JP2003133820A - 人工誘電体及びこれを用いた共振器 - Google Patents

人工誘電体及びこれを用いた共振器

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スプリアス特性の優れた共振器を提供する。 【解決手段】 複数の誘電体基板21と、共振時におけ
る電気力線に沿って各誘電体基板21の表面に形成され
た金属ワイヤ22とを有する。これにより、周波数の選
択性が高まり、共振器としての特性を大幅に向上させる
こと可能となる。また、電気力線に沿った方向における
見かけ上の誘電率が大幅に高まることから、比誘電率の
低い安価な誘電体材料を用いることができる一方、セラ
ミック等の高誘電体材料を用いれば全体のサイズを大幅
に縮小することが可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人工誘電体及びこ
れを用いた共振器に関し、さらに詳細には、共振器への
応用が好適な人工誘電体及びスプリアス特性の優れた共
振器に関する。
【0002】
【従来の技術】共振器は、従来より発振器の周波数安定
化、フィルタ、デュプレクサなど高周波回路の主要部品
として広く用いられている。共振器のタイプとしては、
金属の箱からなるタイプ、金属ストリップからなるタイ
プ、超伝導ストリップからなるタイプ、並びに、誘電体
ブロックからなるタイプ等が知られており、その多くは
実用化されている。これら各タイプの共振器の特徴を表
1に示す。
【0003】
【表1】 表1に示すように、各タイプの共振器はそれぞれ異なる
特徴を有しており、いずれのタイプの共振器を使用する
かは、求められる特性に応じて選択されることが一般的
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、表1に
示すように、スプリアス特性についてはいずれのタイプ
の共振器も十分に優れた特性を得ることができないとい
う問題があった。ここで「スプリアス」とは、目的とす
る共振周波数以外に発生する不要な共振を指す。共振器
に大きなスプリアスが存在すると、発振器においては発
振周波数の突然の跳躍という問題が生じ、フィルタ/デ
ュプレクサにおいては選択(通過あるいは遮断)したい
周波数帯域とは別の不要な帯域が形成されるという問題
が生じる。
【0005】一方、スプリアス周波数が目的とする主周
波数からある程度離れていれば、低域通過フィルタを併
用する等によってこれを除去することが可能である。し
かしながら、フィルタの併用等は回路全体の複雑化を招
くことから、小形・軽量化や低コスト化が阻害されると
ともに、信頼性の低下をもたらすおそれがある。
【0006】このため、従来より、スプリアス特性の優
れた共振器の出現が望まれていた。
【0007】したがって、本発明の目的は、スプリアス
特性の優れた共振器を提供することである。
【0008】また、本発明の他の目的は、共振器への応
用が好適な人工誘電体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明らは、誘電体材料
の中に金属等の導電性材料を混入することによって形成
される人工誘電体を用いて共振器を構成すれば、周波数
の選択性が飛躍的に高まり、スプリアス周波数を目的と
する主周波数から大幅に遠ざけることができるという技
術的知見を得て、本発明の完成に至った。
【0010】ここで人工誘電体とは、誘電体材料中に金
属ワイヤ等を混入した人工媒質であり、その概念は50
年以上前から知られている(BSTJ Vol.27 p58-82 W.E.K
ock"Metric Delay Lenses" 1948)。このような人工誘
電体に対して高周波電界を与えると、自由電荷が金属ワ
イヤに沿って動き、あたかも誘電体の分極の如く振舞
う。すなわち、金属ワイヤに平行な方向の電界に対して
は分極を生じ、逆に金属ワイヤに直交する方向の電界に
は実質的に反応しない。このことは、誘電体材料内にお
ける金属ワイヤの配置によって、人工誘電体の誘電率に
極めて強い異方性を持たせることが可能であることを意
味する。
【0011】本発明は、人工誘電体のこのような特性に
着目し、これを共振器に用いることによって、誘電体ブ
ロックを用いた従来の共振器のスプリアス特性を改善す
るものであり、誘電体ブロックと、前記誘電体ブロック
の内部及び表面の少なくとも一方に配置された複数の線
状導体とを備えることを特徴とする。
【0012】本発明によれば、誘電体ブロックに配置さ
れた線状導体によって共振モードに選択性を持たせるこ
とが可能であることから、不要な共振の影響を低減し、
スプリアスの少ない共振器をすることが可能となる。
【0013】本発明の好ましい実施態様においては、前
記複数の線状導体が、共振時における電気力線に沿って
配置されている。
【0014】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記線状導体が金属ワイヤからなる。
【0015】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記線状導体が超伝導物質からなる。
【0016】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記誘電体ブロックが、それぞれ表面に前記線状導
体が形成された複数の誘電体基板の積層体からなる。
【0017】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記誘電体基板が、樹脂からなる。
【0018】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記誘電体基板が、セラミックからなる。
【0019】本発明の前記目的はまた、誘電体ブロック
と、前記誘電体ブロックの内部及び表面の少なくとも一
方に電気力線に沿って配置された複数の線状導体とを備
えることを特徴とする人工誘電体によって達成される。
【0020】本発明の前記目的はまた、誘電体ブロック
と、前記誘電体ブロックの内部に配置された複数の導電
性コイルとを備えることを特徴とする人工誘電体によっ
て達成される。
【0021】本発明によれば、誘電体ブロックの内部に
複数の導電性コイルが配置されているので、円偏波に対
する選択性を持たせることが可能となる。
【0022】本発明の好ましい実施態様においては、前
記複数の導電性コイルの巻回方向が互いに一致してい
る。
【0023】本発明のさらに好ましい実施態様において
は、前記複数の導電性コイルが実質的に同一方向に向け
て配置されている。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の好ましい実施態様にかか
る共振器の具体的な構成について説明する前に、まず、
本発明の原理について説明する。
【0025】図1(a)、(b)は、円板形の誘電体ブ
ロックを用いた通常の共振器10の構成を示す斜視図で
あり、それぞれ共振器10のTE01δモード共振及び
EH 01δモード共振の電気力線が表されている。
【0026】いずれのモードでの共振においても、共振
器10を構成する誘電体材料は、図1(a)、(b)に
示す電気力線に沿って分極する。この場合、TE01δ
モードの共振周波数とEH01δモードの共振周波数は
比較的近接しているため、例えば、目的とする主周波数
をTE01δモードの共振周波数とした場合、EH
1δモードの共振がスプリアスとなり、これによって周
波数の選択性が低下してしまう。また、共振器10を小
型化するためには、セラミック等、比誘電率の高い材料
によって誘電体ブロックをする必要があり、製造コスト
を増大させてしまう。
【0027】そこで、本発明では、図1(a)、(b)
に示す電気力線に沿って金属ワイヤを配置し、これによ
って対応する共振モードのみを強く励振させ、他の共振
モードの共振周波数をはるか高周波側に遠ざけるととも
に、当該共振モードにおける見かけ上の誘電率を高めて
いる。例えば、図1に示した共振器10において、TE
01δモードを強く励振させ、他の共振モードの共振周
波数を高周波側に遠ざけるためには、誘電体ブロックの
内部に、図1(a)に示す電気力線に沿った多数の金属
ワイヤを配置すればよい。同様に、図1に示した共振器
10において、EH01δモードを強く励振させるため
には、誘電体ブロックの内部に、図1(b)に示す電気
力線に沿った多数の金属ワイヤを配置すればよい。
【0028】これにより、目的外の共振モードに起因す
るスプリアス周波数が目的とする主周波数から大きく遠
ざられるので、周波数の選択性が飛躍的に高まるととも
に、当該共振モードにおける見かけ上の誘電率が高まる
ので、比誘電率の低い安価な材料を用いて誘電体ブロッ
クを構成することができる一方、比誘電率の高い材料を
用いて誘電体ブロックを構成すれば、共振器全体のサイ
ズを大幅に小型化することが可能となる。
【0029】以上が本発明による共振器の原理である。
次に、本発明の好ましい実施態様にかかる共振器につい
て詳細に説明する。
【0030】図2は、本発明の好ましい実施態様にかか
る共振器20の構成を示す斜視図である。
【0031】本実施態様にかかる共振器20は、TE
01δモードの共振の選択性が高められた共振器であ
り、円板形の誘電体ブロックの内部及び表面に図1
(a)に示した電気力線に沿った多数の金属ワイヤが配
置されてなる。より詳細には、本実施態様にかかる共振
器20は、いずれも円板形である複数の誘電体基板21
と、これら誘電体基板21の表面に図1(a)に示す電
気力線に沿って配置された多数の金属ワイヤ22からな
り、これら誘電体基板21が積層されて構成されてい
る。
【0032】誘電体基板21の材料としては特に制限さ
れず、目的とする主周波数に基づいて適宜選択すればよ
い。しかしながら、本実施態様にかかる共振器20にお
いては、目的とする共振モード(TE01δモード)に
て発生する電気力線に沿って多数の金属ワイヤ22が配
置され、これによって当該方向における電界に対しては
誘電体ブロックの見かけ上の誘電率が大幅に高まること
から、ガラスエポキシ等、比誘電率の比較的低い材料を
用いることが可能である。また、セラミック等の比誘電
率の高い材料を用いて誘電体ブロックを構成すれば、共
振器全体のサイズを従来に比べて大幅に小型化すること
ができる。
【0033】また、周波数の選択性向上効果及び見かけ
上の比誘電率の向上効果を高めるためには、金属ワイヤ
22の電気力線に沿った方向の長さが、これに直交する
方向の長さよりも十分に長いことが好ましい。また、各
金属ワイヤ22間の距離についても、周波数の選択性向
上効果及び見かけ上の比誘電率の向上効果を高めるため
には、電気力線に沿った方向の間隔を、これに直交する
方向の間隔よりも十分に狭くすることが好ましい。さら
に、各金属ワイヤ22間の電気力線に沿った方向の間隔
とこれに直交する方向の間隔との比が同じである場合、
金属ワイヤ22の形成密度が高いほど周波数の選択性向
上効果及び見かけ上の比誘電率の向上効果が高められ
る。
【0034】また、金属ワイヤ22の材料としては特に
限定されないが、損失の増大を抑制するためには、銅の
ように導電性が高い材料を用いることが好ましい。
【0035】次に、本実施態様にかかる共振器10の製
造方法について、誘電体基板21としてガラスエポキシ
等の樹脂材料を用いた場合の製造方法と、セラミック等
の焼結材料を用いた場合の製造方法に分けて説明する。
【0036】誘電体基板21として樹脂材料を用いる場
合、まず、ガラスエポキシ等からなる主基板31を用意
し、図3に示すように、その表面に多数の金属ワイヤ2
2からなるパターン23を複数形成する。このようなパ
ターン23の形成方法としては特に限定されないが、主
基板31上の全面に銅箔等の金属箔を形成し、これをフ
ォトリソグラフィー法によりエッチングすることに形成
することが好ましい。
【0037】このようにして、パターン23が形成され
た主基板31を複数枚作製し、図4に示すように、これ
ら主基板31を積層し接着する。そして、図5に示すよ
うに、積層された主基板31のうちパターン23が形成
されている部分を切断し、複数の共振器10を取り出
す。これにより、一度に複数の共振器10を作製するこ
とができる。このような方法によれば、誘電体ブロック
からなる一般的な共振器のように焼成工程が不要である
ことから、スプリアス特性の優れた共振器10を非常に
安価に作製することが可能となる。
【0038】一方、誘電体基板21として焼結材料を用
いる場合、まず、セラミックグリーンシート等からなる
主基板31を用意し、図3に示すように、その表面に多
数の金属ワイヤ22からなるパターン23を複数形成す
る。このようなパターン23の形成方法としては特に限
定されないが、スクリーン印刷法等により主基板31上
に直接パターン23を形成することが好ましい。
【0039】このようにして、パターン23が形成され
た主基板31を複数枚作製し、図4に示すように、これ
ら主基板31を積層する。そして、図5に示すように、
積層された主基板31のうちパターン23が形成されて
いる部分を切断し、その後、これを焼成することによ
り、複数の共振器10を作製する。このような方法によ
れば、スプリアス特性に優れ、且つ、非常に小型である
共振器10を作製することができる。
【0040】次に、本発明の好ましい他の実施態様につ
いて説明する。
【0041】図6は、本発明の好ましい他の実施態様に
かかる共振器40の構成を示す斜視図である。
【0042】本実施態様にかかる共振器40は、EH
01δモードの共振の選択性が高められた共振器であ
り、円板形の誘電体ブロックの内部に図1(b)に示し
た電気力線に沿った多数の金属ワイヤが配置されてな
る。より詳細には、本実施態様にかかる共振器40は、
いずれも円板形である複数の誘電体基板41と、これら
誘電体基板41の表面に図1(b)に示す電気力線に沿
って配置された多数の金属ワイヤ42からなり、これら
誘電体基板41が積層されて構成されている。
【0043】このような共振器40においても、目的と
する共振モード(EH01δモード)における周波数の
選択性が飛躍的に高まるとともに、電気力線に沿った方
向における電界に対しては誘電体ブロックの見かけ上の
誘電率が大幅に高まることから、ガラスエポキシ等、比
誘電率の比較的低い材料を用いることが可能となる。
尚、かかる共振器40の製造方法としては、図3乃至図
5を用いて説明した共振器20の製造方法と同じ方法を
用いることができる。
【0044】次に、本発明の好ましいさらに他の実施態
様について説明する。
【0045】図7は、本発明の好ましいさらに他の実施
態様にかかる人工誘電体50の構成を示す透過斜視図で
ある。
【0046】本実施態様にかかる人工誘電体50は、円
偏波に対して選択性を有する誘電体であり、所望の形状
を有する誘電体ブロック51と、その内部に埋設された
複数の金属コイル52からなる。
【0047】誘電体ブロック51の材料としては特に制
限されず、樹脂や発泡スチロール等を用いることができ
る。また、誘電体ブロック51の内部に埋設された複数
の金属コイル52としては、その巻回方向が互いに同じ
ものが用いられる。金属コイル52の材料としては特に
限定されないが、損失の増大を抑制するためには、銅の
ように導電性が高い材料を用いることが好ましい。
【0048】このような構成からなる人工誘電体50に
おいては、一方の回転方向の円偏波に対する誘電率と他
方の回転方向の円偏波に対する誘電率とが大きく相違す
るという特性を有している。例えば、埋設された金属コ
イル52の巻回方向が全て右回転であれば、右回転の円
偏波に対する誘電率が左回転の円偏波に対する誘電率よ
りも大きなる。したがって、かかる性質を利用すれば、
いずれか一方の円偏波を選択することが可能となる。
【0049】また、図7に示す人工誘電体においては、
埋設された金属コイル52の向きがまちまちであること
から、あらゆる方向からの円偏波に対して選択性を有し
ているが、図8に示すように、金属コイルの向きを一方
向に揃えれば、当該方向からの円偏波に対してより強い
選択性を持たせることが可能となる。
【0050】
【実施例】まず、厚さが0.8mmであるポリテトラフ
ルオロエチレン基板60(εr=2.68)を7枚用意
し、これらポリテトラフルオロエチレン基板60の一方
の面の全面に銅箔を形成した。次に、フォトリソグラフ
ィー法により、これら銅箔をエッチングし、各基板60
に第1及び第2のパターンを形成した。
【0051】図9は、各基板60に形成した第1のパタ
ーン61及び第2のパターン62を示す平面図である。
【0052】図9に示すように、第1のパターン61及
び第2のパターン62とも、TE 1δモード共振にて
発生する電気力線に沿って形成された複数の金属ワイヤ
63からなる。各金属ワイヤ63のサイズは、長さが3
mm、幅が0.5mmであり、第1のパターン61及び
第2のパターン62の外径はいずれも約20mmであ
る。また、第1のパターン61は86本の金属ワイヤ6
3からなり、第2のパターン62は104本の金属ワイ
ヤ63からなる。これにより、図9に示すように、隣接
する金属ワイヤ63間の間隔は、第1のパターン61よ
りも第2のパターン62の方が密となっている。
【0053】次に、これら7枚のポリテトラフルオロエ
チレン基板を、第1のパターン61及び第2のパターン
62が重なるように積層し、接着した。このようにして
形成された積層体のうち、第1のパターン61が形成さ
れている部分、第2のパターン62が形成されている部
分、並びに、いずれのパターンも形成されていない部分
を20mmの直径で切り出し、それぞれ共振器A、共振
器B、共振器Cとした。
【0054】そして、このようにして作製された共振器
A、共振器B、共振器Cを、図10に示すように、50
Ωマイクロストリップ線路が形成された測定基板に順次
載置し、その反射特性をネットワークアナライザで測定
した。ここで、50Ωマイクロストリップ線路の幅は
2.179mmであり、その長さは50mmである。ま
た、50Ωマイクロストリップ線路が形成されている測
定基板の厚みは0.8mmであり、その裏面の全面には
導体層が形成されている。
【0055】図11(a)〜(c)は、それぞれ共振器
A、共振器B、共振器Cを載置した状態における反射特
性を示し、図11(d)は、共振器を載置していない状
態における反射特性を示す。
【0056】図11(a)、(b)に示すように、共振
器Aをマイクロストリップ線路に載置した場合、約12
GHz近辺に共振周波数が現れ、共振器Bをマイクロス
トリップ線路に載置した場合、約11GHz近辺に共振
周波数が現れた。一方、図11(c)に示すように、共
振器Cをマイクロストリップ線路に載置した場合、この
ような共振は現れず、図11(d)に示す共振器が存在
しない場合の特性とほぼ同様の特性となっていることか
ら、図11(a)、(b)において現れた共振が、誘電
体材料による共振ではなく、金属ワイヤ63を配置した
ことによるものであることが確認できた。
【0057】以上説明したように、本実施態様において
は、誘電体ブロックの内部に電気力線に沿った複数の金
属ワイヤを配置していることから、周波数の選択性が高
まり、共振器としての特性を大幅に向上させること可能
となる。また、電気力線に沿った方向における見かけ上
の誘電率が大幅に高まることから、比誘電率の低い安価
な誘電体材料を用いることができる一方、セラミック等
の高誘電体材料を用いれば全体のサイズを大幅に縮小す
ることが可能となる。
【0058】本発明は、以上の実施態様に限定されるこ
となく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種
々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含
されるものであることはいうまでもない。
【0059】例えば、上記実施態様においては、単一の
モードでの共振を考慮して金属ワイヤを配置している
が、本発明がこれに限定されるものではなく、一つの共
振器において複数の共振を利用する、いわゆる多重モー
ドの共振器に適用することも可能である。この場合、各
共振モードの電気力線に対応する金属ワイヤを誘電体ブ
ロックの内部及び/又は表面に配置すればよい。
【0060】また、上記実施態様においては、誘電体ブ
ロックの内部及び表面に金属ワイヤを配置しているが、
本発明においてこれが金属である必要はなく、線状導体
である限り、超伝導物質等、金属以外の材料を用いても
構わない。線状導体として超伝導物質を用いれば、Q値
を高めることが可能となる。
【0061】さらに、上記実施態様においては、本発明
を円板形の誘電体共振器に応用した例について説明した
が、本発明は、円板形の誘電体共振器のみならず、円柱
状や角柱状等、その他の形状を有する誘電体共振器に適
用することも可能である。
【0062】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
周波数の選択性が非常に高くスプリアス特性に優れた共
振器を提供することが可能となる。したがって、本発明
による共振器を複数個用いて帯域通過フィルタやデュプ
レクサを作製すれば、帯域外に不要な通過帯域を持たな
い優れた特性を持たせることが可能となる。また、本発
明による人工誘電体は、円偏波に対する選択性を有して
いるので、いずれか一方の円偏波を選択することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、円板形の誘電体ブロックを用い
た通常の共振器10の構成とTE01δモード共振の電
気力線を示す図であり、図1(b)は、円板形の誘電体
ブロックを用いた通常の共振器10の構成とEH01δ
モード共振の電気力線を示す図である。
【図2】図2は、本発明の好ましい実施態様にかかる共
振器20の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の好ましい実施態様にかかる共
振器20の製造工程の一つを示す工程図である。
【図4】図4は、図3に示す工程に続く工程を示す工程
図である。
【図5】図5は、図4に示す工程に続く工程を示す工程
図である。
【図6】図6は、本発明の好ましい他の実施態様にかか
る共振器40の構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、本発明の好ましいさらに他の実施態様
にかかる人工誘電体50の構成を示す透過斜視図であ
る。
【図8】図8は、人工誘電体50において金属コイル5
2の向きを一方向に揃えた例を示す透過斜視図である。
【図9】図9は、実施例において、各ポリテトラフルオ
ロエチレン基板60に形成した第1のパターン61及び
第2のパターン62を示す平面図である。
【図10】図10は、50Ωマイクロストリップ線路が
形成された測定基板を示す斜視図である。
【図11】図11(a)〜(c)は、それぞれ共振器
A、共振器B、共振器Cを載置した状態における反射特
性を示し、図11(d)は、共振器を載置していない状
態における反射特性を示す。
【符号の説明】
10,20,40 共振器 21,41 誘電体基板 22,42 金属ワイヤ 23 パターン 31 主基板 50 人工誘電体 51 誘電体ブロック 52 金属コイル 60 ポリテトラフルオロエチレン基板 61 第1のパターン 62 第2のパターン 63 金属ワイヤ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山下 喜就 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 遠藤 謙二 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 5J006 HC03 HC12 JA31 LA03 MA03 NA08

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体ブロックと、前記誘電体ブロック
    の内部及び表面の少なくとも一方に配置された複数の線
    状導体とを備えることを特徴とする共振器。
  2. 【請求項2】 前記複数の線状導体が、共振時における
    電気力線に沿って配置されていることを特徴とする請求
    項1に記載の共振器。
  3. 【請求項3】 前記線状導体が金属ワイヤからなること
    を特徴とする請求項1または2に記載の共振器。
  4. 【請求項4】 前記線状導体が超伝導物質からなること
    を特徴とする請求項1または2に記載の共振器。
  5. 【請求項5】 前記誘電体ブロックが、それぞれ表面に
    前記線状導体が形成された複数の誘電体基板の積層体か
    らなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項
    に記載の共振器。
  6. 【請求項6】 前記誘電体基板が、樹脂からなることを
    特徴とする請求項5に記載の共振器。
  7. 【請求項7】 前記誘電体基板が、セラミックからなる
    ことを特徴とする請求項5に記載の共振器。
  8. 【請求項8】 誘電体ブロックと、前記誘電体ブロック
    の内部及び表面の少なくとも一方に電気力線に沿って配
    置された複数の線状導体とを備えることを特徴とする人
    工誘電体。
  9. 【請求項9】 誘電体ブロックと、前記誘電体ブロック
    の内部に配置された複数の導電性コイルとを備えること
    を特徴とする人工誘電体。
  10. 【請求項10】 前記複数の導電性コイルの巻回方向が
    互いに一致していることを特徴とする請求項9に記載の
    人工誘電体。
  11. 【請求項11】 前記複数の導電性コイルが実質的に同
    一方向に向けて配置されていることを特徴とする請求項
    10に記載の人工誘電体。
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