JP3704997B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は画像形成装置に係り、特に、クロック信号に同期した変調タイミングで変調した光ビームを被照射体上で走査させて被照射体上に画像を形成する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光学走査装置から射出されたレーザビーム等の光ビームを像担持体上で走査(主走査)させて像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像して得られたトナー像を記録材料に転写することで記録材料上に画像を形成する画像形成装置が知られている。また、光学走査装置及び像担持体を複数備え、複数の像担持体上に各々独立に静電潜像を形成して各色(例えばC、M、Y、K)のトナー像を形成し、各色のトナー像を同一の記録材料に順に転写して重ね合わせることで、記録材料上にカラー画像を形成するカラー画像形成装置も知られている。
【0003】
この種の画像形成装置では、光学走査装置が取付けられるフレームの寸法や光学走査装置を構成する各光学部品の寸法、或いは各光学部品の取付位置や光学走査装置自体の取付位置が公差の範囲内でばらついているので、これらの影響で記録材料上での画像形成位置のずれ(カラー画像であれば色ずれとして視認される)が生じないように、装置の出荷時や設置時に各種の調整を行うことが一般的である。
【0004】
しかしながら、上記の調整を行ったとしても、各光学部品の位置は温度等の周囲環境の変化や設置状態の変化の影響を受けて経時的に変化するので、これに伴って画像の位置ずれ(或いは色ずれ)が発生する。また、記録材料の両面に一定サイズの画像を形成する態様においては、一方の面に画像を形成することで記録材料のサイズが変化する(詳しくは記録材料に熱を加える定着処理を行うことで変化する)ので、記録材料のサイズと該記録材料に形成した画像のサイズの比が変動することで、記録材料の各面に形成した画像のサイズが不揃いとなる。
【0005】
なお、光ビームの走査方向(主走査方向)に沿った画像の位置ずれ及びサイズのばらつきは、より詳しくは図27にも示すように、(1) 画像全体の倍率のずれ(主走査方向に沿った画像領域の長さの変化)、(2) 画像の倍率の部分的なばらつき(主走査方向に沿った画像領域の長さの部分的な変化:図では例として、画像領域の中央を境界として、走査開始側の部分領域の長さが走査終了側の部分領域の長さよりも長い場合を示す)、(3) 書き出し位置のずれ(画像領域の主走査方向に沿った位置のずれ)、の3つの要素から構成され、これらを補正することで画像の位置ずれ及びサイズのばらつきを補正できる。
【0006】
上記補正に関し、特開平3-36560号公報には、同一の記録材料に対して少なくとも定着動作を2度行うレーザプリンタ装置において、初回の定着動作がされている記録材料に対しては、主・副走査方向の書込み幅、書込み基準クロック、ポリゴンスキャナ回転速度用のクロック等の書込み信号群を、定着動作を行うことによる記録材料のサイズの伸び率分だけ補正することが提案されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記技術では画像の倍率の部分的な補正(画像の部分倍率の補正)については何ら考慮されていない。本発明は、構成の複雑化を招くことなく、画像の部分倍率のばらつきを含む画像形成位置のずれを補正できる画像形成装置を得ることを第1の目的としている。
【0008】
また、本願出願人は、画像全体の倍率及び画像の部分倍率は、ビデオクロック信号の周波数を閉ループによってフィードバック制御することで補正することができ、高精度の色ずれ補正を実現できることに想到した。但し、周波数が大きな振幅で振動したりハンチング等が生ずることのないように偏差に対するゲインを小さくすると、周波数が整定する迄に長い時間がかかる。
【0009】
これに対し、例えば多数の記録材料の両面への画像の形成を高速で行うことを目的として、一方の面に既に画像が形成された(すなわち定着処理が1回行なわれた)記録材料への画像の形成と、画像形成が行なわれていない(すなわち定着処理が行なわれていない)記録材料への画像の形成を交互に行う等の態様においては、画像を形成すべき記録材料のサイズが毎回相違することになるので、記録材料のサイズに応じてクロック信号の周波数を毎回変更する必要があり、偏差に対するゲインを小さくすると画像記録速度の低下を招く可能性がある。
【0010】
本発明は、複数の画像を高速で順次形成する場合であっても、個々の画像を単位として画像全体の倍率及び部分倍率を各々補正することが可能な画像形成装置を得ることを第2の目的としている。
【0011】
一方、光学走査装置から射出されて感光体上を走査される光ビームは、感光体上での走査速度が周囲温度によって変化するという問題がある。これは、周囲温度の変化によりレーザの発振波長が変動し、これに伴って入射レーザ光に対するレンズ等の光学部品の屈折率が変化することと、光学走査装置のケーシング等の構成部品の熱膨張によってレンズ等の光学部品の位置が変化することが主な原因である。
【0012】
上記の走査速度の変動によって画像の位置ずれやサイズのばらつきが生ずることを防止するために、特開平6−320786号公報には、SOS(光ビーム走査範囲内の走査開始側端部)とEOS(走査範囲内の走査終了側端部)の間のレーザ光の走査時間を計測し、計測結果に基づいてクロック信号の周波数をPLLによって制御することが提案されている。しかし、上記技術においても画像の部分倍率の補正については何ら考慮されておらず、画像の部分倍率のばらつきを含め、画像の位置ずれやサイズのばらつきを正確に補正することは困難である。
【0013】
本発明は、画像全体の倍率及び部分倍率を各々補正することができ、光ビームの走査速度が変化した場合にも画像全体の倍率が変化することを防止できる画像形成装置を得ることを第3の目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載した第1の発明に係る画像形成装置は、クロック信号発生部で発生されたクロック信号に同期した変調タイミングで、形成すべき画像に応じて変調した光ビームを被照射体上で走査させることにより、前記被照射体上に画像を形成する画像形成装置であって、光ビームの走査方向に沿った画像全体の倍率及び画像の部分倍率を各々計測し、前記画像全体の倍率の設定値と計測値の偏差が小さくなり、かつ前記画像の部分倍率の設定値と計測値の偏差が小さくなるように、前記クロック信号発生部に入力する光ビームの1走査に相当する期間内における前記クロック信号の周波数の平均値及び変化幅に関する操作量を前記偏差に応じて変更することを繰り返す周波数制御手段と、前記周波数制御手段によるクロック信号の周波数の制御における、前記偏差と前記操作量の変更量との関係を変更する変更手段と、を含んで構成されている
【0015】
第1の発明では、光ビームの走査方向に沿った画像全体の倍率(画像全体の記録倍率)が設定されると共に、光ビームの走査方向に沿った画像の部分倍率(画像の部分的な記録倍率)が設定される。光ビームは、クロック信号発生部で発生されたクロック信号に同期した変調タイミングで、形成すべき画像に応じて変調されるので、光ビームの走査方向に沿った画像全体の倍率及び画像の部分倍率は、光ビームが1回走査される間のクロック信号の周波数(詳しくは周波数の平均値及び変化幅)によって定まる。
【0016】
このため、周波数制御手段は画像全体の倍率の設定値と計測値の偏差が小さくなり、かつ画像の部分倍率の設定値と計測値の偏差が小さくなるように、クロック信号発生部に入力する光ビームの1走査に相当する期間内におけるクロック信号の周波数の平均値及び変化幅に関する操作量を前記偏差に応じて変更することを繰り返す。これにより、クロック信号発生部を制御対象とし、画像全体の倍率及び画像の部分倍率(或いは光ビームの1走査に相当する期間内におけるクロック信号の周波数の平均値及び前記期間内におけるクロック信号の周波数の変化幅 (より詳しくは、例えば光ビームの走査範囲を2つ以上の範囲に分割し光ビームが各範囲を走査するときの平均周波数の差又は比))を制御量としてフィードバック制御(閉ループ制御)が行なわれることになる。
【0017】
そして上記制御により、光ビームによって被照射体上に形成される画像を構成する各画素の光ビーム走査方向に沿った間隔が調整され、クロック信号の周波数の平均値及び変化幅に関する操作量が略一定の値に収束すると、設定された倍率と倍率の計測値の偏差及び部分倍率と部分倍率の計測値の偏差が何れも小さくなり (画像全体の倍率及び画像の部分倍率(又はこれらに対応する周波数値)が整定された状態になり)、画像の部分倍率のばらつきを含む画像形成位置のずれや画像サイズのばらつきが補正される。これにより、本発明の第1の目的が達成される。
【0018】
また、第1の発明に係る画像形成装置が、互いに異なる複数の色の画像を各々形成して重ね合わせることでカラー画像を形成する画像形成装置である場合には、本発明により各色の画像の画像形成位置のずれや画像サイズのばらつきが各々補正されることでカラー画像の色ずれが解消される。
【0019】
ところで、複数の画像を順次形成していく態様において、画像形成の高速化を達成するには、個々の画像の画像形成期間の間に相当する非画像形成期間の長さを短くすることが有効であるが、これを実現するためには、画像全体の倍率及び画像の部分倍率の整定時間(設定値に基づき画像全体の倍率及び画像の部分倍率の制御を開始してから画像全体の倍率及び画像の部分倍率が整定された状態になる迄の時間)を短くする必要がある。
【0020】
しかし第1の発明では、光ビームの走査方向に沿った画像全体の倍率及び画像の部分倍率(又はこれらに対応する周波数値)を制御量としているので、周波数制御手段によるフィードバック制御の周期が比較的長い。従って、整定時間を短縮するためには、クロック信号の周波数の平均値及び変化幅に関する操作量が略一定の値に収束し画像全体の倍率及び画像の部分倍率が整定状態になる迄に要する操作量変更回数(フィードバック制御の繰り返し回数)を少なくする必要がある。
【0021】
このため第1の発明では、周波数制御手段によるクロック信号の周波数の制御における、前記偏差と前記操作量の変更量との関係を変更する変更手段を設けている。これにより、例えば偏差が比較的大きい場合、或いは偏差が比較的大きいと推定される期間に偏差に対する操作量の変更量が大きくなるように前記関係を変更すれば、前記偏差を速やかに小さくすることができる。また、偏差が比較的小さい場合、或いは偏差が比較的小さいと推定される期間に偏差に対する操作量の変更量が小さくなるように前記関係を変更すれば、画像全体の倍率及び画像の部分倍率が大きな振幅で振動したりハンチング等が生ずることなく、前記偏差をより小さくすることができる。従って、非常に少数回の操作量変更で(フィードバック制御を非常に少ない回数繰り返すことで)画像全体の倍率及び画像の部分倍率を整定することが可能となる。
【0022】
これにより、複数の画像を順次形成していく態様において、画像形成の高速化を目的として、個々の画像の画像形成期間の間に相当する非画像形成期間の長さを短くした場合にも、設定値に基づき画像全体の倍率及び画像の部分倍率のフィードバック制御を開始してから画像全体の倍率及び画像の部分倍率が整定状態となる迄の期間を前記非画像形成期間内に収めることが可能となり、複数の画像を高速で順次形成する場合であっても、個々の画像を単位として画像全体の倍率及び画像の部分倍率を各々補正することが可能となるので、本発明の第2の目的が達成される。
【0023】
なお、周波数制御手段は、画像全体の倍率及び画像の部分倍率そのものを計測するよう構成してもよいが、画像全体の倍率に関連する物理量や画像の部分倍率に関連する物理量(例えば画像全体の倍率に関連する期間及び画像の部分倍率に関連する期間内におけるクロック信号の平均周波数やパルス数)を計測するようにしてもよい。
【0024】
また、光ビームの走査方向に沿った画像全体の倍率としては、例えば倍率に応じて変化する画像領域の長さ、或いは記録倍率そのものを用いてもよいが、画像領域を光ビームが走査する間のクロック信号の平均周波数を用いて設定することが好ましい。クロック信号の平均周波数はパルス数をカウントすることで容易に計測することができ、計測した平均周波数が設定された平均周波数に一致するように制御することで、画像全体の倍率を、指定された平均周波数に対応する倍率に一致させることができるので、制御が容易になり、周波数制御手段の構成を簡単にすることができる。
【0025】
また、光ビームの走査方向に沿った画像の部分倍率についても、例えば画像領域を2つ以上の範囲に分割したときの各範囲の長さ、或いは各範囲毎の倍率そのものを用いてもよいが、画像領域を2つ以上の範囲に分割し光ビームが各範囲を走査するときのクロック信号の平均周波数の差又は比を用いて設定することが好ましい。これにより、上記と同様に制御が容易になり、周波数制御手段の構成を簡単にすることができる。
【0026】
次にその他の発明を説明する。
【0027】
第2の発明は、第1の発明において、変更手段が、光ビームによって被照射体上に画像が形成されていない期間内に前記偏差に対する前記操作量の変更量を一時的に大きくし、光ビームによって被照射体上に画像が形成されている期間内は前記偏差に対する前記操作量の変更量を所定値以下とすることを特徴としている。
【0028】
第2の発明によれば、画像が形成されていない期間内に偏差(画像全体の倍率の設定値と計測値の偏差及び画像の部分倍率の設定値と計測値の偏差)に対する操作量の変更量を一時的に大きくするので、偏差に対する操作量の変更量を一時的に大きくしている間に、画像品質の低下を招くことなく前記偏差を速やかに小さくし、画像全体の倍率及び画像の部分倍率を整定することができる。また、画像が形成されている期間内は偏差に対する操作量の変更量を所定値以下とするので、画像を形成している間は画像全体の倍率や画像の部分倍率が整定状態で維持されることで倍率や部分倍率の変動が抑制され、画像品質が低下することを防止することができる。
【0029】
第3の発明は、第2の発明において、変更手段が、前記偏差に対する前記操作量の変更量を一時的に大きくすることを、画像の形成が完了した直後、画像の形成が開始される直前、及びリセットがかかった直後の少なくとも何れかのタイミングで行った後に、前記偏差に対する前記操作量の変更量を徐々に小さくすることを特徴としている。
【0030】
画像の形成が完了した直後及び画像の形成が開始される直前は、画像全体の倍率及び画像の部分倍率として次に形成すべき画像に対応する値が設定されることで、画像全体の倍率の設定値と計測値の偏差及び画像の部分倍率の設定値と計測値の偏差が大きくなることが多い。また、電源投入等によってリセットがかかったときにも画像全体の倍率や画像の部分倍率が一時的に不定になる等の理由で前記偏差が大きくなることが多い。
【0031】
これに対して第3の発明では、画像の形成が完了した直後、画像の形成が開始される直前、及びリセットがかかった直後の少なくとも何れかのタイミングで、偏差に対する操作量の変更量を一時的に大きくするので、大きくなった偏差を速やかに小さくすることができる。また、偏差に対する操作量の変更量を一時的に大きくした後は、偏差に対する操作量の変更量を徐々に小さくするので、画像全体の倍率や画像の部分倍率を速やかに整定することができる。
【0032】
第4の発明は、第2の発明において、変更手段が、前記偏差に対する前記操作量の変更量を一時的に大きくすることを、画像の形成が完了した直後、画像の形成が開始される直前、及びリセットがかかった直後の少なくとも何れかのタイミングで行った後に、前記偏差に対する前記操作量の変更量を前記偏差の減少に応じて小さくすることを特徴としている。
【0033】
第4の発明は、第3の発明と同様に、画像の形成が完了した直後、画像の形成が開始される直前、及びリセットがかかった直後の少なくとも何れかのタイミングで、偏差に対する操作量の変更量を一時的に大きくするので、大きくなった偏差を速やかに小さくすることができる。また、偏差に対する操作量の変更量を一時的に大きくした後は、偏差に対する操作量の変更量を偏差の減少に応じて小さくするので、第3の発明と同様に、画像全体の倍率や画像の部分倍率を速やかに整定することができる。
【0034】
第5の発明は、第1の発明において、周波数制御手段が、前記クロック信号の周波数の変化幅に関する操作量の変更量に基づいて、前記変化幅に関する操作量を前記変更量だけ変更したときのクロック信号の周波数の平均値の変動をキャンセルするための前記周波数の平均値に関する操作量に対する補正量を求め、求めた補正量によって前記平均値に関する操作量を予め補正することを特徴としている。
【0035】
先に説明した第1の発明では、画像全体の倍率の設定値と計測値の偏差に応じてクロック信号の周波数の平均値に関する操作量を変更し、画像の部分倍率の設定値と計測値の偏差に応じてクロック信号の周波数の変化幅に関する操作量を変更しているので、クロック信号の周波数の変化幅に関する操作量を変更すると、該操作量の変更の影響を受けてクロック信号の周波数の平均値も変化する。従って、特に画像の部分倍率の設定値と計測値の偏差が比較的大きい等の場合には、平均値に関する操作量が一定の値に収束し画像全体の倍率が整定される迄に長い時間がかかることも考えられる。
【0036】
これに対し、第5の発明では、クロック信号の周波数の変化幅に関する操作量を変更したときのクロック信号の周波数の平均値の変動をキャンセルするための周波数の平均値に関する操作量に対する補正量を求め、求めた補正量によって周波数の平均値に関する操作量を予め補正しているので、周波数の変化幅に関する操作量を変更してもクロック信号の周波数の平均値が影響を受けることを防止することができ、画像全体の倍率を短時間で整定することができる。
【0037】
第6の発明は、クロック信号発生部で発生されたクロック信号に同期した変調タイミングで、形成すべき画像に応じて変調した光ビームを被照射体上で走査させることにより、前記被照射体上に画像を形成する画像形成装置であって、光ビームが光ビーム走査範囲内の第1の所定位置を通過してから前記走査範囲内の第2の所定位置を通過する迄の期間内のクロック信号の平均周波数を計測する第1計測手段と、光ビーム走査範囲を2つ以上の範囲に分割し光ビームが各範囲を走査している期間毎のクロック信号の平均周波数の差又は比を計測する第2計測手段と、光ビームの走査方向に沿った画像全体の倍率及び前記走査方向に沿った画像の部分倍率が設定され、前記第1計測手段によって計測されたクロック信号の平均周波数が、前記画像全体の倍率の設定値に応じた平均周波数に一致し、かつ前記第2計測手段によって計測されたクロック信号の平均周波数の差又は比が、前記画像の部分倍率の設定値に応じた平均周波数の差又は比に一致するように、クロック信号の周波数を制御する周波数制御手段と、を含んで構成されている。
【0038】
第6の発明では、クロック信号の平均周波数が第1計測手段によって計測され、光ビーム走査範囲を2つ以上の範囲に分割したときの各範囲を光ビームが走査している期間毎のクロック信号の平均周波数の差又は比が第2計測手段によって計測される。また、画像全体の倍率及び画像の部分倍率が設定され、周波数制御手段は、計測されたクロック信号の平均周波数が、画像全体の倍率の設定値に応じた平均周波数に一致し、かつ計測されたクロック信号の平均周波数の差又は比が、画像の部分倍率の設定値に応じた平均周波数の差又は比に一致するようにクロック信号の周波数を制御する。これにより、指定された画像全体の倍率及び画像の部分倍率に一致するように画像全体の倍率及び部分倍率が各々補正される。
【0039】
また、第1計測手段は、光ビームが光ビーム走査範囲内の第1の所定位置を通過してから第2の所定位置を通過する迄の期間内のクロック信号の平均周波数を計測するので、例えば周囲温度の変化等によって光ビームの走査速度が変化した場合にも、光ビームが第1の所定位置を通過してから第2の所定位置を通過する迄の時間が変化することで、前記走査速度の変化が平均周波数の計測値の変化として検出され、変化した平均周波数の計測値が前記指定された画像全体の倍率に応じた平均周波数に一致するようにクロック信号の周波数が制御されることで、光ビームの走査速度の変化による画像全体の倍率の変化が補正される。従って第6の発明によれば、光ビームの走査速度が変化した場合にも画像全体の倍率が変化することを防止することができ、本発明の第3の目的が達成される。
【0040】
なお、第1計測手段は、前記第1の所定位置における光ビームの通過を検出する第1検出手段と、前記第2の所定位置における光ビームの通過を検出する第2検出手段と、を含んで構成することができ、光ビームが第1の所定位置を通過してから第2の所定位置を通過する迄の期間内のクロック信号の平均周波数として、前記期間内のクロック信号のパルス数を計測することができる。
【0041】
第7の発明は、第1の発明又は第6の発明において、光ビームの走査方向に沿った画像領域の長さのずれを補正した画像全体の倍率を演算し前記画像全体の倍率の設定値として設定する第1設定手段と、前記走査方向に沿った画像の記録倍率の部分的なばらつきを補正した画像の部分倍率を演算し前記画像の部分倍率の設定値として設定する第2設定手段と、を更に備えたことを特徴としている。
【0042】
先に説明した第1の発明において、画像全体の倍率及び画像の部分倍率は、例えば作業者によって計測・演算等の作業が行われて手動で指定される等の態様も可能ではあるが、第7の発明によれば、光ビームの走査方向に沿った画像領域の長さのずれを補正した画像全体の倍率が第1設定手段によって演算され、画像全体の倍率の設定値として設定され、前記走査方向に沿った画像の記録倍率の部分的なばらつきを補正した画像の部分倍率が第2設定手段によって演算され、画像の部分倍率の設定値として設定されるので、作業者が画像全体の倍率及び画像の部分倍率を演算する等の作業を行う必要がなくなり、省力化を実現できる。
【0043】
なお、第1の発明及び第6の発明において、光ビームの走査方向に沿った画像の記録開始位置が指定され、指定された記録開始位置から光ビームによる画像の記録が開始されるように光ビームの変調を制御する変調制御手段を設けてもよい。これにより、画像記録開始位置が変動している場合にも、これを補正することができる。
【0044】
また、第7の発明において、光ビームの走査方向に沿って互いに異なる複数の位置にマークを形成させるマーク形成制御手段と、前記マーク形成制御手段によって形成された複数のマークの位置を各々検出するマーク検出手段と、を更に備え、第1設定手段及び第2設定手段は、マーク検出手段によって検出された複数のマークの位置に基づいて、画像全体の倍率及び画像の部分倍率を演算して設定することが好ましい。これにより、光ビームの走査方向に沿った画像領域の長さのずれ及び前記走査方向に沿った画像の記録倍率の部分的なばらつきを作業者が計測する場合と比較して、前記ずれ及びばらつきを正確に補正できる倍率値及び部分倍率値を得ることができる。
【0045】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。なお、以下では本発明に支障のない数値を用いて説明するが、本発明は以下に記載した数値に限定されるものではない。
【0046】
図2には、本発明の画像形成装置としてのカラー画像形成装置10が示されている。このカラー画像形成装置10は、カラー画像形成装置10全体の作動を制御する制御部24と、3個の搬送ローラ26A〜26Cと、搬送ローラ26A〜26Cに巻き掛けられた無端の転写ベルト28と、転写ベルト28の下方側に配置された4個の搬送ローラ30A〜30Dと、搬送ローラ30A〜30Dに巻き掛けられた無端の搬送ベルト32と、転写ベルト28及び搬送ベルト32を回転駆動する回転駆動部34と、シート状の転写材36を集積状態で内部に多数枚収容する給紙トレイ38と、を備えている。
【0047】
転写ベルト28の上方には、ブラック(K)画像形成用の画像形成部12A、イエロー(Y)画像形成用の画像形成部12B、マゼンタ(M)画像形成用の画像形成部12C、及びシアン(C)画像形成用の画像形成部12Dが、回転駆動部34が転写ベルト28を回転駆動したときの転写ベルト28の移動方向(図2の矢印A方向)に沿って略等間隔で配置されている。画像形成部12A〜12Dは同一構成であり、被照射体としての感光体ドラム14を各々備えている。
【0048】
感光体ドラム14は、軸線が転写ベルト28の移動方向と直交するように配置されており、各感光体ドラム14の周囲には、感光体ドラム14を帯電させるための帯電器16、帯電された感光体ドラム14上にレーザビームを照射して静電潜像を形成する光ビーム走査装置18、感光体ドラム22上の静電潜像が形成された部位に所定色のトナーを供給して静電潜像を現像し、感光体ドラム22上にトナー像を形成させる現像器20、及び感光体ドラム14に残されたトナーを除去するための清掃器22が配置されている。画像形成部12A〜12Dの感光体ドラム14上に形成されたトナー像は、転写ベルト28のベルト面上で互いに重なり合うように前記ベルト面上に各々転写される。これにより、ベルト面上にフルカラーのトナー像が形成される。
【0049】
転写ベルト28の下方側に位置している搬送ベルト32は、外周面が転写ベルト28の外周面と接するように配置されており、転写ベルト28の回転駆動と同期して、回転駆動部34によって図2矢印B方向に移動するように回転駆動される。搬送ベルト32の上側搬送面(上方を向いた搬送面)上に載置された転写材36は、転写ベルト28と搬送ベルト32が接している箇所へ向けて搬送され、転写ベルト28と搬送ベルト32とに挟持されることによって転写ベルト28の外周面に形成されたトナー像が転写される。
【0050】
搬送ベルト32の上側搬送面の移動方向下流側には定着装置40及び転写材反転装置42が順に配置されており、トナー像が転写された転写材36は定着装置40に送り込まれ、定着装置40によってトナー像が定着される。これにより転写材36の一方の面にカラー画像が形成される。
【0051】
図2はカラー画像形成装置10が多数枚の転写材36の各々の両面に画像を形成する処理を行っている状態を示しており、白抜きで示されている転写材36Aは、定着を含む画像形成が両面共に未だ完了していない転写材を表し、ハッチングで示されてる転写材36Bは定着を含む画像形成が片面のみ完了した転写材を表し、黒く塗り潰されて示されている転写材36Cは定着を含む画像形成が両面共に完了した転写材を表している。給紙トレイ38から引き出された転写材36Aは、定着装置40を通過することで一方の面に画像が形成された後に転写材36Bとして転写材反転装置42へ送り込まれ(図2の破線参照)、転写材反転装置42で表裏が反転された後に図2矢印Cで示すように搬送ベルト32の下側搬送面に沿って搬送され、搬送ベルト32の上側搬送面上に再度載置される。
【0052】
転写材反転装置42による転写材36の表裏反転処理はカラー画像形成装置10における目標処理速度に比して時間がかかるため、本実施形態では搬送ベルト32(及び転写ベルト28)の移動速度を比較的高速に設定しており、図2より明らかなように、搬送ベルト32の上側搬送面上を、両面共に画像形成が完了していない転写材36Aと、片面のみ画像形成が完了した転写材36Bと、が一定間隔を隔てて交互に搬送されるように、給紙トレイ38から引き出した転写材36Aを搬送ベルト32に送り込むタイミングを制御している。これにより、搬送ベルト32の上側搬送面上における転写材36の搬送間隔を小さくし、処理速度の高速化を実現している。
【0053】
片面のみ画像形成が完了した転写材36Bは、画像未形成の面が上を向いた状態で搬送ベルト32の上側搬送面上を搬送され、転写ベルト28と搬送ベルト32とに挟持されることで画像未形成の面にトナー像が転写される。そして、定着装置40を通過することで両面に画像が形成された後に、転写材36Cとしてカラー画像形成装置10の機体外に排出される。
【0054】
なお、片面のみ画像形成が完了した転写材36Bは、定着装置40による定着処理時に加熱され、含有していた水分が蒸発することにより、図13に示すように、両面共に画像形成が完了していない(定着処理が行なわれていない)転写材36Aと比較してサイズが若干小さくなる。なお、転写材の種類によっては定着処理を経ることでサイズが若干大きくなるものもある。
【0055】
また、搬送ベルト32の上側搬送面上において、転写材36A及び転写材36Bは、図13にも示すように、搬送ベルト32による搬送方向に平行な2辺のうち、光ビーム走査装置18から射出されて感光体ドラム14上を走査されるレーザビームの走査開始側に対応する辺の、搬送方向に直交する方向に沿った位置が一致するように載置される。
【0056】
一方、図3に示すように、転写ベルト28の幅方向中央には孔28Aが穿設されている。孔28Aは、転写ベルト28の移動方向に沿って、搬送ベルト32の上側搬送面上における転写材36の載置位置間隔に一致するピッチで複数穿設されている。画像形成部12A〜12Dよりも転写ベルト28の移動方向上流側には、LED等の発光素子とフォトトランジスタ等の受光素子の対から成るベルト位置検出センサ44(図2も参照)が孔28Aに対応して配置されている。
【0057】
ベルト位置検出センサ44は制御部24に接続されており、転写ベルト28上の孔28Aが穿設されている箇所がセンサ配設位置を通過するときにレベルが変化するベルト位置検出信号をページ信号生成回路96へ出力する。ベルト位置検出信号は、給紙トレイ38から引き出した転写材36Aを搬送ベルト32に送り込むタイミングの基準として用いられると共に、画像形成部12A〜12Dによる画像形成タイミングの基準として用いられる。
【0058】
また、画像形成部12A〜12Dよりも転写ベルト28の移動方向下流側にはレジ検知センサ46(マーク検出手段)が配置されている。レジ検知センサ46は、LED等の発光素子とCCDセンサ等の受光素子の対から成る3個のレジ検知センサ46A〜46Cが、図4に示すように、転写ベルト28の幅方向に沿って中央及び両側(転写ベルト28の幅方向に沿って画像領域の中央及び両端に対応する位置)の3カ所の上方に各々配置されて構成されており、発光素子から射出された光を転写ベルト28上の所定箇所に照射し、転写ベルト28で反射された光を受光素子で受光することにより、転写ベルト28上の対応する箇所に形成されたレジマーク(詳細は後述)をレジ検知センサ46A〜46Cによって各々読み取る。レジ検知センサ46は制御部24に接続されている。
【0059】
次に、光ビーム走査装置18の構成について説明する。図5に示すように、光ビーム走査装置18はレーザダイオード(LD)50を備えている。本実施形態ではLD50として、2つの発光点を備え、各発光点からレーザビームを各々射出するデュアルスポットレーザダイオードを用いている。LD50のレーザビーム射出側には、コリメータレンズ52、平面ミラー54、56が順に配置されており、平面ミラー50のレーザビーム射出側には、外周に多数の反射面が形成されたポリゴンミラー58が配置されている。LD50から射出されたレーザビームは、コリメータレンズ52によって平行光束とされた後に、シリンドリカルレンズ等の図示しない光学部品により、ポリゴンミラー58の反射面幅よりも幅広の光束としてポリゴンミラー58の反射面に入射される(所謂オーバフィルド光学系)。
【0060】
ポリゴンミラー58のレーザビーム射出側には、fθレンズ60,62、折り返しミラー64が順に配置されている。ポリゴンミラー58の反射面で反射されることで所定方向に沿って偏向されたレーザビームはfθレンズ60,62を透過し、シリンドリカルミラー又は平面ミラーから成る折り返しミラー64で反射されて光ビーム走査装置18から射出され、感光体ドラム14に照射される。感光体ドラム14に照射されるレーザビームは、ポリゴンミラー58の回転に伴って、感光体ドラム14の軸線に平行な方向に沿って感光体ドラム14の周面上を走査(主走査)される。なお、副走査は感光体ドラム14が回転することによって成される。
【0061】
LD50は、2つの発光点の配列方向が、ポリゴンミラー58によるレーザビームの偏向方向と略直交するように配置されている。従って、レーザビームの1回の主走査(1走査)に相当する角度だけポリゴンミラー58が回転すると、感光体ドラム14上には画像(静電潜像)が2ライン分形成される。
【0062】
また、折り返しミラー64のレーザビーム射出側には、レーザビームの全走査範囲のうち走査開始側の端部(SOS:Start Of Scan)に相当する位置に開始位置検出センサ66が配置されている。LD50から射出されたレーザビームは、ポリゴンミラー58の各反射面のうちのレーザビームを反射している面が、入射ビームをSOSに相当する方向へ反射する向きとなったときに、折り返しミラー58を介して開始位置検出センサ66に入射される。従って、開始位置検出センサ66から出力される開始位置信号SOS は、通常はローレベルで、一定周期で(センサ66にレーザビームが入射される毎に)パルス幅の短いパルスが出力される信号となる。
【0063】
次に制御部24について説明する。図6には制御部24のうち、光ビーム走査装置18の制御に関する部分が示されている。図6に示すように、制御部24はCPU90を含んで構成されており、図示は省略するが、カラー画像形成装置10の全体を制御するためのプログラムや後述するレジマーク形成用の画像データ等が記憶されたROM、入出力バッファやワークエリアとして用いられるRAM、EEPROM等の記憶内容を書き換え可能な不揮発性のメモリ、及び操作パネルを備えている。
【0064】
CPU90には、先に説明したレジ検知センサ46が増幅器92及びアナログ−デジタル変換器(ADC)94を介して接続されており、レジ検知センサ46から出力された信号がレジデータとして入力される。またCPU90には、画像形成部12A〜12Dの光ビーム走査装置18に対応して各々設けられた露光制御部70A〜70Dが各々接続されている。露光制御部70A〜70Dは同一の構成であるので、以下では、画像形成部12Dの光ビーム走査装置18に対応して設けられた露光制御部70Dについてのみ説明する。
【0065】
露光制御部70Dはページ信号生成回路96を備えている。ページ信号生成回路96はベルト位置検出センサ44に接続されており、ベルト位置検出センサ44からベルト位置検出信号が入力されると共に、開始位置信号SOSが入力される(図3参照)。またページ信号生成回路96はCPU90に接続されており、CPU90からは、転写ベルト28上の孔28Aがベルト位置検出センサ44によって検出されたタイミングを基準として、前記孔28Aの穿設箇所に対応する転写ベルト28上の所定位置に画像を形成するために露光制御部70Dが画像の露光を開始すべきタイミングを表すページ制御データY(詳しくは、基準タイミングと露光を開始すべきタイミングとの時間差を開始位置信号SOSの1周期(SOS周期)で除した値(整数値)を表すデータ)が入力される。
【0066】
ページ信号生成回路96はベルト位置検出信号のレベルが切り替わったタイミングをトリガとして開始位置信号SOSのパルス数のカウントを開始し、カウント値がページ制御データYの値に一致すると出力信号をハイレベル(アクティブ)にすると共に、カウント値を0に戻してパルス数のカウントを継続する。そして、カウント値が予め定められた値(1ページ当たりの主走査回数)に一致すると出力信号をローレベルを切り替える。これにより、例として図11にも示すように、レーザビームの走査方向(主走査方向)と直交する副走査方向についての画像露光期間を表すページ制御信号PAGEが生成される。
【0067】
なお、CPU90は露光制御部70A〜70Dのページ信号生成回路96に対し、ページ制御データYとして、画像形成部12A〜12Dの配置位置に応じて互いに異なる値を設定する。従って、露光制御部70A〜70Dのページ信号生成回路96では、設定されたページ制御データYに基づき、ハイレベルとなっている期間(画像露光期間に相当)が互いに異なるページ制御信号PAGEが生成される。
【0068】
また、露光制御部70Dは画像メモリ72を備えており、画像メモリ72はデータバス80を介してCPU90に接続されている。CPU90は、露光制御部70Dに対応する画像形成部12Dによって形成すべき画像(C画像)を表す画像データを、データバス80を介して画像メモリ72に記憶させる。なお、上記の画像データは、図示しない画像読取装置において、原稿をスキャニングして得られた光信号をフィルタによって各色の信号に分解して光電変換することによって生成されるか、或いはパーソナルコンピュータ等の情報処理装置で生成されて入力される。
【0069】
また 露光制御部70Dは書き出し位置設定レジスタ74、倍率設定レジスタ76及び倍率バランス設定レジスタ78を備えており、これらはデータバス80を介してCPU90に接続されている。CPU90は、後述する初期補正処理及び画像形成処理によって決定・更新した書き出し位置データXM、倍率データMG及び倍率バランスデータBLCをレジスタ74、76、78に設定する。
【0070】
レジスタ74、76、78はビデオクロック発生器82に接続されており、CPU90から入力された前記各データはレジスタ74〜78を介してビデオクロック発生器82に入力される。なお、CPU90及びレジスタ76、78は請求項7に記載の第1設定手段及び第2設定手段に対応している。
【0071】
なお、書き出し位置データXMは、開始位置検知センサ66によってレーザビームが検知されてからレーザビームによる画像を書き出す(画像の記録を開始する)迄の期間(SOSを基準とする画像領域の始端位置)を指定するデータであり、倍率データMGは、主走査方向に沿った画像全体の倍率(主走査方向に沿った画像全体の記録倍率、以下全体倍率という)を、レーザビームが画像領域を走査しているときのビデオクロック信号の平均周波数で指定するデータである。
【0072】
また、倍率バランスデータBLCは、画像領域をSOS側とEOS(:End Of Scan)側の2つの部分画像領域に分割し、主走査方向に沿った画像の部分倍率(部分的な記録倍率:詳しくは左右倍率差)を、レーザビームがSOS側の部分画像領域を走査しているときのビデオクロック信号の平均周波数と、EOS側の部分画像領域を走査しているときのビデオクロック信号の平均周波数の差で指定するデータである。
【0073】
ビデオクロック発生器82には、画像形成部12Dの光ビーム走査装置18の開始位置検知センサ66が接続されており、開始位置検知センサ66から開始位置信号SOS が入力される。ビデオクロック発生器82は、レジスタ74〜78を介して入力された書き出し位置データXM、倍率データMG及び倍率バランスデータBLCと、開始位置検知センサ66から入力された開始位置信号SOS と、ページ信号生成回路96から入力されたページ制御信号PAGEとに基づいて、レーザビームが感光体ドラム14上の画像領域を走査している期間にのみハイレベル(アクティブ)となるライン同期信号LSYNC (図11参照)、ビデオクロック信号VCK 、ビデオクロック信号VCK の2倍の周波数のビデオクロック信号VCK*2 を生成する。ビデオクロック発生器82は、詳細は後述するが、倍率データMG及び倍率バランスデータBLCに応じて、レーザビームの1走査の期間内にビデオクロック信号VCOCKの周波数を制御し、これに伴ってビデオクロック信号VCK 及びビデオクロック信号VCK*2 の周波数も変化する。
【0074】
ビデオクロック発生器82には画像メモリ制御回路84及びスクリーン生成回路86が接続されており、ライン同期信号LSYNC 及びビデオクロック信号VCK は画像メモリ制御回路84に出力され、ビデオクロック信号VCK*2 はスクリーン生成回路86に出力される。画像メモリ制御回路84は画像メモリ72に接続されており、画像メモリ72のデータ出力端はスクリーン生成回路86に接続されている。画像メモリ制御回路84は、画像メモリ72からスクリーン生成回路86への画像データの出力が、ライン同期信号LSYNC 及びページ制御信号PAGEが各々アクティブの期間中に、ビデオクロック信号VCK に同期したタイミングで行われるように制御する。
【0075】
スクリーン生成回路86は、ビデオクロック発生器82から入力されたビデオクロック信号VCK*2 に基づいて三角波の波形の信号を生成し、該三角波形信号と、画像メモリ84から入力された画像データをデジタル−アナログ変換して得られた信号と、のレベルを比較器によって比較し、比較結果に基づいてLD50をパルス幅変調するための変調信号を生成する。なお、スクリーン生成回路86としては、例えば特開昭62−39975号公報に記載の構成を採用することができる。スクリーン生成回路86はLDドライバ88を介してLD50に接続されており、LD50はスクリーン生成回路86から出力された変調信号に基づいて変調駆動される。
【0076】
画像形成部12A〜12Cの光ビーム走査装置18についても、露光制御部70A〜70Cにより、上記と同様にしてK、Y及びMの何れかの画像データに応じてLD50が変調される。これにより、画像形成部12A〜12Dの感光体ドラム14上には、転写材36上に形成すべきK画像、Y画像、M画像及びC画像の何れかの静電潜像が各々形成される。これらの静電潜像が現像器22によってK、Y、M及びCの何れかの色に各々現像されることで、感光体ドラム14上には前記何れかの色のトナー像が形成され、これらのトナー像が転写ベルト28上で重ね合わされることにより、転写ベルト28上にカラー画像(トナー像)が形成される。
【0077】
次にビデオクロック発生器82及びその周辺の回路の構成について詳細に説明する。図1に示すように、開始位置検知センサ60から出力された開始位置信号SOS はビデオクロック発生器82の書き出し制御回路100に入力される。書き出し制御回路100は、入力された開始位置信号SOS のレベルを反転し、開始位置信号nSOS(図12参照)として出力する。また書き出し制御回路100は、LD50が点灯されていない、或いはポリゴンミラー52が回転されていない等により開始位置信号SOS が入力されていない場合には、図示しない水晶発振器から入力される一定周波数の信号に基づいてダミーの開始位置信号nSOSを生成・出力する。
【0078】
また、ビデオクロック発生器82は電圧制御発振器(VCO)102を備えている。VCO102の制御信号入力端はデジタル−アナログ変換器(DAC)104の信号出力端に接続されており、VCO102はDAC104から入力された信号のレベルに応じた周波数(この周波数はビデオクロック信号VCK の2倍の周波数、すなわちビデオクロック信号VCK*2 の周波数に相当)の信号を生成する。VCO102によって生成された信号は、図示しない同期化回路により、開始位置信号nSOSの立ち上がりと同期するように位相が変化されてクロック信号VCOCK として出力される。なお上記の同期化回路としては、例えば特開昭55−53779号公報に記載の構成を採用することができる。
【0079】
VCO102の出力端は書き出し制御回路100の入力端に接続されている。書き出し制御回路100は、VCO102から入力されたクロック信号VCOCK から、クロック信号VCOCK の略1/4周期(すなわちビデオクロック信号VCOCK の略1/8周期)に相当する時間ずつ位相のずれた8種類のクロック信号を生成する。書き出し制御回路100は、書き出し位置設定レジスタ74から入力された書き出し位置データXMのうちビデオクロック信号VCOCKの位相を指定する3ビット(23=8)のデータの値に応じて、ビデオクロック信号VCK*2 として、8種類のクロック信号の何れかを選択的にスクリーン生成回路86に出力する。
【0080】
また、書き出し制御回路100はビデオクロック信号VCK*2 を1/2に分周したビデオクロック信号VCK を生成し、生成したビデオクロック信号VCK を画像メモリ制御回路84に出力する。
【0081】
更に、書き出し制御回路100は開始位置信号nSOSの立ち上がりからビデオクロック信号VCK*2 のパルス数のカウントを開始し、カウント値が、書き出し位置設定レジスタ74から入力されたデータが表すパルス数に一致すると、出力信号(ライン同期信号LSYNC:図12参照)をハイレベル(アクティブ)にすると共に、カウント値を0に戻してパルス数のカウントを継続する。そして、カウント値が予め定められた値(1ライン当たりの画素数)に一致するとライン同期信号LSYNC をローレベルに戻す。ライン同期信号LSYNC は画像メモリ制御回路84(図5参照)に出力される。
【0082】
スクリーン生成回路86からの変調信号の出力はライン同期信号LSYNC(及びページ制御信号PAGE)がアクティブになると開始され、この変調信号の出力に伴って画像を記録するためのレーザビームが射出されるので、書き出し制御回路100が、書き出し位置データXMによって指定された位相のビデオクロック信号VCK*2 を出力すると共に、ビデオクロック信号VCK*2 のパルス数のカウント値が書き出し位置データXMによって指定されたパルス数に一致したときにライン同期信号LSYNC をアクティブにすることにより、画像の書き出し位置は、書き出し位置データXMに従って、ビデオクロック信号VCK の1/8周期に相当する距離を単位として調整されることになる。
【0083】
また、書き出し制御回路100は、内蔵している図示しない水晶発振器から入力された一定周波数の信号及びライン同期信号LSYNC に基づいて、図12に示すパルスカウント信号PLSA,PLSB 、スイープクロック信号SWCK、及びレジクロック信号REGCK を各々生成する。なお、パルスカウント信号PLSAはライン同期信号LSYNC と同一のタイミングで立ち上がり(アクティブになり)、予め定められた一定時間(ライン同期信号LSYNC がアクティブとなっている期間と同程度の時間)経過後に立ち下がる信号であり、パルスカウント信号PLSBはライン同期信号LSYNC と同一のタイミングで立ち上がり(アクティブになり)、予め定められた一定時間(パルスカウント信号PLSAがアクティブとなっている期間の1/2の時間)経過後に立ち下がる信号である。
【0084】
また、スイープクロック信号SWCKの生成は、ライン同期信号LSYNC が立ち上がってからライン同期信号LSYNC が確実に立ち下がる所定の時間(ライン同期信号LSYNC がアクティブの期間の長さは、後述するようにVCO102に入力する信号レベルの調整に伴って若干変化する)が経過する迄の間、水晶発振器からの信号を出力することによって成される。更にレジクロック信号REGCK の生成は、スイープクロック信号SWCKとして水晶発振器からの信号を出力することを停止してから所定時間経過した後に、パルス幅の短いパルスを出力することによって成される。
【0085】
なお、参考までに、画像の記録密度が600spi、プロセス速度(感光体ドラム14の周速)が263.89mm/秒、感光体ドラム14上でのレーザビームの光学走査範囲の長さが348mm、主走査方向に沿った画像範囲の長さが297mm、スイープクロック信号SWCKの周波数が20MHzとすると、開始位置信号SOS がハイレベルとなる周期、すなわちポリゴンミラー58によるレーザビームの走査周期は320.89μ秒、ビデオクロック信号VCK の通常の周波数は25.62MHz 、ビデオクロック信号VCK*2 (及びビデオクロック信号VCOCK)の通常の周波数は51.24MHz となる。また、例えばパルスカウント信号PLSAをアクティブとする期間(レーザビームによる通常の画像領域走査時間)は273.8μ秒、パルスカウント信号PLSBをアクティブとする期間は136.9μ秒に設定することができる。
【0086】
一方、VCO102の出力端には平均周波数検知回路106及び左右周波数差検知回路108が各々接続されている。図7に示すように、VCO102から出力されたクロック信号VCOCK は周波数逓倍回路120に一旦入力される。周波数逓倍回路120では、入力されたクロック信号VCOCKからクロック信号VCOCKのn倍(本実施形態ではn=5)の周波数のクロック信号CKを生成し、生成したクロック信号CKを平均周波数検知回路106及び左右周波数差検知回路108に各々出力する。
【0087】
なお、周波数逓倍回路120としては、例えばクロック信号VCOCKの1周期の1/nに相当する時間(例えばn=5であれば約3.9n秒の遅延時間)だけ入力信号を遅延させて出力する遅延回路をn−1個直列に接続し、遅延回路群にクロック信号VCOCKを入力すると共に各遅延回路から遅延されたクロック信号を各々出力させる構成を採用することができる。
【0088】
平均周波数検知回路106はカウンタ122を備えており、周波数逓倍回路120で生成されたn倍の周波数のクロック信号CKはCK入力を介してカウンタ122に入力される。またカウンタ122には、パルスカウント信号PLSAがE入力を介して入力されると共に、開始位置信号nSOSがCL入力を介して入力される。カウンタ122は、CL入力がハイレベルのときにのみ動作し(CL入力がローレベルになるとカウント値がリセットされる)、E入力がローレベルのときにはカウント値を保持し、E入力がハイレベルのときには、CK入力を介して入力されるクロック信号CKがローレベルからハイレベルに変化する毎に、カウント値を「1」だけインクリメントする。
【0089】
従って、カウンタ122は、パルスカウント信号PLSAがアクティブとなっている期間、入力されたクロック信号CKのパルス数をカウントし、開始位置信号nSOSがローレベルになる毎(次回のレーザビームの走査が開始される毎)にカウント値をリセットする。これにより、パルスカウント信号PLSAがローレベルになってから次回のレーザビームの走査が開始される迄の間、カウンタ122からは、パルスカウント信号PLSAがアクティブの期間におけるクロック信号VCOCK のn倍の周波数のクロック信号CKのパルス数を表すデータが、平均周波数データNcとして出力される。
【0090】
この平均周波数データNcを5で除した値は、パルスカウント信号PLSAがアクティブの期間におけるクロック信号VCOCK のパルス数を±1/5パルスの精度で表す値であり、パルスカウント信号PLSAがアクティブとなっている期間の長さは常に一定であるので、カウンタ122から出力されるデータは、パルスカウント信号PLSAがアクティブとなっている期間(レーザビームが画像領域を走査している期間と略一致する)内のクロック信号VCOCK(及びビデオクロック信号VCK*2 )の平均周波数に対応している。
【0091】
一方、左右周波数差検知回路108は、カウンタ122と同様の構成のカウンタ124及び加算器126を備えている。カウンタ124には、クロック信号CKがCK入力を介して入力され、パルスカウント信号PLSBがE入力を介して入力され、開始位置信号nSOSがCL入力を介して入力される。従ってカウンタ124からは、パルスカウント信号PLSBがアクティブの期間におけるクロック信号VCOCK の5倍の周波数のクロック信号CKのパルス数を表すデータが、平均周波数データNaとして出力される。
【0092】
この平均周波数データNaを5で除した値は、パルスカウント信号PLSBがアクティブの期間におけるクロック信号VCOCK のパルス数を±1/5パルスの精度で表す値であり、パルスカウント信号PLSBがアクティブとなっている期間の長さは常に一定(信号PLSAがアクティブとなっている期間の1/2)であるので、カウンタ124から出力されるデータは、パルスカウント信号PLSBがアクティブとなっている期間(レーザビームがSOS側の部分画像領域を走査している期間と略一致する)内のクロック信号VCOCK の平均周波数(=ビデオクロック信号VCK*2 の平均周波数)に対応している。
【0093】
カウンタ122のQ出力は加算器126のA入力に接続されており、カウンタ124のQ出力は加算器126のB入力に接続されている。加算器126はA入力を介して入力されたデータAと、B入力を介して入力されたデータBを用いて「A−2B」を演算する。平均周波数データNcと平均周波数データNaには、「Nc=Na+Nb」の関係がある(但し、NbはレーザビームがEOS側の部分画像領域を走査しているときのビデオクロック信号VCOCKの平均周波数に対応するパルス数)ので、加算器126からは、レーザビームがSOS側の部分画像領域を走査しているときとEOS側の部分画像領域を走査しているときのビデオクロック信号VCOCKの平均周波数の差に相当するデータ「Nb−Na」(以下、「左右周波数差データNb−Na」という)が出力される。
【0094】
図1に示すように、平均周波数検知回路106には平均周波数制御回路110が接続されており、左右周波数差検知回路108には左右周波数差制御回路112が接続されている。 平均周波数制御回路110には、平均周波数検知回路106から平均周波数データNcが入力されると共に、レジスタ76から倍率データMGが入力される。平均周波数制御回路110は、平均周波数データNcと倍率データMGとの偏差が0となるように、レーザビームの1走査を単位として出力データの値を変更するフィードバック制御を行う(詳細は後述)。
【0095】
また、左右周波数差制御回路112には、左右周波数差検知回路108から左右周波数差データNb−Naが入力されると共に、レジスタ78から倍率バランスデータBLCが入力される。左右周波数差制御回路112は、レーザビームの1走査の期間内に所定の変化幅で出力データの値を変化させると共に、左右周波数差データNb−Naと倍率バランスデータBLCとの偏差が0となるように、レーザビームの1走査を単位として出力データの値の変化幅を変更するフィードバック制御を行う(詳細は後述)。
【0096】
平均周波数制御回路110の出力端及び左右周波数差制御回路112の出力端は、加算器から成る合成回路116の入力端に各々接続されている。制御回路110、112から出力されたデータは合成回路116で加算され、DAC104に入力される。DAC104は合成回路116から入力されたデータの値に応じたレベルのアナログ信号をVCO102に出力する。そして、VCO102はDAC104から入力された信号のレベルに応じた周波数のクロック信号VCOCKを出力する。
【0097】
図8に示すように、平均周波数制御回路110は減算器130を備えており、減算器130のA入力には平均周波数検知回路106から出力された平均周波数データNcが入力され、B入力にはレジスタ76から出力された倍率データMGが入力される。減算器130の出力端は演算器132の入力端に接続されており、減算器130はB入力を介して入力された倍率データMGからA入力を介して入力された平均周波数データNcを減算した偏差「B−A」を演算し、演算結果(偏差データ)を演算器132へ出力する。
【0098】
また、左右周波数差制御回路112も減算器140を備えており、減算器140のA入力には左右周波数差検知回路108から出力された左右周波数差データNb−Naが入力され、B入力にはレジスタ78から出力された倍率バランスデータBLCが入力される。減算器140の出力端は演算器142の入力端に接続されており、減算器140は減算器130と同様に「B−A」を演算し、演算結果(偏差データ)を演算器142へ出力する。
【0099】
詳細は後述するが、演算器132は、減算器130から入力される偏差データ(倍率データMGと平均周波数データNcとの偏差を表すデータ)と出力値との関係(負帰還ゲイン)を複数種記憶している。また演算器142も、減算器140から入力される偏差データ(倍率バランスデータBLCと左右周波数差データNb−Naとの偏差を表すデータ)と出力値との関係(負帰還ゲイン)を複数種記憶している。演算器132、142のS入力はゲイン選択回路114に各々接続されている。ゲイン選択回路114は、入力されたページ制御信号PAGE及び開始位置信号nSOSに基づき、演算器132、142に複数種記憶されている偏差データと出力値との関係の中から特定の関係の選択を指示する選択信号Sを演算器132、142に出力する。
【0100】
演算器132の出力端はバランス調整の影響補正部134(以下、単に「補正部134」と称する)の入力端に接続されている。演算器132は、複数種記憶している偏差データと出力値との関係のうち、S入力を介してゲイン選択回路114から入力された選択信号Sによって選択が指示された関係を用いて、減算器130から入力された偏差データに対応する出力値を演算し、演算した出力値を補正部134へ出力する。
【0101】
なお、演算器132からの出力値は、倍率データMGと平均周波数データNcとの偏差に応じてビデオクロック信号VCOCKの平均周波数(すなわち主走査方向に沿った画像全体の倍率)に関する操作量の変更量に相当しており、前記出力値の符号は、平均周波数データNcが倍率データMGよりも小さい場合には「正」、平均周波数データNcが倍率データMGよりも大きい場合には「負」となる。
【0102】
また、演算器142の出力端は加算器144の入力端及び補正部134の入力端に各々接続されている。演算器142も演算器132と同様に、複数種記憶している偏差データと出力値との関係のうち、S入力を介してゲイン選択回路114から入力された選択信号Sによって選択が指示された関係を用いて、減算器140から入力された偏差データに対応する出力値を演算し、演算した出力値を補正部134へ出力する。
【0103】
なお、演算器142からの出力値は、倍率バランスデータBLCと左右周波数差データNb−Naとの偏差に応じてビデオクロック信号VCOCKの左右周波数差(すなわち主走査方向に沿った画像の左右倍率差)に関する操作量の変更量に相当しており、前記出力値の符号は、左右周波数差データNb−Naが倍率バランスデータBLCよりも小さい場合には「正」、左右周波数差データNb−Naが倍率バランスデータBLCよりも大きい場合には「負」となる。
【0104】
本実施形態では、平均周波数制御回路110が画像の全体倍率についてのフィードバック制御を行い、左右周波数差制御回路112が画像の左右倍率差についてフィードバック制御を行うので、演算器142からの出力値(ビデオクロック信号VCOCKの左右周波数差の変更量)が0以外のときには、その影響を受けてビデオクロック信号VCOCKの平均周波数も変化する。一方、ビデオクロック信号VCOCKの左右周波数差を変更したときの変更量と、左右周波数差の変更に伴うビデオクロック信号VCOCKの平均周波数の変化量と、は略正比例の関係にある。
【0105】
このため補正部134は、左右周波数差制御回路112の演算器142からの出力値に応じてビデオクロック信号VCOCKの左右周波数差を変更したときのビデオクロック信号VCOCKの平均周波数の変化がキャンセルされるように、演算器142からの出力値に所定の係数を乗じた補正値を用いて平均周波数制御回路110の演算器132の出力値を補正する。補正部134の出力端は加算器136の2個の入力端の一方に接続されており、補正後の値を加算器136に出力する。
【0106】
平均周波数制御回路110の加算器136の出力端は倍率レジスタ138の入力端に接続されており、加算器136の2個の入力端の他方は倍率レジスタ138の出力端に接続されている。加算器136は、倍率レジスタ138から出力されたデータに演算器132から補正部134を介して入力されたデータを加算して出力する。また、倍率レジスタ138のWR入力には、書き出し制御回路100で生成されたレジクロック信号REGCK が入力される。
【0107】
倍率レジスタ138は、WR入力を介して入力されるレジクロック信号REGCKがアクティブ(ハイレベル)になったときに、加算器136から入力されているデータを取り込み、レジクロック信号REGCKが次にアクティブになる迄の間、前記取り込んだデータを保持する。また、レジクロック信号REGCKはレーザビームの1走査周期毎に1回、レーザビームが画像領域外を走査している期間内(ライン同期信号LSYNCがローレベルの期間内)にアクティブになる。
【0108】
従って、倍率レジスタ138に保持されているデータは、レーザビームが1回走査される毎に1回、補正部134から加算器136に入力されるデータの値を変化分として値が変更される(より詳しくは、平均周波数データNcが倍率データMGよりも小さい場合には値が増加され、平均周波数データNcが倍率データMGよりも大きい場合には値が減少される)。なお、倍率レジスタ138に保持されているデータは、ビデオクロック信号VCOCKの平均周波数に関する操作量に相当する。倍率レジスタ138の出力端は合成回路116の2個の入力端の一方に接続されており、倍率レジスタ138に保持されているデータは、平均周波数制御回路110の出力データとして合成回路116に入力される。
【0109】
一方、左右周波数差制御回路112の加算器144の出力端はバランスレジスタ146の入力端に接続されており、加算器144の2個の入力端の他方はバランスレジスタ146の出力端に接続されている。加算器144は、バランスレジスタ146から出力されたデータに演算器142から出力されたデータを加算して出力する。また、バランスレジスタ146のWR入力にはレジクロック信号REGCK が入力される。バランスレジスタ146は、倍率レジスタ138と同様に、WR入力を介して入力されるレジクロック信号REGCKがアクティブ(ハイレベル)になったときに、加算器144から入力されているデータを取り込み、レジクロック信号REGCKが次にアクティブになる迄の間、前記取り込んだデータを保持する。
【0110】
従って、バランスレジスタ146に保持されているデータは、レーザビームが1回走査される毎に、演算器142から加算器144に入力されるデータの値を変化分として値が変更される(より詳しくは、左右周波数差データNb−Naが倍率バランスデータBLCよりも小さい場合には値が増加され、左右周波数差データNb−Naが倍率バランスデータBLCよりも大きい場合には値が減少される)。なお、バランスレジスタ146に保持されているデータは、ビデオクロック信号VCOCKの左右周波数差に関する操作量に相当する。
【0111】
バランスレジスタ146の出力端は加算器148の2個の出力端の一方に接続されており、バランスレジスタ146に保持されているデータは加算器148に入力される。加算器148の出力端はスイープレジスタ150の入力端に接続されており、加算器148の2個の入力端の他方はスイープレジスタ150の出力端に接続されている。加算器148は、スイープレジスタ150から出力されたデータにバランスレジスタ146から出力されたデータを加算して出力する。
【0112】
また、スイープレジスタ150のWR入力にはスイープクロック信号SWCKが入力される。スイープレジスタ150はWR入力を介して入力されるスイープクロック信号SWCKがアクティブ(ハイレベル)になる毎に、加算器148から入力されているデータを取り込んで保持する。なお、スイープレジスタ150は開始位置信号nSOSが立ち上がったとき(レーザビームの1走査の開始時)に、保持しているデータをクリアする。
【0113】
従って、スイープレジスタ150に保持されるデータは、スイープクロック信号SWCKと同期したタイミングで、バランスレジスタ146に保持されているデータの値を変化分として単調増加又は単調減少される。そして、バランスレジスタ146に保持されているデータがレーザビームが1回走査される毎に更新されることに伴い、スイープレジスタ150に保持されているデータの単調増加又は単調減少の傾きもレーザビームが1回走査される毎に変更されることになる。
【0114】
スイープレジスタ150の出力端は除算器152を介して合成回路116の2個の入力端の他方に接続されている。スイープレジスタ150に保持されているデータは、除算器152によってデータ「213」によって除された後に(1/213倍された後に)、左右周波数差制御回路112の出力データとして合成回路116に入力される。上記のように、スイープレジスタ150に保持されているデータを除算器152で除算した後に合成回路116に入力することにより、前記データの単調増加又は単調減少の変化分の大きさ(バランスレジスタ146に保持されているデータの値)に拘わらず、合成回路116から出力されるデータの値はレーザビームの1走査の間に滑らかに変化する。
【0115】
上記により、VCO102から出力されるビデオクロック信号VCOCKの周波数(=ビデオクロック信号VCK*2 の周波数)は、図12に示すように、開始位置信号nSOSが立ち上がってからライン同期信号LSYNC が立ち上がる迄の期間(レーザビームがSOS側の画像領域外を走査しているとき)は、倍率レジスタ138に保持されているカウント値に対応する周波数で一定しているが、ライン同期信号LSYNC が立ち上がり、スイープクロック信号SWCKがスイープレジスタ150に入力されている間は、バランスレジスタ146に保持されているカウント値に対応する一定の傾きで周波数が徐々に変化されることになる。
【0116】
倍率レジスタ138及びバランスレジスタ146に保持されているデータの値は、レーザビームが画像領域を走査している間は変更されないが、レジクロック信号REGCK がハイレベルになると、倍率レジスタ138に保持されているデータの値は、平均周波数データNcの値が倍率データMGの値に近づくように、演算器132から補正部134を介して入力されたデータの値を変化分として増減され、バランスレジスタ146に保持されているデータの値は、左右周波数差データNb−Naの値が倍率バランスデータBLCの値に一致するように、演算器132から入力されたデータの値を変化分として増減される。
【0117】
従って、レーザビームの1走査を単位として、平均周波数データNcが倍率データMGに一致し、かつ左右周波数差データNb−Naが倍率バランスデータBLCに一致するように、ビデオクロック信号VCOCKの平均周波数Fc及び左右周波数差Fb−Faのフィードバック制御が行われ、所定時間後には、倍率レジスタ138に保持されているデータの値は平均周波数データNcを倍率データMGに一致させる値に収束し(画像の全体倍率が倍率データMGが表す倍率に整定され)、バランスレジスタ146に保持されているデータの値は左右周波数差データNb−Naを倍率バランスデータBLCに一致させる値に収束する(画像の左右倍率差が倍率バランスデータが表す左右倍率差に整定される)。
【0118】
また、フィードバック制御を行っているので、周囲温度や電源電圧等の変動により、VCO102における入力電圧と出力信号の周波数との関係が変化したとしても、平均周波数データNcが倍率データMGに一致し、左右周波数差データNb−Naが倍率バランスデータBLCに一致するように、倍率レジスタ138及びバランスレジスタ146に保持されているデータの値が或る値に収束する。
【0119】
そして、倍率レジスタ138及びバランスレジスタ146に保持されているデータの値が収束しているときの、画像領域におけるビデオクロック信号VCK*2 の平均周波数Fcは、以下の式からも明らかなように、倍率データMGによって定まる値となる。
【0120】
Fc=倍率データMG/(tPLSA×5)
上式において、tPLSAはパルスカウント信号PLSAがアクティブの期間の長さを表し、クロック信号VCOCK が周波数逓倍回路120によって5倍の周波数の信号に変換された後に平均周波数検知回路106及び左右周波数差検知回路108に入力されているため、tPLSAに「5」を乗じている。パルスカウント信号PLSAがアクティブの期間の長さが273.8 μ秒であるとすると、上式は、
Fc〔MHz 〕=倍率データMG/1369
となる。同様に、倍率レジスタ138及びバランスレジスタ146に保持されているデータの値が収束しているときの、ビデオクロック信号VCK*2 のSOS側の部分画像領域における平均周波数Fa、画像領域の走査を開始するときの周波数Fs、EOS側の部分画像領域における平均周波数Fb、画像領域の走査を終了するときの周波数Fe(図12参照)についても、以下に示すように倍率データMG及び倍率バランスデータBLCによって定まる値となる。
【0121】
Fa〔MHz 〕=(倍率データMG−倍率バランスデータBLC)/1369
Fs〔MHz 〕=(倍率データMG−2×倍率バランスデータBLC)/1369
Fb〔MHz 〕=(倍率データMG+倍率バランスデータBLC)/1369
Fe〔MHz 〕=(倍率データMG+2×倍率バランスデータBLC)/1369
このように、VCO102、、DAC104、平均周波数検知回路106、左右周波数差検知回路108、平均周波数制御回路110、左右周波数差制御回路112及び合成回路116は、本発明の周波数制御手段に対応している。
【0122】
ところで本実施形態では、例として図13に示すように、互いにサイズの異なる転写材36A、36Bが搬送ベルト32の上側搬送面上を一定間隔を隔てて交互に搬送される。このため、後述する初期補正処理においては、レジマークを形成し、形成されたレジマークの位置に基づいて転写材36A上に画像を形成するための倍率データMG及び倍率バランスデータBLCを演算すると共に、転写材36B上に画像を形成するための倍率データMG’及び倍率バランスデータBLC’も演算している。そして、単一の転写材36に転写するための画像形成を完了する毎に、ビデオクロック発生器82に設定する倍率データ及び倍率バランスデータを、次に画像を転写する転写材36のサイズに対応するデータに変更している。
【0123】
このため、ビデオクロック発生器82は、図13に示す転写材間隙に相当する非画像形成期間内に、平均周波数データNcが画像を転写する転写材36のサイズに対応する倍率データ(MG又はMG’)に略一致し、かつ左右周波数差データNb−Naが画像を転写する転写材36のサイズに対応する倍率バランスデータ(BLC又はBLC’)に略一致した状態で安定するように(平均周波数データNcが表す画像の全体倍率及び左右周波数差データNb−Naが表す画像の左右倍率差が整定された状態になるように)、フィードバック制御を行う必要がある。
【0124】
また、周囲温度の変化等に伴って倍率データ及び倍率バランスデータの最適値も変化することを考慮し、本実施形態では、後述するように画像形成処理を行っている最中にも転写材間隙に定期的にレジマークを形成して倍率データMG、MG’及び倍率バランスデータBLC、BLC’を更新する。レジマークの形成を行うときには画像の全体倍率及び左右倍率差が整定された状態になっている必要があるので、ビデオクロック発生器82は、図13に倍率・倍率バランス変更期間として示すように、倍率データ及び倍率バランスデータが変更設定されてから、非常に短い時間で画像の全体倍率及び左右倍率差を整定する必要がある。
【0125】
従って、画像の全体倍率及び左右倍率差の整定時間を短縮することを目的として、本実施形態では、まず倍率設定レジスタ76及び倍率バランス設定レジスタ78の各々を、図9に示すように、第1レジスタ154と第2レジスタ156の2個のレジスタを含んで構成している。
【0126】
第2レジスタ156のD入力及びWR入力はCPU90に接続されている。第2レジスタ156のD入力及びWR入力はCPU90に接続されている。CPU90は、D入力を介して第2レジスタ156にデータ(書き出し位置データXM又は倍率データMG又は倍率バランスデータBLC)を入力すると共に、WR入力を介して任意のタイミングでパルス信号を入力する。これにより、第2レジスタ156はD入力を介して入力されたデータを取り込んで保持する。
【0127】
第2レジスタ156のQ出力は第1レジスタ154のD入力に接続されており、第1レジスタ154のWR入力はOR回路158の出力端に接続されており、第1レジスタ154のQ出力はビデオクロック発生器82に接続されている。OR回路158の入力端はページ信号生成回路96及びCPU90に接続されており、ページ信号生成回路96からはページ制御信号PAGEが入力され、CPU90からはラッチ信号LCHが入力される。
【0128】
第1レジスタ154は、OR回路158に入力されるページ制御信号PAGE及びラッチ信号LCHの少なくとも一方がハイレベルからローレベルに変化すると、第2レジスタ156に保持されているデータをD入力を介して取り込んで保持し、これに伴ってビデオクロック発生器82に設定される倍率データ及び倍率バランスデータが変更されることになる。
【0129】
上記構成によれば、CPU90は、或る転写材36に転写するための画像形成を行っている期間内(ページ制御信号PAGEがハイレベルとなっている期間内)に、次に画像を転写する転写材36のサイズに対応する倍率データ及び倍率バランスデータを、レジスタ76、78に設定することができる(設定したデータは第2レジスタ156に保持される)。
【0130】
また、或る転写材36に転写するための画像形成が完了しページ制御信号PAGEがハイレベルからローレベルに変化すると、CPU90がラッチ信号LCHのレベルの切り替えを行なわなくても、第2レジスタ156に予め保持されているデータが直ちに第1レジスタ154に書込まれることによって、次に画像を転写する転写材36のサイズに対応する倍率データ及び倍率バランスデータがビデオクロック発生器82に直ちに設定される。これにより、ビデオクロック発生器82では、次に画像を転写する転写材36のサイズに対応する倍率データ及び倍率バランスデータに基づくフィードバック制御を直ちに開始することができる。
【0131】
また、画像の全体倍率及び左右倍率差の整定時間を短縮することを目的として、本実施形態ではゲイン選択回路114を図10で示すように構成している。すなわち、ゲイン選択回路114はカウンタ160及びデコーダ162を備えている。カウンタ160のCK入力には開始位置信号nSOSが入力される。また、カウンタ160のE入力はデコーダ162のCE出力に接続されており、カウンタ160のQ出力はデコーダ162のD入力に接続されている。更に、カウンタ160のclr入力はOR回路164の出力端に接続されており、このOR回路164には、CPU90からラッチ信号LCHが入力されると共に、ページ信号生成回路96からページ制御信号PAGEが入力され、更にカラー画像形成装置10の電源投入時等のタイミングでレベルが変化するリセット信号RSTが入力される。
【0132】
カウンタ160は、図10に示す真理値表からも明らかなように、clr入力がハイレベル(図では「1」と表記)のときにのみ動作し(clr入力がローレベル(図では「0」と表記)になるとカウント値がリセットされる)、E入力がローレベルのときにはカウント値を保持し、E入力がハイレベルのときには、CK入力を介して入力される開始位置信号nSOSがローレベルからハイレベルに変化する毎に、カウント値を「1」だけインクリメントする。デコーダ162は、図10に真理値表で示すように、CE出力を介して出力する信号のレベルを、D入力を介して入力されるカウンタ160のカウント値が「21未満」であればハイレベル、「21以上」であればローレベルに切り替える。
【0133】
前述のように、カウンタ160はE入力(すなわちデコーダ162のCE出力)がハイレベルのときのみカウント値のインクリメントを行うので、カウンタ160は、ページ制御信号PAGEがローレベルになると(或いはカラー画像形成装置10の電源投入等に伴ってリセットがかかりリセット信号RSTのレベルが変化するか、或いは画像記録を開始する直前等の任意のタイミングでCPU90によってラッチ信号LCHのレベルが変更されると)、開始位置信号nSOSのパルス数(光ビームの走査回数)のカウントを開始し、カウント値が「21」に達するとE入力がローレベルになることでカウント値のインクリメントを停止し、ページ制御信号PAGEがハイレベルになる(次の転写材36に転写すべき画像の形成が開始される)か、或いはリセット信号RST又はラッチ信号LCHのレベルが切り替わると、カウント値をリセットする。
【0134】
デコーダ162のS0出力及びS1出力は、平均周波数制御回路110の演算器132及び左右周波数差制御回路112の演算器142のS入力に各々接続されている。図10に示す真理値表からも明らかなように、デコーダ162は、D入力を介して入力されるカウント値が「1〜12」「13〜20」「0又は21以上」の各場合毎に、S0出力を介して出力する信号及びS1出力を介して出力する信号の少なくとも一方の信号のレベルを切り替える。この信号は選択信号Sとして演算器132、142に入力される。
【0135】
演算器132、142では、入力された選択信号Sに基づき、偏差データと出力値との関係を以下の表1に示すように選択し、偏差データに応じた出力値を演算する。このように、ゲイン選択回路114、演算器132、142は本発明に係る変更手段(より詳しくは、請求項2及び請求項3に記載の変更手段)に対応している。なお、表1において選択信号SのS1,S2が共にローレベルのときの「+1」「−1」は偏差の絶対値の大きさに拘わらず、偏差の符号が正であれば「+1」を出力し、偏差の符号が負であれば「−1」を出力することを表す。
【0136】
【表1】
【0137】
以下、演算器132、142における偏差データと出力値との関係の決定のしかたについて、具体的な数値(一例)を挙げて説明する。
【0138】
VCO102から出力されるクロック信号VCOCKの周波数は、DAC104からVCO102に入力されるアナログ信号の電圧レベルに応じて図14に示すように変化する。但し、VCO102はアナログ回路であるので図14に示した関係は常に一定ではなく、クロック信号VCOCKの周波数は周囲温度や電源電圧、回路を構成する部品のばらつきによって変動する。なお、DAC104として16ビットのDACを用いたとすると、DAC104への入力データが最小値「0」のときDAC104の出力電圧は0V(クロック信号VCOCKの周波数はFmin)、入力データが最大値「65535」のとき出力電圧は5V(周波数はFmax)となる。
【0139】
ここで、画像の記録密度が600spi、プロセス速度が263.89mm/秒、感光体ドラム14上でのレーザビームの光学走査範囲の長さが348mm、主走査方向に沿った画像範囲の長さが297mmとすると、ビデオクロック信号VCOCKの通常の周波数Ftypは51.24MHz となる。VCO102の通常の周波数範囲(DAC104への入力データを最小値から最大値迄変化させたときのビデオクロック信号VCOCKの変化幅)がビデオクロック信号の通常の周波数Ftypの10%となるように、すなわち、
|Fmax−Fmin|/Ftyp=10%
を満足するようにVCO102を構成する。すると、VCO102の通常の周波数範囲Frangeは、
Frange=Fmax−Fmin=5.124MHz
となる。
【0140】
図8に示す平均周波数制御回路110、左右周波数差制御回路112の構成において、倍率レジスタ138を16ビットのレジスタで構成し、バランスレジスタ146を符号ビットが1ビットでデータビットが15ビットのレジスタで構成し、スイープクロック信号SWCKの周波数を20MHzとすると、スイープレジスタ150に保持されるデータの最大値及び最小値は、
最大値≒(215−1)×273.8×20=179432092
最小値≒−215×273.8×20=−179437568
となり、除算器152を経て合成回路116に入力されるデータの数値範囲は、−21904〜21903となる。なお、合成回路116は16ビットの加算器で構成することができ、この場合、合成回路116から出力されるデータの値は、演算結果が0以下であれば0に、演算結果が65535以上であれば65535にクランプされる。
【0141】
上記の条件において、倍率データMG、倍率バランスデータBLC、平均周波数データNc、左右周波数差データNb−Naの分解能は730.45Hzである。一方、倍率レジスタ138の分解能(倍率レジスタ138に保持されているデータの値が「1」変化したときの平均周波数の変化量)は、
倍率レジスタの分解能≒Frange/216=78.186Hz
となる。
【0142】
また、バランスレジスタ146の分解能(バランスレジスタ146に保持されているデータの値が「1」変化したときの左右周波数差の変化量)は、レーザビームの1走査におけるスイープレジスタ150の初期値が0であることから、除算器152を経て合成回路116に入力されるデータの、1走査内における値の変化幅は最大でも「21904」であり、左右周波数差は、左右の各部分画像領域をレーザビームが走査する間のビデオクロック信号の周波数の平均値の差であるので、図15に矢印で示す範囲(1走査内におけるビデオクロック信号の周波数の変化幅の1/2)であるので、
バランスレジスタの分解能≒
(Frange×21904/216/2)/215=26.13Hz
となる。
【0143】
倍率データMG及び倍率バランスデータBLCの値を変更した直後の期間は、倍率データMGと平均周波数データNcとの偏差、倍率バランスデータBLCと左右周波数差データNb−Naとの偏差が比較的大きいことが多く、ビデオクロック信号の平均周波数(画像の全体倍率)及び左右周波数差(画像の左右倍率差)を短時間で整定させるためには、前記期間に高い負帰還ゲインでフィードバック制御を行うことが望ましい。
【0144】
このため本実施形態では、ページ制御信号PAGEが立ち下がり(或いはリセット信号RST又はラッチ信号LCHのレベルが切り替わり)、次のSOS周期で倍率データMG及び倍率バランスデータBLCの値が変更設定されてから、開始位置信号nSOSの12周期分の時間が経過する迄の期間(ゲイン選択回路114のカウンタ160に保持されているカウント値が12を超える迄の期間、すなわち選択信号SのS1及びS0が何れもハイレベルとなっている期間)における負帰還ゲインを「1」に設定している。平均周波数制御回路110の演算器132において、負帰還ゲインを「1」とするための偏差と出力値との関係は、
(倍率・平均周波数データの分解能)/(倍率レジスタの分解能)=730.45/78.186≒9.3
から、「出力値=偏差(MG−Nc)×9.3」となる。
【0145】
また左右周波数差制御回路112の演算器142において、負帰還ゲインを「1」とするための偏差と出力値との関係は、
(倍率バランス・左右周波数差データの分解能)/(バランスレジスタの分解能)=730.45/26.13≒28
から、「出力値=偏差(BLC−(Nb−Na))×28」となる。
【0146】
また、偏差が小さくなったにも拘わらず高い負帰還ゲインでフィードバック制御を行っていると、一定値以上の振幅で偏差が振動している状態が続き、偏差の振動の振幅が小さくならない。このため、本実施形態では、倍率データMG及び倍率バランスデータBLCの値が変更設定され開始位置信号nSOSの12周期分の時間が経過してから、更に開始位置信号nSOSの8周期分の時間が経過する迄の期間(ゲイン選択回路114のカウンタ160に保持されているカウント値が21を超える迄の期間、すなわち選択信号SのS1がハイレベル、S0がローレベルとなっている期間)における負帰還ゲインを「0.25」に設定している。
【0147】
演算器132において、負帰還ゲインを「0.25」とするための偏差と出力値との関係は、9.3×0.25≒2.3から、「出力値=偏差(MG−Nc)×2.3」となる。また左右周波数差制御回路112の演算器142において、負帰還ゲインを「0.25」とするための偏差と出力値との関係は、28×0.25≒7から、「出力値=偏差(BLC−(Nb−Na))×7」となる。
【0148】
一方、転写材36に転写するための画像を形成しているときのビデオクロック信号の平均周波数の変動は、例として図16に示すように、副走査方向に沿って延びる直線のラインを含む画像を形成したときに顕著に現れ、前記周波数の変動はラインの揺らぎ(副走査方向位置の変動)として視認される。なお、ラインの揺らぎ幅(ジッター)は、レーザビーム走査範囲の走査開始側端(開始位置信号nSOSが立ち上がる位置)から距離に比例して増大し、画像領域のEOS側の端部において最大となる。
【0149】
画像の記録密度が600spiの場合、画像品質の劣化を防止するためにジッターは6μm以下に抑制する必要があり、標準偏差σに換算してσ≦2μmとする必要がある。本実施形態において、レーザビーム走査範囲の走査開始側端から画像領域のEOS側の端部(転写材36の右端)迄の距離は320mmであるので、標準偏差σ≦2μmを実現するために許容される走査長1m当りの最大変動割合Jitter(%/m)は、
Jitter(%/m)=2/320000=6.25%/m(σ)
となる。クロック信号VCOCKの通常の周波数は51.24MHzであるので、上記の最大変動割合を周波数の最大変動量Jitter(Hz)に置き換えると、
Jitter(Hz)=51.24MHz×(1/320000)×2μm=320Hz(σ)
上記のように、本実施形態において、周波数の最大変動量Jitter(Hz)及び最大変動割合Jitter(%/m)は、ジッターの標準偏差Jitter(μm)から以下の演算式によって求めることができる。
【0150】
Jitter(Hz)=3.125×51.24×Jitter(μm)
Jitter(%/m)=3.125×Jitter(μm)
図17には、本実施形態に係るカラー画像形成装置10を用いて実験によって求めた負帰還ゲインとジッターの標準偏差σとの関係が示されている。図17より明らかなように、ジッターの標準偏差σ≦2μmとするためには負帰還ゲインを0.2以下とすればよい。
【0151】
これに対し、本実施形態に係る演算器132、142は、倍率データMG及び倍率バランスデータBLCの値が変更設定され、更に開始位置信号nSOSの20周期分の時間が経過した以降の期間(ゲイン選択回路114のカウンタ160に保持されているカウント値が22に達した以降の期間:レーザビームが画像領域を走査している期間を含む)には、入力された偏差の絶対値の大きさに拘わらず、偏差の符号が正であれば「+1」を出力し、偏差の符号が負であれば「−1」を出力する。これにより、倍率レジスタ138及びバランスレジスタ146の保持データ値は「1」ずつインクリメント(UP)又はデクリメント(DOWN)される。
【0152】
この場合、出力値の絶対値が一定であるので、負帰還ゲインは演算器132、142に入力される偏差によって変化するが、前述のように、倍率データMG、倍率バランスデータBLC、平均周波数データNc、左右周波数差データNb−Naの分解能は730.45Hz、倍率レジスタ138の分解能は78.186Hz、バランスレジスタ146の分解能は26.13Hzであるので、ビデオクロック信号の平均周波数(画像の全体倍率)に対する負帰還ゲインは最大でも78.186/730.45≒0.1となり、ビデオクロック信号の左右周波数差(画像の左右倍率差)に対する負帰還ゲインは最大でも26.13/730.45≒0.04となり、何れも負帰還ゲイン≦0.2を満足する。
【0153】
なお、レーザビームが画像領域を走査しているときのビデオクロック信号の左右周波数に対する負帰還ゲインは、上記のように平均周波数に対する負帰還ゲインに比して明らかに小さいので、例えば演算器142において、偏差の符号が正であれば「+2」を出力し、偏差の符号が負であれば「−2」を出力する等のようにして負帰還ゲインを大きくしてもよい。
【0154】
但し、例として図18に示すように、光ビーム走査装置18の内部温度が経時的に変化したときに、画像の全体倍率は大きく変化するものの、画像の左右倍率差については殆ど変化しないことが実験によって確認されている。従って、上記で説明したように、レーザビームが画像領域を走査しているときのビデオクロック信号の左右周波数に対する負帰還ゲインは、平均周波数に対する負帰還ゲインに比して小さくすることが好ましい。
【0155】
次に補正部134によるバランス調整の影響補正について、具体的数値を挙げて説明する。左右周波数差制御回路112から合成回路116に入力されるデータは、バランスレジスタ146の保持データの値が0のときは変化しない(この場合、ビデオクロック信号VCOCKの平均周波数も変化しない)のに対し、バランスレジスタ146の保持データの値が32768(最大値)の場合は0〜21904の範囲でスイープする。従って、バランスレジスタ146の保持データの値の変化(0〜32768)に対し、ビデオクロック信号VCOCKの平均周波数は21904/2=10952に対応する周波数だけ変化する。
【0156】
一方、平均周波数制御回路110の倍率レジスタ138から合成回路116に入力されるデータの値の変化(0〜65536(最大値))に対し、ビデオクロック信号VCOCKの平均周波数は、65536/2=32768に対応する周波数だけ変化する。上記より、倍率レジスタ138の保持データの値の変化に対するビデオクロック信号VCOCKの平均周波数の感度(影響度合い)を基準としたときの、バランスレジスタ146の保持データの値の変化に対するビデオクロック信号VCOCKの平均周波数の感度(影響度合い)の比は、10952/32768=0.334となる。
【0157】
従って、補正部134において、平均周波数制御回路110の演算器132の出力値に対し、左右周波数差制御回路112の演算器142からの出力値に「0.334」を乗じた値(補正値)を減算するバランス調整の影響補正を行うことにより、バランスレジスタ146の保持データの値の変更に伴うビデオクロック信号VCOCKの平均周波数への影響(変化)をキャンセルすることができる。このように、補正部134は請求項5に記載の周波数制御手段としての機能を有している。
【0158】
本実施形態に係るビデオクロック発生器82は平均周波数及び左右周波数差の2つの負帰還ループを有しており、特に負帰還ゲインが高い場合に発振し易いが、補正部134が上記のバランス調整の影響補正を行うことにより、ビデオクロック信号VCOCKの平均周波数(画像の全体倍率)及び左右周波数差(画像の左右倍率差)を短時間で整定することができる。なお、演算器142(及び演算器132)から出力値として「+1」又は「−1」が出力されるときには補正値の絶対値が1未満となるので、補正部134によるバランス調整の影響補正は行なわれない。
【0159】
倍率データMG及び倍率バランスデータBLCが変更設定された場合に、演算器132、142における偏差データと出力値との関係(負帰還ゲイン)を上記のように変更しながらフィードバック制御を行うと共に、補正部134が上記のバランス調整の影響補正を行うことにより、ビデオクロック信号の平均周波数(画像の全体倍率)及び左右周波数差(画像の左右倍率差)を短時間で整定させることができる。
【0160】
例として図19では倍率データMGの旧設定値に対し、画像領域の長さが3000μm変化するように値を定めた新設定値を設定し、倍率バランスデータBLCの値も同時に変更設定した場合のビデオクロック信号の平均周波数の推移の一例を示す。
【0161】
図19より明らかなように、倍率データ(及び倍率バランスデータ)が変更設定されてから12SOS周期に相当する時間が経過する迄の間は負帰還ゲイン=1でフィードバック制御が行われることにより、倍率データが変更設定された直後は平均周波数が大きく変動しているものの、補正部134によるバランス調整の影響補正との相乗効果により、平均周波数の変動(平均周波数と倍率データの新設定値との偏差)は急速に小さくなり、ジッターの標準偏差σは最終的には10μm程度にまで抑制される。
【0162】
また、次に8SOS周期に相当する時間が経過する迄の間は負帰還ゲイン=0.25でフィードバック制御が行われることで、補正部134によるバランス調整の影響補正との相乗効果によって平均周波数の変動は更に小さくなり、ジッターの標準偏差σは3μm程度にまで抑制される。そして、前記8SOS周期に相当する時間が経過した後は、偏差の符号に応じて倍率レジスタ138、バランスレジスタ146の保持データ値を1ずつUP又はDOWNするフィードバック制御に切り替わることにより、ジッターの標準偏差σは1.8μm程度にまで抑制される。
【0163】
このように、本実施形態によれば、倍率データMG及び倍率バランスデータBLC(目標値)を変更設定し、新たな目標値に基づくフィードバック制御を開始してから、21SOS周期という非常に短い時間でビデオクロック信号の平均周波数(画像の全体倍率)及び左右周波数差(画像の左右倍率差)を整定することができる。
【0164】
次に本実施形態の作用として、カラー画像形成装置10の電源が投入された場合に制御部16のCPU90によって実行される初期補正処理について、図20のフローチャートを参照して説明する。ステップ200では、EEPROM等の不揮発性メモリ(以下、EEPROMという)に記憶されている、転写材36の表面用(転写材36A用)の最新の書き出し位置データXM、倍率データMG、倍率バランスデータBLCを読み出し、レジスタ74〜78に書き込む。
【0165】
次のステップ202ではレジマーク形成用の画像データをROMから読み出す。本実施形態では、レジマーク形成用の画像データとして、図4にも示すように、副走査方向に沿って延びる1ドット幅の線状のレジマークを、主走査方向に沿って画像領域の先頭(SOS)、中央(COS:Center Of Scan)、及び末尾(EOS)に形成するための画像データを予めROMに記憶しており、ステップ202ではこの画像データを読み出して露光制御部70A〜70Dの画像メモリ72に各々書き込む。
【0166】
ステップ204では転写ベルト28を回転駆動させ、次のステップ206で画像形成部12A〜12Dの各々に対してレジマークの形成を指示する。これにより、画像形成部12Dに対応する露光制御部70Dでは、書き出し位置設定レジスタ74に設定された書き出し位置データXMに基づいてライン同期信号LSYNC を生成すると共に、設定された倍率データMG、倍率バランスデータBLCに基づいてビデオクロック信号の平均周波数(画像の全体倍率)及び左右周波数差(画像の左右倍率差)をフィードバック制御により整定させ、画像メモリ72からレジマーク形成用の画像データを読み出して変調信号を生成し、LDドライバ88を介して光ビーム走査装置18のLD50を駆動する。
【0167】
画像形成部12Dでは、帯電器16によって帯電された感光体ドラム14の周面に光ビーム走査装置18のLD50から射出されたレーザビームが照射され、該レーザビームが前記周面上を走査することで、前記周面上にレジマークの静電潜像が形成される。この静電潜像は現像器22によってC色のトナー像として現像され、C色のトナー像が転写ベルト28に転写される。
【0168】
また、画像形成部12A〜12C及びこれらの画像形成部に対応する露光制御部70A〜70Cにおいても上記と同様の処理が行われる。これにより、図4に示すように転写ベルト28上のSOS、COS及びEOSに相当する箇所に、各色(K,Y,M,C)のレジマークが転写ベルト28の移動方向に沿って互いにずれた位置に形成される。ステップ206はステップ220と共にマーク形成制御手段を構成している。
【0169】
なお図4では、SOS、COS及びEOSに相当する箇所に形成された色Xのレジマークを、各々「XSOS 」「XCOS 」「XEOS 」と表記している。また、以下ではSOSに相当する箇所に形成されたレジマークを「SOSレジマーク」、COSに相当する箇所に形成されたレジマークを「COSレジマーク」、EOSに相当する箇所に形成されたレジマークを「EOSレジマーク」と称する。図4では、例として、光ビーム走査装置18を構成する光学部品の公差や取付位置の公差、光ビーム走査装置18が取付けられているフレーム(図示省略)の公差、温度等の周囲環境や設置状態の変化及び経時変化等の原因により、各色のSOSレジマーク、COSレジマーク及びEOSレジマークの形成位置が主走査方向に沿ってずれている場合を示している。
【0170】
ステップ208では、レジ検知センサ46から増幅器92、ADC94を介して入力されるレジデータをRAMに順次格納すると共に、入力されたレジデータに基づいて、画像形成部12A〜12Dによって転写ベルト28上に各々形成されたレジマークが、レジ検知センサ46によって全て検出されたか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。判定が肯定されるとステップ210へ移行し、転写ベルト28の回転駆動を停止させる。
【0171】
次のステップ212以降ではK,Y,M,C各色について書き出し位置データ、倍率データ、倍率バランスデータを各々更新するが、以下では「C」を例に各データの更新を説明する。すなわち、ステップ212ではRAMからC色のレジマークに対応するレジデータを取り込み、取り込んだレジデータに基づいて、各レジマークの位置を演算する。
【0172】
本実施形態ではレジマークの位置を表すデータとして、図22に「レジマークの実測位置」としてレジマークに対応させて示しているように、SOSレジマークとEOSレジマークとの距離Aold 、SOSレジマークとCOSレジマークとの距離Bold 及びSOSレジマークからAold の1/2に相当する距離隔てた位置とCOSレジ検知センサ46Bとの距離ΔXold を用いており、ステップ212ではこれらを演算する。
【0173】
次のステップ214では転写材36の表面用(転写材36A用)の書き出し位置データXM、倍率データMG、倍率バランスデータBLCを更新する。まず、レジスタ74〜78に現在設定している(すなわちレジマーク形成時に用いた)書き出し位置データXM、倍率データMG、倍率バランスデータBLCを、レジマーク形成時の書き出し位置データXMold 、レジマーク形成時の倍率データMGold 、レジマーク形成時の倍率バランスデータBLCold として取り込む。
【0174】
そして、SOSレジマークとEOSレジマークとの距離、すなわち画像領域の長さが、SOSレジ検知センサ46AとEOSレジ検知センサ46Cとの距離TgtAに一致するように、以下の(1)式に従って更新後の倍率データMGnew を演算する。
【0175】
MGnew =MGold ×Aold /TgtA …(1)
倍率データMGとして更新後の倍率データMGnew を用いることにより、図22に「倍率調整後のレジマークの仮想位置」として示しているように、SOSレジマークとEOSレジマークとの距離を、SOSレジ検知センサ46AとEOSレジ検知センサ46Cとの距離TgtAに一致させることができる。なお、上記処理は請求項7に記載の第1設定手段による演算に対応している。
【0176】
次に、COSレジマークがSOSレジマークとEOSレジマークの中央に位置するように、すなわちSOSレジマーク(又はEOSレジマーク)からCOSレジマーク迄の距離が、SOSレジ検知センサ46A(又はEOSレジ検知センサ46C)とCOSレジ検知センサ46Bとの距離TgtA/2(=TgtB)に一致するように、次の(2)式に従って更新後の倍率バランスデータBLCnew を演算する。
【0177】
【数1】
【0178】
なお、上記処理は請求項7に記載の第2設定手段による演算に対応している。(2)式の第1項は、COSレジマークの位置を前述の補正量分だけ補正するための倍率バランスデータBLCの値の変更量を表しており、(2)式では、この第1項を、倍率データMGの更新に伴う全体倍率の変化に応じて更新前の倍率バランスデータBLCold を補正する第2項に加算することにより、更新後の倍率バランスデータBLCnew を求めている。
【0179】
倍率データMGとして倍率データMGnew を用い、倍率バランスデータBLCとして更新後の倍率バランスデータBLCnew を用いることにより、図22に「倍率バランス調整後のレジマークの仮想位置」として示しているように、COSレジマークがSOSレジマークとEOSレジマークの中央に位置し、SOSレジマークとCOSレジマークとの距離及びCOSレジマークとEOSレジマークとの距離を、SOSレジ検知センサ46A(又はEOSレジ検知センサ46C)とCOSレジ検知センサ46Cとの距離TgtB(=TgtA/2)に一致させることができる。
【0180】
続いて、SOS、COS及びEOSの各レジマークがレジ検知センサ46A〜46Cの位置に各々一致するように、次の(3)式に従って更新後の書き出し位置データXMnewを演算する。
【0181】
但し、Ssは感光体ドラム14上でのレーザビームの走査速度である。また、Foldはレジマークの形成が行われた際のパルス数カウント時のビデオクロック信号VCK*2の周波数、Fnewは更新後の倍率データMGnew 及び倍率バランスデータBLCnew を用いたときのパルス数カウント時のビデオクロック信号VCK*2の周波数であり、それぞれ以下の式で求めることができる。
【0182】
Fold〔MHz 〕=(MGold −2×BLCold )/1369 …(4)
Fnew〔MHz 〕=(MGnew −2×BLCnew )/1369 …(5)
そしてステップ214では、書き出し位置データXMnewを書き出し位置データXMとしてEEPROM及びRAMに格納すると共に、倍率データMGnew 、倍率バランスデータBLCnewを、転写材36の表面用の倍率データMG、倍率バランスデータBLCとしてEEPROM及びRAMに格納する。
【0183】
次のステップ216では転写材36の裏面用(転写材36B用)の縮小率(転写材36Aのサイズを基準としたときの転写材36Bのサイズの比)をROMから読み出す。そしてステップ218では、読み出した縮小率及びステップ214で求めた転写材36の表面用の倍率データMG、倍率バランスデータBLCに基づいて、転写材36の裏面用(転写材36B用)の倍率データMG’、倍率バランスデータBLC’を演算し、RAMに格納する。
【0184】
次に、転写材36に画像を形成する際に行なわれる画像形成処理について、図21のフローチャートを参照して説明する。なお、この画像形成処理が行なわれているときには、画像形成部12A〜12Dの画像メモリ72には、転写材36上に転写・形成すべき画像を表す画像データが格納されているものとする。
【0185】
ステップ230ではフラグを0にする。最初に形成した画像を転写するのは定着処理を経ていない転写材36Aであるので、ステップ232ではRAMから書き出し位置データXMを取り込んでレジスタ74に書き込むと共に、転写材36の表面用の倍率データMG、倍率バランスデータBLCを取り込んでレジスタ76、78に無条件で書き込み、次のステップ234で画像形成部12A〜12Dに対して画像の形成を指示する。
【0186】
これにより、露光制御部70ではページ制御信号PAGEが立ち下がるか、或いはCPU90によってラッチ信号LCHのレベルが切り替えられることで、レジスタ76、78に書き込まれた転写材36の表面用の倍率データMG、倍率バランスデータBLCに基づくビデオクロック信号の周波数のフィードバック制御が行なわれ、ビデオクロック信号の平均周波数(画像の全体倍率)及び左右周波数差(画像の左右倍率差)が整定された後に画像形成部12で画像が形成されることになる。
【0187】
ステップ236では画像形成処理を終了するか否か判定する。この判定は、複数枚の転写材36に画像を転写・形成する場合や転写材36の両面に画像を転写・形成する場合には否定され、ステップ238へ移行する。
【0188】
ステップ238以降の処理は、画像形成部12A〜12Dの各々に対応して、独立したタイミングで各々行なわれるが、以下では説明を簡単にするため、単一の画像形成部に対応する処理のみを説明する。ステップ238では、画像形成部12における画像形成処理が開始されたか否か判定し、判定が肯定される迄待機する。ステップ238の判定が肯定されるとステップ240へ移行し、次に形成する画像の転写先が転写材36の表面か裏面か、すなわち転写先が両面共に画像形成が完了していない転写材36Aか片面のみ画像形成が完了した転写材36Bかを判定する。
【0189】
次に形成する画像の転写先が転写材36の表面である場合にはステップ242へ移行し、レジスタ76、78(の第2レジスタ156)に、転写材36の表面用の倍率データMG、倍率バランスデータBLCを書き込む。これにより、次の画像を形成する際には、露光制御部70においてレジスタ76、78に書込んだ転写材36の表面用の倍率データMG、倍率バランスデータBLCが第1レジスタ154に書きこまれに基づいてビデオクロック信号の周波数のフィードバック制御が行なわれる。また、次のステップ244ではレジマークの形成を行うか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ250へ移行する。
【0190】
一方、次に形成する画像の転写先が転写材36の裏面である場合には、ステップ240からステップ248へ移行し、レジスタ76、78に、転写材36の裏面用の倍率データMG’、倍率バランスデータBLC’を書き込み、ステップ250へ移行する。これにより、次の画像を形成する際には、露光制御部70においてレジスタ76、78に書込んだ転写材36の裏面用の倍率データMG’、倍率バランスデータBLC’に基づいてビデオクロック信号の周波数のフィードバック制御が行なわれる。
【0191】
ステップ250では画像形成部12における画像形成(正確には露光制御部70における画像の露光)が終了したか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ252へ移行し、フラグが1か否か判定する。ステップ252の判定も否定された場合にはステップ250に戻り、上記判定を繰り返す。ステップ250の判定が肯定されるとステップ264へ移行し、画像形成部12に対して次の画像の形成を指示する。次のステップ266ではレジマークの形成を行うか否か判定する。判定が否定された場合にはステップ236へ戻り、ステップ236以降の処理を繰り返す。そして、ステップ236の判定が肯定されると画像形成処理を終了する。
【0192】
上記により、各回の画像形成時には、形成する画像を転写する転写材36のサイズ(定着処理の実行の有無によるサイズの相違を考慮したサイズ)に対応する倍率データ及び倍率バランスデータがレジスタ76、78に予め設定され、設定された倍率データ及び倍率バランスデータに基づいて、ビデオクロック信号の周波数のフィードバック制御が行なわれ、画像が形成されることになるので、画像全体の倍率(全体倍率)のずれや画像の部分倍率(左右倍率差)のばらつき、画像の書き出し位置のずれ、及びカラー画像における色ずれを解消することができ、転写材36の両面に画像を転写形成する場合に、各面に転写形成した画像のサイズがばらつくことも防止できる。
【0193】
また、ビデオクロック信号の周波数のフィードバック制御における負帰還ゲインがゲイン選択回路114によって適宜選択されることで、転写材36の両面に画像を転写形成する場合にも、図13に「倍率・倍率バランス変更期間」として示す期間内に、ビデオクロック信号の平均周波数(画像の全体倍率)及び左右周波数差(画像の左右倍率差)を整定することができる。
【0194】
また、レジマークを形成して書き出し位置データXM、倍率データMG、倍率バランスデータBLCを更新すべきタイミングが到来すると、ステップ244の判定が肯定されてステップ246へ移行し、レジマーク形成用の画像データをROMから読み出して露光制御部70A〜70Dの画像メモリ72に各々書き込む。なお、レジマークの形成・データXM,MG,BLCの更新は、例えば数分に1回、数十分に1回、数時間に1回等のように定期的に行ってもよいし、温度センサによって装置内部の温度を検出し、検出した温度が大きく変化したときに行うようにしてもよい。
【0195】
ステップ246の処理を行うと、ステップ264で画像形成部に対して画像の形成を指示した後に、次のステップ266の判定が肯定されてステップ268へ移行し、搬送ベルト32の上側搬送面上における転写材間隙に相当する位置へのレジマークの形成を各画像形成部12に指示する。次のステップ270ではフラグを1にしてステップ236に戻る。これにより、各画像形成部12により、図13に示す位置に相当する転写ベルト28上の所定位置にレジマークが各々形成される。
【0196】
続いて、フラグを1にしたことでステップ252の判定が肯定され、ステップ254〜260において、先に説明した初期補正処理(図20)のステップ208、212〜218と同様にしてデータXM,MG,BLC,MG’,BLC’が更新される。そして、次のステップ262でフラグを0にしてステップ250に戻ることで通常の画像形成処理のシーケンスに戻る。
【0197】
なお、上記では平均周波数検知回路106において、ビデオクロック信号VCOCKの5倍の周波数の信号のパルス数を一定時間内(パルスカウント信号PLSAがハイレベルとなっている期間内)でカウントすることで平均周波数データNcを求めていたが、上記方式では光ビーム走査装置18内部の温度が変化し感光体ドラム14の周面上におけるレーザビームの走査速度が変化したとしても平均周波数データNcの値が変化せず、結果としてレーザビームの走査速度の変化に伴って画像の全体倍率が変化してしまうという欠点を有している。このため、光ビーム走査装置18内部の温度変化が比較的大きい等の場合には、レーザビーム走査範囲内の複数箇所(例えばSOSとEOS)でレーザビームの光スポットの通過を各々検知し、前記複数箇所間のレーザビームの走査時間を測定して画像の全体倍率(ビデオクロック信号の平均周波数)を制御することが好ましい。
【0198】
例として、図23に示す光ビーム走査装置18の光学系では、開始位置検出センサ66(第1検出手段)に加え、折り返しミラー64のレーザビーム射出側の走査終了側端部(EOS)に相当する位置に終了位置検出センサ170(第2検出手段)が配置されている。終了位置検出センサ170は、ポリゴンミラー58のレーザビームを反射している面が、入射ビームをEOSに相当する方向へ反射する向きとなったときに、折り返しミラー58を介してレーザビームが入射され、終了位置信号EOSとしてパルス幅の短いパルスを出力する。
【0199】
光ビーム走査装置18として上記構成を採用した場合、平均周波数検知回路106は、図24に示すようにパルス発生器172及びカウンタ174で構成することができる。なお、この態様において、左右周波数差検知回路108は、図7においては平均周波数検知回路106に含まれていたカウンタ122を含んで構成されており、請求項6に記載の第2計測手段に対応している。
【0200】
パルス発生器172には開始位置信号nSOS及び終了位置信号EOSを反転した終了位置信号nEOS(図25参照)が入力され、開始位置信号nSOSが立ち上がってから終了位置信号nEOSが立ち上がる迄の間ハイレベルとなる走査期間信号SOS_EOS(図25参照)を出力する。走査期間信号SOS_EOSはカウンタ174のE入力に入力される。
【0201】
カウンタ174はレーザビーム1周期毎にカウント値を0にすると共に、走査期間信号SOS_EOSがハイレベルとなっている期間内におけるビデオクロック信号VCOCKのパルス数をカウントし、カウント値を平均周波数データNcとして出力する。なお、上述した構成の平均周波数検知回路106は、開始位置検出センサ66及び終了位置検出センサ170と共に、請求項6に記載の第1計測手段に対応している。
【0202】
上記のようにして求めた平均周波数データNcはレーザビームの走査速度が変化すると走査速度の変化に応じて値が変化するので、レーザビームの走査速度の変化を検知することができ、上記の平均周波数データNcを用いて画像の全体倍率(ビデオクロック信号VCOCKの平均周波数)のフィードバック制御を行うことにより、レーザビームの走査速度が変化したときにも画像の全体倍率が変化することを防止することができる。なお、図24に示す平均周波数検知回路106、左右周波数差検知回路108から出力される平均周波数データNc、左右周波数差データNb−Naを用いてクロック信号VCOCKのフィードバック制御を行うビデオクロック発生器82は、請求項6に記載の周波数制御手段に対応している。
【0203】
また、上記ではゲイン選択回路114において、演算器132、142における偏差データと出力値との関係(負帰還ゲイン)を、ページ制御信号PAGEのレベルが立ち下がってから(或いはリセット信号RST又はラッチ信号LCHのレベルが切り替わってから)の経過時間に応じて固定的に定めたタイミングで切り替えていたが、これに限定されるものではなく、例として図26に示すように、演算器132、142に入力される偏差データがゲイン選択回路114にも入力されるように構成し、入力された偏差データが表す偏差の大きさに応じて偏差データと出力値との関係(負帰還ゲイン)を切り替えるようにしてもよい。偏差データと出力値との関係(負帰還ゲイン)は、例えば偏差データが表す周波数偏差に応じて以下の表2に示すように切り替えることができる。
【0204】
【表2】
【0205】
上記で説明したゲイン選択回路114も、演算器132、142と共に本発明の変更手段(より詳しくは請求項4に記載の変更手段)に対応している。
【0206】
また、上記ではゲイン選択回路114において偏差と演算器132、142の出力値との関係を3段階に切り替える例を表1に、4段階に切り替える例を表2に示していたが、本発明の変更手段は上記構成に限定されるものではなく、偏差と出力値との関係を2段階に切り替えてもよいし、5段階以上の多数段階に切り替えてもよい。
【0207】
また、上記ではSOS側の部分画像領域におけるクロック信号の周波数と、EOS側の部分画像領域におけるクロック信号の周波数と、の差を用いて、倍率バランスの指定や制御を行っていたが、これに代えて両者の周波数の比を用いてもよい。すなわち、上記では倍率バランスデータBLCとしてビデオクロック信号VCOCKの左右周波数差Fb−Faに対応する値が設定され、ビデオクロック信号VCOCKの左右周波数差Fb−Faに基づいてフィードバック制御を行っていたが、これに代えてFa/FbやFa/Fc、Fb/Fc等を用いて倍率バランスの指定、フィードバック制御を行うようにしてもよい。
【0208】
また、上記では光ビーム走査装置として、ポリゴンミラー52の反射面幅よりも幅広のレーザビームをポリゴンミラー52に入射するオーバフィルドタイプの光ビーム走査装置18を例に説明したが、これに限定されるものではなく、反射面幅よりも幅の狭いレーザビームをポリゴンミラーに入射する、所謂アンダーフィルドタイプの光ビーム走査装置を用いてもよい。
【0209】
更に、上記では光源として2つの発光点を備えたデュアルスポットレーザダイオードを用い、2本の光ビームによって主走査方向に沿った2ラインを同時に走査露光するようにしていたが、これに限定されるものではなく、1本の光ビームを射出する光源を用い、1本の光ビームにより1ラインずつ走査露光するようにしてもよいし、3本以上の光ビームによって主走査方向に沿った3本以上のラインを同時に走査露光するようにしてもよい。また、光源としてLED等の他の光源を用いてもよい。
【0210】
また、上記では画像領域の先頭(SOS)、中央(COS)及び末尾(EOS)の3箇所にレジマークを形成するようにした例を説明したが、これに限定されるものではなく、上記位置からずれた位置にレジマークを形成するようにしてもよいし、レジマークの個数についても、より多数のレジマークを形成するようにしてもよい。
【0211】
更に、上記では画像形成装置10の内部にレジ検知センサ46を設け、転写ベルト28上に形成されたレジマークの位置を検知するようにしていたが、これに限定されるものではなく、例えば転写ベルト28上に形成されたレジマークを転写材36上に転写・定着させると共に、該転写材36を、カラー画像形成装置10と別体でラインセンサ等の検知センサを備えたレジマーク位置検知用の治具にセットしてレジマークの位置を検知するようにしてもよい。この場合、前記治具によるレジマーク位置の検知結果に基づいて、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって倍率データMG、倍率バランスデータBLC、書き出し位置データXMを演算し、演算結果を画像形成装置に入力することができる。
【0212】
また、上記では感光体ドラム14及び光ビーム走査装置18を備えた4台の画像形成部12A〜12Dが順に設けられたタイプのカラー画像形成装置10を例に説明したが、これに限定されるものではなく、単一の感光体及び単一の光ビーム走査装置を備えると共に、感光体に形成された静電潜像を互いに異なる色(例えばC、M、Y、K)に現像する複数台の現像器を備え、単一の感光体ドラムの周面に各色のトナー像を順に形成して転写ベルトや転写材上で重ね合わせることで、転写ベルトや転写材上にカラー画像を形成するタイプの画像形成装置に本発明を適用してもよい。また、単一のポリゴンミラーの周囲に複数の光源が配置され、各光源から射出された光ビームを単一のポリゴンミラーで各々偏向させ、各光ビームを複数設けられた感光体の何れかに照射して互いに異なる色のトナー像を形成するタイプの画像形成装置(所謂スプレーペイントROSを備えた画像形成装置)に本発明を適用することも可能である。
【0213】
また、上記ではカラー画像を形成する画像形成装置を例に説明したが、本発明は、単色の画像を形成する画像形成装置に適用することも可能であることは言うまでもない。
【0214】
【発明の効果】
以上説明したように第1の発明は、光ビームの走査方向に沿った画像全体の倍率及び画像の部分倍率を計測し、画像全体の倍率の設定値と計測値の偏差が小さくなり、かつ画像の部分倍率の設定値と計測値の偏差が小さくなるように、光ビームの1走査に相当する期間内におけるクロック信号の周波数の平均値及び変化幅に関する操作量を前記偏差に応じて変更することを繰り返すと共に、前記偏差と前記操作量の変更量との関係を変更するようにしたので、複数の画像を高速で順次形成する場合であっても、個々の画像を単位として画像全体の倍率及び画像の部分倍率を各々補正することが可能となる、という優れた効果を有する。
【0215】
第6の発明は、光ビームが走査範囲内の第1の所定位置を通過してから第2の所定位置を通過する迄の期間内のクロック信号の平均周波数を計測すると共に、光ビーム走査範囲を2つ以上の範囲に分割したときの各範囲を光ビームが走査している期間毎のクロック信号の平均周波数の差又は比を計測し、計測されたクロック信号の平均周波数が、画像全体の倍率の設定値に応じた平均周波数に一致し、かつ計測されたクロック信号の平均周波数の差又は比が、画像の部分倍率の設定値に応じた平均周波数の差又は比に一致するようにクロック信号の周波数を制御するので、画像全体の倍率及び画像の部分倍率を各々補正することができ、光ビームの走査速度が変化した場合にも画像全体の倍率が変化することを防止できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ビデオクロック発生器の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図3】 転写ベルトに穿設されたベルト位置検出用の孔、及びベルト位置検出センサの配置を示す斜視図である。
【図4】 転写ベルト上に形成されるレジマークの一例、及び該レジマークを検知するレジ検知センサの配置を示す斜視図である。
【図5】 光ビーム走査装置の光学系の概略構成を示す平面図である。
【図6】 画像形成装置の制御部のうち、光ビーム走査装置の制御に関する部分の概略構成を示すブロック図である。
【図7】 平均周波数検知回路及び左右周波数差検知回路の概略構成を示すブロック図である。
【図8】 平均周波数制御回路及び左右周波数差制御回路の概略構成を示すブロック図である。
【図9】 倍率設定レジスタ及び倍率バランス設定レジスタの概略構成を示すブロック図である。
【図10】 ゲイン選択回路の概略構成を示すブロック図である。
【図11】 開始位置信号nSOSとライン同期信号LSYNCとの関係、ベルト位置検出信号とページ制御信号PAGEとの関係を用紙(転写材)と対応させて示す概念図である。
【図12】 開始位置信号nSOS、ライン同期信号LSYNC 、パルスカウント信号PLSA,PLSB 、スイープクロック信号SWCK、レジスタクロック信号REGCK 及び開始位置信号SOSと、これらの信号に基づくビデオクロック信号VCK*2 の周波数の推移を示すタイミングチャートである。
【図13】 ビデオクロック信号VCK*2 の周波数の推移を、搬送ベルト上での転写材の配置及びレジマーク形成位置と対応させて示す概念図である。
【図14】 DACからVCOに入力される信号の電圧レベルと、VCOから出力されるクロック信号VCOCKの周波数との関係を示す線図である。
【図15】 左右周波数差制御回路から出力されるデータの値の変化に対し、クロック信号VCOCKの左右周波数差の変化の程度を説明するための線図である。
【図16】 ビデオクオック信号の周波数の変動により、転写材上に形成されるラインに揺らぎが生ずることを説明するためのイメージ図である。
【図17】 負帰還ゲインとジッターの標準偏差との関係を示す線図である。
【図18】 光ビーム走査装置の内部温度と、画像の全体倍率及び部分倍率(左右倍率差)との関係を示す線図である。
【図19】 倍率データ及び倍率バランスデータの値が変更されてから、画像の全体倍率及び左右倍率差が整定される迄の間のビデオクロック信号VCK*2の周波数の変動を示す線図である。
【図20】 初期補正処理の内容を示すフローチャートである。
【図21】 画像形成処理の内容を示すフローチャートである。
【図22】 倍率データ、倍率バランスデータ、及び書き出し位置データの演算を説明するための概念図である。
【図23】 光ビーム走査装置の光学系の他の構成を示す概略平面図である。
【図24】 図23の光学系に対応する平均周波数検知回路及び左右周波数差検知回路の他の構成を示す概略ブロック図である。
【図25】 図23の光学系に対応する開始位置信号nSOS、ライン同期信号LSYNC 、パルスカウント信号PLSA,PLSB 、スイープクロック信号SWCK、レジスタクロック信号REGCK 、終了位置信号nEOS、走査期間信号SOS_EOSと、ビデオクロック信号VCK*2 の周波数の推移を示すタイミングチャートである。
【図26】 平均周波数制御回路及び左右周波数差制御回路の他の構成を示す概略ブロック図である。
【図27】 主走査方向に沿った画像の位置ずれや色ずれを構成する3つの要素を分けて示す概念図である。
【符号の説明】
10 カラー画像形成装置
12 画像形成部
50 LD
60 開始位置センサ
82 ビデオクロック発生器
90 CPU
102 VCO
106 平均周波数検知回路
108 左右周波数差検知回路
110 平均周波数制御回路
112 左右周波数差制御回路
114 ゲイン選択回路
170 終了位置センサ
Claims (7)
- クロック信号発生部で発生されたクロック信号に同期した変調タイミングで、形成すべき画像に応じて変調した光ビームを被照射体上で走査させることにより、前記被照射体上に画像を形成する画像形成装置であって、
光ビームの走査方向に沿った画像全体の倍率及び画像の部分倍率を各々計測し、前記画像全体の倍率の設定値と計測値の偏差が小さくなり、かつ前記画像の部分倍率の設定値と計測値の偏差が小さくなるように、前記クロック信号発生部に入力する光ビームの1走査に相当する期間内における前記クロック信号の周波数の平均値及び変化幅に関する操作量を前記偏差に応じて変更することを繰り返す周波数制御手段と、
前記周波数制御手段によるクロック信号の周波数の制御における、前記偏差と前記操作量の変更量との関係を変更する変更手段と、
を含む画像形成装置。 - 前記変更手段は、光ビームによって被照射体上に画像が形成されていない期間内に前記偏差に対する前記操作量の変更量を一時的に大きくし、光ビームによって被照射体上に画像が形成されている期間内は前記偏差に対する前記操作量の変更量を所定値以下とすることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- 前記変更手段は、前記偏差に対する前記操作量の変更量を一時的に大きくすることを、画像の形成が完了した直後、画像の形成が開始される直前、及びリセットがかかった直後の少なくとも何れかのタイミングで行った後に、前記偏差に対する前記操作量の変更量を徐々に小さくすることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
- 前記変更手段は、前記偏差に対する前記操作量の変更量を一時的に大きくすることを、画像の形成が完了した直後、画像の形成が開始される直前、及びリセットがかかった直後の少なくとも何れかのタイミングで行った後に、前記偏差に対する前記操作量の変更量を前記偏差の減少に応じて小さくすることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
- 前記周波数制御手段は、前記クロック信号の周波数の変化幅に関する操作量の変更量に基づいて、前記変化幅に関する操作量を前記変更量だけ変更したときのクロック信号の周波数の平均値の変動をキャンセルするための前記周波数の平均値に関する操作量に対する補正量を求め、求めた補正量によって前記平均値に関する操作量を予め補正することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- クロック信号発生部で発生されたクロック信号に同期した変調タイミングで、形成すべき画像に応じて変調した光ビームを被照射体上で走査させることにより、前記被照射体上に画像を形成する画像形成装置であって、
光ビームが光ビーム走査範囲内の第1の所定位置を通過してから前記走査範囲内の第2の所定位置を通過する迄の期間内のクロック信号の平均周波数を計測する第1計測手段と、
光ビーム走査範囲を2つ以上の範囲に分割し光ビームが各範囲を走査している期間毎のクロック信号の平均周波数の差又は比を計測する第2計測手段と、
光ビームの走査方向に沿った画像全体の倍率及び前記走査方向に沿った画像の部分倍率が設定され、前記第1計測手段によって計測されたクロック信号の平均周波数が、前記画像全体の倍率の設定値に応じた平均周波数に一致し、かつ前記第2計測手段によって計測されたクロック信号の平均周波数の差又は比が、前記画像の部分倍率の設定値に応じた平均周波数の差又は比に一致するように、クロック信号の周波数を制御する周波数制御手段と、
を含む画像形成装置。 - 光ビームの走査方向に沿った画像領域の長さのずれを補正した画像全体の倍率を演算し前記画像全体の倍率の設定値として設定する第1設定手段と、前記走査方向に沿った画像の記録倍率の部分的なばらつきを補正した画像の部分倍率を演算し前記画像の部分倍率の設定値として設定する第2設定手段と、を更に備えたことを特徴とする請求項1又は請求項6記載の画像形成装置。
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