JP2000230062A - 表面にマーキングを施したポリアセタール樹脂成形体 - Google Patents

表面にマーキングを施したポリアセタール樹脂成形体

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JP2000230062A
JP2000230062A JP3393599A JP3393599A JP2000230062A JP 2000230062 A JP2000230062 A JP 2000230062A JP 3393599 A JP3393599 A JP 3393599A JP 3393599 A JP3393599 A JP 3393599A JP 2000230062 A JP2000230062 A JP 2000230062A
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Japan
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acid
polyacetal resin
fatty acid
molded product
alkaline earth
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JP3393599A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Tsukahara
浩 塚原
Masaaki Kondo
正昭 近藤
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザー光を使用し、ポリアセタール樹脂の
表面に鮮明な文字、絵、記号などのマークを付与するレ
ーザーマーキングの手法により良好なマーキングが得ら
れるポリアセタール樹脂成形体を提供する。 【解決手段】 (A)ポリアセタール樹脂100重量部
に対して、(B)2種以上の脂肪酸を混在させて製造さ
れたジ脂肪酸アルカリ土類金属塩0.001〜1.0重
量部、(C)脂肪酸1×10-6〜1×10-1重量部、及
び(F)波長1.06μm(=1064nm)に吸収波
長を有する物質からなる組成物の成形体表面の一部に、
レーザー光を照射し、照射前の成形体の色調と異なる色
調にマーキングさせてなるポリアセタール樹脂成形体、
更に(D)脂肪酸ジエステル化合物、(E)脂肪酸モノ
エステル化合物、及び(G)顔料を添加してなる組成物
のポリアセタール樹脂成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光を使用
し、ポリアセタール樹脂の表面に鮮明な文字、絵、記号
などのマークを付与するレーザーマーキングの手法によ
り良好なマーキングが得られるポリアセタール樹脂成形
体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリアセタール樹脂は機械的強度、耐薬
品性及び摺動性などのバランスに優れ、且つその加工性
が容易であることから、代表的エンジニアリングプラス
チックスとして、電気機器や電気機器の機構部品、自動
車部品及びその他の機構部品を中心に広範囲に亘って用
いられている。ポリアセタール樹脂は近年、その利用分
野が拡大するに伴い表面に鮮明な文字、絵、記号などの
マークが付与された成形体に用途が広がってきている。
従来、表面にマーキングを施す手法として、スクリーン
印刷、パッド印刷、ホットスタンピング等の方法があ
る。これらは、樹脂表面にインク、箔などを付着させる
方法で、その樹脂との密着性、耐摩耗性、耐久性等の要
求特性を満足させることが難しい。
【0003】その問題を解決するため、熱可塑性樹脂に
レーザーを照射しマーキングを行う方法がある。例え
ば、特公昭61−11771号公報では、プラスチック
に充填剤としてカーボンブラック又はグラファイトを混
合しエネルギー線に曝す製造方法が開示されている。ま
た、特公昭62−59663号公報では、エネルギー線
を作用させた際に変色可能の充填剤をプラスチックに混
合しエネルギー線に曝すたプラスチック製キー部材の製
造方法が、特開昭61−192737号公報では、放射
に敏感で、変色を惹起する添加物質を含有する高分子有
機物質のマーキング方法が、特開平5−92657号公
報では、カーボンブラックを含有する熱可塑性樹脂組成
物からなる成形品の表面にレーザーを照射してマーキン
グを行うレーザーマーキング方法が、特開平6−297
828号公報では、変色又は脱色する添加物と、レーザ
ー光の影響を受けにくい有機顔料・染料とを併せて含有
する熱可塑性樹脂組成物成形品の表面にレーザーを照射
してマーキングするレーザーマーキング方法が、特開平
7−165979号公報では、鉱物性黒色顔料と無機系
および/または有機系顔料および/またはポリマー可溶
性染料よりなる合成樹脂成形材料が、特開平9−717
26号公報では、熱可塑性樹脂と金属酸化物よりなる釉
薬と顔料・染料よりなるレーザーマーキング性を有する
樹脂組成物が、開示されている。しかしいずれも、文
字、絵、記号などのマークの鮮明さが不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術で
は困難であった、レーザー光を使用し、ポリアセタール
樹脂の表面に鮮明な文字、絵、記号などのマークを付与
するレーザーマーキングの手法により良好なマーキング
が得られるポリアセタール樹脂成形体を提供することを
目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、ポリアセタール樹
脂(A)に、2種以上の脂肪酸を混在させて製造された
ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)に加えて、更に脂肪
酸(C)、波長1.06μmに吸収波長を有する物質
(F)を加えてなる組成物の成形体が、レーザー光を照
射した際、照射前の成形体の色調と格段に異なる色調に
良好にマーキングされることを見出し、更に下記一般式
(I)で表される脂肪酸ジエステル化合物(D)及び下
記一般式(II)で表される脂肪酸モノエステル化合物
(E)を添加することにより、さらにマーキング性を改
良できる事を見出し、本発明に到達した。
【0006】一般式(I) R1 −COO(R3 O)n−COR2 (R1 、R2 は炭素数9〜35のアルキル基、若しくは
アルケニル基、又は1つの水酸基で置換されている該ア
ルキル基、若しくはアルケニル基で、R1 とR2は同一
であっても異なっていても良く、R3 Oは炭素数2〜6
のアルキレングリコールユニットを表す。また、nは1
〜70を表す。) 一般式(II) R4 −COO(R5 O)m−H (R4 は炭素数9〜35のアルキル基、若しくはアルケ
ニル基、又は1つの水酸基で置換されている該アルキル
基、若しくはアルケニル基であり、R5 Oは炭素数2〜
6のアルキレングリコールユニットを表す。また、mは
1〜70を表す。)
【0007】即ち、本発明は、(1) (A)ポリアセ
タール樹脂100重量部に対して、(B)2種以上の脂
肪酸を混在させて製造されたジ脂肪酸アルカリ土類金属
塩0.001〜1.0重量部、(C)脂肪酸1×10-6
〜1×10-1重量部、及び(F)波長1.06μmに吸
収波長を有する物質からなる組成物の成形体表面の一部
に、レーザー光を照射し、照射前の成形体の色調と異な
る色調にマーキングさせてなるポリアセタール樹脂成形
体、(2) 脂肪酸(C)とジ脂肪酸アルカリ土類金属
塩(B)との重量比がC/B=0.1/100〜10/
100の範囲にある(1)に記載のポリアセタール樹脂
成形体、(3) 脂肪酸(C)が、2種以上の脂肪酸を
併用して用いる(1)または(2)に記載のポリアセタ
ール樹脂成形体、(4) 脂肪酸(C)が、奇数の炭素
数からなる脂肪酸の1種以上と偶数の炭素数からなる脂
肪酸の1種以上との併用であり、奇数の炭素数からなる
脂肪酸の総量(C1)と偶数の炭素数からなる脂肪酸の
総量(C2)との重量比が、C1/C2=0.1/9
9.9〜99.9/0.1の範囲にある(1)、(2)
または(3)に記載のポリアセタール樹脂成形体、
(5) 脂肪酸(C)に用いられる脂肪酸が、ジ脂肪酸
アルカリ土類金属塩(B)の製造に用いられた脂肪酸の
少なくとも1種である(1)、(2)、(3)または
(4)に記載のポリアセタール樹脂成形体、(6) ジ
脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)の製造に用いられる脂
肪酸が、炭素数が奇数である脂肪酸の1種以上と炭素数
が偶数である脂肪酸の1種以上との併用であり、炭素数
が偶数である脂肪酸の総量(B1)と炭素数が奇数であ
る脂肪酸の総量(B2)との重量比が、B1/B2=
0.1/99.9〜99.9/0.1の範囲にある
(1)、(2)、(3)、(4)または(5)に記載の
ポリアセタール樹脂成形体、(7) ジ脂肪酸アルカリ
土類金属塩(B)が、金属成分がカルシウムであり、該
ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)の製造に用いられる
脂肪酸が、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、
ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステ
アリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸の中か
ら選ばれる2種以上である(1)、(2)、(3)、
(4)、(5)または(6)に記載のポリアセタール樹
脂成形体、(8) (1)記載のポリアセタール樹脂組
成物に、(D)下記一般式(I)で表される脂肪酸ジエ
ステル化合物及び(E)下記一般式(II)で表される
脂肪酸モノエステル化合物を添加してなるポリアセター
ル樹脂成形体、 一般式(I) R1 −COO(R3 O)n−COR2 (R1 、R2 は炭素数9〜35のアルキル基、若しくは
アルケニル基、又は1つの水酸基で置換されている該ア
ルキル基、若しくはアルケニル基で、R1 とR2は同一
であっても異なっていても良く、R3 Oは炭素数2〜6
のアルキレングリコールユニットを表す。また、nは1
〜70を表す。) 一般式(II) R4 −COO(R5 O)m−H (R4 は炭素数9〜35のアルキル基、若しくはアルケ
ニル基、又は1つの水酸基で置換されている該アルキル
基、若しくはアルケニル基であり、R5 Oは炭素数2〜
6のアルキレングリコールユニットを表す。また、mは
1〜70を表す。) (9) 該脂肪酸ジエステル化合物(D)及び脂肪酸モ
ノエステル化合物(E)のトータル添加量が、ポリアセ
タール樹脂100重量部に対して、0.005〜3.0
重量部であって、該脂肪酸ジエステル化合物(D)と脂
肪酸モノエステル化合物(E)の重量比が、(D)/
(E)=99.9/0.1〜0.1/99.9である
(8)に記載のポリアセタール樹脂成形体、(10)
該波長1.06μmに吸収波長を有する物質(D)が、
カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、酸化チタン
のうち少なくとも1種の無機物質である(1)、
(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、
(8)または(9)に記載のポリアセタール樹脂成形
体、(11) 該波長1.06μmに吸収波長を有する
物質(F)のトータル添加量が、ポリアセタール樹脂1
00重量部に対して、0.0005〜3.0重量部であ
る(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、
(7)、(8)、(9)または(10)に記載のポリア
セタール樹脂成形体、(12) (1)、(2)、
(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、
(9)、(10)または(11)に記載のポリアセター
ル樹脂組成物に、更に顔料(G)を添加してなるポリア
セタール樹脂成形体、(13) 顔料(G)が、硫化亜
鉛、塩素性炭素鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性珪酸鉛、金属
硫化物からなる無機顔料、又はアゾ系、アゾメチン系、
メチン系、インダンスロン系、アントラキノン系、ピラ
ンスロン系、フラバンスロン系、ベンゼンスロン系、フ
タロシアニン系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジ
ン系、チオインジゴ系、イソインドリン系、イソインド
リノン系、キナクリドン系、ピルールピロール系、キノ
フタロン系の有機顔料の中から選ばれる少なくとも1種
の顔料である(11)に記載のポリアセタール樹脂成形
体、(14) 該顔料(G)のトータル添加量が、ポリ
アセタール樹脂100重量部に対して、0.005〜
5.0重量部である(12)に記載のポリアセタール樹
脂成形体、(15) レーザー光として、波長1.06
μmのNd3+/YAGレーザーを使用し、照射前の成形
体表面の一部に、成形体表面の色調と異なる色調にマー
キングさせてなる(1)、(2)、(3)、(4)、
(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、
(11)、(12)、(13)または(14)に記載の
ポリアセタール樹脂成形体、(16) 成形体が、光及
び光磁気ディスクカートリッジシャッター、キートッ
プ、キーボード、スキービンディング、メーター文字
車、ディスポーザルライター、トランクオープナー、フ
ューエルオープナー、バックル、ファスナー、コールド
ファスナー、プラホック、手摺りの中から選ばれる少な
くとも1種の成形体である(1)、(2)、(3)、
(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)、
(10)、(11)、(12)、(13)、(14)ま
たは(15)に記載のポリアセタール樹脂成形体、であ
る。
【0008】本発明は、ポリアセタール樹脂(A)に、
2種以上の脂肪酸を混在させて製造されたジ脂肪酸アル
カリ土類金属塩(B)、特定量の脂肪酸(C)、および
波長1.06μmに吸収波長を有する物質(F)を配合
することで、レーザー光を照射した際、照射前の成形体
の色調と格段に異なる色調にマーキングされることを見
出した。又、脂肪酸ジエステル化合物(D)及び脂肪酸
モノエステル化合物(E)を更に配合する事により、さ
らにマーキング性を改良できることを見出し、本発明を
完成したものである。
【0009】以下、本発明の構成について詳しく説明す
る。本発明でいうポリアセタール樹脂(A)としては、
ホルムアルデヒド単量体、またはその3量体(トリオキ
サン)もしくは4量体(テトラオキサン)等の環状オリ
ゴマーを原料として製造された、実質的にオキシメチレ
ン単位からなるオキシメチレンホモポリマーに末端安定
化を行って得られたポリオキシメチレンホモポリマー、
ならびに上記原料と、エチレンオキシド、プロピレンオ
キシド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソラン、
1,4−ブタンジオール、グリコールのホルマールや、
ジグリコールのホルマール等の環状ホルマール等のコモ
ノマーから製造された、炭素数2〜8のオキシアルキレ
ン単位を0.1〜20重量%含有する、オキシメチレン
−オキシアルキレンコポリマーを末端安定化処理を行っ
て得られたポリオキシメチレンコポリマーを挙げること
ができる。
【0010】また、本発明におけるポリアセタール樹脂
は、分岐した構造の分子鎖よりなるオキシメチレン−オ
キシアルキレンコポリマーでもよいし、またポリオキシ
メチレン(POM)ブロックを50重量%以上とオキシ
メチレンの繰り返し単位を50重量%以上含むPOMと
は異なるポリマーブロック50重量%以下とからなるオ
キシメチレン系ブロックコポリマーであってもよい。好
ましくは、コモノマーに1,3−ジオキソランを使用し
て製造されたオキシメチレン−オキシアルキレンからな
るポリオキシメチレンコポリマーである。
【0011】本発明において用いることができるポリア
セタール樹脂の製造方法は特に限定するものではなく、
例えば米国特許第2998409号明細書などの、従来
公知の方法によって製造することができる。例えば、共
重合の場合には、トリオキサン及びコモノマーである環
状エーテルを共重合し、得られたポリマーを2軸押し出
し機等によって処理し、末端安定化することで得ること
ができる。重合方法は塊状重合で行われ、バッチ式、連
続式の何れの方法によっても可能である。バッチ式重合
装置としては、一般に攪拌機付きの反応槽が使用でき
る。また連続式としては、コニーダー、2軸スクリュー
式連続押出し混練機、2軸パドル型連続混合機等のセル
フクリーニング型混合機が使用できる。重合条件は、常
圧下で60℃〜200℃の温度範囲で行われる。
【0012】重合触媒は、一般に三弗化硼素、三弗化硼
素水和物及び酸素原子または硫黄原子を含む有機化合物
と三弗化硼素との配位錯化合物が用いられ、ガス状また
は適当な有機溶剤の溶液として使用される。得られたポ
リマーは活性な重合触媒を含有しているため、重合触媒
の失活を行うことが望ましい。重合触媒の失活方法は、
塩基性物質を含む水溶液中または有機溶媒中で行われ
る。その他の失活方法としては、塩基性物質を末端安定
化前のポリアセタール樹脂に添加し、押出機を用いて溶
融状態で失活する方法も使用可能である。失活に使用さ
れる塩基性物質としては、ヒンダードアミン、アンモニ
ア、トリエチルアミン及びトリブチルアミン等の窒素化
合物などが挙げられる。
【0013】重合触媒失活後のポリマーの末端安定化処
理方法は、例えば(1)溶融状態のポリマーに塩基性物
質を注入し、ついで混練する工程、及び(2)注入され
た上記塩基性物質の蒸気及び遊離のホルムアルデヒドを
開放する工程、という少なくとも2段階の工程からなる
末端安定化のための操作を連続的に実施できる2軸スク
リュー押出機等によって、溶融したポリアセタール樹脂
から揮発成分を除去することによって、末端安定化する
方法を挙げることができる。上記の塩基性物質として
は、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン
等の窒素化合物が挙げられる。また、塩基性物質と共に
水が共存してもよい。
【0014】本発明でいうジ脂肪酸アルカリ土類金属塩
(B)とは、10〜36個の炭素原子を有し、カルボキ
シル基を1個もつカルボン酸(RCOOH)のうち鎖式
構造を有する脂肪酸の2種以上と、アルカリ土類金属化
合物を混在させて製造したジ脂肪酸アルカリ土類金属塩
(B)である。これらのジ脂肪酸アルカリ土類金属塩
(B)に用いられる金属成分としては、ベリリウム、カ
ルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、アルミニウ
ム、ストロンチウム、ラジウムより選ばれる1種又は2
種以上の併用である。これらの金属の中でもレーザーマ
ーキングの手法によりポリアセタール樹脂の表面により
鮮明な文字、絵、記号などのマークを付与する改良に対
して、特にカルシウムが好ましい。
【0015】また、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)
に用いられる脂肪酸としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪
酸、及びヒドロキシル基で置換されている脂肪酸のいず
れでも良いが、好ましくは飽和脂肪酸が良い。使用され
る脂肪酸としては、カプリン酸、ラウリン酸、トリデシ
ル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、
ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキ
ン酸、ベヘン酸、リグリセリン酸、セロチン酸、モンタ
ン酸、メリシン酸、セロプラスチン酸、ウンデシレン
酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、エルカ
酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン
酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロール酸、
12−ヒドロキシドデカン酸、3−ヒドロキシデカン
酸、16−ヒドロキシヘキサデカン酸、10−ヒドロキ
シヘキサデカン酸、12−ヒドロキシオクタデカン酸、
10−ヒドキシ−8−オクタデカン酸、dl−エリスロ
−9,10−ジヒドロキシオクタデカン酸等が挙げられ
る。これらの脂肪酸の中でも好ましくはラウリン酸、ト
リデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチ
ン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、
アラキン酸、ベヘン酸であり、特に好ましくはパルミチ
ン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸である。
【0016】本発明において用いられるジ脂肪酸アルカ
リ土類金属塩(B)は、2種以上の脂肪酸を混在させて
製造されたものであることが必要である。ジ脂肪酸アル
カリ土類金属塩として、同一種類の脂肪酸からなる金属
塩(例えばジパルミチン酸カルシウム、ジヘプタデシル
酸カルシウム、ジステアリン酸カルシウム等)を2種類
以上混ぜ合わせて用いてもレーザーマーキングの改善効
果は低い。このことから、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩
(B)として、2種以上の脂肪酸を混在させて製造され
たものは、同一種類の脂肪酸からなる金属塩ばかりでな
く、異なる炭素数の脂肪酸からなる金属塩(例えばモノ
パルミチン酸ーモノヘプタデシル酸カルシウム、モノパ
ルミチン酸ーモノステアリン酸カルシウム、モノヘプタ
デシル酸ーモノステアリン酸カルシウム等)を含有して
おり、そのことによってレーザーマーキングの改善効果
が大きいのではないかと推測している。
【0017】ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)の原料
として使用する脂肪酸は、炭素数が偶数である脂肪酸
(B1:例えばステアリン酸等を示す。)と、炭素数が
奇数である脂肪酸(B2:例えばヘプタデシル酸等を示
す。)を併用で用いるのが更に好ましく、その割合はB
1/B2=99.9/0.1〜0.1/99.9重量比
であり、より好ましくはB1/B2=99/1〜1/9
9重量比である。
【0018】ここでいう炭素数が奇数の脂肪酸である
が、例えば牛脂から得られた精製を行う前の脂肪酸をガ
スクロマトグラフィー質量分析計(GC−MS:ヒュー
レットパッカード社製、HP5890+HP5971
A、使用カラム:DB−1{内径=0.25mm、膜厚
=0.25μm、長さ=30m}、注入部温度=250
℃、検出部温度=280℃、カラム槽温度=100℃→
{10℃/分}→350℃×50分、キャリアガス=H
e{50ml/分、スプリット比:30})で分析する
と、図1に示すように奇数の脂肪酸が存在していること
が確認できる。図1は、炭素数が奇数の脂肪酸及び偶数
の脂肪酸を、GCーMSで確認した分析チャート図であ
る。また、これら奇数の脂肪酸は、サイズ排除液体クロ
マトグラフィー(LCーGPC:日本分析工業社製、L
C−908、使用カラム:ShodexHー2001+
Hー2002)を用いて純度=95wt%以上で分離で
きることを確認した。
【0019】ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)の添加
量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.
001〜1.0重量部、好ましくは0.01〜0.5重
量部である。該ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)の添
加量が0.001重量部よりも少ない場合は成形品のレ
ーザーマーキングの改良効果が減少し、その添加量が
1.0重量部を超える量であるとレーザーマーキングの
改良効果が減少したり、熱安定性や成形片の色調が悪く
なる。また、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)中の未
反応の金属酸化物、水酸化物、塩化物については、ジ脂
肪酸アルカリ土類金属塩(B)に対して、500ppm
以下が熱安定性や成形片の色調に対して好ましい。
【0020】本発明でいう脂肪酸(C)とは、10〜3
6個の炭素原子を有する脂肪酸である。これらの脂肪酸
(C)は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、及びヒドロキシ
ル基で置換されている脂肪酸のいずれでも良いが、飽和
脂肪酸が好ましい。例としては、カプリン酸、ラウリン
酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パ
ルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカ
ン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグリセリン酸、セロチ
ン酸、モンタン酸、メリシン酸、セロプラスチン酸、ウ
ンデシレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン
酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール
酸、リノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステ
アロール酸、12−ヒドロキシデカン酸、3−ヒドロキ
シデカン酸、16−ヒドロキシデカン酸、10−ヒドロ
キシデカン酸、12−ヒドロキシオクタデカン酸等が挙
げられる。これらの脂肪酸(C)の中でも、ラウリン
酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パ
ルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカ
ン酸、ベヘン酸が好ましい。
【0021】本発明においては、これらの脂肪酸(C)
の1種又は2種以上を併用して用いることができるが、
2種以上の脂肪酸(C)を併用するとレーザーマーキン
グがより改良されることから好ましい。特に好ましく
は、奇数の炭素数からなる1種以上の脂肪酸(C1:例
えばヘプタデシル酸等を示す。)と偶数の炭素数からな
る1種以上の脂肪酸(C2:例えばステアリン酸等を示
す。)を併用することである。併用する割合は重量比で
C1/C2=0.1/99.9〜99.9/0.1であ
り、好ましくは重量比でC1/C2=1/99〜99/
1である。また、使用する脂肪酸(C)が、併用するジ
脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)の原料である脂肪酸の
少なくとも1種と同一である事であることがESCR
(環境応力亀裂生)及びウエルド部の物性の改良に対し
て好ましい。
【0022】脂肪酸(C)の添加量は、ポリアセタール
樹脂100重量部に対して、1×10-6〜1×10-1
量部である。好ましくは、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩
(B)に対して、C/B=0.1/100〜10/10
0(重量比)で表される範囲である。更に、ジ脂肪酸ア
ルカリ土類金属塩(B)と脂肪酸(C)は予め混合して
用いるのがレーザーマーキング改良に対して好ましい。
その予め混合する方法は、公知の方法で適宣選択すれば
良く、特に制限するものではない。本発明で言う脂肪酸
エステル化合物としては、下記一般式(I)及び(I
I)で表される炭素数10〜36の飽和若しくは不飽和
の脂肪酸及び水酸基で置換されている脂肪酸と炭素数2
〜6のアルキレングリコールから得られる脂肪酸ジエス
テル化合物(D)及び脂肪酸モノエステル化合物(E)
である。
【0023】一般式(I) R1 −COO(R3 O)n−COR2 (R1 、R2 は炭素数9〜35のアルキル基、若しくは
アルケニル基、又は1つの水酸基で置換されている該ア
ルキル基、若しくはアルケニル基で、R1 とR2は同一
であっても異なっていても良く、R3 Oは炭素数2〜6
のアルキレングリコールユニットを表す。また、nは1
〜70を表す。) 一般式(II) R4 −COO(R5 O)m−H (R4 は炭素数9〜35のアルキル基、若しくはアルケ
ニル基、又は1つの水酸基で置換されている該アルキル
基、若しくはアルケニル基であり、R5 Oは炭素数2〜
6のアルキレングリコールユニットを表す。また、mは
1〜70を表す。)
【0024】これらの脂肪酸エステル化合物は、脂肪酸
ジエステル化合物(D)及び脂肪酸モノエステル化合物
(E)であって、脂肪酸ジエステル化合物(D)及び脂
肪酸モノエステル化合物(E)のトータル添加量が、ポ
リアセタール樹脂100重量部に対して、0.005〜
3.0重量部であり、脂肪酸ジエステル化合物(D)と
脂肪酸モノエステル化合物(E)の重量比が、(D)/
(E)=99.9/0.1 〜 0.1/99.9であ
る。好ましくは、ポリアセタール樹脂100重量部に対
して、0.01〜1.0重量部である。
【0025】脂肪酸ジエステル化合物(D)と脂肪酸モ
ノエステル化合物(E)の重量比は(D)/(E)=9
9.9/0.1〜50/50が好ましく、更に好ましく
は99.9/0.1〜90/10である。脂肪酸ジエス
テル化合物(D)及び脂肪酸モノエステル化合物(E)
のトータル添加量及びその重量比がこの範囲から外れた
場合、ポリアセタール樹脂成形品のレーザーマーキング
性改良は、十分満足のいくものが得られない。
【0026】本発明で言う脂肪酸ジエステル化合物
(D)及び脂肪酸モノエステル化合物(E)は、脂肪酸
にカプリン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル
酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘ
プタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン
酸、ベヘン酸、リグリセリン酸、セロチン酸、ヘプタコ
サン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸、ウンデ
シレン酸、オレイン酸、エライジン酸、セトレイン酸、
エルカ酸、ブラシジン酸、ソルビン酸、リノール酸、リ
ノレン酸、アラキドン酸、プロピオール酸、ステアロー
ル酸、12ーヒドロキシドデカン酸、3ーヒドロキシデ
カン酸、16ーヒドロキシヘキサデカン酸、10ーヒド
ロキシヘキサデカン酸、12ーヒドロキシオクタデカン
酸、10ーヒドキシー8ーオクタデカン酸、dlーエリ
スロー9・10ージヒドロキシオクタデカン酸等を用
い、アルキレングリコールにはエチレンオキシド、プロ
ピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピクロルヒドリ
ン、スチレンオキシド、2−メチルテトラヒドロフラ
ン、オキセパン等を用いた脂肪酸ジエステル化合物
(D)及び脂肪酸モノエステル化合物(E)である。こ
の脂肪酸エステル化合物のアルキレングリコールの付加
モル数は1〜70である。中でも好ましくは、脂肪酸が
ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタ
デシル酸、ステアリン酸であり、アルキレングリコール
が、(ポリ)エチレングリコールである脂肪酸ジエステ
ル化合物(D)及び脂肪酸モノエステル化合物(E)で
あって、エチレングリコールの付加モル数は1〜10で
ある。更に好ましいエチレングリコールの付加モル数は
1〜5である。
【0027】具体的な脂肪酸ジエステル化合物(D)の
例としては、(ポリ)エチレングリコールジミリスチン
酸エステル、(ポリ)エチレングリコールジペンタデシ
ル酸エステル、(ポリ)エチレングリコールジパルミチ
ン酸エステル、(ポリ)エチレングリコールジヘプタデ
シル酸エステル、(ポリ)エチレングリコールジステア
リン酸エステル、(ポリ)エチレングリコール(ミリス
チン酸−パルミチン酸)エステル、(ポリ)エチレング
リコール(ミリスチン酸−ステアリン酸)エステル、、
(ポリ)エチレングリコール(パルミチン酸−ステアリ
ン酸)エステル、(ポリ)エチレングリコール(ミリス
チン酸−ペンタデシル酸)エステル、(ポリ)エチレン
グリコール(ミリスチン酸−ヘプタデシル酸)エステ
ル、(ポリ)エチレングリコール(ペンタデシル酸−パ
ルミチン酸)エステル、(ポリ)エチレングリコール
(パルミチン酸−ヘプタデシル酸)エステル、(ポリ)
エチレングリコール(ヘプタデシル酸−ステアリン酸)
エステルなどが挙げられる。
【0028】脂肪酸モノエステル化合物(E)の例とし
ては、(ポリ)エチレングリコールモノミリスチン酸エ
ステル、(ポリ)エチレングリコールモノペンタデシル
酸エステル、(ポリ)エチレングリコールモノパルミチ
ン酸エステル、(ポリ)エチレングリコールモノヘプタ
デシル酸エステル、(ポリ)エチレングリコールモノス
テアリン酸エステルなどが挙げられる。上記脂肪酸ジエ
ステル化合物(D)の中では、エチレングリコールジミ
リスチン酸エステル、エチレングリコールジパルミチン
酸エステル、エチレングリコールジステアリン酸エステ
ル、エチレングリコール(ミリスチン酸−パルミチン
酸)エステル、エチレングリコール(ミリスチン酸−ス
テアリン酸)エステル、エチレングリコール(パルミチ
ン酸−ステアリン酸)エステルが好ましく、脂肪酸モノ
エステル化合物(E)の中では、エチレングリコールモ
ノミリスチン酸エステル、エチレングリコールモノパル
ミチン酸エステル、エチレングリコールモノステアリン
酸エステルが好ましい。
【0029】脂肪酸ジエステル化合物(D)及び脂肪酸
モノエステル化合物(E)の製造方法は、原料の脂肪酸
とアルキレングリコールを酸触媒法若しくは無触媒法に
よって、エステル化反応により製造される。この時の反
応温度、原料濃度(例えば、モル比等)は、目的に応じ
て任意に選択され、得られた脂肪酸エステル化合物を必
要に応じ、精製分離することで得られる。得られた脂肪
酸ジエステル化合物(D)及び脂肪酸モノエステル化合
物(E)は、以下に示した方法によって同定することが
できる。
【0030】例えば、脂肪酸ジエステル化合物及び脂肪
酸モノエステル化合物を水酸化カリウム−メタノール溶
液に加え加熱し、加水分解を行う。その後、塩酸で中和
しヘキサンを加え、脂肪酸を抽出する。これをメチルエ
ステル化し、ガスクロマトグラフ(GCーFID)によ
り、脂肪酸のアルキル組成を分析する。次に、脂肪酸エ
ステル化合物のエステル分析については、その物を溶媒
に溶解させるか、場合によってはトリメチルシリル(T
MS)化した後、ガスクロマトグラフ(GC−FID)
によって分析することができる。脂肪酸ジエステル化合
物(D)、脂肪酸モノエステル化合物(E)の添加方法
は粉体であっても溶融状態であっても構わない。また、
本発明の必須成分の化合物単独若しくは、必須成分の化
合物とポリアセタール樹脂を、溶融・混練する前に予め
混合することが本発明の効果に対して好ましく、その予
め混合する方法は公知の手法で適宣選択すれば良く、特
に制限するものではない。
【0031】本発明でいう波長1.06μmに吸収波長
を有する物質(F)とは、Nd3+/YAGレーザーから
発振される波長1.06μmのレーザー光に対し、その
エネルギーを吸収し、熱エネルギー等に変換する物質や
エネルギーを吸収してその物質自体が変化して異なった
化合物に変換する物質のことを指す。例としては、カー
ボンブラック、グラファイト、酸化鉄、酸化チタン等の
無機物質が挙げられる。特にカーボンブラック、グラフ
ァイト、酸化鉄、酸化チタンが好ましい。本発明におい
ては、これらの波長1.06μmに吸収波長を有する物
質の1種又は2種以上を併用して用いることができる。
【0032】波長1.06μmに吸収波長を有する物質
(F)のトータル添加量は、ポリアセタール樹脂100
重量部に対して、カーボンブラック、グラファイトにお
いては0.0005〜3.0重量部、酸化鉄、酸化チタ
ンにおいては0.01〜30重量部である。特にカーボ
ンブラック、グラファイトにおいては0.01〜2.8
重量部、酸化鉄、酸化チタンにおいては0.1〜25重
量部がレーザーマーキング改良に対して好ましい。
【0033】本発明においては、所望に応じてポリアセ
タール樹脂に通常用いられる公知の顔料(G)を本願の
目的を妨げない範囲で用いることができる。例えば、硫
化亜鉛、塩素性炭素鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性珪酸鉛、
金属硫化物からなる無機顔料、又はアゾ系、アゾメチン
系、メチン系、インダンスロン系、アントラキノン系、
ピランスロン系、フラバンスロン系、ベンゼンスロン
系、フタロシアニン系、ペリノン系、ペリレン系、ジオ
キサジン系、チオインジゴ系、イソインドリン系、イソ
インドリノン系、キナクリドン系、ピルールピロール
系、キノフタロン系の有機顔料等が挙げられる。本発明
においては、これらの顔料の1種又は2種以上を併用し
て用いることができるが、必要とする色調を得るため通
常は2種以上の顔料を併用する。顔料(G)のトータル
添加量は、ポリアセタール樹脂100重量部に対して、
0.005〜5.0重量部である。5.0重量部より多
い場合は、ポリアセタール樹脂の熱安定性を損なうの
で、射出成形に適さない。
【0034】本発明におけるレーザー光として固体レー
ザー、具体的には波長1.06μmのNd3+/YAGレ
ーザー、波長532nm、355nmのmultipleNd3+
/YAGレーザー、Nd3+/ガラスレーザー、CaWO
4 レーザー、 multiple ルビーレーザー、ガラスレーザ
ー、気体レーザー具体的には波長10.6μmのCO 2
レーザー、He−Neレーザー、Xeレーザー、Hgレ
ーザー、Ar+レーザー、Kr+レーザー、Cd+レー
ザー、H2 Oレーザー、HCNレーザーなどが挙げられ
る。さらに半導体レーザー具体的にはGaAsレーザ
ー、GaAsx 1-x レーザー、(Alx Ga1-x )I
y 1-y レーザー、Alx Ga1-x Asレーザー、G
aAsy Sb1-y レーザー、(Alx Ga1-x )In
1-y Asy レーザー、In1-x Gax As1-y y レー
ザー、(Alx Ga1-x )In1-y Sby レーザー、P
1-x Cdx Sレーザー、Pb1-x Gex Teレーザ
ー、PbS1-x Sex レーザー、Pb1-x Snx Teレ
ーザー、Pb1-x Snx Seレーザー、CdSレーザ
ー、ZnOレーザー、PbTeレーザーなどが挙げられ
る。
【0035】さらに液体レーザー具体的にはオキシ塩化
セレンレーザー、キレートレーザー、色素レーザー等の
可視領域または近赤外領域または近紫外領域の波長を有
するレーザーが挙げられる。特にポリアセタール樹脂の
照射前の成形体表面の一部に、成形体表面の色調と異な
る色調に鮮明な文字、絵、記号などのマーキングを付与
するレーザーとして波長1.06μmのNd3+/YAG
レーザーが好ましい。レーザー光の発振方式はスキャン
式でもマスク式でも構わない。レーザー光のエネルギー
密度はポリアセタール樹脂に対しては1〜100000
0(kW/cm 2 )である。特にエネルギー密度は10
000〜80000(kW/cm2 )がレーザーマーキ
ング性改良に対して好ましい。レーザー光のパルス幅は
ポリアセタール樹脂に対しては3〜100(ns)であ
る。特に6〜50(ns)がレーザーマーキング性改良
に対して好ましい。
【0036】本発明のポリアセタール樹脂成形体とし
て、光及び光磁気ディスクカートリッジシャッター、キ
ートップ、キーボード、スキービンディング、メーター
文字車、ディスポーザルライター、トランクオープナ
ー、フューエルオープナー、バックル、ファスナー、コ
ールドファスナー、プラホック、手摺り等が挙げられ
る。本発明のポリアセタール樹脂成形体は、電気機器や
電子機器の機構部品、自動車部品、その他の機構部品に
も好適に用いることができる。本発明においては、所望
に応じてポリアセタール樹脂に通常用いられる公知の添
加剤を、本願の目的を妨げない範囲で用いることができ
る。例えば、酸化防止剤、ホルムアルデヒド反応性窒素
原子を含む重合体、光安定剤、離型剤、顔料、充填剤等
が挙げられる。これらの添加剤の使用量は添加する種類
によっても異なるが、概略でポリアセタール樹脂100
重量部に対して、各々の添加剤を0.001〜1重量部
である。
【0037】酸化防止剤としては、ヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤の1種又は2種以上を用いることができ
る。具体的には、例えば、n−オクタデシル−3−
(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェ
ニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−
(3′−メチル−5′−t−ブチル−4′−ヒドロキシ
フェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−
(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェ
ニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−
ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオ
ール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレン
グリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、テ
トラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチ
ル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−
ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキ
シ}−1,1−ジメチルエチル]2,4,8,10−テ
トラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、N,N′−ビ
ス−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロ
キシフェニル)プロピオニルヘキサメチレンジアミン、
N,N′−テトラメチレン−ビス−3−(3′−メチル
−5′−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェノール)プ
ロピオニルジアミン、N,N′−ビス−[3−(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピ
オニル]ヒドラジン、N−サリチロイル−N′−サリチ
リデンヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−
1,2,4−トリアゾール、N,N′−ビス[2−{3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオニルオキシ}エチル]オキシアミド等が挙
げられる。好ましくは、トリエチレングリコール−ビス
−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)−プロピオネート]及びテトラキス[メチ
レン−3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。
【0038】ホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む重
合体の例としては、ナイロン4−6、ナイロン6、ナイ
ロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン6−12、ナ
イロン12等のポリアミド樹脂、及びこれらの共重合
体、例えば、ナイロン6/6−6/6−10、ナイロン
6/6−12等を挙げることができる。また他に、アク
リルアミド及びその誘導体、アクリルアミド及びその誘
導体と他のビニルモノマーとの共重合体が挙げられ、例
えばアクリルアミド及びその誘導体と他のビニルモノマ
ーとを金属アルコラートの存在下で重合して得られたポ
リ−β−アラニン共重合体を挙げることができる。その
他にアミノ置換トリアジン化合物と、アミノ置換トリア
ジン化合物とホルムアルデヒドとの付加物と、アミノ置
換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの重縮合物を
挙げることができる。これらのホルムアルデヒド反応性
窒素原子を含む重合体は、1種類で用いても良いし、2
種類以上を組み合わせても良い。
【0039】アミノ置換トリアジン化合物の具体例とし
ては、例えば、グアナミン(2,4ージアミノーsym
ートリアジン)、メラミン(2,4,6ートリアミノー
symートリアジン)、N−ブチルメラミン、N−フェ
ニルメラミン、N,N’ージフェニルメラミン、N,
N’ージアリルメラミン、N,N’,N”ートリフェニ
ルメラミン、ベンゾグアナミン(2,4ージアミノー6
ーフェニルーsymートリアジン)、2,4−ジアミノ
ー6ーメチルーsymートリアジン、2,4ージアミノ
ー6ーブチルーsymートリアジン、2,4ージアミノ
ー6ーベンジルオキシーsymートリアジン、2,4ー
ジアミノー6ーブトキシーsymートリアジン、2,4
ージアミノー6ーシクロヘキシルーsymートリアジ
ン、2,4ージアミノー6ークロローsymートリアジ
ン、2,4ージアミノー6ーメルカプトーsymートリ
アジン、2,4ージオキシー6ーアミノーsymートリ
アジン、2ーオキシー4,6ージアミノーsymートリ
アジン、N,N’,N”−テトラシアノエチルベンゾグ
アナミンなどを挙げることができる。
【0040】アミノ置換トリアジン類化合物とホルムア
ルデヒドとの付加物の具体例としては、N−メチロール
メラミン、N,N’ージメチロールメラミン、N,
N’,N”−トリメチロールメラミンを挙げることがで
きる。アミノ置換トリアジン類化合物とホルムアルデヒ
ドとの縮合物の具体例としては、メラミン・ホルムアル
デヒド縮合物を挙げることができる。これらのアミノ置
換トリアジン類化合物、アミノ置換トリアジン類化合物
とホルムアルデヒドとの付加物、アミノ置換トリアジン
類化合物とホルムアルデヒドとの縮合物は1種で用いて
も良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0041】光安定剤の例としては、ベンゾトリアゾー
ル系及び蓚酸アニリド系紫外線吸収剤とヒンダードアミ
ン系光安定剤の1種以上を挙げることができる。ベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、2−(2′
−ヒドロキシ−5′−メチル−フェニル)ベンゾトリア
ゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t
−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′
−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−イソアミル−フェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−
3′,5′−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェ
ニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒド
ロキシ−4′−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾー
ル等が挙げられる。蓚酸アリニド系紫外線吸収剤の例と
しては、2−エトキシ−2′−エチルオキザリックアシ
ッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−
2′−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−
エトキシ−3′−ドデシルオキザリックアシッドビスア
ニリド等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤はそれぞ
れ単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用
いても良い。
【0042】また、ヒンダードアミン系光安定剤の例と
しては、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチ
ルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フ
ェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピ
ペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロ
ヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリ
ジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメ
チルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テ
トラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキ
シ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−
(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン、
【0043】4−(フェニルカルバモイルオキシ)−
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボ
ネイト、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テ
トラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−
セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4
−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−
テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、
1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピ
ペリジルオキシ)−エタン、α,α′−ビス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−
キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−
ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス
(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−
ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、
【0044】トリス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボ
キシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−
4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボ
キシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブ
チル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,
6−テトラメチルピペリジン、1,2,3,4−ブタン
テトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジノールとβ,β,β′,β′−テトラメ
チル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピ
ロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物等が
挙げられる。上記ヒンダードアミン系光安定剤はそれぞ
れ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用い
ても良い。また、前述のベンゾトリアゾール系紫外線吸
収剤や、蓚酸アニリド系紫外線吸収剤と組み合わせても
よい。離型剤の例としては、ポリアルキレングリコー
ル、アミド基を有する脂肪族化合物、ポリオレフィン重
合体から選ばれる1種以上を挙げることができる。
【0045】ポリアルキレングリコールとしては、下記
一般式(III)で表されるポリアルキレングリコール
を用いることができる。
【化1】 (式中、R6 は水素、炭素数1〜6のアルキル基、置換
アルキル基、置換アリル基より選ばれ、各R6 はそれぞ
れ同一であっても異なっていてもよい。また、Xは2〜
6の整数を、Yは1000〜20000を表す。)
【0046】このポリアルキレングリコールは、アルキ
レンオキシドの開環重合によって得ることができる。ア
ルキレンオキシドの具体的な例としては、エチレンオキ
シド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、エピク
ロルヒドリン、スチレンオキシド、オキセタン、3、3
ービス(クロロメチル)オキセタン、テトラヒドロフラ
ン、2ーメチルテトラヒドロフラン、オキセパンを挙げ
ることができる。これらのポリアルキレングリコールは
それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせ
て用いても良い。
【0047】アミド基を有する脂肪族化合物としては、
下記一般式(IV)で表される脂肪族化合物である。
【化2】 (式中、R7 及び、R9 は、炭素数9〜35のアルキル
基であり、それぞれ同一であっても異なってもよい。R
8 は、炭素数1〜6のアルキレン基を示す。)
【0048】具体的な例としては、エチレンビスパルミ
チン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチ
レンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸ア
ミド、エチレンビスエルカ酸アミド等、及びエチレン
(モノパルミチン酸・モノステアリン酸)アミド、エチ
レン(モノステアリン酸・モノヘプタデシル酸)アミド
等を挙げることができる。これらのアミド基を有する脂
肪族化合物は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以
上を組み合わせて用いても良い。
【0049】ポリオレフィン重合物としては、下記一般
式(V)で表されるポリオレフィン重合物である。
【化3】 (式中、R10は、水素、炭素数1〜6のアルキル基、置
換アリル基より選ばれ、それぞれ同一であっても異なっ
ていてもよい。また、Zは10〜100000を表
す。)
【0050】具体的な例として、エチレン重合体、プロ
ピレン重合体、ブチレン重合体、エチレン・プロピレン
共重合体等が挙げられる。顔料としては、無機系顔料、
有機系顔料、メタリック系顔料、蛍光顔料等が挙げられ
る。無機系顔料の具体例としては、ルチル型又はアナタ
ーゼ型の酸化チタン、酸化鉄、群青、カーボンブラッ
ク、チタンイエロー等であり、有機系顔料としては、ア
ゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔
料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系
顔料、イソインドリン系顔料、チオインジゴ系顔料、ジ
オキサジン系顔料、イソビオランスロン系顔料、インダ
ンスロン系顔料等である。
【0051】充填剤としては、ガラス繊維、ガラスビー
ズ、ガラスバルーン、ウォラストナイト、炭素繊維、タ
ルク、マイカ、チタンウイスカー等の各種補強剤、及び
窒化硼素等に代表される核剤などが挙げられる。これ
ら、本発明の必須成分の化合物を含む添加剤の添加形態
は、粉体であっても溶融状態であっても構わない。ま
た、添加剤単独、若しくは添加剤とポリアセタール樹脂
を、溶融・混練する前に予め混合することが本発明の効
果に対して好ましく、その予め混合する方法は、公知の
手法で適宣選択すれば良く、特に制限するものではな
い。
【0052】本発明のポリアセタール樹脂組成物を製造
する方法は、特に制限するものではない。一般的には、
押出機を用い、ポリアセタール樹脂とここで規定された
必須成分の化合物、更に所望ならば、任意成分である添
加剤とを溶融・混練することで、本発明のポリアセター
ル樹脂組成物を製造することができる。この時の押出機
は1軸であっても2軸であっても構わない。また、ポリ
アセタール樹脂の重合時に添加剤を加えても構わない。
押出機の温度は、通常170℃〜240℃の範囲で適宜
選択すれば良く、特に制限するものではない。本発明の
樹脂組成物の成形方法については特に制限はなく、押出
し成形、射出成形、圧縮成形、真空成形、吹き出し成
形、発泡成形、インサート成形、アウトサート成形等の
公知の成形方法のいずれかによって、成形することがで
きる。
【0053】
【発明の実施の形態】以下に、合成例、調整例、測定
法、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に詳細に説明
する。 (1)ポリアセタール樹脂(A)の製造 1:ポリアセタール樹脂(a−1)の製造 熱媒を通すことのできるジャケット付きの2枚の攪拌羽
根を有する5リットル容ニーダーを80℃に調整し、1
5ppmの水を含んだトリオキサン3kgと、100p
pmのテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタンを添加した1,3−ジオキソランを、トリオ
キサン1molに対して、4.0mol%、分子量調節
剤としてメチラール0.7×10-3molを添加、混合
した。この混合物に重合触媒として、三弗化硼素ジブチ
ルエーテルを、トリオキサン1molに対して、0.1
5×10-4mol加えて重合を行った。反応開始後、3
0分経過したところで、ジャケットに30℃の熱媒を通
し、1%のトリエチルアミンを含有する水溶液2リット
ルを添加し1時間触媒を失活させて反応を停止した。そ
の後、ニーダーの内容物を取り出し濾過した後、濾塊を
100℃で乾燥し、2.7kgのポリアセタール樹脂を
得た。得られたポリアセタール樹脂を、30mmのベン
ト口を1ヶ所有する2軸押出機(L/D比:32)に供
給した。押出機温度が200℃、押出機の反応帯域に注
入する水及び塩基性物質として使用したトリエチルアミ
ンの添加量が、樹脂に対してそれぞれ0.2重量%及び
0.1重量%、ベント真空度が200mmHgの条件で
ポリアセタール樹脂の末端安定化及び脱気を行い、末端
安定化したポリアセタール樹脂(a−1)をペレットの
形で得た。得られたポリアセタール樹脂(a−1)のホ
ルムアルデヒドガス発生量は後述の測定法において11
00ppmで、メルトインデックス値は10g/10分
であった。 2:ポリアセタール樹脂(a−2)の製造 ポリアセタール樹脂を末端安定化する際の押出機ベント
真空度を700mmHgとした以外は、ポリアセタール
樹脂(a−1)の製造と実質的に同様の操作を行い、末
端安定化したポリアセタール樹脂(a−2)を得た。得
られたポリアセタール樹脂(a−2)のホルムアルデヒ
ドガス発生量は260ppmで、メルトインデックス値
は10g/10分であった。
【0054】(2)ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩の製法
(B) 1:ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b1)の製法 ステアリン酸100g、パルミチン酸100gを0.6
リットルの水に加えて、攪拌をしながら80℃に加温
し、2種の脂肪酸を溶解して水中に拡散させた後、カル
シウム置換A型ゼオライト4gを加えて30分間攪拌
後、水0.7リットルを加えて温度を50℃とする。次
に0.7リットルの水に水酸化カルシウム39gを攪拌
しながら加えて分散させ、この水酸化カルシウム分散液
を徐々に上記脂肪酸溶解液に加えて、温度を65℃とし
た後30分間攪拌を続け、沈殿物として得られたジ脂肪
酸アルカリ土類金属塩を濾過分離し、80℃の温水0.
4リットルを用いて50回(全温水量=20l)水洗
し、その後乾燥して下記検出法で脂肪酸の検出されない
ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b1)を製造した。
【0055】得られたジ脂肪酸アルカリ土類金属塩中の
脂肪酸の分析を次のとおり行った。乾燥後のジ脂肪酸ア
ルカリ土類金属塩50gと水500gを混合し、80℃
で30分間加熱後、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩と水を
濾過分離し、エバポレーター(400mmHg:80
℃)を用いて濾液を1gまで濃縮する。その液をガスク
ロマトグラフィー質量分析計(GCーMS:ヒューレッ
トパッカード社製、HP5890+HP5971A)を
用いて脂肪酸が検出されるか確認した。ステアリン酸及
びパルミチン酸の存在は確認されなかった。なお、本検
出に用いたGCーMSにおける脂肪酸の検出限界値は、
固定条件の注入量1μlにおいて、1ppmである。こ
の結果から、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩中に含まれる
ステアリン酸及びパルミチン酸の含量は40ppt以下
であることが判る。
【0056】2:ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b2)
の製法 パルミチン酸200gを用いて、ジ脂肪酸アルカリ土類
金属塩(b1)の製法に準じ、上記検出法で脂肪酸の検
出されないジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b2)を製造
した。 3:ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b3)の製法 ステアリン酸200gを用いて、ジ脂肪酸アルカリ土類
金属塩(b1)の製法に準じ、上記検出法で脂肪酸の検
出されないジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b3)を製造
した。 4:ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b4)の製法 パルミチン酸99.9g、ヘプタデシル酸0.2g、ス
テアリン酸99.9gを用いて、ジ脂肪酸アルカリ土類
金属塩(b1)の製法に準じ、上記検出法で脂肪酸の検
出されないジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b4)を製造
した。得られたジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b4)中
の未反応金属化合物は、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩
(b4)10gを水100mlに添加後、超音波洗浄機
(増田理化社製:Wー211)で10分間超音波処理
し、この濾液に抽出されたカルシウム金属成分を電気伝
導度検出器(Waters社製:431)によって定量
し、得られた定量値を原料の水酸化カルシウムに換算
し、求めるたところ220ppmであった。
【0057】5:ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b5)
の製法 パルミチン酸99g、ヘプタデシル酸2g、ステアリン
酸99gを用いて、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b
1)の製法に準じ、上記検出法で脂肪酸の検出されない
ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b5)を製造した。 6:ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b6)の製法 パルミチン酸5g、ヘプタデシル酸10g、ステアリン
酸5gを用いて、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b1)
の製法のうち、使用する水及び水酸化カルシウムの量を
それぞれ1/10に減じる以外は同一操作として、下記
検出法で脂肪酸の検出されないジ脂肪酸アルカリ土類金
属塩(b6)を製造した。得られたジ脂肪酸アルカリ土
類金属塩(b6)5gと水50gを混合し、80℃で3
0分間加熱後、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩と水を濾過
分離し、エバポレーターを用いて濾液を0.1gまで濃
縮する。その液を前述と同様にガスクロマトグラフィー
質量分析計で脂肪酸の検出確認を行った。
【0058】7:ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b7)
の製法 ラウリン酸100g、ミリスチン酸100gを用いて、
ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b1)の製法に準じ、上
記検出法で脂肪酸の検出されないジ脂肪酸アルカリ土類
金属塩(b7)を製造した。 8:ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b8)の製法 アラキン酸100g、ベヘン酸100gを用いて、ジ脂
肪酸アルカリ土類金属塩(b1)の製法に準じ、上記検
出法で脂肪酸の検出されないジ脂肪酸アルカリ土類金属
塩(b8)を製造した。 9:ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b9)の製法 金属成分を、水酸化カルシウムから水酸化マグネシウム
に変更して、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b1)の製
法に準じ、上記検出法で脂肪酸の検出されないジ脂肪酸
アルカリ土類金属塩(b9)を製造した。 10:ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b10)の製法 ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b4)に、水酸化カルシ
ウム水溶液を噴霧後、乾燥し、前述の未反応金属化合物
の評価法において、水酸化カルシウム換算値が780p
pmであるジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(b10)を製
造した。
【0059】その他の実施例及び比較例で使用した添加
剤は、次の通りである。 (3)脂肪酸(C) c1:ラウリン酸 c2:ミリスチン酸 c3:パルミチン酸 c4:ヘプタデシル酸 c5:ステアリン酸 c6:アラキン酸 c7:ベヘン酸
【0060】(4)脂肪酸ジエステル化合物(D) d1:エチレングリコールジパルミチン酸エステル(エ
チレングリコールの付加モル数:1) d2:エチレングリコールジステアリン酸エステル(エ
チレングリコールの付加モル数:1) d3:エチレングリコール(ミリスチン酸−パルミチン
酸)エステル(エチレングリコールの付加モル数:1) d4:エチレングリコール(パルミチン酸−ステアリン
酸)エステル(エチレングリコールの付加モル数:1) d5:エチレングリコールジステアリン酸エステル(エ
チレングリコールの付加モル数:7) d6:エチレングリコールジステアリン酸エステル(エ
チレングリコールの付加モル数:70)
【0061】(5)脂肪酸モノエステル化合物(E) e1:エチレングリコールモノパルミチン酸エステル
(エチレングリコールの付加モル数:1) e2:エチレングリコールモノステアリン酸エステル
(エチレングリコールの付加モル数:1) e3:エチレングリコールモノステアリン酸エステル
(エチレングリコールの付加モル数:7) e4:エチレングリコールモノステアリン酸エステル
(エチレングリコールの付加モル数:70)
【0062】(6)波長1.06μmに吸収波長を有する物
質 f1:カーボンブラック f2:酸化チタン f3:酸化鉄 (7)ヒンダードフェノール系酸化防止剤 g1:トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t
−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート] (8)ホルムアルデヒド反応性窒素原子を含む化合物、
重合体 h1:ナイロン6ー6 h2:メラミン
【0063】(9)レーザーマーキング方法 5オンスの射出能力を有する射出成形機を使用し、シリ
ンダー温度:200℃、金型温度:80℃に設定し、射
出時間:20秒、冷却時間:10秒の条件で、成形片
(長さ=60mm、幅=60mm、厚さ=3mm)を成
形し、得られた成形片に40mmの高さから波長1.0
6μmのレーザー光を発振するNd3+/YAGレーザー
を照射した。エネルギー密度は240(W/mm2 )、
レーザー発振時間は6(ns)であるレーザー光を用い
た。レーザー光の発振条件は、Qスイッチ15000
(Hz)、電流値20(mA)、線間距離0.2(m
m)で、長さ=10mm、幅=10mmの枠内すべてを
マーキングした。
【0064】(10)成形品の外観観察 上述の色差測定用に成形した成形片に、シルバー(ポリ
アセタール樹脂の分解等によって起きる引っ掻き傷のよ
うな形跡)が発生しているか、また変色がないか目視に
よって観察した。 (11)成形品の色差観察 上述のレーザーマーキング方法によって得られた成形体
の、長さ=10mm、幅=10mmの成形体表面の一部
である枠内のレーザー光を照射したエリアの色調と、そ
の周りの照射前の成形体表面のエリアの色調とを測定
し、色差を測定した。
【0065】
【実施例1〜24及び26〜28、比較例1〜13】表
1、2、3及び4に記載の組成物を、内径30mmのベ
ント付き2軸押出機(L/D:32)を用いて、シリン
ダー温度:200℃、スクリュー回転数:100rp
m、吐出量:5kg/hr、ベント真空度:700mm
Hgで溶融混練しペレット化した。得られたペレットを
使用して、前述の成形法により成形片を作成し、前述の
評価法により成形片の色差観察、成形品の外観観察を行
った。得られた結果を表5、6及び7に記載した。ま
た、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩と脂肪酸を併用してい
るサンプルについては、予め混合する為、脂肪酸を80
℃の水に溶解させ、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩とこの
脂肪酸溶解液とを混合する。その後乾燥して、メノウ乳
鉢で5分間粉砕操作した物を使用した。また、ジ脂肪酸
アルカリ土類金属塩又は脂肪酸を単独で用いる場合も同
様にメノウ乳鉢で5分間粉砕操作を行った。
【0066】その結果、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩の
原料である脂肪酸を2種を混在させてジ脂肪酸アルカリ
土類金属塩を調整した実施例9に較べ、脂肪酸の単独調
整で得られたジ脂肪酸アルカリ土類金属塩を同一添加量
の1種で用いた比較例6、またそれら2種を混合した比
較例7、8、9においても、実施例9には及ばない結果
であることが確認された。また、ジ脂肪酸アルカリ土類
金属塩(B)の原料として用いる脂肪酸が、炭素数が奇
数の脂肪酸と炭素数が偶数の脂肪酸との併用で製造され
たジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)及び、脂肪酸
(C)が、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)で用いた
原料の脂肪酸と同一である、炭素数が奇数の脂肪酸と炭
素数が偶数の脂肪酸とを併用した実施例22〜24は、
レーザーマーキング性の改良が著しく、またそのバラツ
キが驚く程改善されたことが確認された。
【0067】
【実施例25】実施例1等で行ったペレット化に関する
手法において、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)及
び、脂肪酸(C)を予め混合せずに別々に粉砕操作を行
い、ポリアセタール樹脂とドライブレンドを行って得ら
れたペレットを使用して、前述の評価法により成形品の
色差観察、成形品の外観観察を行った。得られた結果を
表5に記載した。
【0068】
【実施例29〜54、比較例14〜21】ポリアセター
ル樹脂(A)、ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)、脂
肪酸(C)、更に脂肪酸ジエステル(D)、脂肪酸モノ
エステル(E)及び任意の添加剤をヘンシェル混合機に
入れ、860rpmの回転速度で2分間均一混合し排出
した。得られた混合物を内径30mmの2軸押出機を用
いて、200℃の温度で溶融・混練しペレット化した。
得られたペレットを使用して、前述の評価法により成形
品の色差観察、成形品の外観観察を行った。組成表を表
8、9及び10に、得られた結果を表11及び12に記
載した。実施例3と実施例32、実施例4と実施例3
0、実施例5と実施例33が脂肪酸ジエステル(D)及
び脂肪酸モノエステル(E)の有無比較であるが、脂肪
酸ジエステル及び脂肪酸モノエステルを添加した組成物
は、レーザーマーキング性の改良効果が、無添加組成物
に比べて更に改良されている事が確認された。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
【表6】
【0075】
【表7】
【0076】
【表8】
【0077】
【表9】
【0078】
【表10】
【0079】
【表11】
【0080】
【表12】
【0081】
【発明の効果】本発明の樹脂成形体は、良好なマーキン
グが得られる為、表面に鮮明な文字、絵、記号などのマ
ークが付与された成形体をはじめ、自動車部品や電気・
電子機器用部品、戸車のような工業部品など広い用途に
使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、炭素数が奇数の脂肪酸及び偶数の脂肪
酸を、GCーMSで確認した分析チャート図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/098 C08K 5/098 5/10 5/10 C08L 59/00 C08L 59/00 Fターム(参考) 4F073 AA15 BA34 BA44 BA46 BA52 BB08 CA46 HA12 HA13 4J002 CB001 DA037 DB009 DB019 DE117 DE147 DG029 DG049 DJ009 EF057 EG036 EH058 EH158 FD099 FD207 GC00 GQ00

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリアセタール樹脂100重量部
    に対して、(B)2種以上の脂肪酸を混在させて製造さ
    れたジ脂肪酸アルカリ土類金属塩0.001〜1.0重
    量部、(C)脂肪酸1×10-6〜1×10-1重量部、及
    び(F)波長1.06μm(=1064nm)に吸収波
    長を有する物質からなる組成物の成形体表面の一部に、
    レーザー光を照射し、照射前の成形体の色調と異なる色
    調にマーキングさせてなるポリアセタール樹脂成形体。
  2. 【請求項2】 脂肪酸(C)と、ジ脂肪酸アルカリ土類
    金属塩(B)との重量比がC/B=0.1/100〜1
    0/100の範囲にある請求項1に記載のポリアセター
    ル樹脂成形体。
  3. 【請求項3】 脂肪酸(C)が、2種以上の脂肪酸を併
    用して用いる請求項1または2に記載のポリアセタール
    樹脂成形体。
  4. 【請求項4】 脂肪酸(C)が、奇数の炭素数からなる
    脂肪酸の1種以上と偶数の炭素数からなる脂肪酸の1種
    以上との併用であり、奇数の炭素数からなる脂肪酸の総
    量(C1)と偶数の炭素数からなる脂肪酸の総量(C
    2)との重量比が、C1/C2=0.1/99.9〜9
    9.9/0.1の範囲にある請求項1〜3のいずれかに
    記載のポリアセタール樹脂成形体。
  5. 【請求項5】 脂肪酸(C)に用いられる脂肪酸が、ジ
    脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)の製造に用いられた脂
    肪酸の少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに
    記載のポリアセタール樹脂成形体。
  6. 【請求項6】 ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)の製
    造に用いられる脂肪酸が、炭素数が奇数である脂肪酸の
    1種以上と炭素数が偶数である脂肪酸の1種以上との併
    用であり、炭素数が偶数である脂肪酸の総量(B1)と
    炭素数が奇数である脂肪酸の総量(B2)との重量比
    が、B1/B2=0.1/99.9〜99.9/0.1
    の範囲にある請求項1〜5のいずれかに記載のポリアセ
    タール樹脂成形体。
  7. 【請求項7】 ジ脂肪酸アルカリ土類金属塩(B)が、
    金属成分がカルシウムであり、該ジ脂肪酸アルカリ土類
    金属塩(B)の製造に用いられる脂肪酸が、ラウリン
    酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パ
    ルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカ
    ン酸、アラキン酸、ベヘン酸の中から選ばれる2種以上
    である請求項1〜6のいずれかに記載のポリアセタール
    樹脂成形体。
  8. 【請求項8】 請求項1記載のポリアセタール樹脂組成
    物に、(D)下記一般式(I)で表される脂肪酸ジエス
    テル化合物及び(E)下記一般式(II)で表される脂
    肪酸モノエステル化合物を添加してなるポリアセタール
    樹脂組成物にマーキングさせてなるポリアセタール樹脂
    成形体。 一般式(I) R1 −COO(R3 O)n−COR2 (R1 、R2 は炭素数9〜35のアルキル基、若しくは
    アルケニル基、又は1つの水酸基で置換されている該ア
    ルキル基、若しくはアルケニル基で、R1 とR2は同一
    であっても異なっていても良く、R3 Oは炭素数2〜6
    のアルキレングリコールユニットを表す。また、nは1
    〜70を表す。) 一般式(II) R4 −COO(R5 O)m−H (R4 は炭素数9〜35のアルキル基、若しくはアルケ
    ニル基、又は1つの水酸基で置換されている該アルキル
    基、若しくはアルケニル基であり、R5 Oは炭素数2〜
    6のアルキレングリコールユニットを表す。また、mは
    1〜70を表す。)
  9. 【請求項9】 該脂肪酸ジエステル化合物(D)及び該
    脂肪酸モノエステル化合物(E)のトータル添加量が、
    ポリアセタール樹脂100重量部に対して、0.005
    〜3.0重量部であって、該脂肪酸ジエステル化合物
    (D)と該脂肪酸モノエステル化合物(E)の重量比
    が、(D)/(E)=99.9/0.1〜0.1/9
    9.9の範囲にある請求項8に記載のポリアセタール樹
    脂成形体。
  10. 【請求項10】 該波長1.06μmに吸収波長を有す
    る物質(D)が、カーボンブラック、グラファイト、酸
    化鉄、酸化チタンのうち少なくとも1種の無機物質であ
    る特許請求項1〜9のいずれかに記載のポリアセタール
    樹脂成形体。
  11. 【請求項11】 該波長1.06μmに吸収波長を有す
    る物質(D)のトータル添加量が、ポリアセタール樹脂
    100重量部に対して、0.0005〜3.0重量部で
    ある特許請求項1〜10のいずれかに記載のポリアセタ
    ール樹脂成形体。
  12. 【請求項12】 請求項1〜11のいずれかに記載のポ
    リアセタール樹脂成形体に、更に顔料(G)を添加して
    なるポリアセタール樹脂成形体。
  13. 【請求項13】 顔料(G)が、硫化亜鉛、塩素性炭素
    鉛、塩基性硫酸鉛、塩基性珪酸鉛、金属硫化物からなる
    無機顔料、又はアゾ系、アゾメチン系、メチン系、イン
    ダンスロン系、アントラキノン系、ピランスロン系、フ
    ラバンスロン系、ベンゼンスロン系、フタロシアニン
    系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、チオイ
    ンジゴ系、イソインドリン系、イソインドリノン系、キ
    ナクリドン系、ピルールピロール系、キノフタロン系の
    有機顔料の中から選ばれる少なくとも1種の顔料である
    特許請求項12記載のポリアセタール樹脂成形体。
  14. 【請求項14】 該顔料(G)のトータル添加量が、ポ
    リアセタール樹脂100重量部に対して、0.005〜
    5.0重量部である特許請求項12記載のポリアセター
    ル樹脂成形体。
  15. 【請求項15】 レーザー光として、波長1.06μm
    のNd3+/YAGレーザーを使用し、照射前の成形体表
    面の一部に、成形体表面の色調と異なる色調にマーキン
    グさせてなる特許請求項1〜14のいずれかに記載のポ
    リアセタール樹脂成形体。
  16. 【請求項16】 成形体が、光及び光磁気ディスクカー
    トリッジシャッター、キートップ、キーボード、スキー
    ビンディング、メーター文字車、ディスポーザルライタ
    ー、トランクオープナー、フューエルオープナー、バッ
    クル、ファスナー、コールドファスナー、プラホック、
    手摺りの中から選ばれる少なくとも1種の成形体である
    特許請求項1〜15のいずれかに記載のポリアセタール
    樹脂成形体。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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