JP2000226876A - 水洗式便器及び水洗式便器用貼着フィルム並びに水洗式便器用コーティング組成物 - Google Patents

水洗式便器及び水洗式便器用貼着フィルム並びに水洗式便器用コーティング組成物

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正昭 伊藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明によれば、吐水口より吐水される流水
が万遍なく便器表面を濡らし、以って汚れが堆積しにく
い水洗式便器を提供することが可能となる。 【解決手段】 水洗用吐水口及び/又は前記吐水口の直
下の便器面に、前記便器面とは異なる水との接触角を有
する被膜が形成されている水洗式便器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、汚れにくい水洗式
便器に関する。また、水洗式便器を汚れにくくするため
の貼着フィルムに関する。さらに、水洗式便器を汚れに
くくするための水洗式便器用コーティング組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、サニタリー空間に対する清潔志向
が高まっており、便器表面を衛生的に清浄に保つことは
広く望まれている。一般的に知られている水洗式便器は
陶器製であり、新品時においては表面は親水性を呈し、
そのため、吐水口より吐水される流水はかなり万遍なく
便器表面を濡らし、付着汚れを重力方向に除去すること
により、便器表面を衛生的に清浄に保つ。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、一般の
陶器製便器を長期にわたり使用すると、徐々に便器表面
が局所的に疎水化され、かつ疎水化される面積が増大す
る。そのため、吐水口より吐水される流水の流路は徐々
に狭まり、一定の場所しか流れなくなる。そして、流水
が来なくなる表面に徐々に汚れが堆積し汚れていくとい
う問題があった。本発明は上記事情に鑑みてなされたも
のであり、長期にわたり吐水口より吐水される流水が万
遍なく便器表面を濡らし、以って汚れが堆積しにくい水
洗式便器を提供することを目的とする。また、汚れが堆
積しにくくさせる水洗式便器用貼着フィルムを提供する
ことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、水洗用吐水口及び/又は前記吐水口の直下
の便器面に、前記便器面とは異なる水との接触角を有す
る被膜が形成されている水洗式便器を提供する。前記被
膜の存在により、吐水口からの流水を拡散させることが
可能となり、吐水口より吐水される流水が万遍なく便器
表面を濡らすようになり、以って便器表面に汚れが堆積
しにくくなる。
【0005】本発明の好ましい態様においては、水洗式
便器において、水洗用吐水口及び/又は前記吐水口の直
下の便器面に撥水性被膜が形成されているようにする。
被膜を撥水性にすることにより、撥水性被膜は水を弾く
性質があるため、長期にわたり吐水口より吐水される流
水が万遍なく便器表面を濡らすようになり、以って便器
表面に汚れが堆積しにくくなる。
【0006】本発明の好ましい態様においては、水洗用
吐水口の直下の便器面に前記便器面とは異なる水との接
触角を有する被膜が形成されている水洗式便器であっ
て、前記被膜の長手方向は水平面から90度もしくは9
0度未満の角度を有するように傾いて配置されているよ
うにする。水洗用吐水口の直下の便器面に水平面から9
0度もしくは90度未満の角度を有するように傾いて便
器面とは異なる水との接触角を有する被膜を設けること
により、便器面とは異なる水との接触角を有する被膜に
沿ってその上方を流水が流れるように誘導され、便器の
水平方向に幅広く吐水口から吐水される流水が齎される
ようになるので、長期にわたり吐水口より吐水される流
水が万遍なく便器表面を濡らすようになり、以って便器
表面に汚れが堆積しにくくなる。
【0007】本発明の好ましい態様においては、水洗式
便器において、水洗用吐水口の直下の便器面に撥水性被
膜が形成されている水洗式便器であって、前記撥水性被
膜の長手方向は水平面から90度もしくは90度未満の
角度を有するように傾いて配置されているようにする。
水洗用吐水口の直下の便器面に水平面から90度もしく
は90度未満の角度を有するように傾いて撥水性被膜を
設けることにより、撥水性被膜は水を弾く性質があるた
め、撥水性被膜に沿ってその上方を流水が流れるように
誘導され、便器の水平方向に幅広く吐水口から吐水され
る流水が齎されるようになるので、長期にわたり吐水口
より吐水される流水が万遍なく便器表面を濡らすように
なり、以って便器表面に汚れが堆積しにくくなる。
【0008】本発明の好ましい態様においては、水洗用
吐水口の直下の便器面に複数の前記便器面とは異なる水
との接触角を有する被膜が形成されている水洗式便器で
あって、前記複数の被膜のうちの少なくとも2つの被膜
の長手方向は水平面から90度もしくは90度未満の角
度を有するように傾いて配置されており、かつ前記少な
くとも2つの被膜として、水平方向からの傾きが右向き
および左向きの双方が存在するようにする。こうするこ
とにより、流水が旋回されるようになるので、さらに洗
浄力が増す。
【0009】本発明の好ましい態様においては、水洗用
吐水口の直下の便器面に複数の撥水性被膜が形成されて
いる水洗式便器であって、前記複数の撥水性被膜のうち
の少なくとも2つの被膜の長手方向は水平面から90度
もしくは90度未満の角度を有するように傾いて配置さ
れており、かつ前記少なくとも2つの被膜として、水平
方向からの傾きが右向きおよび左向きの双方が存在する
ことを特徴とする水洗式便器を提供する。こうすること
により、流水が旋回されるようになるので、さらに洗浄
力が増す。
【0010】本発明の好ましい態様においては、上記撥
水性被膜の水との接触角が90度以上であることを特徴
とする水洗式便器を提供する。通常の水洗式便器の吐水
口付近は水滴が残留しやすく、これが乾いて水垢を形成
しやすいが、撥水性被膜を設けることにより、水滴が一
定以上の大きさにならないと下方へ流れなくなり、残留
水滴が無くなるので水垢が付着しにくくなる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の具体的構成につ
いて説明する。本発明の水洗用便器としては、大便器、
小便器共に使用可能である。その洗浄方式も問わない。
例えば、小便器の洗浄方式には、図1(a)に示すよう
に、小便器20の内表面の上部に取り付けられたスプレ
ッダノズル22から噴出される水により便器の内表面を
洗浄する方式(スプレッダ方式)と、図1(b)に示す
ように、小便器20のリム(淀掛け)部24の内側に形
成された吐水口26から吐出される水により便器の内表
面を洗浄する方式(淀掛け方式)とがあるが、そのいず
れでもよい。同様に大便器にもスプレッダ方式と淀掛け
方式とがある(図示せず)がそのいずれでもよい。
【0012】本発明における吐水口とは、例えばスプレ
ッダ方式ではスプレッダノズルの噴出口であり、淀掛け
方式ではリム(淀掛け)部の内側に形成された吐水口で
ある。吐水口の直下とは、吐水口の真下数センチをい
い、好ましくは真下0〜10cmまでの部分である。
【0013】本発明における疎水性被膜とは、水との接
触角が50度から90度程度の被膜をいう。例えば、ポ
リエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエ
チレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のオ
レフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化
ビニリデン(PVdC)、ポリフッ化ビニリデン(PV
dF)等のビニル系樹脂、ポリスチレン(PS)、ポリ
ウレタン(PU)、ポリエステル(MF)、ポリアセタ
ール(POM)、ナイロン(PA)、ポリカーボネート
(PC)、メタクリル樹脂(PMMA)、アクリロニト
リル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アク
リロニトリル−スチレン共重合体(AS)、セロハン
(セルロースフィルム)等が好適に利用できる。
【0014】本発明における撥水性被膜とは、接触角測
定器による水との接触角が90度以上である被膜をい
う。好ましくは110度以上であり、より好ましくは1
40度以上である。
【0015】本発明では、上記疎水性被膜や撥水性被膜
等の便器面とは異なる水との接触角を有する被膜を、水
洗用吐水口の直下の便器面に、被膜の長手方向が水平面
から90度もしくは90度未満の角度を有するように傾
けて配置する。その角度は好ましくは水平面から10度
以上80度未満であり、より好ましくは20度以上70
度未満である。その配置の一態様を図2に示す。図2で
は2つの上記被膜28および30が、水洗用吐水口26
の直下の便器面32に、それぞれ右傾き、左傾きで配置
されている。このように複数の撥水性被膜を逆向きの角
度で配置することで流水は旋回誘導され、さらに洗浄性
は増すことになる。
【0016】本発明におけるシリコーン含有被膜とは、
シリコーン中のケイ素原子に1つ以上の有機基が結合さ
れているシリコーン、すなわち、平均組成式RpSiX
qO(4−p−q)/2(式中、Rは、炭素数1〜18
の一価の有機基、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基であ
り、p及びqは、0<p<2、0<q<4、0<p+q
<4を満足する数である)で表される未硬化のシリコー
ンを硬化させて得た被膜である。
【0017】本発明の請求項8に係る水洗用便器の1つ
の製造方法は、鋳込み成形にて作製した便器成形素地上
に釉薬を塗布し1100度以上の温度で焼成して得た便
器の吐水口の直下に、塗布したくない部分にマスキング
を施しながら、上記シリコーンを含有する塗料を被膜の
長手方向が水平面から90度未満の角度を有するように
塗布した後に、シリコーンを硬化させることによる。こ
こで塗布する方法としては、スプレーコーティング、刷
毛塗り、スポンジ塗り等の周知の方法が利用できる。シ
リコーンの硬化にも、常温放置、加熱、紫外線照射等の
周知の方法が利用できる。本発明の請求項8に係る水洗
用便器の他の製造方法は、鋳込み成形にて作製した便器
成形素地上に釉薬を塗布し1100度以上の温度で焼成
して得た便器の吐水口の直下に、被膜の長手方向が水平
面から90度もしくは90度未満の角度を有するよう
に、請求項21の水洗式便器用貼着フィルムより離型シ
ートを剥がして接着剤を便器表面に接触せしめるように
して貼着することによる。
【0018】上記未硬化のシリコーンは、2官能シラン
誘導体モノマー(分子当り2個の加水分解性基を有し、
各ケイ素原子に2つの酸素原子が結合した2官能シロキ
サン結合を形成するモノマー)及び/又は3官能シラン
誘導体モノマー(分子当り3個の加水分解性基を有し、
各ケイ素原子に3つの酸素原子が結合した3官能シロキ
サン結合を形成するモノマー)を必須成分とし、必要に
応じて4官能シラン誘導体モノマー(分子当り4個の加
水分解性基を有し、各ケイ素原子に4つの酸素原子が結
合した4官能シロキサン結合を形成するモノマー)を配
合させた組成物を、加水分解、縮重合させることにより
得られる。
【0019】ここで、2官能シラン誘導体としては、ジ
メチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、
ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシ
ラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチ
ルジエトキシシラン、γーグリシドキシプロピルメチル
ジメトキシシラン、γーグリシドキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、γー(メタ)アクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γー(メタ)アクリロキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γーアミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γーアミノプロピルメチルジエト
キシシラン、ヘプタデカフルオロオクチルメチルジメト
キシシラン、ヘプタデカフルオロオクチルメチルジエト
キシシラン等が好適に利用できる。
【0020】3官能シラン誘導体としては、メチルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルト
リイソプロポキシシラン、メチルトリtーブトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt
ーブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラ
ン、ビニルトリtーブトキシシラン、n−プロピルトリ
メトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n
−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルト
リtーブトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラ
ン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルト
リイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリtーブトキ
シシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシル
トリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシ
ラン、n−デシルトリtーブトキシシラン、n−オクタ
デシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエト
キシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラ
ン、n−オクタデシルトリtーブトキシシラン、フェニ
ルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、
フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリtー
ブトキシシラン、γーグリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γーグリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γーグリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラ
ン、γーグリシドキシプロピルトリtーブトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リtーブトキシシラン、γー(メタ)アクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γー(メタ)アクリロキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γー(メタ)アクリロキシ
プロピルトリイソプロポキシシラン、γー(メタ)アク
リロキシプロピルトリtーブトキシシラン、γーアミノ
プロピルトリメトキシシラン、γーアミノプロピルトリ
エトキシシラン、γーアミノプロピルトリイソプロポキ
シシラン、γーアミノプロピルトリtーブトキシシラ
ン、γーメルカプトプロピルトリメトキシシラン、γー
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γーメルカプ
トプロピルトリイソプロポキシシラン、γーメルカプト
プロピルトリtーブトキシシラン、トリフルオロプロピ
ルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエト
キシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシ
シラン、トリフルオロプロピルトリtーブトキシシラ
ン、ヘプタデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、
ヘプタデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプ
タデカフルオロオクチルトリイソプロポキシシラン、ヘ
プタデカフルオロオクチルトリtーブトキシシラン等が
好適に利用できる。
【0021】4官能シラン誘導体としては、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポ
キシシラン、テトラtーブトキシシラン、ジメトキシジ
エトキシシラン等が好適に利用できる。
【0022】上記未硬化のシリコーンのうち、γーグリ
シドキシプロピル基、β−(3、4−エポキシシクロヘ
キシル)基、γー(メタ)アクリロキシ基等を有するも
のは、シロキサン架橋以外の有機架橋が形成可能であ
り、常温硬化性を得る上で好ましい。常温硬化性であれ
ば、既存の水洗式便器の水洗用吐水口及び/又は前記吐
水口の直下の便器面に上記シリコーン組成物をコーティ
ングするだけで、長期にわたり吐水口より吐水される流
水が万遍なく便器表面を濡らすようになり、以って便器
表面に汚れが堆積しにくくなるようにすることが可能と
なる。
【0023】また、上記未硬化のシリコーンにおいて、
常温硬化性を高めるために、硬化剤を添加してもよい。
硬化剤としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、酢酸
ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸カリウム、ギ酸カリ
ウム、プロピオン酸カリウム、テトラメチルアンモニウ
ムクロライド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
等の塩基性化合物類;n−ヘキシルアミン、トリブチル
アミン、ジアザビシクロウンデセン、エチレンジアミ
ン、ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン、テトラエチレンベンタミン、エタノ
ールアミン類、γーアミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γーアミノプロピルメチルジメトキシシラン、γー
(2ーアミノメチル)ーアミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γー(2ーアミノメチル)ーアミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン等のアミン化合物;テトライソプロ
ピルチタネート、テトラブチルチタネート等のチタン化
合物;アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウム
トリイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナ
ート、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム等のア
ルミニウム化合物;錫アセチルアセトナート、ジブチル
錫オクチレート等の錫化合物;コバルトオクチレート、
コバルトアセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナー
ト等の含金属化合物類;リン酸、硝酸、フタル酸、pー
トルエンスルホン酸、トリクロル酢酸等の酸性化合物類
などが好適に利用できる。
【0024】更に、硬化被膜の硬度、耐擦傷性を向上さ
せるために、或いは、高屈折率化させて光沢性を向上さ
せるために、金属酸化物微粒子を添加してもよい。金属
酸化物としては、シリカ、アルミナ、酸化セリウム、酸
化錫、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化アンチ
モン、酸化鉄、酸化チタン、希土類酸化物等が利用でき
る。
【0025】本発明におけるフッ素樹脂含有被膜に用い
られるフッ素樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニ
ル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化三フッ化エチレ
ン、ポリ四フッ化エチレン、ポリ四フッ化エチレンー六
フッ化プロピレンコポリマー、エチレンーポリ四フッ化
エチレンコポリマー、エチレンーポリ塩化三フッ化エチ
レンコポリマー、四フッ化エチレンーパーフルオロアル
キルビニルエーテルコポリマー、パーフルオロシクロポ
リマー、ビニルエーテルーフルオロオレフィンコポリマ
ー、ビニルエステルーフルオロオレフィンコポリマー等
が好適に利用できる。
【0026】本発明におけるフッ素化合物含有被膜に用
いられるフッ素化合物には、フッ化リチウム、フッ化マ
グネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウ
ム、フッ化バリウム、フッ化スカンジウム、フッ化イッ
トリウム、フッ化ジルコニウム、フッ化ハフニウム、フ
ッ化マンガン、フッ化鉄、フッ化コバルト、フッ化ニッ
ケル、フッ化銅、フッ化アルミニウム、フッ化ガリウ
ム、フッ化インジウム、フッ化ビスマス、フッ化ランタ
ン、フッ化セリウム、フッ化プラセオジウム、フッ化ネ
オジウム、フッ化サマリウム、フッ化ユーロピウム、フ
ッ化テルビウム、フッ化ジスプロシウム、フッ化ホルミ
ウム、フッ化エルビウム、フッ化ツリウム、フッ化イッ
テルビウム、フッ化ルテチウム等が好適に利用できる。
【0027】本発明の請求項9に係る水洗用便器の一製
造方法は、鋳込み成形にて作製した便器成形素地上に釉
薬を塗布し1100度以上の温度で焼成して得た便器の
吐水口の直下に、塗布したくない部分にマスキングを施
しながら、上記フッ素樹脂及び/又はフッ素化合物を含
有する塗料を被膜の長手方向が水平面から90度未満の
角度を有するように塗布した後に、フッ素樹脂及び/又
はフッ素化合物を硬化させることによる。ここで、塗布
する方法としては、スプレーコーティング、刷毛塗り、
スポンジ塗り等の周知の方法が利用できる。フッ素樹脂
の硬化にも、常温放置、加熱、紫外線照射等の周知の方
法が利用できる。本発明の請求項9に係る水洗用便器の
他の製造方法は、鋳込み成形にて作製した便器成形素地
上に釉薬を塗布し1100度以上の温度で焼成して得た
便器の吐水口の直下に、被膜の長手方向が水平面から9
0度もしくは90度未満の角度を有するように、請求項
22の水洗式便器用貼着フィルムより離型シートを剥が
して接着剤を便器表面に接触せしめるようにして貼着す
ることによる。
【0028】本発明の請求項10に係る水洗用便器で
は、便器の吐水口の直下に、被膜の長手方向が水平面か
ら90度未満の角度を有するようにシリコーンとフッ素
樹脂を含有する被膜を形成する。ここで、シリコーン及
びフッ素樹脂には、上記で例示したものが好適に利用で
きる。特にシリコーンとフッ素樹脂との合計重量に対す
るフッ素樹脂の重量が40%以上であると、水との接触
角が150度以上の超撥水性を呈するので好ましい。本
発明の請求項10に係る水洗用便器の一製造方法は、鋳
込み成形にて作製した便器成形素地上に釉薬を塗布し1
100度以上の温度で焼成して得た便器の吐水口の直下
に、塗布したくない部分にマスキングを施しながら、上
記シリコーン及びフッ素樹脂を含有する塗料を被膜の長
手方向が水平面から90度もしくは90度未満の角度を
有するように塗布した後に、シリコーンを硬化させるこ
とによる。ここで、塗布する方法としては、スプレーコ
ーティング、刷毛塗り、スポンジ塗り等の周知の方法が
利用できる。シリコーンの硬化にも、常温放置、加熱、
紫外線照射等の周知の方法が利用できる。本発明の請求
項10に係る水洗用便器の他の製造方法は、鋳込み成形
にて作製した便器成形素地上に釉薬を塗布し1100度
以上の温度で焼成して得た便器の吐水口の直下に、被膜
の長手方向が水平面から90度もしくは90度未満の角
度を有するように、請求項23の水洗式便器用貼着フィ
ルムより離型シートを剥がして接着剤を便器表面に接触
せしめるようにして貼着することによる。
【0029】本発明の請求項11に係る水洗用便器で
は、便器の吐水口の直下に、被膜の長手方向が水平面か
ら90度もしくは90度未満の角度を有するように、シ
リコーンとフッ素化合物を含有する被膜を形成する。こ
こで、シリコーン及びフッ素化合物には、上記で例示し
たものが好適に利用できる。特にシリコーンとフッ素化
合物との合計重量に対するフッ素化合物の重量が40%
以上であると、水との接触角が150度以上の超撥水性
を呈するので好ましい。本発明の請求項11に係る水洗
用便器の一製造方法は、鋳込み成形にて作製した便器成
形素地上に釉薬を塗布し1100度以上の温度で焼成し
て得た便器の吐水口の直下に、塗布したくない部分にマ
スキングを施しながら、上記シリコーン及びフッ素化合
物を含有する塗料を被膜の長手方向が水平面から90度
もしくは90度未満の角度を有するように塗布した後
に、シリコーンを硬化させることによる。ここで、塗布
する方法としては、スプレーコーティング、刷毛塗り、
スポンジ塗り等の周知の方法が利用できる。シリコーン
の硬化にも、常温放置、加熱、紫外線照射等の周知の方
法が利用できる。本発明の請求項11に係る水洗用便器
の他の製造方法は、鋳込み成形にて作製した便器成形素
地上に釉薬を塗布し1100度以上の温度で焼成して得
た便器の吐水口の直下に、被膜の長手方向が水平面から
90度もしくは90度未満の角度を有するように、請求
項24の水洗式便器用貼着フィルムより離型シートを剥
がして接着剤を便器表面に接触せしめるようにして貼着
することによる。
【0030】本発明の請求項12に係る水洗用便器で
は、便器の吐水口の直下に、被膜の長手方向が水平面か
ら90度もしくは90度未満の角度を有するように、セ
リア及び/又はイットリアを含有する被膜を形成する。
セリア及び/又はイットリアを含有する被膜を形成する
と、その被膜は製造直後は親水性を呈するが、暫く放置
すると撥水性を呈する。本発明の請求項12に係る水洗
用便器の製造方法は、鋳込み成形にて作製した便器成形
素地上に釉薬を塗布し1100度以上の温度で焼成して
得た便器の吐水口及び/又は前記吐水口の直下に、上記
セリウム及び/又はイットリウムのアルコキシドを含有
する塗料を塗布した後に、300〜700度の温度で焼
成することによる。ここで塗布する際には、必要に応じ
て塗布したくない部分をマスキングして行う。塗布する
方法としては、スプレーコーティング、刷毛塗り、スポ
ンジ塗り、フローコート、バーコート等の周知の方法が
利用できる。
【0031】本発明の水洗式便器又は水洗式便器用貼着
フィルムにおける撥水性被膜には、原子価が一価の金属
成分及び/又はポーリングの電気陰性度の尺度が1.0
未満の金属成分が含有されていてもよい。これらの成分
が撥水性被膜の表面に存在することにより、油性汚れに
対しては水に可溶な化合物を形成し、吐水口からの流水
による汚れの洗浄効果をさらに高めることが期待でき
る。ここで、原子価が一価の金属成分としては、Li、
Na、K、Rb、Cs、Ag、Cu、Au等が好適に利
用可能であり、ポーリングの電気陰性度の尺度が1.0
未満の金属成分としては、Li、Na、K、Rb、C
s、Ba、Srが好適に利用可能である。
【0032】本発明の水洗式便器又は水洗式便器用貼着
フィルムにおける撥水性被膜には、抗菌剤が含有されて
いてもよい。抗菌剤としては、銀、銅、亜鉛等の抗菌性
金属及びその化合物微粒子またはシリカゲルやゼオライ
トなどの担体へ担持物、第四級アンモニウム塩、ニトリ
ル誘導体、イミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導
体、イソチアゾール誘導体、チアジチアゾール誘導体、
トリアジン誘導体、スルホン誘導体、フェノール誘導
体、フェノールエステル誘導体、ピロール誘導体等が好
適に利用できる。
【0033】
【実施例】(比較例1)サンプルとして、東陶機器製ス
トール小便器:U307C、陶器色:パステルアイボリ
ー(#SC1)を準備した。本小便器の洗浄方式は淀掛
け方式である。また、本小便器と同一の素地、釉薬から
焼成して作製した70×150mmの板状試験片を用意
した。この板状試験片を用いて水との接触角測定を、小
便器サンプルを用いて淀掛け部に設けられた吐水口から
排水口までの便器面における水流の状態及び水の濡れ方
を観察した。板状試験片表面と水との接触角は、接触角
測定器(協和界面科学製、CA−X150)を用い、マ
イクロシリンジからサンプル表面に蒸留水の液滴を滴下
した後30秒後に測定した。その結果、サンプル作製直
後の水との接触角は30゜であったが、約1ヶ月間放置
した後の水との接触角は50゜〜55゜まで上昇してい
た。小便器サンプルの吐水口から排水口までの便器面に
おける水流の状態及び水の濡れ方については、小便器設
置直後と通常の使用下で約1ヶ月経過後に、フラッシュ
バルブ開閉時における洗浄水の状態を目視により観察し
た。その結果、設置直後は便器面が親水性であるため吐
水口からの流水が水平方向に広がり、吐水口下3cm付
近よりも下側の便器面はほぼ完全に水膜が形成されて洗
浄されていた。約1ヶ月経過後は、吐水口付近及び便器
面が若干疎水化しており、流水の幅が狭くなってしま
い、便器面全体を濡らすことができなくなっていた。そ
のため、水の通らない部分にはわずかに汚れが堆積して
いた。
【0034】(実施例1)比較例1と同一の小便器及び
板状試験片を用意した。小便器は、淀掛け部に設けられ
た吐水口の直下3.0cmの所から、左下向きに45゜
の角度をつけて幅1.5cm×長さ5.0cmの帯状の
範囲に、JSR製グラスカB603をスプレーコーティ
ングした。さらにこの下側3.0cmの所にも、右下向
きに45゜の角度をつけて幅1.5cm×長さ5.0c
mの帯状の範囲にグラスカB603をスプレーコーティ
ングした。これを室温で30分間乾燥させた後、200
℃で30分間かけて加熱硬化させ、シリコーン含有被膜
を形成させた。また、板状試験片は、釉薬面全体にグラ
スカB603をスプレーコーティングし、小便器と同様
の処理をしてシリコーン含有被膜を形成させた。この板
状試験片のコーティング膜厚を段差計により測定したと
ころ、約2μmであった。得られた板状試験片につい
て、比較例1と同様に水との接触角を測定したところ、
サンプル作製直後から100゜という撥水性を示し、約
1ヶ月放置後も100゜で変わらなかった。また、得ら
れた小便器について、比較例1と同様に水流の状態及び
便器面の水の濡れ方を観察した。その結果、設置直後は
比較例1と同じく便器面が親水性であるため吐水口から
の流水が水平方向に広がり、便器面はほぼ完全に水膜が
形成されて洗浄されていた。約1ヶ月経過後は、吐水口
付近及び便器面が若干疎水化しているものの、流水は吐
水口直下に設けられた一段目の撥水性被膜により左側に
流水が広がり、さらに、二段目の撥水性被膜により右側
に流水が広がることによって、これよりも下側の便器面
のほぼ全体に水膜を形成して洗浄していた。そのため、
便器面には目立った汚れの堆積は見られなかった。
【0035】(実施例2)比較例1と同一の小便器及び
板状試験片を用意した。小便器は、淀掛け部に設けられ
た吐水口の直下3.0cmの所から、左下向きに45゜
の角度をつけて幅1.5cm×長さ5.0cmの帯状の
範囲に、ダイキン工業製PTFE(四フッ化エチレン)
粉末ルブロンL−2とJSR製グラスカB603を固形
分の重量比が7:3になるように混合した溶液をスプレ
ーコーティングした。さらにこの下側3.0cmの所に
も、右下向きに45゜の角度をつけて幅1.5cm×長
さ5.0cmの帯状の範囲にルブロンL−2とグラスカ
B603の混合溶液をスプレーコーティングした。これ
を室温で30分間乾燥させた後、200℃で30分間か
けて加熱硬化させ、フッ素樹脂とシリコーンを含有する
被膜を形成させた。また、板状試験片は、釉薬面全体に
上記混合溶液をスプレーコーティングし、小便器と同様
の処理をしてフッ素樹脂とシリコーンを含有する被膜を
形成させた。この板状試験片のコーティング膜厚を段差
計により測定したところ、約3μmであった。得られた
板状試験片について、比較例1と同様に水との接触角を
測定したところ、サンプル作製直後から150゜という
超撥水性を示し、約1ヶ月放置後も150゜と変わらな
かった。また、得られた小便器について、比較例1と同
様に水流の状態及び便器面の水の濡れ方を観察した。そ
の結果、設置直後は比較例1と同じく便器面が親水性で
あるため吐水口からの流水が水平方向に広がり、便器面
はほぼ完全に水膜が形成されて洗浄されていた。約1ヶ
月経過後は、吐水口付近及び便器面が若干疎水化してい
るものの、吐水口直下に設けられた一段目の撥水性被膜
により左側に流水が広がり、さらに、二段目の撥水性被
膜により右側に流水が広がることによって、これよりも
下側の便器面のほぼ全体に水膜を形成して洗浄してい
た。そのため、便器面には目立った汚れの堆積は見られ
なかった。
【0036】(実施例3)比較例1と同一の小便器及び
板状試験片を用意した。小便器は、淀掛け部に設けられ
た吐水口の直下3.0cmの所から、左下向きに45゜
の角度をつけて幅1.3cm×長さ4.0cmの帯状
に、中興化成工業製フッ素樹脂テープASF−110を
貼り付けた。さらにこの下側3.0cmの所にも、右下
向きに45゜の角度をつけて幅1.3cm×長さ4.0
cmの帯状にASF−110を貼り付けた。また、板状
試験片は、釉薬面全体に上記フッ素樹脂テープを貼り付
けた。なお、上記フッ素樹脂テープの厚みは80μmで
ある。得られた板状試験片について、比較例1と同様に
水との接触角を測定したところ、サンプル作製直後から
110゜という撥水性を示し、約1ヶ月放置後も110゜
と変わらなかった。また、得られた小便器について、比
較例1と同様に水流の状態及び便器面の水の濡れ方を観
察した。その結果、設置直後は比較例1と同じく便器面
が親水性であるため吐水口からの流水が水平方向に広が
り、便器面はほぼ完全に水膜が形成されて洗浄されてい
た。約1ヶ月経過後は、吐水口付近及び便器面が若干疎
水化しているものの、吐水口直下に設けられた一段目の
撥水テープにより左側に流水が広がり、さらに、二段目
の撥水テープにより右側に流水が広がることによって、
これよりも下側の便器面のほぼ全体に水膜を形成して洗
浄していた。そのため、便器面には目立った汚れの堆積
は見られなかった。
【0037】(実施例4)比較例1と同一の小便器及び
板状試験片を用意した。小便器は、淀掛け部に設けられ
た吐水口の直下3.0cmの所から、左下向きに45゜
の角度をつけて幅1.8cm×長さ5.0cmの帯状
に、積水化学製セロハンテープを貼り付けた。さらにこ
の下側3.0cmの所にも、右下向きに45゜の角度を
つけて幅1.8cm×長さ5.0cmの帯状にセロハン
テープを貼り付けた。また、板状試験片は、釉薬面全体
に上記セロハンテープ(セルロースフィルム)を貼り付
けた。なお、上記セロハンテープの厚みは46μmであ
る。得られた板状試験片について、比較例1と同様に水
との接触角を測定したところ、サンプル作製直後から6
1゜という疎水性を示し、約1ヶ月放置後も65゜でとほ
とんど変わらなかった。また、得られた小便器につい
て、比較例1と同様に水流の状態及び便器面の水の濡れ
方を観察した。その結果、設置直後は比較例1と同じく
便器面が親水性であるため吐水口からの流水が水平方向
に広がり、便器面はほぼ完全に水膜が形成されて洗浄さ
れていた。約1ヶ月経過後は、吐水口付近及び便器面が
若干疎水化しているものの、吐水口直下に設けられた一
段目の疎水性樹脂テープにより左側に流水が広がり、さ
らに、二段目の疎水性樹脂テープにより右側に流水が広
がることによって、これよりも下側の便器面のほぼ全体
に水膜を形成して洗浄していた。そのため、便器面には
目立った汚れの堆積は見られなかった。
【0038】(実施例5)比較例1と同一の小便器及び
板状試験片を用意した。小便器は、淀掛け部に設けられ
た吐水口の直下3.0cmの所から、左下向きに45゜
の角度をつけて幅1.8cm×長さ5.0cmの帯状
に、東洋化学工業製ビニルテープを貼り付けた。さらに
この下側3.0cmの所にも、右下向きに45゜の角度
をつけて幅1.8cm×長さ5.0cmの帯状にビニル
テープを貼り付けた。また、板状試験片は、釉薬面全体
に上記ビニルテープを貼り付けた。なお、上記ビニルテ
ープの厚みは180μmである。得られた板状試験片に
ついて、比較例1と同様に水との接触角を測定したとこ
ろ、サンプル作製直後から78゜という疎水性を示し、
約1ヶ月放置後も75゜でとほとんど変わらなかった。
また、得られた小便器について、比較例1と同様に水流
の状態及び便器面の水の濡れ方を観察した。その結果、
設置直後は比較例1と同じく便器面が親水性であるため
吐水口からの流水が水平方向に広がり、便器面はほぼ完
全に水膜が形成されて洗浄されていた。約1ヶ月経過後
は、吐水口付近及び便器面が若干疎水化しているもの
の、吐水口直下に設けられた一段目の疎水性樹脂テープ
により左側に流水が広がり、さらに、二段目の疎水性樹
脂テープにより右側に流水が広がることによって、これ
よりも下側の便器面のほぼ全体に水膜を形成して洗浄し
ていた。そのため、便器面には目立った汚れの堆積は見
られなかった。
【0039】このように実施例においては、吐水口直下
に設けられた撥水性被膜、撥水テープ及び疎水性樹脂テ
ープの効果により、長期にわたり吐水口より吐水される
流水が万遍なく便器表面を濡らし、そのため、汚れが堆
積しにくくなっていると推定される。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、吐水口より吐水される
流水が万遍なく便器表面を濡らし、以って汚れが堆積し
にくい水洗式便器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】水洗式小便器を示す図である。 (a)スプレッダ方式の小便器を示す図。 (b)淀掛け方式の小便器を示す図。
【図2】本発明の一実施例を示す図。
【符号の説明】
20…小便器 22…スプレッダノズル 24…淀掛け部 26…吐水口 28、30…撥水性被膜 32…便器面
フロントページの続き (72)発明者 伊藤 正昭 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 安藤 正美 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 林 浩一 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 早川 信 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 2D039 AA01 AA04 DB04

Claims (33)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水洗用吐水口及び/又は前記吐水口の直
    下の便器面に、前記便器面とは異なる水との接触角を有
    する被膜が形成されている水洗式便器。
  2. 【請求項2】 水洗用吐水口及び/又は前記吐水口の直
    下の便器面に撥水性被膜が形成されている水洗式便器。
  3. 【請求項3】 水洗用吐水口の直下の便器面に前記便器
    面とは異なる水との接触角を有する被膜が形成されてい
    る水洗式便器であって、前記被膜の長手方向は水平面か
    ら90度もしくは90度未満の角度を有するように傾い
    て配置されていることを特徴とする水洗式便器。
  4. 【請求項4】 水洗用吐水口の直下の便器面に撥水性被
    膜が形成されている水洗式便器であって、前記撥水性被
    膜の長手方向は水平面から90度もしくは90度未満の
    角度を有するように傾いて配置されていることを特徴と
    する水洗式便器。
  5. 【請求項5】 水洗用吐水口の直下の便器面に複数の前
    記便器面とは異なる水との接触角を有する被膜が形成さ
    れている水洗式便器であって、前記複数の被膜のうちの
    少なくとも2つの被膜の長手方向は水平面から90度も
    しくは90度未満の角度を有するように傾いて配置され
    ており、かつ前記少なくとも2つの被膜として、水平方
    向からの傾きが右向きおよび左向きの双方が存在するこ
    とを特徴とする水洗式便器。
  6. 【請求項6】 水洗用吐水口の直下の便器面に複数の撥
    水性被膜が形成されている水洗式便器であって、前記複
    数の撥水性被膜のうちの少なくとも2つの被膜の長手方
    向は水平面から90度もしくは90度未満の角度を有す
    るように傾いて配置されており、かつ前記少なくとも2
    つの被膜として、水平方向からの傾きが右向きおよび左
    向きの双方が存在することを特徴とする水洗式便器。
  7. 【請求項7】 前記被膜は、疎水性樹脂含有被膜である
    ことを特徴とする請求項1、3、5のうちのいずれかに
    記載の水洗式便器。
  8. 【請求項8】 前記撥水性被膜は、シリコーン含有被膜
    であることを特徴とする請求項2、4、6のうちのいず
    れかに記載の水洗式便器。
  9. 【請求項9】 前記撥水性被膜は、フッ素樹脂及び/又
    はフッ素化合物を含有する被膜であることを特徴とする
    請求項2、4、6のうちのいずれかに記載の水洗式便
    器。
  10. 【請求項10】 前記撥水性被膜は、シリコーン及びフ
    ッ素樹脂を含有する被膜であることを特徴とする請求項
    2、4、6のうちのいずれかに記載の水洗式便器。
  11. 【請求項11】 前記撥水性被膜は、シリコーン及びフ
    ッ素化合物を含有する被膜であることを特徴とする請求
    項2、4、6のうちのいずれかに記載の水洗式便器。
  12. 【請求項12】 前記撥水性被膜は、セリア及び/又は
    イットリア含有被膜であることを特徴とする請求項2、
    4、6のうちのいずれかに記載の水洗式便器。
  13. 【請求項13】 前記被膜には、さらに原子価が一価の
    金属成分及び/又はポーリングの電気陰性度の尺度が
    1.0未満の金属成分が含有されていることを特徴とす
    る請求項1乃至12に記載の水洗式便器。
  14. 【請求項14】 前記被膜には、さらに抗菌剤が含有さ
    れていることを特徴とする請求項1乃至13に記載の水
    洗式便器。
  15. 【請求項15】 前記撥水性は水との接触角に換算して
    90度以上であることを特徴とする請求項2、4、8乃
    至14のうちのいずれかに記載の水洗式便器。
  16. 【請求項16】 前記便器は大便器であることを特徴と
    する請求項1乃至15に記載の水洗式便器。
  17. 【請求項17】 前記便器は小便器であることを特徴と
    する請求項1乃至15に記載の水洗式便器。
  18. 【請求項18】 離型シートと、前記シート上に配置さ
    れた接着剤層と、前記接着剤層上に配置された可撓性フ
    ィルムと、前記フィルム表面に形成された便器面とは異
    なる水との接触角を有する被膜からなり、前記シートを
    剥がして水洗式便器の水洗用吐水口の直下の便器面に前
    記接着剤層を接触せしめることにより前記吐水口の直下
    の便器面に前記被膜を形成するための水洗式便器用貼着
    フィルム。
  19. 【請求項19】 離型シートと、前記シート上に配置さ
    れた接着剤層と、前記接着剤層上に配置された可撓性フ
    ィルムと、前記フィルム表面に形成された撥水性被膜か
    らなり、前記シートを剥がして水洗式便器の水洗用吐水
    口の直下の便器面に前記接着剤層を接触せしめることに
    より前記吐水口の直下の便器面に撥水性被膜を形成する
    ための水洗式便器用貼着フィルム。
  20. 【請求項20】 前記被膜は、疎水性樹脂含有被膜であ
    ることを特徴とする請求項18に記載の水洗式便器用貼
    着フィルム。
  21. 【請求項21】 前記撥水性被膜は、シリコーン含有被
    膜であることを特徴とする請求項19に記載の水洗式便
    器用貼着フィルム。
  22. 【請求項22】 前記撥水性被膜は、フッ素樹脂及び/
    又はフッ素化合物を含有する被膜であることを特徴とす
    る請求項19に記載の水洗式便器用貼着フィルム。
  23. 【請求項23】 前記撥水性被膜は、シリコーン及びフ
    ッ素樹脂を含有する被膜であることを特徴とする請求項
    19に記載の水洗式便器用貼着フィルム。
  24. 【請求項24】 前記撥水性被膜は、シリコーン及びフ
    ッ素化合物を含有する被膜であることを特徴とする請求
    項19に記載の水洗式便器用貼着フィルム。
  25. 【請求項25】 前記撥水性被膜は、セリア及び/又は
    イットリア含有被膜であることを特徴とする請求項19
    に記載の水洗式便器用貼着フィルム。
  26. 【請求項26】 前記被膜には、さらに原子価が一価の
    金属成分及び/又はポーリングの電気陰性度の尺度が
    1.0未満の金属成分が含有されていることを特徴とす
    る請求項18乃至25に記載の水洗式便器用貼着フィル
    ム。
  27. 【請求項27】 前記被膜には、さらに抗菌剤が含有さ
    れていることを特徴とする請求項18乃至26に記載の
    水洗式便器用貼着フィルム。
  28. 【請求項28】 前記撥水性は水との接触角に換算して
    90度以上であることを特徴とする請求項18、19、
    21乃至27に記載の水洗式便器用貼着フィルム。
  29. 【請求項29】 常温硬化性シリコーンを含有してなる
    ことを特徴とする、水洗式便器の水洗用吐水口及び/又
    は前記吐水口の直下の便器面に撥水性被膜を形成するた
    めの、水洗式便器用コーティング組成物。
  30. 【請求項30】 常温硬化性フッ素樹脂を含有してなる
    ことを特徴とする、水洗式便器の水洗用吐水口及び/又
    は前記吐水口の直下の便器面に撥水性被膜を形成するた
    めの、水洗式便器用コーティング組成物。
  31. 【請求項31】 常温硬化性シリコーンと、フッ素樹脂
    を含有してなることを特徴とする、水洗式便器の水洗用
    吐水口及び/又は前記吐水口の直下の便器面に撥水性被
    膜を形成するための、水洗式便器用コーティング組成
    物。
  32. 【請求項32】 さらに抗菌剤を含有することを特徴と
    する請求項29乃至31に記載の水洗式便器用コーティ
    ング組成物。
  33. 【請求項33】 前記コーティング組成物により形成し
    た撥水性被膜の表面は水との接触角に換算して90度以
    上を呈することを特徴とする請求項29乃至32に記載
    の水洗式便器用コーティング組成物。
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