JP2000252495A - シリコン系薄膜光電変換装置の製造方法 - Google Patents

シリコン系薄膜光電変換装置の製造方法

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JP2000252495A JP11050248A JP5024899A JP2000252495A JP 2000252495 A JP2000252495 A JP 2000252495A JP 11050248 A JP11050248 A JP 11050248A JP 5024899 A JP5024899 A JP 5024899A JP 2000252495 A JP2000252495 A JP 2000252495A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な性能および品質を有する光電変換装置
を、簡単な装置により、低コストかつ優れた生産性で製
造できるシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法を提供
する。 【解決手段】 p型半導体層111、i型の結晶質(多
結晶、微結晶)光電変換層112およびn型半導体層1
13が同一のプラズマCVD堆積室2pin内で順に引
続いて形成される。このp型半導体層111は堆積室2
pin内の圧力が5Torr以上の条件で形成される。
これにより、p型半導体層111とi型の結晶質光電変
換層112とn型半導体層113とが積層されたシリコ
ン系薄膜光電変換装置が製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシリコン系薄膜光電
変換装置の製造方法に関し、特に、シリコン系薄膜光電
変換装置として良好な性能を得るとともに、生産のコス
トおよび効率を改善し得る製造方法に関するものであ
る。
【0002】なお、本明細書において、「多結晶」と
「結晶質」と「微結晶」の用語は、部分的に非晶質状態
を含むものをも意味するものとする。
【0003】
【従来の技術】近年、たとえば多結晶シリコンや微結晶
シリコンのような結晶質シリコンを含む薄膜を利用した
光電変換装置の開発が精力的に行なわれている。これら
の開発は、安価な基板上に低温プロセスで良質の結晶質
シリコン薄膜を形成することによって光電変換装置の低
コスト化と高性能化を両立させようという試みであり、
太陽電池だけでなく光センサなどのさまざまな光電変換
装置への応用が期待されている。
【0004】従来から、太陽電池の生産装置としては、
図4のブロック図に示されているように複数の膜堆積室
(チャンバとも呼ばれる)を直線状に連結したインライ
ン方式、または図5のブロック図に示されているように
中央に中間室を設けてその周りに複数の堆積室を配置す
るマルチチャンバ方式が採用されている。
【0005】なお、非晶質シリコン太陽電池に関して
は、簡便な方法としてすべての半導体層を同一の堆積室
内で形成するといういわゆるシングルチャンバ方式も従
来から用いられている。しかし、p型半導体層とn型半
導体層にドープされる導電型決定不純物原子が他の異な
る種類の半導体層に導入されることを防止するために、
それぞれの半導体層を形成する前に、たとえば水素など
のパージガスによる1時間のガス置換のように、堆積室
内の十分なガス置換を行なう必要がある。また、そのよ
うなガス置換処理を施しても非晶質シリコン太陽電池の
良好な性能を得ることができなかったために、シングル
チャンバ方式はあくまでも実験的用途のみに使用されて
いる。
【0006】上記のインライン方式やマルチチャンバ方
式を用いて、基板側からn型半導体層、i型光電変換層
およびp型半導体層を順次積層してnip型太陽電池を
製造する場合について以下に説明する。
【0007】図4のインライン方式では、n型半導体層
を形成するためのn層堆積室3n、i型光電変換層を形
成するためのi層堆積室3i1 〜3i6 、およびp型半
導体層を形成するためのp層堆積室3pが順に連結され
た構造が用いられる。この場合に、n型半導体層とp型
半導体層とはi型光電変換層に比べて薄いため成膜時間
が格段に短くなる。このため、生産効率を上げるには通
常、複数のi層堆積室が連結されるのが一般的であり、
n型およびp型半導体層の成膜時間が律速状態になるま
ではi層堆積室の数が増えるほど生産性が向上する。
【0008】また図5のマルチチャンバ方式は、膜が堆
積されるべき基板が中間室4mを経由して各堆積室4
n、4i1 〜4i4 、4pに移動させられる方式であ
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のインラ
イン方式では、最もメンテナンスが必要とされるi層堆
積室3i1 〜3i6 を複数含んでいるため、1つのi層
堆積室のメンテナンスが必要となった場合でも、その生
産ライン全体が停止させられるという難点がある。
【0010】これに対して図5のマルチチャンバ方式で
は、それぞれの堆積室4n、4i1〜4i4 、4pと中
間室4mとの間に気密を維持し得る可動仕切りが設けら
れているため、ある1つの堆積室に不都合が生じた場合
でも他の堆積室は使用可能であり、生産が全体的に停止
させられるということはない。
【0011】しかし、このマルチチャンバ方式の生産装
置は、中間室4mと各堆積室4n、4i1 〜4i4 、4
pとの間の気密性を維持しつつ基板を移動させる機構が
複雑であって高価であり、また中間室4mの周りに配置
される堆積室の数が空間的に制限されるという問題があ
るため、実際の生産方式としてはあまり用いられていな
い。
【0012】本発明は、上記の問題点を解決するために
なされたもので、良好な性能および品質を有する光電変
換装置を簡易な装置により低コスト・高効率で製造でき
るシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明のシリコン系薄膜
光電変換装置の製造方法は、p型半導体層とi型の結晶
質シリコン系光電変換層とn型半導体層との積層構造を
有するシリコン系薄膜光電変換装置をプラズマCVD法
を利用して製造する方法であって、p型半導体層、i型
の結晶質シリコン系光電変換層およびn型半導体層が同
一のプラズマCVD反応室内で順に引続いて形成され、
かつp型半導体層は反応室内の圧力が5Torr以上の
条件で形成されることを特徴とする。
【0014】本願発明者らは、同一反応室内でp、i、
n層の順に形成し、かつp型半導体層形成時における反
応室内の圧力を5Torr以上と高くすることによっ
て、良好な品質および性能を有する光電変換装置の得ら
れることを見出した。以下、そのことを説明する。
【0015】p、i、n層の順に成膜することにより、
n、i、p層の順に成膜する場合よりも、i型光電変換
層中への導電型決定不純物原子の混入が少なくなる。こ
れは、p型不純物原子(たとえばボロン原子)の方が、
n型不純物原子(たとえばリン原子)よりも拡散しにく
いためである。つまり、p型半導体層形成時に反応室の
内壁面やプラズマ放電電極などに付着したp型不純物原
子が、i型光電変換層形成時にi型光電変換層側へ拡散
してくるが、その拡散の程度がn型不純物原子よりも小
さいため、i型光電変換層中への混入が抑制される。
【0016】また、p型半導体層が5Torr以上の高
圧力条件下で形成されるため、p型半導体層の成膜の速
度を高速にでき、p型半導体層の成膜を短時間で完了す
ることができる。これにより、p型半導体層形成用の原
料ガスを反応室内へ導入する時間も短くできるため、反
応室内の電極などに付着するp型不純物原子の蓄積が抑
制される。したがって、これによってもi型光電変換層
中へのp型不純物原子の混入が抑制される。
【0017】上記より、シングルチャンバ方式で光電変
換装置を製造しても、i型光電変換層中への導電型決定
不純物原子の混入を大幅に抑制できるため、インライン
方式やマルチチャンバ方式で得た光電変換装置と同等の
良好な品質および性能を有する光電変換装置を得ること
ができる。
【0018】また、シングルチャンバ方式で製造できる
ため、インライン方式やマルチチャンバ方式よりも設備
を簡略化することができる。
【0019】また、p型半導体層の成膜を短時間に完了
することができるため、製造の際のタクトタイムを大幅
に短縮でき、設備の簡略化とあわせて、製造コストを下
げることができる。
【0020】上記のシリコン系薄膜光電変換装置の製造
方法において好ましくは、p型半導体層は2nm以上5
0nm以下の膜厚で、i型の結晶質シリコン系光電変換
層は0.5μm以上20μm以下の膜厚で、かつn型半
導体層は2nm以上50nm以下の膜厚で各々形成され
る。
【0021】これにより、p型およびn型半導体層の成
膜を短時間で完了できるとともに、結晶質を含むシリコ
ン系薄膜光電変換層として必要かつ十分な厚さのi型光
電変換層を得ることができる。
【0022】上記のシリコン系薄膜光電変換装置の製造
方法において好ましくは、p型半導体層の成膜速度は1
2nm/分以上である。
【0023】このようにp型半導体層の成膜速度を速く
できるため、成膜時間を短縮でき、製造コストを下げる
ことができる。
【0024】上記のシリコン系薄膜光電変換装置の製造
において好ましくは、p型半導体層は、下地温度が55
0℃以下で、反応室内に導入される原料ガスの主成分と
してシラン系ガスと、水素を含む希釈ガスとが用いら
れ、かつシラン系ガスに対する希釈ガスの流量が100
倍以上の条件で形成される。
【0025】下地温度を550℃以下としたことによ
り、ガラスなどの安価な材料を基板として用いることが
可能となる。また、シラン系ガスに対する希釈ガスの流
量を100倍以上としたことにより、5Torr以上の
圧力条件下でp型半導体層を成膜するときにも、所定の
結晶化率を得ることができる。
【0026】上記のシリコン系薄膜光電変換装置の製造
方法において好ましくは、p型半導体層の導電型決定不
純物原子がボロンまたはアルミニウムである。
【0027】これにより、p型不純物原子を適宜、選択
することができる。上記のシリコン系薄膜光電変換装置
の製造方法において好ましくは、i型の結晶質シリコン
系光電変換層およびn型半導体層の形成条件は、反応室
内の圧力が5Torr以上、成膜速度が12nm/分以
上、下地温度が550℃以下、シラン系ガスに対する希
釈ガスの流量が100倍以上である。
【0028】これにより、i型光電変換層およびn型半
導体層の形成においても、上述したp型半導体層形成と
同様の効果を得ることができる。
【0029】上記のシリコン系薄膜光電変換装置の製造
方法において好ましくは、結晶質シリコン系光電変換層
を含む光電変換ユニットの少なくとも1つに加えて、非
晶質シリコン系光電変換層を含む光電変換ユニットの少
なくとも1つを積層することによってタンデム型の光電
変換装置が形成される。
【0030】これにより、高い光電変換効率を有するタ
ンデム型の光電変換装置を得ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図に基づいて説明する。
【0032】図1は、本発明の一実施の形態により製造
されるシリコン系薄膜光電変換装置の構成を概略的に示
す断面図である。
【0033】図1を参照して、たとえばガラスよりなる
透明の基板1上に、透明導電膜2が成膜される。透明導
電膜2は、たとえばSnO2 よりなるが、これ以外に、
ITOやZnOなどの透明導電性酸化膜より形成されて
もよい。
【0034】この後、基板1は、図2に示される堆積室
2pin内に移される。そして、堆積室2pin内で、
まず透明導電膜2上に、p型半導体層111がプラズマ
CVD法により堆積される。このp型半導体層111
は、堆積室2pin内の圧力が5Torr以上の条件で
形成され、また成膜速度が12nm/分以上、下地温度
が550℃以下の条件で2nm以上50nm以下の膜厚
で形成されることが好ましい。なお、堆積室2pin内
に導入される原料ガスの主成分としてシラン系ガス(た
とえばシラン)と、水素を含む希釈ガス(たとえば水
素)とが用いられ、シラン系ガスに対する希釈ガスの流
量が100倍以上とされ、ドーピングガスとしてジボラ
ンが用いられることが好ましい。
【0035】このp型半導体層111としては、たとえ
ば導電型決定不純物原子であるボロンが0.01原子%
以上ドープされたp型非晶質シリコン薄膜などが用いら
れ得る。しかし、p型半導体層111についてのこれら
の条件は限定的なものではなく不純物原子としてはたと
えばアルミニウムなどでもよく、また非晶質シリコンカ
ーバイドや非晶質シリコンゲルマニウムなどの合金材料
の層が用いられてもよい。またp型半導体層111の膜
厚は、2nm以上10nm以下の範囲内にあることがよ
り好ましい。なお、p型半導体層111は非晶質薄膜に
限られず、微結晶のシリコン系薄膜や合金系薄膜であっ
てもよく、また異なる複数の薄膜の積層であってもよ
い。
【0036】p型半導体層111形成に引続き、同一堆
積室2pin内で、p型半導体層111上に、i型の結
晶質(多結晶、微結晶)シリコン系光電変換層112と
n型半導体層113とが順にプラズマCVD法により成
膜される。i型の結晶質シリコン系光電変換層112は
0.5μm以上20μm以下の膜厚で、またn型半導体
層113は2nm以上50nm以下の膜厚で形成される
ことが好ましい。
【0037】このi型光電変換層112としては、ノン
ドープのi型多結晶シリコン薄膜や堆積結晶化分率80
%以上のi型微結晶シリコン薄膜あるいは微量の不純物
を含む弱p型または弱n型で光電変換機能を十分に備え
ている結晶質シリコン系薄膜が使用され得る。また、光
電変換層112はこれらに限定されず、合金材料である
シリコンカーバイドやシリコンゲルマニウムなどの膜が
用いられてもよい。
【0038】n型半導体層113としては、たとえば導
電型決定不純物原子であるリンが0.01原子%以上ド
ープされたn型微結晶シリコン系薄膜などが用いられ得
る。しかし、n型半導体層113に関するこれらの条件
は限定的なものではなく、微結晶シリコンカーバイドや
微結晶シリコンゲルマニウムなどの合金材料の層が用い
られてもよい。このn型半導体層113の膜厚は、5n
m以上30nmの範囲内であることがより好ましい。
【0039】i型の光電変換層112とn型半導体層1
13の形成条件は、堆積室2pin内の圧力が5Tor
r以上、成膜速度が12nm/分以上、下地温度が55
0℃以下、シラン系ガス(たとえばシラン)に対する希
釈ガス(たとえば水素)の流量が100倍以上とされる
ことが好ましい。またn型半導体層113形成時のドー
ピングガスとしては、たとえばホスフィンが用いられる
ことが好ましい。
【0040】なお、堆積室2pin内に新しい基板を挿
入してからp型半導体層111を成膜する直前、および
i型光電変換層112を成膜する直前に、水素ガスなど
のパージガスを堆積室2pin内に流すことによって堆
積室2pinのクリーニングが行なわれてもよい。しか
しこの場合、クリーニング時間が長くなれば生産性を損
なうので、その時間は約20分以内であることが好まし
い。
【0041】このように同一堆積室2pin内で順に形
成されたp型半導体層111、i型光電変換層112お
よびn型半導体層113よりなる結晶質型光電変換ユニ
ット11が構成される。
【0042】この光電変換ユニット111上には、たと
えばZnOからなる導電膜121と、たとえばAgより
なる金属薄膜122とが形成される。これらの層12
1、122によって裏面電極部12が構成されること
で、図1に示された光電変換装置が完成する。
【0043】本実施の形態では、同一堆積室2pin内
でp型半導体層、i型光電変換層112およびn型半導
体層113の順に形成し、かつp型半導体層111形成
時における堆積室2pin内の圧力を5Torr以上と
高くしているため、良好な品質および性能を有する光電
変換装置を得ることができる。以下、そのことについて
詳細に説明する。
【0044】仮に同一堆積室内でn、i、p層の順で成
膜する場合、n型半導体層形成時に堆積室の内壁面やプ
ラズマ放電電極などにn型不純物原子が付着し残存す
る。このため、i型光電変換層形成時にこの残存したn
型不純物原子がi型光電変換層に混入されてしまう。
【0045】一方、本実施の形態のようにp、i、n層
の順で成膜する場合にも、p型半導体層111形成時に
堆積室の内壁面やプラズマ放電電極などにp型不純物原
子が付着し残存する。しかし、このp型不純物原子はn
型不純物原子に比べて拡散し難い。このため、i型光電
変換層112へ拡散してくる量については、n型の場合
よりもp型不純物原子の方を格段に少なくでき、i型光
電変換層111中へのp型不純物原子の混入を抑制する
ことができる。
【0046】また、p型半導体層111が5Torr以
上の高圧力条件下で形成されるため、p型半導体層11
1の成膜速度を高速にでき、p型半導体層111の成膜
を短時間で完了することができる。これにより、p型半
導体層111形成用の原料ガスを堆積室2pin内へ導
入する時間も短くできるため、堆積室2pinの内壁面
やプラズマ放電電極などに付着するp型不純物原子の蓄
積を抑制することができる。したがって、これによって
も後工程で形成されるi型光電変換層112中へのp型
不純物の混入を抑制することが可能となる。
【0047】上記より、シングルチャンバ方式で光電変
換装置を製造しても、i型光電変換層112中へのp型
不純物原子の混入を大幅に抑制できるため、インライン
方式やマルチチャンバ方式で得た光電変換装置と同等の
良好な品質および性能を有する光電変換装置を製造する
ことができる。
【0048】また、シングルチャンバ方式で製造できる
ため、インライン方式やマルチチャンバ方式よりも設備
を簡略化することができる。
【0049】またp型半導体層111の成膜を短時間で
完了することができるため、製造の際のタクトタイムを
大幅に短縮でき、製造コストを下げることができる。
【0050】図3は、本発明の他の実施の形態により製
造されるタンデム型シリコン系薄膜光電変換装置の構成
を概略的に示す断面図である。
【0051】図3を参照して、タンデム型光電変換装置
は、基板1上に透明導電膜2を介して非晶質型光電変換
ユニット21と結晶質型光電変換ユニット22とを有
し、さらにその上に裏面電極部23となる導電膜231
と金属薄膜232とを有している。
【0052】非晶質型光電変換ユニット21は、p型半
導体層211と、i型非晶質光電変換層212と、n型
半導体層213とを有している。結晶質型光電変換ユニ
ット22は、図1に示す光電変換ユニット11と同様の
方法により形成されるp型半導体層221と、i型結晶
質光電変換層222と、n型半導体層223とを有して
いる。
【0053】なお、これ以外の構成については、上述し
た図1に示す構成とほぼ同じであるため、その説明につ
いては省略する。
【0054】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0055】(実施例1)図1に示す構成の薄膜多結晶
シリコン太陽電池を作製した。基板1にはガラスを用
い、透明導電膜2にはSnO2 を用いた。この上に、ボ
ロンドープのp型シリコン層111を15nm、ノンド
ープのi型多結晶シリコン光電変換層112を3μm、
リンドープのn型シリコン層113を15nmの膜厚
で、それぞれRFプラズマCVD法により成膜した。こ
れにより、p−i−n接合の薄膜多結晶シリコン光電変
換ユニット11を形成した。さらに、裏面電極部12と
して、ZnO膜121を100nm、Ag膜112を3
00nmの膜厚で、それぞれスパッタ法により形成し
た。
【0056】光電変換ユニット11を構成するp、i、
n型の各シリコン薄膜111、112、113を、RF
プラズマCVD法により同一反応室にて堆積した。反応
ガスにはシランと水素とを用い、さらにドーピングガス
としてp型シリコン層111堆積時にはジボランを、n
型シリコン層113堆積時にはホスフィンを加えた。p
型シリコン層111の成膜条件については、下地温度を
200℃、シランガスと水素ガスとの流量比を1:15
0、反応室圧力を5.0Torr、成膜速度を12nm
/分(成膜時間75秒)とした。一方、i型光電変換層
112およびn型シリコン層113の成膜条件について
は、下地温度を200℃、シランガスと水素ガスとの流
量比を1:100、反応室圧力を5.0Torr、成膜
速度を15nm/分とした。
【0057】このようにして作製した薄膜シリコン太陽
電池に入射光3としてAM1.5、100mW/cm2
光量を用いたときの光電変換効率は7.3%であった。
【0058】(比較例1)実施例1と同じく図1に示す
構成の薄膜多結晶シリコン太陽電池を作製した。p型シ
リコン層111の成膜条件については、下地温度を20
0℃、シランガスと水素ガスとの流量比を1:60、反
応室圧力を1.0Torr、成膜速度を2.5nm/分
(成膜時間300秒)とした。その他は実施例1と全く
同じ条件とした。
【0059】この薄膜シリコン太陽電池の光電変換効率
を実施例1と同様に測定した結果、5.1%と実施例1
のときよりも低くなっていた。
【0060】(比較例2)実施例1と同じく図1に示す
構成の薄膜多結晶シリコン太陽電池を作製した。p型シ
リコン層111、i型光電変換層112、n型シリコン
層113をそれぞれ別々の反応室にて成膜したこと以外
は実施例1の条件と全く同じとした。
【0061】この薄膜シリコン太陽電池の光電変換効率
を実施例1と同様に測定した結果、7.4%と実施例1
のときとほぼ同一の特性であった。しかし、各層を成膜
する反応室間を基板が移動する時間などを合わせると、
実施例1よりも1枚の太陽電池の形成に要する時間は1
0分ほど多くなった。
【0062】(実施例2)図3に示す構成の非晶質シリ
コン太陽電池ユニット21に実施例1に示す方法で形成
した薄膜多結晶シリコン太陽電池ユニット22を積層し
た、タンデム型太陽電池を作製した。この太陽電池につ
いても実施例1と同様に光電変換効率を測定した結果、
13.0%の値が得られた。
【0063】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、光電変換
ユニットを構成するp型半導体層、i型光電変換層、n
型半導体層をシングルチャンバ内で順に成膜し、かつp
型半導体層を反応室内の圧力を5Torr以上の条件で
成膜することで、光電変換特性を良好とでき、かつ低コ
ストでかつ優れた生産性を発揮し得るシリコン系薄膜光
電変換装置の製造方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における方法で製造され
たシリコン系薄膜光電変換装置の構成を概略的に示す断
面図である。
【図2】本発明の一実施の形態におけるシリコン系薄膜
光電変換装置の製造方法に用いられるプラズマCVD装
置を示す模式的なブロック図である。
【図3】本発明の他の実施の形態における方法で製造さ
れたシリコン系薄膜光電変換装置の構成を概略的に示す
断面図である。
【図4】従来の光電変換装置の製造方法に用いられるイ
ンライン方式の製造装置を示す模式的なブロック図であ
る。
【図5】従来の光電変換装置の製造方法に用いられるマ
ルチチャンバ方式の製造装置を示す模式的なブロック図
である。
【符号の説明】
1 基板 2 透明導電膜 11、22 結晶質型光電変換ユニット 21 非晶質型光電変換ユニット 111、211、221 p型半導体層 113、213、223 n型半導体層 112、222 i型の結晶質光電変換層 212 i型の非晶質光電変換層 12、23 裏面電極部 121、231 導電膜 122、232 金属薄膜 2pin CVDプラズマ堆積室

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 p型半導体層とi型の結晶質シリコン系
    光電変換層とn型半導体層との積層構造を有するシリコ
    ン系薄膜光電変換装置をプラズマCVD法を利用して製
    造する方法であって、 前記p型半導体層、前記i型の結晶質シリコン系光電変
    換層および前記n型半導体層が同一のプラズマCVD反
    応室内で順に引続いて形成され、かつ前記p型半導体層
    は前記反応室内の圧力が5Torr以上の条件で形成さ
    れることを特徴とする、シリコン系薄膜光電変換装置の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記p型半導体層は2nm以上50nm
    以下の膜厚で、前記i型の結晶質シリコン系光電変換層
    は0.5μm以上20μm以下の膜厚で、かつ前記n型
    半導体層は2nm以上50nm以下の膜厚で各々形成さ
    れることを特徴とする、請求項1に記載のシリコン系薄
    膜光電変換装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記p型半導体層の成膜速度は12nm
    /分以上であることを特徴とする、請求項1に記載のシ
    リコン系薄膜光電変換装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記p型半導体層は、下地温度が550
    ℃以下で、前記反応室内に導入される原料ガスの主成分
    としてシラン系ガスと、水素を含む希釈ガスとが用いら
    れ、かつ前記シラン系ガスに対する前記希釈ガスの流量
    が100倍以上の条件で形成されることを特徴とする、
    請求項1に記載のシリコン系薄膜光電変換装置の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記p型半導体層の導電型決定不純物原
    子がボロンまたはアルミニウムであることを特徴とす
    る、請求項1に記載のシリコン系薄膜光電変換装置の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記i型の結晶質シリコン系光電変換層
    および前記n型半導体層の形成条件は、前記反応室内の
    圧力が5Torr以上、成膜速度が12nm/分以上、
    下地温度が550℃以下、シラン系ガスに対する希釈ガ
    スの流量が100倍以上であることを特徴とする、請求
    項1に記載のシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記結晶質シリコン系光電変換層を含む
    光電変換ユニットの少なくとも1つに加えて、非晶質シ
    リコン系光電変換層を含む光電変換ユニットの少なくと
    も1つを積層することによってタンデム型の光電変換装
    置にすることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに
    記載のシリコン系薄膜光電変換装置の製造方法。
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