JP5398329B2 - 疲労特性に優れた高強度鋼線用鋼の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、疲労特性に優れた高強度鋼線用鋼の製造方法に関する。
従来より、高強度鋼線用鋼を製造するにあたって、線材の耐疲労性や耐断線性を向上させる製造方法として様々な技術が開発されてきている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の高強度極細線用鋼の製造方法では、C:0.4〜1.0%、Si:0.15〜0.6%、Mn:0.2〜0.9%、必要に応じてCo:1%以下(0%を含まない)及び/又はCu:1%以下(0%を含まない)を夫々含むと共に、Mg:0.00020%以下、Al:0.0003%以下、O:0.003%以下に夫々抑制し、残部:Fe及び不可避不純物からなり、鋼中非金属介在物に占めるMgOの比率を3.0%以下に抑制し、溶鋼中に添加するMg量を溶鋼1t当たり200g以下に制御することによって、線材の耐疲労性や耐断線性を向上させている。
即ち、特許文献1では、転炉での一次精錬及び取鍋精錬装置での二次精錬を行う際にMg量をコントロールして、最終的に、鋼中非金属介在物に占めるMgOの比率を3.0%以下に抑制している。
しかしながら、特許文献1には、転炉の精錬において副原料等の添加量や吹錬時での吹き込み量等については開示されていない。
さて、高強度鋼線用鋼を対象にしたものではないが、転炉の精錬において副原料や吹き込み等について開示しているものとして、特許文献2及び特許文献3に示すものがある。
特許文献2では、転炉内の溶銑に、焼石灰、軽焼ドロマイト、生ドロマイト、蛇紋岩、造塊滓及び蛍石を投入して滓化し、生じたスラグと溶銑間のスラグ−メタル反応を酸素吹錬下で行わせるに際し、全吹錬時間の20%から60%の期間内に焼石灰を投入し、且つその期間内で全投入焼石灰量を複数回に均等分割して投入すると共に、蛇紋岩は、上記焼石灰の投入期間内で複数回に分割して投入し、蛍石は、全吹錬期間の当初から30%までに投入し、軽焼ドロマイト及び造塊滓は、全吹錬期間の当初から10%までに投入し、生ドロマイトは、全吹錬期間の25%から30%までに投入している。
特許文献3では、転炉精錬方法において、溶鋼の炭素濃度が0.1%以上0.5%以下の所定の設定濃度を境として、当該設定濃度よりも高い領域では溶鋼重量当りの酸素供給速度を100Nm3 /(hr・ton)以上300Nm3 /(Hr・ton)以下とし、当該設定濃度以下の領域では、20Nm3 /(Hr・ton)以上60Nm3 /(Hr・ton)以下としている、また、特許文献3では、いずれの炭素濃度領域においても、鋼浴深さL0(m)と上吹きガスの鋼浴面への衝突により形成される凹み(キャビティー)の深さL(m)との比L/L0 を0.2以上0.9以下としている。
特許3673409号 特許3440755号 特開平8−60220号公報
特許文献1の技術では、[Si]が0.6質量%以上となる鋼(例えば、ばね鋼)は対象となっておらず、また、一次精錬における精錬の詳細については全く開示されていない。ゆえに、特許文献1の技術は、本発明の対象とする高強度鋼線用鋼には適用することができないのが実情である。
一方で、特許文献2及び特許文献3に、一次精錬における精錬の詳細(例えば、副原料等の投入時期や酸素吹き込み量L/L0)が開示されているものの、本発明の対象鋼種とは異なるため、これらの技術を適用することができないのが実情である。
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、一次精錬から二次精錬にわたる工程においてMgO量をコントロールすることによって、非金属介在物中のMgO比率を確実に2.5%以下に制御することができる疲労特性に優れた高強度鋼線用鋼の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明における課題解決のための技術的手段は、[C]=0.4〜1.0質量%、[Si]=1.4〜2.2質量%、[Mn]=0.2〜0.9質量%、[Mg]=0.00020質量%以下(0%を含まない)、[Al]=0.00030質量%以下(0%を含まない)、[O]=0.003%以下(0%を含まない)を満たす高強度鋼線用鋼を製造するに際し、炉における脱炭処理では、当該転炉へ装入する溶銑の[P]を0.040質量%以下とすると共に、転炉内へ供給するCaO量を原単位で12.0〜21.0kg/tとし、さらに、前記転炉内へ供給するMgO量を溶鋼1t当たり100〜1500gとし、転炉における吹錬では、上吹きに関し、吹錬時間の全期間のうち、吹錬開始から60%〜80%の時間が経過する第1上吹き区間では、式(1)を満たすように上吹きの酸素を吹き、前記第1上吹き区間の経過後から吹錬を終了させるまでの第2上吹き区間では、式(2)を満たすように上吹きの酸素を吹き、底吹きに関し、吹錬開始から吹錬終了まで、0.045〜0.075Nm/分/ton且つ0.040〜0.064Nm/分/mmを満たすように底吹きのガスを吹き、転炉での出鋼時から二次精錬処理までの工程においては、溶鋼へ添加するMgOの量を、溶鋼1t当たり330g以下とし、前記二次精錬処理における取鍋精錬では、CaO=30〜55質量%、SiO=40〜60質量%、Al=3.0質量%以下、MgO=0.1〜0.95質量%、CaO/SiO=0.6〜1.2を満たし、且つ、粒度が15mm以下となるものが95%以上含むフラックスを添加すると共に、取鍋精錬におけるスラグ量を14〜21kg/tとしている点にある。
Figure 0005398329
前記高強度鋼線用鋼は、[Cr]=0.1〜2.0質量%、[Ni]=0.05〜0.50質量%、[V]=0.05〜0.50質量%のいずれか1成分以上を含むことが好ましい。
本発明によれば、一次精錬から二次精錬にわたる工程においてMgO量をコントロールすることによって、非金属介在物中のMgO比率を確実に2.5%以下に制御することができ、疲労特性に優れた高強度鋼線用鋼を製造することができる。
転炉の全体側面図である。 吹錬の状況を示した図である。 1次精錬後のスラグのMgO濃度と、2次精錬後のスラグのMgO濃度との関係を示す図である。 2次精錬後のスラグのMgO濃度と、線材介在物中のMgO濃度との関係との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、高強度鋼線用鋼を製造するにあたり、転炉から二次精錬までの工程を示したものである。以下、説明の便宜上、溶銑や溶鋼ことを総称して溶湯ということがある。
転炉1は、装入された溶湯2に対して当該溶湯2の上方側から酸素を吹きつけ、且つ、底部3からガスを吹き込むことができる上底吹き転炉である。この上底吹き転炉1には、酸素を吹くための上吹きランス4が炉口5を介して挿入可能に設けられ、底部3から不活性ガスを吹き込む羽口6が設けられている。また、この上底吹き転炉1には、溶湯2を出湯する出湯口7が設けられ、上方から副原料等を投入するホッパー8が設けられている。
この転炉1では、当該転炉1内に溶湯2を装入し、転炉1の炉口5へ上吹きランス4を挿入した後に、この上吹きランス4から溶湯2に向けて酸素ガスを吹き付けると共に、底部3の羽口6からガスを吹き込んで溶湯2を攪拌しながら吹錬を行うことができる。
二次精錬装置9は、転炉1にて脱炭処理された溶鋼2を攪拌して精錬を行うことができる取鍋精錬装置である。この二次精錬装置9は、例えば、電極加熱式のLF装置であって、溶鋼2が装入された取鍋3と、取鍋3の溶鋼2内にガスを吹き込む吹き込み装置10と、アーク放電により溶鋼2を加熱する電極式加熱装置11と、副原料等を投入するためのホッパー12とを有している。
吹き込み装置10は、取鍋3の底部に設けられてその底部からガスを吹き込むポーラス吹込口13と、取鍋3の上部側から装入してガスを吹き込むランス14とを備えている。ランス14の先端には溶鋼2内にガスを吹き込むノズルが設けられている。なお、吹き込み装置10は、ポーラス吹込口13のみを有するものであっても、ランス14のみを有するものであってもよい。
なお、この実施形態では、二次精錬装置9、即ち、取鍋精錬装置としてLF装置を例示したが、これに限定されず、溶鋼2を攪拌するものであれば、交番磁場によって溶鋼2を攪拌することができる精錬装置であっても、LF装置に対して電極式加熱装置11を有しない精錬装置であってもよい。
高強度鋼線用鋼を製造するにあたっては、まず、高炉から出銑した溶銑に対し、混銑車(トピードカー)や主に脱りんを行う脱りん炉(転炉)にて、脱りん処理を行う。そして、主として脱りん処理を行った溶銑(脱りん銑)を、脱炭処理を行う転炉1に装入して転炉1にて上吹きランス4による酸素吹き込みや副原料の投入等により脱炭処理を行う。脱炭処理後の溶鋼2を転炉1から出鋼して二次精錬装置9へと搬出する。溶鋼2の出鋼時には、フラックス、造滓剤、各種溶媒剤等の副原料を添加する。説明の便宜上、フラックス、造滓剤、各種溶媒剤も副原料ということがある。
二次精錬装置9における取鍋精錬では、ランス14を用いてガスを吹き込むことにより溶鋼2を攪拌すると共に、電極式加熱装置5によって溶鋼2を所定温度まで上げたり、ホッパー12によりフラックスや合金などの様々な副原料を溶鋼2内に投入することで成分調整を行う。二次精錬後は、溶鋼2は連続鋳造装置に搬出されて当該連続鋳造装置にてブルーム等に鋳造され、その後、圧延装置にて線材に圧延される。
以下、本発明の製造方法について詳しく説明する。
[対象鋼材及び化学成分について]
本発明の製造方法は、冷間伸延線性に優れた高強度鋼線を製造するための高強度鋼線用鋼の製造方法である。この高強度鋼線用鋼の製造方法は、特に、ばね用鋼、その中でも特に硬質介在物が非常に少ないことが要求される弁ばね用鋼を製造するための方法である。
このような高強度鋼線用鋼の製造後の化学成分は、[C]=0.4〜1.0質量%、[Si]=1.4〜2.2質量%、[Mn]=0.2〜0.9質量%、[Mg]=0.00020質量%以下(0%を含まない)、[Al]=0.00030質量%以下(0%を含まない)、[O]=0.003%以下(0%を含まない)を満たすものとなっている。その他、高強度鋼線用鋼の製造後の化学成分は、残りの部分(残部)はFe及び不可避不純物からなることが好ましい。以下、説明の便宜上、化学成分を説明する際の「%」は、質量%である。 Cは強度の向上に有用な元素であり、その為には最終的な成分が0.4%以上となるように成分調整する必要がある。[C]は、0.6%以上であることが好ましい。ただし、[C]が1.0%を超えると脆化してしまう為、その上限を1.0%とする必要がある。[C]の上限値は、0.9%以下とすることが好ましい。
Siは、添加時において脱酸作用および介在物制御作用を有し、これらの作用を有効に発揮させる為には、最終的な成分を1.4%以上となるように成分調整する必要がある。ただし、Siの最終的な成分が2.2%を超えると脆化してしまうので、その上限を2.2%としている。
Mnも、添加時において脱酸作用および介在物制御作用を有する。これらの作用を有効に発揮させる為には、最終的な成分を0.2%以上に成分調整する必要がある。ただし、Mnの最終的な成分が0.9%を超えると脆化してしまうので、その上限を0.9%以下とする必要がある。
Mgは、鋼材中のMgO系介在物を減少させるという観点からすれば、少なければ少ない程良く、Mg量が0.00020%以下であれば、鋼材中のMgO系介在物量を大幅に低減することができる。Mgの最終的な成分は0.00010%以下であることが好ましい。
AlやOは、鋼中の非金属介在物中に占めるMgOの割合を低下させるという役割もあり、[Al]が0.00030%以下(より好ましくは0.00020%以下)となると共に、[O]が0.003%以下(より好ましくは0.002%以下)になるように成分調整することによって、鋼中の非金属介在物中に占めるMgOの比率が3.0%以下(2.5%以下) に抑制することができる。また、[Al]を0.00030%以下にすると共に、[O]を0.003%以下にすることによって、MgO系介在物に加えて鋼中の非金属介在物に占めるAl23の比率も25%以下にすることができる。これにより、伸線時の断線回数も更に低減することができるため、このように成分調整することは極めて有効である。 本発明の高強度鋼線用鋼を製造するにあたっては、上述した元素が必須成分であるが、残りの残部はFe及び不可避的不純物であることが最も良い。
ただし、残部がFe及び不可避的不純物だけでなく、例えば、[Co]=1%以下(0%を含まない)及び/又は[Cu]=1%以下(0%を含まない)を含んでいてもよい。これらの元素(Co、Cu)は鋼の延性を高めるのに有効であるため、上記の条件下で、下限値が[Co]=0.05% 以上( より好ましくは0.1%以上) 、[Cu]=0.05%以上( より好ましくは0.1%以上)とすることが好ましい。
ただし、[Co]を1%よりも大きくし、[Cu]を1%よりも大きくなるようにしても上述した作用は満足するため、上述した1%以下にすることが好ましい。[Co]=0.8%以下、[Cu]=0.8%以下にすることがより好ましい。
また、高強度鋼線用鋼(ばね用鋼)においては、特開昭63−114944号公報や「日本金属学会会報、第23巻、第6号、1984年、526〜527頁」等に示されているように、ばねを繰り返し圧縮して長時間使用した後、圧縮力を開放するときに復元長さの減少をきたさないという耐へたり性が高いことが好ましい。そのため、耐へたり性等の観点から化学成分を考えると、製造する高強度鋼線用鋼は、[Cr]=0.1〜2.0質量%、[Ni]=0.05〜0.50質量%、[V]=0.05〜0.50質量%のいずれか1成分以上を含むことが好ましい。
Crは、強度の向上および耐へたり性の改善に有用な元素であり、その為には0.1%以上含有することが好ましく、0.2%以上であることがより好ましい。ただし、Crの含有量が2.0%を超えてしまうと、脆化してしまう恐れがある。そのため、Crの含有量は、2.0%以下とすることが好ましく、1.9%以下であることがより好ましい。
Niも、Crと同様に耐へたり性改善に有用な元素であり、その為には0.05%以上含有することが好ましく、0.1%以上であることがより好ましい。ただし、0.50%を超えてしまうと、脆化してしまう恐れがある。そのため、Niの含有量は、0.50%以下とすることが好ましく、0.40%以下であることがより好ましい。
Vも、Cr、Niと同様に耐へたり性改善に有用な元素であり、その為には0.05%以上含有することが好ましく、0.1%以上であることがより好ましい。ただし、Vの含有量が0.50%を超えてしまうと、脆化してしまうおそれがある。そのため、Vの含有量は0.50%以下とすることが好ましく、0.40%以下であることがより好ましい。
[転炉〜二次精錬までのMgOの添加について]
本発明では、上述したような化学成分となるように、転炉1における脱りん処理や脱炭処理又は二次精錬における精錬処理時に成分調整を行うこととしている。ここで、転炉1での処理時、出鋼時や二次精錬時において溶銑に添加するMgO量を溶鋼1t当たり330g以下としている。
詳しくは、転炉1から溶鋼2を出鋼してから二次精錬処理の終了までの処理間に、溶鋼2に添加した副原料(フラックス、造滓剤、各種溶媒剤を含む)や金属類等に含まれるMgO量が溶鋼1t当たりにつき330g以下としている。
このように、転炉1から溶鋼2を出鋼してから二次精錬処理の終了までの処理間に、溶鋼2にMgO量を330g/tにすることによって製造後の鋼中の非金属介在物中に占めるMgOの比率を3.0%以下にすることができる。特許第3673409号に示されているように、非金属介在物中に占めるMgOの比率を3.0%以下にすることによって、延線工程における断線を防止することができる。より好ましくは、非金属介在物中に占めるMgOの比率を2.5%以下にすることによって、延線工程における断線を防止をさらに向上させることができる。
即ち、鋼中に存在するMgO系非金属介在物[主としてMgOを含有する介在物であって、MgO・Al23スピネル介在物、MgOペリクレース介在物、これらの晶出物を含む] は伸線工程における断線原因となる。そのため、MgO系介在物を極力低減することが極めて重要である。特に、上述したように、介在物中のMgO濃度を3.0%以下にすることが有効である。より好ましくは、介在物中のMgO濃度を2.5%以下にすることが有効である。なお、投入するMgO量が330gを超えると、介在物中のMgO濃度が3.0%を越え、伸線時の断線起点となる虞がある。
[転炉における脱炭処理での溶銑、CaO量、MgO量について]
本発明では、上述したように、転炉から二次精錬までの処理の際にMgO量を制御することとしているが、転炉1において脱炭処理を行うに際しては、当該転炉1へ装入する溶銑2の[P]を0.040%以下(質量%)としている。
製造後の鋼材における[P]は、0.025質量%以下としており、脱炭処理の段階において除去される[P]を考慮すると、脱炭処理の際に転炉1に装入する溶銑2の[P]を0.040%以下にする必要がある。転炉1における脱炭処理は、上述した化学成分([C]=0.4〜1.0質量%)を満たすように当業者常法通りに処理を行うこととしている。なお、以下、脱炭処理での精錬について説明しているが、溶湯2の評価については、後述するように、[P]に着目して説明を行う。
転炉1に装入する溶銑2の[P]が0.040%よりも大きい場合は、後述する副原料の投入量や上底吹条件では溶銑(溶鋼)への必要な滓化化が不十分となるため、所望の[P]が得られないことがある。
また、転炉1内へ供給するCaO量を原単位で12.0〜21.0kg/tとし、転炉1内へ供給するMgO量を溶鋼1t当たり100〜1500gとしている。
このように、転炉1内へ供給するCaO量を原単位で12.0kg/t以上であれば、転炉1での吹錬後におけるスラグ中のMgO濃度を希釈することができ、その結果、溶湯(溶鋼)内のMgO濃度の増加を抑えることができる。一方で、転炉1内へ供給するCaO量を21.0kg/tよりも多くすると、スラグ中のMgO濃度を希釈することができるものの、転炉1内に未滓化のCaOが残存するだけであり、脱りん効率が低下することになる。
転炉1内へ供給するMgO量を溶鋼1t当たり100g未満であれば、MgO量が少なすぎるために、逆に、吹錬時に耐火物が溶損して耐火物から溶け出したMgOがスラグ内に易くなり、スラグのMgO濃度を増加させてしまうことになる。スラグのMgO濃度が増加すると、スラグと溶湯(溶鋼)2とのスラグメタル反応により溶鋼2のMgO濃度が増加し、最終的には、非金属介在物中に占めるMgOの割合を増加させてしまうことになる。また、全くMgOを溶鋼2に添加しなければ、耐火物の溶損を早めてしまうということにもなるため、このような観点から、ある程度のMgOは添加しなければならない。
また、転炉1内へ供給するMgO量を溶鋼1t当たり1500gよりも多くすると、耐火物の影響によるスラグ内のMgO濃度の増加を抑えたり耐火物の溶損を遅らすことができるものの、吹錬後のスラグ中のMgO濃度が飽和MgO濃度を超えてしまい、最終的に、MgO濃度を増加させてしまうことになる。
したがって、上述したように、溶鋼2内のMgO濃度は可及的に抑えることが望ましいが、一方で、MgOを全く添加しないと耐火物の溶損を早めたり、耐火物からのMgOの溶け出しによりMgO濃度を増加させてしまうといったことが発生するため、これらのバランスを考慮して、転炉1内(溶鋼内)へ供給するMgO量を溶鋼1t当たり100〜1500gとしている。
さて、転炉1における吹錬(脱炭処理における吹錬)において、図2に示すように、上吹きランス4から酸素を吹き付ける上吹きでは、吹錬時間の全期間に対して、第1上吹き区間Aと、第2上吹き区間Bとの2つの区間に分けて吹錬を行っている。また、羽口6から不活性ガスを溶銑2に吹き込む底吹きでは、上吹きとは異なり、吹錬時間の全期間を通して同じ条件で吹錬を行っている。
以下、上吹き及び底吹きについて説明する。
[上吹きについて]
図2に示すように、上吹きにおいては、吹錬時間の全期間(0〜100%)のうち、吹錬開始から60%〜80%の時間が経過する第1上吹き区間Aでは、式(1)を満たすように酸素を吹き、第1上吹き区間Aの経過後から吹錬を終了させるまでの第2上吹き区間Bでは、式(2)を満たすように酸素を吹いている。
なお、図2では、第1上吹き区間Aのうち吹錬開始から60%の時間が経過する第1上吹き区間A1を実線で示し、この第1上吹き区間A1終了後の第2上吹き区間B1を実線で示している。同図破線に示すように、転炉吹錬では、第1上吹き区間Aは、吹錬開始から80%経過するまで延長可能である。
Figure 0005398329
式(1)及び式(2)において、Lは、吹錬時、即ち、上吹きランス4から溶湯2に向けて酸素を吹き込んだ際の溶湯2の凹み深さであり、L0は、非吹錬時、即ち、上吹きランス4から溶湯2に向けて酸素を吹き込んでない状態での浴深さである。L及びL0は、「鉄冶金反応工学」[改訂新版]2版 瀬川清著 日刊工業新聞刊90頁 図5.4に基づいている。溶湯2の凹み深さLと、上吹きランス4から酸素を吹き込んだ際の酸素流量との関係は、式(3)で求められる。この式(3)は、「鉄冶金反応工学」[改訂新版]2版 瀬川清著 日刊工業新聞刊94頁(5.5)に記載されている一般的な式である。
Figure 0005398329
なお、式(3)で示されるノズル係数kは、特許第2736555号公報の図10を用いて上吹きランス4のノズル孔角度と、ノズル孔数との関係から求めた。ただし、ノズル係数kは、ノズル孔の個数に対応して、特許第2736555号公報の図10を用いて求めた。L0は、特公平4−81734等に開示されたマイクロ波レベル計を用いて、空炉での炉底高さ及び溶湯2装入後の湯面高さを測定して、その差で浴深さを求めた。
図2に示すように、第1上吹き区間Aにおいては、第2上吹き区間Bに比べ、L/L0が大きいハードブローにすることによって、スラグに適度な酸素を供給できて脱りんを促進することができる。さらに、第1上吹き区間Aにおいてハードブローすることにより、スラグへの熱供給が適正化されて熱による耐火物の溶損を抑えることができ、スラグ中のMgO濃度の増加を抑制することができる。以降、説明の便宜上、第1上吹き区間Aのことをハードブロー区間ということがある。
ここで、吹錬開始から60%に達する前にハードブローを停止すると、スラグに酸素が非常に多く供給されてスラグへの熱供給が過剰となり、転炉1の耐火物の溶損が進行する。そして、耐火物の溶損によって、当該耐火物内のMgOが溶け出してスラグ内のMgO量が増加する。その結果、スラグと溶湯2との反応(スラグメタル反応)によって、溶湯2内のMgO量が増加し、溶湯2内のMgO濃度を所望のものにすることができない。言い換えれば、ハードブローを吹錬開始から60%に達する前に終了してしまうと、上述したように、耐火物等から供給されるMgO濃度が増加して所望のMgO濃度とならない。
一方で、吹錬開始から80%を超えてハードブローを継続して当該ハードブローを長くしてしまうと、スラグに過剰な酸素が供給されないのでスラグの温度が適正に保たれて、MgOの濃度を低下させることができるものの、スラグへの酸素の供給が不十分となり、スラグの酸化度が低下して脱りん効率が低下し、その結果、所望の[P]を達成することができない。
式(1)によって第1上吹き区間A(ハードブロー区間)での上吹きの強さを規定している。ハードブロー区間において、L/L0が0.29未満であって、式(1)を満たさない場合は、上吹きの強さが弱過ぎるため、溶湯2に十分に酸素が供給されないと共に、溶湯2の攪拌が不十分となる。その結果、スラグへの熱供給が過剰となり、耐火物からMgOがスラグへ溶け出す(インプットする)ことになるため、上述したように、最終的には、溶湯2のMgO濃度が増加して所望のMgO濃度とならない。
また、ハードブロー区間において、L/L0が0.41を超えて、式(1)を満たさない場合は、上吹きの強さが強過ぎるため、溶湯2の攪拌が過剰となり、スラグが溶湯2に巻き込むことにより、スラグ内のMgOが溶湯2に溶け出すために、溶湯2のMgO濃度が増加して所望のMgO濃度とならない。
したがって、ハードブロー区間(第1上吹き区間A)において、上吹きの強さは式(1)を満たすようにすることが必要である。上吹きの強さは、溶湯2の凹み深さLの調整により制御しており、当該溶湯2の凹み深さLの調整は、上吹きランス4の酸素流量の増減、ランス高さの変更で行う。なお、溶湯2の凹み深さLの調整にあたっては、上吹きランス4の酸素流量の増減とランス高さの変更との両方を行ってもよいし、いずれか一方で行ってもよい。
図2に示すように、第2上吹き区間Bにおいては、第1上吹き区間Aに比べ、L/L0が小さいソフトブローにすることによって、スラグに酸素を十分に供給すると共に、スラグの滓化を促進して、脱りん効率を向上させることができる。以降、説明の便宜上、第2上吹き区間Bのことをソフトブロー区間ということがある。
ここで、吹錬開始から60%に達する前にハードブローを停止してソフトブローを開始してしまうと、上述した理由により、所望のMgO濃度とすることができない。
上吹きにおいて、吹錬開始から80%を超えてハードブローを長く継続した後に遅いタイミングでソフトブローの開始をすると、スラグへの酸素の供給が不十分で脱りん処理が遅れるということになり、結果的に、所望の[P]を達成することができない。
式(2)によって第2上吹き区間B(ソフトブロー区間)での上吹きの強さを規定している。ソフトブロー区間において、L/L0が0.13未満であって、式(2)を満たさない場合は、上吹きの強さが弱過ぎるため、溶湯2に十分に酸素が供給されないと共に、溶湯2の攪拌が不十分となる。その結果、スラグへの熱供給が過剰となり、耐火物からMgOがスラグへ溶け出す(インプットする)ことになるため、溶湯2のMgO濃度が増加して所望のMgO濃度とならない。
また、ソフトブロー区間において、L/L0が0.20を超えて、式(2)を満たさない場合は、上吹きの強さが強過ぎるため、スラグに過剰な酸素が供給されないのでスラグの温度が適正に保たれて、MgOの濃度を低下させることができるものの、スラグへの酸素の供給が不十分となり、スラグの酸化度が低下して脱りん効率が低下し、その結果、所望の[P]を達成することができない。
以上のように、上吹きによる吹錬においては、MgO濃度の抑制(MgO濃度が増加することの防止)する点と、脱りん効率を低下させずに脱りん処理を行う点とのバランスを考慮すると、ハードブローは吹錬開始から60%〜80%の範囲であることが必要であり、ソフトブローは、ハードブロー後に引き続いて行うことが必要である。
さらに、ハードブロー区間(第1上吹き区間A)では式(1)を満たすように、酸素を吹き込み、ソフトブロー区間では式(2)を満たすように酸素を吹く必要がある。
[底吹きについて]
図2に示すように、底吹きにおいては、吹錬開始から吹錬終了まで一定の割合で底吹きガスを吹くことによって、主に、溶湯2の攪拌を一定とすることでスラグメタル反応を安定化させ、耐火物からの溶け出しによるMgO濃度の増加を抑えている。
具体的には、底吹きにおいては、0.045〜0.075Nm3/分/ton且つ0.040〜0.064Nm3/分/mm2を満たすように底吹きのガスを吹いている。本発明では、底吹きのガスの設定にあたっては、上述したように、1分当たりの原単位(線速度による動力分として1分当たりの原単位)と、羽口6の開口面積当たりの流量(線速度による動力分として底吹きの羽口6の開口面積当たりの流量)とによって規定している。
1分当たりの原単位として底吹きのガスの量が、0.045Nm3/分/ton未満であると、攪拌が弱過ぎて当該攪拌によりスラグが移動し難いことから、上吹きランス4からの酸素が溶湯2よりもスラグに比較的多く供給されることになる。ゆえに、スラグへの熱供給が過剰となり、耐火物の溶損によるMgOの溶け出しによって、スラグのMgO量が増加し、その結果、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまう。
一方で、底吹きのガスの量が、0.075Nm3/分/tonよりも超えると、攪拌が強過ぎて当該攪拌によりスラグが過剰に移動してしまい、上吹きランス4からの酸素がスラグに供給されずに比較的多く溶湯2に供給されることになる。ゆえに、スラグの酸化度が低下するために、脱りん効率が低下し、その結果、所望の[P]を達成することができない。
羽口6の開口面積当たりの流量として規定した底吹きのガスが、0.040Nm3/分/ton未満であると、攪拌が弱過ぎるため、耐火物の溶損が進み、耐火物からのMgOの溶け出しによって、スラグのMgO量が増加し、その結果、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまう。
一方で、底吹きのガスが、0.064Nm3/分/mm2よりも超えると、スラグの酸化度が低下するために、脱りん効率が低下し、その結果、所望の[P]を達成することができない。
底吹きによる吹錬においては、MgO濃度の抑制(MgO濃度が増加することの防止)する点と、脱りん効率を低下させずに脱りん処理を行う点とのバランスを考慮し、底吹きに関して、そのガス量を0.045〜0.075Nm3/分/ton且つ0.040〜0.064Nm3/分/mm2を満たすように設定している。
上述したように、本発明では、転炉から二次精錬までのMgO量を設定したり、転炉における脱炭処理での溶銑の[P]やCaO量、MgO量を設定したり、精錬における上吹きや底吹きを工夫することによって、溶湯2内のMgO濃度を抑制している。さらに、本発明では、上述した条件に加えて、二次精錬、即ち、取鍋精錬でのフラックスを下記のようにすることにより、溶湯2内のMgO濃度の低減化を図っている。
[フラックスの組成について]
二次精錬処理における取鍋精錬では、溶湯2(溶鋼)に添加するフラックスの組成を、CaO=30〜55質量%、SiO2=40〜60質量%、Al23=3.0質量%以下、MgO=0.1〜0.95質量%、CaO/SiO2=0.6〜1.2を満たすものとしている。
フラックス中のCaO濃度が30%未満であると、フラックスの投入により生成されたスラグの塩基度(CaO/SiO2)が低い状態となる。このように塩基度が低い状態ではMgOの溶解度が高くなるという傾向があり、MgOの溶解度が高くなると、耐火物の溶損が促進されることになる。その結果、耐火物からスラグへ溶出するMgO量が増加してスラグ中のMgO量が増加し、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまうことになる。
一方、フラックス中のCaO濃度が55%を超えると、スラグの融点が高くなる。そのため、取鍋精錬時に、スラグを溶融させるための加熱量を多くしなければならず、スラグ自体の温度が上昇してしまう。スラグの温度が上昇することに伴い、耐火物との反応が促進され、耐火物からスラグへ溶出するMgOが増加する。その結果、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまうことになる。
フラックス中のSiO2濃度が40%未満であると、スラグの融点が高くなる。そのため、取鍋精錬時に、スラグを溶融させるための加熱量を多くしなければならず、スラグ自体の温度が上昇してしまう。スラグの温度が上昇することに伴い、耐火物との反応が促進され、耐火物からスラグへ溶出するMgOが増加し、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまうことになる。
一方、フラックス中のSiO2濃度が60%を超えると、スラグの塩基度(CaO/SiO2)が低くなるため、塩基度との関係からMgOの溶解度が上昇することになる。このため、耐火物の溶損が促進されてしまうことにより、耐火物からスラグへ溶出するMgO量が増加してスラグ中のMgO量が増加し、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまうことになる。
フラックス中のAl23が3.0質量%より大きいと、スラグの融点が高くなってしまい、スラグの温度が上昇してしまう。このため、スラグと耐火物との反応が促進されてしまい、耐火物からスラグへ溶出するMgOが増加し、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまうことになる。
フラックス中のMgO濃度が0.95%を超えると、スラグのMgO量が多いことになり、その結果、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまうことになる。
フラックス中のMgO濃度が0.1%未満であると、スラグのMgO量が少ないことになり、取鍋の耐火物の溶損が促進されてしまい、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまうことになる。
フラックスのCaOが30〜55質量%であり、フラックス中のSiO2が40〜60質量%であっても、CaO/SiO2が0.6未満であると、耐火物の溶損が促進されることにより、耐火物からスラグへ溶出するMgO量が増加してスラグ中のMgO量が増加し、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまうことになる。
一方で、CaO/SiO2が1.2を超えると、スラグの融点が高くなる。そのため、取鍋精錬時に、スラグを溶融させるための加熱量を多くしなければならず、スラグ自体の温度が上昇してしまう。スラグの温度が上昇することに伴い、耐火物との反応が促進され、耐火物からスラグへ溶出するMgOが増加する。その結果、スラグ中のMgO量が増加し、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまうことになる。
[フラックスの大きさについて]
取鍋精錬時に溶湯2に添加するフラックスの大きさは、次のものとしている。取鍋精錬において粒度が15mm以下となるものが95質量%以上含むフラックスを溶湯2に添加することとしている。つまり、粒度が15mm以下となっている粒の占める割合が、質量%で全体の95%以上であるフラックスを添加するものとしている。なお、残りのフラックスの粒度は最大でも50mm以下である。また、フラックスの粒度は、使用前のフラックスを篩にかけて選別することにより決定した。
添加するフラックスにおいて、その粒度が15mmよりも超えるものが5質量%以上あると、フラックスの溶融性が悪くなるため、取鍋精錬時にフラックスを溶融させるために加熱量を多くしなければならない。これにより、スラグの温度が上昇してしまい、耐火物との反応が促進され、耐火物からスラグへ溶出するMgOが増加する。その結果、スラグ中のMgO量が増加し、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまうことになる。
[スラグ量について]
取鍋精錬時におけるスラグ量を14〜21kg/tとしている。ここで、取鍋精錬では実質的にスラグに対して外乱の影響を与えない取鍋(地金等の付着物の少ない取鍋)を使用しているためフラックス投入量=スラグ量(投入したフラックスの量と生成したスラグ量とが同じ)として制御している。即ち、取鍋精錬に使用する取鍋においては、転炉にて溶鋼を受鋼する前に、例えば、内部に残存するスラグを除去しておく。また、転炉の出鋼時には、例えば、取鍋の内部にスラグが出来る限り流入しないように出鋼作業を行う。また、出鋼後に取鍋内のスラグを除去するようにしてもよい。これらの作業を少なくとも1つ以上行うことによって、取鍋精錬時には、前チャージにおけるスラグが取鍋精錬に影響の無いようにしている。なお、これらの作業は、当業者常法通りに行うものとする。
取鍋精錬時でのスラグ量が14kg/tよりも少ない場合、スラグ中のMgO量が少ないため、耐火物からスラグへ溶出するMgOが増加し、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまうことになる。
スラグ量が21kg/tよりも多い場合、スラグの溶融性が悪くなるため、取鍋精錬時にフラックスを溶融させるために加熱量を多くしなければならない。これにより、スラグの温度が上昇していまい、且つ、スラグの厚みも大となるため耐火物の溶損を促進するということになり、その結果、溶湯2内のMgO濃度を増加させてしまうことになる。
表1は、転炉1にて吹錬を行った後、二次精錬及び連続鋳造装置の下工程にて高強度鋼線用鋼を製造した実施条件を示している。表2〜表13は、表1の実施条件に基づき、本発明の高強度鋼線用鋼の製造方法により製造を行った実施例と、本発明とは異なる方法により製造を行った比較例をまとめたものである。
詳しくは、表2〜表5は、実施例及び比較例における鋼材の化学成分を示したものであり、表6〜表9は、実施例及び比較例における実施内容(実験条件)を示したものであり、表10〜表10は、実施例及び比較例における実施結果を示したものである。
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実施条件について詳しく説明する。
表1に示すように、転炉吹錬は、100tonクラスの転炉1にて行った。上吹きにおいては、孔数が6個、孔直径が28.4mm、孔角度が12であるノズルを用いた。底吹きにおいては、吹き込みガスをCOガスとし、羽口6はガスを吹き込む吹き込み口(開口部分)がリング状となる一層環状管とした。羽口6の個数は4個、開口面積は合計で103.2mm2である。
転炉1に装入した溶銑において、[C]=3.8〜4.2質量%、[S]=0.010〜0.045質量%である。なお、[P]については、上述した通りである。
副原料について、CaO源として、CaO=94〜98質量%の成分からなる焼石灰を使用し、CaO装入原単位の計算は、焼石灰投入量×副原料中CaO濃度を鋼1トン当たりで計算して求めた。
また、1次精錬時(転炉精錬)でのMgO源としては、MgO=32〜36質量%、SiO2=0.1〜1.0質量%、CaO=51〜62質量%の成分からなる軽焼ドロマイトを使用した。MgO量の算出は、軽焼ドロマイト投入量×副原料中MgO濃度を鋼1トン当たりで計算して求めた。
さらに、出鋼から2次精錬までのMgO源としては、上述した精錬用フラックス(上記の実施形態に記載したフラックス)を使用した。MgO量の算出は、精錬用フラックス投入量×副原料中MgO濃度を鋼1トン当たりで計算して求めた。取鍋の耐火物は、MgO-C系のものである。
一次精錬(転炉精錬)及びニ次精錬においての操業は、表1に示すように当業者常法の方法に基づいて行った。また、二次精錬後の連続鋳造や圧延の操業においても、当業者常法の方法に基づいて行った。
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実施例及び比較例において、1次精錬後の溶鋼の[P]は、製造後の[P]≦0.025%であるため、これを満たしているものを、良好「○」、満たしていないものを不良「×」とした。
また、鋼中の非金属介在物に占めるMgOの比率を3.0%以下に抑制することが有効であることから、最終的に線材としたときの非金属介在物に占めるMgOの比率を調査し、その値が3.0%以下のものを良好「○」とし、満たしていないものを不良「×」とした。
1次精錬後のスラグのMgO濃度が6.0%以下であるものを良好「○」とし、満たしていないものを不良「×」とした。2次精錬後のスラグのMgO濃度が8.0%以下であるものを良好「○」とし、満たしていないものを不良「×」とした。
実施例の実験番号1〜実験番号30では、転炉1へ装入する溶銑2の[P]を0.040質量%以下とし(溶銑[P]濃度の欄)、転炉1内へ供給するCaO量を原単位で12.0〜21.0kg/tとし(CaO装入原単位の欄)とし、転炉1内へ供給するMgO量を溶鋼1t当たり100〜1500gとしている(1次精錬時副原料MgO量の欄)。
表を用いて実施例の実験番号1〜実験番号30について説明する。
この実施例では、吹錬時でのハードブローの区間を吹錬開始から60%〜80%の時間が経過するものとし(ハードブローの時間割合の欄)、ハードブローでのL/LOを0.29〜0.41としている(ハードブローのL/LOの欄)。実施例では、吹錬時でのソフトブローの区間を吹錬開始から60%〜80%を経過した後に行うものとし(ソフトブローの時間割合の欄)、ソフトブローでのL/LOを0.13〜0.20としている(ソフトブローのL/LOの欄)。
また、実施例では、吹錬開始から吹錬終了まで、底吹きのガスを0.045〜0.075Nm3/分/tonとする(底吹き流量原単位の欄)と共に、0.040〜0.064Nm3/分/mm2としている(底吹き開口面積当たりの流量の欄)。実施例の実験番号1〜実験番号30では、出鋼時から二次精錬処理までの溶鋼2へ添加するMgOの量を、溶鋼1t当たり330g以下としている(出鋼・2次精錬時副原料MgO量の欄)。
実施例では、取鍋精錬の際に、CaO=30〜55質量%、SiO2=40〜60質量%、Al23=3.0質量%以下、MgO=0.1〜0.95質量%、CaO/SiO2=0.6〜1.2を満たすフラックスを使用すると共に、CaO/SiO2が0.6〜1.2の範囲に入るものを使用している(取鍋精錬用のフラックスの欄)。実施例では、取鍋精錬の際に、粒度が15mm以下となるものが95%以上含むフラックスを使用した(取鍋精錬用のフラックスの欄において、「粒度≦15mm以上の質量%」が95.0以上)。
さらに、実施例では、取鍋精錬におけるスラグ量は14〜21kg/tの範囲としている。
上述した実施例のように、本発明の転炉吹錬時の全ての条件を満たしていれば、1次精錬後のスラグのMgO濃度を6.0%以下にすることができると共に、2次精錬後のスラグのMgO濃度を7.0%以下にすることができる(評価「○」)。さらには、[P]について、鋳造前の最終成分(製造後の成分と同じ)を0.025%以下にすることができ、製造後(製品)における介在物中のMgO濃度を3.0%よりも低く、より良くなる2.5%以下にすることができる(評価「○」)。
比較例の実験番号31〜実験番号32では、転炉1内へ供給するCaO量の原単位が本発明の条件を満たしておらず多いために、転炉1にて十分に脱りんが行えず、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号33〜実験番号34では、転炉1内へ供給するCaO量の原単位が本発明の条件を満たしておらず少ないために、スラグ内のMgO量を希釈できずに、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号35〜実験番号38では、転炉1内へ供給するMgO量が本発明の条件を満たしていないために、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号39〜実験番号40では、ハードブロー区間の時間割合が本発明の条件を満たしておらず長いため、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。比較例の実験番号41〜実験番号42では、ハードブロー区間の時間割合が本発明の条件を満たしておらず短いため、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。また、比較例の実験番号39〜実験番号42では、ソフトブロー区間の時間割合も本発明の条件を満たしていないものとなっている。
比較例の実験番号43〜実験番号46では、ハードブロー区間におけるL/LOが本発明の条件を満たしていないため、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号47〜実験番号48では、ソフトブロー区間におけるL/LOが本発明の条件を満たしておらず大きいために、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。比較例の実験番号49〜実験番号50では、ソフトブロー区間におけるL/LOが本発明の条件を満たしておらず小さいために、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。なお、比較例の実験番号47では、ハードブロー区間におけるL/LOも本発明の条件を満たしていない。
比較例の実験番号51〜実験番号52では、底吹きのガス量(流量原単位)が本発明の条件を満たしておらず大きいために、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。比較例の実験番号53〜実験番号54では、底吹きのガス量(流量原単位)が本発明の条件を満たしておらず小さいために、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号55〜実験番号56では、底吹きのガス量(開口面積当たり)が本発明の条件を満たしておらず大きいために、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。比較例の実験番号57〜実験番号58では、底吹きのガス量(開口面積当たり)が本発明の条件を満たしておらず小さいために、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号59〜実験番号60では、取鍋精錬時でのフラックスにおいてCaOの組成が本発明の条件を満たしておらず大きいために、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。比較例の実験番号61〜実験番号62では、取鍋精錬時でのフラックスにおいてCaOの組成が本発明の条件を満たしておらず小さいために、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号63〜実験番号64では、取鍋精錬時でのフラックスにおいてSiO2の組成が本発明の条件を満たしておらず大きいために、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。比較例の実験番号65〜実験番号66では、取鍋精錬時でのフラックスにおいてSiO2の組成が本発明の条件を満たしておらず小さいために、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号67〜実験番号68では、取鍋精錬時でのフラックスにおいてAl23の組成が本発明の条件を満たしておらず大きいために、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号69〜実験番号70では、取鍋精錬時でのフラックスにおいてMgOの組成が本発明の条件を満たしておらず大きいために、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。比較例の実験番号71〜実験番号72では、取鍋精錬時でのフラックスにおいてMgOの組成が本発明の条件を満たしておらず小さいために、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号73〜実験番号74では、取鍋精錬時でのフラックスにおいてCaO/SiO2 の値が本発明の条件を満たしておらず大きいために、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。比較例の実験番号75〜実験番号76では、取鍋精錬時でのフラックスにおいてCaO/SiO2 の値が本発明の条件を満たしておらず小さいために、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号77〜実験番号78では、取鍋精錬において、粒度が15mm以上となるものを95%以上含むフラックスを使用しなかったために、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号79〜実験番号80では、取鍋精錬時におけるスラグ量が多く本発明の条件を満たしていないために、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。比較例の実験番号81〜実験番号82では、取鍋精錬時におけるスラグ量が少なく本発明の条件を満たしていないために、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
上述した 比較例の実験番号39〜実験番号82では、1次精錬後のスラグのMgO濃度が6.0%未満で本発明の条件を満たさず、また、2次精錬後のスラグのMgO濃度が7.0%未満で本発明の条件を満たさないものについては、介在物中のMgO濃度を2.5%以下にすることができなかった(鋼中介在物の評価「×」)。
実施例の実験番号83〜実験番号112に示すように、[Cr]=0.1〜2.0質量%、[Ni]=0.05〜0.50質量%、[V]=0.05〜0.50質量%のいずれかを少なくとも含む場合であっても、本発明の全ての条件「吹錬時でのハードブローを吹錬開始から60%〜80%の時間が経過して行う。ハードブローでのL/LOが0.29〜0.41である。吹錬時でのソフトブローが吹錬開始から60%〜80%を経過した後に行う。ソフトブローでのL/LOが0.13〜0.20である。吹錬開始から吹錬終了まで、底吹きのガスを0.045〜0.075Nm3/分/tonとする。出鋼時から二次精錬処理までの溶鋼2へ添加するMgOの量を、溶鋼1t当たり330g以下とする。二次精錬処理における取鍋精錬において、CaO=30〜55質量%、SiO2=40〜60質量%、Al23=3.0質量%以下、MgO=0.1〜0.95質量%、CaO/SiO2=0.6〜1.2を満たすフラックスを使用する。、また、粒度が15mm以下となるものが95%以上含むフラックスを使用する。スラグ量を14〜21kg/tとする」を満たしていれば、1次精錬後のスラグのMgO濃度を6.0%以下にすることができると共に、2次精錬後のスラグのMgO濃度を7.0%以下にすることができる(評価「○」)。さらには、[P]について、鋳造前の最終成分(製造後の成分と同じ)を0.025%以下にすることができ、製造後(製品)における介在物中のMgO濃度を2.5%以下にすることができる(評価「○」)。これに加えて、耐へたり性も向上することができる。
一方で、[Cr]=0.1〜2.0質量%、[Ni]=0.05〜0.50質量%、[V]=0.05〜0.50質量%のいずれかを少なくとも含む場合でも実験番号113〜実験番号164の比較例においては、以下に示す評価となった。
比較例の実験番号113〜実験番号114では、転炉1内へ供給するCaO量の原単位が本発明の条件を満たしておらず多いために、転炉1にて十分に脱りんが行えず、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号115〜実験番号116では、転炉1内へ供給するCaO量の原単位が本発明の条件を満たしておらず少ないために、スラグ内のMgO量を希釈できずに、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号117〜実験番号120では、転炉1内へ供給するMgO量が本発明の条件を満たしていないために、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号121〜実験番号122では、ハードブロー区間の時間割合が本発明の条件を満たしておらず長いため、[P]を0.025%以下にすることができなかった([P]濃度の評価「×」)。比較例の実験番号123〜実験番号124では、ハードブロー区間の時間割合が本発明の条件を満たしておらず短いため、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。また、比較例の実験番号121〜実験番号124では、ソフトブロー区間の時間割合も本発明の条件を満たしていないものとなっている。
比較例の実験番号125〜実験番号128では、ハードブロー区間におけるL/LOが本発明の条件を満たしていないため、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
比較例の実験番号129〜実験番号132では、ソフトブロー区間におけるL/LOが本発明の条件を満たしていないため、二次精錬後の[P]を0.025%以下にできないと共に、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった。
比較例の実験番号133〜実験番号136では、底吹きのガス量(流量原単位)が本発明の条件を満たしていないため、二次精錬後の[P]を0.025%以下にできないと共に、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった。
比較例の実験番号137〜実験番号140では、底吹きのガス量(開口面積当たり)が本発明の条件を満たしていないために、二次精錬後の[P]を0.025%以下にできないと共に、1次精錬及び2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった。
比較例の実験番号141〜実験番号144では、取鍋精錬時でのフラックスにおいてCaOの組成が本発明の条件を満たしていない。比較例の実験番号145〜実験番号148では、取鍋精錬時でのフラックスにおいてSiO2の組成が本発明の条件を満たしていない。比較例の実験番号149〜実験番号150では、取鍋精錬時でのフラックスにおいてAl23の組成が本発明の条件を満たしていない。また、比較例の実験番号151〜実験番号154では、取鍋精錬時でのフラックスにおいてMgOの組成が本発明の条件を満たしていない。
このように、取鍋精錬時でのフラックスにおいて、CaO、SiO2、Al23、MgOの組成が本発明の条件を満たしていなければ、[Cr]=0.1〜2.0質量%、[Ni]=0.05〜0.50質量%、[V]=0.05〜0.50質量%のいずれかを少なくとも含む場合であっても、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
また、比較例の実験番号155〜実験番号158に示すように、取鍋精錬時でのフラックスにおいてCaO/SiO2 の値が本発明の条件を満たしていない場合、比較例の実験番号159〜実験番号160に示すように、取鍋精錬において、粒度が15mm以上となるものを95%以上含むフラックスを使用しない場合、比較例の実験番号161〜実験番号164に示すように、取鍋精錬時におけるスラグ量が本発明の条件を満たしていない場合は、[Cr]=0.1〜2.0質量%、[Ni]=0.05〜0.50質量%、[V]=0.05〜0.50質量%のいずれかを少なくとも含む鋼材であったとしても、2次精錬でのMgO量を所定以下にすることができなかった(スラグ、MgO濃度の評価「×」)。
表2〜表13の実施例及び比較例において、1次精錬後のスラグのMgO濃度と、2次精錬後のスラグのMgO濃度との関係についてまとめると、図3に示す結果となる。また、上述した表2〜表13の実施例及び比較例において、2次精錬後のスラグのMgO濃度と、介在物中のMgO濃度との関係についてまとめると、図4に示す結果となる。
図3及び図4に示すように、上述した実施例のように、1次精錬後のスラグ中のMgO濃度を6.0質量%以下とし、2次精錬後のスラグ中のMgO量を7.0質量%以下にすることによって、線材中介在物中のMgO濃度を3.0質量%より更に好ましい2.5質量%以下にすることができる。しかも、鋼材中(鋼中)のMg量を、介在物の低減するのに好ましいとされる0.00020質量%以下にすることができ、更に好ましいとされる0.00015質量%以下にすることができる。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 転炉
A 第1上吹き区間
B 第2上吹き区間
C 第1底吹き区間
D 第2底吹き区間

Claims (2)

  1. [C]=0.4〜1.0質量%、[Si]=1.4〜2.2質量%、[Mn]=0.2〜0.9質量%、[Mg]=0.00020質量%以下(0%を含まない)、[Al]=0.00030質量%以下(0%を含まない)、[O]=0.003%以下(0%を含まない)を満たす高強度鋼線用鋼を製造するに際し、
    炉における脱炭処理では、当該転炉へ装入する溶銑の[P]を0.040質量%以下とすると共に、転炉内へ供給するCaO量を原単位で12.0〜21.0kg/tとし、
    さらに、前記転炉内へ供給するMgO量を溶鋼1t当たり100〜1500gとし、
    転炉における吹錬では、
    上吹きに関し、吹錬時間の全期間のうち、吹錬開始から60%〜80%の時間が経過する第1上吹き区間では、式(1)を満たすように上吹きの酸素を吹き、前記第1上吹き区間の経過後から吹錬を終了させるまでの第2上吹き区間では、式(2)を満たすように上吹きの酸素を吹き、
    底吹きに関し、吹錬開始から吹錬終了まで、0.045〜0.075Nm/分/ton且つ0.040〜0.064Nm/分/mmを満たすように底吹きのガスを吹き、
    転炉での出鋼時から二次精錬処理までの工程においては、溶鋼へ添加するMgOの量を、溶鋼1t当たり330g以下とし、
    前記二次精錬処理における取鍋精錬では、CaO=30〜55質量%、SiO=40〜60質量%、Al=3.0質量%以下、MgO=0.1〜0.95質量%、CaO/SiO=0.6〜1.2を満たし、且つ、粒度が15mm以下となるものが95%以上含むフラックスを添加すると共に、取鍋精錬におけるスラグ量を14〜21kg/tとしていることを特徴とする疲労特性に優れた高強度鋼線用鋼の製造方法。
    Figure 0005398329
  2. 前記高強度鋼線用鋼は、[Cr]=0.1〜2.0質量%、[Ni]=0.05〜0.50質量%、[V]=0.05〜0.50質量%のいずれか1成分以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の疲労特性に優れた高強度鋼線用鋼の製造方法。
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