうことになる。

【００１０】このため、走行体のトラックサイドフレー
ムに、昇降のためのステップと車体の安定性のための追
加ウエイトとを併設することができず、必要に応じてそ
の都度、走行体のトラックサイドフレームに追加ウエイ
トを取付けたり、取外したりしなければならず、その作
業はなかなか面倒である。

【００１１】また、走行体を構成するトラックサイドフ
レーム４に設けたブラケット１４にウエイト１６をロッ
ド１５によって引っ掛けて支承ものにおいては、作業の
最中に場所を移動する際、ウエイト１６のロッド１５を
ブラケット１４に引っ掛けているだけのものであること
から、移動の最中にブラケット１４からウエイト１６の
ロッド１６が抜け落ちる危険性がある。このため、作業
の最中に車体の安定が損なわれる恐れがある。

【００１２】そこで、本発明は、上述した課題によりな
されたもので、車体の重心の位置を下げると共に車体の
安定性を図るために、地上面と上部履帯との丁度中間位
置にある走行体のトラックサイドフレームにウエイトを
取付けるとともに、この取付けたウエイトの上面を昇降
用のステップとして兼用することにより、車幅の制限内
にウエイト兼用のステップを収めることができ、また、
昇降のためのステップとしても、地上面と上部履帯との
丁度中間位置にある走行体のトラックサイドフレームに
取付けているので、無理なく昇降ステップとして使用す
ることができるウエイト兼用ステップを提供することを
目的とするものである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の請求項１に記載の発明は、建設機械の走行
体のトラックサイドフレームの外側にウエイト兼用ステ
ップを、車幅の範囲内に収まるように構成したことを特
徴とするもので、また、上記の目的を達成するため、本
発明の請求項２に記載の発明は、ウエイト兼用ステップ
を、建設機械の走行体のトラックサイドフレームの外側
に取付けボルトによって取付けると共に、その下面は、
トラックサイドフレームの支えブロックにより支承する
ように構成したことを特徴とするものである。

【００１４】また、上記の目的を達成するため、本発明
の請求項３に記載の発明は、前記ウエイト兼用ステップ
の上面に滑り止め用の凹凸が形成されていることを特徴
とし、また、上記の目的を達成するため、本発明の請求
項４に記載の発明は、前記ウエイト兼用ステップの上面
に滑り止めテープが貼着されていることを特徴とするも
のである。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
によって説明する。図１は、本発明のウエイト兼用ステ
ップをトラックサイドフレームの外側に取付けた平面図
で、図２は、図１の側面図で、図３は、本発明のウエイ
ト兼用ステップをトラックサイドフレームの外側に取付
けた断面図、図４は、従来のトラックサイドフレームの
外側に標準ステップを設けた平面図、図５は、従来のト
ラックサイドフレームの外側に追加ウエイトを取付けた
断面図である。

【００１６】図１〜３により本発明のウエイト兼用ステ
ップの取付け構造を説明すると、建設機械の走行を担う
走行体２は、旋回体を旋回自在に装架するトラックフレ
ーム３と、このトラックフレーム３の左右両側方に設け
られた断面四角形の形状の長尺部材であるトラックサイ
ドフレーム４と、このトラックサイドフレーム４の先端
部に設けられた駆動輪９と後端部に設けられた遊動輪１
０とにわたって掛け回されたエンドレス状の履帯１とか
らなっている。

【００１７】また、トラックサイドフレーム４の上面に
は、履帯１の弛みを支えるための上部ローラ７が、また
その下部には、トラックサイドフレーム４を介して建設
機械の重量を履帯１に伝達する下部ローラ８がそれぞれ
装着されている。そして、この先端部に設けられた駆動
輪９の回転駆動によりエンドレス状の履帯１の上を走行
移動可能になっている。また、断面四角形の形状のトラ
ックサイドフレーム４の下底面は、トラックサイドフレ
ーム４の全長にわたって支えブロック１２が外側方に延
設されている。

【００１８】次に、作業車両本体の総重量を増加させる
と共に車体の重心位置を下げて車体の安定性を図るた
め、建設機械の走行体２を構成するトラックサイドフレ
ーム４の外側面へのウエイト兼用ステップ５を取付けに
ついて述べると、適宜の手段により、略トラックサイド
フレーム４と同長であって、高さは、トラックサイドフ
レーム４の高さと略同一であり、取付けたトラックサイ
ドフレーム４の外側面から履帯１の幅内に収まるような
奥行きのウエイト兼用ステップ５をトラックサイドフレ
ーム４の全長にわたって外側方に延設されている支えブ
ロック１２の上に載置する。

【００１９】そうして、ウエイト兼用ステップ５の適宜
の位置に形成されたボルト孔とトラックサイドフレーム
４の適宜の位置に予め形成されたボルト孔とのボルト孔
との位置を合致させた後、両者のボルト孔に取付けボル
ト６を差し込み、この差し込まれた取付けボルト６をナ
ットの締付けによってトラックサイドフレーム４にウエ
イト兼用ステップ５を締付け固定する。

【００２０】このとき、トラックサイドフレーム４に取
付けられたウエイト兼用ステップ５は、その下面は、ト
ラックサイドフレーム４の底面から外側方に延設された
支えブロック１２によって支承されているので、取付け
られたウエイト兼用ステップ５の重量は、この支えブロ
ック１２によって支承されている。したがって、ウエイ
ト兼用ステップ５をトラックサイドフレーム４に取付け
ている取付けボルト６には、ウエイト兼用ステップ５の
重量はかからないので、ウエイト兼用ステップ５がトラ
ックサイドフレーム４から倒れて抜け落ちるのを防止す
るだけの強度を有するものでよい。

【００２１】なお、図２及び図３において、ウエイト兼
用ステップ５は、トラックサイドフレーム４の外側面に
追加部材として取付けボルト６により添設するようにし
た形式のものを示したが、あとから取付けボルトで添設
するのではなく、予め、取付けボルト６を用いることな
く、トラックサイドフレーム４の外側面に溶接により直
接取付けるようにした形式のものでもよい。

【００２２】このようにトラックサイドフレーム４の外
側面に取付けられたウエイト兼用ステップ５の上面に、
滑り防止のための凹凸の滑り止め部１１を形成すること
によりステップとしての使用の際の足の踏み外しによる
危険を防止することができる。またこのとき、ウエイト
兼用ステップ５の上面に直接凹凸部１１を形成すること
なく、滑り止め機能を有する滑り止めのテープを貼って
も同様の効果を得ることができる。

【００２３】本発明の建設機械におけるトラックフレー
ムのウエイト構造においては、トラックサイドフレーム
４の外側面にボルト止めまたは直接溶接によりウエイト
兼用ステップ５を確実に取付けるものであるから、従来
公知のもののように、単に、トラックサイドフレーム４
の外側に設けたブラケット１４にウエイト１６に設けた
ロッド１５を引っ掛けて支持したものと異なり、ウエイ
ト兼用ステップ５を確実にトラックサイドフレーム４の
外側面に取付けることができ、作業の最中にウエイト１
６がブラケット１４から抜け落ちて、車体の安定性が損
なわれることはない。

【００２４】また、取付けたウエイト兼用ステップ５の
上面を修理や点検のため走行体２の上に上がる際の、中
間ステップとして利用することができるとともに、ウエ
イト兼用ステップ５の上面には、滑り防止のための凹凸
部１１が形成されているので、ステップとしての利用の
際、足を踏み外すと云った危険性も減少する。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の建設機械
におけるトラックフレームのウエイト構造は、トラック
サイドフレームの外側面にボルト止めまたは直接溶接に
よりウエイト兼用ステップを確実に取付けるものである
から、ウエイト兼用ステップを確実にトラックサイドフ
レームの外側面に取付けることができる。また、取付け
たウエイト兼用ステップの重量は、トラックサイドフレ
ームの底面から外側方に延設された支えブロックによっ
て支承されているので、ウエイト兼用ステップをトラッ
クサイドフレームの外側面に取付ける取付けボルトの強
度も、単に、トラックサイドフレームからウエイト兼用
ステップが落ちるのを防ぐ程度のものでよい。更に、取
付けたウエイト兼用ステップを追加ウエイト兼ステップ
として使用することができ、更に、取付けたウエイト兼
用ステップの上面に滑り止め部を設けたので、ステップ
としての利用の際に、足を踏み外すことがないと云う効
果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のウエイト兼用ステップをトラックサイ
ドフレームの外側に取付けた平面図、

【図２】図１の側面図、

【図３】本発明のウエイト兼用ステップをトラックサイ
ドフレームの外側に取付けた断面図、

【図４】従来のトラックサイドフレームの外側に標準ス
テップを設けた平面図、

【図５】従来のトラックサイドフレームの外側に追加ウ
エイトを取付けた断面図である。

【符号の説明】

１ 履帯、 ２ 下部旋回体、 ３ トラックフレー
ム、４ トラックサイドフレーム、 ５ ウエイト兼用
ステップ、６ 取付けボルト、 ７ 上部ローラ、 ８
下部ローラ、 ９ 駆動輪、１０ 遊動輪、 １１
滑り止め部、 １２ 支えブロック、１３ 標準ステッ
プ、 １４ ブラケット、 １５ ロッド、１６ ウエ
イト。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クローラ式の走行体を有する建設機械に
   おいて、走行体のトラックサイドフレームの外側にウエ
   イト兼用ステップを、車幅の範囲内に収まるように取付
   けたことを特徴とする建設機械におけるトラックサイド
   フレームのウエイト構造。
2. 【請求項２】 前記ウエイト兼用ステップは、走行体の
   トラックサイドフレームの外側に取付けボルトによって
   取付けると共に、その下面は、トラックサイドフレーム
   の支えブロックにより支承されていることを特徴とする
   請求項１に記載の建設機械におけるトラックサイドフレ
   ームのウエイト構造。
3. 【請求項３】 前記ウエイト兼用ステップの上面に滑り
   止め用の凹凸が形成されていることを特徴とする請求項
   １または２に記載の建設機械におけるトラックサイドフ
   レームのウエイト構造。
4. 【請求項４】 前記ウエイト兼用ステップの上面に滑り
   止めテープが貼着されていることを特徴とする請求項１
   または２に記載の建設機械におけるトラックサイドフレ
   ームのウエイト構造。