JP2000255098A - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP2000255098A
JP2000255098A JP11059051A JP5905199A JP2000255098A JP 2000255098 A JP2000255098 A JP 2000255098A JP 11059051 A JP11059051 A JP 11059051A JP 5905199 A JP5905199 A JP 5905199A JP 2000255098 A JP2000255098 A JP 2000255098A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数の画像を高速で順次形成する場合であっ
ても、個々の画像を単位として画像全体の倍率及び部分
倍率を各々補正することを可能とする。 【解決手段】 主走査方向に沿った画像全体の倍率、画
像の部分倍率が設定され、設定値に応じて光ビーム1走
査内のクロック信号の平均周波数及び左右周波数差をフ
ィードバック制御するにあたり、前の頁の画像形成が終
了し新たな設定値が設定されると、平均周波数の計測値
と設定値との偏差及び左右周波数差の計測値と設定値と
の偏差に対し、光ビーム走査周期の12周期分の時間が
経過する迄の間は負帰還ゲイン=1で制御し、次に8周
期分の時間が経過する迄の間は負帰還ゲイン=0.25で制
御し、その後平均周波数を規定するデータの値及び左右
周波数差を規定するデータの値を変化分「1」で増減す
ることにより、クロック信号の平均周波数及び左右周波
数差を短時間で整定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は画像形成装置に係
り、特に、クロック信号に同期した変調タイミングで変
調した光ビームを被照射体上で走査させて被照射体上に
画像を形成する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、光学走査装置から射出された
レーザビーム等の光ビームを像担持体上で走査(主走
査)させて像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像
を現像して得られたトナー像を記録材料に転写すること
で記録材料上に画像を形成する画像形成装置が知られて
いる。また、光学走査装置及び像担持体を複数備え、複
数の像担持体上に各々独立に静電潜像を形成して各色
(例えばC、M、Y、K)のトナー像を形成し、各色の
トナー像を同一の記録材料に順に転写して重ね合わせる
ことで、記録材料上にカラー画像を形成するカラー画像
形成装置も知られている。
【0003】この種の画像形成装置では、光学走査装置
が取付けられるフレームの寸法や光学走査装置を構成す
る各光学部品の寸法、或いは各光学部品の取付位置や光
学走査装置自体の取付位置が公差の範囲内でばらついて
いるので、これらの影響で記録材料上での画像形成位置
のずれ(カラー画像であれば色ずれとして視認される)
が生じないように、装置の出荷時や設置時に各種の調整
を行うことが一般的である。
【0004】しかしながら、上記の調整を行ったとして
も、各光学部品の位置は温度等の周囲環境の変化や設置
状態の変化の影響を受けて経時的に変化するので、これ
に伴って画像の位置ずれ(或いは色ずれ)が発生する。
また、記録材料の両面に一定サイズの画像を形成する態
様においては、一方の面に画像を形成することで記録材
料のサイズが変化する(詳しくは記録材料に熱を加える
定着処理を行うことで変化する)ので、記録材料のサイ
ズと該記録材料に形成した画像のサイズの比が変動する
ことで、記録材料の各面に形成した画像のサイズが不揃
いとなる。
【0005】なお、光ビームの走査方向(主走査方向)
に沿った画像の位置ずれ及びサイズのばらつきは、より
詳しくは図27にも示すように、(1) 画像全体の倍率の
ずれ(主走査方向に沿った画像領域の長さの変化)、
(2) 画像の倍率の部分的なばらつき(主走査方向に沿っ
た画像領域の長さの部分的な変化:図では例として、画
像領域の中央を境界として、走査開始側の部分領域の長
さが走査終了側の部分領域の長さよりも長い場合を示
す)、(3) 書き出し位置のずれ(画像領域の主走査方向
に沿った位置のずれ)、の3つの要素から構成され、こ
れらを補正することで画像の位置ずれ及びサイズのばら
つきを補正できる。
【0006】上記補正に関し、特開平3-36560号
公報には、同一の記録材料に対して少なくとも定着動作
を2度行うレーザプリンタ装置において、初回の定着動
作がされている記録材料に対しては、主・副走査方向の
書込み幅、書込み基準クロック、ポリゴンスキャナ回転
速度用のクロック等の書込み信号群を、定着動作を行う
ことによる記録材料のサイズの伸び率分だけ補正するこ
とが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記技術では
画像の倍率の部分的な補正(画像の部分倍率の補正)に
ついては何ら考慮されていない。本発明は、構成の複雑
化を招くことなく、画像の部分倍率のばらつきを含む画
像形成位置のずれを補正できる画像形成装置を得ること
を第1の目的としている。
【0008】また、本願出願人は、画像全体の倍率及び
画像の部分倍率は、ビデオクロック信号の周波数を閉ル
ープによってフィードバック制御することで補正するこ
とができ、高精度の色ずれ補正を実現できることに想到
した。但し、周波数が大きな振幅で振動したりハンチン
グ等が生ずることのないように偏差に対するゲインを小
さくすると、周波数が整定する迄に長い時間がかかる。
【0009】これに対し、例えば多数の記録材料の両面
への画像の形成を高速で行うことを目的として、一方の
面に既に画像が形成された(すなわち定着処理が1回行
なわれた)記録材料への画像の形成と、画像形成が行な
われていない(すなわち定着処理が行なわれていない)
記録材料への画像の形成を交互に行う等の態様において
は、画像を形成すべき記録材料のサイズが毎回相違する
ことになるので、記録材料のサイズに応じてクロック信
号の周波数を毎回変更する必要があり、偏差に対するゲ
インを小さくすると画像記録速度の低下を招く可能性が
ある。
【0010】本発明は、複数の画像を高速で順次形成す
る場合であっても、個々の画像を単位として画像全体の
倍率及び部分倍率を各々補正することが可能な画像形成
装置を得ることを第2の目的としている。
【0011】一方、光学走査装置から射出されて感光体
上を走査される光ビームは、感光体上での走査速度が周
囲温度によって変化するという問題がある。これは、周
囲温度の変化によりレーザの発振波長が変動し、これに
伴って入射レーザ光に対するレンズ等の光学部品の屈折
率が変化することと、光学走査装置のケーシング等の構
成部品の熱膨張によってレンズ等の光学部品の位置が変
化することが主な原因である。
【0012】上記の走査速度の変動によって画像の位置
ずれやサイズのばらつきが生ずることを防止するため
に、特開平6−320786号公報には、SOS(光ビ
ーム走査範囲内の走査開始側端部)とEOS(走査範囲
内の走査終了側端部)の間のレーザ光の走査時間を計測
し、計測結果に基づいてクロック信号の周波数をPLL
によって制御することが提案されている。しかし、上記
技術においても画像の部分倍率の補正については何ら考
慮されておらず、画像の部分倍率のばらつきを含め、画
像の位置ずれやサイズのばらつきを正確に補正すること
は困難である。
【0013】本発明は、画像全体の倍率及び部分倍率を
各々補正することができ、光ビームの走査速度が変化し
た場合にも画像全体の倍率が変化することを防止できる
画像形成装置を得ることを第3の目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に記載した第1の発明に係る画像形成装置
は、クロック信号発生部で発生されたクロック信号に同
期した変調タイミングで、形成すべき画像に応じて変調
した光ビームを被照射体上で走査させることにより、前
記被照射体上に画像を形成する画像形成装置であって、
光ビームの走査方向に沿った画像全体の倍率及び画像の
部分倍率を各々計測し、前記倍率の設定値と計測値の偏
差が小さくなり、かつ前記部分倍率の設定値と計測値の
偏差が小さくなるように、前記クロック信号発生部に入
力する光ビームの1走査に相当する期間内における前記
クロック信号の周波数の平均値及び変化幅に関する操作
量を前記偏差に応じて変更することを繰り返す周波数制
御手段と、前記周波数制御手段によるクロック信号の周
波数の制御における、前記偏差と前記操作量の変更量と
の関係を変更する変更手段と、を含んで構成されてい
る。
【0015】第1の発明では、光ビームの走査方向に沿
った画像全体の倍率(画像全体の記録倍率)が設定され
ると共に、光ビームの走査方向に沿った画像の部分倍率
(画像の部分的な記録倍率)が設定される。光ビーム
は、クロック信号発生部で発生されたクロック信号に同
期した変調タイミングで、形成すべき画像に応じて変調
されるので、光ビームの走査方向に沿った画像全体の倍
率及び画像の部分倍率は、光ビームが1回走査される間
のクロック信号の周波数(詳しくは周波数の平均値及び
変化幅)によって定まる。
【0016】このため、周波数制御手段は画像全体の倍
率の設定値と計測値の偏差が小さくなり、かつ画像の部
分倍率の設定値と計測値の偏差が小さくなるように、ク
ロック信号発生部に入力する光ビームの1走査に相当す
る期間内におけるクロック信号の周波数の平均値及び変
化幅に関する操作量を前記偏差に応じて変更することを
繰り返す。これにより、クロック信号発生部を制御対象
とし、画像全体の倍率及び画像の部分倍率(或いは光ビ
ームの1走査に相当する期間内におけるクロック信号の
周波数の平均値及び前記期間内におけるクロック信号の
周波数の変化幅(より詳しくは、例えば光ビームの走査
範囲を2つ以上の範囲に分割し光ビームが各範囲を走査
するときの平均周波数の差又は比))を制御量としてフィ
ードバック制御(閉ループ制御)が行なわれることにな
る。
【0017】そして上記制御により、光ビームによって
被照射体上に形成される画像を構成する各画素の光ビー
ム走査方向に沿った間隔が調整され、クロック信号の周
波数の平均値及び変化幅に関する操作量が略一定の値に
収束すると、設定された倍率と倍率の計測値の偏差及び
部分倍率と部分倍率の計測値の偏差が何れも小さくなり
(画像全体の倍率及び画像の部分倍率(又はこれらに対
応する周波数値)が整定された状態になり)、画像の部
分倍率のばらつきを含む画像形成位置のずれや画像サイ
ズのばらつきが補正される。これにより、本発明の第1
の目的が達成される。
【0018】また、第1の発明に係る画像形成装置が、
互いに異なる複数の色の画像を各々形成して重ね合わせ
ることでカラー画像を形成する画像形成装置である場合
には、本発明により各色の画像の画像形成位置のずれや
画像サイズのばらつきが各々補正されることでカラー画
像の色ずれが解消される。
【0019】ところで、複数の画像を順次形成していく
態様において、画像形成の高速化を達成するには、個々
の画像の画像形成期間の間に相当する非画像形成期間の
長さを短くすることが有効であるが、これを実現するた
めには、画像全体の倍率及び画像の部分倍率の整定時間
(設定値に基づき画像全体の倍率及び画像の部分倍率の
制御を開始してから画像全体の倍率及び画像の部分倍率
が整定された状態になる迄の時間)を短くする必要があ
る。
【0020】しかし第1の発明では、光ビームの走査方
向に沿った画像全体の倍率及び画像の部分倍率(又はこ
れらに対応する周波数値)を制御量としているので、周
波数制御手段によるフィードバック制御の周期が比較的
長い。従って、整定時間を短縮するためには、クロック
信号の周波数の平均値及び変化幅に関する操作量が略一
定の値に収束し画像全体の倍率及び画像の部分倍率が整
定状態になる迄に要する操作量変更回数(フィードバッ
ク制御の繰り返し回数)を少なくする必要がある。
【0021】このため第1の発明では、周波数制御手段
によるクロック信号の周波数の制御における、前記偏差
と前記操作量の変更量との関係を変更する変更手段を設
けている。これにより、例えば偏差が比較的大きい場
合、或いは偏差が比較的大きいと推定される期間に偏差
に対する操作量の変更量が大きくなるように前記関係を
変更すれば、前記偏差を速やかに小さくすることができ
る。また、偏差が比較的小さい場合、或いは偏差が比較
的小さいと推定される期間に偏差に対する操作量の変更
量が小さくなるように前記関係を変更すれば、画像全体
の倍率及び画像の部分倍率が大きな振幅で振動したりハ
ンチング等が生ずることなく、前記偏差をより小さくす
ることができる。従って、非常に少数回の操作量変更で
(フィードバック制御を非常に少ない回数繰り返すこと
で)画像全体の倍率及び画像の部分倍率を整定すること
が可能となる。
【0022】これにより、複数の画像を順次形成してい
く態様において、画像形成の高速化を目的として、個々
の画像の画像形成期間の間に相当する非画像形成期間の
長さを短くした場合にも、設定値に基づき画像全体の倍
率及び画像の部分倍率のフィードバック制御を開始して
から画像全体の倍率及び画像の部分倍率が整定状態とな
る迄の期間を前記非画像形成期間内に収めることが可能
となり、複数の画像を高速で順次形成する場合であって
も、個々の画像を単位として画像全体の倍率及び画像の
部分倍率を各々補正することが可能となるので、本発明
の第2の目的が達成される。
【0023】なお、周波数制御手段は、画像全体の倍率
及び画像の部分倍率そのものを計測するよう構成しても
よいが、画像全体の倍率に関連する物理量や画像の部分
倍率に関連する物理量(例えば画像全体の倍率に関連す
る期間及び画像の部分倍率に関連する期間内におけるク
ロック信号の平均周波数やパルス数)を計測するように
してもよい。
【0024】また、光ビームの走査方向に沿った画像全
体の倍率としては、例えば倍率に応じて変化する画像領
域の長さ、或いは記録倍率そのものを用いてもよいが、
画像領域を光ビームが走査する間のクロック信号の平均
周波数を用いて設定することが好ましい。クロック信号
の平均周波数はパルス数をカウントすることで容易に計
測することができ、計測した平均周波数が設定された平
均周波数に一致するように制御することで、画像全体の
倍率を、指定された平均周波数に対応する倍率に一致さ
せることができるので、制御が容易になり、周波数制御
手段の構成を簡単にすることができる。
【0025】また、光ビームの走査方向に沿った画像の
部分倍率についても、例えば画像領域を2つ以上の範囲
に分割したときの各範囲の長さ、或いは各範囲毎の倍率
そのものを用いてもよいが、画像領域を2つ以上の範囲
に分割し光ビームが各範囲を走査するときのクロック信
号の平均周波数の差又は比を用いて設定することが好ま
しい。これにより、上記と同様に制御が容易になり、周
波数制御手段の構成を簡単にすることができる。
【0026】次にその他の発明を説明する。
【0027】第2の発明は、第1の発明において、変更
手段が、光ビームによって被照射体上に画像が形成され
ていない期間内に前記偏差に対する前記操作量の変更量
を一時的に大きくし、光ビームによって被照射体上に画
像が形成されている期間内は前記偏差に対する前記操作
量の変更量を所定値以下とすることを特徴としている。
【0028】第2の発明によれば、画像が形成されてい
ない期間内に偏差(画像全体の倍率の設定値と計測値の
偏差及び画像の部分倍率の設定値と計測値の偏差)に対
する操作量の変更量を一時的に大きくするので、偏差に
対する操作量の変更量を一時的に大きくしている間に、
画像品質の低下を招くことなく前記偏差を速やかに小さ
くし、画像全体の倍率及び画像の部分倍率を整定するこ
とができる。また、画像が形成されている期間内は偏差
に対する操作量の変更量を所定値以下とするので、画像
を形成している間は画像全体の倍率や画像の部分倍率が
整定状態で維持されることで倍率や部分倍率の変動が抑
制され、画像品質が低下することを防止することができ
る。
【0029】第3の発明は、第2の発明において、変更
手段が、前記偏差に対する前記操作量の変更量を一時的
に大きくすることを、画像の形成が完了した直後、画像
の形成が開始される直前、及びリセットがかかった直後
の少なくとも何れかのタイミングで行った後に、前記偏
差に対する前記操作量の変更量を徐々に小さくすること
を特徴としている。
【0030】画像の形成が完了した直後及び画像の形成
が開始される直前は、画像全体の倍率及び画像の部分倍
率として次に形成すべき画像に対応する値が設定される
ことで、画像全体の倍率の設定値と計測値の偏差及び画
像の部分倍率の設定値と計測値の偏差が大きくなること
が多い。また、電源投入等によってリセットがかかった
ときにも画像全体の倍率や画像の部分倍率が一時的に不
定になる等の理由で前記偏差が大きくなることが多い。
【0031】これに対して第3の発明では、画像の形成
が完了した直後、画像の形成が開始される直前、及びリ
セットがかかった直後の少なくとも何れかのタイミング
で、偏差に対する操作量の変更量を一時的に大きくする
ので、大きくなった偏差を速やかに小さくすることがで
きる。また、偏差に対する操作量の変更量を一時的に大
きくした後は、偏差に対する操作量の変更量を徐々に小
さくするので、画像全体の倍率や画像の部分倍率を速や
かに整定することができる。
【0032】第4の発明は、第2の発明において、変更
手段が、前記偏差に対する前記操作量の変更量を一時的
に大きくすることを、画像の形成が完了した直後、画像
の形成が開始される直前、及びリセットがかかった直後
の少なくとも何れかのタイミングで行った後に、前記偏
差に対する前記操作量の変更量を前記偏差の減少に応じ
て小さくすることを特徴としている。
【0033】第4の発明は、第3の発明と同様に、画像
の形成が完了した直後、画像の形成が開始される直前、
及びリセットがかかった直後の少なくとも何れかのタイ
ミングで、偏差に対する操作量の変更量を一時的に大き
くするので、大きくなった偏差を速やかに小さくするこ
とができる。また、偏差に対する操作量の変更量を一時
的に大きくした後は、偏差に対する操作量の変更量を偏
差の減少に応じて小さくするので、第3の発明と同様
に、画像全体の倍率や画像の部分倍率を速やかに整定す
ることができる。
【0034】第5の発明は、第1の発明において、周波
数制御手段が、前記クロック信号の周波数の変化幅に関
する操作量の変更量に基づいて、前記変化幅に関する操
作量を前記変更量だけ変更したときのクロック信号の周
波数の平均値の変動をキャンセルするための前記周波数
の平均値に関する操作量に対する補正量を求め、求めた
補正量によって前記平均値に関する操作量を予め補正す
ることを特徴としている。
【0035】先に説明した第1の発明では、画像全体の
倍率の設定値と計測値の偏差に応じてクロック信号の周
波数の平均値に関する操作量を変更し、画像の部分倍率
の設定値と計測値の偏差に応じてクロック信号の周波数
の変化幅に関する操作量を変更しているので、クロック
信号の周波数の変化幅に関する操作量を変更すると、該
操作量の変更の影響を受けてクロック信号の周波数の平
均値も変化する。従って、特に画像の部分倍率の設定値
と計測値の偏差が比較的大きい等の場合には、平均値に
関する操作量が一定の値に収束し画像全体の倍率が整定
される迄に長い時間がかかることも考えられる。
【0036】これに対し、第5の発明では、クロック信
号の周波数の変化幅に関する操作量を変更したときのク
ロック信号の周波数の平均値の変動をキャンセルするた
めの周波数の平均値に関する操作量に対する補正量を求
め、求めた補正量によって周波数の平均値に関する操作
量を予め補正しているので、周波数の変化幅に関する操
作量を変更してもクロック信号の周波数の平均値が影響
を受けることを防止することができ、画像全体の倍率を
短時間で整定することができる。
【0037】第6の発明は、クロック信号発生部で発生
されたクロック信号に同期した変調タイミングで、形成
すべき画像に応じて変調した光ビームを被照射体上で走
査させることにより、前記被照射体上に画像を形成する
画像形成装置であって、光ビームが光ビーム走査範囲内
の第1の所定位置を通過してから前記走査範囲内の第2
の所定位置を通過する迄の期間内のクロック信号の平均
周波数を計測する第1計測手段と、光ビーム走査範囲を
2つ以上の範囲に分割し光ビームが各範囲を走査すると
きのクロック信号の平均周波数の差又は比を計測する第
2計測手段と、光ビームの走査方向に沿った画像全体の
倍率及び前記走査方向に沿った画像の部分倍率が指定さ
れ、前記第1計測手段によって計測されたクロック信号
の平均周波数が、前記指定された画像全体の倍率に応じ
た平均周波数に一致し、かつ前記第2計測手段によって
計測されたクロック信号の平均周波数の差又は比が、前
記指定された部分倍率に応じた平均周波数の差又は比に
一致するように、クロック信号の周波数を制御する周波
数制御手段と、を含んで構成されている。
【0038】第6の発明では、クロック信号の平均周波
数が第1計測手段によって計測され、クロック信号の平
均周波数の差又は比が第2計測手段によって計測され
る。また、画像全体の倍率及び画像の部分倍率が指定さ
れ、周波数制御手段は、計測されたクロック信号の平均
周波数が、指定された画像全体の倍率に応じた平均周波
数に一致し、かつ計測されたクロック信号の平均周波数
の差又は比が、指定された部分倍率に応じた平均周波数
の差又は比に一致するようにクロック信号の周波数を制
御する。これにより、指定された画像全体の倍率及び画
像の部分倍率に一致するように画像全体の倍率及び部分
倍率が各々補正される。
【0039】また、第1計測手段は、光ビームが光ビー
ム走査範囲内の第1の所定位置を通過してから第2の所
定位置を通過する迄の期間内のクロック信号の平均周波
数を計測するので、例えば周囲温度の変化等によって光
ビームの走査速度が変化した場合にも、光ビームが第1
の所定位置を通過してから第2の所定位置を通過する迄
の時間が変化することで、前記走査速度の変化が平均周
波数の計測値の変化として検出され、変化した平均周波
数の計測値が前記指定された画像全体の倍率に応じた平
均周波数に一致するようにクロック信号の周波数が制御
されることで、光ビームの走査速度の変化による画像全
体の倍率の変化が補正される。従って第6の発明によれ
ば、光ビームの走査速度が変化した場合にも画像全体の
倍率が変化することを防止することができ、本発明の第
3の目的が達成される。
【0040】なお、第1計測手段は、前記第1の所定位
置における光ビームの通過を検出する第1検出手段と、
前記第2の所定位置における光ビームの通過を検出する
第2検出手段と、を含んで構成することができ、光ビー
ムが第1の所定位置を通過してから第2の所定位置を通
過する迄の期間内のクロック信号の平均周波数として、
前記期間内のクロック信号のパルス数を計測することが
できる。
【0041】第7の発明は、第1の発明又は第6の発明
において、光ビームの走査方向に沿った画像領域の長さ
のずれを補正した画像全体の倍率を設定する第1設定手
段と、前記走査方向に沿った画像の記録倍率の部分的な
ばらつきを補正した画像の部分倍率を設定する第2設定
手段と、を更に備えたことを特徴としている。
【0042】先に説明した第1の発明において、画像全
体の倍率及び画像の部分倍率は、例えば作業者によって
計測・演算等の作業が行われて手動で指定される等の態
様も可能ではあるが、第7の発明によれば、光ビームの
走査方向に沿った画像領域の長さのずれを補正した画像
全体の倍率が第1設定手段によって演算されて指定さ
れ、前記走査方向に沿った画像の記録倍率の部分的なば
らつきを補正した画像の部分倍率が第2設定手段によっ
て演算されて指定されるので、作業者が画像全体の倍率
及び画像の部分倍率を演算する等の作業を行う必要がな
くなり、省力化を実現できる。
【0043】なお、第1の発明及び第6の発明におい
て、光ビームの走査方向に沿った画像の記録開始位置が
指定され、指定された記録開始位置から光ビームによる
画像の記録が開始されるように光ビームの変調を制御す
る変調制御手段を設けてもよい。これにより、画像記録
開始位置が変動している場合にも、これを補正すること
ができる。
【0044】また、第7の発明において、光ビームの走
査方向に沿って互いに異なる複数の位置にマークを形成
させるマーク形成制御手段と、前記マーク形成制御手段
によって形成された複数のマークの位置を各々検出する
マーク検出手段と、を更に備え、第1設定手段及び第2
設定手段は、マーク検出手段によって検出された複数の
マークの位置に基づいて、画像全体の倍率及び画像の部
分倍率を演算して設定することが好ましい。これによ
り、光ビームの走査方向に沿った画像領域の長さのずれ
及び前記走査方向に沿った画像の記録倍率の部分的なば
らつきを作業者が計測する場合と比較して、前記ずれ及
びばらつきを正確に補正できる倍率値及び部分倍率値を
得ることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下では本発明
に支障のない数値を用いて説明するが、本発明は以下に
記載した数値に限定されるものではない。
【0046】図2には、本発明の画像形成装置としての
カラー画像形成装置10が示されている。このカラー画
像形成装置10は、カラー画像形成装置10全体の作動
を制御する制御部24と、3個の搬送ローラ26A〜2
6Cと、搬送ローラ26A〜26Cに巻き掛けられた無
端の転写ベルト28と、転写ベルト28の下方側に配置
された4個の搬送ローラ30A〜30Dと、搬送ローラ
30A〜30Dに巻き掛けられた無端の搬送ベルト32
と、転写ベルト28及び搬送ベルト32を回転駆動する
回転駆動部34と、シート状の転写材36を集積状態で
内部に多数枚収容する給紙トレイ38と、を備えてい
る。
【0047】転写ベルト28の上方には、ブラック
(K)画像形成用の画像形成部12A、イエロー(Y)
画像形成用の画像形成部12B、マゼンタ(M)画像形
成用の画像形成部12C、及びシアン(C)画像形成用
の画像形成部12Dが、回転駆動部34が転写ベルト2
8を回転駆動したときの転写ベルト28の移動方向(図
2の矢印A方向)に沿って略等間隔で配置されている。
画像形成部12A〜12Dは同一構成であり、被照射体
としての感光体ドラム14を各々備えている。
【0048】感光体ドラム14は、軸線が転写ベルト2
8の移動方向と直交するように配置されており、各感光
体ドラム14の周囲には、感光体ドラム14を帯電させ
るための帯電器16、帯電された感光体ドラム14上に
レーザビームを照射して静電潜像を形成する光ビーム走
査装置18、感光体ドラム22上の静電潜像が形成され
た部位に所定色のトナーを供給して静電潜像を現像し、
感光体ドラム22上にトナー像を形成させる現像器2
0、及び感光体ドラム14に残されたトナーを除去する
ための清掃器22が配置されている。画像形成部12A
〜12Dの感光体ドラム14上に形成されたトナー像
は、転写ベルト28のベルト面上で互いに重なり合うよ
うに前記ベルト面上に各々転写される。これにより、ベ
ルト面上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0049】転写ベルト28の下方側に位置している搬
送ベルト32は、外周面が転写ベルト28の外周面と接
するように配置されており、転写ベルト28の回転駆動
と同期して、回転駆動部34によって図2矢印B方向に
移動するように回転駆動される。搬送ベルト32の上側
搬送面(上方を向いた搬送面)上に載置された転写材3
6は、転写ベルト28と搬送ベルト32が接している箇
所へ向けて搬送され、転写ベルト28と搬送ベルト32
とに挟持されることによって転写ベルト28の外周面に
形成されたトナー像が転写される。
【0050】搬送ベルト32の上側搬送面の移動方向下
流側には定着装置40及び転写材反転装置42が順に配
置されており、トナー像が転写された転写材36は定着
装置40に送り込まれ、定着装置40によってトナー像
が定着される。これにより転写材36の一方の面にカラ
ー画像が形成される。
【0051】図2はカラー画像形成装置10が多数枚の
転写材36の各々の両面に画像を形成する処理を行って
いる状態を示しており、白抜きで示されている転写材3
6Aは、定着を含む画像形成が両面共に未だ完了してい
ない転写材を表し、ハッチングで示されてる転写材36
Bは定着を含む画像形成が片面のみ完了した転写材を表
し、黒く塗り潰されて示されている転写材36Cは定着
を含む画像形成が両面共に完了した転写材を表してい
る。給紙トレイ38から引き出された転写材36Aは、
定着装置40を通過することで一方の面に画像が形成さ
れた後に転写材36Bとして転写材反転装置42へ送り
込まれ(図2の破線参照)、転写材反転装置42で表裏
が反転された後に図2矢印Cで示すように搬送ベルト3
2の下側搬送面に沿って搬送され、搬送ベルト32の上
側搬送面上に再度載置される。
【0052】転写材反転装置42による転写材36の表
裏反転処理はカラー画像形成装置10における目標処理
速度に比して時間がかかるため、本実施形態では搬送ベ
ルト32(及び転写ベルト28)の移動速度を比較的高
速に設定しており、図2より明らかなように、搬送ベル
ト32の上側搬送面上を、両面共に画像形成が完了して
いない転写材36Aと、片面のみ画像形成が完了した転
写材36Bと、が一定間隔を隔てて交互に搬送されるよ
うに、給紙トレイ38から引き出した転写材36Aを搬
送ベルト32に送り込むタイミングを制御している。こ
れにより、搬送ベルト32の上側搬送面上における転写
材36の搬送間隔を小さくし、処理速度の高速化を実現
している。
【0053】片面のみ画像形成が完了した転写材36B
は、画像未形成の面が上を向いた状態で搬送ベルト32
の上側搬送面上を搬送され、転写ベルト28と搬送ベル
ト32とに挟持されることで画像未形成の面にトナー像
が転写される。そして、定着装置40を通過することで
両面に画像が形成された後に、転写材36Cとしてカラ
ー画像形成装置10の機体外に排出される。
【0054】なお、片面のみ画像形成が完了した転写材
36Bは、定着装置40による定着処理時に加熱され、
含有していた水分が蒸発することにより、図13に示す
ように、両面共に画像形成が完了していない(定着処理
が行なわれていない)転写材36Aと比較してサイズが
若干小さくなる。なお、転写材の種類によっては定着処
理を経ることでサイズが若干大きくなるものもある。
【0055】また、搬送ベルト32の上側搬送面上にお
いて、転写材36A及び転写材36Bは、図13にも示
すように、搬送ベルト32による搬送方向に平行な2辺
のうち、光ビーム走査装置18から射出されて感光体ド
ラム14上を走査されるレーザビームの走査開始側に対
応する辺の、搬送方向に直交する方向に沿った位置が一
致するように載置される。
【0056】一方、図3に示すように、転写ベルト28
の幅方向中央には孔28Aが穿設されている。孔28A
は、転写ベルト28の移動方向に沿って、搬送ベルト3
2の上側搬送面上における転写材36の載置位置間隔に
一致するピッチで複数穿設されている。画像形成部12
A〜12Dよりも転写ベルト28の移動方向上流側に
は、LED等の発光素子とフォトトランジスタ等の受光
素子の対から成るベルト位置検出センサ44(図2も参
照)が孔28Aに対応して配置されている。
【0057】ベルト位置検出センサ44は制御部24に
接続されており、転写ベルト28上の孔28Aが穿設さ
れている箇所がセンサ配設位置を通過するときにレベル
が変化するベルト位置検出信号をページ信号生成回路9
6へ出力する。ベルト位置検出信号は、給紙トレイ38
から引き出した転写材36Aを搬送ベルト32に送り込
むタイミングの基準として用いられると共に、画像形成
部12A〜12Dによる画像形成タイミングの基準とし
て用いられる。
【0058】また、画像形成部12A〜12Dよりも転
写ベルト28の移動方向下流側にはレジ検知センサ46
(マーク検出手段)が配置されている。レジ検知センサ
46は、LED等の発光素子とCCDセンサ等の受光素
子の対から成る3個のレジ検知センサ46A〜46C
が、図4に示すように、転写ベルト28の幅方向に沿っ
て中央及び両側(転写ベルト28の幅方向に沿って画像
領域の中央及び両端に対応する位置)の3カ所の上方に
各々配置されて構成されており、発光素子から射出され
た光を転写ベルト28上の所定箇所に照射し、転写ベル
ト28で反射された光を受光素子で受光することによ
り、転写ベルト28上の対応する箇所に形成されたレジ
マーク(詳細は後述)をレジ検知センサ46A〜46C
によって各々読み取る。レジ検知センサ46は制御部2
4に接続されている。
【0059】次に、光ビーム走査装置18の構成につい
て説明する。図5に示すように、光ビーム走査装置18
はレーザダイオード(LD)50を備えている。本実施
形態ではLD50として、2つの発光点を備え、各発光
点からレーザビームを各々射出するデュアルスポットレ
ーザダイオードを用いている。LD50のレーザビーム
射出側には、コリメータレンズ52、平面ミラー54、
56が順に配置されており、平面ミラー50のレーザビ
ーム射出側には、外周に多数の反射面が形成されたポリ
ゴンミラー58が配置されている。LD50から射出さ
れたレーザビームは、コリメータレンズ52によって平
行光束とされた後に、シリンドリカルレンズ等の図示し
ない光学部品により、ポリゴンミラー58の反射面幅よ
りも幅広の光束としてポリゴンミラー58の反射面に入
射される(所謂オーバフィルド光学系)。
【0060】ポリゴンミラー58のレーザビーム射出側
には、fθレンズ60,62、折り返しミラー64が順
に配置されている。ポリゴンミラー58の反射面で反射
されることで所定方向に沿って偏向されたレーザビーム
はfθレンズ60,62を透過し、シリンドリカルミラ
ー又は平面ミラーから成る折り返しミラー64で反射さ
れて光ビーム走査装置18から射出され、感光体ドラム
14に照射される。感光体ドラム14に照射されるレー
ザビームは、ポリゴンミラー58の回転に伴って、感光
体ドラム14の軸線に平行な方向に沿って感光体ドラム
14の周面上を走査(主走査)される。なお、副走査は
感光体ドラム14が回転することによって成される。
【0061】LD50は、2つの発光点の配列方向が、
ポリゴンミラー58によるレーザビームの偏向方向と略
直交するように配置されている。従って、レーザビーム
の1回の主走査(1走査)に相当する角度だけポリゴン
ミラー58が回転すると、感光体ドラム14上には画像
(静電潜像)が2ライン分形成される。
【0062】また、折り返しミラー64のレーザビーム
射出側には、レーザビームの全走査範囲のうち走査開始
側の端部(SOS:Start Of Scan)に相当する位置に開
始位置検出センサ66が配置されている。LD50から
射出されたレーザビームは、ポリゴンミラー58の各反
射面のうちのレーザビームを反射している面が、入射ビ
ームをSOSに相当する方向へ反射する向きとなったと
きに、折り返しミラー58を介して開始位置検出センサ
66に入射される。従って、開始位置検出センサ66か
ら出力される開始位置信号SOS は、通常はローレベル
で、一定周期で(センサ66にレーザビームが入射され
る毎に)パルス幅の短いパルスが出力される信号とな
る。
【0063】次に制御部24について説明する。図6に
は制御部24のうち、光ビーム走査装置18の制御に関
する部分が示されている。図6に示すように、制御部2
4はCPU90を含んで構成されており、図示は省略す
るが、カラー画像形成装置10の全体を制御するための
プログラムや後述するレジマーク形成用の画像データ等
が記憶されたROM、入出力バッファやワークエリアと
して用いられるRAM、EEPROM等の記憶内容を書
き換え可能な不揮発性のメモリ、及び操作パネルを備え
ている。
【0064】CPU90には、先に説明したレジ検知セ
ンサ46が増幅器92及びアナログ−デジタル変換器
(ADC)94を介して接続されており、レジ検知セン
サ46から出力された信号がレジデータとして入力され
る。またCPU90には、画像形成部12A〜12Dの
光ビーム走査装置18に対応して各々設けられた露光制
御部70A〜70Dが各々接続されている。露光制御部
70A〜70Dは同一の構成であるので、以下では、画
像形成部12Dの光ビーム走査装置18に対応して設け
られた露光制御部70Dについてのみ説明する。
【0065】露光制御部70Dはページ信号生成回路9
6を備えている。ページ信号生成回路96はベルト位置
検出センサ44に接続されており、ベルト位置検出セン
サ44からベルト位置検出信号が入力されると共に、開
始位置信号SOSが入力される(図3参照)。またページ信
号生成回路96はCPU90に接続されており、CPU
90からは、転写ベルト28上の孔28Aがベルト位置
検出センサ44によって検出されたタイミングを基準と
して、前記孔28Aの穿設箇所に対応する転写ベルト2
8上の所定位置に画像を形成するために露光制御部70
Dが画像の露光を開始すべきタイミングを表すページ制
御データY(詳しくは、基準タイミングと露光を開始す
べきタイミングとの時間差を開始位置信号SOSの1周期
(SOS周期)で除した値(整数値)を表すデータ)が入
力される。
【0066】ページ信号生成回路96はベルト位置検出
信号のレベルが切り替わったタイミングをトリガとして
開始位置信号SOSのパルス数のカウントを開始し、カウ
ント値がページ制御データYの値に一致すると出力信号
をハイレベル(アクティブ)にすると共に、カウント値
を0に戻してパルス数のカウントを継続する。そして、
カウント値が予め定められた値(1ページ当たりの主走
査回数)に一致すると出力信号をローレベルを切り替え
る。これにより、例として図11にも示すように、レー
ザビームの走査方向(主走査方向)と直交する副走査方
向についての画像露光期間を表すページ制御信号PAGEが
生成される。
【0067】なお、CPU90は露光制御部70A〜7
0Dのページ信号生成回路96に対し、ページ制御デー
タYとして、画像形成部12A〜12Dの配置位置に応
じて互いに異なる値を設定する。従って、露光制御部7
0A〜70Dのページ信号生成回路96では、設定され
たページ制御データYに基づき、ハイレベルとなってい
る期間(画像露光期間に相当)が互いに異なるページ制
御信号PAGEが生成される。
【0068】また、露光制御部70Dは画像メモリ72
を備えており、画像メモリ72はデータバス80を介し
てCPU90に接続されている。CPU90は、露光制
御部70Dに対応する画像形成部12Dによって形成す
べき画像(C画像)を表す画像データを、データバス8
0を介して画像メモリ72に記憶させる。なお、上記の
画像データは、図示しない画像読取装置において、原稿
をスキャニングして得られた光信号をフィルタによって
各色の信号に分解して光電変換することによって生成さ
れるか、或いはパーソナルコンピュータ等の情報処理装
置で生成されて入力される。
【0069】また 露光制御部70Dは書き出し位置設
定レジスタ74、倍率設定レジスタ76及び倍率バラン
ス設定レジスタ78を備えており、これらはデータバス
80を介してCPU90に接続されている。CPU90
は、後述する初期補正処理及び画像形成処理によって決
定・更新した書き出し位置データXM、倍率データMG
及び倍率バランスデータBLCをレジスタ74、76、
78に設定する。
【0070】レジスタ74、76、78はビデオクロッ
ク発生器82に接続されており、CPU90から入力さ
れた前記各データはレジスタ74〜78を介してビデオ
クロック発生器82に入力される。なお、CPU90及
びレジスタ76、78は請求項7に記載の第1設定手段
及び第2設定手段に対応している。
【0071】なお、書き出し位置データXMは、開始位
置検知センサ66によってレーザビームが検知されてか
らレーザビームによる画像を書き出す(画像の記録を開
始する)迄の期間(SOSを基準とする画像領域の始端
位置)を指定するデータであり、倍率データMGは、主
走査方向に沿った画像全体の倍率(主走査方向に沿った
画像全体の記録倍率、以下全体倍率という)を、レーザ
ビームが画像領域を走査しているときのビデオクロック
信号の平均周波数で指定するデータである。
【0072】また、倍率バランスデータBLCは、画像
領域をSOS側とEOS(:End Of Scan)側の2つの部分
画像領域に分割し、主走査方向に沿った画像の部分倍率
(部分的な記録倍率:詳しくは左右倍率差)を、レーザ
ビームがSOS側の部分画像領域を走査しているときの
ビデオクロック信号の平均周波数と、EOS側の部分画
像領域を走査しているときのビデオクロック信号の平均
周波数の差で指定するデータである。
【0073】ビデオクロック発生器82には、画像形成
部12Dの光ビーム走査装置18の開始位置検知センサ
66が接続されており、開始位置検知センサ66から開
始位置信号SOS が入力される。ビデオクロック発生器8
2は、レジスタ74〜78を介して入力された書き出し
位置データXM、倍率データMG及び倍率バランスデー
タBLCと、開始位置検知センサ66から入力された開
始位置信号SOS と、ページ信号生成回路96から入力さ
れたページ制御信号PAGEとに基づいて、レーザビームが
感光体ドラム14上の画像領域を走査している期間にの
みハイレベル(アクティブ)となるライン同期信号LSYN
C (図11参照)、ビデオクロック信号VCK 、ビデオク
ロック信号VCK の2倍の周波数のビデオクロック信号VC
K*2 を生成する。ビデオクロック発生器82は、詳細は
後述するが、倍率データMG及び倍率バランスデータB
LCに応じて、レーザビームの1走査の期間内にビデオ
クロック信号VCOCKの周波数を制御し、これに伴ってビ
デオクロック信号VCK 及びビデオクロック信号VCK*2 の
周波数も変化する。
【0074】ビデオクロック発生器82には画像メモリ
制御回路84及びスクリーン生成回路86が接続されて
おり、ライン同期信号LSYNC 及びビデオクロック信号VC
K は画像メモリ制御回路84に出力され、ビデオクロッ
ク信号VCK*2 はスクリーン生成回路86に出力される。
画像メモリ制御回路84は画像メモリ72に接続されて
おり、画像メモリ72のデータ出力端はスクリーン生成
回路86に接続されている。画像メモリ制御回路84
は、画像メモリ72からスクリーン生成回路86への画
像データの出力が、ライン同期信号LSYNC 及びページ制
御信号PAGEが各々アクティブの期間中に、ビデオクロッ
ク信号VCK に同期したタイミングで行われるように制御
する。
【0075】スクリーン生成回路86は、ビデオクロッ
ク発生器82から入力されたビデオクロック信号VCK*2
に基づいて三角波の波形の信号を生成し、該三角波形信
号と、画像メモリ84から入力された画像データをデジ
タル−アナログ変換して得られた信号と、のレベルを比
較器によって比較し、比較結果に基づいてLD50をパ
ルス幅変調するための変調信号を生成する。なお、スク
リーン生成回路86としては、例えば特開昭62−39
975号公報に記載の構成を採用することができる。ス
クリーン生成回路86はLDドライバ88を介してLD
50に接続されており、LD50はスクリーン生成回路
86から出力された変調信号に基づいて変調駆動され
る。
【0076】画像形成部12A〜12Cの光ビーム走査
装置18についても、露光制御部70A〜70Cによ
り、上記と同様にしてK、Y及びMの何れかの画像デー
タに応じてLD50が変調される。これにより、画像形
成部12A〜12Dの感光体ドラム14上には、転写材
36上に形成すべきK画像、Y画像、M画像及びC画像
の何れかの静電潜像が各々形成される。これらの静電潜
像が現像器22によってK、Y、M及びCの何れかの色
に各々現像されることで、感光体ドラム14上には前記
何れかの色のトナー像が形成され、これらのトナー像が
転写ベルト28上で重ね合わされることにより、転写ベ
ルト28上にカラー画像(トナー像)が形成される。
【0077】次にビデオクロック発生器82及びその周
辺の回路の構成について詳細に説明する。図1に示すよ
うに、開始位置検知センサ60から出力された開始位置
信号SOS はビデオクロック発生器82の書き出し制御回
路100に入力される。書き出し制御回路100は、入
力された開始位置信号SOS のレベルを反転し、開始位置
信号nSOS(図12参照)として出力する。また書き出し
制御回路100は、LD50が点灯されていない、或い
はポリゴンミラー52が回転されていない等により開始
位置信号SOS が入力されていない場合には、図示しない
水晶発振器から入力される一定周波数の信号に基づいて
ダミーの開始位置信号nSOSを生成・出力する。
【0078】また、ビデオクロック発生器82は電圧制
御発振器(VCO)102を備えている。VCO102
の制御信号入力端はデジタル−アナログ変換器(DA
C)104の信号出力端に接続されており、VCO10
2はDAC104から入力された信号のレベルに応じた
周波数(この周波数はビデオクロック信号VCK の2倍の
周波数、すなわちビデオクロック信号VCK*2 の周波数に
相当)の信号を生成する。VCO102によって生成さ
れた信号は、図示しない同期化回路により、開始位置信
号nSOSの立ち上がりと同期するように位相が変化されて
クロック信号VCOCK として出力される。なお上記の同期
化回路としては、例えば特開昭55−53779号公報
に記載の構成を採用することができる。
【0079】VCO102の出力端は書き出し制御回路
100の入力端に接続されている。書き出し制御回路1
00は、VCO102から入力されたクロック信号VCOC
K から、クロック信号VCOCK の略1/4周期(すなわち
ビデオクロック信号VCOCK の略1/8周期)に相当する
時間ずつ位相のずれた8種類のクロック信号を生成す
る。書き出し制御回路100は、書き出し位置設定レジ
スタ74から入力された書き出し位置データXMのうち
ビデオクロック信号VCOCKの位相を指定する3ビット
(23=8)のデータの値に応じて、ビデオクロック信
号VCK*2 として、8種類のクロック信号の何れかを選択
的にスクリーン生成回路86に出力する。
【0080】また、書き出し制御回路100はビデオク
ロック信号VCK*2 を1/2に分周したビデオクロック信
号VCK を生成し、生成したビデオクロック信号VCK を画
像メモリ制御回路84に出力する。
【0081】更に、書き出し制御回路100は開始位置
信号nSOSの立ち上がりからビデオクロック信号VCK*2 の
パルス数のカウントを開始し、カウント値が、書き出し
位置設定レジスタ74から入力されたデータが表すパル
ス数に一致すると、出力信号(ライン同期信号LSYNC:図
12参照)をハイレベル(アクティブ)にすると共に、
カウント値を0に戻してパルス数のカウントを継続す
る。そして、カウント値が予め定められた値(1ライン
当たりの画素数)に一致するとライン同期信号LSYNC を
ローレベルに戻す。ライン同期信号LSYNC は画像メモリ
制御回路84(図5参照)に出力される。
【0082】スクリーン生成回路86からの変調信号の
出力はライン同期信号LSYNC(及びページ制御信号PAGE)
がアクティブになると開始され、この変調信号の出力に
伴って画像を記録するためのレーザビームが射出される
ので、書き出し制御回路100が、書き出し位置データ
XMによって指定された位相のビデオクロック信号VCK*
2 を出力すると共に、ビデオクロック信号VCK*2 のパル
ス数のカウント値が書き出し位置データXMによって指
定されたパルス数に一致したときにライン同期信号LSYN
C をアクティブにすることにより、画像の書き出し位置
は、書き出し位置データXMに従って、ビデオクロック
信号VCK の1/8周期に相当する距離を単位として調整
されることになる。
【0083】また、書き出し制御回路100は、内蔵し
ている図示しない水晶発振器から入力された一定周波数
の信号及びライン同期信号LSYNC に基づいて、図12に
示すパルスカウント信号PLSA,PLSB 、スイープクロック
信号SWCK、及びレジクロック信号REGCK を各々生成す
る。なお、パルスカウント信号PLSAはライン同期信号LS
YNC と同一のタイミングで立ち上がり(アクティブにな
り)、予め定められた一定時間(ライン同期信号LSYNC
がアクティブとなっている期間と同程度の時間)経過後
に立ち下がる信号であり、パルスカウント信号PLSBはラ
イン同期信号LSYNC と同一のタイミングで立ち上がり
(アクティブになり)、予め定められた一定時間(パル
スカウント信号PLSAがアクティブとなっている期間の1
/2の時間)経過後に立ち下がる信号である。
【0084】また、スイープクロック信号SWCKの生成
は、ライン同期信号LSYNC が立ち上がってからライン同
期信号LSYNC が確実に立ち下がる所定の時間(ライン同
期信号LSYNC がアクティブの期間の長さは、後述するよ
うにVCO102に入力する信号レベルの調整に伴って
若干変化する)が経過する迄の間、水晶発振器からの信
号を出力することによって成される。更にレジクロック
信号REGCK の生成は、スイープクロック信号SWCKとして
水晶発振器からの信号を出力することを停止してから所
定時間経過した後に、パルス幅の短いパルスを出力する
ことによって成される。
【0085】なお、参考までに、画像の記録密度が60
0spi、プロセス速度(感光体ドラム14の周速)が
263.89mm/秒、感光体ドラム14上でのレーザ
ビームの光学走査範囲の長さが348mm、主走査方向
に沿った画像範囲の長さが297mm、スイープクロッ
ク信号SWCKの周波数が20MHzとすると、開始位置信
号SOS がハイレベルとなる周期、すなわちポリゴンミラ
ー58によるレーザビームの走査周期は320.89μ
秒、ビデオクロック信号VCK の通常の周波数は25.6
2MHz 、ビデオクロック信号VCK*2 (及びビデオクロ
ック信号VCOCK)の通常の周波数は51.24MHz と
なる。また、例えばパルスカウント信号PLSAをアクティ
ブとする期間(レーザビームによる通常の画像領域走査
時間)は273.8μ秒、パルスカウント信号PLSBをア
クティブとする期間は136.9μ秒に設定することが
できる。
【0086】一方、VCO102の出力端には平均周波
数検知回路106及び左右周波数差検知回路108が各
々接続されている。図7に示すように、VCO102か
ら出力されたクロック信号VCOCK は周波数逓倍回路12
0に一旦入力される。周波数逓倍回路120では、入力
されたクロック信号VCOCKからクロック信号VCOCKのn倍
(本実施形態ではn=5)の周波数のクロック信号CKを
生成し、生成したクロック信号CKを平均周波数検知回路
106及び左右周波数差検知回路108に各々出力す
る。
【0087】なお、周波数逓倍回路120としては、例
えばクロック信号VCOCKの1周期の1/nに相当する時
間(例えばn=5であれば約3.9n秒の遅延時間)だ
け入力信号を遅延させて出力する遅延回路をn−1個直
列に接続し、遅延回路群にクロック信号VCOCKを入力す
ると共に各遅延回路から遅延されたクロック信号を各々
出力させる構成を採用することができる。
【0088】平均周波数検知回路106はカウンタ12
2を備えており、周波数逓倍回路120で生成されたn
倍の周波数のクロック信号CKはCK入力を介してカウン
タ122に入力される。またカウンタ122には、パル
スカウント信号PLSAがE入力を介して入力されると共
に、開始位置信号nSOSがCL入力を介して入力される。
カウンタ122は、CL入力がハイレベルのときにのみ
動作し(CL入力がローレベルになるとカウント値がリ
セットされる)、E入力がローレベルのときにはカウン
ト値を保持し、E入力がハイレベルのときには、CK入
力を介して入力されるクロック信号CKがローレベルから
ハイレベルに変化する毎に、カウント値を「1」だけイ
ンクリメントする。
【0089】従って、カウンタ122は、パルスカウン
ト信号PLSAがアクティブとなっている期間、入力された
クロック信号CKのパルス数をカウントし、開始位置信号
nSOSがローレベルになる毎(次回のレーザビームの走査
が開始される毎)にカウント値をリセットする。これに
より、パルスカウント信号PLSAがローレベルになってか
ら次回のレーザビームの走査が開始される迄の間、カウ
ンタ122からは、パルスカウント信号PLSAがアクティ
ブの期間におけるクロック信号VCOCK のn倍の周波数の
クロック信号CKのパルス数を表すデータが、平均周波数
データNcとして出力される。
【0090】この平均周波数データNcを5で除した値
は、パルスカウント信号PLSAがアクティブの期間におけ
るクロック信号VCOCK のパルス数を±1/5パルスの精
度で表す値であり、パルスカウント信号PLSAがアクティ
ブとなっている期間の長さは常に一定であるので、カウ
ンタ122から出力されるデータは、パルスカウント信
号PLSAがアクティブとなっている期間(レーザビームが
画像領域を走査している期間と略一致する)内のクロッ
ク信号VCOCK(及びビデオクロック信号VCK*2 )の平均周
波数に対応している。
【0091】一方、左右周波数差検知回路108は、カ
ウンタ122と同様の構成のカウンタ124及び加算器
126を備えている。カウンタ124には、クロック信
号CKがCK入力を介して入力され、パルスカウント信号
PLSBがE入力を介して入力され、開始位置信号nSOSがC
L入力を介して入力される。従ってカウンタ124から
は、パルスカウント信号PLSBがアクティブの期間におけ
るクロック信号VCOCKの5倍の周波数のクロック信号CK
のパルス数を表すデータが、平均周波数データNaとして
出力される。
【0092】この平均周波数データNaを5で除した値
は、パルスカウント信号PLSBがアクティブの期間におけ
るクロック信号VCOCK のパルス数を±1/5パルスの精
度で表す値であり、パルスカウント信号PLSBがアクティ
ブとなっている期間の長さは常に一定(信号PLSAがアク
ティブとなっている期間の1/2)であるので、カウン
タ124から出力されるデータは、パルスカウント信号
PLSBがアクティブとなっている期間(レーザビームがS
OS側の部分画像領域を走査している期間と略一致す
る)内のクロック信号VCOCK の平均周波数(=ビデオク
ロック信号VCK*2 の平均周波数)に対応している。
【0093】カウンタ122のQ出力は加算器126の
A入力に接続されており、カウンタ124のQ出力は加
算器126のB入力に接続されている。加算器126は
A入力を介して入力されたデータAと、B入力を介して
入力されたデータBを用いて「A−2B」を演算する。
平均周波数データNcと平均周波数データNaには、「Nc=
Na+Nb」の関係がある(但し、NbはレーザビームがEO
S側の部分画像領域を走査しているときのビデオクロッ
ク信号VCOCKの平均周波数に対応するパルス数)ので、
加算器126からは、レーザビームがSOS側の部分画
像領域を走査しているときとEOS側の部分画像領域を
走査しているときのビデオクロック信号VCOCKの平均周
波数の差に相当するデータ「Nb−Na」(以下、「左右周
波数差データNb−Na」という)が出力される。
【0094】図1に示すように、平均周波数検知回路1
06には平均周波数制御回路110が接続されており、
左右周波数差検知回路108には左右周波数差制御回路
112が接続されている。 平均周波数制御回路110
には、平均周波数検知回路106から平均周波数データ
Ncが入力されると共に、レジスタ76から倍率データM
Gが入力される。平均周波数制御回路110は、平均周
波数データNcと倍率データMGとの偏差が0となるよう
に、レーザビームの1走査を単位として出力データの値
を変更するフィードバック制御を行う(詳細は後述)。
【0095】また、左右周波数差制御回路112には、
左右周波数差検知回路108から左右周波数差データNb
−Naが入力されると共に、レジスタ78から倍率バラン
スデータBLCが入力される。左右周波数差制御回路1
12は、レーザビームの1走査の期間内に所定の変化幅
で出力データの値を変化させると共に、左右周波数差デ
ータNb−Naと倍率バランスデータBLCとの偏差が0と
なるように、レーザビームの1走査を単位として出力デ
ータの値の変化幅を変更するフィードバック制御を行う
(詳細は後述)。
【0096】平均周波数制御回路110の出力端及び左
右周波数差制御回路112の出力端は、加算器から成る
合成回路116の入力端に各々接続されている。制御回
路110、112から出力されたデータは合成回路11
6で加算され、DAC104に入力される。DAC10
4は合成回路116から入力されたデータの値に応じた
レベルのアナログ信号をVCO102に出力する。そし
て、VCO102はDAC104から入力された信号の
レベルに応じた周波数のクロック信号VCOCKを出力す
る。
【0097】図8に示すように、平均周波数制御回路1
10は減算器130を備えており、減算器130のA入
力には平均周波数検知回路106から出力された平均周
波数データNcが入力され、B入力にはレジスタ76から
出力された倍率データMGが入力される。減算器130
の出力端は演算器132の入力端に接続されており、減
算器130はB入力を介して入力された倍率データMG
からA入力を介して入力された平均周波数データNcを減
算した偏差「B−A」を演算し、演算結果(偏差デー
タ)を演算器132へ出力する。
【0098】また、左右周波数差制御回路112も減算
器140を備えており、減算器140のA入力には左右
周波数差検知回路108から出力された左右周波数差デ
ータNb−Naが入力され、B入力にはレジスタ78から出
力された倍率バランスデータBLCが入力される。減算
器140の出力端は演算器142の入力端に接続されて
おり、減算器140は減算器130と同様に「B−A」
を演算し、演算結果(偏差データ)を演算器142へ出
力する。
【0099】詳細は後述するが、演算器132は、減算
器130から入力される偏差データ(倍率データMGと
平均周波数データNcとの偏差を表すデータ)と出力値と
の関係(負帰還ゲイン)を複数種記憶している。また演
算器142も、減算器140から入力される偏差データ
(倍率バランスデータBLCと左右周波数差データNb−
Naとの偏差を表すデータ)と出力値との関係(負帰還ゲ
イン)を複数種記憶している。演算器132、142の
S入力はゲイン選択回路114に各々接続されている。
ゲイン選択回路114は、入力されたページ制御信号PA
GE及び開始位置信号nSOSに基づき、演算器132、14
2に複数種記憶されている偏差データと出力値との関係
の中から特定の関係の選択を指示する選択信号Sを演算
器132、142に出力する。
【0100】演算器132の出力端はバランス調整の影
響補正部134(以下、単に「補正部134」と称す
る)の入力端に接続されている。演算器132は、複数
種記憶している偏差データと出力値との関係のうち、S
入力を介してゲイン選択回路114から入力された選択
信号Sによって選択が指示された関係を用いて、減算器
130から入力された偏差データに対応する出力値を演
算し、演算した出力値を補正部134へ出力する。
【0101】なお、演算器132からの出力値は、倍率
データMGと平均周波数データNcとの偏差に応じてビデ
オクロック信号VCOCKの平均周波数(すなわち主走査方
向に沿った画像全体の倍率)に関する操作量の変更量に
相当しており、前記出力値の符号は、平均周波数データ
Ncが倍率データMGよりも小さい場合には「正」、平均
周波数データNcが倍率データMGよりも大きい場合には
「負」となる。
【0102】また、演算器142の出力端は加算器14
4の入力端及び補正部134の入力端に各々接続されて
いる。演算器142も演算器132と同様に、複数種記
憶している偏差データと出力値との関係のうち、S入力
を介してゲイン選択回路114から入力された選択信号
Sによって選択が指示された関係を用いて、減算器14
0から入力された偏差データに対応する出力値を演算
し、演算した出力値を補正部134へ出力する。
【0103】なお、演算器142からの出力値は、倍率
バランスデータBLCと左右周波数差データNb−Naとの
偏差に応じてビデオクロック信号VCOCKの左右周波数差
(すなわち主走査方向に沿った画像の左右倍率差)に関
する操作量の変更量に相当しており、前記出力値の符号
は、左右周波数差データNb−Naが倍率バランスデータB
LCよりも小さい場合には「正」、左右周波数差データN
b−Naが倍率バランスデータBLCよりも大きい場合に
は「負」となる。
【0104】本実施形態では、平均周波数制御回路11
0が画像の全体倍率についてのフィードバック制御を行
い、左右周波数差制御回路112が画像の左右倍率差に
ついてフィードバック制御を行うので、演算器142か
らの出力値(ビデオクロック信号VCOCKの左右周波数差
の変更量)が0以外のときには、その影響を受けてビデ
オクロック信号VCOCKの平均周波数も変化する。一方、
ビデオクロック信号VCOCKの左右周波数差を変更したと
きの変更量と、左右周波数差の変更に伴うビデオクロッ
ク信号VCOCKの平均周波数の変化量と、は略正比例の関
係にある。
【0105】このため補正部134は、左右周波数差制
御回路112の演算器142からの出力値に応じてビデ
オクロック信号VCOCKの左右周波数差を変更したときの
ビデオクロック信号VCOCKの平均周波数の変化がキャン
セルされるように、演算器142からの出力値に所定の
係数を乗じた補正値を用いて平均周波数制御回路110
の演算器132の出力値を補正する。補正部134の出
力端は加算器136の2個の入力端の一方に接続されて
おり、補正後の値を加算器136に出力する。
【0106】平均周波数制御回路110の加算器136
の出力端は倍率レジスタ138の入力端に接続されてお
り、加算器136の2個の入力端の他方は倍率レジスタ
138の出力端に接続されている。加算器136は、倍
率レジスタ138から出力されたデータに演算器132
から補正部134を介して入力されたデータを加算して
出力する。また、倍率レジスタ138のWR入力には、
書き出し制御回路100で生成されたレジクロック信号
REGCK が入力される。
【0107】倍率レジスタ138は、WR入力を介して
入力されるレジクロック信号REGCKがアクティブ(ハイ
レベル)になったときに、加算器136から入力されて
いるデータを取り込み、レジクロック信号REGCKが次に
アクティブになる迄の間、前記取り込んだデータを保持
する。また、レジクロック信号REGCKはレーザビームの
1走査周期毎に1回、レーザビームが画像領域外を走査
している期間内(ライン同期信号LSYNCがローレベルの
期間内)にアクティブになる。
【0108】従って、倍率レジスタ138に保持されて
いるデータは、レーザビームが1回走査される毎に1
回、補正部134から加算器136に入力されるデータ
の値を変化分として値が変更される(より詳しくは、平
均周波数データNcが倍率データMGよりも小さい場合に
は値が増加され、平均周波数データNcが倍率データMG
よりも大きい場合には値が減少される)。なお、倍率レ
ジスタ138に保持されているデータは、ビデオクロッ
ク信号VCOCKの平均周波数に関する操作量に相当する。
倍率レジスタ138の出力端は合成回路116の2個の
入力端の一方に接続されており、倍率レジスタ138に
保持されているデータは、平均周波数制御回路110の
出力データとして合成回路116に入力される。
【0109】一方、左右周波数差制御回路112の加算
器144の出力端はバランスレジスタ146の入力端に
接続されており、加算器144の2個の入力端の他方は
バランスレジスタ146の出力端に接続されている。加
算器144は、バランスレジスタ146から出力された
データに演算器142から出力されたデータを加算して
出力する。また、バランスレジスタ146のWR入力に
はレジクロック信号REGCK が入力される。バランスレジ
スタ146は、倍率レジスタ138と同様に、WR入力
を介して入力されるレジクロック信号REGCKがアクティ
ブ(ハイレベル)になったときに、加算器144から入
力されているデータを取り込み、レジクロック信号REGC
Kが次にアクティブになる迄の間、前記取り込んだデー
タを保持する。
【0110】従って、バランスレジスタ146に保持さ
れているデータは、レーザビームが1回走査される毎
に、演算器142から加算器144に入力されるデータ
の値を変化分として値が変更される(より詳しくは、左
右周波数差データNb−Naが倍率バランスデータBLCよ
りも小さい場合には値が増加され、左右周波数差データ
Nb−Naが倍率バランスデータBLCよりも大きい場合に
は値が減少される)。なお、バランスレジスタ146に
保持されているデータは、ビデオクロック信号VCOCKの
左右周波数差に関する操作量に相当する。
【0111】バランスレジスタ146の出力端は加算器
148の2個の出力端の一方に接続されており、バラン
スレジスタ146に保持されているデータは加算器14
8に入力される。加算器148の出力端はスイープレジ
スタ150の入力端に接続されており、加算器148の
2個の入力端の他方はスイープレジスタ150の出力端
に接続されている。加算器148は、スイープレジスタ
150から出力されたデータにバランスレジスタ146
から出力されたデータを加算して出力する。
【0112】また、スイープレジスタ150のWR入力
にはスイープクロック信号SWCKが入力される。スイープ
レジスタ150はWR入力を介して入力されるスイープ
クロック信号SWCKがアクティブ(ハイレベル)になる毎
に、加算器148から入力されているデータを取り込ん
で保持する。なお、スイープレジスタ150は開始位置
信号nSOSが立ち上がったとき(レーザビームの1走査の
開始時)に、保持しているデータをクリアする。
【0113】従って、スイープレジスタ150に保持さ
れるデータは、スイープクロック信号SWCKと同期したタ
イミングで、バランスレジスタ146に保持されている
データの値を変化分として単調増加又は単調減少され
る。そして、バランスレジスタ146に保持されている
データがレーザビームが1回走査される毎に更新される
ことに伴い、スイープレジスタ150に保持されている
データの単調増加又は単調減少の傾きもレーザビームが
1回走査される毎に変更されることになる。
【0114】スイープレジスタ150の出力端は除算器
152を介して合成回路116の2個の入力端の他方に
接続されている。スイープレジスタ150に保持されて
いるデータは、除算器152によってデータ「213」に
よって除された後に(1/2 13倍された後に)、左右周
波数差制御回路112の出力データとして合成回路11
6に入力される。上記のように、スイープレジスタ15
0に保持されているデータを除算器152で除算した後
に合成回路116に入力することにより、前記データの
単調増加又は単調減少の変化分の大きさ(バランスレジ
スタ146に保持されているデータの値)に拘わらず、
合成回路116から出力されるデータの値はレーザビー
ムの1走査の間に滑らかに変化する。
【0115】上記により、VCO102から出力される
ビデオクロック信号VCOCKの周波数(=ビデオクロック
信号VCK*2 の周波数)は、図12に示すように、開始位
置信号nSOSが立ち上がってからライン同期信号LSYNC が
立ち上がる迄の期間(レーザビームがSOS側の画像領
域外を走査しているとき)は、倍率レジスタ138に保
持されているカウント値に対応する周波数で一定してい
るが、ライン同期信号LSYNC が立ち上がり、スイープク
ロック信号SWCKがスイープレジスタ150に入力されて
いる間は、バランスレジスタ146に保持されているカ
ウント値に対応する一定の傾きで周波数が徐々に変化さ
れることになる。
【0116】倍率レジスタ138及びバランスレジスタ
146に保持されているデータの値は、レーザビームが
画像領域を走査している間は変更されないが、レジクロ
ック信号REGCK がハイレベルになると、倍率レジスタ1
38に保持されているデータの値は、平均周波数データ
Ncの値が倍率データMGの値に近づくように、演算器1
32から補正部134を介して入力されたデータの値を
変化分として増減され、バランスレジスタ146に保持
されているデータの値は、左右周波数差データNb−Naの
値が倍率バランスデータBLCの値に一致するように、
演算器132から入力されたデータの値を変化分として
増減される。
【0117】従って、レーザビームの1走査を単位とし
て、平均周波数データNcが倍率データMGに一致し、か
つ左右周波数差データNb−Naが倍率バランスデータBL
Cに一致するように、ビデオクロック信号VCOCKの平均
周波数Fc及び左右周波数差Fb−Faのフィードバック制御
が行われ、所定時間後には、倍率レジスタ138に保持
されているデータの値は平均周波数データNcを倍率デー
タMGに一致させる値に収束し(画像の全体倍率が倍率
データMGが表す倍率に整定され)、バランスレジスタ
146に保持されているデータの値は左右周波数差デー
タNb−Naを倍率バランスデータBLCに一致させる値に
収束する(画像の左右倍率差が倍率バランスデータが表
す左右倍率差に整定される)。
【0118】また、フィードバック制御を行っているの
で、周囲温度や電源電圧等の変動により、VCO102
における入力電圧と出力信号の周波数との関係が変化し
たとしても、平均周波数データNcが倍率データMGに一
致し、左右周波数差データNb−Naが倍率バランスデータ
BLCに一致するように、倍率レジスタ138及びバラ
ンスレジスタ146に保持されているデータの値が或る
値に収束する。
【0119】そして、倍率レジスタ138及びバランス
レジスタ146に保持されているデータの値が収束して
いるときの、画像領域におけるビデオクロック信号VCK*
2 の平均周波数Fcは、以下の式からも明らかなように、
倍率データMGによって定まる値となる。
【0120】Fc=倍率データMG/(tPLSA×5) 上式において、tPLSAはパルスカウント信号PLSAがアク
ティブの期間の長さを表し、クロック信号VCOCK が周波
数逓倍回路120によって5倍の周波数の信号に変換さ
れた後に平均周波数検知回路106及び左右周波数差検
知回路108に入力されているため、tPLSAに「5」を
乗じている。パルスカウント信号PLSAがアクティブの期
間の長さが273.8 μ秒であるとすると、上式は、 Fc〔MHz 〕=倍率データMG/1369 となる。同様に、倍率レジスタ138及びバランスレジ
スタ146に保持されているデータの値が収束している
ときの、ビデオクロック信号VCK*2 のSOS側の部分画
像領域における平均周波数Fa、画像領域の走査を開始す
るときの周波数Fs、EOS側の部分画像領域における平
均周波数Fb、画像領域の走査を終了するときの周波数Fe
(図12参照)についても、以下に示すように倍率デー
タMG及び倍率バランスデータBLCによって定まる値
となる。
【0121】Fa〔MHz 〕=(倍率データMG−倍率バ
ランスデータBLC)/1369 Fs〔MHz 〕=(倍率データMG−2×倍率バランスデ
ータBLC)/1369 Fb〔MHz 〕=(倍率データMG+倍率バランスデータ
BLC)/1369 Fe〔MHz 〕=(倍率データMG+2×倍率バランスデ
ータBLC)/1369 このように、VCO102、、DAC104、平均周波
数検知回路106、左右周波数差検知回路108、平均
周波数制御回路110、左右周波数差制御回路112及
び合成回路116は、本発明の周波数制御手段に対応し
ている。
【0122】ところで本実施形態では、例として図13
に示すように、互いにサイズの異なる転写材36A、3
6Bが搬送ベルト32の上側搬送面上を一定間隔を隔て
て交互に搬送される。このため、後述する初期補正処理
においては、レジマークを形成し、形成されたレジマー
クの位置に基づいて転写材36A上に画像を形成するた
めの倍率データMG及び倍率バランスデータBLCを演
算すると共に、転写材36B上に画像を形成するための
倍率データMG’及び倍率バランスデータBLC’も演
算している。そして、単一の転写材36に転写するため
の画像形成を完了する毎に、ビデオクロック発生器82
に設定する倍率データ及び倍率バランスデータを、次に
画像を転写する転写材36のサイズに対応するデータに
変更している。
【0123】このため、ビデオクロック発生器82は、
図13に示す転写材間隙に相当する非画像形成期間内
に、平均周波数データNcが画像を転写する転写材36の
サイズに対応する倍率データ(MG又はMG’)に略一
致し、かつ左右周波数差データNb−Naが画像を転写する
転写材36のサイズに対応する倍率バランスデータ(B
LC又はBLC’)に略一致した状態で安定するように
(平均周波数データNcが表す画像の全体倍率及び左右周
波数差データNb−Naが表す画像の左右倍率差が整定され
た状態になるように)、フィードバック制御を行う必要
がある。
【0124】また、周囲温度の変化等に伴って倍率デー
タ及び倍率バランスデータの最適値も変化することを考
慮し、本実施形態では、後述するように画像形成処理を
行っている最中にも転写材間隙に定期的にレジマークを
形成して倍率データMG、MG’及び倍率バランスデー
タBLC、BLC’を更新する。レジマークの形成を行
うときには画像の全体倍率及び左右倍率差が整定された
状態になっている必要があるので、ビデオクロック発生
器82は、図13に倍率・倍率バランス変更期間として
示すように、倍率データ及び倍率バランスデータが変更
設定されてから、非常に短い時間で画像の全体倍率及び
左右倍率差を整定する必要がある。
【0125】従って、画像の全体倍率及び左右倍率差の
整定時間を短縮することを目的として、本実施形態で
は、まず倍率設定レジスタ76及び倍率バランス設定レ
ジスタ78の各々を、図9に示すように、第1レジスタ
154と第2レジスタ156の2個のレジスタを含んで
構成している。
【0126】第2レジスタ156のD入力及びWR入力
はCPU90に接続されている。第2レジスタ156の
D入力及びWR入力はCPU90に接続されている。C
PU90は、D入力を介して第2レジスタ156にデー
タ(書き出し位置データXM又は倍率データMG又は倍
率バランスデータBLC)を入力すると共に、WR入力
を介して任意のタイミングでパルス信号を入力する。こ
れにより、第2レジスタ156はD入力を介して入力さ
れたデータを取り込んで保持する。
【0127】第2レジスタ156のQ出力は第1レジス
タ154のD入力に接続されており、第1レジスタ15
4のWR入力はOR回路158の出力端に接続されてお
り、第1レジスタ154のQ出力はビデオクロック発生
器82に接続されている。OR回路158の入力端はペ
ージ信号生成回路96及びCPU90に接続されてお
り、ページ信号生成回路96からはページ制御信号PAGE
が入力され、CPU90からはラッチ信号LCHが入力さ
れる。
【0128】第1レジスタ154は、OR回路158に
入力されるページ制御信号PAGE及びラッチ信号LCHの少
なくとも一方がハイレベルからローレベルに変化する
と、第2レジスタ156に保持されているデータをD入
力を介して取り込んで保持し、これに伴ってビデオクロ
ック発生器82に設定される倍率データ及び倍率バラン
スデータが変更されることになる。
【0129】上記構成によれば、CPU90は、或る転
写材36に転写するための画像形成を行っている期間内
(ページ制御信号PAGEがハイレベルとなっている期間
内)に、次に画像を転写する転写材36のサイズに対応
する倍率データ及び倍率バランスデータを、レジスタ7
6、78に設定することができる(設定したデータは第
2レジスタ156に保持される)。
【0130】また、或る転写材36に転写するための画
像形成が完了しページ制御信号PAGEがハイレベルからロ
ーレベルに変化すると、CPU90がラッチ信号LCHの
レベルの切り替えを行なわなくても、第2レジスタ15
6に予め保持されているデータが直ちに第1レジスタ1
54に書込まれることによって、次に画像を転写する転
写材36のサイズに対応する倍率データ及び倍率バラン
スデータがビデオクロック発生器82に直ちに設定され
る。これにより、ビデオクロック発生器82では、次に
画像を転写する転写材36のサイズに対応する倍率デー
タ及び倍率バランスデータに基づくフィードバック制御
を直ちに開始することができる。
【0131】また、画像の全体倍率及び左右倍率差の整
定時間を短縮することを目的として、本実施形態ではゲ
イン選択回路114を図10で示すように構成してい
る。すなわち、ゲイン選択回路114はカウンタ160
及びデコーダ162を備えている。カウンタ160のC
K入力には開始位置信号nSOSが入力される。また、カウ
ンタ160のE入力はデコーダ162のCE出力に接続
されており、カウンタ160のQ出力はデコーダ162
のD入力に接続されている。更に、カウンタ160のc
lr入力はOR回路164の出力端に接続されており、
このOR回路164には、CPU90からラッチ信号LC
Hが入力されると共に、ページ信号生成回路96からペ
ージ制御信号PAGEが入力され、更にカラー画像形成装置
10の電源投入時等のタイミングでレベルが変化するリ
セット信号RSTが入力される。
【0132】カウンタ160は、図10に示す真理値表
からも明らかなように、clr入力がハイレベル(図で
は「1」と表記)のときにのみ動作し(clr入力がロ
ーレベル(図では「0」と表記)になるとカウント値が
リセットされる)、E入力がローレベルのときにはカウ
ント値を保持し、E入力がハイレベルのときには、CK
入力を介して入力される開始位置信号nSOSがローレベル
からハイレベルに変化する毎に、カウント値を「1」だ
けインクリメントする。デコーダ162は、図10に真
理値表で示すように、CE出力を介して出力する信号の
レベルを、D入力を介して入力されるカウンタ160の
カウント値が「21未満」であればハイレベル、「21
以上」であればローレベルに切り替える。
【0133】前述のように、カウンタ160はE入力
(すなわちデコーダ162のCE出力)がハイレベルの
ときのみカウント値のインクリメントを行うので、カウ
ンタ160は、ページ制御信号PAGEがローレベルになる
と(或いはカラー画像形成装置10の電源投入等に伴っ
てリセットがかかりリセット信号RSTのレベルが変化す
るか、或いは画像記録を開始する直前等の任意のタイミ
ングでCPU90によってラッチ信号LCHのレベルが変
更されると)、開始位置信号nSOSのパルス数(光ビーム
の走査回数)のカウントを開始し、カウント値が「2
1」に達するとE入力がローレベルになることでカウン
ト値のインクリメントを停止し、ページ制御信号PAGEが
ハイレベルになる(次の転写材36に転写すべき画像の
形成が開始される)か、或いはリセット信号RST又はラ
ッチ信号LCHのレベルが切り替わると、カウント値をリ
セットする。
【0134】デコーダ162のS0出力及びS1出力
は、平均周波数制御回路110の演算器132及び左右
周波数差制御回路112の演算器142のS入力に各々
接続されている。図10に示す真理値表からも明らかな
ように、デコーダ162は、D入力を介して入力される
カウント値が「1〜12」「13〜20」「0又は21
以上」の各場合毎に、S0出力を介して出力する信号及
びS1出力を介して出力する信号の少なくとも一方の信
号のレベルを切り替える。この信号は選択信号Sとして
演算器132、142に入力される。
【0135】演算器132、142では、入力された選
択信号Sに基づき、偏差データと出力値との関係を以下
の表1に示すように選択し、偏差データに応じた出力値
を演算する。このように、ゲイン選択回路114、演算
器132、142は本発明に係る変更手段(より詳しく
は、請求項2及び請求項3に記載の変更手段)に対応し
ている。なお、表1において選択信号SのS1,S2が
共にローレベルのときの「+1」「−1」は偏差の絶対
値の大きさに拘わらず、偏差の符号が正であれば「+
1」を出力し、偏差の符号が負であれば「−1」を出力
することを表す。
【0136】
【表1】
【0137】以下、演算器132、142における偏差
データと出力値との関係の決定のしかたについて、具体
的な数値(一例)を挙げて説明する。
【0138】VCO102から出力されるクロック信号
VCOCKの周波数は、DAC104からVCO102に入
力されるアナログ信号の電圧レベルに応じて図14に示
すように変化する。但し、VCO102はアナログ回路
であるので図14に示した関係は常に一定ではなく、ク
ロック信号VCOCKの周波数は周囲温度や電源電圧、回路
を構成する部品のばらつきによって変動する。なお、D
AC104として16ビットのDACを用いたとする
と、DAC104への入力データが最小値「0」のとき
DAC104の出力電圧は0V(クロック信号VCOCKの
周波数はFmin)、入力データが最大値「65535」
のとき出力電圧は5V(周波数はFmax)となる。
【0139】ここで、画像の記録密度が600spi、
プロセス速度が263.89mm/秒、感光体ドラム1
4上でのレーザビームの光学走査範囲の長さが348m
m、主走査方向に沿った画像範囲の長さが297mmと
すると、ビデオクロック信号VCOCKの通常の周波数Ftyp
は51.24MHz となる。VCO102の通常の周波
数範囲(DAC104への入力データを最小値から最大
値迄変化させたときのビデオクロック信号VCOCKの変化
幅)がビデオクロック信号の通常の周波数Ftypの10
%となるように、すなわち、 |Fmax−Fmin|/Ftyp=10% を満足するようにVCO102を構成する。すると、V
CO102の通常の周波数範囲Frangeは、 Frange=Fmax−Fmin=5.124MHz となる。
【0140】図8に示す平均周波数制御回路110、左
右周波数差制御回路112の構成において、倍率レジス
タ138を16ビットのレジスタで構成し、バランスレ
ジスタ146を符号ビットが1ビットでデータビットが
15ビットのレジスタで構成し、スイープクロック信号
SWCKの周波数を20MHzとすると、スイープレジスタ
150に保持されるデータの最大値及び最小値は、 最大値≒(215−1)×273.8×20=17943
2092 最小値≒−215×273.8×20=−1794375
68 となり、除算器152を経て合成回路116に入力され
るデータの数値範囲は、−21904〜21903とな
る。なお、合成回路116は16ビットの加算器で構成
することができ、この場合、合成回路116から出力さ
れるデータの値は、演算結果が0以下であれば0に、演
算結果が65535以上であれば65535にクランプ
される。
【0141】上記の条件において、倍率データMG、倍
率バランスデータBLC、平均周波数データNc、左右周
波数差データNb−Naの分解能は730.45Hzであ
る。一方、倍率レジスタ138の分解能(倍率レジスタ
138に保持されているデータの値が「1」変化したと
きの平均周波数の変化量)は、 倍率レジスタの分解能≒Frange/216=78.186
Hz となる。
【0142】また、バランスレジスタ146の分解能
(バランスレジスタ146に保持されているデータの値
が「1」変化したときの左右周波数差の変化量)は、レ
ーザビームの1走査におけるスイープレジスタ150の
初期値が0であることから、除算器152を経て合成回
路116に入力されるデータの、1走査内における値の
変化幅は最大でも「21904」であり、左右周波数差
は、左右の各部分画像領域をレーザビームが走査する間
のビデオクロック信号の周波数の平均値の差であるの
で、図15に矢印で示す範囲(1走査内におけるビデオ
クロック信号の周波数の変化幅の1/2)であるので、 バランスレジスタの分解能≒(Frange×21904/
16/2)/215=26.13Hz となる。
【0143】倍率データMG及び倍率バランスデータB
LCの値を変更した直後の期間は、倍率データMGと平
均周波数データNcとの偏差、倍率バランスデータBLC
と左右周波数差データNb−Naとの偏差が比較的大きいこ
とが多く、ビデオクロック信号の平均周波数(画像の全
体倍率)及び左右周波数差(画像の左右倍率差)を短時
間で整定させるためには、前記期間に高い負帰還ゲイン
でフィードバック制御を行うことが望ましい。
【0144】このため本実施形態では、ページ制御信号
PAGEが立ち下がり(或いはリセット信号RST又はラッチ
信号LCHのレベルが切り替わり)、次のSOS周期で倍
率データMG及び倍率バランスデータBLCの値が変更
設定されてから、開始位置信号nSOSの12周期分の時間
が経過する迄の期間(ゲイン選択回路114のカウンタ
160に保持されているカウント値が12を超える迄の
期間、すなわち選択信号SのS1及びS0が何れもハイ
レベルとなっている期間)における負帰還ゲインを
「1」に設定している。平均周波数制御回路110の演
算器132において、負帰還ゲインを「1」とするため
の偏差と出力値との関係は、 (倍率・平均周波数データの分解能)/(倍率レジスタ
の分解能)=730.45/78.186≒9.3 から、「出力値=偏差(MG−Nc)×9.3」となる。
【0145】また左右周波数差制御回路112の演算器
142において、負帰還ゲインを「1」とするための偏
差と出力値との関係は、 (倍率バランス・左右周波数差データの分解能)/(バ
ランスレジスタの分解能)=730.45/26.13
≒28 から、「出力値=偏差(BLC−(Nb−Na))×28」と
なる。
【0146】また、偏差が小さくなったにも拘わらず高
い負帰還ゲインでフィードバック制御を行っていると、
一定値以上の振幅で偏差が振動している状態が続き、偏
差の振動の振幅が小さくならない。このため、本実施形
態では、倍率データMG及び倍率バランスデータBLC
の値が変更設定され開始位置信号nSOSの12周期分の時
間が経過してから、更に開始位置信号nSOSの8周期分の
時間が経過する迄の期間(ゲイン選択回路114のカウ
ンタ160に保持されているカウント値が21を超える
迄の期間、すなわち選択信号SのS1がハイレベル、S
0がローレベルとなっている期間)における負帰還ゲイ
ンを「0.25」に設定している。
【0147】演算器132において、負帰還ゲインを
「0.25」とするための偏差と出力値との関係は、
9.3×0.25≒2.3から、「出力値=偏差(MG
−Nc)×2.3」となる。また左右周波数差制御回路1
12の演算器142において、負帰還ゲインを「0.2
5」とするための偏差と出力値との関係は、28×0.
25≒7から、「出力値=偏差(BLC−(Nb−Na))×
7」となる。
【0148】一方、転写材36に転写するための画像を
形成しているときのビデオクロック信号の平均周波数の
変動は、例として図16に示すように、副走査方向に沿
って延びる直線のラインを含む画像を形成したときに顕
著に現れ、前記周波数の変動はラインの揺らぎ(副走査
方向位置の変動)として視認される。なお、ラインの揺
らぎ幅(ジッター)は、レーザビーム走査範囲の走査開
始側端(開始位置信号nSOSが立ち上がる位置)から距離
に比例して増大し、画像領域のEOS側の端部において
最大となる。
【0149】画像の記録密度が600spiの場合、画
像品質の劣化を防止するためにジッターは6μm以下に
抑制する必要があり、標準偏差σに換算してσ≦2μm
とする必要がある。本実施形態において、レーザビーム
走査範囲の走査開始側端から画像領域のEOS側の端部
(転写材36の右端)迄の距離は320mmであるの
で、標準偏差σ≦2μmを実現するために許容される走
査長1m当りの最大変動割合Jitter(%/m)は、 Jitter(%/m)=2/320000=6.25%/m(σ) となる。クロック信号VCOCKの通常の周波数は51.2
4MHzであるので、上記の最大変動割合を周波数の最
大変動量Jitter(Hz)に置き換えると、 Jitter(Hz)=51.24MHz×(1/320000)×2μm=3
20Hz(σ) 上記のように、本実施形態において、周波数の最大変動
量Jitter(Hz)及び最大変動割合Jitter(%/m)
は、ジッターの標準偏差Jitter(μm)から以下の演算
式によって求めることができる。
【0150】 Jitter(Hz)=3.125×51.24×Jitter(μm) Jitter(%/m)=3.125×Jitter(μm) 図17には、本実施形態に係るカラー画像形成装置10
を用いて実験によって求めた負帰還ゲインとジッターの
標準偏差σとの関係が示されている。図17より明らか
なように、ジッターの標準偏差σ≦2μmとするために
は負帰還ゲインを0.2以下とすればよい。
【0151】これに対し、本実施形態に係る演算器13
2、142は、倍率データMG及び倍率バランスデータ
BLCの値が変更設定され、更に開始位置信号nSOSの2
0周期分の時間が経過した以降の期間(ゲイン選択回路
114のカウンタ160に保持されているカウント値が
22に達した以降の期間:レーザビームが画像領域を走
査している期間を含む)には、入力された偏差の絶対値
の大きさに拘わらず、偏差の符号が正であれば「+1」
を出力し、偏差の符号が負であれば「−1」を出力す
る。これにより、倍率レジスタ138及びバランスレジ
スタ146の保持データ値は「1」ずつインクリメント
(UP)又はデクリメント(DOWN)される。
【0152】この場合、出力値の絶対値が一定であるの
で、負帰還ゲインは演算器132、142に入力される
偏差によって変化するが、前述のように、倍率データM
G、倍率バランスデータBLC、平均周波数データNc、
左右周波数差データNb−Naの分解能は730.45H
z、倍率レジスタ138の分解能は78.186Hz、バ
ランスレジスタ146の分解能は26.13Hzである
ので、ビデオクロック信号の平均周波数(画像の全体倍
率)に対する負帰還ゲインは最大でも78.186/7
30.45≒0.1となり、ビデオクロック信号の左右
周波数差(画像の左右倍率差)に対する負帰還ゲインは
最大でも26.13/730.45≒0.04となり、
何れも負帰還ゲイン≦0.2を満足する。
【0153】なお、レーザビームが画像領域を走査して
いるときのビデオクロック信号の左右周波数に対する負
帰還ゲインは、上記のように平均周波数に対する負帰還
ゲインに比して明らかに小さいので、例えば演算器14
2において、偏差の符号が正であれば「+2」を出力
し、偏差の符号が負であれば「−2」を出力する等のよ
うにして負帰還ゲインを大きくしてもよい。
【0154】但し、例として図18に示すように、光ビ
ーム走査装置18の内部温度が経時的に変化したとき
に、画像の全体倍率は大きく変化するものの、画像の左
右倍率差については殆ど変化しないことが実験によって
確認されている。従って、上記で説明したように、レー
ザビームが画像領域を走査しているときのビデオクロッ
ク信号の左右周波数に対する負帰還ゲインは、平均周波
数に対する負帰還ゲインに比して小さくすることが好ま
しい。
【0155】次に補正部134によるバランス調整の影
響補正について、具体的数値を挙げて説明する。左右周
波数差制御回路112から合成回路116に入力される
データは、バランスレジスタ146の保持データの値が
0のときは変化しない(この場合、ビデオクロック信号
VCOCKの平均周波数も変化しない)のに対し、バランス
レジスタ146の保持データの値が32768(最大
値)の場合は0〜21904の範囲でスイープする。従
って、バランスレジスタ146の保持データの値の変化
(0〜32768)に対し、ビデオクロック信号VCOCK
の平均周波数は21904/2=10952に対応する
周波数だけ変化する。
【0156】一方、平均周波数制御回路110の倍率レ
ジスタ138から合成回路116に入力されるデータの
値の変化(0〜65536(最大値))に対し、ビデオク
ロック信号VCOCKの平均周波数は、65536/2=3
2768に対応する周波数だけ変化する。上記より、倍
率レジスタ138の保持データの値の変化に対するビデ
オクロック信号VCOCKの平均周波数の感度(影響度合
い)を基準としたときの、バランスレジスタ146の保
持データの値の変化に対するビデオクロック信号VCOCK
の平均周波数の感度(影響度合い)の比は、10952
/32768=0.334となる。
【0157】従って、補正部134において、平均周波
数制御回路110の演算器132の出力値に対し、左右
周波数差制御回路112の演算器142からの出力値に
「0.334」を乗じた値(補正値)を減算するバラン
ス調整の影響補正を行うことにより、バランスレジスタ
146の保持データの値の変更に伴うビデオクロック信
号VCOCKの平均周波数への影響(変化)をキャンセルす
ることができる。このように、補正部134は請求項5
に記載の周波数制御手段としての機能を有している。
【0158】本実施形態に係るビデオクロック発生器8
2は平均周波数及び左右周波数差の2つの負帰還ループ
を有しており、特に負帰還ゲインが高い場合に発振し易
いが、補正部134が上記のバランス調整の影響補正を
行うことにより、ビデオクロック信号VCOCKの平均周波
数(画像の全体倍率)及び左右周波数差(画像の左右倍
率差)を短時間で整定することができる。なお、演算器
142(及び演算器132)から出力値として「+1」
又は「−1」が出力されるときには補正値の絶対値が1
未満となるので、補正部134によるバランス調整の影
響補正は行なわれない。
【0159】倍率データMG及び倍率バランスデータB
LCが変更設定された場合に、演算器132、142に
おける偏差データと出力値との関係(負帰還ゲイン)を
上記のように変更しながらフィードバック制御を行うと
共に、補正部134が上記のバランス調整の影響補正を
行うことにより、ビデオクロック信号の平均周波数(画
像の全体倍率)及び左右周波数差(画像の左右倍率差)
を短時間で整定させることができる。
【0160】例として図19では倍率データMGの旧設
定値に対し、画像領域の長さが3000μm変化するよ
うに値を定めた新設定値を設定し、倍率バランスデータ
BLCの値も同時に変更設定した場合のビデオクロック
信号の平均周波数の推移の一例を示す。
【0161】図19より明らかなように、倍率データ
(及び倍率バランスデータ)が変更設定されてから12
SOS周期に相当する時間が経過する迄の間は負帰還ゲ
イン=1でフィードバック制御が行われることにより、
倍率データが変更設定された直後は平均周波数が大きく
変動しているものの、補正部134によるバランス調整
の影響補正との相乗効果により、平均周波数の変動(平
均周波数と倍率データの新設定値との偏差)は急速に小
さくなり、ジッターの標準偏差σは最終的には10μm
程度にまで抑制される。
【0162】また、次に8SOS周期に相当する時間が
経過する迄の間は負帰還ゲイン=0.25でフィードバ
ック制御が行われることで、補正部134によるバラン
ス調整の影響補正との相乗効果によって平均周波数の変
動は更に小さくなり、ジッターの標準偏差σは3μm程
度にまで抑制される。そして、前記8SOS周期に相当
する時間が経過した後は、偏差の符号に応じて倍率レジ
スタ138、バランスレジスタ146の保持データ値を
1ずつUP又はDOWNするフィードバック制御に切り
替わることにより、ジッターの標準偏差σは1.8μm
程度にまで抑制される。
【0163】このように、本実施形態によれば、倍率デ
ータMG及び倍率バランスデータBLC(目標値)を変
更設定し、新たな目標値に基づくフィードバック制御を
開始してから、21SOS周期という非常に短い時間で
ビデオクロック信号の平均周波数(画像の全体倍率)及
び左右周波数差(画像の左右倍率差)を整定することが
できる。
【0164】次に本実施形態の作用として、カラー画像
形成装置10の電源が投入された場合に制御部16のC
PU90によって実行される初期補正処理について、図
20のフローチャートを参照して説明する。ステップ2
00では、EEPROM等の不揮発性メモリ(以下、E
EPROMという)に記憶されている、転写材36の表
面用(転写材36A用)の最新の書き出し位置データX
M、倍率データMG、倍率バランスデータBLCを読み
出し、レジスタ74〜78に書き込む。
【0165】次のステップ202ではレジマーク形成用
の画像データをROMから読み出す。本実施形態では、
レジマーク形成用の画像データとして、図4にも示すよ
うに、副走査方向に沿って延びる1ドット幅の線状のレ
ジマークを、主走査方向に沿って画像領域の先頭(SO
S)、中央(COS:Center Of Scan)、及び末尾(EO
S)に形成するための画像データを予めROMに記憶し
ており、ステップ202ではこの画像データを読み出し
て露光制御部70A〜70Dの画像メモリ72に各々書
き込む。
【0166】ステップ204では転写ベルト28を回転
駆動させ、次のステップ206で画像形成部12A〜1
2Dの各々に対してレジマークの形成を指示する。これ
により、画像形成部12Dに対応する露光制御部70D
では、書き出し位置設定レジスタ74に設定された書き
出し位置データXMに基づいてライン同期信号LSYNCを
生成すると共に、設定された倍率データMG、倍率バラ
ンスデータBLCに基づいてビデオクロック信号の平均
周波数(画像の全体倍率)及び左右周波数差(画像の左
右倍率差)をフィードバック制御により整定させ、画像
メモリ72からレジマーク形成用の画像データを読み出
して変調信号を生成し、LDドライバ88を介して光ビ
ーム走査装置18のLD50を駆動する。
【0167】画像形成部12Dでは、帯電器16によっ
て帯電された感光体ドラム14の周面に光ビーム走査装
置18のLD50から射出されたレーザビームが照射さ
れ、該レーザビームが前記周面上を走査することで、前
記周面上にレジマークの静電潜像が形成される。この静
電潜像は現像器22によってC色のトナー像として現像
され、C色のトナー像が転写ベルト28に転写される。
【0168】また、画像形成部12A〜12C及びこれ
らの画像形成部に対応する露光制御部70A〜70Cに
おいても上記と同様の処理が行われる。これにより、図
4に示すように転写ベルト28上のSOS、COS及び
EOSに相当する箇所に、各色(K,Y,M,C)のレ
ジマークが転写ベルト28の移動方向に沿って互いにず
れた位置に形成される。ステップ206はステップ22
0と共にマーク形成制御手段を構成している。
【0169】なお図4では、SOS、COS及びEOS
に相当する箇所に形成された色Xのレジマークを、各々
「XSOS 」「XCOS 」「XEOS 」と表記している。ま
た、以下ではSOSに相当する箇所に形成されたレジマ
ークを「SOSレジマーク」、COSに相当する箇所に
形成されたレジマークを「COSレジマーク」、EOS
に相当する箇所に形成されたレジマークを「EOSレジ
マーク」と称する。図4では、例として、光ビーム走査
装置18を構成する光学部品の公差や取付位置の公差、
光ビーム走査装置18が取付けられているフレーム(図
示省略)の公差、温度等の周囲環境や設置状態の変化及
び経時変化等の原因により、各色のSOSレジマーク、
COSレジマーク及びEOSレジマークの形成位置が主
走査方向に沿ってずれている場合を示している。
【0170】ステップ208では、レジ検知センサ46
から増幅器92、ADC94を介して入力されるレジデ
ータをRAMに順次格納すると共に、入力されたレジデ
ータに基づいて、画像形成部12A〜12Dによって転
写ベルト28上に各々形成されたレジマークが、レジ検
知センサ46によって全て検出されたか否か判定し、判
定が肯定される迄待機する。判定が肯定されるとステッ
プ210へ移行し、転写ベルト28の回転駆動を停止さ
せる。
【0171】次のステップ212以降ではK,Y,M,
C各色について書き出し位置データ、倍率データ、倍率
バランスデータを各々更新するが、以下では「C」を例
に各データの更新を説明する。すなわち、ステップ21
2ではRAMからC色のレジマークに対応するレジデー
タを取り込み、取り込んだレジデータに基づいて、各レ
ジマークの位置を演算する。
【0172】本実施形態ではレジマークの位置を表すデ
ータとして、図22に「レジマークの実測位置」として
レジマークに対応させて示しているように、SOSレジ
マークとEOSレジマークとの距離Aold 、SOSレジ
マークとCOSレジマークとの距離Bold 及びSOSレ
ジマークからAold の1/2に相当する距離隔てた位置
とCOSレジ検知センサ46Bとの距離ΔXold を用い
ており、ステップ212ではこれらを演算する。
【0173】次のステップ214では転写材36の表面
用(転写材36A用)の書き出し位置データXM、倍率
データMG、倍率バランスデータBLCを更新する。ま
ず、レジスタ74〜78に現在設定している(すなわち
レジマーク形成時に用いた)書き出し位置データXM、
倍率データMG、倍率バランスデータBLCを、レジマ
ーク形成時の書き出し位置データXMold 、レジマーク
形成時の倍率データMGold 、レジマーク形成時の倍率
バランスデータBLCold として取り込む。
【0174】そして、SOSレジマークとEOSレジマ
ークとの距離、すなわち画像領域の長さが、SOSレジ
検知センサ46AとEOSレジ検知センサ46Cとの距
離TgtAに一致するように、以下の(1)式に従って更
新後の倍率データMGnew を演算する。
【0175】 MGnew =MGold ×Aold /TgtA …(1) 倍率データMGとして更新後の倍率データMGnew を用
いることにより、図22に「倍率調整後のレジマークの
仮想位置」として示しているように、SOSレジマーク
とEOSレジマークとの距離を、SOSレジ検知センサ
46AとEOSレジ検知センサ46Cとの距離TgtAに
一致させることができる。なお、上記処理は請求項7に
記載の第1設定手段による演算に対応している。
【0176】次に、COSレジマークがSOSレジマー
クとEOSレジマークの中央に位置するように、すなわ
ちSOSレジマーク(又はEOSレジマーク)からCO
Sレジマーク迄の距離が、SOSレジ検知センサ46A
(又はEOSレジ検知センサ46C)とCOSレジ検知
センサ46Bとの距離TgtA/2(=TgtB)に一致す
るように、次の(2)式に従って更新後の倍率バランス
データBLCnew を演算する。
【0177】
【数1】
【0178】なお、上記処理は請求項7に記載の第2設
定手段による演算に対応している。(2)式の第1項
は、COSレジマークの位置を前述の補正量分だけ補正
するための倍率バランスデータBLCの値の変更量を表
しており、(2)式では、この第1項を、倍率データM
Gの更新に伴う全体倍率の変化に応じて更新前の倍率バ
ランスデータBLCold を補正する第2項に加算するこ
とにより、更新後の倍率バランスデータBLCnew を求
めている。
【0179】倍率データMGとして倍率データMGnew
を用い、倍率バランスデータBLCとして更新後の倍率
バランスデータBLCnew を用いることにより、図22
に「倍率バランス調整後のレジマークの仮想位置」とし
て示しているように、COSレジマークがSOSレジマ
ークとEOSレジマークの中央に位置し、SOSレジマ
ークとCOSレジマークとの距離及びCOSレジマーク
とEOSレジマークとの距離を、SOSレジ検知センサ
46A(又はEOSレジ検知センサ46C)とCOSレ
ジ検知センサ46Cとの距離TgtB(=TgtA/2)に
一致させることができる。
【0180】続いて、SOS、COS及びEOSの各レ
ジマークがレジ検知センサ46A〜46Cの位置に各々
一致するように、次の(3)式に従って更新後の書き出
し位置データXMnewを演算する。
【0181】 XMnew =(Aold −TgtA−2・ΔXold )/(4×Ss) +XMold ・(Fnew/Fold) …(3) 但し、Ssは感光体ドラム14上でのレーザビームの走査
速度である。また、Foldはレジマークの形成が行われた
際のパルス数カウント時のビデオクロック信号VCK*2の
周波数、Fnewは更新後の倍率データMGnew 及び倍率バ
ランスデータBLCnew を用いたときのパルス数カウン
ト時のビデオクロック信号VCK*2の周波数であり、それ
ぞれ以下の式で求めることができる。
【0182】 Fold〔MHz 〕=(MGold −2×BLCold )/1369 …(4) Fnew〔MHz 〕=(MGnew −2×BLCnew )/1369 …(5) そしてステップ214では、書き出し位置データXMne
wを書き出し位置データXMとしてEEPROM及びR
AMに格納すると共に、倍率データMGnew 、倍率バラ
ンスデータBLCnewを、転写材36の表面用の倍率デ
ータMG、倍率バランスデータBLCとしてEEPRO
M及びRAMに格納する。
【0183】次のステップ216では転写材36の裏面
用(転写材36B用)の縮小率(転写材36Aのサイズ
を基準としたときの転写材36Bのサイズの比)をRO
Mから読み出す。そしてステップ218では、読み出し
た縮小率及びステップ214で求めた転写材36の表面
用の倍率データMG、倍率バランスデータBLCに基づ
いて、転写材36の裏面用(転写材36B用)の倍率デ
ータMG’、倍率バランスデータBLC’を演算し、R
AMに格納する。
【0184】次に、転写材36に画像を形成する際に行
なわれる画像形成処理について、図21のフローチャー
トを参照して説明する。なお、この画像形成処理が行な
われているときには、画像形成部12A〜12Dの画像
メモリ72には、転写材36上に転写・形成すべき画像
を表す画像データが格納されているものとする。
【0185】ステップ230ではフラグを0にする。最
初に形成した画像を転写するのは定着処理を経ていない
転写材36Aであるので、ステップ232ではRAMか
ら書き出し位置データXMを取り込んでレジスタ74に
書き込むと共に、転写材36の表面用の倍率データM
G、倍率バランスデータBLCを取り込んでレジスタ7
6、78に無条件で書き込み、次のステップ234で画
像形成部12A〜12Dに対して画像の形成を指示す
る。
【0186】これにより、露光制御部70ではページ制
御信号PAGEが立ち下がるか、或いはCPU90によって
ラッチ信号LCHのレベルが切り替えられることで、レジ
スタ76、78に書き込まれた転写材36の表面用の倍
率データMG、倍率バランスデータBLCに基づくビデ
オクロック信号の周波数のフィードバック制御が行なわ
れ、ビデオクロック信号の平均周波数(画像の全体倍
率)及び左右周波数差(画像の左右倍率差)が整定され
た後に画像形成部12で画像が形成されることになる。
【0187】ステップ236では画像形成処理を終了す
るか否か判定する。この判定は、複数枚の転写材36に
画像を転写・形成する場合や転写材36の両面に画像を
転写・形成する場合には否定され、ステップ238へ移
行する。
【0188】ステップ238以降の処理は、画像形成部
12A〜12Dの各々に対応して、独立したタイミング
で各々行なわれるが、以下では説明を簡単にするため、
単一の画像形成部に対応する処理のみを説明する。ステ
ップ238では、画像形成部12における画像形成処理
が開始されたか否か判定し、判定が肯定される迄待機す
る。ステップ238の判定が肯定されるとステップ24
0へ移行し、次に形成する画像の転写先が転写材36の
表面か裏面か、すなわち転写先が両面共に画像形成が完
了していない転写材36Aか片面のみ画像形成が完了し
た転写材36Bかを判定する。
【0189】次に形成する画像の転写先が転写材36の
表面である場合にはステップ242へ移行し、レジスタ
76、78(の第2レジスタ156)に、転写材36の
表面用の倍率データMG、倍率バランスデータBLCを
書き込む。これにより、次の画像を形成する際には、露
光制御部70においてレジスタ76、78に書込んだ転
写材36の表面用の倍率データMG、倍率バランスデー
タBLCが第1レジスタ154に書きこまれに基づいて
ビデオクロック信号の周波数のフィードバック制御が行
なわれる。また、次のステップ244ではレジマークの
形成を行うか否か判定する。判定が否定された場合には
ステップ250へ移行する。
【0190】一方、次に形成する画像の転写先が転写材
36の裏面である場合には、ステップ240からステッ
プ248へ移行し、レジスタ76、78に、転写材36
の裏面用の倍率データMG’、倍率バランスデータBL
C’を書き込み、ステップ250へ移行する。これによ
り、次の画像を形成する際には、露光制御部70におい
てレジスタ76、78に書込んだ転写材36の裏面用の
倍率データMG’、倍率バランスデータBLC’に基づ
いてビデオクロック信号の周波数のフィードバック制御
が行なわれる。
【0191】ステップ250では画像形成部12におけ
る画像形成(正確には露光制御部70における画像の露
光)が終了したか否か判定する。判定が否定された場合
にはステップ252へ移行し、フラグが1か否か判定す
る。ステップ252の判定も否定された場合にはステッ
プ250に戻り、上記判定を繰り返す。ステップ250
の判定が肯定されるとステップ264へ移行し、画像形
成部12に対して次の画像の形成を指示する。次のステ
ップ266ではレジマークの形成を行うか否か判定す
る。判定が否定された場合にはステップ236へ戻り、
ステップ236以降の処理を繰り返す。そして、ステッ
プ236の判定が肯定されると画像形成処理を終了す
る。
【0192】上記により、各回の画像形成時には、形成
する画像を転写する転写材36のサイズ(定着処理の実
行の有無によるサイズの相違を考慮したサイズ)に対応
する倍率データ及び倍率バランスデータがレジスタ7
6、78に予め設定され、設定された倍率データ及び倍
率バランスデータに基づいて、ビデオクロック信号の周
波数のフィードバック制御が行なわれ、画像が形成され
ることになるので、画像全体の倍率(全体倍率)のずれ
や画像の部分倍率(左右倍率差)のばらつき、画像の書
き出し位置のずれ、及びカラー画像における色ずれを解
消することができ、転写材36の両面に画像を転写形成
する場合に、各面に転写形成した画像のサイズがばらつ
くことも防止できる。
【0193】また、ビデオクロック信号の周波数のフィ
ードバック制御における負帰還ゲインがゲイン選択回路
114によって適宜選択されることで、転写材36の両
面に画像を転写形成する場合にも、図13に「倍率・倍
率バランス変更期間」として示す期間内に、ビデオクロ
ック信号の平均周波数(画像の全体倍率)及び左右周波
数差(画像の左右倍率差)を整定することができる。
【0194】また、レジマークを形成して書き出し位置
データXM、倍率データMG、倍率バランスデータBL
Cを更新すべきタイミングが到来すると、ステップ24
4の判定が肯定されてステップ246へ移行し、レジマ
ーク形成用の画像データをROMから読み出して露光制
御部70A〜70Dの画像メモリ72に各々書き込む。
なお、レジマークの形成・データXM,MG,BLCの
更新は、例えば数分に1回、数十分に1回、数時間に1
回等のように定期的に行ってもよいし、温度センサによ
って装置内部の温度を検出し、検出した温度が大きく変
化したときに行うようにしてもよい。
【0195】ステップ246の処理を行うと、ステップ
264で画像形成部に対して画像の形成を指示した後
に、次のステップ266の判定が肯定されてステップ2
68へ移行し、搬送ベルト32の上側搬送面上における
転写材間隙に相当する位置へのレジマークの形成を各画
像形成部12に指示する。次のステップ270ではフラ
グを1にしてステップ236に戻る。これにより、各画
像形成部12により、図13に示す位置に相当する転写
ベルト28上の所定位置にレジマークが各々形成され
る。
【0196】続いて、フラグを1にしたことでステップ
252の判定が肯定され、ステップ254〜260にお
いて、先に説明した初期補正処理(図20)のステップ
208、212〜218と同様にしてデータXM,M
G,BLC,MG’,BLC’が更新される。そして、
次のステップ262でフラグを0にしてステップ250
に戻ることで通常の画像形成処理のシーケンスに戻る。
【0197】なお、上記では平均周波数検知回路106
において、ビデオクロック信号VCOCKの5倍の周波数の
信号のパルス数を一定時間内(パルスカウント信号PLSA
がハイレベルとなっている期間内)でカウントすること
で平均周波数データNcを求めていたが、上記方式では光
ビーム走査装置18内部の温度が変化し感光体ドラム1
4の周面上におけるレーザビームの走査速度が変化した
としても平均周波数データNcの値が変化せず、結果とし
てレーザビームの走査速度の変化に伴って画像の全体倍
率が変化してしまうという欠点を有している。このた
め、光ビーム走査装置18内部の温度変化が比較的大き
い等の場合には、レーザビーム走査範囲内の複数箇所
(例えばSOSとEOS)でレーザビームの光スポット
の通過を各々検知し、前記複数箇所間のレーザビームの
走査時間を測定して画像の全体倍率(ビデオクロック信
号の平均周波数)を制御することが好ましい。
【0198】例として、図23に示す光ビーム走査装置
18の光学系では、開始位置検出センサ66(第1検出
手段)に加え、折り返しミラー64のレーザビーム射出
側の走査終了側端部(EOS)に相当する位置に終了位
置検出センサ170(第2検出手段)が配置されてい
る。終了位置検出センサ170は、ポリゴンミラー58
のレーザビームを反射している面が、入射ビームをEO
Sに相当する方向へ反射する向きとなったときに、折り
返しミラー58を介してレーザビームが入射され、終了
位置信号EOSとしてパルス幅の短いパルスを出力する。
【0199】光ビーム走査装置18として上記構成を採
用した場合、平均周波数検知回路106は、図24に示
すようにパルス発生器172及びカウンタ174で構成
することができる。なお、この態様において、左右周波
数差検知回路108は、図7においては平均周波数検知
回路106に含まれていたカウンタ122を含んで構成
されており、請求項6に記載の第2計測手段に対応して
いる。
【0200】パルス発生器172には開始位置信号nSOS
及び終了位置信号EOSを反転した終了位置信号nEOS(図
25参照)が入力され、開始位置信号nSOSが立ち上がっ
てから終了位置信号nEOSが立ち上がる迄の間ハイレベル
となる走査期間信号SOS_EOS(図25参照)を出力す
る。走査期間信号SOS_EOSはカウンタ174のE入力に
入力される。
【0201】カウンタ174はレーザビーム1周期毎に
カウント値を0にすると共に、走査期間信号SOS_EOSが
ハイレベルとなっている期間内におけるビデオクロック
信号VCOCKのパルス数をカウントし、カウント値を平均
周波数データNcとして出力する。なお、上述した構成の
平均周波数検知回路106は、開始位置検出センサ66
及び終了位置検出センサ170と共に、請求項6に記載
の第1計測手段に対応している。
【0202】上記のようにして求めた平均周波数データ
Ncはレーザビームの走査速度が変化すると走査速度の変
化に応じて値が変化するので、レーザビームの走査速度
の変化を検知することができ、上記の平均周波数データ
Ncを用いて画像の全体倍率(ビデオクロック信号VCOCK
の平均周波数)のフィードバック制御を行うことによ
り、レーザビームの走査速度が変化したときにも画像の
全体倍率が変化することを防止することができる。な
お、図24に示す平均周波数検知回路106、左右周波
数差検知回路108から出力される平均周波数データN
c、左右周波数差データNb−Naを用いてクロック信号VCO
CKのフィードバック制御を行うビデオクロック発生器8
2は、請求項6に記載の周波数制御手段に対応してい
る。
【0203】また、上記ではゲイン選択回路114にお
いて、演算器132、142における偏差データと出力
値との関係(負帰還ゲイン)を、ページ制御信号PAGEの
レベルが立ち下がってから(或いはリセット信号RST又
はラッチ信号LCHのレベルが切り替わってから)の経過
時間に応じて固定的に定めたタイミングで切り替えてい
たが、これに限定されるものではなく、例として図26
に示すように、演算器132、142に入力される偏差
データがゲイン選択回路114にも入力されるように構
成し、入力された偏差データが表す偏差の大きさに応じ
て偏差データと出力値との関係(負帰還ゲイン)を切り
替えるようにしてもよい。偏差データと出力値との関係
(負帰還ゲイン)は、例えば偏差データが表す周波数偏
差に応じて以下の表2に示すように切り替えることがで
きる。
【0204】
【表2】
【0205】上記で説明したゲイン選択回路114も、
演算器132、142と共に本発明の変更手段(より詳
しくは請求項4に記載の変更手段)に対応している。
【0206】また、上記ではゲイン選択回路114にお
いて偏差と演算器132、142の出力値との関係を3
段階に切り替える例を表1に、4段階に切り替える例を
表2に示していたが、本発明の変更手段は上記構成に限
定されるものではなく、偏差と出力値との関係を2段階
に切り替えてもよいし、5段階以上の多数段階に切り替
えてもよい。
【0207】また、上記ではSOS側の部分画像領域に
おけるクロック信号の周波数と、EOS側の部分画像領
域におけるクロック信号の周波数と、の差を用いて、倍
率バランスの指定や制御を行っていたが、これに代えて
両者の周波数の比を用いてもよい。すなわち、上記では
倍率バランスデータBLCとしてビデオクロック信号VC
OCKの左右周波数差Fb−Faに対応する値が設定され、ビ
デオクロック信号VCOCKの左右周波数差Fb−Faに基づい
てフィードバック制御を行っていたが、これに代えてFa
/FbやFa/Fc、Fb/Fc等を用いて倍率バランスの指定、
フィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0208】また、上記では光ビーム走査装置として、
ポリゴンミラー52の反射面幅よりも幅広のレーザビー
ムをポリゴンミラー52に入射するオーバフィルドタイ
プの光ビーム走査装置18を例に説明したが、これに限
定されるものではなく、反射面幅よりも幅の狭いレーザ
ビームをポリゴンミラーに入射する、所謂アンダーフィ
ルドタイプの光ビーム走査装置を用いてもよい。
【0209】更に、上記では光源として2つの発光点を
備えたデュアルスポットレーザダイオードを用い、2本
の光ビームによって主走査方向に沿った2ラインを同時
に走査露光するようにしていたが、これに限定されるも
のではなく、1本の光ビームを射出する光源を用い、1
本の光ビームにより1ラインずつ走査露光するようにし
てもよいし、3本以上の光ビームによって主走査方向に
沿った3本以上のラインを同時に走査露光するようにし
てもよい。また、光源としてLED等の他の光源を用い
てもよい。
【0210】また、上記では画像領域の先頭(SO
S)、中央(COS)及び末尾(EOS)の3箇所にレ
ジマークを形成するようにした例を説明したが、これに
限定されるものではなく、上記位置からずれた位置にレ
ジマークを形成するようにしてもよいし、レジマークの
個数についても、より多数のレジマークを形成するよう
にしてもよい。
【0211】更に、上記では画像形成装置10の内部に
レジ検知センサ46を設け、転写ベルト28上に形成さ
れたレジマークの位置を検知するようにしていたが、こ
れに限定されるものではなく、例えば転写ベルト28上
に形成されたレジマークを転写材36上に転写・定着さ
せると共に、該転写材36を、カラー画像形成装置10
と別体でラインセンサ等の検知センサを備えたレジマー
ク位置検知用の治具にセットしてレジマークの位置を検
知するようにしてもよい。この場合、前記治具によるレ
ジマーク位置の検知結果に基づいて、パーソナルコンピ
ュータ等の情報処理装置によって倍率データMG、倍率
バランスデータBLC、書き出し位置データXMを演算
し、演算結果を画像形成装置に入力することができる。
【0212】また、上記では感光体ドラム14及び光ビ
ーム走査装置18を備えた4台の画像形成部12A〜1
2Dが順に設けられたタイプのカラー画像形成装置10
を例に説明したが、これに限定されるものではなく、単
一の感光体及び単一の光ビーム走査装置を備えると共
に、感光体に形成された静電潜像を互いに異なる色(例
えばC、M、Y、K)に現像する複数台の現像器を備
え、単一の感光体ドラムの周面に各色のトナー像を順に
形成して転写ベルトや転写材上で重ね合わせることで、
転写ベルトや転写材上にカラー画像を形成するタイプの
画像形成装置に本発明を適用してもよい。また、単一の
ポリゴンミラーの周囲に複数の光源が配置され、各光源
から射出された光ビームを単一のポリゴンミラーで各々
偏向させ、各光ビームを複数設けられた感光体の何れか
に照射して互いに異なる色のトナー像を形成するタイプ
の画像形成装置(所謂スプレーペイントROSを備えた
画像形成装置)に本発明を適用することも可能である。
【0213】また、上記ではカラー画像を形成する画像
形成装置を例に説明したが、本発明は、単色の画像を形
成する画像形成装置に適用することも可能であることは
言うまでもない。
【0214】
【発明の効果】以上説明したように第1の発明は、光ビ
ームの走査方向に沿った画像全体の倍率及び画像の部分
倍率を計測し、倍率の設定値と計測値の偏差が小さくな
り、かつ部分倍率の設定値と計測値の偏差が小さくなる
ように、光ビームの1走査に相当する期間内におけるク
ロック信号の周波数の平均値及び変化幅に関する操作量
を前記偏差に応じて変更することを繰り返すと共に、前
記偏差と前記操作量の変更量との関係を変更するように
したので、複数の画像を高速で順次形成する場合であっ
ても、個々の画像を単位として画像全体の倍率及び部分
倍率を各々補正することが可能となる、という優れた効
果を有する。
【0215】第6の発明は、光ビームが走査範囲内の第
1の所定位置を通過してから第2の所定位置を通過する
迄の期間内のクロック信号の平均周波数を計測すると共
にクロック信号の平均周波数の差又は比を計測し、計測
されたクロック信号の平均周波数が、指定された画像全
体の倍率に応じた平均周波数に一致し、かつ計測された
クロック信号の平均周波数の差又は比が、指定された部
分倍率に応じた平均周波数の差又は比に一致するように
クロック信号の周波数を制御するので、画像全体の倍率
及び部分倍率を各々補正することができ、光ビームの走
査速度が変化した場合にも画像全体の倍率が変化するこ
とを防止できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ビデオクロック発生器の概略構成を示すブロ
ック図である。
【図2】 本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図
である。
【図3】 転写ベルトに穿設されたベルト位置検出用の
孔、及びベルト位置検出センサの配置を示す斜視図であ
る。
【図4】 転写ベルト上に形成されるレジマークの一
例、及び該レジマークを検知するレジ検知センサの配置
を示す斜視図である。
【図5】 光ビーム走査装置の光学系の概略構成を示す
平面図である。
【図6】 画像形成装置の制御部のうち、光ビーム走査
装置の制御に関する部分の概略構成を示すブロック図で
ある。
【図7】 平均周波数検知回路及び左右周波数差検知回
路の概略構成を示すブロック図である。
【図8】 平均周波数制御回路及び左右周波数差制御回
路の概略構成を示すブロック図である。
【図9】 倍率設定レジスタ及び倍率バランス設定レジ
スタの概略構成を示すブロック図である。
【図10】 ゲイン選択回路の概略構成を示すブロック
図である。
【図11】 開始位置信号nSOSとライン同期信号LSYNC
との関係、ベルト位置検出信号とページ制御信号PAGEと
の関係を用紙(転写材)と対応させて示す概念図であ
る。
【図12】 開始位置信号nSOS、ライン同期信号LSYNC
、パルスカウント信号PLSA,PLSB 、スイープクロック
信号SWCK、レジスタクロック信号REGCK 及び開始位置信
号SOSと、これらの信号に基づくビデオクロック信号VCK
*2 の周波数の推移を示すタイミングチャートである。
【図13】 ビデオクロック信号VCK*2 の周波数の推移
を、搬送ベルト上での転写材の配置及びレジマーク形成
位置と対応させて示す概念図である。
【図14】 DACからVCOに入力される信号の電圧
レベルと、VCOから出力されるクロック信号VCOCKの
周波数との関係を示す線図である。
【図15】 左右周波数差制御回路から出力されるデー
タの値の変化に対し、クロック信号VCOCKの左右周波数
差の変化の程度を説明するための線図である。
【図16】 ビデオクオック信号の周波数の変動によ
り、転写材上に形成されるラインに揺らぎが生ずること
を説明するためのイメージ図である。
【図17】 負帰還ゲインとジッターの標準偏差との関
係を示す線図である。
【図18】 光ビーム走査装置の内部温度と、画像の全
体倍率及び部分倍率(左右倍率差)との関係を示す線図
である。
【図19】 倍率データ及び倍率バランスデータの値が
変更されてから、画像の全体倍率及び左右倍率差が整定
される迄の間のビデオクロック信号VCK*2の周波数の変
動を示す線図である。
【図20】 初期補正処理の内容を示すフローチャート
である。
【図21】 画像形成処理の内容を示すフローチャート
である。
【図22】 倍率データ、倍率バランスデータ、及び書
き出し位置データの演算を説明するための概念図であ
る。
【図23】 光ビーム走査装置の光学系の他の構成を示
す概略平面図である。
【図24】 図23の光学系に対応する平均周波数検知
回路及び左右周波数差検知回路の他の構成を示す概略ブ
ロック図である。
【図25】 図23の光学系に対応する開始位置信号nS
OS、ライン同期信号LSYNC 、パルスカウント信号PLSA,P
LSB 、スイープクロック信号SWCK、レジスタクロック信
号REGCK 、終了位置信号nEOS、走査期間信号SOS_EOS
と、ビデオクロック信号VCK*2 の周波数の推移を示すタ
イミングチャートである。
【図26】 平均周波数制御回路及び左右周波数差制御
回路の他の構成を示す概略ブロック図である。
【図27】 主走査方向に沿った画像の位置ずれや色ず
れを構成する3つの要素を分けて示す概念図である。
【符号の説明】
10 カラー画像形成装置 12 画像形成部 50 LD 60 開始位置センサ 82 ビデオクロック発生器 90 CPU 102 VCO 106 平均周波数検知回路 108 左右周波数差検知回路 110 平均周波数制御回路 112 左右周波数差制御回路 114 ゲイン選択回路 170 終了位置センサ
フロントページの続き Fターム(参考) 2C262 AA05 AA17 AA24 AB15 FA02 GA04 GA22 GA36 GA42 2C362 AA10 BA04 BA50 BA52 BA68 CA18 CA22 CA39 2H027 DA07 DA38 EA02 ED06 EE02 EE06 EF12 FD03 FD08 ZA07 5C072 AA03 BA04 FB09 HB01 HB08 XA04 5C074 AA10 BB03 DD08 DD15 DD19 DD22 DD24 EE04 EE06 FF15 GG02 GG08 GG09 HH02

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロック信号発生部で発生されたクロッ
    ク信号に同期した変調タイミングで、形成すべき画像に
    応じて変調した光ビームを被照射体上で走査させること
    により、前記被照射体上に画像を形成する画像形成装置
    であって、 光ビームの走査方向に沿った画像全体の倍率及び画像の
    部分倍率を各々計測し、前記倍率の設定値と計測値の偏
    差が小さくなり、かつ前記部分倍率の設定値と計測値の
    偏差が小さくなるように、前記クロック信号発生部に入
    力する光ビームの1走査に相当する期間内における前記
    クロック信号の周波数の平均値及び変化幅に関する操作
    量を前記偏差に応じて変更することを繰り返す周波数制
    御手段と、 前記周波数制御手段によるクロック信号の周波数の制御
    における、前記偏差と前記操作量の変更量との関係を変
    更する変更手段と、 を含む画像形成装置。
  2. 【請求項2】 前記変更手段は、光ビームによって被照
    射体上に画像が形成されていない期間内に前記偏差に対
    する前記操作量の変更量を一時的に大きくし、光ビーム
    によって被照射体上に画像が形成されている期間内は前
    記偏差に対する前記操作量の変更量を所定値以下とする
    ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】 前記変更手段は、前記偏差に対する前記
    操作量の変更量を一時的に大きくすることを、画像の形
    成が完了した直後、画像の形成が開始される直前、及び
    リセットがかかった直後の少なくとも何れかのタイミン
    グで行った後に、前記偏差に対する前記操作量の変更量
    を徐々に小さくすることを特徴とする請求項2記載の画
    像形成装置。
  4. 【請求項4】 前記変更手段は、前記偏差に対する前記
    操作量の変更量を一時的に大きくすることを、画像の形
    成が完了した直後、画像の形成が開始される直前、及び
    リセットがかかった直後の少なくとも何れかのタイミン
    グで行った後に、前記偏差に対する前記操作量の変更量
    を前記偏差の減少に応じて小さくすることを特徴とする
    請求項2記載の画像形成装置。
  5. 【請求項5】 前記周波数制御手段は、前記クロック信
    号の周波数の変化幅に関する操作量の変更量に基づい
    て、前記変化幅に関する操作量を前記変更量だけ変更し
    たときのクロック信号の周波数の平均値の変動をキャン
    セルするための前記周波数の平均値に関する操作量に対
    する補正量を求め、求めた補正量によって前記平均値に
    関する操作量を予め補正することを特徴とする請求項1
    記載の画像形成装置。
  6. 【請求項6】 クロック信号発生部で発生されたクロッ
    ク信号に同期した変調タイミングで、形成すべき画像に
    応じて変調した光ビームを被照射体上で走査させること
    により、前記被照射体上に画像を形成する画像形成装置
    であって、 光ビームが光ビーム走査範囲内の第1の所定位置を通過
    してから前記走査範囲内の第2の所定位置を通過する迄
    の期間内のクロック信号の平均周波数を計測する第1計
    測手段と、 光ビーム走査範囲を2つ以上の範囲に分割し光ビームが
    各範囲を走査するときのクロック信号の平均周波数の差
    又は比を計測する第2計測手段と、 光ビームの走査方向に沿った画像全体の倍率及び前記走
    査方向に沿った画像の部分倍率が指定され、前記第1計
    測手段によって計測されたクロック信号の平均周波数
    が、前記指定された画像全体の倍率に応じた平均周波数
    に一致し、かつ前記第2計測手段によって計測されたク
    ロック信号の平均周波数の差又は比が、前記指定された
    部分倍率に応じた平均周波数の差又は比に一致するよう
    に、クロック信号の周波数を制御する周波数制御手段
    と、 を含む画像形成装置。
  7. 【請求項7】 光ビームの走査方向に沿った画像領域の
    長さのずれを補正した画像全体の倍率を演算して設定す
    る第1設定手段と、前記走査方向に沿った画像の記録倍
    率の部分的なばらつきを補正した画像の部分倍率を演算
    して設定する第2設定手段と、を更に備えたことを特徴
    とする請求項1又は請求項6記載の画像形成装置。
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JP2008026540A (ja) * 2006-07-20 2008-02-07 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成装置

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