JP2004277830A - 転炉製鋼方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】C濃度が0.3 %以下である転炉吹錬末期に生ずる溶鋼中の[ N] の上昇を抑制又は防止することによって終点 [N] を低減する。
【解決手段】転炉を用いて上吹きランスから酸素を溶鋼に吹き込む脱炭精錬を行う際に、この溶鋼のC濃度が0.3 質量%以下となる吹錬末期にこの溶鋼に、チタン酸化物含有物質、アルミナ含有物質又は鉄酸化物含有物質であるスラグフォーミングを助長させる物質を添加して、スラグフォーミングを助長させることにより、この溶鋼の窒素濃度の上昇を抑制する。
【選択図】 図2
【解決手段】転炉を用いて上吹きランスから酸素を溶鋼に吹き込む脱炭精錬を行う際に、この溶鋼のC濃度が0.3 質量%以下となる吹錬末期にこの溶鋼に、チタン酸化物含有物質、アルミナ含有物質又は鉄酸化物含有物質であるスラグフォーミングを助長させる物質を添加して、スラグフォーミングを助長させることにより、この溶鋼の窒素濃度の上昇を抑制する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は転炉製鋼方法に関し、具体的には、上底吹転炉を用いた酸素吹錬によって終点[N]量が少ない鋼を製造するための転炉製鋼方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば、薄板の場合には焼付硬化性鋼板の降伏強度等の品質安定化や電磁鋼板の特性向上を図るため、厚板の場合には靱性向上を図るため、さらに鋼管の場合には、ラインパイプでは靱性向上を、油井管では耐食性や焼入れ性を向上するため、低窒素鋼に対する需要が増大している。
【0003】
通常の高炉−転炉法による鋼の製造では、高炉から出銑された溶銑をトーピードカー又は溶銑鍋に収容し、そのままあるいは別の容器に移し替えて、脱珪、脱硫又は脱燐等の溶銑予備処理を行う。これらの溶銑予備処理を行われた溶鋼は、転炉に装入され、酸素ガスにより脱炭精錬が行われる。転炉吹錬の終了後に、粗脱炭された溶鋼は取鍋へ出鋼され、二次精錬装置を用いて成分調整や真空精錬が行われた後、連続鋳造機で鋳片に鋳込まれる。得られた鋳片は、それぞれの用途にしたがって、さらに圧延や熱処理等が行われる。
【0004】
この転炉には溶銑からCやPを除去する機能が勿論あるが、さらに、Nを除去する機能もある。一般的に、溶銑段階では50〜80ppm あった[N]が、吹錬終点では10〜30ppm にまで低減される。脱炭反応により発生するCOガス中に溶鋼中 [N] が除去されるためである。
【0005】
ところで、転炉吹錬中の [N] は、吹錬初期から中期にかけて急激に低下するが(例えば最小値で5〜15ppm)、吹錬末期に上昇して例えば10〜30ppm となる挙動を示す。転炉吹錬中の [N] がこのような挙動を示す理由は以下の通りである。すなわち、吹錬末期に溶鋼中C濃度が所謂臨界C濃度以下 (上底吹転炉では一般的に0.3 質量%以下) に低下すると、脱炭反応が酸素供給律速から鋼中Cの物質移動律速に変わり、脱炭反応速度が著しく低下する。そうすると、COガス発生速度が低下するため、脱窒反応速度が低下するとともに、転炉の炉口や出鋼孔から炉内に浸入する空気量が増大する。そして、侵入した空気に溶鋼が接触することにより吹錬末期における溶鋼の [N] が上昇する。
【0006】
したがって、例えば、転炉吹錬終点におけるC濃度が0.3 % (本明細書では特にことわりがない限り「%」は「質量%」を意味する) 以下であるとともにN濃度が15ppm 以下である低窒素鋼を溶製するためには、C濃度が0.3 %以下である吹錬末期における [N] の上昇を抑制することにより終点 [N] を低減することが非常に重要である。
【0007】
このため、特許文献1には、溶鋼中の[C]濃度及び酸素供給速度に応じて転炉の炉口断面積を調整することにより、炉内に浸入する空気量を抑制する発明が記載されている。
【0008】
また、特許文献2には、上底吹転炉で酸素を上吹きするとともに、Ar、CO、CO2 及び炭化水素ガスのいずれか一種以上を底吹きする脱炭精錬において、底吹きガス流量と転炉炉内容積との比を一定値以上とする発明が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開平8−92621 号公報
【特許文献2】特開2001−254116号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1により提案された、炉口断面積を吹錬中に変更することは設備的に極めて困難であり、実用化が難しい。また、特許文献2により提案された方法でも、底吹きガス供給能力には設備的な限界があり、実用化が難しい。
【0011】
このように、従来の発明はいずれも実用化が容易ではなく、例えば、転炉吹錬終点におけるC濃度が0.3 %以下であるとともにN濃度が15ppm 以下である低窒素鋼を確実に溶製することは難しかった。
【0012】
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題、すなわち、C濃度が0.3 %以下である転炉吹錬末期に生ずる溶鋼中の[ N] の上昇を抑制又は防止することによって終点 [N] を低減し、これにより、例えば、転炉吹錬終点におけるC濃度が0.3 %以下であるとともにN濃度が15ppm 以下である低窒素鋼を確実に製造することができる転炉製鋼方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、転炉を用いて上吹きランスから酸素を溶鋼に吹き込む脱炭精錬を行う際に、この溶鋼のC濃度が0.3 質量%以下となる吹錬末期にスラグフォーミングを助長させることにより、この溶鋼の窒素濃度の上昇を抑制することを特徴とする転炉製鋼方法である。
【0014】
また、本発明は、転炉を用いて上吹きランスから酸素を溶鋼に吹き込む脱炭精錬を行う際に、この溶鋼のC濃度が0.3 質量%以下となる吹錬末期に、この溶鋼に、スラグフォーミングを助長させる物質を添加することを特徴とする転炉製鋼方法である。
【0015】
ここで、スラグフォーミングを助長させる物質とは、チタン酸化物含有物質、アルミナ含有物質又は鉄酸化物含有物質が例示される。具体的には、チタン酸化物含有物質としては、イルメナイト鉱石又はルチル鉱石が例示され、アルミナ含有物質としては、造塊滓又はボーキサイトが例示され、さらに、鉄酸化物含有物質としては、スケール又は鉄鉱石が例示される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる転炉製鋼方法の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。まず、本発明にかかる転炉製鋼方法を完成するに至った基礎的知見事項について簡単に説明する。
【0017】
(基礎的知見事項)
まず、C濃度が0.3 %以下である転炉吹錬末期に生ずる溶鋼中 [N] の上昇を防止するために、この上昇の原因を再度検討した。
【0018】
転炉吹錬で供給される酸素は、溶鋼のC濃度が0.3 %以下となる吹錬末期にはかなりの部分が溶鋼と反応して、FeO 、Fe2O3 、MnO さらにはP2O5等の酸化物を生成することに消費される。このため、供給された酸素が溶鋼中の[C]と反応して生成するCOガスの量が大幅に減少し、これにより、炉口や出鋼孔から炉内への空気の浸入量が増加する。そして、侵入した空気が溶鋼と接触することにより [N] が上昇する。溶鋼の上部にはスラグが存在するものの、炉内に侵入した空気は上吹き酸素ジェットに巻き込まれて溶鋼に吹付けられて、 [N] が上昇すると考えられる。
【0019】
本発明は、転炉を用いた脱炭精錬を行われる溶鋼のC濃度が0.3 %以下となる吹錬末期にスラグフォーミングを助長させることにより、フォーミングスラグが障害となって上吹き酸素ジェットに巻き込まれる空気の量を低減できるという独創的な技術思想に基づくものである。
【0020】
スラグのフォーミング高さは、スラグの表面張力や粘性といったスラグ性状とCOガス発生量とによって決定される。このため、脱炭初期や中期、特に中期では、COがス発生量が大きいためにスラグがフォーミングし易く、フォーミング高さも高い。これに対し、吹錬末期ではCOガス発生量が大幅に減少するために、フォーミング高さも大幅に低下してしまう。
【0021】
図1は、転炉1を用いた吹錬末期の [N] を上昇させる機構を概念的に示す説明図である。同図に示すC濃度が0.3 %以下であってスラグ2が殆どフォーミングしていない吹錬末期においては、上吹きランス3からの上吹き酸素ジェット4に浸入した空気5が巻き込まれて溶鋼6に吹付けられ、これにより、空気5からの窒素ピックアップが起こり、 [N] が上昇する。
【0022】
図2は、本発明により、転炉1を用いた吹錬末期にスラグフォーミングさせて [N] の上昇を抑制する機構を概念的に示す説明図である。同図に示すように、吹錬末期にスラグ2’ をフォーミングさせ、スラグ2’ がランス3の高さ近傍まで存在する状態、望ましくはランス3の先端がスラグ2’ 中に浸漬する状態とすると、上吹きランス3からの上吹き酸素ジェット4に巻き込まれる空気量が大幅に減少し、 [N] の上昇量が著しく低減される。
【0023】
溶銑2トン規模の試験転炉を用いた実験を行うことにより、C濃度が0.3 %以下である吹錬末期にスラグをフォーミングさせると、 [N] の上昇を抑制できることを証明した。この実験では、試験転炉を用いた吹錬中に約1分間間隔ででメタルサンプリングとスラグフォーミング高さ測定とを行い、吹錬末期の [N] 上昇量とスラグフォーミング高さとの関係を調べた。その結果、スラグフォーミング高さがランス高さ近くある状態 (図2参照) では [N] ピックアップが殆ど起こらないことが確認された。
【0024】
次に、C濃度が0.3 %以下である吹錬末期にスラグをフォーミングさせる手段を検討した。吹錬末期にスラグをフォーミングさせる手段として、次の二つが考えられる。一つはスラグの組成をスラグフォーミングし易い組成に制御することであり、もう一つは溶鋼中[C]と反応してCOガスの発生を増大させる物質を添加することによりフォーミングを助長することである。
【0025】
フォーミングし易いスラグとは、ガス気泡の滞留時間が長い性状のスラグであり、表面張力が低いか又は粘性が高い物性のスラグである。スラグの表面張力を下げる物質としてTiO2、P2O5、CaF2等がある。また、スラグの粘性を上昇させる物質としてAl2O3 やSiO2等がある。溶鋼中[C]と反応してCOガスの発生を増大させる物質としてFe2O3 やFe3O4 の鉄酸化物等がある。
【0026】
(具体的な実施の形態)
本発明では、高炉から運搬された溶銑をそのまま/あるいは/脱硅、脱硫、脱燐等の溶銑処理を行った後、上吹ランスを有する転炉に溶銑を装入し吹錬を行う。
【0027】
上吹ランスを有する上底吹転炉では、一般に、スクラップと溶銑とを装入した後、炉上部から生石灰、軽焼ドロマイト、スケール、鉄鉱石、マンガン鉱石等の造滓剤を投入し、上吹ランスから酸素を供給して吹錬を行い、底吹き羽口からAr、CO、CO2 、N2、O2及び炭化水素のいずれか一種以上を供給する。
【0028】
本実施の形態では、吹錬直前または吹錬途中にスラグフォーミングを助長する物質を投入し、吹錬末期にランス高さ近くまでスラグをフォーミングさせる。スラグフォーミングを助長する物質としては、イルメナイト鉱石やルチル鉱石等のチタン酸化物含有物質、造塊滓やボーキサイト等のアルミナ含有物質、さらにはスケールや鉄鉱石等の鉄酸化物含有物質等が挙げられる。
【0029】
スラグフォーミングを助長する物質の添加量は、チタン酸化物含有物質の場合にはスラグ中のチタン酸化物濃度が2%以上7%以下になるように添加することが望ましい。スラグ中のチタン酸化物濃度が2%未満ではスラグフォーミングを助長する効果が不十分であり、一方、スラグ中のチタン酸化物濃度が7%超添加しても効果がないためである。
【0030】
また、アルミナ含有物質の場合にはスラグ中のアルミナ濃度が1%以上5%以下となるように添加することが望ましい。スラグ中のアルミナ濃度が1%未満ではスラグフォーミングを助長する効果が不十分であり、一方5%を超えて添加しても効果がないためである。
【0031】
次に、鉄酸化物の場合、溶鋼1トン当たりの添加量で2kg/T以上10kg/T以下添加することが望ましい。溶鋼1トン当たりの添加量が2kg/T未満ではスラグフォーミングを助長する効果が不十分であり、溶鋼1トン当たりの添加量が10kg/T超ではそれ以上添加しても効果がないためである。
【0032】
これらの物質はC濃度が0.3 %以下となる吹錬末期か、またはC濃度が0.3 〜0.8 %となる吹錬中期の終わりに投入する事が望ましい。あまり早い時期、例えば吹錬初期や中期の初めに投入すると、スラグが大きくフォーミングし炉口から溢れ出る、所謂スロッピングを招く危険性があるためである。
【0033】
このように、本実施の形態によれば、C濃度が0.3 %以下である転炉吹錬末期に生ずる溶鋼中の [N] の上昇を抑制又は防止することによって終点 [N] を低減し、これにより、例えば、転炉吹錬終点におけるC濃度が0.3 %以下であるとともにN濃度が15ppm 以下である低窒素鋼を確実に製造することができる転炉製鋼方法を提供できた。
【0034】
【実施例】
さらに、本発明を実施例を参照しながら、具体的に説明する。
溶銑2トン規模の試験転炉を用いて実施例および比較例に示す実験を行った。溶銑としては、誘導加熱方式溶解炉を用いて溶製した模擬脱硫及び脱りん溶銑を用いた。製造した脱りん溶銑の組成は、C:3.7 〜3.9 %、Si:0.01%未満、Mn:0.28〜0.32%、P:0.024 〜0.027 %、S:0.003 〜0.004 %、N:50〜60ppm 、温度:1310〜1330℃であった。この溶銑を誘導加熱方式溶解炉から取鍋に移して搬送し、試験転炉に装入した。試験転炉には100 〜140kg の小塊状電解鉄を模擬スクラップとして装入した。
【0035】
その後、生石灰30Kg、かんらん岩7.3kg 、珪石3kg、蛍石3kgおよびスケール30kgの造滓剤を試験転炉上部から投入した直後、上吹ランスから酸素5.6Nm3/minを溶鋼に吹付け、吹錬を開始した。
【0036】
上吹ランスとしてはスロート径6.5mm のラバールノズルを3個有する水冷ランスを用い、ランス高さ(ランス先端と溶鋼表面との距離)は500mm とした。また、底吹羽口としては内径5mmの単管羽口2本を用い、Arガスを0.35Nm3/min ずつ供給した。吹錬時間は21〜22分間行い、溶鋼中C濃度を0.01〜0.02%まで低減した。
【0037】
実験では、吹錬開始前、吹錬開始後約5、8、10、12、14、15、16、17、18、19、20、21、22分経過後にメタルサンプルを採取した。また、スラグフォーミング高さ測定を吹錬開始約8、14、16、18、20、21分後に行った。スラグフォーミング高さの測定は、鉄棒に鉄製の金網を巻き付けたものを炉内に装入し、付着したスラグの位置からフォーミング高さを測定することにより行った。
【0038】
[実施例1]
そして、吹錬開始後16.5分経過時点で、本発明における「スラグフォーミングを助長させる物質」としてイルメナイト鉱石10kgと生石灰7kgとを添加した。使用したイルメナイト鉱石の組成は、20.2%TiO2、29.6%Fe2O3 、8.0 %FeO 、3.5 %CaO 、22.6%SiO2、10.9%Al2O3 、2.3 %MgO であった。
【0039】
吹錬中の経時的な温度変化を図3にグラフで示し、吹錬中の経時的なC濃度変化を図4にグラフで示し、吹錬中の経時的なN濃度変化を図5及び図6にグラフで示し、さらに、スラグフォーミング高さの経時的な変化を図7にグラフで示す。
【0040】
実施例1では、後述する比較例に比べて、C濃度が0.3 %以下である、吹錬開始後約18分間以上経過した吹錬末期において、スラグフォーミングが助長されており、吹錬末期の [N] 上昇も抑制され、これにより、終点 [N] が低減されていることが分かる。
【0041】
[実施例2]
吹錬開始16.5分経過時に造塊滓8kgを添加した。使用した造塊滓の組成は、43.5%CaO 、8.4 %SiO2、19.4%Al2O3 、6.3 %MgO 、8.2 %FeO 、2.2 %Fe2O3 、9.4 %MnO であった。試験結果を上述した実施例1と同様に、図3〜7にグラフで示す。
【0042】
実施例2では、後述の比較例に比べ、C濃度が0.3 %以下である、吹錬開始後約18分間以上経過した吹錬末期において、スラグフォーミングが助長されており、吹錬末期の [N] 上昇も抑制され、これにより、終点 [N] が低減されていることが分かる。
【0043】
[実施例3]
吹錬開始17分間経過時にスケール8kgを添加した。なお、このスケールは、製鉄所の熱延工程でスラブ (鋳片) または鋼板表面に生成した酸化鉄である。試験結果を上述した実施例1、2と同様に、図3〜7にグラフで示す。
【0044】
後述の比較例に比べ、C濃度が0.3 %以下である、吹錬開始後約18分間以上経過した吹錬末期において、スラグフォーミングが助長されており、吹錬末期の [N] 上昇も抑制され、これにより、終点 [N] が低減されていることが分かる。
【0045】
[比較例]
比較例では、実施例1〜3のように吹錬末期に造滓剤等の添加は行わなかった。試験結果を上述した実施例1〜3と同様に、図3〜7にグラフで示す。
【0046】
前述の実施例1〜3に比べて、C濃度が0.3 %以下、即ち、吹錬開始後約18分間以上経過した時点における吹錬末期において、スラグフォーミングが殆どなく、吹錬末期の [N] 上昇が大きく、これにより、終点 [N] が高いことが分かる。
【0047】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明により、C濃度が0.3 %以下である転炉吹錬末期に生ずる溶鋼中の[ N] の上昇を抑制又は防止することによって終点 [N] を低減し、これにより、例えば、転炉吹錬終点におけるC濃度が0.3 %以下であるとともにN濃度が15ppm 以下である低窒素鋼を確実に製造することができる転炉製鋼方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】転炉を用いた吹錬末期の [N] を上昇させる機構を概念的に示す説明図である。
【図2】本発明により、転炉を用いた吹錬末期にスラグフォーミングさせて [N] の上昇を抑制する機構を概念的に示す説明図である。
【図3】実施例における吹錬中の経時的な温度変化を示すグラフである。
【図4】実施例における吹錬中の経時的なC濃度変化を示すグラフである。
【図5】実施例における吹錬中の経時的なN濃度変化を示すグラフである。
【図6】実施例における吹錬中の経時的なN濃度変化を示すグラフである。
【図7】実施例におけるスラグフォーミング高さの経時的な変化を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
この発明は転炉製鋼方法に関し、具体的には、上底吹転炉を用いた酸素吹錬によって終点[N]量が少ない鋼を製造するための転炉製鋼方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば、薄板の場合には焼付硬化性鋼板の降伏強度等の品質安定化や電磁鋼板の特性向上を図るため、厚板の場合には靱性向上を図るため、さらに鋼管の場合には、ラインパイプでは靱性向上を、油井管では耐食性や焼入れ性を向上するため、低窒素鋼に対する需要が増大している。
【0003】
通常の高炉−転炉法による鋼の製造では、高炉から出銑された溶銑をトーピードカー又は溶銑鍋に収容し、そのままあるいは別の容器に移し替えて、脱珪、脱硫又は脱燐等の溶銑予備処理を行う。これらの溶銑予備処理を行われた溶鋼は、転炉に装入され、酸素ガスにより脱炭精錬が行われる。転炉吹錬の終了後に、粗脱炭された溶鋼は取鍋へ出鋼され、二次精錬装置を用いて成分調整や真空精錬が行われた後、連続鋳造機で鋳片に鋳込まれる。得られた鋳片は、それぞれの用途にしたがって、さらに圧延や熱処理等が行われる。
【0004】
この転炉には溶銑からCやPを除去する機能が勿論あるが、さらに、Nを除去する機能もある。一般的に、溶銑段階では50〜80ppm あった[N]が、吹錬終点では10〜30ppm にまで低減される。脱炭反応により発生するCOガス中に溶鋼中 [N] が除去されるためである。
【0005】
ところで、転炉吹錬中の [N] は、吹錬初期から中期にかけて急激に低下するが(例えば最小値で5〜15ppm)、吹錬末期に上昇して例えば10〜30ppm となる挙動を示す。転炉吹錬中の [N] がこのような挙動を示す理由は以下の通りである。すなわち、吹錬末期に溶鋼中C濃度が所謂臨界C濃度以下 (上底吹転炉では一般的に0.3 質量%以下) に低下すると、脱炭反応が酸素供給律速から鋼中Cの物質移動律速に変わり、脱炭反応速度が著しく低下する。そうすると、COガス発生速度が低下するため、脱窒反応速度が低下するとともに、転炉の炉口や出鋼孔から炉内に浸入する空気量が増大する。そして、侵入した空気に溶鋼が接触することにより吹錬末期における溶鋼の [N] が上昇する。
【0006】
したがって、例えば、転炉吹錬終点におけるC濃度が0.3 % (本明細書では特にことわりがない限り「%」は「質量%」を意味する) 以下であるとともにN濃度が15ppm 以下である低窒素鋼を溶製するためには、C濃度が0.3 %以下である吹錬末期における [N] の上昇を抑制することにより終点 [N] を低減することが非常に重要である。
【0007】
このため、特許文献1には、溶鋼中の[C]濃度及び酸素供給速度に応じて転炉の炉口断面積を調整することにより、炉内に浸入する空気量を抑制する発明が記載されている。
【0008】
また、特許文献2には、上底吹転炉で酸素を上吹きするとともに、Ar、CO、CO2 及び炭化水素ガスのいずれか一種以上を底吹きする脱炭精錬において、底吹きガス流量と転炉炉内容積との比を一定値以上とする発明が記載されている。
【0009】
【特許文献1】特開平8−92621 号公報
【特許文献2】特開2001−254116号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1により提案された、炉口断面積を吹錬中に変更することは設備的に極めて困難であり、実用化が難しい。また、特許文献2により提案された方法でも、底吹きガス供給能力には設備的な限界があり、実用化が難しい。
【0011】
このように、従来の発明はいずれも実用化が容易ではなく、例えば、転炉吹錬終点におけるC濃度が0.3 %以下であるとともにN濃度が15ppm 以下である低窒素鋼を確実に溶製することは難しかった。
【0012】
本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題、すなわち、C濃度が0.3 %以下である転炉吹錬末期に生ずる溶鋼中の[ N] の上昇を抑制又は防止することによって終点 [N] を低減し、これにより、例えば、転炉吹錬終点におけるC濃度が0.3 %以下であるとともにN濃度が15ppm 以下である低窒素鋼を確実に製造することができる転炉製鋼方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、転炉を用いて上吹きランスから酸素を溶鋼に吹き込む脱炭精錬を行う際に、この溶鋼のC濃度が0.3 質量%以下となる吹錬末期にスラグフォーミングを助長させることにより、この溶鋼の窒素濃度の上昇を抑制することを特徴とする転炉製鋼方法である。
【0014】
また、本発明は、転炉を用いて上吹きランスから酸素を溶鋼に吹き込む脱炭精錬を行う際に、この溶鋼のC濃度が0.3 質量%以下となる吹錬末期に、この溶鋼に、スラグフォーミングを助長させる物質を添加することを特徴とする転炉製鋼方法である。
【0015】
ここで、スラグフォーミングを助長させる物質とは、チタン酸化物含有物質、アルミナ含有物質又は鉄酸化物含有物質が例示される。具体的には、チタン酸化物含有物質としては、イルメナイト鉱石又はルチル鉱石が例示され、アルミナ含有物質としては、造塊滓又はボーキサイトが例示され、さらに、鉄酸化物含有物質としては、スケール又は鉄鉱石が例示される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる転炉製鋼方法の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。まず、本発明にかかる転炉製鋼方法を完成するに至った基礎的知見事項について簡単に説明する。
【0017】
(基礎的知見事項)
まず、C濃度が0.3 %以下である転炉吹錬末期に生ずる溶鋼中 [N] の上昇を防止するために、この上昇の原因を再度検討した。
【0018】
転炉吹錬で供給される酸素は、溶鋼のC濃度が0.3 %以下となる吹錬末期にはかなりの部分が溶鋼と反応して、FeO 、Fe2O3 、MnO さらにはP2O5等の酸化物を生成することに消費される。このため、供給された酸素が溶鋼中の[C]と反応して生成するCOガスの量が大幅に減少し、これにより、炉口や出鋼孔から炉内への空気の浸入量が増加する。そして、侵入した空気が溶鋼と接触することにより [N] が上昇する。溶鋼の上部にはスラグが存在するものの、炉内に侵入した空気は上吹き酸素ジェットに巻き込まれて溶鋼に吹付けられて、 [N] が上昇すると考えられる。
【0019】
本発明は、転炉を用いた脱炭精錬を行われる溶鋼のC濃度が0.3 %以下となる吹錬末期にスラグフォーミングを助長させることにより、フォーミングスラグが障害となって上吹き酸素ジェットに巻き込まれる空気の量を低減できるという独創的な技術思想に基づくものである。
【0020】
スラグのフォーミング高さは、スラグの表面張力や粘性といったスラグ性状とCOガス発生量とによって決定される。このため、脱炭初期や中期、特に中期では、COがス発生量が大きいためにスラグがフォーミングし易く、フォーミング高さも高い。これに対し、吹錬末期ではCOガス発生量が大幅に減少するために、フォーミング高さも大幅に低下してしまう。
【0021】
図1は、転炉1を用いた吹錬末期の [N] を上昇させる機構を概念的に示す説明図である。同図に示すC濃度が0.3 %以下であってスラグ2が殆どフォーミングしていない吹錬末期においては、上吹きランス3からの上吹き酸素ジェット4に浸入した空気5が巻き込まれて溶鋼6に吹付けられ、これにより、空気5からの窒素ピックアップが起こり、 [N] が上昇する。
【0022】
図2は、本発明により、転炉1を用いた吹錬末期にスラグフォーミングさせて [N] の上昇を抑制する機構を概念的に示す説明図である。同図に示すように、吹錬末期にスラグ2’ をフォーミングさせ、スラグ2’ がランス3の高さ近傍まで存在する状態、望ましくはランス3の先端がスラグ2’ 中に浸漬する状態とすると、上吹きランス3からの上吹き酸素ジェット4に巻き込まれる空気量が大幅に減少し、 [N] の上昇量が著しく低減される。
【0023】
溶銑2トン規模の試験転炉を用いた実験を行うことにより、C濃度が0.3 %以下である吹錬末期にスラグをフォーミングさせると、 [N] の上昇を抑制できることを証明した。この実験では、試験転炉を用いた吹錬中に約1分間間隔ででメタルサンプリングとスラグフォーミング高さ測定とを行い、吹錬末期の [N] 上昇量とスラグフォーミング高さとの関係を調べた。その結果、スラグフォーミング高さがランス高さ近くある状態 (図2参照) では [N] ピックアップが殆ど起こらないことが確認された。
【0024】
次に、C濃度が0.3 %以下である吹錬末期にスラグをフォーミングさせる手段を検討した。吹錬末期にスラグをフォーミングさせる手段として、次の二つが考えられる。一つはスラグの組成をスラグフォーミングし易い組成に制御することであり、もう一つは溶鋼中[C]と反応してCOガスの発生を増大させる物質を添加することによりフォーミングを助長することである。
【0025】
フォーミングし易いスラグとは、ガス気泡の滞留時間が長い性状のスラグであり、表面張力が低いか又は粘性が高い物性のスラグである。スラグの表面張力を下げる物質としてTiO2、P2O5、CaF2等がある。また、スラグの粘性を上昇させる物質としてAl2O3 やSiO2等がある。溶鋼中[C]と反応してCOガスの発生を増大させる物質としてFe2O3 やFe3O4 の鉄酸化物等がある。
【0026】
(具体的な実施の形態)
本発明では、高炉から運搬された溶銑をそのまま/あるいは/脱硅、脱硫、脱燐等の溶銑処理を行った後、上吹ランスを有する転炉に溶銑を装入し吹錬を行う。
【0027】
上吹ランスを有する上底吹転炉では、一般に、スクラップと溶銑とを装入した後、炉上部から生石灰、軽焼ドロマイト、スケール、鉄鉱石、マンガン鉱石等の造滓剤を投入し、上吹ランスから酸素を供給して吹錬を行い、底吹き羽口からAr、CO、CO2 、N2、O2及び炭化水素のいずれか一種以上を供給する。
【0028】
本実施の形態では、吹錬直前または吹錬途中にスラグフォーミングを助長する物質を投入し、吹錬末期にランス高さ近くまでスラグをフォーミングさせる。スラグフォーミングを助長する物質としては、イルメナイト鉱石やルチル鉱石等のチタン酸化物含有物質、造塊滓やボーキサイト等のアルミナ含有物質、さらにはスケールや鉄鉱石等の鉄酸化物含有物質等が挙げられる。
【0029】
スラグフォーミングを助長する物質の添加量は、チタン酸化物含有物質の場合にはスラグ中のチタン酸化物濃度が2%以上7%以下になるように添加することが望ましい。スラグ中のチタン酸化物濃度が2%未満ではスラグフォーミングを助長する効果が不十分であり、一方、スラグ中のチタン酸化物濃度が7%超添加しても効果がないためである。
【0030】
また、アルミナ含有物質の場合にはスラグ中のアルミナ濃度が1%以上5%以下となるように添加することが望ましい。スラグ中のアルミナ濃度が1%未満ではスラグフォーミングを助長する効果が不十分であり、一方5%を超えて添加しても効果がないためである。
【0031】
次に、鉄酸化物の場合、溶鋼1トン当たりの添加量で2kg/T以上10kg/T以下添加することが望ましい。溶鋼1トン当たりの添加量が2kg/T未満ではスラグフォーミングを助長する効果が不十分であり、溶鋼1トン当たりの添加量が10kg/T超ではそれ以上添加しても効果がないためである。
【0032】
これらの物質はC濃度が0.3 %以下となる吹錬末期か、またはC濃度が0.3 〜0.8 %となる吹錬中期の終わりに投入する事が望ましい。あまり早い時期、例えば吹錬初期や中期の初めに投入すると、スラグが大きくフォーミングし炉口から溢れ出る、所謂スロッピングを招く危険性があるためである。
【0033】
このように、本実施の形態によれば、C濃度が0.3 %以下である転炉吹錬末期に生ずる溶鋼中の [N] の上昇を抑制又は防止することによって終点 [N] を低減し、これにより、例えば、転炉吹錬終点におけるC濃度が0.3 %以下であるとともにN濃度が15ppm 以下である低窒素鋼を確実に製造することができる転炉製鋼方法を提供できた。
【0034】
【実施例】
さらに、本発明を実施例を参照しながら、具体的に説明する。
溶銑2トン規模の試験転炉を用いて実施例および比較例に示す実験を行った。溶銑としては、誘導加熱方式溶解炉を用いて溶製した模擬脱硫及び脱りん溶銑を用いた。製造した脱りん溶銑の組成は、C:3.7 〜3.9 %、Si:0.01%未満、Mn:0.28〜0.32%、P:0.024 〜0.027 %、S:0.003 〜0.004 %、N:50〜60ppm 、温度:1310〜1330℃であった。この溶銑を誘導加熱方式溶解炉から取鍋に移して搬送し、試験転炉に装入した。試験転炉には100 〜140kg の小塊状電解鉄を模擬スクラップとして装入した。
【0035】
その後、生石灰30Kg、かんらん岩7.3kg 、珪石3kg、蛍石3kgおよびスケール30kgの造滓剤を試験転炉上部から投入した直後、上吹ランスから酸素5.6Nm3/minを溶鋼に吹付け、吹錬を開始した。
【0036】
上吹ランスとしてはスロート径6.5mm のラバールノズルを3個有する水冷ランスを用い、ランス高さ(ランス先端と溶鋼表面との距離)は500mm とした。また、底吹羽口としては内径5mmの単管羽口2本を用い、Arガスを0.35Nm3/min ずつ供給した。吹錬時間は21〜22分間行い、溶鋼中C濃度を0.01〜0.02%まで低減した。
【0037】
実験では、吹錬開始前、吹錬開始後約5、8、10、12、14、15、16、17、18、19、20、21、22分経過後にメタルサンプルを採取した。また、スラグフォーミング高さ測定を吹錬開始約8、14、16、18、20、21分後に行った。スラグフォーミング高さの測定は、鉄棒に鉄製の金網を巻き付けたものを炉内に装入し、付着したスラグの位置からフォーミング高さを測定することにより行った。
【0038】
[実施例1]
そして、吹錬開始後16.5分経過時点で、本発明における「スラグフォーミングを助長させる物質」としてイルメナイト鉱石10kgと生石灰7kgとを添加した。使用したイルメナイト鉱石の組成は、20.2%TiO2、29.6%Fe2O3 、8.0 %FeO 、3.5 %CaO 、22.6%SiO2、10.9%Al2O3 、2.3 %MgO であった。
【0039】
吹錬中の経時的な温度変化を図3にグラフで示し、吹錬中の経時的なC濃度変化を図4にグラフで示し、吹錬中の経時的なN濃度変化を図5及び図6にグラフで示し、さらに、スラグフォーミング高さの経時的な変化を図7にグラフで示す。
【0040】
実施例1では、後述する比較例に比べて、C濃度が0.3 %以下である、吹錬開始後約18分間以上経過した吹錬末期において、スラグフォーミングが助長されており、吹錬末期の [N] 上昇も抑制され、これにより、終点 [N] が低減されていることが分かる。
【0041】
[実施例2]
吹錬開始16.5分経過時に造塊滓8kgを添加した。使用した造塊滓の組成は、43.5%CaO 、8.4 %SiO2、19.4%Al2O3 、6.3 %MgO 、8.2 %FeO 、2.2 %Fe2O3 、9.4 %MnO であった。試験結果を上述した実施例1と同様に、図3〜7にグラフで示す。
【0042】
実施例2では、後述の比較例に比べ、C濃度が0.3 %以下である、吹錬開始後約18分間以上経過した吹錬末期において、スラグフォーミングが助長されており、吹錬末期の [N] 上昇も抑制され、これにより、終点 [N] が低減されていることが分かる。
【0043】
[実施例3]
吹錬開始17分間経過時にスケール8kgを添加した。なお、このスケールは、製鉄所の熱延工程でスラブ (鋳片) または鋼板表面に生成した酸化鉄である。試験結果を上述した実施例1、2と同様に、図3〜7にグラフで示す。
【0044】
後述の比較例に比べ、C濃度が0.3 %以下である、吹錬開始後約18分間以上経過した吹錬末期において、スラグフォーミングが助長されており、吹錬末期の [N] 上昇も抑制され、これにより、終点 [N] が低減されていることが分かる。
【0045】
[比較例]
比較例では、実施例1〜3のように吹錬末期に造滓剤等の添加は行わなかった。試験結果を上述した実施例1〜3と同様に、図3〜7にグラフで示す。
【0046】
前述の実施例1〜3に比べて、C濃度が0.3 %以下、即ち、吹錬開始後約18分間以上経過した時点における吹錬末期において、スラグフォーミングが殆どなく、吹錬末期の [N] 上昇が大きく、これにより、終点 [N] が高いことが分かる。
【0047】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明により、C濃度が0.3 %以下である転炉吹錬末期に生ずる溶鋼中の[ N] の上昇を抑制又は防止することによって終点 [N] を低減し、これにより、例えば、転炉吹錬終点におけるC濃度が0.3 %以下であるとともにN濃度が15ppm 以下である低窒素鋼を確実に製造することができる転炉製鋼方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】転炉を用いた吹錬末期の [N] を上昇させる機構を概念的に示す説明図である。
【図2】本発明により、転炉を用いた吹錬末期にスラグフォーミングさせて [N] の上昇を抑制する機構を概念的に示す説明図である。
【図3】実施例における吹錬中の経時的な温度変化を示すグラフである。
【図4】実施例における吹錬中の経時的なC濃度変化を示すグラフである。
【図5】実施例における吹錬中の経時的なN濃度変化を示すグラフである。
【図6】実施例における吹錬中の経時的なN濃度変化を示すグラフである。
【図7】実施例におけるスラグフォーミング高さの経時的な変化を示すグラフである。
Claims (6)
- 転炉を用いて上吹きランスから酸素を溶鋼に吹き込む脱炭精錬を行う際に、該溶鋼のC濃度が0.3 質量%以下となる吹錬末期にスラグフォーミングを助長させることにより、該溶鋼の窒素濃度の上昇を抑制することを特徴とする転炉製鋼方法。
- 転炉を用いて上吹きランスから酸素を溶鋼に吹き込む脱炭精錬を行う際に、該溶鋼のC濃度が0.3 質量%以下となる吹錬末期にスラグフォーミングを助長させるために、該溶鋼に、スラグフォーミングを助長させる物質を添加することを特徴とする転炉製鋼方法。
- スラグフォーミングを助長させる物質は、チタン酸化物含有物質、アルミナ含有物質又は鉄酸化物含有物質である請求項2に記載された転炉製鋼方法。
- 前記チタン酸化物含有物質は、イルメナイト鉱石又はルチル鉱石である請求項3に記載された転炉製鋼方法。
- 前記アルミナ含有物質は、造塊滓又はボーキサイトである請求項3に記載された転炉製鋼方法。
- 前記鉄酸化物含有物質は、スケール又は鉄鉱石である請求項3に記載された転炉製鋼方法。
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CN103468851A (zh) * | 2013-08-15 | 2013-12-25 | 首钢京唐钢铁联合有限责任公司 | 转炉少渣冶炼模式下的转炉控氮方法 |
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-
2003
- 2003-03-17 JP JP2003072136A patent/JP2004277830A/ja active Pending
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