JP2000241733A - 光走査装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真方式による画像形成に用いる光走査
装置において、装置を構成する光学素子に発生する振動
を、素子本来の性能を損なわず、重量アップやコストア
ップを伴わない簡単な構成で低減し、高性能化を図る。 【解決手段】 レーザ源からの出射光をビーム光とし多
面鏡モータ３０により駆動される多面鏡３１で偏向さ
せ、走査光とした後、ｆθレンズ３２、ミラー３３、ト
ロイダルレンズ３４、防塵ガラス３５を経て出射させ感
光体（図示せず）を照射する。走査方向に長尺なトロイ
ダルレンズ３４の振動を低減するため、レンズの透過面
側を覆うように防塵ガラス３５を接着する。また、防塵
ガラス３５は露光開口部４１を塞ぐが、十分な密閉構造
を得るために防塵ガラスの端面にシール部材３６を押し
当てた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、光走査装置に関
し、より詳細にはデジタル複写機、プリンタ等の画像形
成装置に装備される光走査装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】電子写真方式による画像形成装置におい
て用いられる光走査装置は、画像を担った光束で感光体
を走査し静電潜像を形成する過程で利用されるもので、
レーザー光を出射する半導体レーザーと、そのレーザー
光を反射して感光体上を走査させる多面鏡と、多面鏡を
回転駆動する多面鏡モータと、前記多面鏡からの光を結
像する結像レンズ等から成り、これらの光源、多面鏡、
多面鏡モータ、結像レンズを書込ハウジングに収容し、
書込光としてレーザー光が出射する露光開ロ部を防塵ガ
ラスで塞ぐようにし、略密閉された構造を成している。

【０００３】このような光走査装置を装備したこの種の
電子写真方式による画像形成装置は副走査方向に回転す
る感光体に、光走査装置でレーザー光を主走査方向に走
査して画像を形成している。このため、光走査装置自身
が有する多面鏡モータ等の駆動部から発生する振動、あ
るいは感光体等の他の駆動部から伝達される振動によっ
て前記した書込ハウジングや結像レンズが共振する。そ
の結果、レーザー光の結像位置が変動し画像上において
副走査方向に濃度ムラが生じて、画質を低下させるとい
う間題があった。特に結像レンズはコストダウンのため
にプラスチック化する傾向にあり、ガラスレンズに比べ
剛性が低くなっている。そうした結像レンズの中でも多
面鏡の面倒れ補正用のレンズとして光路の最終段に配置
されるトロイダルレンズは、主走査方向に長いため、中
央部がたわみ易く、振動の影響を受けやすい構造をなす
ものである。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】そこで、このような光
学素子の共振現象の問題を解決するために、例えば、結
像レンズの側面に板ガラスを接着して剛性を高め、固有
振動数を変えて振動の低減を図ったものがある。図５
は、上記した板ガラスにより低減化を図った従来のこの
種の光走査装置の１例を示す。なお、図５は、装置の正
面図で、一部を断面にて示すものである。図５におい
て、トロイダルレンズ３４に共振を低減化する手段を講
じている。トロイダルレンズ３４は、回転多面鏡３１の
各反射面間の面倒れ誤差を補正する機能を持ち、そのレ
ンズ面形状がアナモフィックな面であるためプラスチッ
ク化され、また、縮小光学系で結像レンズの中でも光路
の最終段に配置される（なお、トロイダルレンズ３４の
後には防塵ガラス３５により塞がれた露光開口部４１が
あり、ここを通して感光体を露光する）ため走査方向に
長尺になることから、振動に対して影響を受けやすい。
ここでは、図示の様にトロイダルレンズ３４の側面、即
ち長尺とした走査方向に沿って板ガラス３７等を接着し
て剛性を高めている。しかしながら、剛性を高めるため
には相当程度に板厚を厚くする必要があり光学素子の重
量アップとコストアップを招く。

【０００５】また、この共振現象の問題を解決するため
に、例えば、結像レンズの側面に板金を接着して剛性を
上げ、固有振動数を変えて振動の低減を図ったものがあ
る。しかし、板金の場合、上記した板ガラスに比べる
と、剛性は高くすることが出来るが、接着面の平面度
は、板ガラスよりも精度を出すことが困難であり、平面
度の出難い板金を接着した場合、結像レンズが板金にな
らい変形し、光軸ズレが発生するという問題が起きる。

【０００６】一方、特殊な制振部材（粘弾性材料）を介
して板ガラスを接着し、振動のエネルギーを熱エネルギ
ーに変えて振動の低減を図るものが提案されている。し
かしながら、この制振部材による方法も板ガラスだけを
使用する方法以上にコストアップを招く結果となる。さ
らに、別の解決法として、光学素子（この例では、ミラ
ー）とハウジングとの間に緩衝部材を設置して振動を抑
えるように構成したレーザー光走査装置が提案されてい
る。しかし、この装置ではミラー及び緩衝部材の寸法や
取付精度によっては緩衝部材の変形量がばらつき、振動
を十分に抑えることが出来ないという問題を残す。

【０００７】本発明は、電子写真方式による画像形成装
置に用いる光走査装置における上述の問題点に鑑みてな
されたもので、その目的は、前記光走査装置を構成する
光学素子に発生する振動を、素子本来の性能を損なわ
ず、また重量アップやコストアップを伴うことのない簡
単な構成で低減することにより高性能の光走査装置を提
供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明は、レー
ザ光を発する光源と、該光源からのレーザ光を反射する
多面鏡と、該多面鏡を回転駆動する多面鏡モータと、該
多面鏡モータにより駆動される前記多面鏡により反射さ
れ生じる走査レーザ光を結像する結像レンズと、前記光
源、前記多面鏡、前記多面鏡モータ及び前記結像レンズ
を収容するとともに前記結像レンズの作用を受けた走査
レーザ光を出射するための出射光開ロ部を設けたハウジ
ングと、を備える光走査装置において、前記結像レンズ
の出射側の面に該結像レンズより剛性が高くかつ光透過
性を有する板状部材を接着し、該板状部材で前記出射光
開ロ部を塞ぐことを特徴とするものである。

【０００９】請求項２の発明は、請求項１記載の光走査
装置において、前記板状部材で前記出射光開ロ部を塞ぐ
際、該板状部材とハウジングとの間にシール部材を介在
させるようにしたことを特徴とするものである。

【００１０】請求項３の発明は、請求項１又は２記載の
光走査装置において、前記板状部材を板ガラスとしたこ
とを特徴とするものである。

【００１１】

【発明の実施の形態】図１は本発明による光走査装置を
備えたデジタル複写機の全体構成の１例を概略図として
示す。図１に基づいてこのデジタル複写機の構成とその
動作を以下に説明する。図１において、１はデジタル複
写機の本体でこの本体の上部には原稿読取装置２が設け
られている。原稿読取装置２はコンタクトガラス３上に
セットした原稿を光源４により照明し、原稿からの反射
画像を複数のミラー５、６、７により反射し、結像レン
ズ８によりＣＣＤイメージセンサ（固体撮像素子）９に
結像するものである。ＣＣＤイメージセンサ９は原稿の
画像を画像からの反射光量に対応した電気信号に変換す
る。電気信号に変換された画像データは画像処理部（図
示せず）で変換され、続いて、光書込装置１３に出力さ
れる。

【００１２】光書込装置１３はレーザダイオード等のビ
ーム発光素子（図示せず）で発生し出射されるビーム光
をシリンドリカルレンズ（図示せず）により副走査方向
に集光し、集光されたビーム光を多面鏡モータ３０によ
り駆動される多面鏡３１で偏向し、偏向されたビーム光
をｆθレンズ３２、ミラー３３、トロイダルレンズ３
４、防塵ガラス３５を介して感光体１１に照射するもの
である。前記原稿読取装置２の下方には図中Ｃで示す方
向に回転する感光体１１の周囲に帯電器１２、光書込装
置１３、現像器１４、転写器１５、分離器１６、クリー
ニング装置１７を配置し、帯電器１２によって均一に帯
電させた感光体１１の帯電部分に光書込装置１３により
静電潜像を形成する。その後、現像器１４によりトナー
像に顕像化し、転写器１５によりトナー像を用紙Ｐ上に
転写し、残留トナーをクリ―ニング装置１７で回収する
ように構成する。

【００１３】また、用紙搬送部としては、給紙ロ―ラ２
０、給紙ガイド板２１、レジストロ―ラ２３、搬送べル
ト２４、定着ローラ２５、排紙ローラ２６を有し、給紙
ローラ２０を駆動することにより、給紙カセット２７か
ら１枚ずつ用紙Ｐを取り出し転写器１５に導いてトナー
像を転写させ、定着ロ―ラ２５によってトナー像を加熱
し、定着させた後、受台２８上に排出するように構成す
る。

【００１４】次いで、上記したデジタル複写機に装備さ
れる本発明の光走査装置をより詳細に説明する。図２
は、本発明の光走査装置の一実施例の装置の正面図で、
一部を断面にて示すものである。なお、図２中におい
て、図１のデジタル複写機に装備された本実施例の光走
査装置と同一の構成要素及び図５に示す従来の光走査装
置と同一の構成要素については同じ参照符号を付す。ま
た、図３及び図４は、光走査装置の構成要素であるトロ
イダルレンズの一例を示し、また、その固定方法を説明
するための図で、図３は、上面（レーザ光の進む方向に
平行な面）図、図４は正面（レーザ光の進む方向に直交
する面で、透過側から見た面）から見た図である。

【００１５】ここに示すトロイダルレンズ３４は、光書
込を行うレーザ光を走査させる回転多面鏡３１の各反射
面間の面倒れ誤差による走査線のピッチむらを補正する
役割を持つように、レンズ面を、例えば、図３に示すよ
うにノーマルトロイダル面３４ｂとバレルトロイダル面
３４ａからなるアナモフィックな面形状とする必要があ
る。この面形状を持つレンズの製作はプラスチック加工
が適しているので、ここでも、トロイダルレンズ３４
は、プラスチック化されている。また、補正精度を上げ
るには縮小光学系にした方がよいので、結像レンズ系を
構成するレンズの中でも光路の最終段に配置されるため
走査方向に長尺になり、上記したプラスチック化と相俟
って、振動に対する影響が大きくなる（振動方向を図４
の矢印ＤＶにて示す）。また、トロイダルレンズ３４の
光出射側の書込ハウジング４０には露光開ロ部４１が設
けられ、そこから感光体に向けてレーザ光が出射する。
この露光開口部４１は、その開口から塵や埃等のの侵入
を防止するために防塵ガラス３５により開口を塞ぎ、光
書込装置を略密閉構造にしている。

【００１６】ここで、トロイダルレンズ３４の固定方法
について説明する。図３及び図４は、書込ハウジング４
０本体側の位置決め部４２に固定手段により固定された
状態のトロイダルレンズ３４を示す。本体側の位置決め
部４２は、レーザ光の進む方向に平行な面とレーザ光の
進む方向に直交する面を位置決め面としてその面にトロ
イダルレンズ３４を固定手段としての板ばね３８により
押し付けて固定する。板ばね３８は、図中の矢印にて示
すように互いに直角方向に向けて弾性力ＦＨ、ＦＶを付
与するもので、弾性力ＦＨによりレーザ光の進む方向に
平行な面の位置決めを行い（図３）、弾性力ＦＶにより
レーザ光の進む方向に直交する面の位置決めを行う（図
４）。

【００１７】次に、本発明の光走査装置の実施例におけ
る共振の防止或いは振動の低減化手段について以下に説
明する。図５に示す従来例においては、共振の低減化の
ために、付加的な要素として板ガラス３７をトロイダル
レンズ３４の側面、即ち長尺とした走査方向に沿って接
着しレンズの剛性を高めているが、本発明においては付
加的な要素を用いることなくこの機能を実現している。
すなわち、トロイダルレンズ３４に剛性を付与し共振を
低減化させる手段として装置が本来、構成要素として備
える防塵ガラス３５を利用している。

【００１８】具体的には、図２に示すように、トロイダ
ルレンズ３４の透過面側を覆うように防塵ガラス３５を
接着する。防塵ガラス３５は、本来、レーザ光の走査範
囲の全長に設けられるものであるから、トロイダルレン
ズ３４の長手方向（走査方向）の全長に防塵ガラス３５
が接着され、レンズに剛性を与え、共振の低減化に有効
に働く。透過面側を覆うように防塵ガラス３５が接着さ
れたトロイダルレンズ３４は、上記したような方法で書
込ハウジング４０本体側の位置決め部４２に固定される
ので、このままの状態では、防塵ガラス３５と書込ハウ
ジング４０との間のシールが必ずしも完全ではなく防塵
が不十分であるから、それらの間にシール部材３６を介
在させる。本実施例では、防塵ガラス３５の端面にシー
ル部材３６、例えば、スポンジを押し付ける構成とし
た。この構成によると、防塵ガラス３５の端面にシール
部材３６を押し当てているシールしているのでトロイダ
ルレンズ３４がスポンジの弾性力でたわむという不具合
もなく、光書込装置の略密閉構造が得られる。

【００１９】

【発明の効果】請求項１の発明によると、補強部材であ
る板状部材を結像レンズの出射側面（透過面側）に接着
しているので、従来例（図５参照）のレンズ側面（光軸
と平行な面）に接着するより光軸と直角方向の剛性を上
げることができ、従来発生している副走査ピッチムラを
効果的に解消できる。しかも比較的薄い板状部材により
かかる効果を得ることができる。また、結像レンズの補
強部材である板状部材で出射光開ロ部を塞ぐことにより
光走査（光書込）装置の密閉（防塵）構造を作るように
し、板状部材に両方の機能を持たせたので、部品点数を
増やさず、簡単で安価な構成で結像レンズの共振を解消
でき、その結果、高画質の作像を可能とする光走査装置
を提供することができる。

【００２０】請求項２の発明によると、シール部材を設
けることにより完全な装置の密閉（防塵）構造を作るこ
とが可能となる。補強用の板状部材の端面にスポンジ等
のシール部材を押し当てるようにすると、結像レンズが
スポンジの弾性力でたわむという不具合もなく、密閉が
できる。

【００２１】請求項３の発明によると、板状部材に適し
た剛性及び光学特性等の性質を持つ板ガラスを板状部材
として用いることにより高性能の光走査装置が具現化さ
れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の光走査装置を備えたデジタル複写機の
一例を全体構成概略図として示す。

【図２】本発明の光走査装置の実施例の正面図で、一部
を断面にて示す。

【図３】光走査装置の構成要素であるトロイダルレンズ
と、その固定方法を示す。

【図４】図３と同様な図で、図３と直角をなす方向から
見た図を示す。

【図５】従来の光走査装置の一例の正面図で、一部を断
面にて示す。

【符号の説明】

１…デジタル複写機本体、２…原稿読取装置、３…コン
タクトガラス、４…光源、５，６，７…ミラー、８…結
像レンズ、９…ＣＣＤイメージセンサ（固体撮像素
子）、１１…感光体、１２…帯電器、１３…光書込装
置、１４…現像器、１５…転写器、１６…分離器、１７
…クリ―ニング装置、２０…紙ロ―ラ、２１…給紙ガイ
ド板、２３…レジストロ―ラ、２４…搬送べルト、２５
…定着ローラ、２６…排紙ローラ、２７…給紙カセッ
ト、２８…受台 ３０…多面鏡モータ、３１…多面鏡、３２…ｆθレン
ズ、３３…ミラー、３４…トロイダルレンズ、３４ａ…
バレルトロイダル面、３４ｂ…ノーマルトロイダル面、
３５…防塵ガラス、３６…シール部材、３８…板ばね、
４０…書込ハウジング、４１…露光開口部、４２…位置
決め部。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】レーザ光を発する光源と、該光源からのレ
   ーザ光を反射する多面鏡と、該多面鏡を回転駆動する多
   面鏡モータと、該多面鏡モータにより駆動される前記多
   面鏡により反射され生じる走査レーザ光を結像する結像
   レンズと、前記光源、前記多面鏡、前記多面鏡モータ及
   び前記結像レンズを収容するとともに前記結像レンズの
   作用を受けた走査レーザ光を出射するための出射光開ロ
   部を設けたハウジングと、を備える光走査装置におい
   て、前記結像レンズの出射側の面に該結像レンズより剛
   性が高くかつ光透過性を有する板状部材を接着し、該板
   状部材で前記出射光開ロ部を塞ぐことを特徴とする光走
   査装置。
2. 【請求項２】請求項１記載の光走査装置において、前記
   板状部材で前記出射光開ロ部を塞ぐ際、該板状部材とハ
   ウジングとの間にシール部材を介在させるようにしたこ
   とを特徴とする光走査装置。
3. 【請求項３】請求項１又は２記載の光走査装置におい
   て、前記板状部材を板ガラスとしたことを特徴とする光
   走査装置。