JP5398325B2 - 疲労特性に優れた高強度鋼線用鋼の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1の高強度極細線用鋼の製造方法では、C:0.4〜1.0%、Si:0.15〜0.6%、Mn:0.2〜0.9%、必要に応じてCo:1%以下(0%を含まない)及び/又はCu:1%以下(0%を含まない)を夫々含むと共に、Mg:0.00020%以下、Al:0.0003%以下、O:0.003%以下に夫々抑制し、残部:Fe及び不可避不純物からなり、鋼中非金属介在物に占めるMgOの比率を3.0%以下に抑制し、溶鋼中に添加するMg量を溶鋼1t当たり200g以下に制御することによって、線材の耐疲労性や耐断線性を向上させている。
しかしながら、特許文献1には、転炉の精錬において副原料等の添加量や吹錬時での吹き込み量等については開示されていない。
さて、高強度鋼線用鋼を対象にしたものではないが、転炉の精錬において副原料や吹き込み等について開示しているものとして、特許文献2及び特許文献3に示すものがある。
一方で、特許文献2及び特許文献3に、一次精錬における精錬の詳細(例えば、副原料等の投入時期や酸素吹き込み量L/L0)が開示されているものの、本発明の対象鋼種とは異なるため、これらの技術を適用することができないのが実情である。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、[C]=0.4〜1.0質量%、[Si]=1.4〜2.2質量%、[Mn]=0.2〜0.9質量%、[Mg]=0.00020質量%以下(0%を含まない)、[Al]=0.00030質量%以下(0%を含まない)、[O]=0.003%以下(0%を含まない)を満たす高強度鋼線用鋼を製造するに際し、転炉における脱炭処理では、当該転炉へ装入する溶銑の[P]を0.040質量%以下とすると共に、転炉内へ供給するCaO量を原単位で12.0〜21.0kg/tとし、さらに、前記転炉内へ供給するMgO量を溶鋼1t当たり100〜1500gとし、転炉における吹錬では、上吹きに関し、吹錬時間の全期間のうち、吹錬開始から60%〜80%の時間が経過する第1上吹き区間では、式(1)を満たすように上吹きの酸素を吹き、前記第1上吹き区間の経過後から吹錬を終了させるまでの第2上吹き区間では、式(2)を満たすように上吹きの酸素を吹き、底吹きに関し、吹錬開始から吹錬終了まで、0.045〜0.075Nm3/分/ton且つ0.040〜0.064Nm3/分/mm2を満たすように底吹きのガスを吹き、転炉での出鋼時から二次精錬処理までの工程においては、溶鋼へ添加するMgOの量を、溶鋼1t当たり330g以下としている点にある。
図1は、高強度鋼線用鋼を製造するにあたり、転炉から二次精錬までの工程を示したものである。以下、説明の便宜上、溶銑や溶鋼ことを総称して溶湯ということがある。
転炉1は、装入された溶湯2に対して当該溶湯2の上方側から酸素を吹きつけ、且つ、底部3からガスを吹き込むことができる上底吹き転炉である。この上底吹き転炉1には、酸素を吹くための上吹きランス4が炉口5を介して挿入可能に設けられ、底部3から不活性ガスを吹き込む羽口6が設けられている。また、この上底吹き転炉1には、溶湯2を出湯する出湯口7が設けられ、上方から副原料等を投入するホッパー8が設けられている。
二次精錬装置9は、転炉1にて脱炭処理された溶鋼2を攪拌して精錬を行うことができる取鍋精錬装置である。この二次精錬装置9は、例えば、電極加熱式のLF装置であって、溶鋼2が装入された取鍋3と、取鍋3の溶鋼2内にガスを吹き込む吹き込み装置10と、アーク放電により溶鋼2を加熱する電極式加熱装置11と、副原料等を投入するためのホッパー12とを有している。
なお、この実施形態では、二次精錬装置9、即ち、取鍋精錬装置としてLF装置を例示したが、これに限定されず、溶鋼2を攪拌するものであれば、交番磁場によって溶鋼2を攪拌することができる精錬装置であっても、LF装置に対して電極式加熱装置11を有しない精錬装置であってもよい。
以下、本発明の製造方法について詳しく説明する。
[対象鋼材及び化学成分について]
本発明の製造方法は、冷間伸延線性に優れた高強度鋼線を製造するための高強度鋼線用鋼の製造方法である。この高強度鋼線用鋼の製造方法は、特に、ばね用鋼、その中でも特に硬質介在物が非常に少ないことが要求される弁ばね用鋼を製造するための方法である。
Mnも、添加時において脱酸作用および介在物制御作用を有する。これらの作用を有効に発揮させる為には、最終的な成分を0.2%以上に成分調整する必要がある。ただし、Mnの最終的な成分が0.9%を超えると脆化してしまうので、その上限を0.9%以下とする必要がある。
AlやOは、鋼中の非金属介在物中に占めるMgOの割合を低下させるという役割もあり、[Al]が0.00030%以下(より好ましくは0.00020%以下)となると共に、[O]が0.003%以下(より好ましくは0.002%以下)になるように成分調整することによって、鋼中の非金属介在物中に占めるMgOの比率が3.0%以下(2.5%以下) に抑制することができる。また、[Al]を0.00030%以下にすると共に、[O]を0.003%以下にすることによって、MgO系介在物に加えて鋼中の非金属介在物に占めるAl2O3の比率も25%以下にすることができる。これにより、伸線時の断線回数も更に低減することができるため、このように成分調整することは極めて有効である。 本発明の高強度鋼線用鋼を製造するにあたっては、上述した元素が必須成分であるが、残りの残部はFe及び不可避的不純物であることが最も良い。
ただし、[Co]を1%よりも大きくし、[Cu]を1%よりも大きくなるようにしても上述した作用は満足するため、上述した1%以下にすることが好ましい。[Co]=0.8%以下、[Cu]=0.8%以下にすることがより好ましい。
Niも、Crと同様に耐へたり性改善に有用な元素であり、その為には0.05%以上含有することが好ましく、0.1%以上であることがより好ましい。ただし、0.50%を超えてしまうと、脆化してしまう恐れがある。そのため、Niの含有量は、0.50%以下とすることが好ましく、0.40%以下であることがより好ましい。
[転炉〜二次精錬までのMgOの添加について]
本発明では、上述したような化学成分となるように、転炉1における脱りん処理や脱炭処理又は二次精錬における精錬処理時に成分調整を行うこととしている。ここで、転炉1での処理時、出鋼時や二次精錬時において溶銑に添加するMgO量を溶鋼1t当たり330g以下としている。
このように、転炉1から溶鋼2を出鋼してから二次精錬処理の終了までの処理間に、溶鋼2にMgO量を330g/tにすることによって製造後の鋼中の非金属介在物中に占めるMgOの比率を3.0%以下にすることができる。特許第3673409号に示されているように、非金属介在物中に占めるMgOの比率を3.0%以下にすることによって、延線工程における断線を防止することができる。
本発明では、上述したように、転炉から二次精錬までの処理の際にMgO量を制御することとしているが、転炉1において脱炭処理を行うに際しては、当該転炉1へ装入する溶銑2の[P]を0.040%以下(質量%)としている。
製造後の鋼材における[P]は、0.025質量%以下としており、脱炭処理の段階において除去される[P]を考慮すると、脱炭処理の際に転炉1に装入する溶銑2の[P]を0.040%以下にする必要がある。転炉1における脱炭処理は、上述した化学成分([C]=0.4〜1.0質量%)を満たすように当業者常法通りに処理を行うこととしている。なお、以下、脱炭処理での精錬について説明しているが、溶湯2の評価については、後述するように、[P]に着目して説明を行う。
また、転炉1内へ供給するCaO量を原単位で12.0〜21.0kg/tとし、転炉1内へ供給するMgO量を溶鋼1t当たり100〜1500gとしている。
このように、転炉1内へ供給するCaO量を原単位で12.0kg/t以上であれば、転炉1での吹錬後におけるスラグ中のMgO濃度を希釈することができ、その結果、溶湯(溶鋼)内のMgO濃度の増加を抑えることができる。一方で、転炉1内へ供給するCaO量を21.0kg/tよりも多くすると、スラグ中のMgO濃度を希釈することができるものの、転炉1内に未滓化のCaOが残存するだけであり、脱りん効率が低下することになる。
したがって、上述したように、溶鋼2内のMgO濃度は可及的に抑えることが望ましいが、一方で、MgOを全く添加しないと耐火物の溶損を早めたり、耐火物からのMgOの溶け出しによりMgO濃度を増加させてしまうといったことが発生するため、これらのバランスを考慮して、転炉1内(溶鋼内)へ供給するMgO量を溶鋼1t当たり100〜1500gとしている。
以下、上吹き及び底吹きについて説明する。
[上吹きについて]
図2に示すように、上吹きにおいては、吹錬時間の全期間(0〜100%)のうち、吹錬開始から60%〜80%の時間が経過する第1上吹き区間Aでは、式(1)を満たすように酸素を吹き、第1上吹き区間Aの経過後から吹錬を終了させるまでの第2上吹き区間Bでは、式(2)を満たすように酸素を吹いている。
図2に示すように、第1上吹き区間Aにおいては、第2上吹き区間Bに比べ、L/L0が大きいハードブローにすることによって、スラグに適度な酸素を供給できて脱りんを促進することができる。さらに、第1上吹き区間Aにおいてハードブローすることにより、スラグへの熱供給が適正化されて熱による耐火物の溶損を抑えることができ、スラグ中のMgO濃度の増加を抑制することができる。以降、説明の便宜上、第1上吹き区間Aのことをハードブロー区間ということがある。
式(1)によって第1上吹き区間A(ハードブロー区間)での上吹きの強さを規定している。ハードブロー区間において、L/L0が0.29未満であって、式(1)を満たさない場合は、上吹きの強さが弱過ぎるため、溶湯2に十分に酸素が供給されないと共に、溶湯2の攪拌が不十分となる。その結果、スラグへの熱供給が過剰となり、耐火物からMgOがスラグへ溶け出す(インプットする)ことになるため、上述したように、最終的には、溶湯2のMgO濃度が増加して所望のMgO濃度とならない。
したがって、ハードブロー区間(第1上吹き区間A)において、上吹きの強さは式(1)を満たすようにすることが必要である。上吹きの強さは、溶湯2の凹み深さLの調整により制御しており、当該溶湯2の凹み深さLの調整は、上吹きランス4の酸素流量の増減、ランス高さの変更で行う。なお、溶湯2の凹み深さLの調整にあたっては、上吹きランス4の酸素流量の増減とランス高さの変更との両方を行ってもよいし、いずれか一方で行ってもよい。
ここで、吹錬開始から60%に達する前にハードブローを停止してソフトブローを開始してしまうと、上述した理由により、所望のMgO濃度とすることができない。
上吹きにおいて、吹錬開始から80%を超えてハードブローを長く継続した後に遅いタイミングでソフトブローの開始をすると、スラグへの酸素の供給が不十分で脱りん処理が遅れるということになり、結果的に、所望の[P]を達成することができない。
また、ソフトブロー区間において、L/L0が0.20を超えて、式(2)を満たさない場合は、上吹きの強さが強過ぎるため、スラグに過剰な酸素が供給されないのでスラグの温度が適正に保たれて、MgOの濃度を低下させることができるものの、スラグへの酸素の供給が不十分となり、スラグの酸化度が低下して脱りん効率が低下し、その結果、所望の[P]を達成することができない。
さらに、ハードブロー区間(第1上吹き区間A)では式(1)を満たすように、酸素を吹き込み、ソフトブロー区間では式(2)を満たすように酸素を吹く必要がある。
[底吹きについて]
図2に示すように、底吹きにおいては、吹錬開始から吹錬終了まで一定の割合で底吹きガスを吹くことによって、主に、溶湯2の攪拌を一定とすることでスラグメタル反応を安定化させ、耐火物からの溶け出しによるMgO濃度の増加を抑えている。
1分当たりの原単位として底吹きのガスの量が、0.045Nm3/分/ton未満であると、攪拌が弱過ぎて当該攪拌によりスラグが移動し難いことから、上吹きランス4からの酸素が溶湯2よりもスラグに比較的多く供給されることになる。ゆえに、スラグへの熱供給が過剰となり、耐火物の溶損によるMgOの溶け出しによって、スラグのMgO量が増加し、その結果、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまう。
羽口6の開口面積当たりの流量として規定した底吹きのガスが、0.040Nm3/分/ton未満であると、攪拌が弱過ぎるため、耐火物の溶損が進み、耐火物からのMgOの溶け出しによって、スラグのMgO量が増加し、その結果、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまう。
以上のように、底吹きによる吹錬においては、MgO濃度の抑制(MgO濃度が増加することの防止)する点と、脱りん効率を低下させずに脱りん処理を行う点とのバランスを考慮し、底吹きに関して、そのガス量を0.045〜0.075Nm3/分/ton且つ0.040〜0.064Nm3/分/mm2を満たすように設定している。
表1に示すように、転炉吹錬は、100tonクラスの転炉1にて行った。上吹きにおいては、孔数が6個、孔直径が28.4mm、孔角度が12であるノズルを用いた。底吹きにおいては、吹き込みガスをCOガスとし、羽口6はガスを吹き込む吹き込み口(開口部分)がリング状となる一層環状管とした。羽口6の個数は4個、開口面積は合計で103.2mm2である。
転炉1に装入した溶銑において、[C]=3.8〜4.2質量%、[S]=0.010〜0.045質量%である。なお、[P]については、上述した通りである。
また、1次精錬時(転炉精錬)でのMgO源としては、MgO=32〜36質量%、SiO2=0.1〜1.0質量%、CaO=51〜62質量%の成分からなる軽焼ドロマイトを使用した。MgO量の算出は、軽焼ドロマイト投入量×副原料中MgO濃度を鋼1トン当たりで計算して求めた。
一次精錬(転炉精錬)及びニ次精錬においての操業は、表1に示すように当業者常法の方法に基づいて行った。また、二次精錬後の連続鋳造や圧延の操業においても、当業者常法の方法に基づいて行った。
また、鋼中の非金属介在物に占めるMgOの比率を3.0%以下に抑制することが有効であることから、最終的に線材としたときの非金属介在物に占めるMgOの比率を調査し、その値が3.0%以下のものを良好「○」とし、満たしていないものを不良「×」とした。
表2に示すように、実施例の実験番号1〜実験番号30では、転炉1へ装入する溶銑2の[P]を0.040質量%以下とし(溶銑[P]濃度の欄)、転炉1内へ供給するCaO量を原単位で12.0〜21.0kg/tとし(CaO装入原単位の欄)とし、転炉1内へ供給するMgO量を溶鋼1t当たり100〜1500gとしている(1次精錬時副原料MgO量の欄)。
また、実施例の実験番号1〜実験番号30では、吹錬時でのソフトブローの区間を吹錬開始から60%〜80%を経過した後に行うものとし(ソフトブローの時間割合の欄)、ソフトブローでのL/LOを0.13〜0.20としてる(ソフトブローのL/LOの欄)。
実施例のように、本発明の転炉吹錬時の全ての条件を満たしていれば、1次精錬後のスラグのMgO濃度を6.0%以下にすることができると共に、2次精錬後のスラグのMgO濃度を8.0%以下にすることができる(評価「○」)。さらには、[P]について、鋳造前の最終成分(製造後の成分と同じ)を0.025%以下にすることができ、製造後(製品)における介在物中のMgO濃度を3.0%以下にすることができる(評価「○」)。
比較例の実験番号33〜実験番号34では、転炉1内へ供給するCaO量の原単位が本発明の条件を満たしておらず少ないために、スラグ内のMgO量を希釈できずに、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号39〜実験番号40では、ハードブロー区間の時間割合が本発明の条件を満たしておらず長いため、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。比較例の実験番号41〜実験番号42では、ハードブロー区間の時間割合が本発明の条件を満たしておらず短いため、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。また、比較例の実験番号39〜実験番号42では、ソフトブロー区間の時間割合も本発明の条件を満たしていないものとなっている。
比較例の実験番号47〜実験番号48では、ソフトブロー区間におけるL/LOが本発明の条件を満たしておらず大きいために、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。比較例の実験番号49〜実験番号50では、ソフトブロー区間におけるL/LOが本発明の条件を満たしておらず小さいために、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。なお、比較例の実験番号47では、ハードブロー区間におけるL/LOも本発明の条件を満たしていない。
比較例の実験番号55〜実験番号56では、底吹きのガス量(開口面積当たり)が本発明の条件を満たしておらず大きいために、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。比較例の実験番号57〜実験番号58では、底吹きのガス量(開口面積当たり)が本発明の条件を満たしておらず小さいために、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号89〜実験番号90では、転炉1内へ供給するCaO量の原単位が本発明の条件を満たしておらず多いために、転炉1にて十分に脱りんが行えず、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号91〜実験番号92では、転炉1内へ供給するCaO量の原単位が本発明の条件を満たしておらず少ないために、スラグ内のMgO量を希釈できずに、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号97〜実験番号98では、ハードブロー区間の時間割合が本発明の条件を満たしておらず長いため、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。比較例の実験番号99〜実験番号100では、ハードブロー区間の時間割合が本発明の条件を満たしておらず短いため、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。また、比較例の実験番号97〜実験番号100では、ソフトブロー区間の時間割合も本発明の条件を満たしていないものとなっている。
比較例の実験番号102〜実験番号103では、ソフトブロー区間におけるL/LOが本発明の条件を満たしておらず大きいために、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。比較例の実験番号107〜実験番号108では、ソフトブロー区間におけるL/LOが本発明の条件を満たしておらず小さいために、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号113〜実験番号114では、底吹きのガス量(開口面積当たり)が本発明の条件を満たしておらず大きいために、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。比較例の実験番号115〜実験番号116では、底吹きのガス量(開口面積当たり)が本発明の条件を満たしておらず小さいために、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
A 第1上吹き区間
B 第2上吹き区間
C 第1底吹き区間
D 第2底吹き区間
Claims (2)
- [C]=0.4〜1.0質量%、[Si]=1.4〜2.2質量%、[Mn]=0.2〜0.9質量%、[Mg]=0.00020質量%以下(0%を含まない)、[Al]=0.00030質量%以下(0%を含まない)、[O]=0.003%以下(0%を含まない)を満たす高強度鋼線用鋼を製造するに際し、
転炉における脱炭処理では、当該転炉へ装入する溶銑の[P]を0.040質量%以下とすると共に、転炉内へ供給するCaO量を原単位で12.0〜21.0kg/tとし、
さらに、前記転炉内へ供給するMgO量を溶鋼1t当たり100〜1500gとし、
転炉における吹錬では、
上吹きに関し、吹錬時間の全期間のうち、吹錬開始から60%〜80%の時間が経過する第1上吹き区間では、式(1)を満たすように上吹きの酸素を吹き、前記第1上吹き区間の経過後から吹錬を終了させるまでの第2上吹き区間では、式(2)を満たすように上吹きの酸素を吹き、
底吹きに関し、吹錬開始から吹錬終了まで、0.045〜0.075Nm3/分/ton且つ0.040〜0.064Nm3/分/mm2を満たすように底吹きのガスを吹き、
転炉での出鋼時から二次精錬処理までの工程においては、溶鋼へ添加するMgOの量を、溶鋼1t当たり330g以下としていることを特徴とする疲労特性に優れた高強度鋼線用鋼の製造方法。
- 前記高強度鋼線用鋼は、[Cr]=0.1〜2.0質量%、[Ni]=0.05〜0.50質量%、[V]=0.05〜0.50質量%のいずれか1成分以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の疲労特性に優れた高強度鋼線用鋼の製造方法。
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