JP2000252546A - ホール素子 - Google Patents

ホール素子

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JP2000252546A
JP2000252546A JP11050208A JP5020899A JP2000252546A JP 2000252546 A JP2000252546 A JP 2000252546A JP 11050208 A JP11050208 A JP 11050208A JP 5020899 A JP5020899 A JP 5020899A JP 2000252546 A JP2000252546 A JP 2000252546A
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film
insb
substrate
thickness
temperature
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JP11050208A
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Hideo Oura
秀男 大浦
Seiji Sakai
清治 酒井
Koichiro Yamazaki
皓一郎 山崎
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Victor Company of Japan Ltd
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いホール移動度が得られるInSb膜を用
いたホール素子を提供する。 【解決手段】 基板1上に形成した非晶質の下地膜2
と、前記非晶質の下地膜2上に、閃亜鉛鉱型構造で結晶
面方位が(111)面を有して所定のパターン形状に形
成したInSb膜5(又は9)と、前記非晶質の下地膜
2と前記InSb膜5(又は9)とに接触して形成した
電極11とを備えたことを特徴とするホール素子10を
提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高いホール移動度
が得られるInSb膜を形成したホール素子に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、CD−ROMやDVD等に用いら
れるホールモータは、ホール素子と磁石とで回転検出を
行うものであり、このホールモータの小型化に伴い、ホ
ールモータの回転検出に用いられる磁石も、そのサイズ
が小さくなってきている。この磁石のサイズが小さくな
ると、磁束密度が低くなるので、この磁束密度を検出す
るホール素子の感度は、ますます高感度化が要求され
る。このホール素子の材料としては、材料費が安価で、
高いホール移動度を有することから、高い感度が得られ
るInSbが広く用いられている。InSbのホール移
動度を高くするためには、結晶性を向上させる必要があ
る。実用的には、InSb膜のホール移動度は、200
00cm2/V/sec以上が要求されている。
【0003】このInSbホール素子の製造方法は、例
えば、特開平9−148652号公報及び特開平9−1
48653号公報に開示されているものがある。即ち、
特開平9−148652号公報には、雲母からなる基板
を用い、この基板上に真空蒸着法により、In過剰のI
nとSbとからなる層を形成し、更に、前記Inよりも
過剰なSbを蒸着して、InSb膜を形成後、このIn
Sb膜上にポリミイド樹脂を介してフェライトを載置
し、前記基板を剥離し、フェライト上にInSb膜を転
写し、更に、このInSb膜の上にフォトリソグラフィ
法によりホールパターンを形成し、所望の大きさにダイ
シングして、InSbホール素子が得られることが開示
されている。また、特開平9−148653号公報に
は、フェライト基板上にガラスを形成し、このガラス上
に真空蒸着法により、InとSbを蒸着し、更に、Sb
を蒸着してInSb膜を形成後、このInSb膜上にフ
ォトリソグラフィ法によりホールパターンを形成し、所
望の大きさにダイシングして、InSbホール素子が得
られることが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
場合には、雲母からなる基板上にInSb膜を形成する
と、高いホール移動度が得られるので、このInSb膜
から作製されたホール素子は、高感度となるが、前記基
板を剥離する際に、InSb膜を基板全体から完全に剥
離できなかったり、完全に剥離するためには時間が大幅
にかかることから、製造作業が難く、歩留まりが低かっ
た。このため、InSb膜の製造コストが高かった。ま
た、後者の場合には、フェライト基板に形成されたガラ
ス上にInSb膜を形成すると、InSb膜とガラスと
の間に格子のミスマッチがあるので、InSb膜は、無
配向となるため、ホール移動度が低く感度が上がらない
といった問題を生じていた。そこで、高いホール移動度
が得られるInSb膜を形成したホール素子が望まれて
いる。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題に鑑み
てなされたものであり、第1の発明は、基板上に形成し
た非晶質の下地膜と、前記非晶質の下地膜上に、閃亜鉛
鉱型構造で結晶面方位が(111)面を有して所定のパ
ターン形状に形成したInSb膜と、前記非晶質の下地
膜と前記InSb膜とに接触して形成した電極とを備え
たことを特徴とするホール素子である。また、第1の発
明のホール素子において、前記非晶質の下地膜は、Si
2、Al23、ガラス、AlN、SiN、TaN、T
iNのうちいずれか1つであることを特徴とするもので
ある。
【0006】また、第2の発明は、非晶質基板と、前記
非晶質基板上に、閃亜鉛鉱型構造で結晶面方位が(11
1)面を有して所定のパターン形状に形成したInSb
膜と、前記非晶質基板と前記InSb膜とに接触して形
成した電極とを備えたことを特徴とするホール素子であ
る。また、第2の発明のホール素子において、前記非晶
質基板は、SiO2又はガラスであることを特徴とする
ものである。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発
明に係るホール素子の一実施例について詳細に説明す
る。まず、本発明に係るホール素子を説明する前に、こ
のホール素子に適用されるInSb膜の形成方法につい
て第1乃至第4実施形態を先に説明する。本発明に係る
ホール素子に適用されるInSb膜の形成方法の第1実
施形態について以下に図1乃至図4を用いて説明する。
図1は、第1実施形態のInSb膜の形成方法を示す図
である。図2は、第1実施形態のInSb膜の形成方法
で作製されたInSb膜のXRD法によるX線回折強度
を示す図である。図2中、縦軸は、X線回折強度、横軸
は、2θ(deg)であり、dは第1実施形態のInS
b膜の形成方法で作製されたInSb膜、aは比較試料
A、bは比較試料Bである。図3は、熱処理温度を変化
させた場合に第1実施形態のInSb膜の形成方法で作
製されたInSbのXRD法によるX線回折強度を示す
図である。図3中、縦軸は、X線回折強度、横軸は、2
θ(deg)である。図4は、比較試料Cの場合のIn
SbのXRD法によるX線回折強度を示す図である。図
4中、縦軸は、X線回折強度、横軸は、2θ(deg)
である。
【0008】図1(A)に示すように、磁性フェライト
からなり、表面研磨した基板1上に非晶質のSiO2
らなる下地膜2をスパッタ法により形成する。このよう
にして、予め下地膜2が形成された基板1を用意する。
真空蒸着装置(図示せず)内に設置したSb用ボート及
びIn用ボートにそれぞれ、Sb及びInを入れ、予め
下地膜2が形成された基板1を加熱して所定温度にした
状態で、この下地膜2上に厚さ5nm乃至1500nm
のSb膜3、このSb膜3の厚さに対して化学量論組成
が成立する範囲(略5nm乃至1500nmの範囲)の
厚さのIn膜4を真空蒸着法により順次形成する。
【0009】この際、In膜4の厚さは、Sb膜3の厚
さと略等しいか、若干薄い程度がよい。次に、図1
(B)に示すように、これらの膜が形成された基板1を
真空中又は、窒素雰囲気中で所定の熱処理温度で熱処理
を行う。なお、熱処理を行う雰囲気は、Ar、He等の
不活性ガスを用いてもよい。この際、Sb膜3とIn膜
4とが互いに反応してInSb膜5が形成される。こう
して、基板1上に下地膜2を介してInSb膜5が形成
されたInSb薄膜基板6が得られる。
【0010】次に、Sb膜3の厚さ、下地膜2の材質、
基板温度、熱処理温度を変化させてInSb膜5を形成
し、このInSb膜5の結晶面方位についてXray
Diffraction Pattern法(以下、X
RD法という)により調べた。XRD法では、X線は、
InSb膜5の深さ方向に侵入するので、閃亜鉛鉱型構
造のInSb膜5の結晶格子からのX線回折強度を測定
することによって、InSb膜5の深さ方向の結晶面方
位を調べることができる。InSbは、(111)面に
配向した場合に、最も結晶性が良くなるので、InSb
膜5の深さ方向の(111)面を調べることによって、
InSb膜5が良好な結晶性を有しているかどうかがわ
かる。
【0011】まず始めに、Sb膜3の厚さを600n
m、In膜4の厚さを600nmにして形成した厚さ1
200nmのInSb膜5の結晶面方位について調べ
た。この時、基板温度は、120℃であり、熱処理温度
は、500℃である。また、真空蒸着法により、磁性フ
ェライトからなる基板上にSiO2を形成し、InとS
bを同時に蒸着を行った後、熱処理温度500℃で熱処
理をおこなって形成した厚さ1200nmのInSb膜
からなる比較試料Aと、真空蒸着法により、磁性フェラ
イトからなる基板上にSiO2を形成し、In、Sbを
順次形成後、熱処理温度500℃で熱処理を行って形成
した厚さ1200nmのInSb膜からなる比較試料B
とを比較例として用いた。
【0012】その結果、図2に示すように、比較試料A
及び比較試料Bでは、X線回折強度が(111)面以外
に(220)面、(311)面等の複数の面を生じ、深
さ方向でランダムな結晶面方位が形成され、無配向状態
を示した。一方、第1実施形態のInSb膜5は、閃亜
鉛鉱型構造の結晶面方位である(111)面のX線回折
強度が極めて強く、優先配向を示した。即ち、良好な結
晶性を有している。このことから、第1実施形態のIn
Sb膜5は、高いホール移動度を有し、良好な結晶性を
有していることがわかる。
【0013】次に、第1実施形態において、Sb膜3の
厚さを3nm乃至1700nmの範囲で変化させ、この
Sb膜3の厚さに対して化学量論組成が成立する範囲
(略3nm乃至1700nmの範囲)の厚さのIn膜4
を形成したInSb膜5の結晶面方位について調べた。
この時、基板温度は、120℃、熱処理温度は、500
℃である。その結果、Sb膜3の厚さが5nm乃至15
00nmの範囲では、(111)面のX線回折強度が極
めて強く、優先配向を示した。しかし、Sb膜3の厚さ
が5nm未満では、(111)面以外に磁性フェライト
のX線回折強度が観測され、特定面の配向を示さなかっ
た。
【0014】また、1500nm以上でも、(111)
面以外に(220)面、(311)面等のX線回折強度
が観測され、特定面の配向を示さなかった。即ち、Sb
膜3の厚さが5nm未満又は、1500nm以上では配
向が乱された状態となる。このことから、Sb膜3の厚
さを5nm乃至1500nmの範囲、In膜4の厚さ
は、Sb膜3の厚さに対して化学量論組成が成立する範
囲でInSb膜5を形成すれば、このInSb膜5は、
(111)面に優先配向し、良好な結晶性を有すること
がわかる。
【0015】ここで、Sb膜3の厚さが5nm未満と1
500nm以上で、配向が乱された状態となることにつ
いて説明する。Sb膜3の厚さが5nm未満では、磁性
フェライトのX線回折強度が観測されることからInS
b膜5が島状に形成され、結晶化されない状態となって
いるためと考えられる。また、InSb膜5の厚さが1
500nm以上の場合は、蒸着時間が長くなるため、S
b用ボート及びIn用ボートからの輻射熱により、真空
蒸着装置内部に吸着しているガスが再蒸発して、InS
b膜5に取り込まれたり、基板温度が上昇するため、I
nSb膜5が熱組成変形するためと考えられる。
【0016】次に、下地膜2として、SiO2を用いる
代わりに、Al23、無アルカリガラス(コーニング♯
7059)、AlN、SiN、TaN及びTiNからな
る非晶質膜を用いて形成したInSb膜5の結晶面方位
について調べた。この時、Sb膜3の厚さは5nm乃至
1500nmの範囲、In膜4の厚さは、Sb膜3の厚
さに対して化学量論組成が成立する範囲(略5nm乃至
1500nmの範囲)であり、基板温度は、120℃、
熱処理温度は、500℃である。その結果、いずれの非
晶質膜を用いた場合にも、(111)面のX線回折強度
が極めて強く、InSb膜5が優先配向していることを
示した。このことから、上記した非晶質膜を下地膜2に
用いてInSb膜5を形成すれば、このInSb膜5は
(111)面に優先配向し、良好な結晶性を有したもの
となることがわかる。
【0017】次に、基板温度を20℃乃至400℃の範
囲で変化させ、かつSb膜3の厚さは5nm乃至150
0nmの範囲、In膜4の厚さは、Sb膜3の厚さに対
して化学量論組成が成立する範囲(略5nm乃至150
0nmの範囲)で形成したInSb膜5の結晶面方位に
ついて調べた。この時、熱処理温度は500℃である。
その結果、Sb膜3及びIn膜4を形成する際の基板温
度を20℃乃至300℃の範囲でInSb膜5を作製し
た場合には、(111)面のX線回折強度が極めて強
く、優先配向を示したが、300℃以上では、(11
1)面以外の複数のX線回折強度が観測され、特定面の
配向を示さなかった。
【0018】このように、基板温度が300℃以上で配
向が乱れた状態になるのは、Sbの蒸発温度が300℃
付近にあるので、基板温度が300℃以上になると、基
板1上にSbが到達しても再蒸発してしまうため、Sb
膜3が形成されないので、InSb膜5が形成できなか
ったことによると考えられる。更に、Sb膜3、In4
膜及び熱処理温度を前記と同じ条件にし、基板温度を2
0℃未満にして形成したInSb膜5の結晶面方位につ
いても調べたが、(111)面のX線回折強度が極めて
強く、優先配向を示した。しかしながら、基板温度が2
0℃未満とは、基板1の加熱無しを意味するので、蒸着
するたびに真空蒸着機の内壁が空気中に晒されるため、
蒸着を開始する前に、この内壁に付着した水分を除去す
る必要があり生産性が低下する。このため、実用的では
ない。
【0019】この結果、基板温度を20℃乃至300℃
の範囲にしてInSb膜5を形成すれば、このInSb
膜5は(111)面に優先配向し、良好な結晶性を有し
たものとなることがわかる。なお、下地膜2にAl
23、無アルカリガラス(コーニング♯7059)、A
lN、SiN、TaN及びTiNからなる非晶質膜を用
いた場合も同様な効果が得られた。
【0020】次に、Sb膜3の厚さは150nm、In
膜4の厚さは、Sb膜3の厚さに対して化学量論組成が
成立する厚さ(略150nm)にして、熱処理温度20
℃乃至510℃の範囲に変化させて形成したInSb膜
5の結晶面方位について調べた。この時、基板温度は、
120℃である。ここで、熱処理温度20℃とは、室温
状態であるので、熱処理無しの状態と同じである。この
ため、以下では、熱処理温度20℃は、熱処理無しとい
うことにする。また、磁性フェライトからなる基板上に
SiO2を形成し、In、Sbを順次形成後、熱処理温
度20℃乃至510℃の範囲に変化させて形成した厚さ
150nmのInSb膜からなる比較試料Cを比較例と
して用いた。
【0021】その結果を図3及び図4に示す。図3中、
熱処理無しをL0、熱処理温度200℃の場合をL1、熱
処理温度300℃の場合をL2、熱処理温度400℃の
場合をL3、熱処理温度510℃の場合をL4で示す。図
4中、熱処理無しをM0、熱処理温度200℃の場合を
1、熱処理温度300℃の場合をM2、熱処理温度40
0℃の場合をM3、熱処理温度510℃の場合をM4で示
す。
【0022】その結果、図3に示すように、InSb膜
5の場合、熱処理無しでは、(111)面以外の複数の
X線回折強度が観測されるが、熱処理温度が300℃乃
至510℃の範囲では、(111)面のX線回折強度が
極めて強く、優先配向を示した。このことは、以下のよ
うに説明できる。熱処理温度が300℃乃至510℃の
範囲では、InとSbの拡散係数は、InSb膜5中で
大きいので、InとSbがInSb膜5中を移動し易く
なり、結晶面の配向が良好になるためと考えられる。更
に、熱処理温度510℃以上で熱処理を行った結果、複
数のX線回折強度が観測され、配向が乱された状態とな
った。これは、InSbの解離温度が510℃であるの
で、熱処理温度510℃以上では、InSbが解離して
しまうためと考えられる。
【0023】一方、図4に示すように、比較試料Cで
は、熱処理温度が高くなると共に(111)以外の複数
のX線回折強度が観測され、特定面の配向を示さなかっ
た。このことは、SiO2からなる下地膜上にInが形
成されると、SiO2とInは格子ミスマッチを生じる
ため、熱処理を行なうことによって、このミスマッチが
増殖して結晶面配向を乱すためと考えられる。
【0024】更に、下地膜2にSiO2、Al23、無
アルカリガラス(コーニング♯7059)、AlN、S
iN、TaN及びTiNからなる非晶質膜を用いた場合
も同様な効果が得られた。以上のように、熱処理温度が
300℃乃至510℃の範囲で熱処理を行ってInSb
膜5を形成すれば、InSb膜5は(111)面に優先
配向され、良好な結晶性を有したものになることがわか
る。
【0025】第1実施形態によれば、真空蒸着法によ
り、予め非晶質からなる下地膜2が形成された基板1を
加熱して、20℃乃至300℃の範囲の温度にした状態
で、下地膜2上に5nm乃至1500nmの範囲の厚さ
のSb膜3、このSb膜3の厚さに対して化学量論組成
が成立する範囲(略5nm乃至1500nmの範囲)の
厚さのIn膜4を順次形成後、真空中又は、不活性ガス
雰囲気中で熱処理温度300乃至510℃の範囲で熱処
理を行なってInSb膜5を形成するので、InSb膜
5は、(111)面に優先配向し、良好な結晶性を有し
たものになる。
【0026】また、下地膜2をSiO2、Al23、無
アルカリガラス(コーニング♯7059)、AlN、S
iN、TaN及びTiNからなる非晶質膜を用いた場合
も同様な効果が得られる。このため、このInSb膜5
をホール素子に用いた場合には、高感度なホール素子を
得ることができる。また、InSb膜からなるホール素
子を作製する際、基板1に雲母を用いないので、この基
板1を剥離するといった難しい製造作業がないので、歩
留まりが高く、製造コストが安価になる。
【0027】次に、本発明に係わるホール素子に適用さ
れるInSb膜の形成法の第2実施形態について図5を
用いて説明する。第1実施形態と同一構成には同一符号
を付し、その説明を省略する。第1実施形態において
は、予め非晶質からなる下地膜2が形成された基板1を
用いて、この下地膜2上に化学量論組成のInSb膜5
を形成したが、第2実施形態では、基板材料に非晶質の
SiO2又は、無アルカリガラス(コーニング♯705
9)を用い、この非晶質基板7上に直接、化学量論組成
のInSb膜5を形成するものである。
【0028】図5は、第2実施形態のInSb膜の形成
方法を示す図である。図5(A)に示すように、Sb用
ボート及びIn用ボートにそれぞれSb及びInを入
れ、SiO2又は、無アルカリガラスからなる非晶質基
板7を加熱して所定温度にした状態で、5nm乃至15
00nmの範囲の厚さのSb膜3、このSb膜3の厚さ
に対して化学量論組成が成立する範囲(略5nm乃至1
500nmの範囲)の厚さのIn膜4を真空蒸着法によ
り順次形成する。次に、図5(B)に示すように、これ
らの膜が形成された非晶質基板7を真空中又は、窒素雰
囲気中で所定の熱処理温度で熱処理を行う。なお、熱処
理を行う雰囲気は、Ar、He等の不活性ガスを用いて
もよい。この際、Sb膜3とIn膜4とが互いに反応し
てInSb膜5が形成される。
【0029】次に、Sb膜3の厚さ、基板温度、熱処理
温度を変化させてInSb膜5を形成し、このInSb
膜5の結晶面方位についてXRD法により調べた。この
結果、前記した第1実施形態と同様の結果が得られた。
【0030】以上のように、第2実施形態によれば、真
空蒸着法により、SiO2又は、無アルカリガラスから
なる非晶質基板7を加熱して、20℃乃至300℃の範
囲の温度にした状態で、非晶質基板1上に5nm乃至1
500nmの範囲の厚さのSb膜3、このSb膜3の厚
さに対して化学量論組成が成立する範囲(略5nm乃至
1500nmの範囲)の厚さのIn膜4を順次形成後、
真空中又は、不活性ガス雰囲気中で熱処理温度300乃
至510℃の範囲で熱処理を行なってInSb膜5を形
成するので、第1実施形態で形成した下地膜2が不要と
なり、非晶質基板7に直接InSb膜5を形成すること
ができ、かつ(111)面に優先配向し、良好な結晶性
を有したものになる。このため、このInSb膜をホー
ル素子に用いた場合には、高感度なホール素子を得るこ
とができる。また、この場合もInSb膜からなるホー
ル素子を作製する際、基板1に雲母を用いないので、こ
の基板1を剥離するといった難しい製造作業がないの
で、歩留まりが高く、製造コストが安価になる。
【0031】次に、本発明に係わるホール素子に適用さ
れるInSb膜の形成法の第3実施形態について図6乃
至図8を用いて説明する。第1実施形態及び第2実施形
態の構成と同一構成には同一符号を付し、その説明を省
略する。図6は、第3実施形態のInSb膜の形成方法
を示す図である。図7は、Sb膜厚とホール移動度との
関係を示す図である。図7中、縦軸は、ホール移動度μ
H(cm2/V・sec)、横軸は、Sb膜の厚さ(n
m)である。図8は、基板の第1の温度とホール移動度
との関係を示す図である。図8中、縦軸は、ホール移動
度μH(cm2/V・sec)、横軸は、基板温度
(℃)である。
【0032】まず始めに、図6(A)に示すように、第
1実施形態と同様に、真空蒸着装置(図示せず)内に設
けたSb用ボート及びIn用ボートにそれぞれ、Sb及
びInを入れ、予めSiO2からなる非晶質の下地膜2
が形成された磁性フェライトからなる基板1を加熱し
て、第1の温度を20℃至150℃の範囲にした状態
で、この下地膜2上に5nm乃至300nmの範囲の厚
さのSb膜3、このSb膜3の厚さに対して化学量論組
成が成立する範囲(略5nm乃至300nmの範囲)の
厚さのIn膜4を真空蒸着法により順次形成する。この
後、図6(B)に示すように、InSb用ボートにIn
とSbを入れ、基板1の第2の温度を350℃乃至50
0℃の範囲にして、SbとInを同時に蒸着することに
よって14nm乃至200nm範囲の厚さのInSb膜
8を形成する。
【0033】この際、図6(C)に示すように、InS
b膜8の形成は、基板1の第2の温度を350℃乃至5
00℃の範囲にして行うので、Sb膜3、In膜4を熱
処理したと同等の効果があるため、Sb膜3とIn膜4
とは、互いに反応してInSb膜5になる。こうして、
InSb膜5とInSb膜8とからなるInSb薄膜9
を作製する。即ち、InSb薄膜9は、InSb膜5上
にInSb膜8をホモ接合したものになる。
【0034】次に、基板1の第1の温度を120℃に
し、第2の温度を350℃乃至500℃の範囲で形成し
たInSb薄膜9の結晶面方位について、XRD法によ
り調べた。Sb膜3の厚さが7nm乃至100nmの範
囲では、(111)面のX線回折強度が極めて強く、優
先配向を示した。また、Sb膜3の厚さが7nm以下及
び100nm以上では、(111)面以外の複数のX線
回折強度が観測され、特定面の配向を示さず配向が乱れ
た状態となった。
【0035】このように、Sb膜3の厚さが7nm以下
及び100nm以上で配向が乱れる状態になることは、
以下のように説明できる。Sb膜3の厚さが7nm以下
の場合には、第1実施形態で説明したと同様にSb膜3
が島状に形成されるため、結晶化されない状態となって
いるためと考えられる。Sb膜3の厚さが100nm以
上の場合については以下のように考えられる。Sb膜3
の厚さが厚くなってくると、下地膜2、Sb膜3及びI
n膜4間で生じる応力の影響によって、(111)面以
外の複数の面が形成されるようになるためと考えられ
る。
【0036】ここで、InSb薄膜9の結晶面方位が
(111)面となることについて説明する。InSb膜
8の形成の際、Sb膜3及びIn膜4が形成された基板
1を350℃乃至500℃の範囲の温度に加熱するた
め、Sb膜3及びIn膜4には、本発明の第1実施形態
で説明したと同様な熱処理が行われることになる。この
ため、本発明の第1実施形態で説明したように、Sb膜
3及びIn膜4の厚さが上記した範囲にあり、300℃
乃至510℃の範囲の温度がこれらの膜に印加される
と、(111)面を有するInSb膜が得られることか
ら、本発明の第3実施形態のInSb膜5は(111)
面を有することになる。InSb膜8は、(111)面
を有するInSb膜5上にホモ接合することになるの
で、これもまた(111)面を有することになる。この
結果、InSb薄膜9は、(111)面を有するInS
b膜5及びInSb膜8とからなるので、(111)面
を有することになるのである。
【0037】この結果、第1の温度20℃乃至150℃
の範囲で、7nm乃至100nmの範囲の厚さのSb膜
3、このSb膜3の厚さに対して化学量論組成が成立す
る範囲(略7nm乃至100nmの範囲)の厚さでIn
膜4を形成後、基板1の第2の温度350℃乃至500
℃の範囲でInSb膜8を形成すれば、InSb膜5及
びInSb膜8が(111)面に優先配向し、良好な結
晶性を有したものになることがわかる。また、下地膜2
にAl23、無アルカリガラス(コーニング♯705
9)、AlN、SiN、TaN及びTiNからなる非晶
質膜を用いた場合も同様な効果が得られた。
【0038】次に、基板1を加熱して第1の温度を12
0℃にした状態で、Sb膜3の厚さを5nm乃至300
nmの範囲にし、In膜4の厚さをSb膜3の厚さに対
して化学量論組成が成立する範囲(略5nm乃至300
nm範囲)にし、第2の温度を450℃にして形成した
InSb薄膜9のホール移動度を測定した。Sb膜3の
厚さに対するInSb薄膜9のホール移動度の測定結果
を図7に示す。Sb膜3の厚さが5nm乃至300nm
の範囲で、ホール移動度は、25000cm2/V・s
ec以上であり、7nm乃至100nmの範囲では30
000cm2/V・sec以上となり、良好な結晶性を
有していることがわかる。更に、基板1の第2の温度を
350℃乃至500℃の範囲で変化させ、その他の条件
を上記と同様にして形成したInSb薄膜9のSb膜3
の厚さに対するホール移動度についても調べたが、図7
と同様の結果を得た。また、下地膜2にAl23、無ア
ルカリガラス(コーニング♯7059)、AlN、Si
N、TaN及びTiNからなる非晶質膜を用いた場合も
同様な効果が得られた。
【0039】次に、Sb膜3の厚さを30nmにし、I
n膜4の厚さをSb膜3の厚さに対して化学量論組成が
成立する厚さ(略30nm)にし、基板1の第1の温度
を20℃乃至300℃の範囲で変化させ、第2の温度を
450℃にして形成したInSb薄膜9のホール移動度
を測定した。第1の温度に対するInSb薄膜9のホー
ル移動度の測定結果を図8に示す。InSb薄膜9のホ
ール移動度は、基板1の第1の温度が20℃乃至300
℃の範囲では、25000cm2/V・sec以上とな
る。基板1の第1の温度が20℃乃至150℃の範囲で
は、安定した略30000cm2/V・secが得られ
ている。特に、基板1の第1の温度が20℃乃至70℃
の範囲では、InSb薄膜9のホール移動度は、300
00cm2/V・sec以上となり、良好な結晶性を有
していることがわかる。
【0040】なお、基板1の第2の温度を350℃乃至
500℃の範囲で変化させ、またSb膜の厚さを5nm
乃至300nmの範囲にし、In膜4の厚さをSb膜3
の厚さに対して化学量論組成が成立する範囲(略5nm
乃至300nm範囲)にし、その他の条件を上記と同様
にして形成したInSb薄膜9の第1の温度に対するホ
ール移動度についても調べたが、図8と同様の結果を得
た。また、下地膜2にAl23、無アルカリガラス(コ
ーニング♯7059)、AlN、SiN、TaN及びT
iNからなる非晶質膜を用いた場合も同様な効果が得ら
れた。
【0041】次に、基板1の両面を研磨した場合と片側
を研磨した場合のInSb薄膜9のホール移動度を測定
した。この際、Sb膜3の厚さを30nmにし、In膜
4の厚さをSb膜3の厚さに対して化学量論組成が成立
する厚さ(略30nm)にし、基板1の第1の温度を1
20℃、第2の温度を500℃にして形成したInSb
薄膜9のホール移動度の測定を行った。この際、基板1
の厚さは、1mm、0.5mm、0.3mm、0.2m
mと変化させた。
【0042】この結果、基板1の厚さが1mmの場合、
両面を鏡面研磨した場合では、片面を研磨した場合に比
較し、ホール移動度が10%以上高かった。また、基板
1の厚さが0.5mm、0.3mm、0.2mmの場合
には、ホール移動度が15%以上高かった。
【0043】基板1の両面を研磨した場合が、片面を研
磨した場合よりもホール移動度が高くなることは、以下
のように考えられる。基板1の片面を研磨した場合に
は、研磨面と反対側の基板側は、粗面となるため、粗面
と研磨面との間に不均一な応力緩和が進むので、この歪
がInSb薄膜9に大きな歪を与えるため結晶性が悪く
なる。一方、基板1の両面を研磨した場合には、基板1
の両面が研磨面となるため、均一な歪を生じ、この歪が
バランスを保つことになるので結晶性を劣化させない。
この結果、基板1の両面を研磨した場合の方が、基板1
の片面を研磨した場合よりもホール移動度が高くなると
考えれる。このように、高いホール移動度が得られるの
は、InSbへの拡散係数D0がInでは1.8×10
13cm2/sec、Sbでは3×1013cm2/secと
大きいことによると推察される。
【0044】以上のように、第3実施形態によれば、真
空蒸着法により、予め非晶質からなる下地膜2が形成さ
れた基板1を加熱して、基板1の第1の温度を20℃乃
至150℃の範囲にした状態で、下地膜2上に7nm乃
至100nmの範囲の厚さのSb膜3、このSb膜3の
厚さに対して化学量論組成が成立する範囲(略7nm乃
至100nmの範囲)の厚さのIn膜4を順次形成後、
基板1の第2の温度を350℃乃至500℃の範囲にし
て、InSb膜5を形成すると共にInSb膜8を形成
してInSb薄膜9を得るので、熱処理を必要とするこ
となく、安定した25000cm2/V・sec以上の
高いホール移動度を有するInSb薄膜9が得られる。
【0045】特に、非晶質基板7の第1の温度が20℃
乃至70℃の範囲では、InSb薄膜9の移動度は、3
0000cm2/V・sec以上となり、このInSb
薄膜9をホール素子に用いれば、極めて高い感度を有す
るInSbホール素子を作製することができる。また、
下地膜2をSiO2、Al23、無アルカリガラス(コ
ーニング♯7059)、AlN、SiN、TaN及びT
iNからなる非晶質膜を用いた場合も同様な効果が得ら
れる。更にまた、基板1として、両面を鏡面研磨する
と、更にホール移動度を向上させることができる。な
お、第3実施形態では、基板1の両面を研磨したが、こ
の技術思想を第1実施形態に適用しても良い。
【0046】次に、本発明に係わるホール素子に適用さ
れるInSb膜の形成法の第4実施形態について図9を
用いて説明する。第1実施形態乃至第3実施形態と同一
構成には同一符号を付し、その説明を省略する。第3実
施形態において、予め非晶質の下地膜2が形成された基
板1を用いて、この下地膜2上に化学量論組成のInS
b膜5を形成したが、第4実施形態では、基板1の材料
に非晶質のSiO2又は、非晶質の無アルカリガラス
(コーニング♯7059)を用い、この非晶質基板7上
に直接、化学量論組成のInSb膜5を形成し、更に、
このInSb膜5上にInSb膜8をホモ接合するもの
である。
【0047】図9は、第4実施形態のInSb膜の形成
方法を示す図である。図9(A)に示すように、第3実
施形態と同様に、Sb用ボート及びIn用ボートにそれ
ぞれSb及びInを入れ、SiO2又は、無アルカリガ
ラスからなる非晶質基板7を加熱して、第1の温度を2
0℃乃至150℃の範囲にした状態で、この非晶質基板
7上に5nm乃至1500nmの範囲の厚さのSb膜
3、このSb膜3の厚さに対して化学量論組成が成立す
る範囲(略5nm乃至1500nmの範囲)の厚さのI
n膜4を真空蒸着法により順次形成する。次に、図9
(B)に示すように、InSb用ボートにInとSbを
入れ、非晶質基板7の第2の温度を350℃乃至500
℃の範囲にして、SbとInを同時に蒸着することによ
って厚さ14nm乃至200nm範囲のInSb膜8を
形成する。
【0048】この際、図9(C)に示すように、InS
b膜8の形成は、非晶質基板7の第2の温度を350℃
乃至500℃の範囲にして行うので、Sb膜3、In膜
4を熱処理したと同等の効果があるため、Sb膜3とI
n膜4とは互いに反応してInSb膜5になる。こうし
て、InSb膜5とInSb膜8とからなるInSb薄
膜9を作製する。即ち、InSb薄膜9は、InSb膜
5上にInSb膜8をホモ接合したものになる。この
後、このInSb薄膜9をSb膜3の厚さ、基板温度、
熱処理温度を変化させてXRD法及びホール移動度を測
定したところ、前記した第3実施形態と同様の結果が得
られた。
【0049】以上のように、第4実施形態によれば、真
空蒸着法により、SiO2又は、無アルカリガラスから
なる非晶質基板7を加熱して、第1の温度20℃乃至1
50℃の範囲にした状態て、非晶質基板7上に7nm乃
至100nmの範囲の厚さのSb膜3、このSb膜3の
厚さに対して化学量論組成が成立する範囲(略7nm乃
至100nmの範囲)の厚さのIn膜4を順次形成し、
非晶質基板7の第2の温度を350℃乃至500℃の範
囲にして、InSb膜5を形成すると共にInSb膜8
を形成してInSb薄膜9を得るので、Sb膜3、In
膜4を順次形成後、非晶質基板7上に直接InSb膜を
形成できるため、製造工程が容易となり、また熱処理を
必要としないで、25000cm2/V・sec以上の
高いホール移動度を有するInSb薄膜9が得られる。
特に、非晶質基板7の第1の温度が20℃乃至70℃の
範囲では、InSb薄膜9の移動度は、30000cm
2/V・sec以上となり、このInSb薄膜9をホー
ル素子に用いれば、極めて高い感度を有するInSbホ
ール素子を作製することができる。また、非晶質基板7
として、両面を鏡面研磨すると、更にホール移動度を向
上させることができる。
【0050】なお、III−V族化合物において、それ
を構成するIII族元素とV族元素の拡散係数が大きい
場合には、非晶質膜上に、前記III−V族化合物を形
成すれば、同等の効果が得られることは明白である。
【0051】ここで、本発明に係るホール素子について
図10,図11を用いて説明する。図10(a),
(b)は、本発明に係る第1実施例のホール素子を説明
するための上面図,縦断面、図11(a),(b)は、
本発明に係る第2実施例のホール素子を説明するための
上面図,縦断面である。尚、説明の都合上、先に説明し
た構成部材と同一構成部材に対しては同一の符号を付し
て適宜説明し、且つ、異なる構成部材に新たな符号を付
して説明する。
【0052】まず、図10(a),(b)に示した如
く、本発明に係る第1実施例のホール素子10では、高
いホール移動度が得られるInSb膜を先に説明した第
1実施形態又は第3実施形態により形成したものであ
る。即ち、基板1上に非晶質の下地膜2を形成し、この
下地膜2上に第1実施形態又は第3実施形態によりIn
Sb膜5又はInSb薄膜9を形成したものである。こ
の際、非晶質の下地膜2は、SiO2 、Al2 O3
、ガラス、AlN、SiN、TaN、TiNのうちい
ずれか1つである。また、第1実施形態又は第3実施形
態により形成したInSb膜5又はInSb薄膜9は、
閃亜鉛鉱型構造で結晶面方位が(111)面になってい
る。
【0053】この後、InSb膜5又はInSb薄膜9
を図10(a)に示したように、周知の方法により“十
字状”にエッチングして、InSb膜5又はInSb薄
膜9のうちで十字状に突出した部位と、下地膜2とに接
触するように電極11を4か所形成している。上記によ
り、第1実施例のホール素子10ができる。尚、実際に
は、図示を省略するものの、この後、第1実施例のホー
ル素子10をチップ形状に切断して、リードフレームに
配設し、集磁効果を上げるために、新たに別の磁性体
(図示せず)をInSb膜5又はInSb薄膜9の上に
設置して、リード線を用いてリードフレームを電極11
と接続し、樹脂にて外形を成形してあるものを用いてい
る。
【0054】上記した第1実施例のホール素子10によ
れば、基板1上に非晶質の下地膜2を形成し、この非晶
質の下地膜2上に閃亜鉛鉱型構造で結晶面方位が(11
1)面を有して所定のパターンにInSb膜5又はIn
Sb薄膜9を形成しているので、InSb膜5又はIn
Sb薄膜9は高いホール移動度が得られ、結晶性の高い
ものであり、このInSb膜5又はInSb薄膜9を適
用した第1実施例のホール素子10は高感度で、例えば
モータの回転検出などが正確に得られる。
【0055】次に、図11(a),(b)に示した如
く、本発明に係る第2実施例のホール素子20では、高
いホール移動度が得られるInSb膜を先に説明した第
2実施形態又は第4実施形態により形成したものであ
る。即ち、非晶質基板7上に、第2実施形態又は第4実
施形態によりInSb膜5又はInSb薄膜9を直接形
成したものである。この際、非晶質基板7は、SiO2
又はガラスである。また、第2実施形態又は第4実施
形態により形成したInSb膜5又はInSb薄膜9
も、閃亜鉛鉱型構造で結晶面方位が(111)面になっ
ている。
【0056】この後、InSb膜5又はInSb薄膜9
を図11(a)に示したように、周知の方法により“十
字状”にエッチングして、InSb膜5又はInSb薄
膜9のうちで十字状に突出した部位と、非晶質基板7と
に接触するように電極21を4か所形成している。上記
により、第2実施例のホール素子20ができる。尚、実
際には、図示を省略するものの、この後、第2実施例の
ホール素子20をチップ形状に切断して、リードフレー
ムに配設し、集磁効果を上げるために、新たに別の磁性
体(図示せず)をInSb膜5又はInSb薄膜9の上
に設置して、リード線を用いてリードフレームを電極2
1と接続し、樹脂にて外形を成形してあるものを用いて
いる。
【0057】上記した第2実施例のホール素子20によ
れば、非晶質基板7上に閃亜鉛鉱型構造で結晶面方位が
(111)面を有して所定のパターンにInSb膜5又
はInSb薄膜9を直接形成しているので、上記した第
1実施例のホール素子10よりも製造工程を1工程省略
できると共に、InSb膜5又はInSb薄膜9は高い
ホール移動度が得られ、結晶性の高いものであり、この
InSb膜5又はInSb薄膜9を適用した第2実施例
のホール素子20も高感度で、例えばモータの回転検出
などが正確に得られる。
【0058】
【発明の効果】本発明に係るホール素子において、請求
項1,2記載によれば、基板上に非晶質の下地膜を形成
し、この非晶質の下地膜上に閃亜鉛鉱型構造で結晶面方
位が(111)面を有して所定のパターンにInSb膜
を形成しているので、InSb膜は高いホール移動度が
得られ、結晶性の高いものであり、このInSb膜を適
用したホール素子は高感度で、例えばモータの回転検出
などが正確に得られる。また、請求項3,4記載によれ
ば、非晶質基板上に閃亜鉛鉱型構造で結晶面方位が(1
11)面を有して所定のパターンにInSb膜を直接形
成しているので、上記した請求項1,2記載のホール素
子よりも製造工程を1工程省略できると共に、InSb
膜は高いホール移動度が得られ、結晶性の高いものであ
り、このInSb膜を適用したホール素子も高感度で、
例えばモータの回転検出などが正確に得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るホール素子に適用されるInSb
膜の形成方法の第1実施形態について説明するための図
である。
【図2】第1実施形態の形成方法で作製されたInSb
のXRD法によるX線回折強度を示す図である。
【図3】熱処理温度を変化させた場合に第1実施形態の
形成方法で作製されたInSbのXRD法によるX線回
折強度を示す図である。
【図4】熱処理温度を変化させた場合の比較例のInS
bのXRD法によるX線回折強度を示す図である。
【図5】本発明に係るホール素子に適用されるInSb
膜の形成方法の第2実施形態について説明するための図
である。
【図6】本発明に係るホール素子に適用されるInSb
膜の形成方法の第3実施形態について説明するための図
である。
【図7】Sb膜厚とホール移動度との関係を示す図であ
る。
【図8】基板温度とホール移動度との関係を示す図であ
る。
【図9】本発明に係るホール素子に適用されるInSb
膜の形成方法の第4実施形態について説明するための図
である。
【図10】(a),(b)は、本発明に係る第1実施例
のホール素子を説明するための上面図,縦断面である。
【図11】(a),(b)は、本発明に係る第2実施例
のホール素子を説明するための上面図,縦断面である。
【符号の説明】
1…基板、2…下地膜、3…Sb膜、4…In膜、5…
InSb膜、6…InSb薄膜基板、7…非晶質基板、
8…InSb膜、9…InSb薄膜、10…第1実施例
のホール素子、11…電極、20…第2実施例のホール
素子、21…電極。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に形成した非晶質の下地膜と、 前記非晶質の下地膜上に、閃亜鉛鉱型構造で結晶面方位
    が(111)面を有して所定のパターン形状に形成した
    InSb膜と、前記非晶質の下地膜と前記InSb膜と
    に接触して形成した電極とを備えたことを特徴とするホ
    ール素子。
  2. 【請求項2】前記非晶質の下地膜は、SiO2、Al2
    3、ガラス、AlN、SiN、TaN、TiNのうちい
    ずれか1つであることを特徴とする請求項1記載のホー
    ル素子。
  3. 【請求項3】非晶質基板と、 前記非晶質基板上に、閃亜鉛鉱型構造で結晶面方位が
    (111)面を有して所定のパターン形状に形成したI
    nSb膜と、 前記非晶質基板と前記InSb膜とに接触して形成した
    電極とを備えたことを特徴とするホール素子。
  4. 【請求項4】前記非晶質基板は、SiO2又はガラスで
    あることを特徴とする請求項3記載のホール素子。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013218245A (ja) * 2012-04-12 2013-10-24 Seiko Epson Corp 光学素子、撮像装置、カメラ及び光学素子の製造方法

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