JP2000239729A - 清浄性に優れた極低炭素鋼の製造方法 - Google Patents

清浄性に優れた極低炭素鋼の製造方法

Info

Publication number
JP2000239729A
JP2000239729A JP11037629A JP3762999A JP2000239729A JP 2000239729 A JP2000239729 A JP 2000239729A JP 11037629 A JP11037629 A JP 11037629A JP 3762999 A JP3762999 A JP 3762999A JP 2000239729 A JP2000239729 A JP 2000239729A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
slag
molten steel
ladle
feo
modifier
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11037629A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Fukagawa
信 深川
Takayuki Nishi
隆之 西
Tatsuo Kanai
達生 金井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP11037629A priority Critical patent/JP2000239729A/ja
Publication of JP2000239729A publication Critical patent/JP2000239729A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】真空下での脱炭速度を損なうことなく、簡単で
安価な設備で、短時間でスラグ改質剤とスラグを混合し
てスラグを改質し、清浄性に優れた極低炭素鋼を溶製す
る方法の提供。 【解決手段】環流型の真空処理装置を用いて、取鍋1内
の溶鋼2を脱炭処理して、引き続いて脱酸処理し、真空
槽と取鍋とを分離した後、取鍋内のスラグ3中のFeO
およびMnOを還元する作用を持ち、90重量%以上の
粒の粒径が0.1〜10mmの範囲に入るスラグ改質剤
4を取鍋内のスラグ上に散布するとともに、取鍋内の溶
鋼2を攪拌することによって取鍋内のスラグ3とスラグ
改質剤4とを混合し、スラグ3中のFeOおよびMnO
の含有率の合計を2重量%以下に調整する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、真空処理装置を用
いる脱炭処理および脱酸処理と、それに続く精錬工程で
の鋼の清浄化による清浄性に優れた極低炭素鋼の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】表面欠陥が少なく、かつ成形性に優れて
いることが要求される自動車の外装用鋼板には、極低炭
素鋼が用いられており、溶製の際には、鋼の極低炭素化
および高清浄化対策が採られている。
【0003】極低炭素鋼を溶製する際の脱炭方法として
は、転炉製鋼法等で得られた未脱酸溶鋼を真空下で脱炭
する方法が一般的である。すなわち、転炉等の製鋼炉よ
り炭素含有率が0.02〜0.1重量%の未脱酸溶鋼を
取鍋に出鋼し、その後、真空下で溶鋼中の酸素または取
鍋内のスラグなどの外部から供給される酸素と溶鋼中の
炭素とを反応させ、炭素含有率が0.001〜0.00
5重量%になるまで脱炭する。
【0004】上記の脱炭反応の際に、十分な脱炭速度を
得るために必要な溶鋼中の初期の酸素含有率は0.04
重量%以上であることが知られている。このような酸素
含有率の高い溶鋼を転炉等の製鋼炉で得る場合、スラグ
中の低級酸化物であるFeOとMnOの含有率の合計
は、15〜20重量%程度まで高くなる。
【0005】真空下での脱炭処理後にAlによる脱酸処
理を行った極低炭素溶鋼では、その後の連続鋳造が終了
するまでの間に、溶鋼中のAlとスラグ中のFeOやM
nOなどの低級酸化物とが反応する。この反応によりA
lの酸化物(Al2 3 )が生成する。このAlの酸化
物の一部が、連続鋳造中のタンデイッシュ内や鋳型内の
溶鋼から除去されずに鋳片に残存し、非金属介在物とな
って鋼の清浄性を悪化させる。
【0006】このAl2 3 系の非金属介在物は、鋳片
の表面近傍に残存しやすく、そのため自動車の外装用鋼
板の表面欠陥の原因となったり、また、連続鋳造中に浸
漬ノズルが閉塞する原因となったりする。浸漬ノズルが
閉塞すると連々鋳ができなくなり、生産性が阻害される
ばかりでなく、浸漬ノズル内を通過する溶鋼に偏流が生
じて鋳型内の溶鋼の流動状態が変化し、Alの酸化物が
鋳片の表面近傍に集積しやすくなる。さらに、浸漬ノズ
ルの閉塞を防ぐため、浸漬ノズルの上部より吹き込むA
r等の不活性ガスの流量を増加する場合がある。しか
し、多量に吹き込まれた不活性ガスは、鋳片の表面近傍
に気泡として捕捉されやすくなる。鋳片の表面近傍に捕
捉された気泡は、外装用鋼板の表面欠陥の原因となる。
上記のような外装用鋼板の表面欠陥の発生を防止するた
めに、鋳片や熱間圧延した鋼板用素材の表面を手入れす
ることは、経済性や生産性の面から大きな問題である。
【0007】そこで、溶鋼中のAlと反応しやすい取鍋
内のスラグ中のFeOやMnOなどの低級酸化物の含有
率を、転炉等の製鋼炉からの出鋼時、または真空下での
脱炭処理前に下げる対策が採られてきた。
【0008】たとえば、特開平5−239537号公報
では、転炉からの出鋼中または出鋼後の取鍋内のスラグ
に、スラグ改質剤を添加してスラグ中のFeOおよびM
nOの合計の含有率を5重量%以下にする方法が提案さ
れている。ただし、この方法では、真空槽内の溶鋼表面
に上吹きランスから酸素ガスを吹き付けて脱炭を促進す
る必要がある。その理由は、スラグ改質により脱炭処理
前のスラグ中の低級酸化物の含有率を低くするため、脱
炭反応に寄与する低級酸化物からの酸素供給量が低下し
て、脱炭反応に必要な酸素が不足するからである。しか
し、真空槽内の溶鋼表面に吹き付けられる酸素ガスによ
り、溶鋼中のFeやMnなどが酸化され、FeOやMn
Oなどの低級酸化物が発生し、結局スラグ中の低級酸化
物の含有率が高くなるという問題がある。また、出鋼後
のスラグ中のFeOおよびMnOの合計の含有率を5%
以下にするために、多量のスラグ改質剤および造滓剤を
出鋼中の溶鋼または出鋼後に取鍋内のスラグに添加する
ので、取鍋内の溶鋼の温度降下が大きい。取鍋内の溶鋼
の温度降下が大きい場合には、真空槽内にAlを添加し
つつ酸素ガスを供給して、Alの燃焼熱により溶鋼の温
度を昇温することが必要になる。このとき、溶鋼中のF
eやMnなどが同時に酸化され、結局スラグ中の低級酸
化物の含有率が高くなったり、Alが燃焼してAlの酸
化物が生成し、結局溶鋼の清浄性が悪化するという問題
がある。
【0009】一方、特開平6−256837号公報で
は、転炉等の製鋼炉からの出鋼中の溶鋼または出鋼後の
取鍋内のスラグに、スラグ改質に必要な量のスラグ改質
剤のうちの一部の量のスラグ改質剤を添加し、残りの量
のスラグ改質剤を脱炭処理後の取鍋内のスラグに添加す
る方法が提案されている。また、特開平3−56614
号公報では、取鍋に出鋼された未脱酸溶鋼の真空下での
脱炭処理後に、脱酸処理の開始と同時に、スラグ改質に
必要な全量のスラグ改質剤を取鍋内のスラグに添加する
方法が提案されている。また、これら特開平6−256
837号公報および特開平3−56614号公報では、
添加されたスラグ改質剤とスラグとを効率的に反応させ
るため、機械的に、または不活性ガスを吹き込むことに
より、スラグ層のみを攪拌する方法が提案されている。
【0010】上記特開平6−256837号公報で提案
された方法では、スラグ改質を2回に分けているとは言
え、真空槽内の溶鋼表面に上吹きランスから酸素ガスを
吹き付けることが前提であり、前述と同様に、溶鋼中の
FeやMnなどが酸化され、スラグ中の低級酸化物の含
有率が高くなるという問題がある。
【0011】また、上記特開平6−256837号公報
および特開平3−56614号公報で提案されているス
ラグ層の攪拌に関しては、RHなどの真空処理装置に効
率的にスラグ層を攪拌するための装置を配置する必要が
ある。取鍋内のスラグ層のみを攪拌するためには、機械
的な攪拌装置、ガス吹き込み装置いずれの場合でも、こ
れらの装置を取鍋内の上部で回転または移動させる必要
がある。しかし、RHなどの真空処理装置では、処理中
の取鍋の上部と真空処理装置の間の空間は狭いので、回
転または移動できるようなスラグ層を攪拌するための装
置を配置することは困難な場合が多い。たとえ、過大な
設備費用をかけてこのような装置を配置しても、スラグ
層のみを攪拌する場合には、溶融スラグや固相のスラグ
の一部が溶鋼中に混ざりやすくなる。溶鋼中にこれらの
スラグが混ざると、スラグは溶鋼中を浮上しにくく、鋳
片に非金属介在物として残存しやすくなる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
の極低炭素鋼の溶製方法では、溶鋼の清浄性の確保に関
して、次にまとめて示すような問題がある。 転炉などからの出鋼時にスラグ改質を行う場合には、
真空下での脱炭処理時の脱炭速度を確保するため、また
は、溶鋼の温度低下を補償するため、真空槽内の溶鋼表
面に酸素ガスを吹き付ける必要がある。しかし、真空槽
内の溶鋼表面に酸素ガスを吹き付けることにより、結局
スラグ中の低級酸化物の含有率が高くなって、溶鋼の清
浄性が悪くなる。 転炉などからの出鋼時にはスラグ改質を行なわず、真
空処理装置での脱炭処理後や脱酸処理開始とともに、取
鍋内のスラグ上にスラグ改質剤を添加し、スラグ層のみ
を攪拌してスラグ改質を行う場合には、RHなどの真空
処理装置では、スラグ層を効果的に攪拌できる装置を配
置することは困難である。 上記において、たとえ、過大な設備費用をかけてス
ラグ層を攪拌する装置を配置しても、スラグ層を攪拌す
ることにより、スラグが溶鋼中に混ざりやすくなり、溶
鋼の清浄性が悪くなる。
【0013】本発明は、真空下での脱炭速度を損なうこ
となく、簡単で安価な設備で、短時間でスラグ改質剤と
スラグを混合してスラグを改質し、清浄性に優れた極低
炭素鋼を溶製することができる方法を提供することを目
的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、環流型
の真空処理装置を用いて、取鍋内の溶鋼を脱炭処理し
て、引き続いて脱酸処理し、真空槽と取鍋とを分離した
後、取鍋内のスラグ中のFeOおよびMnOを還元する
作用を持ち、90重量%以上の粒の粒径が0.1〜10
mmの範囲に入るスラグ改質剤を取鍋内のスラグ上に散
布するとともに、取鍋内の溶鋼を攪拌することによって
取鍋内のスラグとスラグ改質剤とを混合し、スラグ中の
FeOおよびMnOの含有率の合計を2重量%以下に調
整する清浄性に優れた極低炭素鋼の製造方法にある。
【0015】本発明で対象とする極低炭素鋼とは、炭素
含有率がおよそ0.005重量%以下の鋼である。ま
た、本発明でいう環流型の真空処理装置とは、RHやD
Hなどと称される真空槽と取鍋の間で溶鋼を環流させる
真空処理装置を意味する。
【0016】本発明者らは、前述したような従来の極低
炭素鋼の清浄性の確保に関する問題点を、次に記すよう
にして解決した。
【0017】(a)転炉などからの出鋼時にスラグ改質
を行なわず、また、真空処理装置での脱炭処理後や脱酸
処理開始時にも、スラグ改質を行なわない。真空処理装
置での溶鋼の脱炭処理および脱酸処理を終了した後に、
真空槽と取鍋とを分離し、その後に取鍋内のスラグの改
質を行う。真空下での脱炭処理前には、スラグ改質を行
わないので、脱炭処理前の取鍋内のスラグ中のFeOお
よびMnOの含有率の合計は15〜20重量%程度と高
い。したがって、真空槽内の溶鋼表面に酸素ガスを吹き
付ける必要がなく、また、脱炭速度が損なわれることも
ない。さらに、出鋼時の溶鋼の温度低下が小さいので、
溶鋼の温度を上昇させるための真空槽内の溶鋼表面への
酸素ガスの吹き付けも必要がない。
【0018】(b)上記のように、真空処理装置での溶
鋼の脱炭処理および脱酸処理を終了し、真空槽と取鍋と
を分離した後に、取鍋内のスラグにスラグ改質剤を散布
し、溶鋼の攪拌を行う。したがって、スラグ改質剤の散
布装置および溶鋼の攪拌装置は、設備配置上、真空処理
装置とは干渉することがなく、簡単で安価な設備とする
ことができる。
【0019】(c)90重量%以上の粒が0.1〜10
mmの範囲の粒径に入るような比較的細かいスラグ改質
剤を用いるので、スラグ上に散布されたスラグ改質剤は
短時間でスラグ中に混合する。
【0020】(d)取鍋内の溶鋼を攪拌することによ
り、溶鋼に付与された攪拌力が取鍋内のスラグ層の全体
に均一に、短時間で作用するようになる。そのために、
スラグ上に散布されたスラグ改質剤とスラグとが短時間
で均一に混合し、その後、スラグ改質剤によりスラグ中
のFeOおよびMnOが還元される。
【0021】(e)少なくとも上記(c)および(d)
の条件で処理することにより、スラグ中のFeOおよび
MnOの含有率の合計を2重量%以下まで低下させるこ
とができる。そのために、連続鋳造中の溶鋼の再酸化が
抑制され、清浄性に優れた鋼が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】真空下での脱炭に際し、酸素不足
や脱炭速度の低下を起こすことなく、かつ、脱酸処理後
の取鍋内のスラグを少量のスラグ改質剤により効果的に
改質するために、まず、転炉などの製鋼炉から溶鋼を取
鍋に出鋼する際、スラグの流出をできるだけ抑制し、か
つ造滓剤として生石灰、天然マグネシア、ドロマイトな
どを添加するのがよい。このとき、生石灰などの造滓剤
の添加量は、出鋼時のスラグ流出量や溶鋼量などで決め
るべきであり、したがって、とくに限定するものではな
い。
【0023】たとえば、約250tの溶鋼量の場合に、
スラグ流出量が約10kg/溶鋼t、造滓剤としての生
石灰を約2kg/溶鋼tを添加する条件では、真空処理
装置での脱炭前の取鍋内のスラグ中のFeOおよびMn
Oの含有率の合計は15〜20重量%程度を確保でき、
脱炭処理前や脱炭処理中に真空槽内の溶鋼表面に酸素ガ
スを吹き付ける必要はない。
【0024】次に、取鍋内に出鋼された溶鋼は、RHな
どの真空処理装置により脱炭処理およびその後に脱酸処
理される。脱酸処理後に、必要があればTi、Mn等の
成分調整を行って真空処理装置での処理を終了する。
【0025】真空処理装置での脱炭処理および脱酸処理
の終了後、真空槽と取鍋とを分離する。真空槽と取鍋と
を分離するという意味は、真空槽を取鍋の上部から他の
場所へ移動させるか、または取鍋を真空処理装置が設置
された場所から他の場所へ移動させるかを意味する。こ
のように真空槽と取鍋とを分離した状態で、取鍋内のス
ラグ上にスラグ改質剤を散布し、その後、溶鋼を攪拌す
ることにより、散布されたスラグ改質剤とスラグとを混
合し、スラグ改質剤により、スラグ中のFeO、MnO
などを還元する。
【0026】取鍋内のスラグ上に、全体に均一にスラグ
改質剤を散布するには、一般的な粒状の添加剤の添加装
置を用いればよいが、たとえば、旋回する改質剤の投入
口を備える散布装置などを用いるのがよい。
【0027】取鍋内の溶鋼を攪拌して散布されたスラグ
改質剤とスラグとを混合し、FeOやMnOなどを還元
してスラグを改質するための方法としては、外側が耐火
物で覆われたインペラーを溶鋼中に浸漬して攪拌する機
械的な攪拌方法で構わない。ただし、処理時間の迅速化
および清浄性の確保の観点からは、外側が耐火物で覆わ
れたランスを溶鋼中に浸漬して、不活性ガスを吹き込む
のがよい。この不活性ガスを溶鋼中に吹き込む方法を、
以下に詳しく説明する。
【0028】図1は、外側が耐火物で覆われたランス5
を取鍋1内の溶鋼2中に浸漬して、不活性ガスを吹き込
む装置によりスラグ改質する方法の例を示す図である。
不活性ガスとしてはArガスを用い、ランス5の先端か
ら溶鋼中に吹き込むのがよい。ランスの先端は、溶鋼中
に深さ約1〜3m浸漬するのがよい。また、不活性ガス
の吹き込み量は、取鍋内の溶鋼量にもよるが、約250
tの溶鋼量のとき、800〜1500Nリットル/分程
度がよい。これらランスの浸漬深さと吹き込みガス量と
の組み合わせにより、溶鋼の攪拌を行うことで、散布し
たスラグ改質剤4とスラグ3とが短時間で、全体に均一
に混合される。ランスの浸漬深さが1m未満のように浅
いと、均一な混合ができず、ランス近傍のスラグとスラ
グ改質剤のみ混合される。また、ランス近傍では、吹き
込まれた不活性ガスの気泡6による溶鋼の攪拌が強くな
りすぎ、スラグが溶鋼中に混ざりやすい。したがって、
ランスの浸漬深さは1m以上とするのがよい。
【0029】スラグ改質剤としては、FeOおよびMn
Oを還元する作用を持つ必要があるので、金属Alまた
はAl合金を含む改質剤がよい。たとえば、金属Alを
50重量%程度、Al2 3 を35重量%程度などを含
有するAl灰を造粒し、整粒したものがよい。その他、
FeOおよびMnOを還元する作用を持つものであれば
他のスラグ改質剤でも構わない。
【0030】スラグ流出量が約10kg/溶鋼t、造滓
剤としての生石灰を約2kg/溶鋼tを添加する条件で
は、スラグ改質のために散布するスラグ改質剤の量は、
1〜2kg/溶鋼t程度でよい。
【0031】スラグ改質剤の大きさは、90重量%以上
の粒が0.1〜10mmの範囲の粒径に入る粒度とす
る。粒径が0.1mm未満では、スラグ改質剤がスラグ
改質剤の散布装置や溶鋼の攪拌装置の周辺の排気装置に
引き込まれやすくなる。粒径が10mmを超えると、短
時間の攪拌では、スラグ改質剤がスラグ中に混合しにく
くなる。90重量%以上の粒が0.1〜10mmの範囲
の粒径に入るスラグ改質剤を用いることにより、短時間
の攪拌で、スラグ改質剤とスラグとが混合し、FeOや
MnOなどが効果的に還元されることを、以下にさらに
説明する。
【0032】図3は、Al有効消費率EAl(%)に及ぼ
すスラグ改質剤の粒径の影響を示す図である。それぞれ
の粒径の範囲に90重量%以上の粒が入るようにスラグ
改質剤の粒径を調整し、脱酸処理を終了した取鍋内のス
ラグ上に、これらスラグ改質剤を散布し、図1に示す装
置構成の不活性ガス吹き込み装置を用いて、ランスの先
端を溶鋼中に深さ約1.5mまで浸漬し、1200Nリ
ットル/分の吹き込み量でArガスを15秒間吹き込
み、溶鋼を攪拌した。Arガスの吹き込みを止めてから
3分間、スラグと溶鋼を静置し、スラグ試料を採取し、
スラグ中のFeOおよびMnOの含有率を分析すること
により、Al有効消費率EAl(%)を求めた。
【0033】Al有効消費率EAl(%)とは、散布され
た金属Al相当量(重量%)に対して、実際にFeO、
MnOなどの還元に消費された金属Al相当量(重量
%)の割合のことで、下記の(A)式で定義する割合の
ことである。
【0034】 EAl=100×WS ×[{(FeO)i−(FeO)f} ×18/71.85+ {(MnO) i−(MnO)f} ×18/70.95] /(WK ×KAl) ・・・(A) ここで、WS :取鍋内のスラグ量(kg/溶鋼t) (FeO)i、(MnO)i:スラグ改質前の取鍋内のスラ
グ中のFeOまたはMnOの含有率(重量%) (FeO)f、(MnO)f:Arガス吹き込みを終了して
3分後の取鍋内のスラグ中のFeOまたはMnOの含有
率(重量%) WK :スラグ改質剤の散布量(kg/溶鋼t) KAL:スラグ改質剤中の金属Al含有量(重量%)。
【0035】図3から分かるように、0.1〜10mm
の粒径に90重量%以上が入るスラグ改質剤を用いれ
ば、85%以上のAl有効消費率EAl(%)が得られ
る。したがって、スラグ改質剤の大きさは、90重量%
以上の粒が0.1〜10mmの粒径に入る範囲とした。
【0036】図2は、スラグ改質に有効に消費されたA
l有効消費率EAl(%)に及ぼすスラグ改質剤散布後の
Arガスの吹き込み時間の影響を示す図である。52重
量%の金属Alを含むAl灰を造粒した後に、90重量
%以上の粒が5.0〜10mmの範囲の粒径に入るよう
に整粒したスラグ改質剤を、脱酸処理終了後の取鍋内の
スラグ上に散布した。引き続いて、図1に示す装置構成
の不活性ガス吹き込み装置を用いて、溶鋼を攪拌するこ
とによりスラグ改質を行った。ランスの先端が溶鋼中の
深さ約1.5mに届くように、ランスを浸漬し、120
0Nリットル/分の吹き込み量でArガスを吹き込ん
だ。Arガスを所定の時間、それぞれ吹き込み、その後
Arガスの吹き込みを止めてから3分間、スラグと溶鋼
を静置し、スラグ試料を採取した。スラグ中のFeOお
よびMnOの含有率を分析することにより、Al有効消
費率EAl(%)を求めた。
【0037】図2に示すように、15秒間程度のごく短
時間のArガスの吹き込みを行えば、Al有効消費率E
Al(%)は、ほぼ85%程度に達して飽和している。し
たがって、Arガス吹き込みを15秒間程度行えば、ス
ラグ改質剤とスラグとは均一に混合され、その後FeO
やMnOなどが還元されていることが分かる。
【0038】スラグ改質剤の散布後のArガス吹き込み
による溶鋼の攪拌時間は、2分間以下が望ましい。2分
間を超えて溶鋼を攪拌すると、取鍋内のスラグが溶鋼中
に混ざる量が多くなり、溶鋼の清浄性確保する上で、無
視できなくなる。溶鋼中に混ざったスラグは、その後の
連続鋳造中には、浮上しにくく、溶鋼の清浄性が悪くな
る場合がある。
【0039】脱酸処理後に取鍋内のスラグの改質を行う
際に、取鍋内のスラグ改質後のスラグ中のFeOおよび
MnOの含有率の合計を2重量%以下とする。このと
き、90重量%以上の粒が0.1〜10mmの範囲の粒
径に入るような比較的細かいスラグ改質剤を用い、取鍋
内の溶鋼中に浸漬したランスから不活性ガスを15秒間
程度の短時間吹き込んで、溶鋼を攪拌することにより、
効果的にスラグ改質剤とスラグとを混合でき、FeOや
MnOを還元することができる。スラグ改質後のスラグ
中のFeOおよびMnOの含有率の合計を2重量%以下
とすることにより、清浄性の良好な鋼を得ることができ
る。したがって、スラグ改質後の取鍋内のスラグ中のF
eOおよびMnOの含有率の合計は2重量%以下とす
る。
【0040】
【実施例】転炉およびRH真空処理装置を用いて、25
0tの極低炭素鋼を溶製した。転炉では、C含有率0.
02〜0.06重量%、Mn含有率0.01〜0.2重
量%、Si含有率0.005〜0.03重量%に精錬
し、1660〜1690℃の溶鋼を取鍋に出鋼した。出
鋼に際し、転炉からのスラグ流出を極力抑制するように
し、流出スラグ量は約10kg/溶鋼tに抑えた。造滓
剤として生石灰、Al2 3 系フラックス、CaO系フ
ラックスを合計で約2kg/溶鋼t、出鋼直後の取鍋内
の溶融スラグに添加した。添加後に取鍋内のスラグを採
取し、スラグの組成を分析した。
【0041】次に、RH真空処理装置を用いて、溶鋼中
の炭素含有率が0.002重量%になるまで真空下で脱
炭した。なお、脱炭処理前に取鍋内のスラグを採取し、
スラグ組成を分析した。脱炭処理後、真空槽内にAlを
添加して溶鋼を脱酸し、溶鋼中のAl含有率を0.03
重量%程度に調整した。調整後に取鍋内のスラグを採取
し、スラグの組成を分析した。
【0042】その後、図1に示す不活性ガス吹き込み方
法でスラグの改質処理を行った。スラグ改質剤を散布
後、ランス先端が溶鋼中の深さ2.5mに届くようにラ
ンスを浸漬し、Arガスを吹き込んで溶鋼を攪拌した。
スラグ改質剤には、重量%で、金属Alが52%、Al
2 3 が35%、その他にSiO2 10%、CaO3%
を含有する組成の改質剤を用いた。スラグ改質剤の粒径
は、後述するように種々の粒径の範囲のものを用いた。
散布量は、それぞれ1.2kg/溶鋼tとした。Arガ
ス量は、1200Nリットル/分、Arガスを吹き込む
時間は、15、110および180秒間とした。それぞ
れ所定の時間、Arガスを吹き込み溶鋼を攪拌した後、
直ちにランスを取鍋内のスラグよりも上方に上昇し、A
rガスの供給を停止した。その後、取鍋内の溶鋼および
スラグを3分間静置した。静置後、取鍋内のスラグを採
取し、スラグの組成を分析した。
【0043】スラグ改質後の溶鋼を、厚み250mm、
幅1250mmの断面形状の鋳片に連続鋳造した。鋳造
中にタンディッシュ内の溶鋼を採取し、溶鋼中の全酸素
量を測定した。また、得られた鋳片から横断面サンプル
を採取し、全酸素量を測定した。鋳片の全酸素量は、横
断面サンプルの表面直下、1/4厚みおよび1/2厚み
の位置から採取した3個の試料の全酸素量を分析し、そ
の平均値とした。これらの全酸素量の値から鋼の清浄性
を評価した。
【0044】試験条件および試験結果を表1に示す。な
お、各試験条件で各10ヒートの試験を行い、表1に
は、得られた結果の平均値を表示した。
【0045】
【表1】
【0046】本発明例の試験No.1およびNo.2で
は、0.1〜10mmの粒径に90重量%以上が入るス
ラグ改質剤を用い、1.2kg/溶鋼tの量のスラグ改
質剤を取鍋内のスラグ上に散布するとともに、Arガス
により15秒間および110秒間、溶鋼を攪拌した。そ
の後、Arガスの供給を停止し、3分間溶鋼とスラグを
静置した。スラグ改質後のスラグ中のFeOおよびMn
Oの含有率の合計は1.0〜1.1重量%にまで低下し
た。その後の連続鋳造中では、タンディッシュ内の溶鋼
の全酸素量は17〜18ppm、鋳片の全酸素量は14
〜15ppmで、清浄性のよい極低炭素鋼が得られた。
【0047】本発明例の試験No.3では、0.1〜1
0mmの粒径に90重量%以上が入るスラグ改質剤を用
いたが、1.2kg/溶鋼tの量のスラグ改質剤の散布
とともに、Arガスにより180秒間溶鋼を攪拌した。
スラグ改質後のスラグ中のFeOおよびMnOの含有率
の合計は1.0重量%にまで低下した。しかし、連続鋳
造中のタンディッシュ内の溶鋼の全酸素量は23ppm
で、また、鋳片の全酸素量は19ppmであり、試験N
o.1およびNo.2に比べて、清浄性が若干劣った。
Arガス吹き込みによる溶鋼の攪拌時間が長すぎて、取
鍋内のスラグが溶鋼中に少し混ざったためである。ただ
し、連続鋳造中のタンディッシュ内の溶鋼の全酸素量は
23ppmであったので、溶鋼の清浄性は確保されてい
る。
【0048】比較例の試験No.4およびNo.5で
は、本発明で規定する条件の範囲外の10mmを超えて
20mm以下の粒径、または、20mmを超えて40m
m以下の粒径に、それぞれ90重量%以上が入る大きな
粒径のスラグ改質剤を用いた。1.2kg/溶鋼tの量
のスラグ改質剤の散布とともに、Arガスによる溶鋼の
攪拌時間は110秒とした。スラグ改質後のスラグ中の
FeOおよびMnOの含有率の合計は5.2〜6.0重
量%まで低下したにすぎなかった。また、連続鋳造中の
タンディッシュ内の溶鋼の全酸素量も下がらず38〜4
2ppmで、また、鋳片の全酸素量も30〜32ppm
であり、溶鋼および鋳片の清浄性が悪かった。粒径が大
きいために、110秒間の溶鋼の攪拌時間では、スラグ
改質剤とスラグとの混合が不十分であり、かつ、スラグ
改質剤中のAlによるスラグ中のFeOやMnO還元反
応の進行も不十分であった。そのため、スラグが十分改
質されなかった。
【0049】
【発明の効果】本発明の方法の適用により、真空下での
脱炭速度を損なうことなく、簡単で安価な設備で、短時
間でスラグ改質剤とスラグを混合してスラグを改質し、
清浄性に優れた極低炭素鋼を溶製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】不活性ガスを吹き込む装置によりスラグを改質
する本発明の方法の例を示す図である。
【図2】Al有効消費率EAl(%)に及ぼすArガスの
吹き込み時間の影響を示す図である。
【図3】Al有効消費率EAl(%)に及ぼすスラグ改質
剤の粒径の影響を示す図である。
【符号の説明】
1:取鍋 2:溶鋼 3:スラグ 4:スラグ改質剤 5:ランス 6:Arガスの気泡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金井 達生 茨城県鹿嶋市大字光3番地住友金属工業株 式会社鹿島製鉄所内 Fターム(参考) 4K013 AA07 BA02 BA08 CA02 CB03 CC04 CE01 EA19 FA05

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】環流型の真空処理装置を用いて、取鍋内の
    溶鋼を脱炭処理して、引き続いて脱酸処理し、真空槽と
    取鍋とを分離した後、取鍋内のスラグ中のFeOおよび
    MnOを還元する作用を持ち、90重量%以上の粒の粒
    径が0.1〜10mmの範囲に入るスラグ改質剤を取鍋
    内のスラグ上に散布するとともに、取鍋内の溶鋼を攪拌
    することによって取鍋内のスラグとスラグ改質剤とを混
    合し、スラグ中のFeOおよびMnOの含有率の合計を
    2重量%以下に調整することを特徴とする清浄性に優れ
    た極低炭素鋼の製造方法。
JP11037629A 1999-02-16 1999-02-16 清浄性に優れた極低炭素鋼の製造方法 Pending JP2000239729A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11037629A JP2000239729A (ja) 1999-02-16 1999-02-16 清浄性に優れた極低炭素鋼の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11037629A JP2000239729A (ja) 1999-02-16 1999-02-16 清浄性に優れた極低炭素鋼の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000239729A true JP2000239729A (ja) 2000-09-05

Family

ID=12502944

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11037629A Pending JP2000239729A (ja) 1999-02-16 1999-02-16 清浄性に優れた極低炭素鋼の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000239729A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7247211B2 (en) 2000-11-27 2007-07-24 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Method of manufacture of ultra-low carbon steel
WO2020183841A1 (ja) * 2019-03-13 2020-09-17 Jfeスチール株式会社 Ti含有極低炭素鋼の製造方法
CN115558742A (zh) * 2022-09-26 2023-01-03 首钢集团有限公司 一种真空脱碳后的脱氧方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7247211B2 (en) 2000-11-27 2007-07-24 Sumitomo Metal Industries, Ltd. Method of manufacture of ultra-low carbon steel
WO2020183841A1 (ja) * 2019-03-13 2020-09-17 Jfeスチール株式会社 Ti含有極低炭素鋼の製造方法
CN115558742A (zh) * 2022-09-26 2023-01-03 首钢集团有限公司 一种真空脱碳后的脱氧方法
CN115558742B (zh) * 2022-09-26 2023-10-13 首钢集团有限公司 一种真空脱碳后的脱氧方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2433189C2 (ru) Способ получения стали для стальных труб с отличной стойкостью в кислой среде
RU2761852C1 (ru) Способ выпуска шлака в процессе производства стали со сверхнизким содержанием фосфора и способ производства стали со сверхнизким содержанием фосфора
JPH0230711A (ja) 清浄度に優れた極低炭素鋼の製造方法
JP3896713B2 (ja) 清浄性に優れた極低炭素鋼の溶製方法
JPH09217110A (ja) 超低硫鋼の溶製方法
JP3463573B2 (ja) 高清浄極低硫鋼の製造方法
JPH10212514A (ja) 耐水素誘起割れ性に優れた高清浄極低硫鋼の製造方法
JP3627755B2 (ja) S含有量の極めて少ない高清浄度極低炭素鋼の製造方法
JP6604226B2 (ja) 低炭素鋼の溶製方法
JP2000239729A (ja) 清浄性に優れた極低炭素鋼の製造方法
JP2008169407A (ja) 溶鋼の脱硫方法
JP2000119732A (ja) 高清浄極低炭素鋼の溶製方法
JP3172550B2 (ja) 高清浄度鋼の製造方法
JP3719056B2 (ja) 清浄性に優れた極低炭素鋼の製造方法
JP2004277830A (ja) 転炉製鋼方法
JPH11279631A (ja) ステンレス溶鋼の精錬方法
JP2000129328A (ja) 溶銑の脱硫方法
JP3903603B2 (ja) 清浄性に優れた極低炭素鋼の溶製方法
KR101119022B1 (ko) 저 철손 무 방향성 전기강판 및 제조방법
JP4183524B2 (ja) 高清浄度鋼の製造方法
JP2019000903A (ja) 鋼の溶製方法及び連続鋳造方法
JP3994641B2 (ja) 高清浄極低炭素鋼の製造方法
JP3277763B2 (ja) 高清浄性極低炭素鋼の精錬方法
JP2976849B2 (ja) 耐hic鋼の製造方法
JP3279142B2 (ja) 高清浄性極低炭素鋼の精錬方法