JP2000249988A - 一体構造の薄型眼鏡フロント枠、ならびに同眼鏡フロント枠の打抜き捩り加工による製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 一体構造で、強靱にして軽量な薄型眼鏡フロ
ント枠の提供、ならびにそのようなフロント枠を簡単な
工程で能率的に製造できる方法を提供すること。 【解決手段】 金属板の打抜き捩り加工という手段を採
用した。 【効果】 一体構造品であるために、非常に強靱で耐久
性に富むと共に、装着するレンズ周縁の凹溝を深くする
ことにより、リムレス眼鏡のような外観の眼鏡としても
用いることが可能となり、また金属板の打抜き捩り加工
という極めて単純な作業工程によって一体構造の薄型眼
鏡フロント枠を製造できるので、生産性を大幅に向上さ
せることが可能になった。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、一体構造の薄型眼
鏡フロント枠、および同眼鏡フロント枠の打抜き捩り加
工による製造方法、更に詳しくは、左右両端にテンプル
をヒンジ連結可能なブラケットを一体的に有する薄型メ
タル眼鏡フロント枠と、このような眼鏡フロント枠を効
率的に製造することができる方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に市販されている眼鏡を大別する
と、合成樹脂やベッ甲などを材料として作られた所謂
「セル枠」の部類に属するものと、金属材料によって作
られた所謂「メタル枠」の部類に属するものと、レンズ
を抱持するリムを用いないで小さな部品でレンズを繋ぎ
止めてフロント部分を構成する所謂「リムレス眼鏡」と
呼ばれる部類に属するものに分類することができる。

【０００３】そして、重厚の魅力よりも軽快さを尊ぶ最
近の風潮の下では、厳つい印象を与えるセル枠の眼鏡は
敬遠される傾向にあり、メタル枠やリムレスの眼鏡に人
気が集まっていることは事実である。

【０００４】そこで、メタル枠の眼鏡とリムレスの眼鏡
を比較してみると、メタル枠眼鏡はリムレス眼鏡よりも
若干重いのに対し、リムレス眼鏡は軽いという利点があ
る。このため、リムレス眼鏡を愛好する者も多いのであ
るが、これにはレンズ保持力が十分でなく、形態安定性
や耐久性が劣るという難点があるところから、長期的に
はメタル枠眼鏡に信頼を集めている。

【０００５】ところが、メタル枠眼鏡は、フロント枠部
分だけを採り上げてみても、レンズを抱持するための左
右一対のリム、これらのリムを中央で繋いで左右対称に
結合するブリッジ、前記左右のリムを開閉ロックしてレ
ンズの着脱を可能にするリムロック、前記ブリッジによ
って左右対称に結合されたリムの両側端に固着されてテ
ンプルのヒンジ連結を可能にするブラケットといった具
合に非常に多数の部品から構成されており、しかもこれ
らの部品相互の接続にはロウ付加工が必要であって、そ
の製造には非常に多くの手間が掛かり、生産性を上げる
ことの困難な事情があった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、メタル枠眼
鏡が品質的に優れて長期的に大きな需要が見込めるにも
拘わらず、従来一般のメタル枠眼鏡、特に、そのフロン
ト枠に前述の如き問題があったことに鑑みて為されたも
のであって、構造的に一体で高能率に製造することがで
き、要すればリムレス眼鏡のようにレンズ周縁を囲うリ
ム部分が外見的に殆ど見えなくすることも可能な一体構
造の薄型眼鏡フロント枠、およびその製造方法を提供す
ることを技術的課題とするものである。

【０００７】また、本発明の他の技術的課題は、薄い金
属板を打抜いて簡単に製造することができる一体構造の
薄型眼鏡フロント枠と、その打抜き捩り加工による製造
方法を提供するにある。

【０００８】更に、本発明の他の技術的課題は、従来の
メタル枠眼鏡と比較して格段に軽くて構造的に強靱で、
しかも生産性の大幅な向上を実現することができる一体
構造の薄型眼鏡フロント枠と、その合理的製造方法を提
供するにある。

【０００９】

【課題を解決するために採用した手段】本発明者が上記
技術的課題を解決するために採用した手段を、添附図面
を参照して説明すれば、次のとおりである。

【００１０】即ち、本発明は、金属板Ｐを打抜いて作製
された一体構造の枠体であって、中央のブリッジ１の両
側にはレンズを抱持すべきリム２・２を対称的に有する
と共に、前記両側のリム２・２の外側端の各々には接眼
側へブラケット３・３が持出形成されており、このブラ
ケット３は、前記リム２・２の外側端に突成された凸片
が上下に分断されることにより両リム２・２を開閉ロッ
ク可能になっており、かつ、分断された前記突片の中間
部位を捩り曲げ変向させて接眼側へ持出された端部には
テンプルをヒンジ連結するためのヒンジ翼片31・31が上
下に形成する、という手段を採用して一体構造の薄型眼
鏡フロント枠を構成した点に特徴がある。

【００１１】また、本発明は、上記一体構造の薄型眼鏡
フロント枠を製造する方法的手段として、レンズＬ・Ｌ
を抱持すべき部位となるリム型部2a・2aを左右対称に備
え、かつ、これら左右のリム型部2aの外側にはテンプル
Ｔをヒンジ連結すべき部位となるブラケット型部3aを有
するフロント素型Ｓを金属板Ｐから打抜くとともに、前
記左右のブラケット型部3aはリム型部2aを開放できるよ
うに外端から内方に亙って切断し、こうして分断された
ブラケット型部3aの切断片31ａ′・ 31ａ′は、テンプル
接続側となるべき側へ対称的に捩り加工してヒンジ翼片
31・31を有するブラケット３を形成するという加工手段
を採用した点に特徴がある。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、添附図面に示す実施形態に
基き、本発明の具体的構成を更に詳しく説明するものと
する。

【００１３】図１は、本発明を適用して構成された眼鏡
フロント枠の一例である実施形態を表わしたものであ
り、全体が純チタン(Ti)の打抜き板で作製されている。

【００１４】図１において、符号１で指示するものは、
着用時に鼻梁上に掛かるブリッジであり、その左右両側
にはリム２・２が対称的に連設されている。このリム２
・２には後述のレンズＬ・Ｌが抱持されることになる。

【００１５】そして、ブリッジ１を中心に左右対称に連
設されたリム２・２の両外端には、接眼側へブラケット
３・３が形成されて、後述のテンプルＴ・Ｔがヒンジ連
結可能になっている。なお、図１における符号31ｂはテ
ンプルＴがヒンジ連結される枢軸孔、また符号32は後述
のレンズＬ・Ｌの抱持の際にリム２・２を閉塞固定する
ためのリムロック孔であり、前記枢軸孔31ｂにはピボッ
トＰv 、リムロック孔32には止めネジＬr が螺入され
る。

【００１６】他方、リム２・２の内側にはパッドアーム
４・４が一体に対称形成してあり、その先端にはシリコ
ーンゴム製の鼻パッドが装着可能である。

【００１７】図１のように作製された本実施形態の眼鏡
フロント枠には、図２〜図５に示すような順序でレンズ
Ｌ・Ｌ、テンプルＴ・Ｔとを挿着し、パッドアーム４・
４の先端には鼻パッドＮ・Ｎを装着することによってメ
タル枠眼鏡として完成する。なお、本実施形態において
リム２・２に抱持されるレンズＬ・Ｌには、外周縁に凹
溝Ｌ_T が穿設してあり、左右のリム２を凹溝Ｌ_T に嵌り
込ませ、リムロック孔31ｃを止めネジＬr で止着するこ
とによってシッカリと抱持される。この場合において、
左右のレンズＬの凹溝Ｌ_T ・ Ｌ_T を深くしておくと、こ
のレンズ凹溝へのリム２の埋入量が大きくなるので、正
面から見た際にリムが隠れて見え難くゝなりリムレス眼
鏡の如き外観となる。

【００１８】つぎに、上記した本実施形態の眼鏡フロン
ト枠を製造する具体的方法を、図６および図７に基いて
説明する。

【００１９】まず、図６に示すように、厚さが 0.5mm、
縦が 4cm、幅が20cmの純チタンから成る金属板Ｐを打抜
いてブリッジ型部1aの両側にリム型部2a・2aを対称的に
有する大略∞形のフロント枠素型Ｓを作製する。こう
して打抜成形されたフロント枠素型Ｓの両側には、触覚
形に端部が対称に股開きした突片Ｂ・Ｂが突成され、ま
たリム型部2a・2aのブリッジ型部1aよりの下弦部位には
パッドアーム型部4a・4aが突成されている。

【００２０】そして、このフロント素型Ｓが打抜成形さ
れる際には、前記突片Ｂ・Ｂは中央部位において分断さ
れて、その切断片31ａ′・ 31ａ′からリム型部2a・2aが
開放になると共に、触覚形の突片Ｂ・Ｂの先端部には枢
軸孔31ｂ・31ｂ、略中間部位にはリムロック孔32が同時
に開設される。なお、突片Ｂの中間部位における上側と
下側に形成した切欠部ｎ・ｎ（図７）は、捩り加工する
際に曲げ易くするためのものである。

【００２１】つぎに、左右両外端の切断片31ａ′・ 31
ａ′を切欠部ｎ・ｎを基準にして捩り加工をすると、外
端部に図２のようなブラケット３が形成される。そし
て、パッドアーム型部4a・4aも所要の角度になるように
捩り加工を施すと、図１のごとき本実施形態の一体構造
の薄型眼鏡フロント枠ができ上がるのである。

【００２２】本願明細書と図面に具体的に例示する実施
形態は概ね上記のとおりであるが、本発明は前述の実施
形態例に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範
囲」の記載内で種々の変更実施が可能であって、採用す
る金属板Ｐの素材についてもチタン以外にも、超弾性合
金材料（例えば、Ni−Ti系合金）や洋白、モネルなど従
来眼鏡部品材料として使用される金属を用いることもあ
り得る。

【００２３】また、前述の実施形態例にあっては、レン
ズＬの全周をリム２だけで抱持するところの所謂「フル
リム(full rim)」形式のフロント枠について説明してき
たけれども、本発明はレンズＬの上弦部は略円弧形のリ
ムで包囲し、下弦部は紐状のコードＣで吊上げて抱持す
る所謂「ハーフリム(half rim)」 形式のフロント枠にも
適用可能であッて、このような変更実施も本発明の技術
的範囲に属することは云うまでもない。

【００２４】

【発明の効果】以上、実施形態を挙げて説明したとお
り、本発明を適用して得られる眼鏡フロント枠は、金属
板を打抜き捩り加工によって得られる一体構造品である
ために、非常に強靱で耐久性に富むと共に、装着するレ
ンズ周縁の凹溝を深くすることにより、リムレス眼鏡の
ような外観の眼鏡としても用いることが可能であり、頗
る好ましい眼鏡デザインを形成することが可能である。

【００２５】また、発明方法にあっては、金属板の打抜
き捩り加工という極めて単純な作業工程によって一体構
造の薄型眼鏡フロント枠を製造できるので、生産性を大
幅に向上させることが可能であり、眼鏡枠製造の合理化
に大きく貢献できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本発明の実施形態である一体構造の薄
型眼鏡フロント枠を表わす斜視説明図である。

【図２】図２は、図１の眼鏡フロント枠におけるブラケ
ット部分を拡大して示した部分拡大斜視説明図である。

【図３】図３は、眼鏡フロント枠にレンズを装着する状
態を表わす斜視説明図である。

【図４】図４は、眼鏡フロント枠にレンズを装着してリ
ムロックすると共に、テンプルをヒンジ連結させる状態
を表わす斜視説明図である。

【図５】図５は、本発明の眼鏡フロント枠を用いて眼鏡
を組み立てた状態の部分的な斜視説明図である。

【図６】図６は、本発明が目的とする一体構造の薄型眼
鏡フロント枠を製造プロセスにおける金属板からの打抜
き加工の状態を示した斜視説明図である。

【図７】図７は、図６で得られたフロント枠素型の突片
部分を拡大して示した部分拡大説明図である。

【図８】図８は、本発明を所謂「ハーフリム」形式の眼
鏡フロント枠に適用した場合を例示した他の実施形態を
表わす斜視説明図である。

【符号の説明】

１ ブリッジ 1a ブリッジ型部 ２ リム 2a リム型部 ３ ブラケット 3a ブラケット型部 31 ヒンジ翼片 31ａ′ 切断片 31ｂ 枢軸孔 32 リムロック孔 ４ パッドアーム Ｂ 突片 Ｃ コード Ｌ レンズ Ｌ_T 凹溝 Ｌr 止めネジ Ｎ 鼻パッド Ｐv ピボット Ｓ フロント枠素型 Ｔ テンプル ｎ 切欠部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属板Ｐを打抜いて作製された一体構造
   の枠体であって、中央のブリッジ１の両側にはレンズを
   抱持すべきリム２・２を対称的に有するとともに、前記
   両側のリム２の外側端の各々には接眼側へブラケット３
   ・３が持出形成されており、このブラケット３は、前記
   リム２・２の外側端に突成された凸片が上下に分断され
   ることにより両リム２・２を開閉ロック可能になってお
   り、かつ、分断された前記突片の中間部位を捩り曲げ変
   向させて接眼側へ持出された端部にはテンプルをヒンジ
   連結するためのヒンジ翼片31・31が上下に形成されてい
   ることを特徴とした一体構造の薄型眼鏡フロント枠。
2. 【請求項２】 レンズＬ・Ｌを抱持すべき部位となるリ
   ム型部2a・2aを左右対称に備え、かつ、これら左右のリ
   ム型部2aの外側にはテンプルＴをヒンジ連結すべき部位
   となるブラケット型部3aを有するフロント素型Ｓを金属
   板Ｐから打抜くとともに、前記左右のブラケット型部3a
   はリム型部2aを開放できるように外端から内方に亙って
   切断し、こうして分断されたブラケット型部3aの切断片
   31ａ′・ 31ａ′は、テンプル接続側となるべき側へ対称
   的に捩り加工してヒンジ翼片31・31を有するブラケット
   ３を形成することを特徴とした打抜き捩り加工による薄
   型眼鏡フロント枠の製造方法。
3. 【請求項３】 ブラケット型部3aの切断の際に、テンプ
   ルＴをヒンジ連結すべき枢軸孔31ｂを開設せしめる請求
   項２記載の、打抜き捩り加工による眼鏡フロント枠の製
   造方法。
4. 【請求項４】 ブラケット型部3aの切断の際に、テンプ
   ルＴをヒンジ連結すべき枢軸孔31ｂとリム型部2aを閉塞
   固定すべきリムロック孔32とを開設する請求項２又は３
   記載の、打抜き捩り加工による薄型眼鏡フロント枠の製
   造方法。