JP2000252127A - 巻き線型磁性薄膜インダクタ - Google Patents

巻き線型磁性薄膜インダクタ

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JP2000252127A
JP2000252127A JP11049034A JP4903499A JP2000252127A JP 2000252127 A JP2000252127 A JP 2000252127A JP 11049034 A JP11049034 A JP 11049034A JP 4903499 A JP4903499 A JP 4903499A JP 2000252127 A JP2000252127 A JP 2000252127A
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magnetic
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thin film
magnetic core
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Moriharu Ri
衛東 李
Hidekuni Sugawara
英州 菅原
Takeshi Yano
健 矢野
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Tokin Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 サイズが小さく、Q値が高く(50以上)、
かつ温度特性が安定である薄膜巻き線インダクタトその
製造方法とを提供すること。 【解決手段】 巻き線型磁性薄膜インダクタ21,23
は、基板2の少なくとも一面にQが上がる磁芯薄膜3,
5を形成し、それを細かく切り離し、巻線を施して巻き
線インダクタを構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜磁性体を用い
た巻き線薄膜インダクタ、及びチップキャパシタを用い
たLC磁気デバイス、特にLCバンドパスフィルタに関
するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、バンドパスフィルタは、Q値が数
百と高いSAW(表面弾性波)フィルタ、及びQ値が数
十から数百の誘電体フィルタが主流である。これらフィ
ルタは適用周波数帯域が数百MHzから数GHzの周波
数帯域で効果的であり、Q値が高いために、周波数のバ
ンド幅の狭い、立ち上がりの鋭い透過周波数帯域を得る
ことができる。
【0003】反面、不得手な領域は、数10MHzの低
周波数帯域であり、広い透過周波数帯域幅を得ること
と、トランスバーサルタイプでは挿入損失が大きいこ
と、更に弾性表面波フィルタの特徴として表面波の波長
がGHz帯の高周波に比較して一桁長いため、本質的に
小型化が困難である。
【0004】更に形状は、使用される周波数帯域にも依
るが、SAWフィルタが3.8mm×3.8mm×2〜
3mm厚み程度の小型で薄いSMDパッケージが可能な
のに対して、焼結で作製する誘電体フィルタはその本質
的な特性から3〜4mm程度の厚みが必要である。
【0005】次に、素子の作製方法は、SAWフイルタ
の場合、誘電体セラミックスの上に半導体と同じ技術
で,アルミニウム(Al)の櫛状電極を配置し、その表
面状態の保護と、弾性表面波の伝搬を阻害しないため
に、金属又はセラミック製のカバーガ必要である。誘電
体フィルタは、セラミックス共振器と、L,Cチップ素
子からなり、ガラエポ(ガラス強化−エポキシ樹脂)基
板上に実装配置されている。
【0006】コイルの巻き線は巻き線治具を用いて自動
巻き線し、その後導線を電極に半田付けしてインダクタ
を構成した後、チップキャパシタと一緒に実装技術を用
いてバンドパスフィルタを組み立てている。
【0007】従来、LC素子を用いてバンドパスフィル
タを構成する場合、その電気回路の構成上集中定数回路
が設計されていた。そこに使われるイングクタは動作周
波数帯域で高Q値50〜100が要求され、現在は主
に、数mmのフェライトに巻き線を施したバルクタイ
プ、フエライトの中にコイルを埋め込んだ2012、1
608(チップ素子の規格名、以下同じ)系の積層チッ
プ素子、更に磁性体を使わない空心コイルが主であっ
た。これらのインダクタは数十MHzから数百MHzの
高周波帯域で用いられるが、L値が大きいと共振周波数
が低くなり最大Q値を得る周波数帯も低く、L値が小さ
いと共振周波数及び最大Q値を有する周波数は高いとい
う特徴があった。
【0008】特に、空心コイルはGHzに近い周波数帯
では高Q値を示すが、100MHz前後の周波数帯域で
は高Qは得られない。
【0009】次に、キャパシタは主にSMD部品である
チップキャパシタ素子が使われ、その厚みは、1608
タイプは0.8mm厚み、1005タイプは0.5mm
厚み、0603タイプは0.3mm厚みである。これら
のチップキャパシタは効率が数100と高く、全数選別
によりキャパシタンス特性は目標規格に入れることがで
きる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
でのLCバンドパススフィルタは、上述したように、イ
ンダクタに種々の問題があった。つまり、インダクタは
駆動周波数が数百MHzから数GHz帯では有効なQ値
が得られず、SAWフイルタとか誘電体フィルタに比較
すると、挿入損失を小さくするとか、帯域幅を狭くする
という点でかなわなかった。
【0011】更に、高周波化による小型化が進むにも関
わらず、インダクタ形状が大きいため、回路自体の厚み
が薄くならず、デバイス形状も数mm角に収める程度に
は、小さくならなかった。
【0012】更に、チップL,C素子点数が多くなる
と、価格も低コストが期待できず、面積も広くなり、他
素子との競争力がない。それ故、以上の問題点から最近
のSMD部品に集中定数タイプのLCバンドパスフィル
タが多く使われることはなかった。
【0013】そこで、本発明の技術的課題は、サイズが
小さく、Q値が高く(50以上)、かつ温度特性が安定
である薄膜巻き線インダクタトその製造方法とを提供す
ることにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、基板の
少なくとも一面にQが高い磁芯薄膜を形成し、巻線を施
して巻き線インダクタを構成することを特徴とする巻き
線型磁性薄膜インダクタが得られる。
【0015】また、本発明によれば、前記巻き線型磁性
薄膜インダクタにおいて、前記磁芯薄膜は、分断されて
いることを特徴とする巻き線型磁性薄膜インダクタが得
られる。
【0016】また、本発明によれば、基板上に磁芯膜を
形成し、それを少なくとも2枚重ね合わせ、その集合体
に巻き線を施してなることを特徴とする巻き線型磁性薄
膜インダクタが得られる。
【0017】また、本発明によれば、前記巻き線型磁性
薄膜インダクタにおいて、前記磁芯薄膜は細かく切り離
されていることを特徴とする巻き線型磁性薄膜インダク
タが得られる。
【0018】また、本発明によれば、前記いずれかにの
巻き線型磁性薄膜インダクタにおいて、前記基板は、ポ
リイミド、ガラス、及びシリコンの内の少なくとも一種
からなることを特徴とする巻き線型磁性薄膜インダクタ
が得られる。
【0019】また、本発明によれば、基板上に磁芯薄膜
を形成し、それを少なくとも2枚重ね合わせ、その集合
体に巻き線を施すことを特徴とする巻き線型磁性薄膜イ
ンダクタの製造方法が得られる。
【0020】また、本発明によれば、前記巻き線型磁性
薄膜インダクタの製造方法において、前記磁芯薄膜は、
細かく分断されており、前記基板は、ポリイミド、ガラ
ス、及びシリコンの内の少なくとも一種からなることを
特徴とする巻き線型磁性薄膜インダクタの製造方法が得
られる。
【0021】また、本発明によれば、基板面表裏に形成
された磁芯薄膜を有し、前記磁芯薄膜は、磁化容易方向
又は磁化困難軸方向に100μmから500μm幅に2
〜50μmのスペースを開けて分断されていることを特
徴とする薄膜巻き線インダクタ用薄膜磁芯材料が得られ
る。
【0022】また、本発明によれば、前記薄膜巻き線イ
ンダクタ用薄膜磁芯材料において、前記基板は、ポリイ
ミド、ガラス、及びシリコンの内の少なくとも一種から
なることを特徴とする薄膜巻き線インダクタ用薄膜磁芯
材料が得られる。
【0023】さらに、本発明によれば、前記いずれかの
薄膜巻き線インダクタ用薄膜磁芯材料に巻き線を施して
なることを特徴とする巻き線型磁性薄膜インダクタが得
られる。
【0024】
【発明の実施の形態】まず、本発明の原理について図1
を参照して説明する。
【0025】図1は巻線コイルの電気抵抗周波数特性と
巻線間スペースとの関係を示す図である。
【0026】インダクタのQ値QI は空芯コイルのイン
ダクタンスLC 、磁芯に起因するインダクタンスLM
空芯コイルの抵抗RC 、磁芯の抵抗RM の間,次の数1
乃至3式で表される関係がある。
【0027】
【数1】
【0028】
【数2】
【0029】
【数3】
【0030】上記数1式により、QI を増大するために
は、RC とRM を減少する事が必要である。軟磁性薄膜
材料については、磁性体の損失は主に磁気スピンの才差
運動に起因するdamping 損失(RSP)と高周波電流に起
因する渦電流損失(Re)二種類がある。すなわち、次
の数4式が成り立つ。
【0031】
【数4】
【0032】Rspの損失のメカニズムについてはまだ不
明であるが、R2e については材料の抵抗率に関係があ
る。従来の軟磁性材料は電気抵抗率が低く(フェライト
系を除く)、高周波における渦電流損失が大きい。本発
明では、より電気抵抗率の高軟磁性材料を応用し、軟磁
性体を磁性膜層/絶縁層の複合多様化構造とすることに
より、渦電流損失を大幅に抑えることができる。
【0033】一方、コイルの抵抗(Rc)を減少するた
め、以下の検討を行った。
【0034】コイルの抵抗は、直流抵抗だけではなく、
高周波電流によるスキンエフェクト(skin effect )の
影響も存在する。
【0035】しかし、図1に示すように、コイル巻き線
の間のスペースが0.019mmの場合は、空心コイル
における抵抗の測定結果(RC )は直流抵抗(Rdc)と
skineffect により渦電流損失(Rskin)の影響を考慮
して理論計算結果に比べてかなり大きいことが実験から
判明した。次に、巻き線間のスペースを増加すると、コ
イルの測定抵抗値とskin effect を考慮した渦電流損失
の計算結果は一致する傾向であることが実験で検証され
た。この結果から、巻き線の間に高周波における近接効
果による損失(Rnear)が存在し、コイル抵抗RC の増
加に関わっていることが推測される。
【0036】
【数5】
【0037】数式5からRcを減少するためには、Rdc
とRskinを減少する、即ち巻き線線径の増加はーつの方
法である。しかし、インダクタのサイズとインダクタン
ス値(巻き線のターン数に依存)の制限があるので、線
径に制限がある。Rnearについては、巻き線スペースの
増加に伴い減少するが、これと同時に、漏れ磁束の増加
により、Lcも減少する。従って、高いQ値のインダク
タを実現するため、最適な巻き線スペースが必要である
ことが分かった。
【0038】次に、薄膜巻き線インダクタのQ値を向上
させるため、磁芯材料のQ値と導体コイルのQ値との関
係について説明する。インダクタのQI 値を磁性体のQ
M 値と導体コイルのQC で表すと、以下の数6式のよう
になる。
【0039】
【数6】
【0040】ここで、k(=LM /LC )は材料に起因
するインダクタンスLM と空芯導体コイルのインダクタ
ンスLC の比である。図2は式6による計算結果の一例
を示す。空芯コイルと磁性材料のQ値はそれぞれQC
20QM =100と仮定すれば、インダクタのQ値はk
の増加に伴い増大する。即ち、インダクタのQI 値が高
くなるためには、材料に起因するインダクタンスLM
大きい必要がある。これまでに試作した巻き線薄膜イン
ダクタはガラス基板の上に片面で磁性薄膜を成膜してい
るのでインダクタンス値が小さく、インダクタのサイズ
に対して磁性材料の効果が足りなかった。この為、イン
ダクタのQ値は35〜40程度しか得られなかった。イ
ンダクタのQ値が50以上のなるためには、磁芯薄膜に
起因するLM は空芯コイルのイダクタンスの3倍程度が
必要である。
【0041】以上の検討により、Q値増加する対策とし
ては、(a)磁性体の量を表しているk(=LM
C )値を増加すること、(b)巻き線間スペースを最
適にすることが必要である。
【0042】これらの対策により、本発明では、Q値が
50以上の巻き線薄膜インダクタを実現した。
【0043】次に、本発明の実施の形態による巻き線型
薄膜磁芯インダクタについて説明する。
【0044】(第1の実施の形態)第1の実施の形態で
は、片面成膜した試料を用いた巻線インダクタの構成例
について説明する。
【0045】図3(a)に示すように、これまでの薄膜
インダクタ10は、矩形の基板2の片面に磁性層からな
る磁芯薄膜3を成膜した磁芯部1の試料1個を用いて、
図3(b)に示すように、巻き線4を施し、インダクタ
を作製している。しかし、このようなインダクタ10の
Q値は40程度に留まった。
【0046】上記数6式から分かるように、磁性材料の
影響を大きくするため、図4に示すように、片面に磁性
層からなる磁芯薄膜3を成膜し、細かく切り離したガラ
ス基板2からなる磁芯部1を、2個併せて巻き線4を施
すことで高インダクタンス値を有する巻線インダクタ2
0を作製した。
【0047】このように作製したインダクタのQI
は、磁芯材料のサイズ、巻き線4の線径、スペース、巻
き線4のタン数などとの関係について調べた結果、この
方法では、インダクタンスは2倍以上になって,インダ
クタのQI 値の向上に効果はあるが、QI の最大値は4
5に留まり、目標特性であるQ>50を達成することは
できなかった。
【0048】一方、この方法では、2個の磁芯薄膜3を
用いているため、基板2も2個あるので、インダクタの
サイズも大きくなった。
【0049】(第2の実施の形態)次に、本発明の第2
の実施の形態として,基板両面成膜した試料を用いた巻
き線インダクタの構成例について説明する。
【0050】第1の実施の形態の結果に基づいて、イン
ダクタのサイズも考慮し、高さを押さえるために、図5
(a)に示すように、ガラス基板2の両面上に磁芯膜3
を形成した。次に巻き線4を施して図5(c)に示すイ
ンダクタ21を作製した。
【0051】一方、基板2の両面に成膜する際、高透磁
率を得るための最適な磁区構造と渦電流を抑えるため
に、両面の薄膜3を図5(a)の状態から更に2列に分
けて、図5(b)に示すように、分割磁芯薄膜5、5と
して、磁芯部を形成した。このような試料を用いて、図
5(d)に示すように、巻き線4の間に適度のスペース
を空けて、巻き線薄膜インダクタ22を作製した。この
ように試作したインダクタは、後で説明するように、Q
値は40MHzの付近では50以上の値が本発明の第2
の実施の形態で得られた。
【0052】(第3の実施の形態)次に、第3の実施の
形態では、多数枚の薄膜試料を用いた巻き線インダクタ
の構成例に付いて説明する。
【0053】インダクタの高さを押さえることを目的と
して、薄い(0.1mm)ポリイミド基板の上に薄い磁
芯膜を形成し、それを細かく切り離し、図6(a)に示
すように、ポリイミド基板6に磁芯薄膜3を備えた磁芯
部7を、図6(b)に示すように多数枚積層し、それに
巻き線4を施すことで巻き線インダクタ23を作製し
た。
【0054】(第4の実施の形態)本発明の第4の実施
の形態においては、巻き線間のスペースの最適化につい
て検討を行った。
【0055】今まで試作した巻き線コイルは,巻き線間
のスペースを極力少なくした密巻きコイルである。銅損
の測定結果と計算結果の検討により、高周波領域では表
皮効果だけではなく、近接効果の影響も存在する。
【0056】これまでの結果から、図1のようにコイル
導体間スペースが狭くなると損失が増加する事が分かっ
た。この検討に基づいて、コイル導体間のスペースを最
適化することでインダクタQ値の向上を図ることが可能
である。
【0057】以上のような本発明の実施の形態による薄
膜インダクタにおいて、得られた特性について説明す
る。
【0058】(i)まず、周波数特性について説明する 基板両面成膜した磁芯材料を用いて作製したインダクタ
の周波数特性については、HP高周波インピータンスア
ナライザーを用いて測定を行った。
【0059】図7は測定結果の一例を示す図である。図
7から、インダクタのQ値は、20MHzから70MH
zの周波数範囲では、50以上である事を確認できた。
【0060】(ii)次に、耐熱特性について説明する 図5で示したインダクタの詳しい構造は,図8に示す通
りである。ガラス基板11上の表裏両面に磁性薄膜1
2,12,…が形成されている。また,ガラス基板11
の片面の両端部には、外部接続のための導体パッド13
が形成されている。巻線の両端部4aはこの導体パッド
13に夫々半田付けされる。導体パッド13は、また、
外部との接続にも供される。
【0061】尚、磁性薄膜は幅方向に分割無しの一枚
と、2枚に分割のしたものを用意した。分割した理由
は、この様な構造を取った方が磁気ドメインがそろい、
損失が低下するという経験的な事実による。この構造に
おいて、基本間題として懸念されたことは、磁性体の耐
熱性の問題であった。つまり、フィルタのマザボードへ
の半田付け、フィルタ基板へのインダクタの半田付け、
インダクタ巻線の半田付けの3段階に対して、半田温度
に差を付けるとすれば、インダク夕巻線の半田付け温度
は、かなり高いものになると予測され、この問題の調査
が不可欠と判断された。
【0062】実験は、ホットプレートを所定の温度に設
定しておき、この上にインダクタを載せて30秒放置し
た後に放冷し、常温に戻った状態で特性測定を行う、と
いう繰り返しを行った。各サンプルに対して、低い温度
から順次高い温度に昇温するため、実際にかかった熱
は、それより低い温度でさらされた熱の積算されたもの
である。3個のサンプルについての測定結果は、下記表
1の通りであった。
【0063】
【表1】
【0064】上記表1より、本発明で作製したサンプル
については、短時間であれば、300℃以上に耐えるこ
とが判明し、耐熱性としては問題が無いことが分かる。
この実験の結果では、温度を上げることによるインダク
タンス値のドリフトの現象が見られる。特性安定化のた
めに、高温で強制エージングを加えて特性の安定化を計
ることが必要であると言える。
【0065】(iii)次に、温度特性について説明する −20℃〜80℃の温度範囲において、インダクタンス
値およびQ値の温度変化を測定した。実際には、フィル
タに用いられることを前提として、積層チップコンデン
サと並列接続した状態での共振周波数と損失カーブにつ
いて測定した。等価回路に基づいて、測定結果からイン
ダクタのインダクタンスとQ値を求めた。積層チップコ
ンデンサはほぽ零温度係数のものを選択したので、この
周波数温度係数は,ほぼインダクタンスの変化に等しい
と見られる。
【0066】図9はその測定結果を示す図である。ここ
に、共振周波数とQ値の変化は室温の値に基準としてま
とめたものである。
【0067】図10はフェライトチップインダクタの測
定例である。二つの図に比べて、薄膜巻線インダクタの
温度係数が小さいことが明らかに成っている。
【0068】以上、説明したように、本発明の実施の形
態では、Q値が50より大きく、サイズが小さく、耐熱
性もよく、温度特性も安定した巻き線型薄膜インダクタ
を作製した。このインダクタは、フエライトチップイン
ダクタに比較して、温度特性に優れ、レーザトリミング
によって微調節が可能であり、電子デバイスの小型化に
非常に有効な素子である。
【0069】
【実施例】図5(a)、(b)のように、基板2の両面
に磁芯薄膜3又は分割磁芯薄膜5を成膜した磁芯材料
に、図5(c)、(d)のように基板ごと巻線4を施し
た薄膜巻線インダクタ21、22の磁性厚みと磁性長
さ、表裏の磁性列の合計、巻線ターン数を変えた際の、
インダクタのL値とQ値の測定結果を下記表2に示す。
各面の磁性列は1〜4列に分割されている。下記表2よ
り、基板2の表裏1列のみの磁芯薄膜を備えた実施例1
以外は、Q>50が得られた。
【0070】
【表2】
【0071】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、高Q
値のインダクタを得るため、磁芯に用いた薄膜磁性体と
その磁芯の成膜された基板を一緒に巻き線を施して、薄
膜磁芯インダクタのQ値向上させることができる。
【0072】また、本発明によれば、この薄膜磁性体に
巻き線を施すことによって,磁芯を挿入するコイルのQ
値が大きくでき,コイルの巻き線は自動巻き線機を使い
低コストにでき,さらに、薄膜磁性体はレーザートリミ
ングが可能で特性の微調整ができる巻き線型磁性薄膜イ
ンダクタを提供することができる。
【0073】また、本発明では、ガラス基板の表裏両面
に薄膜磁芯を形成し、それを細かく切り離して、その後
巻き線を施すことで、サイズが小さく、Q値が高く(5
0以上)、かつ温度特性が安定である巻線型磁性薄膜イ
ンダクタとその製造方法とを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】巻線コイルの電気抵抗周波数特性と巻線間スペ
ースとの関係を示す図である。
【図2】磁性薄膜を用いて巻線インダクタのQ値と空芯
コイルL値、磁性体に起因するL値の依存関係を示す図
である。
【図3】磁性薄膜を用いて巻製インダクタの作製を示す
図である。
【図4】磁性薄膜2個を用いた巻線インダクタの作製例
を示す図である。
【図5】基板両面成膜した磁性材料を用いた巻き線イン
ダクタの作製例を示す図である。
【図6】多枚磁性薄膜を用いた巻線インダクタの作製例
を示す図である。
【図7】巻線薄インダクタのL,RとQの周波数特性を
示す図である。
【図8】基板な両面成膜した磁芯材料を用いた薄膜巻線
インダクタの構成を示す図である。
【図9】巻き線薄膜インダクタのQ値と共振周波数の温
度特性を示す図である。
【図10】フェライトチップインダクタQ値と共振周波
数の温度特性を示す図である。
【符号の説明】
1 磁芯部 2,11 基板 3,12 磁芯薄膜 4 巻き線 4a 巻き線の端部 5 分割磁芯薄膜 6 基板 7 磁芯部 8 多層磁芯材料 10,20,21,22,23 インダクタ 13 導体パッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 健 宮城県仙台市太白区郡山六丁目7番1号 株式会社トーキン内 Fターム(参考) 5E070 AA01 AA19 AB01 AB06 AB09 BA20 EA01 EA06 EB02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の少なくとも一面にQの大きな磁芯
    薄膜を形成し、巻線を施して巻き線インダクタを構成す
    ることを特徴とする巻き線型磁性薄膜インダクタ。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の巻き線型磁性薄膜インダ
    クタにおいて、前記磁芯薄膜は、分断されていることを
    特徴とする巻き線型磁性薄膜インダクタ。
  3. 【請求項3】 基板上に磁芯膜を形成し、それを少なく
    とも2枚重ね合わせ、その集合体に巻き線を施してなる
    ことを特徴とする巻き線型磁性薄膜インダクタ。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の巻き線型磁性薄膜インダ
    クタにおいて、前記磁芯薄膜は細かく切り離されている
    ことを特徴とする巻き線型磁性薄膜インダクタ。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4記載の巻き線型磁性薄膜
    インダクタにおいて、前記基板は、ポリイミド、ガラ
    ス、及びシリコンの内の少なくとも一種からなることを
    特徴とする巻き線型磁性薄膜インダクタ。
  6. 【請求項6】 基板上に磁芯薄膜を形成し、それを少な
    くとも2枚重ね合わせ、その集合体に巻き線を施すこと
    を特徴とする巻き線型磁性薄膜インダクタの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の巻き線型磁性薄膜インダ
    クタの製造方法において、前記磁芯薄膜は、細かく分断
    されており、前記基板は、ポリイミド、ガラス、及びシ
    リコンの内の少なくとも一種からなることを特徴とする
    巻き線型磁性薄膜インダクタの製造方法。
  8. 【請求項8】 基板面表裏に形成された磁芯薄膜を有
    し、前記磁芯薄膜は、磁化容易方向又は磁化困難軸方向
    に100μmから500μm幅に2〜50μmのスペー
    スを開けて分断されていることを特徴とする薄膜巻き線
    インダクタ用薄膜磁芯材料。
  9. 【請求項9】 請求項8記載の薄膜巻き線インダクタ用
    薄膜磁芯材料において、前記基板は、ポリイミド、ガラ
    ス、及びシリコンの内の少なくとも一種からなることを
    特徴とする薄膜巻き線インダクタ用薄膜磁芯材料。
  10. 【請求項10】 請求項8又は9記載の薄膜巻き線イン
    ダクタ用薄膜磁芯材料に巻き線を施してなることを特徴
    とする巻き線型磁性薄膜インダクタ。
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