以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置の一実施の形態を詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置の構成を示すブロック図である。図1に示すカラー画像系形成装置は、タンデム方式のカールソンプロセスを用いるカラー画像形成装置の一実施例を示したものである。
このカラー画像形成装置は、いわゆるタンデム方式のカラーレーザプリンタ1である。そして、このカラーレーザプリンタ1は、各作像ユニット100K〜100Yと、マルチレーザビーム光走査装置202と、中間転写ベルト101と、1次転写チャージャ(又は転写ローラ)103K〜103Yと、2次転写チャージャ(又は転写ローラ)104と、定着器106と、支持ローラ108と、位置ずれ補正部107と、を備える。
そして、各作像ユニット100K〜100Yは、中間転写ベルト101に沿って備えられており、それぞれ黒K、マゼンタM、シアンCおよびイエローYの色材(トナー)の画像を形成する。これら4個の作像ユニット100K〜100Yで作像手段を構成している。つまり、本実施の形態にかかる作像手段は、中間転写ベルト101上に、タンデム配列された複数の作像ユニット100K〜100Yが形成した各画像を重ね転写してから、用紙上に転写するタンデム方式の作像機構とする。
各作像ユニット100(K、C、M又はY)は、感光体200(K、C、M又はY)、帯電チャージャ201(K、C、M又はY)、現像器203(K、C、M又はY)、及び(図示しない)感光体クリーニング装置で構成されている。
そして、マルチレーザビーム光走査装置202が、各作像ユニットの感光体200(K、C、M又はY)に対して、各色記録用の画像光(レーザ光)が出射する。つまり、本実施の形態にかかる感光体200(K、C、M又はY)が像担持体としての機能を果たす。そして、各作像ユニット100(K、C、M又はY)が、一連のカールソンプロセスすなわち電子写真プロセスを経て、各感光体200(K、C、M又はY)上に各色トナー像を形成する。
各作像ユニット100(K、C、M又はY)が形成した各色トナー像は、1次転写チャージャ(又は転写ローラ)103K〜103Yで、中間転写ベルト101の同一位置に重ねて転写される。その後、中間転写ベルト101に重ねて転写された複数色のトナー画像は、2次転写チャージャ(又は転写ローラ)104により、用紙105に転写される。その後、定着器106が、用紙上に転写されたカラー画像を、記録紙105に定着する。当該処理の間、中間転写ベルト101は、支持ローラ108にて回転駆動され、感光体(200K〜200Y)直下を左から右に移動する。この移動方向が副走査方向yである。
本実施の形態にかかる作像手段は、上述した構成で、主走査方向のライン毎に作像を、4個の感光体200(K、C、M又はY)のそれぞれで行い、4個の感光体200(K、C、M又はY)から中間転写ベルト101に転写することで、中間転写ベルト101に画像の重複記録を行っている。
位置ずれ補正部107の主体は、作像ユニット、光走査装置及び中間転写ベルトを含む作像エンジン(ハードウエアおよびプロセス)を制御する(図示しない)プロセスコントローラと、ハードウエアに対して制御信号および検出信号を入出力する(図示しない)インターフェースコントローラとする。プロセスコントローラ及びインターフェースコントローラは、CPUあるいはMPUと、メモリと、を主体として構成されたコンピュータとする。そして、位置ずれ補正部107では、これらコントローラ内でメモリに格納された制御プログラム(位置ずれ補正プログラムを含む)を読み出して、CPUあるいはMPUが実行することで、図1に示す作像制御部151、位置差調整制御部152と、位置差検出部153と、調整値生成部154と、調整値更新部155と、の機能を実現する。なお、制御プログラムは、それ以外の機能も実現するが、説明を省略する。
作像制御部151は、各作像ユニットを用いて、副走査方向に一定間隔で分布する複数のパッチで構成されるテストパターン画像を、感光体200(K、C、M又はY)のそれぞれに対して作像する制御を行う。そして、感光体200(K、C、M又はY)のテストパターン画像がそれぞれ、中間転写体である中間転写ベルト101の転写面に転写されることで、当該中間転写ベルト101の移動方向である副走査方向yに、複数の色のテストパターン画像が形成される。
位置差検出部153は、中間転写ベルト101に転写された複数の色のテストパターン画像において、黒Kのパッチを基準位置として、当該基準位置からの各他色パッチの副走査方向の位置差を検出する。なお、本実施の形態とはことなるが、中間転写ベルト101上の基準位置に対する、各色のテストパターン画像毎の各パッチの副走査方向の位置差を検出しても良い。
調整値生成部154は、複数の色のテストパターン画像間の位置差を低減するための調整値を、印刷前又は印刷中の所定のタイミングで、副走査方向の位置差の変動周期の少なくとも1周分を生成する。なお、本実施の形態では、変動周期を、感光体200(K、C、M又はY)の1周分とする。
そして、調整値生成部154は、生成した調整値を、副走査位置に対応させた上で、位置ずれ補正部107内の(図示しない)メモリに格納する。本実施の形態では、位置ずれ差を低減するための調整値として、色毎に生じる位置ずれ量を相殺するため副走査方向位置調整値をメモリで保持することとした。
調整値更新部155は、印刷中に、感光体200(K、C、M又はY)が一周する毎に1回、作像制御部151により作像された複数色のテストパターン画像間の、経時変化により生じた位相差を軽減するための補正量を算出し、メモリ内に格納されている副走査方向位置調整値に補正量を加算し、メモリ内に格納されている副走査方向位置調整値を更新する。
位置差調整制御部152は、副走査方向位置調整値を用いて、感光体200(K、C、M又はY)に対する副走査方向の作像位置を調整する。本実施の形態にかかる位置差調整制御部152は、作像が指示された画像を形成する作像工程において、マゼンタM、シアンCおよびイエローYの各作像ユニット100(K、C、M又はY)の感光体200(K、C、M又はY)に対する副走査方向の作像位置に対応する、メモリの調整値を用いて、後述する偏向制御部27および偏向ドライバ28(図1参照)および液晶偏向素子19(図8参照)を介して、副走査方向の作像位置を、位置差を低減すべく調整する。
位置ずれ補正部107は、カラーレーザプリンタ1の立ち上がり時、すなわち主電源スイッチの投入による主電源オンの直後、並びに省電力のための省エネモードから、印刷動作が可能なスタンバイモードに復帰した直後に、「調整値の設定」を行う。「調整値の設定」は、各色間の位置ずれ補正のための設定とする。
さらに、位置ずれ補正部107は、装置内温度が所定の変化をしたとき、及び特定の時間又はページ数の間隔でも、「調整値の設定」を行う。
「調整値の設定」について説明する。まず、作像制御部151が、各作像ユニット100K〜100Yを用いて、感光体200K〜200Y毎に、各色のトナーパッチを作像する。そして、感光体200K〜200Y毎に作像された各色のトナーパッチが、中間転写ベルト101に転写されることで、図2に示すような、位置ずれ検出用の各色トナーパッチ404K〜404Yが、中間転写ベルト101の異なった位置に形成される。
図2に示す画像位置検出器400a〜400eは、中間転写ベルト101に転写されたトナーパッチ404を検出する。本実施の形態にかかる画像位置検出器400a〜400eのそれぞれには、発光素子と受光素子を備えている。そして、発光素子の光が中間転写ベルト101で反射されて受光素子に至る。そして、中間転写ベルト101にトナーパッチが存在する場合に、受光素子の受光量が変化する。これにより、画像位置検出器400a〜400eは、トナーパッチ対応の検出信号を得られる。
そして、画像位置検出器400(400a〜400e)からの検出信号が位置ずれ補正部107に入力される。これにより、位置差検出部153が、基準色である黒Kのトナーパッチ404Kの検出信号と、他の各色Y、M、Cのトナーパッチ404Y、404M、404Cの検出信号とから、基準色が検出されてからのそれぞれの色が検出されるまでの時間間隔を計測する。そして、位置差検出部153が、時間間隔と中間転写ベルト101の移動速度と、から、基準色である黒Kに対するそれぞれの色の位置変動を算出する。
図3は、中間転写ベルト101に転写された各トナーパッチの位置変動を示した図である。図3に示す、Pm101〜、Py101、Pm102〜、Py102、Pm112〜Py112、Pm201〜Py201、Pm202〜Py202が基準色黒を基準としたそれぞれの色の位置変動である。なお、本実施の形態では、基準色を黒Kとするが、他の色であっても良い。
そして、位置ずれ補正部107の位置差調整制御部152が、マルチレーザビーム光走査装置202に対して、位置差変動を抑止するために、黒を基準とした各色の相対的な時間差を、目標とする相対時間差になるよう調整を行う。次に、制御対象となるマルチレーザビーム光走査装置202について説明する。
図4は、マルチレーザビーム光走査装置202の構成を示した図である。図4に示すように、マルチレーザビーム光走査装置202は、画像書込制御部20と、半導体レーザ26k、26m、26c、26yとを備えている。各色露光学系の光源である半導体レーザ26k、26m、26c、26yは、各色K、M、C、Y作像用のレーザビームを出射する。
画像書込制御部20は、ポリゴンモータ制御回路24と、書込クロック生成回路21と、印字画像制御部25k、25m、25c、25yと、位相同期回路22k、22m、22c、22yと、レーザ駆動回路23k、23m、23c、23yと、を備え、半導体レーザ26k、26m、26c、26yの発光駆動を行う。
マゼンタM、シアンC、イエローYおよびブラックKの各色画信号宛ての印字画像制御部25k、25m、25cおよび25yは、位置ずれ補正部107内のプロセスコントローラのCPUの命令により画像書込制御部20全体の制御を行う。そして、印字画像制御部25k、25m、25cおよび25yは、外部から入力される画信号K、C、MおよびYを、レーザ駆動回路23k、23c、23mおよび23yに転送する。
書込クロック生成回路21は、主走査画素単位の周期のクロック信号である画素同期クロックCLKを、位相同期回路22k、22c、22mおよび22yに送る。
位相同期回路22k、22c、22mおよび22yは、レーザ光検出器18m、18c、18yおよび18kから送られる各色別のライン同期信号(ライン同期パルス)で、書込クロック生成回路21から送られる画素同期クロックCLKを位相補正し、レーザ駆動回路23に転送する。
印字画像制御部25は、位置ずれ補正部107内のプロセスコントローラが与える制御データを保持して、画像書込制御部20の各部に出力する。さらに、印字画像制御部25は、画像データ枠(用紙面)にトリム領域を設定したり、画像枠(画像面)に任意の枠線を重ねあわせるなどの画像加工処理を、プロセスコントローラの内部のCPUが指定する内容により行う。
具体的には、印字画像制御部25は、プロセスコントローラが与える用紙サイズ、トリム領域データおよび境界線書込有無に基いて、到来する画像信号の用紙上の印字位置を、主走査カウント(画素同期パルスのカウント)と副走査カウント(ライン同期パルスのカウント)で追跡し、トリム領域に割当てられる画像信号の出力を停止又は非記録信号への変換を行う。そして、印字画像制御部25は、境界線書込が有と判定した場合は、さらに、トリム領域のエッジの内側の数画素の画像信号を、線書込信号に変換する(トリム境界線の書込)。
レーザ駆動回路23(23k、c、m、y)は、印字画像制御部25から送られる画信号M、C、Y、Kを、位相同期回路22からくるCLK信号(画素同期パルス)に同期した駆動信号に変換して、駆動信号に基づき半導体レーザユニット26のLDに通電する。ポリゴンモータ制御回路24は、印字画像制御部25の信号で、ポリゴンモータを所定の回転速度にPLL(Phase Locked Loop)制御する。
図5は、マルチレーザビーム光走査装置202の、マゼンタMの画像形成に必要な露光系の概要を示した図である。図5に示すように、マゼンタM画像形成用の半導体レーザユニット26mと、ポリゴンミラー12と、の間に、液晶偏向素子19mを備えている。液晶偏向素子19mは、位置差調整を行う手段としての役割を果たす。また、図5に示すように、黒K作像用の感光体200Kは、図に示す折返しミラー14の直下(紙面の裏側)に位置する。
半導体レーザユニット26mは、画像信号で変調した光を出射する光源としての役割を果たす。また、ポリゴンミラー12は、半導体レーザユニット26mから出射された光を反射することで、主走査方向に光を走査させることを可能としている。
つまり、本実施の形態では、位置ずれ補正部107の位置差調整制御部152の制御と、当該制御に従って、偏向制御部27、偏向ドライバ28(m、c、y)および液晶偏向素子19(m、c、y)のそれぞれが位置差を調整することで、黒を基準とした各色の位置差が調整できる。偏向ドライバ28(m、c、y)は、液晶偏向素子19(m、c、y)に対して、副走査方向位置調整値に対応する矩形波電圧を与える。次に液晶偏向素子19(m、c、y)について説明する。
図6は、液晶偏向素子19mの構成を示した図である。液晶偏向素子19mは、マゼンダ用に位置差の調整を行う。図6に示すように、液晶偏向素子19mは、液晶193と、配向膜194と、透明電極195と、ガラス板196と、スペーサ部材197と、で構成される。
液晶駆動回路である偏向ドライバ28mが、透明電極195に対して、矩形波電圧を入力することで、液晶193の分子配列が変化する。これにより、入射するレーザ光を偏向させる。
なお、液晶偏向素子19mは、半導体レーザユニット26mの近傍に、該半導体レーザユニット26mからの光束がすべて入射するように配置されている。このように配置することで、色あたりの液晶素子数を1つにできる。
図7は、液晶偏向素子19mで偏向されるレーザ光を示す。偏向ドライバ28mから矩形波電圧が入力された場合、レーザ光は、所定の偏向角で副走査方向yに偏向される。一方、矩形波電圧(駆動電圧)が入力されない場合、レーザ光は偏向されずに液晶偏向素子19mを透過する。この液晶偏向素子19mの偏向角は、偏向ドライバ28mから入力される駆動波形のパルス幅Duty(PWMパルス)あるいは波高値(振幅)により調整される。
図8は、液晶偏向素子19mに印加する駆動電圧と、当該駆動電圧に従って変化するレーザ光の副走査位置変動量と、を示したグラフである。図8に示すグラフでは、横軸を液晶偏向素子19mに印加する駆動電圧で示し、縦軸をレーザ光の副走査位置変動量を示した。印加する駆動電圧と副走査位置変動量との関係は、完全な比例関係にあるのではなく、低電圧域(V1以下)では逓増し、高電圧域(V2以上)では逓減する。
そこで、本実施の形態では、印加する駆動電圧と副走査位置変動量とが略比例関係(変化量が最小二乗法における直線近似で相関係数rが0.8以上となる関係)となるV1からV2の範囲でレーザ光の副走査位置を変化させて、レーザ光の副走査位置の調整を行うこととした。
なお、上述した構成はマゼンタMの露光系について説明したが、マゼンダM以外の色についても同様の構成を備えているものとする。つまり、シアンCおよびイエローY、及び黒K用に、それぞれの画像を形成する各感光体200C、200Y、200Kを露光する露光系がある。そして、感光体200C、及び200Yの露光系においては、液晶偏向素子19m相当の液晶偏向素子がある。そして、それぞれの液晶偏向素子に対して、偏向ドライバ28c、28yが、副走査位置調整用の駆動電圧を与える。なお、本実施の形態では、黒Kを基準に位置(色)ずれ補正をするので、感光体200Kを露光する露光系には、液晶偏向素子19m相当の液晶偏向素子は存在しない。
図1に戻り、位置ずれ補正部107の位置差調整制御部152は、上述したマルチレーザビーム光走査装置202内の半導体レーザ26m〜26yが出射するレーザ光の、感光体200K〜Yに対する副走査位置(円周方向の位置)を制御することで、相対的時間差を小さく抑える目標の相対的時間差になるようにする。つまり、位置差調整制御部152は、中間転写ベルト101に対する黒Kの作像位置から、他色M、C、Yのピッチ間隔が、目標とするピッチ間隔Pm、Pc、Pyとなるよう、作像位置を合わせるよう制御を行う。
次に、作像位置を合わせるために用いられるテストパターン画像について、図2を用いて説明する。図2に示すように、中間転写ベルト101上のトナーパッチ404は、上述した作像ユニット100K〜100Yにより、主走査方向xに5箇所に分けられて形成される。そして、5箇所のうちの両端のトナーパッチは、印刷領域外に形成される。そして、5箇所のうち中央部の3箇所のトナーパッチは、図2上に点線矢印で示す「印刷領域」の内側に形成されている。この印刷領域は、用紙上にトナー像を転写できる範囲とする。
そして、上記「調整値の設定」として、調整値生成部154は、印刷領域内のトナーパッチを用いて、走査方向x及び副走査方向yの位置ずれの調整値を決定する。そして、調整値生成部154は、印刷領域外のトナーパッチと、中央のトナーパッチと、を用いて算位置ずれ量を算出する。そして、調整値生成部154は、印刷領域外と印刷領域内との位置ずれ量との差をオフセット量として算出する。つまり、印刷領域外では、走査線(主走査ライン)の曲りの影響により、印刷領域内と比較して、位置ずれ量が異なってくる。このため、この誤差をオフセット量として、印刷領域外から算出した位置ずれ量から、印刷領域内の位置ずれ量に換算に用いる。
なお、このオフセット量は、温度変化や経時で変化している。このため、本実施の形態にかかるカラーレーザプリンタ1では、作像制御部151が、特定の温度、時間又はページ数の間隔で、ページ間の印刷領域内外にトナーパッチを形成し、調整値生成部154は、オフセット量を算出し、調整値の再設定を行っている。これにより、高い調整精度を維持することが可能としている。調整値の再設定については後述する。
本実施の形態では、作像制御部151が、ページ間で、印刷領域内外にトナーパッチ配置したテストパターン画像を生成した。しかしながら、このようなテストパターン画像からオフセット量を求めることに制限するものではない。例えば、作像制御部が、印刷領域内のみに形成したトナーパッチの結果と、その前後で形成した印刷領域外のトナーパッチの結果から、調整値生成部がオフセット量の生成を行ってもよい。
このように、「調整値の設定」は、装置立ち上がり時、装置内温度が所定の変化をした時、並びに、印刷枚数積算値が所定量増大した後の印刷終了直後などに行われる。さらには、「調整値の設定」は、印刷中においては、特定のタイミングで行うものとする。この所定のタイミングとしては、温度変化、時間変化、又はページ変化とする。
図9は、本実施の形態かかる位置ずれ補正部107が行う「調整値の設定」のテストパターン画像を示した図である。図9に示すテストパターン画像501、すなわちトナーパッチ群においては、各色(K〜Y)の横線パッチ404K〜404Yが配置されている。つまり、図9に示す中間転写ベルト101上に形成された各色テストパターン404(K、M、Y、及びC)は、各感光体200(K、M、Y、及びC)の1回転の中で、各色につき複数のトナーパッチを、特定の間隔で形成したものとする。また、図9は、感光体200(M、Y、C)の1周上の基点位置が作像ユニットの固定基準点にある(到達した)ことを表すホームポジション信号300〜303の発生タイミングも示している。なお、図9に示すテストパターン画像は、2種類以上存在するテストパターン画像のうちの第1のテストパターン画像として機能する。
そして、これら横線パッチ404K〜404Yは、各色作像用の感光体の1回転に1回だけ検出されるホームポジション信号300〜303に基づいて形成される。また、ホームポジション信号300〜303は、感光体200(K、M、Y、及びC)の1周上の基点位置が作像ユニットの固定基準点にきた(到達した)ことを表す信号とする。
具体的には、ホームポジション信号300〜303のうち、黒K作像用の感光体のホームポジション信号300を基点にして、所定副走査位置に形成する。また、位置ずれ補正部107は、黒K作像用の感光体200Kのホームポジション信号300に対する、各色M、C、Yの感光体のホームポジション信号301〜303の位相差(Tbm、Tbc、Tby参照)を検出する。そして、これら黒のホームポジション信号300を基準とした各色のホームポジション信号301〜303の位相差を、各色位相データとして、図示しないメモリに保持する。
この「調整値の設定」中は、符号501に示すように、中間転写ベルト101へのトナーパッチ形成を行うため、転写紙への印刷(転写動作)を行わない。そのため、「調整値の設定」を頻繁に実行すると、印刷のスループットが下がる。そこで、本実施の形態では、以下に示す「調整値の更新」を行う。これにより、スループットの低下を抑止できる。
図10は、本実施の形態かかる位置ずれ補正部107が行う「調整値の更新」のテストパターン画像を示した図である。図10に示すテストパターン画像1001は、印刷中に掲載されるものである。そして、テストパターン画像1001は、各色(K〜Y)の横線パッチ404K〜404Yで構成される。図10には、感光体200(K、M、Y、C)の1周上の基点位置が作像ユニットの固定基準点にある(到達した)ことを表すホームポジション信号300〜303の発生タイミングも示している。なお、図10に示すテストパターン画像は、2種類以上存在するテストパターン画像のうちの第2のテストパターン画像として機能する。
作像制御部151は、各色作像用の各感光体200(K、M、Y、及びC)の1回転に1回検出されるホームポジション信号300〜303に基づいて、テストパターン画像1001を形成する。具体的には、作像制御部151は、検出されたホームポジション信号300〜303のうち、黒K作像用の感光体のホームポジション信号300を基点として所定の副走査方向の位置に、各色(K〜Y)の横線パッチ404K〜404Yを形成する。
しかも、位置ずれ補正部107は、黒K作像用の感光体200Kのホームポジション信号300を基準として、各色M、C、Yの感光体200(M、Y、C)のホームポジション信号301〜303の位相差(Tbm、Tbc、及びTby)を検出する。そして、検出された位相差を、各色位相データとして、メモリ内に保持する。
各感光体200K〜200Yのそれぞれのホームポジション信号300〜303は、各感光体200(K、M、Y、及びC)の1周上の基点位置が作像ユニットの固定基準点にきた(到達した)ことを表している。そして、中間転写ベルト101上に形成された各色で構成されたテストパターン画像1001は、各感光体200(K、M、Y、及びC)の1回転の中で、各色につき1回のトナーパッチを形成したものである。次に、「調整値の設定」及び「調整値の更新」によるパッチの書き込み区間について説明する。
図11は、感光体200(K、M、Y、及びC)のホームポジション信号300〜303と、パッチの書込み区間(対角線付きブロック)と、の関係を示した図である。図11に示すように、作像制御部151は、例えば黒Kであれば、ホームポジション信号300の後、ある所定の時間遅れたタイミングで、パッチ書込み(対角線付きブロック)をスタートするよう制御する。これを整数回繰り返す。
さらに、作像制御部151は、他色M、C、Yについて、ホームポジション信号300から、該信号300に対する他色ホームポジション信号301〜303の位相差データ分の調整した上で、黒と同様に所定の時間遅れたタイミングでパッチ書込みをスタートするよう制御する。なお、色毎の位相差データは、上述したように、すでにメモリ内に格納されているものとする。
本実施の形態では、黒K作像用の感光体200Kのホームポジション信号300を基準にしてパッチ生成した時の位相検出について説明した。このため、各色(M、C、Y)の作像用の各感光体200(M、C、Y)のホームポジション信号301〜303は、黒Kを基準として、ほぼ同じ位相となる。そこで、黒Kのホームポジション信号300を基準として、各色K、M、C、Yのパッチ書込みタイミング(対角ブロックの始端)を定めて、各色位相データとして保持しても問題ない。
また、本実施の形態では、感光体200(K、M、Y、及びC)のホームポジション信号300〜303を基準にしたが、中間転写ベルト101のホームポジション信号を、前記各色位相の基点に用いても良い。この場合は、転写ベルト1周分のテストパターン及び1周間隔のテストパターンを生成する。転写ベルト1周分には、感光体の整数周分のトナーパッチが含まれることになる。
本実施の形態に戻り、図9を用いて、「調整値の設定」における位置ずれ補正について説明する。図9に示すように、作像制御部151は、テストパターン画像501を形成する。このテストパターン画像は、主走査方向における走査線の曲がりを検出するために、印刷するページ(点線領域511)とページ(点線領域512)との間に、印刷領域内及び当該領域外に、トナーパッチが形成された画像とする。なお、本実施の形態では、印刷領域内及び当該領域外にトナーパッチを形成したが、印刷領域内のみであっても良い。
なお、作像制御部151が、図9に示したテストパターン画像501を、ページ間に形成するのは、毎ページで実施する必要は無い。例えば、所定ページ数毎、所定の温度変化があった場合、および/又は所定経時の間隔で、実施すればよい。また、作像制御部151が、印刷前にテストパターン画像501のパッチパターンを形成する際は、ページ間は無いのでどのタイミングで形成しても良い。
そして、画像位置検出器400a〜400eにより計測された、主走査方向での印刷領域に対応する領域内に形成したトナーパッチの位置ずれ量は、調整値生成部154が、走査線曲りによる位置ずれの算出に用いる。
さらには、調整値生成部154が、領域内に形成されたトナーパッチを用いた位置ずれ量と、印刷領域外のみに形成したトナーパッチを用いた位置ずれ量と、を用いて、色毎のオフセット量Pmoff、Pcoff、Pyoffを算出する。以下にオフセット量の算出の式を示す。マゼンタMのオフセット量Pmoffを式(1)に、シアンcのオフセット量Pcoffを式(2)に、イエローyのオフセット量Pyoffを式(3)に示す。
Pmoff = (Pm201+Pm201C)/2−(Pm201F+Pm201C)/2……(1)
Pcoff = (Pc201+Pc201C)/2−(Pc201F+Pc201C)/2……(2)
Pyoff = (Py201+Py201C)/2−(Py201F+Py201C)/2……(3)
なお、上述した変数は、図9で示された変数とする。すなわち、Pm201、Pc201、Py201は、印刷領域外の位置ずれ量とし、Pm201C、Pc201C、Py201Cは、印刷領域内中央の位置ずれ量とし、Pm201F、Pc201F、Py201Fは、印刷領域内の端側の位置ずれ量とする。
そして、上述した式(1)〜式(3)から、調整値生成部154は、走査線曲がりが無い場合には、オフセット量はゼロと設定するが、走査線曲りがある場合には、印刷領域外の目標のピッチ間隔Pm、Pc、Pyとして、以下に式(4)〜式(6)で算出する値を設定する。パッチパターンの新たな目標ピッチ間隔(目標の相対的時間差)となる。
Pm=Pm+Pmoff……(4)
Pc=Pc+Pcoff……(5)
Py=Py+Pyoff……(6)
このように、本実施の形態にかかるカラーレーザプリンタ1では、走査線曲りによる位置ずれと、目標ピット間隔と、を考慮して各色の作像がなされることになる。
図12は、黒を基準としたマゼンダMの位置ずれを、黒Kの作像用感光体200Kの1周分示した図である。図12に示す位置ずれ量は、印刷前又は印刷中の所定のタイミング(例えば、温度変化、時間変化、ページ変化)で、図9に示すテストパターン画像のうち、印刷領域外に形成したトナーパッチを用いて算出している。具体的には、位置差検出部153が、この印刷領域外の、基準色(黒K)のトナーパッチに対する、他の色の一つであるマゼンタMのトナーパッチの位置ずれ(副走査方向yの相対位置ずれ)を、黒K作像用の感光体200Kの1周(1回転)分算出している。
図3に示す、形成されたテストパターン画像では、黒Kのトナーパッチ404Kに対する他の各色のトナーパッチ404M、404C、404Yの位置差を、位置差Pm101、Pc101、Py101、・・・として示している。そして、スタート点の黒Kトナーパッチは、黒K作像用の感光体200Kのホームポジション信号300から特定の時間(位相)経過した後、所定のパッチ書き出しタイミングで開始されたものとする。また、Pm101、Pc101、Py101は、最初に形成したパッチ間隔(位置差)である。
そして、図12では、この図3で示された黒KとマゼンタMとのピッチ間隔Pm101〜Pm112をサンプリングした結果を黒の点で表し、実際の位置ずれ変動を実線で表している。
ところで、この変動は、黒K用の感光体200Kと、マゼンタM用の感光体200Mとのの速度変動の位相差から、黒Kパッチに対するマゼンタMパッチの位置ずれ(レジストずれ)が発生しているものである。そして、図12の点線に示すように、位置ずれは、感光体1周期毎に、空間周波数変動として現れる。また、図12の実線に示されるように、高い空間周波数は、感光体駆動系のギヤのピッチ変動やモータのトルク変動などで発生している。
ただし、感光体1周のみの複数のサンプリング結果では、検出誤差が含まれているため、誤差が大きい。そこで、感光体のホームポジション信号を基準とした、同じ位相のタイミングで、同一形状のトナーパッチが所定ピッチで感光体1周分分布するテストパターンを、N数回の形成を行う。そして、位置差検出部153が、各テストパターン上の同一位相(同一位置)のトナーパッチの位置ずれを平均化(Pm101+Pm201+…+PmN01/N)する。当該平均化された位置ずれ量を用いることで、検出誤差を小さくできる。
そして、調整値生成部154が、平均化された位置ずれ量に基づいて、感光体1周期分の黒Kに対するマゼンタMの位置ずれの近似曲線(図12に示された点線)を算出する。そして、調整値生成部154が、以下に示す正弦波の式(7)で近似を行う。
Pm = Pmm×sin(2π×T/Tk+θ)……(7)
その後、調整値生成部154は、該正弦波の1周期の中の10°毎のサンプリング各点の位置ずれ量を生成した後、当該位置ずれ量を相殺するため副走査方向位置調整値を算出し、位置ずれ補正部107内の図示しないメモリ(RAM)内の補正量変換テーブルに格納する。そして、位置ずれ補正部107では、当該副走査方向位置調整値と、当該副走査方向位置調整値を調整するために必要な液晶偏向素子駆動電圧(調整値)と、を図示しないメモリ上に予め対応付けて保持する。そして、位置差調整制御部152が、メモリから副走査方向調整量を読み出した後、当該副走査方向調整量に対応する液晶偏向素子駆動電圧(調整値)に変換し、変換した液晶偏向素子駆動電圧を各偏向ドライバ28y、28c、及び28mに出力することで、位置ずれの補正制御を行う。
ここで、Pmは基準色Kの作像位置(副走査方向)に対するマゼンタMの作像位置ずれ量とする。そして、Pmmは、図12の各ポイント(サンプリング点)の平均測定値の(Max−Min)/2とする。そして、Tkは、感光体が1回転で経過する時間とする。θは、黒のホームポジション信号300とマゼンタMのホームポジション信号301間との時間差に基づく位相ずれを表している。なお、本実施の形態とは異なるが、変形例としては、最少二乗近似により3次曲線(Pm=A×T^3+B×T^2+C×T+D)で表すことも可能である。
そして、これら近似曲線を用いて、位置差検出部153が、感光体のホームポジションからの位相(例えば時間)に対する位置ずれを算出する。そして、調整値生成部154が、この変動成分を打ち消すような副走査方向位置調整値に変換し、ホームポジションを基準とした位相(例えば時間)と副走査方向位置調整値とを対応付けて、補正量変換テーブルに格納する。
図13は、位置ずれ補正部107内で保持された、補正量変換テーブルのテーブル構造を示した図である。図13に示すように、補正量変換テーブルは、感光体1回転内の10°毎のサンプリング各点(の位相を示す度数℃)と、当該サンプリング各点における副走査方向位置調整値(調整量μm)と、を対応付けて保持している。図13に示すように、サンプリング各点として、感光体の一回転の基点0(360)°に対応する位相から、終点350度までの位相を、10℃毎に順に格納している。このように、図13では、位相(時間ms)は、マゼンタM作像用の感光体200Mの1周の回転角0(360)〜350度の、基点0(360)度(ホームポジション)からの経過時間を示す。なお、本実施の形態においては、位相を示す度数毎に、副走査方向位置調整値を対応付けて格納したが、例えば、当該位相を経過するために要する時間と、副走査方向位置調整値とを対応付けて格納しても良い。
当該補正量変換テーブルを参照することで、感光体1回転する間における、副走査方向の副走査方向位置調整値が特定できる。そして、調整値生成部154が、位置ずれ補正部107が保持するメモリを参照し、当該副走査方向位置調整値から、液晶偏向素子駆動電圧(調整値)を特定する。そして、特定された液晶偏向素子駆動電圧(調整値)が、各偏向ドライバ28y、28c、及び28mに出力される。
ところで、本実施の形態にかかるカラーレーザプリンタ1で、印刷していると印刷中に経時位置ずれPhが生じることがある。しかしながら、上述した「調整値の設定」を頻繁に実行すると、印刷のスループットが下がる。このため、本実施の形態では、「調整値の更新」を行うこととした。まずは、経時位置ずれPhについて説明する。
図14は、時間が経過した後の位置ずれを、黒Kの作像用感光体200Kの1周分示した図である。図14に示す位置ずれは、印刷中に図10に示す印刷領域外に形成したトナーパッチによるテストパターン画像を用いて計測した、基準色(黒K)のトナーパッチに対する、他の色の一つであるマゼンタMのトナーパッチの経時位置ずれPhを示している。
図15は、印刷中のテストパターン画像による、黒Kのトナーパッチ404Kに対する他の各色のトナーパッチの位置差を示した図である。図15に示す図では、位置差を位置差Pm101、Pc101、Py101、Pm201、Pc201、Py201として示した。
スタート点の黒Kトナーパッチは、黒K作像用の感光体のホームポジション信号300から特定の時間(位相)のパッチ書き出しタイミングで形成したものとする。そして、位相差Pm101、Pc101、及びPy101は、最初に形成したパッチ間隔(位置差)とする。そして、調整値更新部155は、図15に示す黒KとマゼンタMのピッチ間隔Pm101をサンプリングし、印刷前にサンプリングした結果との差分(経時位置ずれPh)を算出する。図14に、算出された経時位置ずれPhを、黒の1点鎖線で表している。この差分は、印刷開始からの時間変化、温度変化、ページ数などから発生しているものである。
また、感光体1周のみの1回のサンプリング結果では、検出誤差が含まれているため、誤差が大きい。そこで、感光体のホームポジション信号を基準とした、同じ位相のタイミングで、同一形状のトナーパッチが所定ピッチで感光体1周に1回のテストパターンを、N数回の形成を行う。そして、位置差検出部153が、各テストパターン上の同一位相(同一位置)のトナーパッチの位置ずれを平均化(Pm101+Pm201+…+PmN01/N)する。このように平均化された位置ずれ量を用いることで、検出誤差を小さくできる。
調整値更新部155は、検出された経時位置ずれの結果をもとに、図13で示したテーブル値に、経時位置ずれPhを加算して、副走査方向位置調整値を更新する。図16は、更新された後に位置ずれ補正部107内で保持された、補正量変換テーブルのテーブル構造を示した図である。
図16に示すように、調整値更新部155は、副走査方向の作像位置補正量Phが定まると、各点の副走査方向位置調整値のそれぞれに対して、感光体200の一回転の基点0(360)°のものから終点350度のものまで、作像位置補正量Phを加算する。そして、位置差調整制御部152が、メモリ内に保持された副走査方向位置調整値と駆動電圧との対応関係を用いて、作像位置補正量Phが加算された副走査方向位置調整値から、駆動電圧値を導き出す。
また、調整値更新部155が副走査方向位置調整値を更新するために、各テストパターン画像を、感光体200のホームポジションを基準に、感光体200Kの1周毎の間隔で生成する。これにより、位置ずれの経時変化を抑止することができる。
上述した説明では、マゼンタMの作像位置調整用の補正量変換テーブルの例について説明したが、他の色であるシアンC及びイエローYについても同様の補正量変換テーブルを、位置ずれ補正部107に保持しているものとする。そして上述した処理により補正量の生成、更新と、当該補正量に基づく駆動電圧の算出が行われる。
なお、今回、黒を基準に説明したが、基準色は、黒K以外のM(マゼンタ)、C(シアン)又はY(イエロー)のいずれとしてもよい。また、作像プロセスを実行する上で、感光体のホームポジション信号とは別の、ホームポジション信号と同等の基点となりえるタイミングがあれば、これを基点として、K、M、C、Yそれぞれの作像位置ずれを検出し、K、M、C、Yそれぞれの補正量変換テーブルを生成し、画像印刷時には、各補正量変換テーブルと、補正量及び駆動電圧との対応関係と、を用いてK、M、C、Yそれぞれの副走査方向作像位置調整を行うようにすることもできる。
ところで、一旦カラーレーザプリンタ1の動作を停止、又は電源をOFFした場合、温度変化などにより、位置ずれ量が変化する。
また、感光体200K〜Yの回転が停止すると、位置差調整制御部152が、感光体200K〜Yを制御して、各感光体200K〜Yの、副走査方向の作像位置を、上述した下基点に戻す制御を行う。これにより、感光体の停止によってホームポジションと色ずれの位相関係が不定になったのを初期化する。
その上で、カラーレーザプリンタ1は、再度印刷動作を開始する直前に、位置ずれ補正部107が、上述した「調整値の設定」を実行する。
本実施の形態では、位置ずれ差を低減するための調整値として副走査方向位置調整値をメモリ内に保持する例について説明した。しかしながら、調整値を副走査方向位置調整値に制限するものではなく、例えば、偏向ドライバを駆動させるための駆動電圧等でも良い。
本実施の形態において、プリントコマンドに応答する作像が行われた場合に、位置ずれ補正部107は、黒K作像用の感光体200Kのホームポジション信号300を基点として副走査位置同期パルスをカウントアップし、カウント値が、10°刻みの0(360)°〜350°対応の各値になる毎に、M、C、Y各色の補正量変換テーブルから、補正量を読み出した後、当該補正量に対応する調整値(図13又は図16で示した補正量に対応する調整値、換言すれば液晶偏向素子駆動電圧の指示データ)に変換する。
そして、位置差調整制御部152が、当該液晶偏向素子駆動電圧の指示データを、偏向ドライバ28(28m、c、y)に与えてラッチする。すなわち偏向ドライバ28内の入力ラッチのデータを、読出しデータで更新する。更新した電圧指示データに対応する駆動電圧を、偏向ドライバ28(28m、c、y)が液晶偏向素子19(19m、c、y)に印加する。これにより、液晶偏向素子19(19m、c、y)が、図8に示すような位置変動特性で感光体200M、C、Kに対するレーザ露光位置(副走査方向)を調整できる。
本実施の形態にかかるカラーレーザプリンタ1では、上述した構成を備えることで、図12に示した位置ずれを解消すると共に、経時変化により生じる図14で示す位置ずれを解消することができる。この際、経時位置ずれに対応する補正量の更新は、ページ間でなくとも可能であるため、スループットの低下を抑止できる。このように、黒Kに対するマゼンタM、シアンCおよびイエローYの作像位置ずれが、実質的に解消する。すなわち感光体1回転内の位置ずれ(色ずれ)の変動がなくなる。
なお、本実施の形態では、ホームポジション信号として、感光体駆動モータ(又は転写ベルト駆動モータ)のロータリーエンコーダに設けられた、1回転に1パルスの信号を用いた場合について説明した。しかしながら、通常モータ1回転のパルス数が判っているので、カウンタを用いて擬似的に、ホームポジション信号を形成することもできる。さらに、感光体や転写ベルトなどにホームポジションマーカを設けて、本体に取り付けた光センサー等で、マーカを検出してホームポジション信号を形成することもできる。
本実施の形態では、カラーレーザプリンタ1各作像ユニットの副走査方向の作像位置の基点を、各感光体200K〜Yのホームポジション信号300〜303のタイミングで定める。
本実施の形態にかかるカラーレーザプリンタ1は、上述した構成を備えることで、感光体200K〜Yの速度変動に起因する色ずれと、感光体の書込み位置関係より生じる色ずれと、を低減することが可能である。
(第1の実施の形態の変形例)
本実施の形態では、各感光体のホームポジション信号を基点としてテストパターン画像を生成する例について説明した。しかしながら、本実施の形態はこのようなテストパターン画像の生成に制限するものではない。変形例にかかるレーザプリンタとしては、中間転写ベルト101のホームポジション信号を基点にして各色テストパターンを形成することが考えられる。当該変形例のレーザプリンタでは、印刷前又は印刷中の所定のタイミング(温度変化、時間変化、ページ変化)に、中間転写ベルト101の複数周(複数回転)分のサンプリングデータを平均化し、中間転写ベルト101の1周の位置ずれ成分を算出する。中間転写ベルト101の1周分の位置ずれ量を、少なくとも感光体の1周分の周波数以上の近似曲線を生成し、中間転写ベルト101のホームポジションからの位相と位置ずれ補正のための駆動電圧とを対応付けた、駆動電圧変換テーブルを生成する。
そして、当該変形例に係る位置差調整制御部が、駆動電圧変換連テーブルの、位相と対応付けられた駆動電圧を用いて、副走査方向の作像位置調整を実行することで、各色間の副走査方向の位置ずれ(色ずれ)が少なく、色合変動が少ない画像を得ることが可能である。
当該変形例にかかる各色の駆動電圧変換テーブルに格納された駆動電圧値は、印刷動作中に更新される。これは、作像制御部が、中間転写ベルト101上に、テストパターン画像を、中間転写ベルトの1周期の中で、色毎に1回形成する。そして、調整値更新部が、形成された各色のテストパターン画像のトナーパッチを用いて算出された経時位置ずれに基づいて、駆動電圧値が更新する。また、駆動電圧値の更新を行う際に、第1の実施の形態と同様に、テスト−パターンをN回形成し、位置ずれ量を平均化する処理をおこなうものとする。これにより、検出誤差を小さくできる。
調整値更新部は、その結果をもとに、元の位置ずれに経時位置ずれPhを加えた補正量に対応する駆動電圧で、駆動電圧変換テーブルを更新する。
そして、位置差調整制御部が、中間転写ベルト101のホームポジションからの位相(副走査方向の作像位置)毎に対応付けられた駆動電圧を読み出して、偏向ドライバ28(Y,C、M)に出力することで、位置ずれ補正を実現できる。これにより第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
本変形例にかかるカラーレーザプリンタ1では、作像制御部が各テストパターン画像の基点を、中間転写ベルト101のホームポジション信号のタイミングで定めることとした。これにより、中間転写ベルト101の速度変動に起因する色ずれと感光体200K〜Yの書込み位置関係より、色ずれを低減することが可能である。
本実施の形態にかかるカラーレーザプリンタ1は、同一用紙上に異色画像を重複記録する際に、の各色画像の相対的な位置ずれ、すなわち色ずれを改善する。とくに、周期的な周波成分に起因する色ずれピッチむらを軽減することができる。これにより、色ずれや色合変動の少ない良好なカラー画像を実現できる。
本実施の形態にかかるカラーレーザプリンタ1では、調整値更新部155が、テストパターン画像毎に、テストパターン画像間の位置差、すなわち画像ずれを低減するための調整値を、副走査方向の位置差の変動を変動周期の少なくとも1周期分の間隔で、副走査位置と対応付けて更新を行い、位置差調整制御部152が、作像が指示された画像を形成する作像工程で、各作像における副走査方向の作像位置に対応する、メモリの調整値を用いて、各作像の副走査方向の作像位置差を低減すべく調整する。これにより、経時的な画像ずれを低減できる。
すなわち、本実施の形態にかかるカラーレーザプリンタ1では、主走査ラインピッチの変動が低減し経時的なピッチむらが低減できる。カラー画像形成における色ずれ、色合等を有効に軽減して良好な画像を形成できる。また、両端部に生成するパッチを極力少なくしてトナー・インクの消費量及びクリーンニングへの負担を軽減できる。
(第2の実施の形態)
図17は、第2の実施の形態にかかる、タンデム方式のカールソンプロセスを用いるカラーレーザプリンタ1700の構成を示すブロック図である。カラーレーザプリンタ1700は、上述した第1の実施の形態にかかるカラーレーザプリンタ1とは、偏向ドライバにより偏向制御を行うのではなく、感光体200K〜Yを駆動させるモータの速度制御を行う例とする。また、カラーレーザプリンタ1700は、位置ずれ補正部107の代わりに位置ずれ補正部1711を備えているものとする。以下の説明では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。
第2実施の形態では、各色作像用の各感光体200K〜Yはそれぞれに宛てられた各パルスモータで回転駆動される。各パルスモータは、各モータドライバ30(30k、30m、30c、30y)が与える一連の電圧パルスによって回転駆動され、該パルスの周波数(周期)を変更することによってモータの回転速度、すなわち感光体200K〜Yの回転速度が変化し、色間で回転速度を変えることで、色間の作像の位置ずれを補正する制御を行う。
そこで、第2の実施の形態にかかるカラーレーザプリンタ1700では、位置ずれ差を調整する手段として、各モータドライバ30(k、m、c、y)、速度制御部29、および位置ずれ補正部1711で構成した。
各モータドライバ30(k、m、c、y)は、複数の作像ユニットの各感光体を回転駆動する各電気モータをパルス回転駆動する。速度制御部29は、各モータドライバ30(k、m、c、y)が電気モータをパルス駆動するパルスの周期又は周波数を、第1の実施の形態で示した副走査方向位置調整値に対応する値で制御する。
位置ずれ補正部1711は、第1の実施の形態の位置ずれ補正部107と比べて、位置差調整制御部152の代わりに位置差調整制御部1721を備えている点とする。なお、他の構成については同様の構成とする。
つまり、「調整値の設定」において、作像制御部151が、第1実施の形態と同様にテストパターン画像を形成する。位置差検出部153が、黒Kの作像に対する、M、C、Y各作像それぞれの位置ずれ量を検出した後、調整値生成部154が副走査方向位置調整値の生成し、その後調整値更新部155が副走査方向位置調整値を更新する。生成、更新された副走査方向位置調整値は、位置ずれ補正部1711の内部メモリに格納される。
そして、位置差調整制御部1721が、図示しない調整値/周波数変換テーブルを用いて、位置ずれ量をゼロにするために、副走査方向位置調整値をモータ駆動パルス周波数に変換して、色(M、C、Y)毎のずれ量補正テーブルに書込む制御を行う。なお、黒Kのずれ量補正テーブルには、0(360)°〜350°対応アドレスのいずれにも、基準周波数データ(周波数指示データ)を書き込む。それ以外の色(M、C、Y)のずれ量補正テーブルには、0(360)°〜350°対応アドレスのそれぞれと対応させて、モータ駆動パルス周波数を保持する。
プリントコマンドに応答する作像を行う際、位置差調整制御部1721は、黒K作像用の感光体200Kのホームポジション信号300を基点として副走査位置同期パルスをカウントアップし、カウント値が、10°刻みの0(360)°〜350°対応の各値になるたびに、K、M、C、Y各色ずれ量補正テーブルから、モータ駆動パルスの周波数を読み出して、速度制御部29に与えてラッチする。すなわち速度制御部29の入力ラッチのデータを、読出しデータに更新する。更新した周波数のモータ駆動パルスをモータドライバ30(k、m、c、y)が感光体駆動モータ(パルスモータ)に印加する。
これにより、図12、図14に示すような、黒Kに対するマゼンタM、シアンCおよびイエローYの作像位置ずれが、実質的に解消する。すなわち感光体200(K〜Y)の1回転内の位置ずれ(色ずれ)の変動がなくなる。
(第3の実施の形態)
図18は、第3の実施の形態の、タンデム方式のカールソンプロセスを用いるカラーレーザプリンタ1800のマルチレーザビーム光走査装置202のブロック構造を示した図である。図18に示すように、マルチレーザビーム光走査装置202は、各色K、M、C、Y作像用のレーザビームを出射する半導体レーザ26k、26m、26c、26yを発光駆動する画像書込制御部1820と、半導体レーザ26(k、m、c、y)と、を備えている。また、第3の実施の形態では、第1の実施の形態の位置ずれ補正部107と異なる位置ずれ補正部1801を備えている。なお、第3実施形態のその他の構成および機能は、上述の第1実施の形態のものと同様として説明を省略する。
位置ずれ補正部1801は、第1の実施の形態の位置差調整制御部152と実行する処理が異なる位置差調整制御部1811を備え、各種テーブルが保持された点以外同様の構成とする。
位置差調整制御部1811は、色毎の位置ずれ差を抑止する制御を行う。なお、具体的な処理に付いては後述する。
マゼンタM、シアンC、イエローYおよびブラックKの各色画信号宛ての印字画像制御部25k、25m、25cおよび25yは、位置ずれ補正部1801のプロセスコントローラの命令に従って、画像書込制御部20全体を制御する。そして、印字画像制御部25k、25m、25cおよび25yは、外部の各画信号生成回路から入力出力される画信号K、C、MおよびYを、レーザ駆動回路23k、23c、23mおよび23yに転送する。
第3の実施の形態では、位置差調整手段は、各作像ユニットの感光体を露光するマルチレーザビーム光走査装置202の、各作像ユニット対応のサイクリックカウンタ31(k、m、c、y)、セレクタ32(k、m、c、y)、及び位置差調整制御部1811で構成されている。
サイクリックカウンタ31(k、m、c、y)は、ポリゴンミラー12の反射面切換りに対応する、レーザ光検出器18(k、m、c、y)が発生するレーザ検出信号すなわちポリゴンライン同期信号(ライン切替え信号)をカウントする。
セレクタ32は、各サイクリックカウンタ31(k、m、c、y)のカウント値対応の各ライン切替え信号の、各色位相制御テーブルにある調整値(位相指定データ)に対応する1つを、各作像ユニット対応の光駆動位相同期回路22(k、m、c、y)に対して出力する出力ライン同期信号として選択する。
位相制御テーブルは、0(360)°〜350°対応アドレスと、位相指定データと、を対応付けて保持する。位相指定データは、対応アドレス毎にずれ量をゼロにするための、出力ライン同期信号の基準位相を指定するデータとする。
位置ずれ補正部1801は、「調整値の設定」において、第1の実施の形態と同様に、作像制御部151が、テストパターン画像を形成し、位置差検出部153が、黒Kの作像に対する、M、C、Y各作像それぞれの位置ずれ量を算出し、調整値生成部154及び調整値更新部155が算出した位置ずれ量を、位置ずれ補正部1801の内部メモリに格納しているずれ量/位相変換テーブルを用いて、ずれ量をゼロにするための出力ライン同期信号の位相指定データに変換し、M、C、Y各位相制御テーブルに書込む。また、黒Kの位相制御テーブルには、0(360)°〜350°対応アドレスのいずれにも、基準位相を指定するデータ(位相指定データ)が書き込まれる。
なお、第3の実施の形態では、実際のライン記録周期(出力ライン同期K〜Yの周期)は、ポリゴンミラー12の4面の切換り時間(レーザ光検出器18が発生するライン同期K〜Yの4周期)とする。
サイクリックカウンタ31(k〜y)は、ライン同期K〜Yの連続4パルスを、1個づつ分別する。
セレクタ32は、上記いずれか1つのパルスをセレクタ32で選択し、出力ライン同期信号として位相同期回路22に出力する。
したがって第3実施の形態では、実際の作像の副走査速度は、ポリゴンミラー12の副走査速度の1/4である。
各色位相変換テーブルは、0(360)°〜350°対応アドレス毎に、調整値として位相指定データを対応付けて保持している。副走査位相指定データは、図19に示すカウンタ31の出力0〜3のいずれを選択出力するかを示したデータである。
図19は、ポリゴンライン同期信号と、ポリゴンライン同期信号(ライン切替え信号)をカウンタ31(k〜y)で分類出力された信号と、セレクタ32が選択した、出力ライン同期信号との対応関係を示した図である。
また、黒K用の位相変換テーブルには、0(360)°〜350°対応アドレスのいずれにも、調整値として、カウンタ31の出力「0」の出力ライン同期信号を指定する位相指定データが書き込まれる。
プリントコマンドに応答する作像において、位置差調整制御部1811は、黒K作像用の感光体200Kのホームポジション信号300を基点として副走査位置同期パルスをカウントアップし、カウント値が、10°刻みの0(360)°〜350°対応の各値になるたびに、K、M、C、Y各色の位相変換テーブルから位相指定データを読み出して、セレクタ32に与えてラッチする。
すなわちセレクタ32の入力ラッチのデータを、読出した位相指定データに更新する。更新した位相指定データが指定する位相の出力ライン同期信号(カウンタ31の、図19に示す0〜4出力の1つ)を、セレクタ32が位相同期回路22に出力する。
これにより、図12及ぶ図14に示すような、黒Kに対するマゼンタM、シアンCおよびイエローYの作像位置ずれが、実質的に解消する。すなわち感光体1回転内の位置ずれ(色ずれ)の変動がなくなる。
(第4の実施の形態)
図20は、第4の実施の形態の、タンデム方式のカールソンプロセスを用いるカラーレーザプリンタ2000のマルチレーザビーム光走査装置202のブロック構造を示した図である。図20に示すように、マルチレーザビーム光走査装置202は、各色K、M、C、Y作像用のレーザビームを出射する半導体レーザ26k、26m、26c、26yを発光駆動する画像書込制御部2020と、半導体レーザ26(k、m、c、y)と、を備えている。また、第4の実施の形態では、第1の実施の形態の位置ずれ補正部107と異なる位置ずれ補正部2001を備えている。なお、第4実施形態のその他の構成および機能は、上述の第1実施の形態のものと同様として説明を省略する。
位置ずれ補正部2001は、第1の実施の形態の位置差調整制御部152と実行する処理が異なる位置差調整制御部2011を備え、各種テーブルが保持された点以外同様の構成とする。
位置差調整制御部2011は、色毎の位置ずれ差を抑止する制御を行う。なお、具体的な処理に付いては後述する。
マゼンタM、シアンC、イエローYおよびブラックKの各色画信号宛ての印字画像制御部25k、25m、25cおよび25yは、位置ずれ補正部1801のプロセスコントローラの命令に従って、画像書込制御部2020全体を制御する。そして、印字画像制御部25k、25m、25cおよび25yは、外部の各画信号生成回路から出力される画信号K、C、MおよびYを、光駆動回路であるレーザ駆動回路23k、23c、23mおよび23yに転送する。
レーザ駆動回路23(k、c、m、y)は、光制御電圧に応じた強度に半導体レーザ26(k、c、m、y)を発光駆動する。
第4実施の形態では、位置ずれ差を調整する手段として、マルチレーザビーム光走査装置202の、各作像ユニット対応のレーザ駆動回路23(k、m、c、y)、及び位置ずれ補正部2001を含む。レーザ駆動回路23(k、m、c、y)が、位置差調整制御部2011により出力された、発光強度変換テーブルで調整値として対応付けられている光強度指定データを用いて、半導体レーザ26(k、c、mおよびy)を発光駆動する。
位置ずれ補正部2001は、「調整値の設定」において、第1の実施の形態と同様に、作像制御部151が、テストパターン画像を形成し、位置差検出部153が、黒Kの作像に対する、M、C、Y各作像それぞれの位置ずれ量を算出し、調整値生成部154及び調整値更新部155が算出した位置ずれ量を、位置ずれ補正部1801の内部メモリに格納しているずれ量/光強度変換テーブルを用いて、位置ずれ量を覆うレーザ光強度にするための光制御電圧指定データに変換し、M、C、Yの各光強度制御テーブルに書込む。また、黒Kの光強度制御テーブルには、0(360)°〜350°対応アドレスのいずれにも、基準光強度指定データが書込まれる。
プリントコマンドに応答する作像において、位置差調整制御部2011は、黒K作像用の感光体200Kのホームポジション信号300を基点として副走査位置同期パルスをカウントアップし、カウント値が、10°刻みの0(360)°〜350°対応の各値になるたびに、K、M、C、Y各色光強度制御テーブルから光強度指定データを読み出して、レーザ駆動回路23に与えてラッチする。
すなわちレーザ駆動回路23の入力ラッチのデータを、光強度指定データで更新する。更新した光強度指定データに対応する光制御電圧でレーザ駆動回路23が半導体レーザ26を発光付勢する。これにより、図12及ぶ図14に示すような、黒Kに対するマゼンタM、シアンCおよびイエローYの作像位置ずれが、外見上低減する。すなわち感光体1回転内の位置ずれ(色ずれ)の変動が少なくなる。
なお、第1〜4実施の形態は、いずれも、レーザ走査により感光体に画像光を露光するものであるが、LEDを主走査方向に高密度に並べたLEDアレイを、レーザ走査に代わる光源に用いても上述と同様な副走査位置ずれ調整が可能である。LEDアレイを用いて、副走査方向の位置を電気的に補正する場合、調整値をLEDの発光タイミング調整値として、LEDの発光タイミングを早くしたり遅らせたりする態様でも可能である。
(第5の実施の形態)
上述した実施の形態では、レーザプリンタの例について説明した。しかしながら、それ以外のカラー画像形成装置についても適用できる。そこで、第5の実施の形態では、インクジェットカラー画像形成装置の例について説明する。
図21は、第5の実施の形態にかかるインクジェットカラー画像形成装置2100の構造を示した図である。作像手段は、用紙搬送による用紙の移動方向である副走査方向に、該副走査方向に直交する主走査方向にライン記録する、黒K、シアンC、マゼンタMおよびイエローYの各色インクを噴射する各インクジェットヘッド部2151、2152、2153、2154を配列したタンデム方式のインクジェット記録機構とする。用紙550は、カット紙ではなく、ロール紙などの連続紙を用いた例とする。なお、上述した実施の形態では、変動周期を感光体の一周分としたが、本実施の形態では、ロール紙を搬送する用紙搬送ローラの1周の毎とする。
印字画像制御部2101は、通常のインクジェットカラー画像系形成装置が備えるものと同様の印字画像制御を行うものとする。
インクジェットカラー画像形成装置2100の位置ずれ補正部2102は、第1の実施の形態と比べて、位置差調整制御部152と異なる位置差調整制御部2111を備えているものとする。なお、第5実施形態のその他の構成および機能は、上述の第1実施の形態のものとほぼ同様の処理を行う。
つまり、本実施の形態における作像制御部151が、用紙搬送ベルトに、該用紙搬送ベルトを支持する用紙搬送ローラの1周の整数倍に及んでテストパターン画像を形成する。そして、位置差検出部153が、基準のインク噴射ヘッドで形成したパッチに対する他のインクジェットヘッドで形成したパッチの位置差を検出する。そして、上記の整数倍分の位置差に基づいて平均位置差を求める。そして、求められた当該平均位置差に基づいて、位置ずれを抑止するための補正を行う。
ロール紙は、用紙がロール上に巻き込まれたもので、図示したように最初にロール紙551をセットし、インクジェットヘッド部2151〜2154やインクを乾燥するための乾燥機553を通過し、最後にロール紙552に巻きつけられる。なお、連続紙は、後工程で、印刷領域内の必要な箇所だけカットして、最終的に用いられている。画像位置検出器400a〜400eは、第2〜4実施の形態と同様とする。しかしながら、中間転写ベルトが無いため、有効印刷領域外の用紙部にテストパターンを形成する。なお、後工程でテストパターンは、印刷領域外のため、用紙のカットで削除されるものとする。
画像位置検出器400a〜400eは、黒K記録位置に対するマゼンタM、シアンCおよびイエローYの各色記録位置ずれを検出する。そして、調整値生成部154及び調整値更新部155が、第2、第3又は第4実施の形態と同様に、テストパターン画像毎に位置ずれを低減するための調整値を、副走査方向の位置ずれの変動周期の少なくとも1周期分、副走査位置対応で位置ずれ補正テーブルに格納する。
そして、位置ずれ補正部2102内の位置差調整制御部が、第2、第3又は第4実施の形態のものに相応し、プリントコマンドに応答して画像を形成する記録工程での各インクジェットヘッドによる副走査方向の作像位置に対応する補正変換テーブル上の調整値を用いて、各インクジェットヘッドの副走査方向の作像位置または記録ドットサイズを位置ずれが現れないように調整する。
(第5の実施の形態の変形例)
インクジェットカラー画像形成装置の変形例では、位置ずれ補正部2102内に、位置差を調整する手段として、各インクジェットヘッドをインク噴射付勢する噴射駆動回路601〜604に、各インクジェットヘッド宛の画像信号を与える(図示しない)印字画像制御部を含むものとする。
該印字画像制御部は、噴射駆動回路に与える画像信号に、補正変換テーブルの調整値に対応する副走査方向の遅延又は進みを加える制御を行う。調整値は、位置ずれを解消するための画像信号の遅延/進み時間又はタイミングとする。
さらになる変形例としては、インクジェットカラー画像形成装置の位置ずれ補正部2102内に、位置差を調整する手段として、各インクジェットヘッドの各ノズルから噴射するインク量(記録ドット径)を調整値に対応して増減する噴射駆動回路を含むものとする。調整値は、位置ずれを見えなくするドット径のインクを噴射する駆動電圧指定データとする。
なお、上述したカラー画像形成装置で実行される位置ずれ補正プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。
上述した実施の形態のカラー画像形成装置で実行される位置ずれ補正プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、上述した実施の形態のカラー画像形成装置で実行される位置ずれ補正プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上述した実施の形態のカラー画像形成装置で実行される位置ずれ補正プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
上述した実施の形態のカラー画像形成装置で実行される位置ずれ補正プログラムは、上述した各部(作像制御部、位置差調整制御部、位置差検出部、調整値生成部、調整値更新部)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから位置ずれ補正プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、作像制御部、位置差調整制御部、位置差検出部、調整値生成部、調整値更新部が主記憶装置上に生成されるようになっている。