JP2000219811A - 導電性ペースト及びその製造方法 - Google Patents

導電性ペースト及びその製造方法

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JP2000219811A
JP2000219811A JP11022472A JP2247299A JP2000219811A JP 2000219811 A JP2000219811 A JP 2000219811A JP 11022472 A JP11022472 A JP 11022472A JP 2247299 A JP2247299 A JP 2247299A JP 2000219811 A JP2000219811 A JP 2000219811A
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conductive paste
resin
chelate
thermosetting resin
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Hideyuki Goto
英之 後藤
Daisuke Ito
大輔 伊東
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Harima Chemical Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、プリント配線基板のスルーホール
形成用に用いられる熱硬化型の導電性ペースト、特に硬
化後のスルーホール埋め込み形状に優れ、かつ良好な導
通性能を有する導電性ペーストを提供することを目的と
する。 【解決手段】 銅粉、熱硬化性樹脂、キレート形成物質
及び下記一般式(I)を有するアルコキシ基含有変性シ
リコーン樹脂を必須成分とする導電性ペースト。 【化1】 (但し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分枝したアルキ
ル基を示し、mは2〜4を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリント配線基板
のスルーホール形成用に用いられる熱硬化型の導電性ペ
ーストに関し、更に詳しくは、硬化後のスルーホール埋
め込み形状に優れ、かつ良好な導通性能を有する導電性
ペーストに関する。
【0002】
【従来の技術】プリント配線基板のスルーホールの導通
については、1)無電解メッキを施した後に電解メッキ
を行い、導通をとるプロセス、または2)銀ペーストを
スクリーン印刷を用いて塗布し、加熱硬化させることに
より、導通を確保するプロセスのいずれかのプロセスが
通常用いられている。
【0003】このうち、1)の無電解メッキ−電解メッ
キ工程については、メッキ廃液の処理コストの問題か
ら、また2)の銀ペースト加熱硬化プロセスについて
は、銀相場が不安定であること、さらには銀がマイグレ
ーションの問題を引きおこしやすい点等の問題を有する
ことから、新たに銅ペーストによる導通プロセスが近年
脚光を浴びている。
【0004】しかしながら、安定した導通抵抗を得るた
めには、いくつかの課題を克服する必要がある。
【0005】すなわち、第一に銅ペーストの導電メカニ
ズムは、バインダーである熱硬化性樹脂の硬化収縮によ
り、銅粉どうしが接触してはじめて導通することから、
樹脂の収縮率によって導電性が変動すること、第二に銅
の表面は酸化されやすく、銅の酸化物は、絶縁性である
ことから、ハンドリング過程で、ペーストが変性しやす
いこと、第三にペーストの硬化形状が導通性に大きく影
響すること等の理由から、その導通の程度は、工程によ
るバラツキが非常に大きく、また微妙である。
【0006】したがって、具体的には銅粉と樹脂の配合
割合のわずかな変動(いわゆる仕込み公差)、硬化条件
のわずかな変動による収縮率の違い等に影響を受け、特
に、加熱硬化後の銅ペーストの形状のバラツキは、初期
導通抵抗のみならず、長期の導通信頼性にも影響するた
めに、いかにこれらの変動を抑えるかが、銅ペースト開
発の重要なポイントとなる。
【0007】この問題を解決するために、銅ペーストの
導通性能向上を図った研究は、従来より数多くなされて
いる。
【0008】例えば、特開昭61−3154号公報や特
開昭63−286477号公報には、銅粉の表面酸化を
抑えるために、還元作用を有する物質を配合する技術に
ついての開示があり、また特開平8−73780号公報
においては、バインダー樹脂に特定のイミダゾールを配
合することにより、クラックの発生を抑えつつも、十分
な硬化収縮を達成し、良好な導通性能を有する銅ペース
トについての開示がなされている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】これらの従来技術は、
銅ペースト硬化物の導通性能の向上に対して一定の効果
はあるものの、硬化形状の安定化という観点においては
不十分であり、銅ペーストによる導通プロセスは、いま
だに他のスルーホール導通のための従来技術を代替可能
なレベルには到達していない。
【0010】発明者らは、特に銅ペーストのスルーホー
ル内での硬化形状と、初期及び長期の導通性能との関係
を調べた結果、以下のことがわかった。
【0011】以下、図を参照しながら説明を行う。図1
は両面プリント配線板(1.6mm厚フェノール基板)
のスルーホールにスクリーン印刷等により銅ペーストを
埋め込み、硬化後にスルーホール断面でカットしたとき
の断面図である。プリント配線基板101の両面にはラ
ンド102が形成されており、銅ペースト(硬化物)1
03により、表裏のランド間の導通を確保している。
【0012】図1(a)は、理想的な形状の例であり、
上下のランド間における良好な導通性能を初期において
も、長期信頼性試験の後でも発現していることがわかっ
た。
【0013】一方、図1(b)、図1(c)は、いずれ
も、銅ペースト内に欠点があり、悪い形状の例である。
図1(b)は、細かな気泡104が、銅ペースト硬化物
中に存在し、製造直後の初期導通特性悪化の原因である
とともに、長期信頼性悪化の原因となる。例えば、この
気泡は、冷熱衝撃が印加された場合には、応力集中の原
因ともなり、クラックの起点になりやすい。また、吸湿
中心にもなりやすいことは明白である。
【0014】図1(c)は、図1(b)の細かな気泡が
集まったりしてできたものであり、フクレ105となっ
ている。この場合、すでにクラック入っている場合もあ
り、導通不良の危険性がより高くなり、初期において導
通不良を起こしている危険性も高い。
【0015】したがって、図1(a)の理想形状に近づ
けるために、いかに硬化後の銅ペースト内部に欠点をつ
くらないようにするかがポイントとなる。
【0016】本発明は、プリント配線基板のスルーホー
ル形成用に用いられる熱硬化型の導電性ペースト、特に
硬化後のスルーホール埋め込み形状に優れ、かつ良好な
導通性能を有する導電性ペーストを提供することを目的
とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、銅ペース
トを用いたプリント配線基板のスルーホール導通プロセ
スにおいて、硬化形状が悪化する主原因の一つが、プリ
ント配線基板ないし銅ペースト内部から硬化過程に発生
する揮発分にあることを見出し、本発明に到った。
【0018】本発明は、銅粉、熱硬化性樹脂、キレート
形成物質及び下記一般式(I)を有するアルコキシ基含
有変性シリコーン樹脂を必須成分とする導電性ペースト
に関する。
【0019】
【化5】 (但し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分枝したアルキ
ル基を示し、nは2〜4を示す。) 上記キレート形成物質が、下記一般式(II)を有するポ
リピリジンまたは1,10−フェナントロリンであるこ
とが好ましい。
【0020】
【化6】 上記キレート形成物質の含有量は、対銅粉重量比で、
0.03〜0.5重量%であることが好ましい。
【0021】上記熱硬化性樹脂は、フェノールまたはフ
ェノール誘導体をアルカリ触媒下で反応して得られるレ
ゾール型フェノール樹脂であることが好ましい。
【0022】また本発明は、銅粉、キレート形成物質、
該キレート形成物質を溶解する溶剤とを含む銅粉分散液
を調製する第1の工程と、次いで、前記銅粉分散液に熱
硬化性樹脂、下記一般式(I)を有するアルコキシ基含
有変性シリコーン樹脂を含む配合原料を加え混練する第
2の工程と、を含む導電性ペーストの製造方法に関す
る。
【0023】
【化7】 (但し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分枝したアルキ
ル基を示し、nは2〜4を示す。) 上記製造方法におけるキレート形成物質は、下記一般式
(II)を有するポリピリジンまたは1,10−フェナン
トロリンであることが好ましい。
【0024】
【化8】
【0025】
【発明の実施の形態】図2は、銅ペーストの硬化プロフ
ァイルを示したものであり、横軸を時間軸として、縦軸
を温度としている。この硬化プロファイルは、導電性ペ
ーストを用いてプリント配線基板のスルーホールの埋め
込みを行う際に、発明者らが、もっとも最適と考えてい
るプロファイルである。
【0026】このプロファイルに示すステップ硬化を行
うことによって、銅ペーストが含む揮発分をスムーズに
揮発させやすく、フクレの発生を低減できるからであ
る。
【0027】詳しくは、銅ペーストをプリント配線板に
設けられたスルーホールに埋め込んだ後に、ボックス型
加熱炉等を用いて加熱を開始し、50〜70℃の比較的
低温で、1時間から4時間程度保持し、さらに140〜
160℃の温度に昇温し、0.5〜2時間程度で硬化を
完了させるプロファイルとなっている。
【0028】ここで、発明者らは、図2のサンプリング
A及びサンプリングBで示される時点において、加熱炉
からプリント配線板を取り出し、銅ペースト硬化物の断
面形状を観察したところ、サンプリングAの時点では、
図1(a)に示した理想形状であったにもかかわらず、
サンプリングBでは、大きくフクレが発生することがわ
かった。
【0029】また、プリント配線板として、銅ペースト
をスルーホールに埋め込む前に、80〜150℃で、
0.5〜1時間加熱したものを用いた場合、フクレ発生
の確率が大きく低下することを見出した。
【0030】以上の検討結果から、硬化温度への昇温過
程において、発生するガスが硬化物中の欠点の原因であ
り、基板から発生するガスが主原因の一つであることを
見出した。したがって、銅ペーストの配合処方として
は、硬化中に発生する揮発分を抜けやすくする工夫が必
要となる。
【0031】本発明の銅ペーストは、特定の構造を有す
るアルコキシ基含有変性シリコーン樹脂とキレート形成
物質の相乗効果により上記課題を達成しようとするもの
である。
【0032】本発明で用いるアルコキシ基含有変性シリ
コーン樹脂は、熱硬化性樹脂とただちに反応する官能基
を有しないこと、極性基であるアルコキシ基の存在によ
って熱硬化性樹脂と相溶性が非常に高いこと及びシロキ
サン主鎖が可とう性を有することを特徴とし、これらの
性質により、基板ないし銅ペーストから発生する揮発ガ
スを逃がす時間を十分に確保し、かつスムーズに逃がす
ことが可能となる。例えば、同じように、可とう性を有
する化合物として、ポリブタジエン、ニトリル系のゴム
等を挙げることができるが、本発明で用いるアルコキシ
基含有変性シリコーン樹脂と比較すると、相溶性に劣
り、硬化過程で層分離するなどかえって逆効果になる。
【0033】また、アルコキシ基含有変性シリコーン樹
脂は、アルコキシ基が加水分解により水酸基に変化しや
すい。このように水酸基に変化した場合、さらに銅粉か
ら溶出した銅イオンの存在によって、高分子化し、ペー
スト全体を増粘させてしまう。この反応を抑制するため
には、溶出した銅イオンを効果的にトラップし、硬化過
程を含めて、安定化させることが必要であり、鋭意検討
を行った結果、キレート形成物質が有効であることを見
出した。
【0034】すなわち、キレート形成物質は、硬化初期
にアルコキシ基含有変性シリコーン樹脂が増粘すること
を防ぎ、安定的に揮発ガスの抜けを促し、さらには、銅
ペーストのポットライフ、シェルフライフを延長する効
果を有する。また、アルコキシ基含有変性シリコーン樹
脂は、熱硬化性樹脂の硬化収縮を妨げるために、バルク
としての導通性能は低下するが、このキレート形成物質
の添加により、良好な導通性能を保つ効果もあわせて有
する。
【0035】本発明で用いる銅粉としては、特に種類を
問わないが、電解銅粉、アトマイズ銅粉等を挙げること
ができる。銅粉形状としては、樹枝状粉、フレーク状銅
粉、球状粉等を挙げることができ、粒径、配合量ととも
に、粘度等の作業性を考慮して適宜選択できる。また、
銅粉は水素還元されていてもよく、また高級脂肪酸や各
種カップリング剤により、表面処理が施されていても良
い。例えば、T−22、T−33(いずれも三井金属鉱
業(株)製)、FCC−SP−99F(福田金属箔粉工
業(株)製)等を挙げることができる。
【0036】また、銅粉の酸化防止のため、少量の亜鉛
粉末を添加することもできる。
【0037】銅粉の配合量としては、十分な導通性能を
得るために、硬化後の硬化物に占める銅粉の割合が、7
0〜90重量%、さらに好ましくは75〜83重量%に
なるように、配合することが好ましい。
【0038】本発明で用いる熱硬化性樹脂としては、フ
ェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラ
ミン樹脂、尿素樹脂を挙げることができ、単独あるいは
複数の種類の樹脂を併用することができる。なかでも、
フェノールまたはフェノール誘導体とホルムアルデヒド
を酸触媒のもとで反応させて得られるノボラック型フェ
ノール樹脂に硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを
混在させたもが好適な例として挙げることができ、さら
にフェノールまたはフェノール誘導体とホルムアルデヒ
ドをアルカリ触媒のもとで反応させて得られるレゾール
型フェノール樹脂は、熱硬化収縮が大きく、また密着性
が高いことから非常に好ましい。フェノール誘導体とし
ては、クレゾール、キシレノール、t−ブチルフェノー
ル等のアルキルフェノール、フェニルフェノール、レゾ
ルシノール等が挙げられ、プリント配線基板の基板材料
やスルーホールの穴径、アスペクト比等の設計事項に起
因する要求特性に応じて、適宜選択できる。
【0039】本発明で用いるアルコキシ基含有変性シリ
コーン樹脂は、前記一般式(I)の構造を有する化合物
である。この化合物は、公知の方法、例えば、フェニル
トリアルコキシシランとメチルトリアルコキシシランを
縮合反応することにより得ることができる。
【0040】アルコキシ基を構成するアルキル基Rは、
炭素数1〜4の直鎖または分枝したアルキル基を示す。
特に炭素数が、2以下のときに、熱硬化性樹脂との相溶
性がよく、好ましい。
【0041】シロキサンユニットの繰り返しを示すnの
数は、2〜4の範囲が好ましい。このnの数は、分子量
分布から求めた平均値を示し、整数である必要はない。
【0042】nが小さすぎると、揮発性が高いために、
スクリーン印刷の作業性悪化の原因となったり、50〜
70℃の初期加熱の段階で揮発し、配合の効果が発揮さ
れない。
【0043】また、nが大きすぎると、樹脂との相溶性
が悪くなり、気泡の抜けを効率的に行うことが難しくな
る。
【0044】このようなアルコキシ基含有変性シリコー
ン樹脂の例としては、例えばKR213(信越化学工業
(株)製)を挙げることができる。
【0045】このアルコキシ基含有変性シリコーン樹脂
の配合量としては、銅粉に対して、0.5〜10重量%
が好ましく、さらには、1〜5重量%であることが好ま
しい。
【0046】本発明で用いるキレート形成物質として
は、エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)
エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、1,2−ジ
アミノシクロヘキサン、トリエチレンテトラミン、2−
アミノメチルピリジン、プリン、アデニン、ヒスタミ
ン、アセチルアセトン、4,4,4−トリフルオロ−1
−フェニル−1,3−ブタンジオン、ヘキサフルオロア
セチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメ
タン、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオ
ン、オキシン、2−メチルオキシン、オキシン−5−ス
ルホン酸、ジメチルグリオキシム、1−ニトロソ−2−
ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、サリチル
アルデヒド等を挙げることができる。
【0047】さらに、好適な例として、一般式(II)の
構造を有するポリピリジン及び1,10−フェナントロ
リンを挙げることができる。この2種類の化合物につい
ては、溶出した銅イオンをより効果的にキレート化し、
捕捉することができるため、キレート形成物質の含有量
については、少量でよく、銅粉に対して、0.03〜
0.5重量%程度が最適な含有量となる。含有量が0.
03重量%より少ない場合、添加の効果が少なく、また
0.5重量%以上加えても、性能の向上がそれほどな
く、コスト的にも不利となるからである。このように、
含有量を最少に抑えることができることから、ポットラ
イフ、シェルフライフにも悪影響を及ぼす危険性が少な
い。
【0048】また、発明者らは、特に前記一般式(II)
のポリピリジン及び1,10−フェナントロリンを加え
ることによって、高い導通性を維持できることを見出し
た。これは、これらの化合物が一旦銅をキレート化した
場合に比較的高温領域までキレート状態を保つ傾向があ
り、したがって銅ペーストの硬化がある程度すすみ、銅
粉どうしが近接し始めてから、銅を再析出するために、
銅粉どうしの接触効果が高くなるのではないかと発明者
らは推測している。
【0049】一般式(II)のポリピリジン中のピリジン
骨格の繰り返し数nは、分子量分布から求めた平均値で
あり、整数である必要はない。したがって、n=1のピ
リジン成分を一部含有することもある。
【0050】nが2以上のときに、十分なキレート形成
能を発揮し、nが8以下のとき、熱硬化性樹脂との相溶
性がよく、好ましい。
【0051】nが、2または3のものは、試薬として単
体の化合物が市販されている。nが4以上の化合物につ
いては、nが、2または3のものを出発原料として合成
することが可能である。
【0052】合成方法の一例を以下に示す。出発原料を
アミノナトリウムと加熱混合することによりピリジン骨
格の窒素に対しオルソの位置をアミノ化する。続いて、
これを臭化水素酸中、亜硝酸ナトリウムで処理して臭化
ジアゾニウムとし、引き続きこれに臭素を加えることに
よりブロモ化する。このブロモ化ピリジンを、DMF
(N,N−ジメチルホルムアミド)中、60℃で、0価
ニッケル錯体により脱ハロゲン化縮重合させると、黄か
ら黄橙色の沈澱を得る。これを熱トルエン、水、熱トル
エンの順に洗浄し乾燥させることにより目的のポリピリ
ジンを得る。nの制御については、出発原料の選択とブ
ロモ化の度合いによって調整する。尚、0価ニッケル錯
体については、ニッケル−1,5−オクタジエン錯体と
1,5−オクタジエン及びトリアリルホスフィンの等モ
ル混合物を用いる。
【0053】以上、本発明の導電性ペーストの必須成分
について説明を行ったが、適宜、溶剤、消泡剤、沈降防
止剤、分散剤、カップリング剤等を加えることができ
る。
【0054】溶剤としては、エチルセロソルブ、メチル
セロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブアセ
テート、メチルセロソルブアセテート、ブチルセロソル
ブアセテート、エチルカルビトール、メチルカルビトー
ル、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテー
ト、メチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトー
ルアセテート等が挙げられる。
【0055】カップリング剤としては、導電性ペースト
のポットライフを悪化させない範囲で適宜添加すること
ができる。本発明の銅ペーストにおいて、好ましいカッ
プリング剤種は、例えば、γ−グリシドキシプロピルト
リメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,
4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェ
ニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げ
ることができる。これは、揮発性が低く、熱硬化性樹脂
との反応性が低いという理由による。添加量としては、
導電性ペーストに対する重量比で、1〜10重量%の範
囲で密着性等を考慮して決められる。
【0056】次にペーストの調製方法について説明す
る。銅粉、熱硬化性樹脂、キレート形成物質、アルコキ
シ基含有変性シリコーン樹脂、その他必要に応じて、カ
ップリング剤、溶剤等の添加剤を配合し、せん断応力を
付加することにより、均一混練し、導電性ペーストを調
製することができる。せん断応力を付加する方法として
は、例えばニーダー、三本ロール等の通常用いられる混
練装置の他、特に密閉系で混練可能な自転−公転併用の
ライカイ器あるいは撹拌脱泡器(例えば、MS−SNB
−2000:松尾産業(株)製)等を好適に用いること
ができる。
【0057】配合の仕方としては、全配合物を一度に配
合することも可能であるが、銅粉をあらかじめキレート
形成物質で前処理する工程と、その他の配合物を加え混
練する工程とに分けて銅ペーストを調製することによ
り、さらに導通性能を安定化できる。
【0058】まず、第1工程を以下に示す方法により行
う。銅粉、キレート形成物質(例えば、2,2’−ビピ
リジル(一般式(II)のポリピリジンにおいてn=2に
相当))に溶剤を加え、高速撹拌する。このとき、溶出
した銅イオンが、キレート形成物質とキレートを形成す
るために、分散液の色は青く変色する。この第1工程に
おいて、銅粉のキレート形成を阻害しない配合原料につ
いては、加えておくこともできる。
【0059】次いで第2工程を以下に示す方法により行
う。熱硬化性樹脂(レゾール型フェノール樹脂)、及び
アルコキシ基含有変性シリコーン樹脂を添加し撹拌す
る。この際に、フェノール樹脂中に銅キレートが取り込
まれ、黒く変色する。さらに、必要に応じてシランカッ
プリング剤、消泡剤、追加の溶剤等の添加剤を加え、先
に示した混練装置を用いて混練することにより銅ペース
トを完成させる。
【0060】以上の2つの工程に分けることにより、確
実に銅粉をキレート形成物質で処理できるために、導通
性能がより安定化し、さらにポットライフ、シェルフラ
イフ等をのばすことが可能である。尚、完成した導電性
ペーストの粘度調整、または揮発分調整等の目的で、さ
らに溶剤等を添加することは可能である。
【0061】粘度の最適値については、塗布方法により
若干の調整は必要であるが、1000〜5000cps
(Viscometer PC−1TL(株)マルコム製)の範囲
が適当である。
【0062】
【実施例】以下に実施例を示しながら説明する。
【0063】(実施例1)銅粉(T−22三井金属鉱業
(株)製)100重量部に溶剤として、エチルセロソル
ブアセテートを10重量部、さらに、2,2’−ビピリ
ジルを0.13重量部を加え、自転−公転撹拌脱泡器
(松尾産業(株)製)を用いて撹拌を行った。この時
に、分散液の色は、青色であった。次いでこの分散液に
熱硬化性樹脂として、フェノールとホルムアルデヒドを
アルカリ触媒下で反応して得られる分子量約20,00
0のレゾール型フェノール樹脂20重量部及び、アルコ
キシ基含有変性シリコーン樹脂として、KR213(信
越化学工業(株))3重量部を加え、撹拌子の自転、公
転による撹拌を、約5分間行い、導電性ペーストを調製
した。
【0064】この導電性ペーストについて、保存安定
性、スルーホール抵抗、硬化後の形状の評価を行った。
評価結果は、表1に示すように良好であった。特に、ス
ルーホールに埋め込まれた銅ペーストの硬化後の形状に
ついては、図3に示すように、硬化物中に欠点がなかっ
た。
【0065】
【表1】 尚、各評価の評価方法については、以下に示す。
【0066】保存安定性の評価方法:導電性ペーストを
室温(約23℃)で3日間保管し、製造直後の粘度と、
保管後の粘度(粘度計:Viscometer PC−1TL
(株)マルコム製)を測定し、粘度の上昇率を評価し
た。
【0067】スルーホール抵抗の評価方法:1.6mm
厚銀スルーホール対応紙フェノール基材に、ドリル加工
により、0.5mmφの孔を100穴あけ、スクリーン
印刷により、導電性ペーストの埋め込みを行った。50
℃、2時間の予備加熱を行った後、150℃、1時間の
硬化を行った。尚、この基板は、100穴のスルーホー
ルが、基板表裏の回路により直列に結線されており、末
端スルーホール間の導通抵抗を測定することにより、1
00穴の直列のスルーホール抵抗の測定が可能である。
この100穴スルーホールの抵抗値を1穴あたりに換算
したものをスルーホール抵抗とした。
【0068】硬化後の形状の評価方法:スルーホール抵
抗を評価した基板を、スルーホールの位置で断面カット
し、フクレについて観察を行った。
【0069】(比較例1)銅粉(T−22三井金属鉱業
(株)製)100重量部、熱硬化性樹脂として、フェノ
ールとホルムアルデヒドをアルカリ触媒下で反応して得
られる分子量約20,000のレゾール型フェノール樹
脂20重量、キレート形成物質として、EDTA0.1
3重量部、粘度調整用の溶剤10重量部を配合し、三本
ロールにより混練を行った。
【0070】製造したペーストについて実施例1と同一
の評価を行った。評価結果を表1に示す。また、スルー
ホールに埋め込まれた銅ペーストの硬化後の形状につい
ては、図4に示す。
【0071】実施例1と比較すると、特に銅ペーストの
硬化後の形状が悪いことがわかる。図4(a)では、フ
クレが生じており、図4(b)では、細かな気泡が硬化
物中に点在していることがわかる。
【0072】また、スルーホール抵抗が高く、導通性に
劣り、さらに、粘度上昇も速いことがわかった。
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、一般式(I)に示され
るアルコキシ基含有変性シリコーン樹脂を配合すること
により、硬化過程において、スルーホール内部に溜まり
やすい揮発分をスルーホールの外にスムーズに抜けやす
くし、良好な硬化形状を、安定して形成することを可能
した。さらに、キレート形成物質を添加することによ
り、アルコキシ基含有変性シリコーン樹脂の欠点である
銅イオン存在下でのポットライフ低下をおさえ、ロット
内、ロット間バラツキの少ない、安定した穴埋め形状、
硬化形状、導通性能を達成した。特に、一般式(II)に
示されるポリピリジン、または1,10−フェナントロ
リンは、効果的に銅イオンをトラップするために、配合
量も少なくて済み、好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】導電性ペーストを用いて、プリント配線基板の
スルーホールを埋め込んだ場合の、スルーホール断面図
を示したものである。
【図2】スルーホール埋め込み用導電性ペーストの最適
硬化プロファイルを示したものである。
【図3】実施例1の導電性ペーストを用いて、プリント
配線基板のスルーホールを埋め込み、硬化した後の埋め
込み形状を撮影した断面写真である。
【図4】比較例1の導電性ペーストを用いて、プリント
配線基板のスルーホールを埋め込み、硬化した後の埋め
込み形状を撮影した断面写真である。図4(a)は、フ
クレが発生していることを示し、図4(b)は、細かな
気泡が発生していることを示している。
【符号の説明】
101 基板 102 ランド 103 銅ペースト硬化物 104 細かな気泡 105 フクレ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 1/11 H05K 1/11 H Fターム(参考) 4E351 AA01 BB01 BB31 BB49 CC11 CC22 DD04 EE03 EE06 EE15 EE22 GG16 4J002 AA021 CC031 CM022 CP053 CQ012 DA076 FD116 GQ05 HA08 5E317 AA24 BB01 BB12 BB24 CC22 CC25 CD21 CD29 GG03 GG11 5G301 DA06 DA42 DA55 DD01 DE01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 銅粉、熱硬化性樹脂、キレート形成物質
    及び下記一般式(I)を有するアルコキシ基含有変性シ
    リコーン樹脂を必須成分とする導電性ペースト。 【化1】 (但し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分枝したアルキ
    ル基を示し、mは2〜4を示す。)
  2. 【請求項2】 前記キレート形成物質が、下記一般式
    (II)を有するポリピリジンまたは1,10−フェナン
    トロリンであることを特徴とする請求項1記載の導電性
    ペースト。 【化2】 (但し、nは2〜8を示す。)
  3. 【請求項3】 前記キレート形成物質の含有量が、対銅
    粉重量比で、0.03〜0.5重量%であることを特徴
    とする請求項2記載の導電性ペースト。
  4. 【請求項4】 前記熱硬化性樹脂が、フェノールまたは
    フェノール誘導体をアルカリ触媒下でホルムアルデヒド
    と反応して得られるレゾール型フェノール樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性
    ペースト。
  5. 【請求項5】 銅粉、キレート形成物質、該キレート形
    成物質を溶解する溶剤とを含む銅粉分散液を調製する第
    1の工程と、次いで、前記銅粉分散液に熱硬化性樹脂、
    下記一般式(I)を有するアルコキシ基含有変性シリコ
    ーン樹脂を含む配合原料を加え混練する第2の工程と、
    を含む導電性ペーストの製造方法。 【化3】 (但し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分枝したアルキ
    ル基を示し、mは2〜4を示す。)
  6. 【請求項6】 前記キレート形成物質が、下記一般式
    (II)を有するポリピリジンまたは1,10−フェナン
    トロリンであることを特徴とする請求項5記載の導電性
    ペーストの製造方法。 【化4】 (但し、nは2〜8を示す。)
  7. 【請求項7】 前記キレート形成物質の含有量が、対銅
    粉重量比で、0.03〜0.5重量%であることを特徴
    とする請求項5または6記載の導電性ペーストの製造方
    法。
  8. 【請求項8】 前記熱硬化性樹脂が、フェノールまたは
    フェノール誘導体をアルカリ触媒下でホルムアルデヒド
    と反応して得られるレゾール型フェノール樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の導電性
    ペーストの製造方法。
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